勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

    a0960_005446_m
       

    韓国は、反日不買運動が2019年7月から始まった。文大統領は、「二度と日本に負けない」と国民に向かって啖呵を切った。あれから2年経過して、反日ムードはどうなったか。日本企業では、韓国へ進出したユニクロが反日不買の標的にされた。ユニクロ東京本社の幹部が、「反日不買運動は、すぐに鎮まる」と発言。韓国国民をさらに激昂させた。その見せしめにと、ユニクロが火あぶりにされたのだ。

     

    そのユニクロは、昨年の業績が急回復した。皮肉にも、ユニクロ東京本社幹部の見通しが的中したのである。「熱し易きは冷め易し」で、韓国の国民性を表す好例が見られたと言えよう。

     


    『中央日報』(12月3日付)は、「今はもう『YES JAPAN』? ユニクロ完全復活…884億ウォン赤字→529億ウォン黒字」と題する記事を掲載した。

     

    2019年に始まった日本製品不買運動、いわゆる「NO JAPAN(ノージャパン)」で大きな打撃を受けたユニクロが韓国で黒字転換に成功した。

    (1)「12月2日、韓国金融監督院によると、韓国でユニクロを運営する、エフアールエルコリアの2020年9月1日から今年8月31日までの営業利益は529億ウォン(約51億円)と集計された。前会計年度884億ウォンの赤字から大幅に黒字に転換した。売上額は5824億ウォンで前年に比べて7.5%減少したが、当期純利益も473億ウォンで純赤字が994億ウォンに達した2019年に比べると劇的なターンアラウンドを見せた」

    赤字が一年で黒字に転換したのは、経営合理化努力によるものだろう。売上高は、まだ7.5%の減少であるから、徹底したコストダウンと好採算商品の販売に成功したと言えよう。

     


    (2)「これに先立って「NO JAPAN」運動の影響で構造調整と費用削減に乗り出したユニクロは韓国で50カ所を超える店舗を閉めた。この過程でアジアの代表的な店舗の一つだった明洞(ミョンドン)店をはじめ、江南(カンナム)店、弘大(ホンデ)店なども閉店に追い込まれた。ユニクロは世界的デザイナーやブランドと共同作業したコラボ製品で韓国人の心をつかみ直すために引き続き努力した。今年10月、名品アウトドアブランドのホワイトマウンテニアリングとコラボレーションして発売したコレクションをはじめ、デザイナーのジル・サンダーとの「+J」コレクション、セオリーとのコラボコレクションなどが人気を呼んで完売事態が起きたこともある」

     

    ユニクロの商品戦略は、世界的なデザイナーを起用することと、経営が米国流であることだ。経営トップの柳井正氏は学生時代、ろくに勉強しなかったという。だが、社会人になってドラッカー経営学を徹底的に学び、本人から直接学ぶ「生きた学問」をした経営者である。その点が異色であり、大きな強みになっている。

     

    (3)「ユニクロは、最近1年余りで新規店舗をオープンして再び売り場拡大に乗り出している。今年11月5日、釜山(プサン)に沙下(サハ)店を開店したことに続き、12日には釜山ロッテ百貨店センタムシティ店にも再オープンした」

     

    ユニクロは、機あらずと見ればすぐに撤退して傷を深くしないことだ。チャンスがめぐってきたと見れば進む。機動的経営である。このユニクロ式経営から見れば、韓国製造業は、日本製造業との関係強化に力を入れたいと強い希望を持っている。技術と資本の両面で、韓国企業は日本企業との関係が深い。文政権は、こういう事実関係を全く知らず、反日不買運動を行なってきた。

     

    『聯合ニュース』(11月29日付)は、「日本との経済協力『必要』92.6%、関係改善には悲観的見通し=韓国」と題する記事を掲載した。

     

    大韓商工会議所が11月11~15日、国内の輸出入企業202社を対象に日本との経済協力の必要性に関する世論調査を実施した結果、回答企業の92.6%が「必要」とし、「必要性を感じない」との答えは7.4%にすぎなかった。

