勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    あってはならない事故が、またサムスン新製品で起った。メディアレビューで提供された製品が、複数で事故発生となったもの。

     

    システム的な欠陥となれば、発売中止という事態も予想される。前回の事故は、2016年の「ギャラクシーノート7」の発火問題であった。全品回収し販売中止でサムスンは大損害を被った。

     

    『ロイター』(4月18日付け)は、「サムスンの折り畳みスマホ、使用1日で不具合ーメディアレビュー」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国サムスン電子の新製品である折り畳み可能なスマートフォン『ギャラクシーフォールド』が、使用してわずか1日や2日で画面に不具合が生じていることが明らかになった。レビューのため今週、同製品を受け取ったブルームバーグ、ザ・バージ、CNBCのテクノロジー担当ジャーナリストが、ツイッターに投稿した。それによると、この問題は端末の画面が割れたり、ちらついたりすることに関係しているようだ。ギャラクシーフォールドは米国で4月26日に発売される」

     

    (2)「今回の問題は、2016年の『ギャラクシーノート7』の発火問題を想起させる。発火問題でサムスンは、7のリコール(無料の回収・修理)と販売中止を余儀なくされ、16年第3・四半期にモバイル部門の利益のほぼすべてを失った。ジャーナリストらはギャラクシーフォールドについて、何が問題なのか、サムスン電子から回答はなく、分からないとしている」

     

    (3)「ブルームバーグの記者、マーク・ガーマン氏は「わたしのギャラクシーフォールドのレビュー端末は、スリーンが完全に壊れ、たった2日で使えなくなった。これが広範に及ぶ問題なのかどうかは分からない」とツイートした。同氏のツイートによると、本来取り外すべきではない画面上のプラスチックの層を取り外した後、端末に不具合が生じたという」

     


    (4) 「ザ・バージの編集責任者であるディーター・ボーン氏は、端末画面の折り目に「小さな膨らみ」が現れ、画面の下から何かが押しているようだと指摘した。サムスンは端末を交換したが、問題の理由は明らかにしなかったという。同氏はロイターに対し「これは非常に厄介だ」と述べ、プラスチック製のスクリーンカバーは取り外さなかったと付け加えた」

     

    (5)「CNBCのテクノロジー担当エディター、スティーブ・コバチ氏は、わずか1日使っただけで画面の半分がちらついている動画を投稿した」

     

    詳細は不明であるが、報道通りの事故とすれば発売は困難であろう。新製品に伴う二度目の事故であるだけに、サムスンへの信頼が揺らぐ。経済的なダメージは計り知れない。半導体市況の急落で、今年1~3月期の営業利益は前年比60%強の減益である。

     

    韓国経済は、「沈没」状況になる。すでに現代自動車は気息奄々の状態だ。辛うじて赤字を免れている状況である。ここで、サムスンが同じ状況に追い込まれれば、韓国経済を支える企業は、一時的に消えかねない深刻な事態である。

     

     

     


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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    労働政策で違憲訴訟へ

    雇用政策でFDI急減

    GDP2%割れ目前に
    政府間の融和が前提へ

     

    文在寅(ムン・ジェイン)政権は、韓国経済を長期停滞に陥れた「戦犯」として、歴史にその名を記憶される気配となりました。性急な最低賃金の大幅引上げと週52時間労働が、韓国経済に大きな混乱をもたらしているのです。韓国社会は、低賃金でも一生懸命働くことで、「ダイナミック・コリア」の起爆剤として機能してきました。ところが、文政権の登場による理念先行で、十分な移行時間を置かないままに雇用条件の改善に踏み出した結果、韓国経済は空中分解の危機に直面しています。

     

    冒頭から、こういう危機論を持ちだすと怪訝な思いを抱かれるかも知れません。だが、4月25日になれば分るでしょう。1~3月期のGDP成長率が2%割れの事態が予想されています。昨年のGDP成長率は2.7%でした。このレベルから一挙に2%を下回ることになれば、韓国世論が沸騰し「文政権批判」が高くなるのは避けられません。

     

    性急な最低賃金の大幅引上げと週52時間労働は、韓国国内の労働者と零細企業を苦しめているだけではありません。海外から韓国への直接投資が、今年1~3月は7年ふりの低下となりました。海外企業も韓国の硬直的な雇用政策に二の足を踏み始めています。

     

