勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    日常的に韓国を観察して気付くのは、極めて単純な国民性であることだ。単眼であって、複眼的な構想力を持たないのである。文大統領は、韓国社会のこの単純さを熟知しており、選挙戦に利用して勝利を得てきた。自らの大統領選と昨年4月の総選挙がそれだ。

     

    文氏は、どちらの選挙でも「積弊排斥」「公正の実現」である。いずれも、植民地時代の日本をヤリ玉に上げており、今こそ朝鮮民族の公正を実現すべきだという論法である。これは、韓国人の魂を奮い立たせるに十分な迫力を持つ。だが、過去の日本を批判して何が戻ってくるのか。日本は反発を強めるだけである。韓国の日本批判は、叫んでみても虚しいだけであろう。

     

    単眼発想の「公正論」でなく、複眼発想の「平等論」が必要であることだ。日韓関係を例にとれば、日本批判からは何も生まれない。日本の反発を呼ぶだけである。複眼発想になれば、植民地時代の朝鮮近代化がどのように進んだか。それを冷静に分析すれば、現在の日本への理解も深まるに違いない。協力の道も開けるだろう。

     


    韓国の大学には「日本学科」が多く設置されている。そこでは、まさか「反日のやり方」を教えているはずがない。相互文化の交流論による成果であろう。こういう学問成果を無視するのが韓国政治である。次に取り上げるコラムは、日本問題を直接扱ってはいないが、韓国社会の単純さを厳しく指摘している。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月21日付)は、「『正のわな』にはまった韓国社会」と題するコラムを掲載した。筆者は、キム・ヌリ韓国中央大学独語独文学科教授である。

     

    (1)「大統領選の候補がみな公正を最重要公約に掲げる現象は実に奇異だ。考えてみよう。果たして公正が実現すれば、韓国社会は良い社会になるのか。世界で最も多くの人が自殺し、世界で最も多くの労働者が仕事で死に、世界で最も多くの子どもたちがうつ病にかかっており、世界で最も子どもを産まないこのヘル朝鮮が幸せの国に変わるのか。社会集団間の対立を意味する「文化戦争」が世界で最も深刻な国(イプソスとキングス・カレッジの共同調査、2021)が平和の国に変わるのか」

     

    韓国では、自らの道徳性の高さを自慢して日本を批判する。だが、現実の犯罪発生率(人口比)は、韓国が日本をはるかに上回っている。韓国人が、こういう日本の低い犯罪発生率を認識すれば、決して韓国人の道徳の高さを自慢できるはずがない。韓国人の思い込みと現実にはこれだけの差があるのだ。公正論を叫びながら、不平等を認識しない点は、実に良く似ているのだ。

     


    (2)「国民の苦しみと不幸が急速に極端へと向かっているにもかかわらず、大統領になろうと名乗りをあげた人々の現実認識はあまりにもおめでたく、原因診断はあまりにも安易だ。不公正という反則を正したからといって、この国が良くなろうか。韓国社会の根本問題は不公正ではなく不平等だ。これほど不平等な国はどこにもない。長きにわたって経済的不平等の代名詞だったメキシコや米国をも追い越して久しい

     

    下線部分は、正しい指摘である。韓国では不公正といえば、不平等の実態を覆い隠してしまう力がある。不公正=不道徳という認識があるのだろう。韓国朱子学では、道徳性が最も重視されている。朝鮮李朝の置き土産である儒教が、韓国国民の思考パターンを決めているのだろう。

     

    不平等は、現実問題と関わってくる。韓国では、不公正が不道徳とみなされて、不平等よりも「上位概念」になっているから、不平等の解決に真剣にならないのだ。ここが、韓国社会の持つ一大欠陥である。日韓併合も不公正概念として取り上げる。それゆえ、日韓併合によって実現した平等性は、平然と無視している。邪悪な結果として、取り合わないのである。つまり、韓国朱子学では実証概念が成立せず、最初から「善悪」の二分法で分けられている。