     

    (4)「両国の関係改善の見通しについては、「現在の困難が続くと思う」(80.7%)と「もっと悪くなると思う」(6.4%)との悲観的な回答が大半を占めた。「徐々によくなると思う」との楽観的な見通しは12.9%にすぎなかった」

     

    日韓関係は、改善見通しが付かないとする見方が8割もある。改善方向と見るのは1割強に過ぎない。極めて、悲観的である。韓国で次期政権が進歩派であれば、改善期待は持てないだろう。

     


    (5)「両国の協力を妨げる最も大きな障害に関しては「歴史問題」との回答が42.1%で最多だった。次いで、「新型コロナウイルスの再拡大など対外環境の悪化」(15.3%)、「輸出規制など両国の貿易摩擦」(12.9%)、「相互けん制・競争意識の高まり」(10.4%)、「両国国民意識の悪化」(9.9%)などだった」

     

    韓国が、歴史問題を国内で解決する方向になれば、日韓関係は雪解けムードになろう。だが、日本へ謝罪しろとか、賠償せよと言う従来通りの主張であれば、両国関係は凍結したままだ。日本は、外交的に韓国を切実に必要としなくなっているからだ。

     

    (6)「企業の問題解消のための政策支援課題としては、「外交正常化」と「物流支援」(それぞれ25.5%)、「協力課題発掘」(12.3%)、「民間交流の活性化支援」(11%)などと続いた。大韓商工会議所のカン・ソクグ国際通商本部長は、「外交対立と新型コロナで二重苦に見舞われている両国の企業は今後、世界の供給網(サプライチェーン)再編にも対応しなければならない難題に直面している」として、「民間経済界から韓日協力の基盤を修復し、協力課題を発掘して交流するよう努力する必要がある」と述べた」

     

    韓国は、中国との関係が悪化すれば、日本へ接近する気持ちになろう。現状では、まだ日本と対抗して困らせてやれという復讐心に燃えている。その意識が消えない限り、日本へ接近しないはずだ。

    テイカカズラ
       

    韓国は、11月から日本と張り合って「ウィズコロナ」へ踏み切ったが大混乱に陥っている。政府は、11月29日に特別防疫対策を発表し、「すべての感染者は自宅に留まり、必要な場合にのみ入院治療を受けるようにする」というお粗末な事態だ。

     

    自宅療養を原則とし、住居環境が感染患者に不適であることや、小児・障害者・70歳以上などケアが必要な場合にのみ入院治療するというもの。これが、最近まで「K防疫モデル」と自慢していた韓国の実情である。12月3日の新規感染者は5000人近かった。重症者数は3日連続で700人を超え、またもや過去最多となっている。こういう医療崩壊は、すでに11月初旬に予知されていたのである。

     


    英国オックスフォード大学が発表した、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)厳格度指数によれば、韓国の防疫強度が主要20カ国・地域(G20)で最下位水準という研究結果が発表されていた。
    厳格度指数は、各国の新型コロナ対応水準を分析したもの。集会人員や大衆利用施設営業など9つの分野の防疫措置を評価している。点数が高いほど防疫度が高いということを意味する。

    韓国は、100点満点中39.35点だ(11月8日集計)。低評価の理由は、11月1日から首都圏10人、非首都圏12人まで私的な集まりを許容している。レストランやカフェは24時間営業することができる。遊興施設は夜12時まで運営する代わりに防疫パス(接種証明・陰性確認制)を適用中という規制緩和を行なった。こういう「ウィズコロナ」が、すべて裏目に出たのである。

     

    『朝鮮日報』(12月3日付)は、「未曾有の『複合ショック』、韓国のウィズコロナはグロッキー状態」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「一日新規感染者が連日5000人を上回り、重症者も過去最多の733人(12月2日午前0時時点)まで達するや、医療現場から相次いで悲鳴が上がっている。中央事故収拾本部によると、1日午後5時時点のソウル市内の病床使用率は90.1%、仁川市は88.6%、京畿道は85.5%だった。首都圏に近い忠清道の病床も既に満床だ。最も重症の患者が入院している「ビッグ5」病院(5大病院)でも、残っているのは9床(使用率94.6%)だけだ。病床待機患者は915人、このうち四日間以上待っている患者は377人(41.2%)に達する」