    さらに、日韓関係の政治的な悪化が、日本企業の足を止めています。韓国の経済団体「全国経済人連合会」(全経連:日本の経団連)の許昌秀(ホ・チャンス)会長が15日、「韓日関係が良かった時は韓国経済も良かった」と嘆いています。文政権は、こういう経済界の嘆きをよそに「反日街道」まっしぐらです。

     

    学生運動家上がりの韓国政権です。学生時代の理念を今も持ち続けた「親中朝・反日米」路線が、破綻しかけていてもそれすら気付きません。外交も経済も同時に落込む。そういう危機が迫っているように感じます。

     


    労働政策で違憲訴訟へ

    韓国では、最低賃金の大幅引上げと週52時間制による失業と所得減が、違憲として憲法裁判所へ提訴される準備が始まっています。具体的には、「最低賃金法および同法施行令、そして勤労基準法が、憲法上の財産権、職業の自由、契約の自由、企業活動の自由、身体の自由、勤労の権利を侵害し、過剰禁止原則に背く」というのです。

     

     違憲の訴えを準備する ウ・インシク弁護士は、「週52時間制を画一的に導入し、残業や特別勤務を望んでも勤労基準法規制のために働けないため、月の所得が急減して不満を提起する人が多い」と指摘しました。「過去は、法定勤労時間が遵守されないとして労働搾取を訴えたとすれば、最近の勤労者はもっと働かせてほしいと訴えている」ので、こういう憲法訴願は前例がないそうです。以上は、『中央日報』(4月11日付け)が報じています。

     

    労働時間の短縮は、勤労者の健康や休息の確保という面で不可欠です。しかし、韓国ではもっと長く働かせて欲しい。そうしなければ、生活が成り立たないという層が多いのです。財閥系企業と零細企業において、勤労者の雇用条件が全く異なることを浮き彫りにしています。

     

    韓国政府は、財閥系企業の勤労者を対象にした労働時間短縮であったのです。週52時間勤務で得られる所得で、生活が成り立つ勤労者はごく一部です。アルバイトで生きている人たちは、給料そのものが安いのです。その上、52時間労働で区切られれば死活問題なのです。

     

    文政権が、こういう失敗を冒した最大の理由はなんでしょうか。それは、現状無視で理念先行という、学生運動家上がり特有の思考回路が生きていることです。20代の血気盛んな時代は、誰でも理想論を掲げます。親の仕送りで大学へ通っていることなど、頭の片隅にもありません。あの口角泡を飛ばすような議論が、現在の韓国政治にそのまま無修正で登場したのです。文政権の支持基盤は、労組と市民団体です。ともに理想論だけを掲げて生きていける集団です。文政権は、この集団の上に乗っかっているのです。過激な労働政策が登場した背景はこれでしょう。

     

    雇用政策でFDI急減

    韓国の性急な雇用政策が、対内直接投資(FDI)を急減させました。今年1~3月期の外国人直接投資(FDI)が前年比35.7%減と7年ぶりに最低水準まで落込みました。

     

    昨年と今年の4半期別の動向(前年同期比)は、次の通りです・ 

    2018年1~3月期 27.9%増

         4~6月期 88.7%増

         7~9月期 13.6%減

       10~12月期 17.8%減

    2019年1~3月期 35.7%減

    (つづく)

     


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    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、韓国大統領府(青瓦台)の首席・補佐官会議で、事実上合意なく終わった先週の韓米首脳会談について、さも成果があったように発言したという。また、文大統領は「今回の米韓会談は米朝対話をよみがえらせる同盟間の戦略対話だった」とか、「首脳間のトップダウン方式が必須という認識で一致した」とも語ったという。

     

    だが、前記の話は、米韓首脳会談の後に韓国大統領府も米国ホワイトハウスも発表していない内容だ。米国側は、文大統領に言質を与えないように、首脳会談そのものの時間を短くする工夫をしたことが分ってきた。本欄でも繰り返し取り上げてきたように、ホワイトハウスは文氏との会談そのものを回避したかった。理由は、文氏が一方的に南北交流事業を持ちかけ、米国が断ることによる米韓不一致を見せたくなかったからだ。

     

    文氏は、こういう米国の姿勢が最初から分らなかった。韓国大統領府の外交スタッフが、事前に米国と打ち合わせしていたときも断られていたのだ。それが、正確に文氏へ報告されず、今回の「2分間会談」という大失態を招いた。