     


    (3)「我々の生活世界も不平等が蔓延している。大企業と中小企業、正規労働者と非正規労働者、首都圏と地方との不平等と差別は、すでに危険水位を越えている。学閥、性別による不平等も想像を絶する。にもかかわらず、これを解決しようとする政治家は見当たらない。本当におかしな国ではないか。このような不平等な国で「公正」ばかりを叫ぶというのは、どういうことを意味するのか。公正になれば自然に平等になるのか。公正の理念が実現されれば、韓国社会は「不公正な不平等社会」から「公正な不平等社会」へと進化するだろう。しかし公正な不平等社会は、ともすると不平等をさらに正当化し、合理化する社会へと堕落しうる」

     

    下線部分は、韓国の抱える「断層」である。大企業は、中小企業を足場(食い物)にして成長している。この結果、大きな賃金格差が生まれている。大企業労組の組合員は、それを不平等と思わないのだ。労働者の当然の権利と見ているから、公正と判断している。「同じ労働者」という連帯感が希薄な結果であろう。

     


    韓国には、公正な市場競争が疎外されている。その結果、満足すべき転職市場が育たずにいる。終身雇用と年功賃金を頑なに守ろうとする大企業労組のエゴである。公正が、エゴに利用されている。ここに、韓国社会の深刻な「連帯感喪失」を生み出す背景がある。

     

    (4)「今回の大統領選挙は、世界最悪の不平等国家を改革する選挙にならなければならない。しかし、選挙戦のどこにもこのような問題意識は見られない。韓国社会は今、「公正のわな」にはまっている。大統領から与党候補から野党候補に至るまで、みな同じだ。不平等は言わず、公正を訴えてばかりだ。公正は韓国社会では正義のわなとなった。深刻に傾いた運動場で「公正」ばかりを叫ぶのは、不平等を正当化するのと同じだ。公正は、厳格な視点から見れば社会的な既得権を持つ者の論理だ。不平等や差別が支配する社会で叫ぶべきなのは手続き上の公正ではなく、社会的正義だ

     

    下線部は、痛烈な既得権益側への批判である。既得権益は、自らの行動を公正として認識している。大企業労組員の得ている経済的利益は、中小企業・零細企業の労働者が得べかりし経済的利益を横取りしている集団である。それを文政権が容認し強化しているから事態は悪化するばかりである。

     

    反日運動は、韓国人による日本企業への就職機会を奪っている。就職先を選ぶのは、「職業選択の自由」で基本的人権の一つである。韓国の過激集団(与党支持派)は、国民の平等な権利を奪っていることに気付くべきだ。反日には、犯罪的側面が含まれている。

     

     

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    韓国の対中感情は最近、急速に悪化している。韓国の誇る文化や食品の「元祖」は、中国と言い張る議論が増えているからだ。また、中国「戦狼外交」の一環で、駐韓中国大使が韓国大統領予備選での野党候補者発言を批判するという無神経ぶりも影響している。

     

    韓国では、中国へ過剰な神経を払っているのが文政権と言えるだろう。中国の「正体」を知らずに米つきバッタのように頭をペコペコ下げる。端から見ていても、いま少し矜恃を以て対応すべきと感じるほどだ。韓国市民が怒りの声を上げ始めたのは自然であろう。

     

    『大紀元』(9月19日付)は、「『韓国は孔子学院の正体に気づくべき』市民団体 世界初の孔子学院前で閉鎖を要求」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の市民団体は15日午後、ソウルにある孔子学院の前で集会を開き、語学教育機関を冠した同院の実態は中国共産党の宣伝工作機関だと訴え、閉鎖を呼びかけた。韓国市民団体「孔子学院実体を知らせる運動本部(CUCI)」は集会で「孔子学院は儒教を教えていない」、「孔子学院は私たちの教育理念を真っ向から否定する、中国共産党の宣伝諜報工作機関」だと主張した。2020年までに世界162か国、545か所に設置されている孔子学院だが、共産党の宣伝機関との指摘を受けて以降、北米を中心に閉鎖が相次いでいる。韓国ソウルの孔子学院は2004年、世界で最初に設置された」

