勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    中国武漢で発症の新型ウイルス感染者数が激増している。長い潜伏期間とその間も感染する悪条件が、感染者を世界的に拡大している。これからどうなるか。世界で25万人が感染する予測も出ており、各国は防疫体制を固めるべく必死である。

     

    その中で韓国は、政府の請願板に5日間で50万人以上にも及ぶ「中国人の入国禁止」という過激な要求が出てきた。普段は、中国に対して言いたいことも言えず、平身低頭している身だ。中国が弱り目になると、途端に高姿勢に転じて「入国禁止」とは、身勝手過ぎる。

     

    北朝鮮も同じ姿勢である。中国人観光客の入国を禁止しており、中国から入るすべての外国人に対しては1カ月間の隔離と医療観察措置の義務化を決めるなど、新型ウイルスの流入阻止に総力を挙げている。北朝鮮は、防疫体制面で不備であることは十分に想像できる。それにしても「掌返し」の印象が強い。

     

    「朝鮮民族」と一括りした議論は飛躍し過ぎるが、相手が弱いと見た場合に高姿勢に転じるのは、劣等感の裏返しであろう。戦後日本の混乱期に朝鮮の人々は、自らを「戦勝国民」と言って威張り散らした歴史がある。ロッテは、こういう雰囲気の中で、米軍司令部から特別の配慮で「ガム事業」が軌道に乗ったと伝えられている。そのロッテ創業者は、心から日本人を憎んでいたという。事業が成功できた日本を恨む。これを、朝鮮民族の深層心理とすれば、韓国も北朝鮮も、新型ウイルスで苦悩する中国に対して、距離を置く姿勢を見せるのも納得できるのだ。

     


    『朝鮮日報』(1月29日付)は、「武漢肺炎、反中は駄目だが与党は国民の健康から先に心配を」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「大統領府ホームページの国民請願掲示板には「中国人の入国禁止」を求める書き込みにここ5日間で50万人以上が賛同した。武漢肺炎で中国と中国人に対する無分別な嫌悪感をむき出しにするのは良くない。一部とはいえ、ネット上には「中国人の患者たちがただで治療してもらうため韓国に集まってきている」といったフェイクニュースも出回っている。中国人も感染病の被害者にすぎない。隣国として支援できることがあれば支援すべきだ。武漢肺炎に対する行き過ぎた恐怖心やデマが広がるようなことも阻止しなければならない」

     

    国民の品位は、相手国が苦難に遭ったときに示す態度に表れる。韓国では、東日本大震災時に、「ざまあ見ろ」という投稿があって顰蹙(ひんしゅく)を買った。武漢の新型ウイルスに対して、「中国人の入国禁止」は行き過ぎた話だ。厳重な防疫体制を取っても、「入国禁止」とは冷淡な要求だ。

     

    ソウル麻浦区(マポグ)の繁華街、弘大入口(ホンデイプク)駅近くの路上で29日、韓国人3人と中国人4人が暴行容疑で警察の取り調べを受けた。麻浦警察署によると、29日午前1時30分ごろ、双方の言い争いは互いが歩行中に相手の肩にぶつかりながら始まった。中国人一行は取り調べで「韓国人一行が『中国に帰れ』などの発言をした」と陳述したという。こういうレベルの話に、韓国人の狭量さを感じるのだ。

     

    (2)「韓国政府と与党は韓国国民の健康を優先する姿勢を示すべきだ。隣国への心配はその次にしてもよい。今月1324日の間、武漢から韓国への入国者は3000人に達したという。つまり今後も韓国国内の感染者がさらに増える可能性も考えられるということだ。韓国政府は当初「政府を信じ、行き過ぎた不安は抱かないように」と呼び掛けていたが、後に武漢から入国した人に対しては全数調査を行う方針へと見直した。国民の間では不安が高まっている。このような状況で与党の院内代表が「中国は友人」と強調したため「また中国の顔色をうかがっている」「国民の健康よりも中国との関係が優先か」といった不満の声も広がっている

     

    下線部は、「韓国人優先」と言わずもがなのことを記している。自国民優先は大原則だ。ただ、映画「寅さん」の台詞でないが、「それを言ったらおしまいよ」という感じが強い。あくまでも、相手への「いたわり」が必要であろう。

