勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国進歩派は、野党潰しのために捜査機関を自由に操っている。捜査で万能な検察庁の捜査能力を著しく制限するため、文政権は野党の猛烈な反対を押し切って、公捜処(高位公職者犯罪捜査処)を設置した。大統領国会議長、大法院長(最高裁長官)などの高位公職者の犯罪捜査を専門とする独立機関である。

     

    この、公捜処が文政権を守るために違法な捜査を行なっていることが分った。何か、戦前の日本警察が、野党弾圧のために行なった違法捜査を思い出させる事態だ。韓国は、日本よりも80年は遅れた存在である。

     


    『中央日報』(12月31日付)は、「
    通信照会を反省しない公捜処長 責任を取るべき」と題する社説を掲載した。

     

    昨日の国会法制司法委員会の懸案質疑は、報道機関と野党を全方向から査察した疑いがある高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が最小限の釈明はするだろうという予想の中で行われた。しかし出席した金鎮ウク(キム・ジンウク)処長は大量に行われた公捜処の通信資料照会について「指摘に留意する」 「振り返ってみる」としながらも「合法的だった」と強弁する態度で一貫した。

    (1)「最大野党『国民の力』の議員105人のうち80%以上が公捜処に通信資料を照会されたが、事態の深刻性を全く感じていないように国民の力の議員の質問に「発言の度が過ぎる」と反論する姿を何度も見せた。怒った野党議員らは公捜処を廃止すべきだとし、「辞任」「弾劾」「罷免」などの表現を使った」

     

    公捜処は、韓国駐在の朝日新聞記者や東京新聞記者の通信記録の提示を求めるなど、言論の自由を踏みにじる行為を行い抗議されている。これ以前に、韓国野党議員の通信記録の照会を行なっていたことが判明している。韓国与党は進歩派を名乗るが、欧米のリベラリズムとは異質の民族主義を掲げる保守主義者の集まりである。この民族主義集団が、強引に設置したのが公捜処だ。最初から政治がらみで設置された機関である。

     

    こういう民族主義者集団であることから、言論弾圧や通信の自由侵害行為を平気で行なっている。与党は、口を開けば立派なことを言うが、行なっていることは極めて政治的な動きをしている。公捜処の捜査活動は、大統領府・与党からお墨付きを貰っているのだろう。

     

    (2)「窮地から抜け出すために検察と警察の通信資料件数を調べて取り上げた姿にはさらにあきれる。金処長は今年上半期だけで検察は約59万件、警察は約187万件も通信資料を照会したのに対し、公捜処は135件にすぎないと力説した。検察と警察が尹錫悦(ユン・ソクヨル)国民の力大統領候補夫妻の通信資料を照会した事実も公開した。このため文在寅(ムン・ジェイン)政権の捜査機関が市民の通信資料を無差別的にのぞくという非難が続いた」

     

    公捜処の金処長は野党からの追求に溜まりかねて、検察と警察が尹錫悦「国民の力」大統領候補夫妻の通信資料を照会した事実も公表して、さらに紛糾させている。尹錫悦氏については、政治がらみで告発されたが、明らかに大統領候補としての尹氏のイメージダウンを狙った訴訟である。公捜処は、それを知りながら、即日、電撃的に立件して捜査を初めて尹氏へ圧力を掛けている。現在の日本ではあり得ない、政治と検察の癒着である。



    (3)「公捜処の査察疑惑は日々、新たな事案があふれ出ている。大統領選が近づく時点で尹錫悦候補夫妻の通信資料が公捜処に何度か照会された事実が確認された。朝日新聞は、ソウル支局の韓国人記者が公捜処の個人情報収集対象に含まれたとし、理由と経緯を明らかにするよう要求した。海外にも恥をさらした」

     

    公捜処は、日本の新聞記者まで監視する異常な状況にある。文政権から強い圧力を受けている結果であろう。韓国の民主主義は、文政権によって危険な状態に追い込まれている。

     

    (4)「あふれる疑問に公捜処がまともに説明もできない状況で青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)までが関連質問に「公捜処は独立機構」として答弁を避けた点も失望させた。公捜処がいかなる物議をかもしても青瓦台は眺めるだけなのか。少なくとも金処長が昨日国会で提起した、文在寅政権発足以降の検察と警察の数百万件にのぼる通信資料照会について、立場を明らかにすべきだ」

     

    文政権は、自らの政権公約で強引に設置した公捜処である。それが、まともに説明もできないような違法行為を繰返している。「生みの親」である文大統領には、大きな責任があるはずである。文政権は、まことにいかがわしい存在である。

     

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    文在寅氏ほど、学生時代からの理想主義に拘っている政治家は珍しい。理想主義を批判しているのではない。その理想が実現できるかどうか、という客観情勢の分析が文氏にないのだ。子どもが、オモチャをねだるような趣きである。

     

    文氏の理想主義とは、朝鮮戦争の「終戦宣言」を出すことだ。北朝鮮が喜ぶことすれば、それが平和主義に繋がると信じているからだ。

     

    「文在寅政府は、何よりも北朝鮮が望むことをすれば平和がやってくると認識している。現政権が推進する韓半島(朝鮮半島)平和体制構築の大義そのものを否定する者は少ない。だが、これを実現しようとする方法論は北朝鮮の望みを聞き入れてこそ平和がやってくるという根拠のない理想主義に傾いている」 