     

    カナダに始まった孔子学院閉鎖要求は、米国にも広がっている。当初は、純粋な中国文化の普及センターと見られて、各国は設置を受入れてきた。内実は、スパイ活動の一端を担っていると指摘されている。「スパイの国」中国が、孔子学院を利用しないはずはなく、米国では厳しい取締り対象になっている。

     


    自由主義経済学の伝統を継ぐ米シカゴ大学は、ノーベル経済学賞受賞者を輩出している経緯もあって、孔子学院を自主的に閉鎖したほど。設置した大学の見識が問われている事態になっている。

     

    (2)「国会が2018年に発刊した米中経済安保委員会の報告書は、海外の教育機関に置かれる孔子学院を「世論操作のために様々な手段を利用」する、党組織として分類した。更なる報告では、中国政府は統一戦線工作を通じて中国に不利な政策を立てる海外の政治家、公職者、シンクタンクなどの影響力を弱める試みを行なっていると指摘した。米国務省は昨年8月から、中国共産党による世界規模のプロパガンダ(政治宣伝)工作に使われている」と断定し、孔子学院を中国大使館と同様の「外国公館」に指定した。孔子学院を設立しようとする機関は人的構成と予算などの報告するよう義務づけている」

     

    米国では、孔子学院を政治機関として認定し、外国公館並みの「要警戒」対象になっている。留学生の監視機関の役割を担い、スパイ活動に従事していると報じられている。日本にも二桁の孔子学院が私立大学に併設されている。国公立大学にゼロなのは、文科省が設置にブレーキを掛けている証拠であろう。

     


    (3)「孔子学院は国内の人権問題など「ありのままの」中国を見せないとの指摘もある。CUCIは「チベット・ウイグルに対する人権侵害、香港・民主化運動の弾圧、天安門事件、キリスト教、仏教、イスラム教、法輪功などに対する過酷な迫害については言及を認めていない」と指摘した。CUCI地域代表のカン・ソクジョン牧師は、大紀元のインタビューに対して、「孔子学院は純粋な中国語教育機関ではない。中国共産党の宣伝を巧妙に注ぎ込み、歴史を歪曲する場所」だと述べた。 そして、「保護者たちもこの問題に注意を向け問題提起する必要がある」とし、韓国社会は学院の影響力に、これまで以上に強い危機感を抱くべきだと語った

     

    韓国の各市・道教育庁が8月末に発表した2022年度中等教員(中・高校教師)選抜予定公告によると、全国の中国語担当の選抜人員は「0人」だった。2020年度の43人、2021年度の33人に比べると様変りの変化である。中国への反感が強まっているのであろう。

     


    (4)「CUCIのハン・ミンホ代表は同日、在韓中国大使館前で「中国共産党の韓国大統領選挙への介入に対する厳粛な警告」と題した声明を発表した。声明では、「中国共産党は韓国の政治に深く関与し、影響力を行使してきた。党は、3000人のネット世論工作員『五毛』、約100万人の在韓中国人、約6万人の留学生を動員して操作してきた」と指摘。「青瓦台(韓国大統領府)の請願ウェブサイトが中国側に乗っ取られた」ことや、「韓国人は文在寅大統領が王毅氏と会談した際、大統領を部下のように対応したのを非常に悲しく、恥ずかしめられたと感じた」と批判した」

     

    中国共産党は、韓国国内に3000人のネット世論工作員「五毛」、約100万人の在韓中国人、約6万人の留学生を動員して韓国世論を操作してきたと指摘されている。これだけの人海戦術を行っても、2022年度中等教員(中・高校教師)の中国語教師採用はゼロというのだ。韓国人は、中国の意図を察知しているのかも知れない。