     

    茂木外相は、中国の王外相に「困ったときに力を尽くして助ける友こそが真の友ではないか」とし「日本は中国と疾病の脅威に共同で対応し、中国に全方向的な支持と援助を提供する」と明らかにした。『中央日報』(1月29日付)は、こう伝えている。

     

    (3)「疾病本部でもない韓国大統領府が、「武漢肺炎」ではなく「新型コロナウイルス」という表記を使うよう求めているのはなぜか。世界保健機関(WHO)は疾病の名称に特定の地域を明示しないよう勧告しているが、実際は「日本脳炎」「中東呼吸器症候群」「アフリカ豚コレラ」などすでに広く使われている言葉もある。中国ではなく米国や日本だった場合、大統領府はどうしただろうか。今の政権は「東京オリンピックは放射能オリンピック」と主張しボイコットまでちらつかせている。与党も外交部(省に相当)に対し「日本旅行の規制を検討してほしい」と正式に要請した。このような政権が中国に対しては軍事主権を自ら制限する「3不合意」に応じ、大気汚染問題ではまともに抗議さえしていない。大統領が中国で意図的にぞんざいな扱いを受け、韓国を「小さい国」と侮辱したこともある。中国の前では常に小さくなる理由が気になるところだ」

     

    このパラグラフでは、韓国の日本と中国に対する差別を指摘している。中国には気を使い、日本を粗略に扱う文政権の姿勢を問題にしているからだ。この指摘は正しい。文政権がいつまでも、福島原発の放射能汚染問題を吹聴して歩くのは、狭量さを物語っている。韓国国民の狭量さは、民族特性であるからすぐには直らない。だが、文政権の日本を差別する狭量さには断固、抗議すべきで改めさせなければならない。

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    韓国経済は、音を立てて崩れている感じである。最低賃金の大幅引上げ(2年間で29%)と週労働52時間が、大きなブレーキになっている。現実を無視して、理想論を追いかけすぎた反動に見舞われている。昨年の実質GDPは、2.0%成長であった。名目GDP成長率は、1.2%の模様だ。この結果、GDPデフレーターはマイナス0.8%見当と見られ、これがGDP成長率を押し上げたもの。不況期特有であるGDPの「名実逆転」が起こっていた。

     

    文政権は、学生運動家上がりの集団である。北朝鮮問題になると目の色を変えるが、経済成長には無頓着である。最賃の大幅引上げと労働時間短縮を組み合わせたらどうなるか。経済が失速するということに気付かなかったのだ。この集団が、韓国経済の舵取りをしている以上、潜在成長率は低下して当然である。一言で表わせば、韓国経済は衰退過程に嵌り込んでいる。

     

    『中央日報』(1月28日付)は、「下降一途の韓国経済基礎体力、OECD推算潜在成長率 10年間で1.4%ポイント低下」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の潜在成長率が2%台中盤まで落ちたという経済協力開発機構(OECD)の分析が公表された。潜在成長率は労働力や資本のような生産要素を最大限活用して景気過熱を招かずに実現できる成長率だ。国家経済の基礎体力を示す。



    (1)「28日、OECD発表によれば、韓国の潜在成長率予想は今年2.5%だ。これまでの潜在成長率の推移を示す。

    2021年 2.4%

    2020年 2.5%

    2019年 2.7%

    2018年 2.9%

    2010年 3.9%

    2009年 3.8%

    潜在成長率が3%台から2%台に落ちるのに9年(2009~2018年)かかっているが、2%台から1%台に落ちるまでにかかる時間はこれより短くなる可能性が高い」

     

     

    潜在成長率は、生産年齢人口比率と深い関係がある。
                         生産年齢人口比率

    2014年 73.41%(ピーク)

      15年 73.36%

      16年 73.16%

      17年 72.92%

      18年 72.61%

    (資料:世界銀行)

     

    上記の生産年齢人口比率は、2014年がピークである。その後は、「人口オーナス期」に移行しているが、その低下幅は微々たるもの。一方、潜在成長率低下は大幅である。経済政策の失敗がもたらした結果と見るほかない。