     

    ソウル市内の5大病院は、重症患者用のベッドがあと9床(使用率94.6%)しかないのだ。病床待機患者は、915人もいる。まさに、医療崩壊が起こっている。

     


    (2)「それにもかかわらず、当局が12月中旬までに追加確保することにしている1300床のうち、重症者用は50床、準重症者用は190床だけだ。ソウル市も同日、「新型コロナ緊急対策」を発表し、重症者用病床を52床用意するという。それでも、年内に確保できる重症者用病床は約100床にしかならない。しかも今は「二重の危機」に見舞われている。現在の感染者のほとんどはデルタ変異株の感染者だが、これより感染力が強いオミクロン変異株の感染者が国内で既に6人確認されている。デルタ株とオミクロン株の「複合ショック」が迫っている状況なのだ」

     

    当局が12月中旬までに追加確保する重症者用は50床だけしかない。一方には900人を超す待機患者がいるのだ。

     

    (3)「防疫当局は来週から4週間、私的な集まりの制限人数を首都圏6人、非首都圏8人に減らし、飲食店などにも防疫パスを拡大適用する案を協議したという医療現場のあちこちからも「『ウィズコロナ(段階的な日常生活の回復)』措置はしばらく中断してほしい」という悲鳴と訴えが相次いでいる。大韓重症者医学会も「新型コロナの重症者用病床を増やすには、新型コロナでない患者の病床の縮小が避けられない状況だ」と明らかにした。医療現場は今、袋小路に入ってしまっているということだ」

     

    医療崩壊を防ぐには、「ウィズコロナ」を中断するしかない。文政権は、大統領選の思惑で中断できないのだ。医療より政治思惑の先行である。

     


    (4)「政府は最近、首都圏の病院に対して「保有病床の1~1.5%を新型コロナ患者用病床にせよ」という行政命令を繰り返し出している。しかし、新型コロナの重症者用病床はすぐに設置できるわけではない。首都圏のある大型病院の関係者は「新型コロナ患者を治療するための陰圧室を作るには設備工事が必要で、新型コロナ患者が移動する時にほかの患者と遭遇しないように移動の動線まで考慮して新たな空間を確保しなければならないため、通常は数週間かかる」「さらに、新型コロナ患者のケアをするための医療従事者を追加しなければならないが、今いるほかの重症者をケアしている医療従事者を、新型コロナ患者だけ見ろと言うこともできず、懸念している」と話した」

     

    政府の無策と政治的な思惑が絡んで、韓国の医療は危機的状況に追い込まれている。病床を増やせば、医療スタッフを増加させなければならない。そのスタッフが枯渇している。専門医が足りない事態に追い込まれている。

     

    (5)病床不足よりも急を要するのは医療従事者不足だ。政府はこのほど、首都圏の医療従事者不足を穴埋めするために公衆保健医師(農村などの公衆保健業務に携わる医師)たちを急きょ駆り出した。首都圏でない地域の公衆保健医師47人を首都圏の病床に投入したのだ。ところが、新型コロナ治療に必要な内科専門医は1人もいなかった上、皮膚科医・眼科医など重症者の治療の助けとはなりにくい分野の専門医が多数含まれていたという」

     

    首都圏で医師不足に直面し、地方の医師47人を公募したが、必要な専門医は一人もいなかったという。皮膚科や眼科の医師までかき集められている。これで、急増する重症患者へ満足な治療ができるとは思えない。これが、文政権の実態である。

    a0001_001078_m
       

    日韓対立の裏にあるもの

    防疫体制に介入する政治

    日韓国民性水と油の違い

    旭日旗の対立で不倶戴天

     