     

    (5)「声明ではまた、最近の国際情勢により、韓国人が中国共産党の本質に気づいていると指摘。最近の世論調査では8割以上は中国が韓国の安全保障に脅威を与えているとの結果が出ていることを紹介した。ほかにも、例えば、親中共宣伝が含まれると疑われた国営放送局SBSのテレビシリーズ「朝鮮駆魔師」の放送打ち切り、江原道のチャイナタウン建設の中止などは、世論の変化を反映していると主張した」

     

    このパラグラフの指摘するように、韓国人が中国へ反感を強めているとすれば、孔子学院を一段と監視する必要があろう。

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    文政権の不動産対策は25回も行われ、ことごとく失敗。無様な姿を曝け出している。市民は暴騰する住宅を早く取得すべく争って銀行へ駆け込んでいる。こうして、家計債務はうなぎ上りになった。韓国のGDPに対する家計債務の割合は、今年第1四半期基準で105%、国際決済銀行(BIS)の調査対象43カ国(昨年第4四半期基準)のうち6番目に高い状態である。

     

    韓銀(中央銀行)によれば、対GDP比で家計債務の割合が1%上昇すれば、金融危機の発生確率は1~3%も高まると推計している。昨年第1四半期基準では、GDPに対する家計債務割合が97.9%。1年間で7.1ポイントもの上昇である。金融危機の発生確率は、最大で21%も高まった計算である。こういう背景で、個人債務の急激な引締めが始まっている。日本からみると、不思議な光景に映る。

     


    『朝鮮日報』(9月19日付)は、「韓国家計債務総量規制で『融資酷寒期』 銀行が月7000億ウォン削減」と題する記事を掲載した。

     

    1800兆ウォン(約110兆円)を超えた家計債務の伸びを抑えようとする金融当局の圧力が強まり、年末には融資が凍りつく「酷寒期」を迎える見通しだ。金融当局は昨年のコロナ危機で中断してきた家計債務総量規制を今年再開し、銀行別に融資伸び率を前年比で6%以内に抑えるよう求めた。

     

    (1)「5大主要銀行(KB国民、新韓、ウリィ、ハナ、NH農協)の融資状況を調べた結果、「6%ルール」を満たすためには、年末までに融資可能な金額が11兆5000ウォン(約1兆580億円)しかないことが分かった。9月から年末まで毎月2兆9000億ウォン(約2700億円)しか融資できないことになる。8月までに融資の伸びが月平均3兆6000億ウォン程度だったことからみて、7000億ウォンほどが足りなくなる。5行が所属する5大金融持ち株会社の融資額は韓国全体の半分を占める」

     

    韓国では、家計への総量規制「6%ルール」で貸出枠を決めている。これは、株式投資や不動産購入を抑制する目的だ。現実の不動産価格はなお上昇している。個人が、指をくわえて値上りを見ている構図は、何とも気の毒に映る。全ては、文政権の不動産対策の失敗が原因である。

     


    (2)「農協銀行が総量規制を満たすためには、融資を毎月5000億ウォン削減しなければならない。7月の融資伸び率が7.1%となり、政府が定めた6%を超え、8月には7.6%へとさらに上昇した。これまで毎月融資を平均で7200億ウォン増やしてきたハナ銀行は家計向け融資の伸びが前年末比4.6%で、限度まで余裕が残されていない。年末までの期間はこれまでの半分の月4000億ウォン前後だけ融資が可能な状況だ

     

    これまで、毎月の融資は「6%ルール」を超えているので、12月には「6%以下」に絞って辻褄合わせをしなければならない。年末の資金需給逼迫が目に見えている。こういう「悪政」の原因になった進歩派政権を、なお支持する韓国国民はどういう頭脳構造か、と訝るのである。日本であれば、簡単に政権から転げ落ちるはずだ。

     