     


    『朝鮮日報』(4月16日付け)は、「韓米首脳会談、『2分会談』の意味、ホワイトハウス元高官が解説」と題する記事を掲載した。

     

    米ホワイトハウスの元高官が、「相手国の首脳が到底受け入れられない要求をしてくることが明らかならば、(ホワイトハウスは)首脳同士の11会談の時間を制限する」と語った。先日の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ米大統領の韓米首脳会談で11会談の時間が2分間しかなかったのは、米国が意図的に避けた可能性があるということだ。

     

    (1)「米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長などを務めたデニス・ワイルダー氏が、13日(現地時間)に放送された米政府系放送『ボイス・オブ・アメリカ(VOA)』の対談番組に出演し、『文大統領とトランプ大統領の11会談時間はたった2分間だったが、どのように解釈できるか』という司会者の質問を受けて、『実は我々は首脳間の11会談の時間を制限し、多くの場合プラスの効果を収めている』と述べた上で語った言葉だ。11日にホワイトハウスで行われた韓米首脳会談は29分間行われたが、両首脳の冒頭発言とトランプ大統領の記者会見がほとんどで、2人が11で話した時間は2分間しかなかった」

     

    首脳会談を短くすることは、米側にとってプラスになる計算があるという。

        「米、相手が受け入れがたい要求しそうな時は時間制限」

        「文大統領が嫌なこと言われないで済むように配慮した面も」

     

    要するに、米国にとって不都合なことを聞かされたり、また、言ったりしないで済むというメリットがあるというのだ。この点で、安倍―トランプ会談は対極にある。トランプ氏は,安倍氏を長時間持てなして、良質な情報を交換して共通認識にしているのだろう。

     

    (2)「ワイルダー氏は、『米国が文大統領に11会談の時間を多く与えてなかったとしたら、それは文大統領がトランプ大統領に対して催促する機会を与えたくなかったという意味だ。米国大統領が韓国大統領と11で会った場で、難しいことを(韓国側に)言わせたくなかったということだ』と言った。また、『見方を変えれば、米国が文大統領を守ったとも言える。非公開の状況でトランプ大統領に言われたくないことを言われないように配慮してくれたものだ。非公開で(話を)しても、一度出た言葉はどんな形であれ外に漏れてしまうものだ』とも言った」

     

    ワイルダー氏は2005年から09年までNSCアジア上級部長を務め、09年から15年までは国家情報局(DNI)所属で、全世界から寄せられる情報を集めて大統領に毎日報告する「大統領ブリーフィング」編集者となり、ホワイトハウスの事情に精通している。また、15年から16年までは米中央情報局(CIA)東アジア太平洋副局長補を務めた。このようなワイルダー氏の経歴から見ても、ホワイトハウスの事情に精通していることが分かる。

     

    文大統領は、ホワイトハウスにとって「招かざる客」であった。首脳会談に首脳夫妻が出席することは、先ずないことだ。米韓首脳会談では、米国側の提案で夫妻が出席した。これで1対1による会話時間をより少なくしたい、米側の「策略」であったのだ。文氏はここまで嫌われていたのだ。

     

     


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    WTO(世界貿易機関)で、韓国の「福島海産物」輸入規制が勝訴したので日本に対して自信満々の姿勢を見せ始めた。文大統領は、「緻密に準備すれば貿易紛争で勝つことができるという自信を持ってほしい」と述べた。 また、「今後の別の紛争訴訟で参考にするためにも一審の敗訴原因と上訴審で変わった対応戦略など一審と二審を比較分析した資料を残す必要がある」と、検討を指示したという。以上は、『中央日報』(4月16日付け)が伝えた。

     

    文氏の 「今後の別の紛争訴訟で参考にする」という意味は、日本が元徴用工に関する韓国大法院判決に対して、国際司法裁判所へ訴えることを想定したもの。韓国国内では、日本の要求を受けて国際司法裁判所で戦うべし、とまで強気が出てきた。

     

    今回のWTO問題では、韓国でも「予想外の結果」という受け止め方である。敗訴を覚悟して必要なデータも提出しなかったのだ。それが、勝訴で沸き返っているのは、「生兵法は大怪我の基」になろう。韓国では次のような見方があるのだ。

     