    日本と韓国は、対馬海峡を隔てた近隣国家である。本来ならば、何をさておき助け合わなければならない関係だろうが、実態は全く逆である。卑近な例で言えば昔、お世話になった人に対し、最近は羽振りが良くなって、過去の話で文句を言うようなことが始まっている。こうなると、世話をして助けた側は良い気持ちはしない。「忘恩の徒」と言って見たくもなるのだろう。

     

    日韓関係が、諍いを起している背景はこういうものだ。互いに、過去の話を始めたらきりがない。双方に言分はあるのだ。それを、ぐっと飲み込んで「未来志向」で協力する。日韓では、そういう「大人の会話」が成り立たないのである。

     


    日米関係は、未来志向の最適な例だろう。日米が、それぞれ過去の話を始めたら収拾が付かなくなる。真珠湾の奇襲攻撃と、広島・長崎の原爆投下は悲劇である。これを繰り返さないために、日米は同盟国という選択をした。こうなれば、敵味方でなくなるからだ。

     

    日本の歴史において、米国と協力したときが最も安定した外交関係を維持できた。日露戦争では、米国が英国とともに日本敗戦を忌避すべく、外交戦術を駆使してロシアをけん制した。日本は、この勝利を独力で得たと慢心し、今度は太平洋戦争で米英と対決した。今の韓国が、日本に楯突くような状況だ。

     

    日韓対立の裏にあるもの

    日米が、元の鞘に収まって同盟を組むまでになったが、日韓にはそういう雰囲気はゼロである。米国がトランプ大統領時代、安倍首相、文大統領、トランプ氏の三者会談をした。そのときトランプ氏は、口が滑って「日韓は同盟国」と言ったところ、文氏がすかさず「日韓は同盟国でない」と言い放った。才覚ある人間ならば、ニコニコ笑って聞き流すもの。韓国が、いかに日本へ敵対意識を持っているかを象徴する話である。

     


    文氏は、大統領就任以来一貫して「日本批判」の立場を堅持した。現在は、態度を和らげて「融和」を呼びかけているが、それは便法であろう。反日が、韓国進歩派(本質は民族保守主義)の基本である。こういう反日姿勢は、韓国の国民性に由来するものと見るほかない。

     

    国民性の違いは、長い歴史の産物である。朝鮮は、1000年単位で中国の支配を受けて来た。その結果、刹那的思考が強い。中国の儒教を国教としたので、合理的思考を奪われ未来を見据えた視座が育たなかった。儒教の世界にどっぷり浸かり、氏族制社会を形成した。現在も、地域間の政争が甚だしいのは、それを引継いだものである。

     

    日本は、太平洋戦争の敗戦で7年間、米国の占領下に置かれた。有史以来のことだ。侵略戦争による敗北のショックは、日本人の思考を180度変えさせた。明治維新に次ぐ二度目の「革命」を引き起したのである。明治維新では、尊皇攘夷思想を捨てて開国した。昭和の敗戦では、軍国主義を捨てて民主主義の道へ進んだ。いずれも、大きな犠牲を経た「革命」である。

     


    防疫体制に介入する政治

    最近、日韓で見られる大きな相違点は、新型コロナに対する防疫体制の違いである。韓国は、全住民に対するPCR検査を実施している。これは、「全数調査」と言われるもので防疫対策では下策とされている。韓国の医師会は、政府の「全数調査」が非効率でることから反対したが、大統領府が政治的理由で導入した。

     

    日本では、症状が出たと疑われる事態になった時、PCR検査するものだった。これと、同時に、集団発生(クラスター)の原因究明に力を入れた。これが、国際的に見たオーソドックスな防疫対策とされている。韓国は、日本のこの防疫体制をどれだけ非難し嘲笑したか。日本が、PCR検査を意図的にサボって、感染者数を少なく見せているなど、あり得ない話を流布してきた。明らかに悪意を含んだものであった。

     