    (3)「高承範(コ・スンボム)金融委員長は、「あらゆる手段と方法を動員し、家計債務の伸びを規制する」との強硬な立場を取っており、融資縮小圧力は徐々に強まる見通しだ。年末の不動産取引減少など融資需要がやや減ったとしても、一律的な総量規制による融資激減で実需要者の被害が懸念される。延世大経済学科の成太胤(ソン・テユン)教授は「総量ばかり厳格に管理すれば、本当に融資が必要な人が資金を借りられないケースが出てくる。所得と信用度が適合する実需要者が融資を受けられる道を確保しておくべきだ」と指摘した」

     

    融資の総量規制は、本当に資金が必要なところへ流れないという問題を発生させる。韓国は、まさに不動産バブル抑制の犠牲を払っているところだ。低利で、いくらでも金を借りられる。こういう日本の現状から見れば、韓国は異次元になる。経済政策の巧拙の差が現れたものだ。

     

    (4)「インターネット上の不動産関連掲示板などには、融資引き締め懸念で住宅担保ローンをあきらめなければならないかどうか尋ねる書き込みが毎日数百件も見られる。賃貸借3法など政府の政策失敗による不動産急騰を一律的に総量規制で抑え込もうとしているとの不満も少なくない。金融業界関係者は、「超低金利の長期化と不動産価格上場に対する期待感、賃貸保証金相場の上昇などにより、融資の伸びが容易には抑えられない状況だ。融資を引き締める政策ではなく、不動産価格安定策がまず必要ではないか」と話した」

     

    下線部が正解である。文政権の非現実的な政策がもたらして「金融狂乱」である。

     

    (5)「一部銀行は今月に入り、融資がさらに増えているため、年末が近づくにつれ、融資の引き締めが強まる可能性がある。例えば、KB国民銀行の前年末比の融資伸び率は7月時点で2.6%の過剰になった。8月末には同3.6%となり、9月14日には同4%に達した。この勢いならば9月末には4.6%を超える見通しだ。「6%ルール」に従えば、先月末時点で年末まで3兆8000億ウォンの融資余力のはずが、1カ月で1兆9000億ウォンへと半減した格好だ」

     

    これまでの融資実績が、「6%ルール」を上回っているので、12月にはこれまでのルールを超えた過剰融資分を引締めてルールを厳守するほかない。年末に向けて、不動産相場が一斉に暴落しない限り、融資ルールを守れなくなるのは必至。こういう融資枠を設けさせたのも、文政権で実務経験のない高官が「作文」したのだろう。

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    新聞・テレビでは連日、自民党総裁選挙報道で盛り上がっている。次期首相候補だけに、関心が高まるのは当然である。株価は、すでに新総裁への期待感で上昇している。日本のことなら、日本人以上に関心を持つ韓国紙が、河野当選説を報じている。その根拠を聞いてみた。

     

    『中央日報』(9月19日付)は、「『河野突風』に全組織フル稼働…『隠居』の危機に追いやられ安倍前首相は緊張」と題する記事を掲載した。

     

    「最近安倍前首相の地元の山口県は緊張している」。安倍晋三前首相と近い日本政界関係者が耳打ちした話だ。29日の自民党総裁選挙までと10日。現在の構図は岸田文雄(64)、河野太郎(58)、高市早苗(60)、野田聖子(61)の4氏による争いだ。特に「河野突風」が尋常でない。こうした中、選挙戦中盤まで安倍氏の政治的基盤である山口まで党員投票で河野氏に有利に展開しているというニュースは安倍氏を衝撃に陥れたという。「全組織フル稼動令」が出されたという。



    (1)「安倍氏はすでに保守指向が強い高市氏を支持する意向を明らかにした状態だ。ただ高市氏が本当に1位で総裁になるだろうとは考えていないというのが支配的分析だ。ひとまず高市氏を登板させ1回目の投票で河野氏の過半数得票を阻止した後、決選投票では岸田氏に票を集めるというのが96人を抱える最大派閥である細田派の戦略だ。「1回目の投票で高市氏に60票、岸田氏に30票を配分」という具体的計画まで立てた状態とされる。細田派の最大実力者が安倍氏だ。ただ福田康夫元首相の長男である福田達夫氏(54)を中心にした少壮派6人は河野氏支持で離脱したという」