    西江大学のホ・ユン教授は、『日本政府は科学的に水産物の安全性を十分に立証していたので、今回の判定は意外だ』と言いながらも、『主権国家の食品衛生に対する裁量権を幅広く認めたものとだと見られる』と分析した。ただし、『今回の判定で日本産水産物の輸入が引き続き禁止されることで、韓日関係の行き詰まりが長引く恐れがある』との見方を示した」(『朝鮮日報』4月13日付け)


    WTOは、主権国家である韓国の食品衛生に対する裁量権を幅広く認めたものである。科学的には日本の主張が認められているからだ。こういう合理的な解釈から逸脱した主張が現れた。調子に乗って、韓国のGDPがいずれ日本を抜くと主張するから驚く。

     


    『中央日報』(4月16日付け)は、「賢明でない日本のWTO不服」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の
    ナム・ジョンホ論説委員である。

     

    (1)「12日の福島付近水産物輸入規制判定で韓国が日本に逆転勝訴したのは単なる貿易紛争での勝利ではない。少なくない日本人の胸中に存在する歪んだ韓国観に警鐘を鳴らした意味深い事件だ。 独島(ドクト、日本名・竹島)、慰安婦、強制徴用など韓日間の懸案をめぐって韓国側はいつも感情的で非理性的だと多くの日本人は錯覚している。しかし今回の世界貿易機関(WTO)の判定はこうした『非常識韓国』というフレームを完全に壊した。『グローバルスタンダード』という秤で韓国側の輸入規制を計っても全く問題がないということがWTOによって公認されたからだ」

    まず、最初から勝ち誇っているが、WTOは「福島産海産物」が放射能汚染されていないと認めている。韓国の国民感情で輸入を認めないのは、「韓国の裁量権」としているものである。日本としては風評被害に遭ったもので、韓国の非科学的な姿勢が問われているのだ。

     

    (2)「IMFによると、昨年の日本の1人あたり国内総生産(GDP、購買力基準)は世界28位(4万4227ドル)で、韓国はその次の29位(4万1351ドル)だ。韓国が2.6%、日本が1.0%という現在の経済成長率を考えると、遠からず逆転するだろう。このような先進国の韓国を礼儀のない国と罵倒するのがどれほど間違っているかを今回のWTOの判断は雄弁に語っている」

    購買力基準とは、その国の物価基準でどれだけの購買力があるかを見る「便宜的尺度」である。物価が安い国ほど購買力基準は膨らむ。また、日本のGDPはドル高=円安によってドル表示のGDP規模が、円安の分だけ縮小されるという事実も知っていただきたい。

     

    こういう「計算の約束ごと」を承知の上で、日韓の1人当たり名目GDP(購買力基準)を比較して、なんの意味があるのか。為替相場と物価動向で大きく揺れる点では、「一瞬」の話だ。それほど日韓を比較したければ、失業率はどうか。これこそ国民生活に直結している。

     

    次は、日韓のGDPは「遠からず逆転するするだろう」と意気軒昂だが、そういう事態は逆立ちしても来ない。最大の要因は、人口規模である。現在でも1億2000万人と5000万人の差がある。合計特殊出生率では、日本1.4台(2025年には1.8を目標)。韓国は1を割って「0.98」。今後はさらに低下して行く。日本も人口は減るが、韓国の減少速度は日本を上回る。「世界最速」という新記録をつくるはずだ。論説委員たる者は、この程度の基本的知識を持たなければ困るのだ。

     

    韓国のGDPは、この1~3月期で2.5%割れは確実である。来年は2%割れだ。間もなく、日本並みのGDP成長率になろう。その時、韓国で何が起るか。日本への接近論である。「反日」への反省論が高まるはずだ。


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    文在寅大統領は、金正恩氏から「お節介者」とののしられても意に介さないようである。朝鮮半島の平和と非核化を目指し、何を言われよと我慢して南北会談推進に邁進の覚悟をみせている。文氏は、信念のゆえに現実の障害が目に入らないようだ。猪突猛進とは、文氏のためにある言葉であろう。だが、最終的に北朝鮮は、米朝会談で打開策を狙うであろう。文大統領の仲介余地はなさそうだ。

     