    日韓両国のワクチン接種完了率は11月25日現在、韓国が79%、日本が77%である。若干だが、韓国の方が高いのに、感染者数は韓国が日本の36倍も多くなっている。11月25日現在で、直近1週間の人口100万人当たりの一日平均新規感染者数は、韓国が63.87人であるが、日本は0.87人と実に73倍もの開きが出ている。

     

    要約すると、韓国は感染者数で日本の36倍。人口100万人当たりの一日平均新規感染者数で、なんと73倍も多いのである。ほぼ同じコロナ接種率で、韓国がこれだけの感染者急増である。韓国政府が、自画自賛してきた「K防疫モデル」の旗を下ろさなければならない事態に陥っている。(つづく)

     

    次の記事もご参考に。

    2021-11-08

    メルマガ308号 韓国大統領選「勝負あった!」 政権交代論が過半、反日派と知日派の激

    2021-10-04

    メルマガ298号 韓国経済に「SOS」、10月中に家計債務整理案 ウォン危機防止へ全

     

     

     

    a1320_000159_m
       


    韓国は、新型コロナウイルスの一日の新規感染者数が5000人を超え、過去最多を記録した。海外メディアも一斉に報じている。「K防疫モデル」と自画自賛したが、早すぎた「ウィズコロナ」(規制緩和)によって、高齢者を中心に感染者が激増している。すでに、重症患者ベッドの稼働率は80%をはるかに上まわり、新規感染者は入院待ちの状態になっている。危機的な状態に陥っている。

     

    苦肉の策として、数ある感染者から優先的に重症者ベッド入れる基準を作っている。地震などの災害時には、患者選別が行なわれるが、韓国は「ウィズコロナ」を継続している一方で、患者の選別を行なうのは極めて矛楯した行為である。こうした医療崩壊時には、「ウィズコロナ」の中止こそ優先されるべきだ。政府は、大統領選挙を意識して経済優先を行なっている。この状態では、重症患者激増は不可避である。

     

    『中央日報』(12月1日付)は、「新型コロナ患者で埋まる重症患者室、だれを先に入院させるべきか」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルス感染者が大きく増加し全国の重症患者室がほとんど埋まった。先月29日午後5時基準でソウルの重症患者病床の91%が埋まった。すでに飽和状態だ。日増しにこうした状況が悪化するのは明らかだ。韓国政府が近く大型病院に「重症患者室を追加で確保せよ」と命令するものとみられる。

     

    (1)「強制命令を下しても病床を増やすには限界がある。重症患者室は専門医や専門看護士、装備などが必要で、1日で大きく増やすことはできない。確保するとしても非コロナ重症患者用の重症患者室を減らす方法しかない。一種のゼロサムゲームだ。非コロナ患者の死亡率が上がるほかない。限定された重症患者病床を効率的に使うことが緊急な課題に浮上した。大韓重患者医学会は最近、「災害状況で重症患者の診療は最大限多くの患者の命を助けられるよう運営されなければならない。保健当局・専門学会・市民社会が合意する重症患者の入退院指針を至急用意しなければならない」と促した」

     

    韓国医学界は、「ウィズコロナ」の中断を訴えるべきである。そうした行動をしないで、政府の無謀な「ウィズコロナ」に追随している。いまこそ、医療倫理の立場に戻る時期である。

     


    (2)「入院対象者が同時に発生する時に、だれを先に入院させるのか、優先順位が最も高い人は

    ★発病前のように活動が可能だったり活動は制限されるが軽い労働ができる場合

    ★正常健康患者や軽い全身疾患(肥満など)患者

    ★1個の臓器不全

    ★予測生存率80%以上――にすべて該当する人。挙動能力、問題が生じた臓器の数、予測生存率などを考え優先順位が決まる」

     

    これら4条件に該当する患者は、優先的に入院させる。やはり、予測生存率80%以上が決め手になるのか。人間の生命の価値を値踏みしている感じだ。

     