    世論調査でも、河野支持がトップである。この勢いが、最後まで持つかどうかだ。

     


    (2)「1回目の投票は現役国会議員383人と地方党員383人の同数で行われる。大衆的人気が高い河野氏は地方党員票で大きく上回る見通しだ。ただ過半数の確保に失敗し決選投票に入ることになれば国会議員票は383票でそのままだが地方党員票は47票に大きく減る。都道府県別に1票だけ与えられる。そうなると国会議員票で自信を見せる岸田氏が逆転勝ちできるという分析が出ている」

     

    メディアの予想では、決戦投票に持ち込み「岸田当選」という青写真が大勢である。

     

    (3)「問題は、「もし決選投票に行っても河野氏が勝つほかない状況」(細田派関係者)という点だ。安倍氏の側近が伝えた中盤戦の状況はこうだ。「決選投票時の国会議員票をひとつずつカウントした。結果は岸田氏が10票ほどリードする。問題は地方票だ。47票でその割合は減るがこのうち実に43票が河野氏に入るとみられるという点だ。そうなると最終的に河野氏が20票差で勝利だ」。地方票の場合、決選投票で1回目と違う選択はできないためだ。47都道府県は決選投票に上がった2候補のうち1回目の投票時に多くの票を得た候補に1票を行使することになっている。現在岸田氏の地元の広島県と高市氏の地元の奈良県ほか2カ所ほどを除き河野氏の圧勝が予想される。特に注目すべきは、伊藤博文、岸信介、佐藤栄作ら全国最多8人の首相を輩出し、現在は「安倍氏王国」と呼ばれる山口県まで河野氏支持がリードしているという事実だ」

     

    河野氏が、地方票で広島(岸田)と奈良(高市)を除き圧勝すれば、そのまま決戦投票に反映される。これが、ポイントになるという。こういう分析は、初めて出てきた指摘である。



    (4)「安倍氏としては放っておけない状況だ。終盤の10日間に安倍氏がこれをひっくり返せない場合、来年初めの「細田派」領袖への復帰はおろか選挙後の急激な影響力低下で、隠居し退かなければならないだろうという危機感が安倍陣営を覆っている。麻生太郎元首相も派閥のトップの座を河野氏に譲り渡さなければならない状況になりかねない。どのようになろうが日本政界の「異端児」と呼ばれる河野氏が自民党総裁になる場合、およそ10年間の2A(安倍・麻生)、あるいは広く3A(安倍・麻生・甘利明元自民党政調会長)が主導してきた日本政治が河野氏を支持するSIN(菅義偉首相・石破茂元幹事長・二階俊博幹事長)中心の体制に再編される可能性が大きい」

     

    「河野当選」になれば、自民党は3A主導からSIN主導になるという。二階氏が引き続き勝ち馬に乗る構図だ。

     

    (5)「自民党関係者は、「河野氏が首相になれば11月初めに予想される衆議院総選挙を意識して大衆的人気が高い小泉進次郎氏(40)を官房長官に就けて若い人材を大挙登用するだろう。最大のカギは安倍氏・麻生氏と犬猿の仲である石破氏を自民党幹事長として起用するのかどうか」と指摘した。河野氏がもし首相就任後に石破氏を重用する場合、これは安倍氏・麻生氏に対する全面戦争宣言で見なされかねず、場合によっては安倍氏・麻生氏の「ハードコア保守」勢力と、河野氏とSINの「ソフト保守」勢力が党を分裂させかねないとの見通しも出ている。現実化すれれば1955年の創設後初の分党だ