    『聯合ニュース』(4月15日付け)は、「文大統領、金正恩氏の意志を高く評価 南北首脳会談を本格推進」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日午後、青瓦台(大統領府)で開いた首席秘書官・補佐官会議で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が12日の最高人民会議(国会に相当)で行った施政演説に対して歓迎の意を表明し、北朝鮮の条件が整い次第、場所と形式にこだわらずに4回目の南北首脳会談を推進する考えを明らかにした」

     

    文氏にとっては、国内経済が厳しい局面に追い込まれながら、根本的な対応策である最賃引上幅の圧縮ないし撤回を避けている。ひたすら,南北会談をテコに支持率回復を狙うというポピュリズムで生き延びようとしている。その意味では、正恩氏から批判を受けてもじっと我慢するのだろう。

     

    (2)「文大統領は、金委員長が施政演説で朝鮮半島非核化と平和構築に対する確固たる意志を改めて内外に表明し、米朝対話の再開と3回目の米朝首脳会談を行う意向を示したと説明。『金委員長の変わらぬ意志を高く評価し、大いに歓迎する』と述べた。また『金委員長は、(昨年4月の)板門店宣言と9月の平壌共同宣言を徹底的に履行することで南北が共に未来へ進まなければならないという意志を明確にした』とし、『この点で南北に違いはない』と強調した。文大統領が金委員長の施政演説について直接言及したのは今回が初めて」

     

    文氏は、米韓首脳会談で何の成果も得られなかった。その上、正恩氏と会談しても互いに原則論を延べ合う形で終わるのであれば、朝鮮半島問題は八方塞がりになる。そういうリスクを冒して、正恩氏と会談するのは余りにも無謀というほかない。

     

    冷静になって考えれば分ることだが、北朝鮮が経済的にさらに追い込まれて、核放棄以外に生き延びる術がない。そういう事態が起らない限り、正恩氏が前向きになるとは思えない。文氏が、正恩氏を説得できる淡い期待は無駄であろう。金ファミリー3代にわたって堅持してきた「核保有方針」が、文氏の説得や南北交流事業で撤回するはずがない。文氏は、自らの支持率回復と来年の総選挙を意識して、南北問題を「オモチャ」にすれば、米国からさらに不信の目で見られることを覚悟すべきだ。

     

    北朝鮮経済は、深刻な事態に陥っている。

     

    『中央日報』(4月11日付け)は、「追い込まれた金正恩委員長 北朝鮮経済が揺れている」と題する記事を掲載した。

     

    この記事によれば、北朝鮮経済は「陥落」寸前にある。乏しい外貨で食糧を輸入しているが、いずれ外貨も枯渇する。正恩氏は、「米朝首脳会談は12月まで」と時間を切ってきた辺りに、困窮する北朝鮮経済と関係がありそうだ

     

    (3)「ハノイ米朝会談が決裂し、北朝鮮経済が揺れる状況だ。昨年下半期以降、平壌(ピョンヤン)のマンション価格(入居権)は半分に落ちた。鉄鉱石団地の茂山(ムサン)鉱山は浸水し、金策(キムチェク)製鉄所は中国産コークスの輸入がふさがって停止しているという。今年に入って主要国営企業も部品・資材不足で次々と稼働が中断している。さらに衣類賃加工輸出がふさがり、軽工業分野の雇用崩壊も深刻なレベルだ」

     

    (4)「問題は、北朝鮮市場の為替レート・コメ価格・原油価格が安定を維持している点だ。国際制裁にもかかわらず、為替レートは1ドル=8000ウォン水準、コメは1キロあたり5000-6000ウォン、ガソリンは1キロあたり1万6000-1万8000ウォン水準で推移している。専門家は2つの解釈を示している。まず、国際制裁で商品の供給が減っただけに所得の減少で市場の需要も減ったという分析だ。しかしこれよりも説得力のある解釈は、北朝鮮が保有外貨を取り崩して生活必需品を輸入し、市場に供給しているということだ。実際、北朝鮮の対中貿易赤字は2017年から2年連続で20億ドルを超えている。しかしこうした構造は持続不可能だ。外貨が枯渇して北朝鮮経済が深刻な危機を迎えるのは時間の問題だ。
     

    こういう切羽詰まった経済状況下では、すでに文氏の仲介段階を超えている。正恩氏は、米朝の直接会談で事態打開に動かざるを得まい。文氏という仲介者を挟んで交渉する時間がなくなってきた。その意味で、文氏の「出る幕」はなさそうだ。


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