     


    (2)「人口高齢化が急速に進む中、革新不振、サービス業生産性の停滞などが複合的に作用して下落ペースが速まっているとみられている。15~64歳の生産年齢人口は2017年を基点に引き続き減少していく見通しだ。韓国経済の生産性向上ペースも遅くなっている。米国の経済研究機関「コンファレンスボード」によると、韓国の全要素生産性増加率は2017年1.2%から2018年0.5%に下落した。全要素生産性は労働と資本の投入量では説明できない付加価値の増加分を意味する。生産過程での革新と関連が深い」

     

    韓国の全要素生産性増加率は、2017年1.2%から2018年0.5%に下落している。この理由は、失業率の増加と労働時間短縮がブレーキをかけたと見られる。生産量が減ったのだから、全要素生産性増加率が低下して当然であろう。

     

    韓国雇用労働部が52時間を超えて勤務していた107万人余りを調査したところ、52時間制導入で平均月収が38万8000ウォン減少していた。上限の68時間近く勤務してきた労働者にとって、時間にすると23.5%の時間短縮だが、休日手当や夜勤手当、超過勤労手当等の割増支給を考慮すると手取り収入は20%から30%減ることになるという。生活の質を高めるはずの52時間制が、経済不安を高めるのだ。

     

    (3)「実質成長率は、低下する潜在成長率にも及ばなくなっている。韓国の昨年の国内総生産(GDP)成長率は2%だ。OECD推算の潜在成長率に比べて0.7%ポイントも低い。今年、政府の成長率目標(2.4%)を達成するといっても、潜在成長率を下回っている。潜在成長率が低くなり、政府の拡張財政や韓国銀行の政策金利の利下げのような通貨政策が大きな効果をあげにくくなっているという意味だ

    低下している潜在成長率を引上げるには、構造的な脆弱性にメスを入れるほかない。労働市場の流動化である。働き方の多様性を実現することだ。労組が反対しても国民を救済する目的であれば、強硬策で突破するのも政治力である。文政権には、それができないのであろう。

     

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    朝鮮李朝は、1392~1910年まで清国の属国であった。儒教朱子学を国教として取り入れ、仏教を弾圧した国である。朝鮮は、身も心もすべて中国に捧げた関係だ。今なお韓国にとって、中国の存在はきわめて大きい重圧感として残っている。その鬱積した不満を中国に向けず、日本へぶつけてくるのはなぜか。

     

    本来ならば、中国に向けて518年間の支配に抗議すべきところ、完全に沈黙している。日韓併合は、1910~45年の36年間である。この期間への不平不満が最高潮だ。75年経った今でも、日本に対して「謝罪と賠償」要求を繰り返している。

     

    韓国に見る日中への対応の仕方に大きな違いがあるのは、いかに中国に支配された518年間か恐怖に満ちていたかを証明している。だから、「物言えば唇寒し」なのだ。逆に、日本統治には優しさがあったから恐怖感はない。与しやすいゆえに、「付け入って」来るのだろう。

     


    韓国が、中国を恐れて「一言半句」の抗議もできない問題は二つある。

    第一は、環境問題である。中国か飛来する「微小粒子状物質(PM.5)」である。大気汚染原因の3分の1は、中国からの飛来である。これは、日中韓三カ国の共同調査で判明した事実だ。韓国政府は、中国へ善処方を要求するのでなく、韓国国民に「我慢せよ」と強いているほど。本末転倒だ。

     

    第二は、安全保障問題である。韓国が、米国製のTHAAD(超高高度ミサイル網)を設置したところ、中国が激怒して経済制裁を加えた。そこで韓国は、国権に関わる「三不」という約束(後述)をさせられるという国辱を受けている。それでも、韓国は抗議するでもなく、唯々諾々として「尻尾」を振っている。不思議な中韓関係である。

     

    『朝鮮日報』(1月27日付)は、「韓国環境部の中国恐怖症?」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ヒョイン社会政策部記者である。

     