    下線部分は、韓国紙らしく自民党の内紛を期待している様子である。

    (6)「河野氏が首相になれば脱原発、対中スタンス、女系天皇問題をめぐりどたばたするだろうという世論を広めるために「安倍氏の腹心」と呼ばれ政策の鬼才と知られる今井尚哉元首相補佐官(63)を岸田陣営に緊急投入した。財界にもSOSを打った状況だ。日本政界、さらには日本社会の「安定回帰本能」に訴えるという戦略だ。実際に「河野氏が首相になれば1年ももたない」といううわさが終盤戦になりきき始めている。日本経団連は16日に岸田氏支持を明らかにした。河野氏当選を阻止するための安倍氏の全方向の努力が果たして成功するのかに今後の日本政治10年がかかっているといっても過言ではない」

     

    下線部分は、日本では報じられていないようだ。「脱原発、対中スタンス、女系天皇問題」は、河野氏が立候補の弁と質疑の中で否定している。対中スタンスは、国民の総意である以上、変えられるはずがない。それは、日米関係の破綻である。河野氏が、自民党総裁に当選するかどうか関係なく、外相と防衛相の経験者である以上、そんな愚かなことをするとは思えないのだ。

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    韓国は、複雑な思いで9月16日(米国時間)に発表された米英が豪州へ原子力潜水艦技術を移転する計画発表を聞いたはずである。韓国も、原潜開発計画を立てており、米国へ内々技術移転の話を持ちかけていたからだ。

     

    米英豪三ヶ国な、「AUKUS」(オーカス)なる名称で軍事面など密接な関係を築くという。また、米国が豪州へ原潜技術の移転を行うのは「特別のケース」としており、韓国が同様な待遇を受ける機会はなさそうである。それだけに、「豪州優遇」が目立つ。その裏には、確固とした米豪関係がある。その点、米韓関係は北朝鮮次第で揺らぎ、さらに中国まで変数が多いのだ。

     

    『朝鮮日報』(9月17日付)は、「中国けん制のため 米英、原子力潜水艦の極秘技術を豪に移転」と題する記事を掲載した。

     

    米国が英国、オーストラリアと共に3カ国の新たな安保協力体「AUKUS」を立ち上げることを15日(現地時間)に正式に発表した。米国、日本、オーストラリア、インドによる4カ国連合体「クアッド(Quad)」に続きまた新たな対中けん制ネットワークが誕生する運びとなった。

     


    (1)「オーストラリア(A)、英国(UK)、米国(US)の頭文字を合わせた名称となったAUKUSは3カ国による初の協力事業として、オーストラリアに「原子力潜水艦艦隊」を立ち上げることにした。米国と英国が全面的に支援を行うという。米国が原子力潜水艦の建造に必要な原子力関連技術を他国に移転するのは、1958年に英国に移転して以来63年ぶりとなる。3カ国首脳はこの日発表した共同声明で「可能な限り早い時期にオーストラリアがこの能力を実戦配備できるようにしたい」との考えを示した。オーストラリアは近くアデレードで原子力潜水艦の建造を開始する予定だ」

     

    「AUKUS」という三ヶ国の名称を付けて、米英豪三ヶ国の結束を固めるというのは、「血は水より濃し」を象徴するようなケースであろう。米国が「とっておき」の原潜技術を豪州へ渡すのは、それなりの結束が必要なはずだ。韓国のように、中国との間で「二股外交」を行う国には絶対に移転するはずがない。

     


    (2)
    「米国がオーストラリアに原子力潜水艦技術の移転という破格の支援を決めたことは、「確実に米国側に立つことの手本を提示した」という意味合いもある韓国政府は昨年9月、青瓦台(韓国大統領府)国家安保室の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第2次長を米国に派遣し「原子力潜水艦の建造に必要な核燃料の供給を米国から受けたい」との考えを伝えたが拒否されたという

     