    (3)「ソウル峨山病院呼吸器内科のコ・ユンソク諮問臨床教授は、「平時には病院に来た順にしなければならないが、現在のような危機状況では最大限多くの人を生かし、治療後の期待寿命を増やし、治療後に復帰させられる人から優先的に治療しなければならない。基礎疾患が少なく健康な人が優先。延命医療中断基準をもう少し拡大して適用し、これに従う医療関係者を処罰してはならない」と話す。重症患者医学会はこうしたプロトコルを政府に建議したが受け入れられないことから、1日に記者会見を行い改めて指針制定を促す予定だ」。

    「基礎疾患が少なく健康な人が優先」とは、なんとも哀しい生命救助の線引きである。となれば、高齢者は最初に「死亡宣告」される運命である。

     


    (4)「大韓重症患者医学会のパク・ソンフン広報理事(翰林大学聖心病院呼吸器内科教授)は、「新型コロナウイルス感染者のうち回復の可能性が低く心肺蘇生術拒否要請書(DNR)などを所持した患者の重症患者室優先順位を後回しにすべき。生存率が高い患者を先に治療するよう優先順位を決めてほしいと政府に提案する」と話した。優先順位1~4位のうち4位だけでも順位を遅らせようという意だ」

     

    優先順位4位は、▽脳・心臓・肺などの末期臓器不全▽重症外傷・重症やけど(予測死亡率90%以上)▽大量脳出血や重症認知症など深刻な脳機能障害▽期待余命6カ月未満の末期がん▽過去3カ月間に心筋梗塞・脳梗塞などを患ったり、重症外傷や頭蓋腔内出血などで生存が難しい患者▽予測生存率20%以下――の6種類のうちひとつでも該当する場合をいう。

     

    これに該当する患者は、入院優先度から外すという。むごい話だ。「ウィズコロナ」を継続しながら、助かる可能性の低い患者は切り捨てるという。人命尊重の欠片もない話である。これが、進歩派を名乗る政権のやることか。

     

    (5)「先進国はこうした基準を適用している。昨年国際ジャーナル「バイオエシックス」に発表された論文によると、米国の新型コロナウイルス患者優先順位勧告基準は最も多くの人に利益が行くようにし、医療体系を維持することだ。英国やイタリアも同様だ。スイスはできるだけ多くの命を助けることだ。だがこの基準を決めるとしても適用するのに困難が少なくないという指摘が出る。延世大学医療法倫理学科のイ・イルハク教授は「『私が先に登録したにのなぜあの人が先なのか』『まだ完全に治っていないのになぜ退院させるのか』という抗議に耐えられるかわからない。療養病院で悪化した高齢の感染者を重症患者室に送ることができなくなることもあり、こうした問題は少なくない」と指摘した。イ教授は「在宅療養中に悪化した患者の転院、療養病院患者の転院など腹を割って話さなければならない」と付け加えた」

     

    事態がここまで悪化しながら、新規感染者を止める方法を議論しない。何とも矛楯した話である。災害時の患者発生とは、状況が全く異なるのだ。今の、コロナ感染者急増は人災である。自然災害時の患者発生と同列に扱うべきでない。

    a0960_005041_m
       

    韓国の高齢者は、気の毒な存在である。年金受給者は5割強であり、苦しい生活を送っている。その上、政府が11月から「ウィズコロナ」策に踏み切った影響で、感染が拡大している。その影響は、高齢者にしわ寄せされたのだ。

     

    韓国政府は11月29日、段階的日常回復(ウィズコロナ)2次改編を留保し、4週間現在の状態を継続し、特別防疫対策を推進すると発表した。専門家は、この対策に防疫強化方案がほとんど入っていないとして強い懸念を示している。一見、ウィズコロナを中断するようなポーズを取りながら、現状は全く変わらないというのだ。

     

    防疫パス(接種完了・陰性確認制)有効期間を6カ月に設定し、すべての感染者に対して在宅治療を原則としながら、18歳以上の一般成人を対象に追加接種(ブースターショット)を実施するという内容が盛り込まれた。経口用治療薬(飲み薬)の年内導入も推進するというのだ。呆れたことに、「すべての感染者に対して在宅治療を原則とする」というとんでもないルールを作った。これが、「K防疫モデル」と自慢した国のやることか、という批判を呼んでいる。