    (1)「今月14日に環境部が配布した「2020年 第1回韓中粒子状物質専門家会議」の報道資料には、「国内の粒子状物質の中国からの影響に対する国民の過剰認識を改善し…」と書かれている。環境部はこの日、大気・環境の専門家らを集め、粒子状物質関連の韓中協力に関するこれまでの推進経過を発表し、今後の政策に対する意見を聴取すると説明した。専門家と話し合う事案の一つに、中国発の粒子状物質に対してわが国民が抱いている「過剰認識」の改善についても含めていたのだ」

     

    韓国の大気汚染原因の3割は、中国の「微小粒子状物質(PM.5)」であることが科学的に証明された。韓国政府は、この事実を伏せて国民に「過剰認識」しないよう説得しようというのだ。反日姿勢とは180度違う寛容さである。中国に対してここまで「へりくだっている」理由は、事大主義の表れであろう。それにしても醜い態度だ。

     


    (2)「今後の中国との協力について模索する場で、わが国民の認識を改めさせると言い出すとは、どれほど中国政府の機嫌をうかがっているのだろうか。このような政府の態度は趙明来(チョ・ミョンレ)環境部長官の発言にも表れた。この日の会議に出席した趙長官は、「国民の中国発粒子状物質に対する認識が変わるとともに、韓中の協力を通じ、粒子状物質を実質的に削減することに速度を上げて取り組む必要がある」と述べた」

     

    これだけ、「負け犬根性丸出し」の韓国政府に驚く。日本に立ち向かうように、戦いを挑んだらどうか。こういう韓国を見ていると、日本が徴用工賠償問題において「政経非分離」で対応したのは正解である。韓国の急所を掴む。外交戦術においては必要だ。これが、日韓外交を正常化させるルールとなるだろう。

     

    (3)「チョ長官は、「昨年11月、韓中日3か国の大気汚染物質に関する相互の影響をまとめた報告書で、初めて中国発の粒子状物質の割合に関する公式統計が発表された」として「多少残念ではあるが、とにかく中国政府が公式に認めた数値という点で大きな意味があった」と成果を明らかにした。チョ長官が言及した報告書は「韓国の微小粒子状物質(PM2.5)の32%が中国から来ている」という内容が盛り込まれた韓中日の共同研究結果だ

     

    日中韓の共同研究で、韓国の大気汚染源の32%が中国から飛来するPM2.5であることが確認された。韓国は、この是正を中国に求めるべきだが、泣き寝入りする積もりらしい。反日姿勢から見ると考えられない低姿勢である。不可解の一語だ。

     

    (4)「中国政府は、この内容を公式に発表したことがない。中国国営の英字新聞「環球時報」は、この報告書の内容を報じたものの、中国発の粒子状物質が韓国の粒子状物質の32%を占めるという内容は削除し「韓国のスモッグは実際には『メイド・イン・コリア』という事実が明らかになった」と書いた。わが政府はこの問題については一度も言及しなかった」

     

    中国政府は、中国国内で事実に反する発表をしている。韓国は当然、抗議すべきだが沈黙している。韓国のこういう態度が、中国を増長させる。韓国の弱腰が、中韓外交を不平等にさせている理由だ。

     

    第二の安全保障問題では、「三不」がその象徴である。「三不」の内容は、次のような内容だ。韓国が、中国に約束した安全保障政策への「縛り」である。

    1.米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない。

    2.韓米日安保協力が三カ国軍事同盟に発展することはない。

    3.THAAD(サード)の追加配備は検討しない。

     

    米韓は軍事同盟を結んでいる。中国は、その韓国の安全保障政策にくさびを打ち込んだに等しい行為をしたのだ。日本であれば、絶対にこういう国辱的な約束をするはずがない。それほど、非常識、破天荒なものである。ここら当りに、文政権の無節操さが見られる。米国にとっては、韓国が信頼できない国であろう。


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    人間誰でも、常に思っていることは、つい喋ってしまうものだ。文大統領は、インタビューで「去年、一番残念だったことは何かと聞かれ」、その答えが「北朝鮮」と一発回答。これが報じられるや、ネットでは「不満の声で一杯」という。一国大統領であれば、国内問題を答えるべきだったであろう。

     

    文氏にとっては、北朝鮮との間が上手くいくことが最善のことらしい。5200万国民の暮らし向きが良くなるかどうか、それは大したことではない。それよりも、南北交流の実現で、民族統一への足掛かりを固めたい。それが、最大の願いであるようだ。