    下線のように、韓国は昨年9月、米国へ原潜技術の移転を交渉して断られたという。韓国政府はこの事実を隠してきた。現在、韓国が進めている原潜計画では、米国からの技術移転を前提にしているが、米国が拒否した以上、自力開発しか道はなくなった。

     


    (3)「これについてバイデン政権のある幹部はこの日、ホワイトハウス担当の記者団に「この(原子力潜水艦)技術は極度に敏感なものだ。率直に言ってこれ(オーストラリアへの技術移転)は多くの側面で米国における政策の例外だ」と強調した上で「このようなことが今後別の状況で行われるとは予想していない。これはたった1回だけ行われることだ」と述べた。米中間で曖昧な態度をとり続ける韓国が米国から原子力潜水艦技術の移転を受ける望みはなくなったと考えられそうだ」

     

    下線のように、米国が虎の子技術を移転するのは極めて稀なケースとしている。韓国が、米韓一体の外交姿勢を取らず、「経済は中国、安保は米国」という使い分けしている状況では不可能であろう。

     

    『中央日報』(8月29日付)は、「韓国型次期潜水艦は原潜に決定、いまや政治的決断だけが残った」と題する記事を掲載した。

     

    韓国型原子力潜水艦が徐々に姿を現している。今年初めに原潜の作戦要求性能(ROC)が確定した。事業の最大の山場である燃料問題でも進展を見せている。今年が過ぎる前に韓国型原潜関連の公式発表が出てきそうだ。



    (4)「国産原潜を就航させるには、予算、技術、原子炉、核燃料が必要だ。予算と技術は問題にはならない。海軍が自主国防ネットワークに原潜導入検討を依頼した結果、原潜開発に7年が必要で、費用は1隻当たり1兆3000億~1兆5000億ウォンになると出てきた。韓国は張保皐I、張保皐II、張保皐IIIと潜水艦を相次いで建造し、関連技術を蓄積してきた。不足する技術は国内研究で埋め合わせたり海外から導入すれば良い。カギは原潜の心臓である原子炉と原子炉を稼動する核燃料だ。原潜の原子炉は韓国型小型原子炉であるSMARTを修正して使うものとみられる。この原子炉は旧ソ連の原潜の原子炉を基に設計された

     

    韓国は、原潜建艦に興味を持ち続けている。原子炉と核燃料をどのように調達するかでる。

     


    (5)「SMART原子炉は設計図にとどまっており、現在商用化を推進している。ソウル大学原子核工学科のソ・ギュンリョル教授は「SMART原子炉を土台にした韓国型原潜原子炉は4年以内に試運転できる」と話した。一部では米国や英国、フランスのようにすでに原潜を自力で作った国から技術とノウハウを学ぶ必要性が出ている。米国との協力は必須だ。特に原潜原子炉の動力源である核燃料がカギだ。韓米は米国産ウランを20%未満だけで濃縮でき、軍事目的に使用できないようにする内容の原子力協定を結んだ。米国の原潜は90%以上の高濃縮ウランを使う」

     

    韓国技術で原潜原子炉は4年以内に試運転できるという。このメドが立っているならば、米国からの技術導入を待たなくても実現できるはずだ。

     

    (6)「米国の態度は強硬だった。米海軍海上システムコマンドのジェームズ・キャンベル分析官は2019年のある討論会で「米国は韓国が同盟国であっても(原潜)技術を渡さないだろう」と話した。韓国はこれまで米国に旧型原潜を貸与または販売を執拗に要求した。しかし米国は自国の戦略資産である原潜を海外に売った前例がないという理由で拒絶した。ところが米ワシントンの雰囲気は変わっている。北朝鮮が原潜を開発すると明らかにし、中国を牽制するのに必要なため韓国の原潜保有を認めようという世論が米国議会でも出ている」

    韓国は、米国からの技術移転であれば、事故もなく安心して稼働できる。だが、米国は拒否している。韓国への信頼感が足りないのだ。韓国は、原子炉の自主開発が可能ならば、独自の道を進むしか方法はない。

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