    つまり、防疫専門家が主張してきた、「私的な集まりと営業時間の制限、防疫パスの拡大適用など」は、今回の対策に含まれなかった。梨大木洞病院呼吸器内科のチョン・ウンミ教授は「自営業者のために防疫を放棄した」と酷評したほど。大統領選挙で自営業者の支持を得たいので、「ウィズコロナ」の抜本的な見直しをしなかったのである。

     

    『聯合ニュース』(11月30日付)は、高齢者の感染拡大懸念、「時間差を置いて重症者が増加―韓国政府」と題する記事を掲載した。


    (1)「韓国政府の中央事故収拾本部の孫映レ(ソン・ヨンレ)社会戦略班長は30日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大と関連し、重症化リスクの高い高齢者層の感染増加に懸念を示した。「感染者の総数よりも高齢の感染者の規模と絶対数が非常に重要だ」と述べ、高齢の感染者の割合が下がらず、逆に少しずつ高まることで、1週間程度の時間差を置いて重篤・重症患者の増加につながっていると説明した」

     

    感染者総数に関心が集まっているが、高齢者の感染割合の上昇に注目すべきである。確実に重症者の数が増えるという深刻な事態を迎えている。

     

    (2)「孫氏は、重篤・重症患者の85%以上が60歳以上だが、ワクチンの接種を完了している場合は未接種者に比べ重症化する割合が3分の1ほどに低下するといった効果が依然表れていると伝えた。高齢者層を中心に重篤・重症患者が連日過去最多を更新し、病床の状況も限界に達している。首都圏(ソウル市、京畿道、仁川市)で入院を1日以上待っている患者は、同日時点で887人に達する」

     

    重症者患者の増加で、病床は限界点に達している。この結果、首都圏で1日以上の入院待ちが、887人にもなっているのだ。この状態で、「ウィズコロナ」の抜本的な見直しをしないとは、異常な事態というべきだろう。

     


    (3)「孫氏は、病床の空きを待つ人のうち3分の2は「生活治療センター」、3分の1は感染症専門病院への入院待機者だとし、「優先順位に従い、入院しての治療が必要な患者から入院できるようにしている。重症者に病床が割り当てられないケースが出ないよう、モニタリングと緊急移送を強化している」と説明した。政府は首都圏の上級総合病院と病床の追加確保に向けた議論を続けている。権徳チョル(クォン・ドクチョル)保健福祉部長官は同日、首都圏の上級総合病院の院長らと会合し、病床不足への対応策を話し合った。今月19日には金富謙(キム・ブギョム)首相も同様の会合を開いている」

     

    入院待機者の3分の1は、感染症専門病院という。これは、重症者という意味でないのか。政府は、事態の重大さを隠蔽して大統領選挙で不利にならぬように姑息な手段を取っているという印象を拭えないのだ。

     


    (4)「臨時の病床設置にも取り組んでいる。孫氏は「1~2カ所の病院を対象に、コンテナを利用した臨時施設で診療エリアを設ける方法を試してみる計画だ」と伝え、これは既存の病院の建物と動線を分けられるため感染管理に有利な上、医療従事者の業務の負担も下げられると説明した」


    コンテナを利用して、臨時施設で診療エリアを設けるという。野戦病院並みの緊張状態に置かれている。ここまで、医療陣をてんてこ舞いさせながら「ウィズコロナ」を手直ししないのは、どう見ても選挙対策と見るほかない。

    今回、政府の出した対策は、苦し紛れのものという批判が絶えない。

     

    「ソウル大学医大医療管理学科のキム・ユン教授は、『現在、重篤患者が大幅に増えて入院できず、待機する患者が増えると同時に死亡者も増えているが、とんでもない対策を出した』としながら、『在宅治療は生活治療センターの代替策だが、何かしら(対策を)出さなくてはならないから、対策だと言って出して体面を整えようとした』と批判した」(『中央日報』11月30日付)。


    このページのトップヘ