     

    文氏は、学生時代から北朝鮮の「チュチェ思想」を信奉してきた。現在の大統領府秘書官は、当時の同志である。一丸となって、南北交流へ政治生命を賭ける集団だ。学生時代の意識のままであるから、「韓国経済をどうするか」などという「夢のない話「に乗るはずがない。年齢を重ねても、政治の夢は「南北統一」に昇華されているのだ。ある意味で、「おめでたい集団」である。

     


    『レコードチャイナ』(1月27日付)は、「文大統領が昨年最も残念だったことは? その答えに韓国ネットは不満」と題する記事を掲載した。

     

    韓国『MBC』(1月24日付)よると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が昨年最も残念だったことは「ハノイでの米朝首脳会談の決裂」だと述べた。

     

    (1)「記事によると、文大統領は同日、SBSラジオ番組との電話インタビューに応じた。「昨年最も残念だった、悔いがあることは何か」との質問に「国民の暮らしがより良くならなかったことも残念だが、特に残念だったのは米朝対話がうまくいかなかったこと」「ハノイでの会談が成果なく終わったことが何よりも残念だった」と答えたという。また、「米朝対話に進展があれば、朝鮮半島の平和も南北協力も実現が早まった」「故郷と家族を恋しく思う離散家族にも希望を与えることができた」とも話した」

     

    文大統領による北朝鮮への思いは、両親が北朝鮮出身ということが大きな影響を与えているだろう。文氏が子どもの頃、両親から「故郷」北朝鮮への望郷の念を聞かされ育ったことは想像に難くない。父親は地元・農協に勤めており課長職であったという。戦前は、それなりの資産家であったに違いない。農協で課長を務めるくらいだから最低限、「中等教育」は受けている。それが、朝鮮戦争で韓国へ逃げてきた身だから、裸一貫での再出発である。韓国では随分、生活に苦労したと伝えられている。父親は商売が下手で失敗、母親が行商で生活を支えたという。その苦労が、北朝鮮への思いとなって子どもたちに話したであろう。

     

    文氏は、こういう話が「擦り込み現象」になって、何はともあれ「北朝鮮」といことに結びつくのだ。個人的な北朝鮮「望郷の念」が、南北統一論へと飛躍している。純粋な昔の思いが、他の重要項目を忘れ大統領の主要関心事になってしまったのだ。

     

    (2)「さらに、自身も2004年の南北離散家族の再会行事の際、母親を伴い叔母(母の実妹)に会ったことに言及し「人生で最高の親孝行になったのではと思う」と語りながらも、「母が元気なうちに故郷に連れていくという約束を果たせなかった」と悔いをにじませたという」

     

    下線部分は、38度線で仕切られた南北朝鮮の悲劇が、そのまま伝わってくる話だ。文氏は、この思いを背負って南北統一に賭けている。北朝鮮の専制体制を相手にして、統一が可能と見ているのだろうか。冷静な目で見れば、きわめて困難である。そのために、韓国国民の生活を犠牲にすることは絶対に許されるはずがない。文氏には、そういうバランス感覚が不足している。その意味では、真の政治家とは言い難いのだ。

     

    (3)「この記事に、韓国のネットユーザーからは、次のような批判が殺到した。

    .国民の暮らしより、北朝鮮の心配だなんて
    .国民よりも北朝鮮が優先だと自白したな

    .北朝鮮、北朝鮮って、いい加減にしてほしい

    .何があっても結局は北朝鮮か

    .最も残念なことは、前の大統領選挙だよ」

     

    ネットの批判は、正直である。韓国国民にとっては、北朝鮮よりも日々の暮しをどうするか。それが、焦点になっている。就職問題が、最も悩める問題であろう。労組や市民団体は、今や体制派である。生活の苦労はない。これら体制派は、政府が最低賃金の大幅引上げや、太陽光発電補助金で生活を保証してくれる。文政権は、打ち出の小槌である。一般国民は、こういうアンバランスな政治に嫌気が差している。文大統領は、それに気付いていないのだ。結果は、4月の総選挙にどう表れるか、だ。


    テイカカズラ
       


    けさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    左派長期政権を企む文在寅

    司法独裁とポピュリズムで

    検察人事に介入し事件隠蔽

    仲間内論理で国家分裂危機

     

     

    文在寅政権が発足したのは、2017年5月である。発足と同時に始めたのが「積弊一掃」である。10年間にわたる保守党政権の「積弊」を一掃するというものだった。民放テレビの経営者も進歩派に変えてメディア掌握を終えた。検察が、大統領府の絡む事件を捜査する否や、検察人事の入替えを断行して、捜査継続を困難にさせた。裁判所では、昨年から「積弊一掃」に動いて保守派判事に嫌がらせをして、自主退職に追い込んでいる。

     

    左派長期政権を企む文在寅

    ここまで記せば文政権が、左派長期政権に向けた準備を始めていることは間違いない。最終的には北朝鮮と統一し米国との同盟を解除する。その暁には、中国の庇護を受けて日本と対抗することを夢見ている。韓国が、こういう危険なシナリオを持っていることは、「共に民主党」の幹部がときおり漏らす発言の中に読み取れる。

     

    今回、日韓で繰り広げられた騒動の中で明らかになったことは、大統領府の高官が見せた「反日米」の動きである。米国には「三拝九拝」しながら、昂然と「同盟の前に国益が存在する」と言って、GSOMIA(日韓軍事情報総括的管理協定)を破棄したことだ。後に破棄を一時的中止という形で「棚上げ」したが、安全保障面で米韓同盟に縛られない「自由」を持っていると言い放ったのだ。

     

    軍事同盟は、安全保障の根幹である。韓国だけの軍事力では、北朝鮮に対抗できないという前提で米韓軍事同盟が結ばれている。そういう面から言えば、GSOMIA破棄はあり得ない選択である。GSOMIAが、日米韓三ヶ国の軍事情報協力で大きな威力を発揮しているからだ。こういう常識から外れた行動を取る韓国は、文政権の本質を表わしている。

     

    それは、機が熟せば中朝と誼(よしみ)を復活させたい。日米と疎遠になりたいという願望を示している。文政権の支持基盤である労組と市民団体は、民族主義グループである。「親中朝:反日米」路線なのだ。

     

    民族主義が、左派長期政権を確立する原動力になっている。文大統領が、前記の二大支持基盤の意向を無視した政策を絶対に行なわないのは、長期の支持を得たいからだ。文政権は、最低賃金の大幅引上げが、韓国経済の成長軌道を外していることを知らないはずがない。文氏は一時、最賃大幅引上げを中止しようとしたときがある。その時、労組が大きな圧力をかけて思い止まらせた。

     

    文氏が、チョ・ゴク氏について数々の疑惑が報じられている中で、あえて法務部長官に指名した理由は何であったのか。支持基盤の意向を無視できなかったからである。疑惑の張本人が、司法のトップに座るという人事は考えられないもの。それを、あえて断行するところに左派長期政権のレールを走っている証拠と見るべきだ。

     

    司法独裁とポピュリズムで

    どうしても、左派長期政権を実現したい。それによって、南北統一を実現したい。こういう目標を実現するには最低限、二つの前提を満たさなければ不可能である。文政権による司法の独裁と、ポピュリズム(大衆の人気取り)実現である。

     

    司法の独裁は、政治腐敗が摘発されないことを意味する。政権は、司法を支配していれば安心して政治の不法工作が自由に行える。悪を冒しても法に問われないとなれば、政権は天下無敵になる。すでに、政治から中立であるべき検察と裁判所に対して、人事を敢然掌握している。

     

    ポピュリズムは、すべてを財政負担で賄うことだ。韓国は、文政権以前は健全財政を維持してきた。国債格付けで日本よりも2ランク上にある理由は、財政赤字が少ない点にある。韓国では、補正予算を組むことが政権の政策運営能力の低い証明と見られている。各政権は、できるだけ補正予算を組まない努力をしてきた。文政権は、経済政策の失敗(最賃大幅引上げ)を隠すために、すでに3年間で4回もの補正予算を組んできた。財政を湯水のようにまき散らしているのだ。(つづく)

     

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