     


    前記の指摘は、朴チョル熙(パク・チョルヒ)ソウル大教授が、『中央日報』(3月17日付コラム)で指摘した点である。文氏ほど、ナイーブな人間はいないだろう。

     

    『中央日報』(12月30日付)は、「韓国『終戦宣言に合意』、米国『対北朝鮮外交に専念』…韓米の温度差」と題する記事を掲載した

     

    鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官が12月29日、「韓米間(終戦宣言)文案について事実上合意に至った状態」と述べたが、米国側はこれを認める発言をしないまま「対北朝鮮外交に専念している」という原論的立場のみ示した。北朝鮮側の反応がないうえ、ワシントンの朝野で終戦宣言の波及効果に対する懸念が少なくない点などを意識した可能性があるという指摘だ。



    (1)「崔英森(チェ・ヨンサム)外交部報道官は、12月30日の定例記者会見で終戦宣言に関する韓米の温度差が感じられることについてコメントを求める質問に、「韓米両国はこれまで終戦宣言の推進に対する重要性に関する共感の下、終戦宣言の文案について既に事実上合意に至った状態」という点を強調し、「ただし、具体的な終戦宣言推進案については、引き続き協議中にある」と述べた」

     

    朝鮮戦争の終戦宣言は、韓国が一方的に宣伝している問題だ。米国バイデン政権は、韓国の強引な「終戦宣言論」に困り果てている様子である。韓国は、なぜここまで執拗なのか。それは、文大統領が「レガシー」にしたいだけである。


    (2)「米国務省は11月11日、鄭長官が国会外交統一委員会全体会議で「韓米間で(終戦宣言関連の)相当の調整が終わった」と述べた時も同様の反応を見せた。プライス報道官は当時も「北朝鮮との対話・外交を通じて韓半島の恒久的な平和を達成することに専念している」という今回と全く同じ立場を紹介した。鄭長官は「相当な調整」「事実上の合意」など徐々に表現の水位を高めて韓米の終戦宣言共助を強調しているが、米国は異見調整および文案合意を認めずに機械的な回答ばかり繰り返していることになる」

     

    米国は、終戦宣言を出すには国内の意見調整が必要だが、与野党ともに反対姿勢である。「終戦宣言」してみても、北朝鮮に利用されるだけという見通しを持っている。日本も同様な姿勢である。文在寅氏だけが、狂ったように騒いでいるのだ。

     


    文氏が、中国へ低姿勢である理由も北朝鮮がらみである。中国へペコペコしていれば、北朝鮮を説得してくれると間違った期待感を持っている。北朝鮮は、中国を信用せずむしろ米国を信用する「歪な」関係にある。

     

    (3)「現在、米議会内でも終戦宣言に対する確実な支持は確保されていない状況だ。したがって、バイデン政権の立場では、来年11月の中間選挙を前に終戦宣言を急激に進展したり、関連の立場を公にすることは政治的負担につながりかねない。高麗(コリョ)大学統一外交学部の南成旭(ナム・ソンウク)教授は、「終戦宣言議論の過程で韓国はこれ以上米国の異見が出てこないため『合意』と評価しているが、米国は韓国の立場をただ聴取しているだけでこのような状況を合意や同意とみなさない、同床異夢に陥っている可能性がある」とし、「バイデン政権は特に米議会内でも終戦宣言に対する意見が交錯する状況で、韓米の協議経過や文案合意の有無などに言及すること自体が政治的リスクになりかねないとみている」と述べた」



    米議会は、与野党ともに終戦宣言を支持していない状況だ。来年秋の米中間選挙を控えて、バイデン政権がそうした負担になるような問題で韓国へ同意するだろうか、と疑問視されている。韓国が、バイデン政権の対中政策へ格別の協力をしているものでもない。米国が、二股外交という身勝手な韓国を支援するメリットがない。文氏は、身から出た錆というほかない。

     

    (4)「一部では、鄭長官が「北京五輪(オリンピック)を南北関係改善のきっかけにするのは事実上難しくなった」と是認しつつも、韓米間で終戦宣言の文案に合意したという内容を公開したのは、国内政治的な「成果広報用メッセージ」の意味合いの方が大きく見えるという分析も出ている。鄭長官の発言は国内メディアの記者懇談会で出たものだが、質問は「北朝鮮に終戦宣言に関して具体的提案をする計画があるか」であって、韓米間の協議経過を問うものでもなかったためだ」

    鄭外交部長官も、終戦宣言を自らの手柄にしたい衝動に駆られている。日韓関係が、完全にブロックされているので、活路を終戦宣言に求めていると考えられるのだ。



    あじさいのたまご
       

    韓国で現在、繰り広げられている大統領選候補者の家族に関わる非難中傷合戦は、常軌を逸している。一々、書くのも憚れるほどの低級な内容である。韓国の大統領=元首が、こういう騒々しい中から生まれるのかと思うと、絶句せざるをえない。

     

    この韓国社会が、二言目には日本へ真摯な謝罪をせよと迫ってくる。韓国の内情が分かれば分かるほど、「反日」騒ぎをする前に、自国の乱れた人倫を糺す方が先決であろうと言いたくなる。それほど乱れているのだ。

     


    『中央日報』(12月29日付)は、「
    リプリー症候群のない社会」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ドンホ論説委員である。

     

    リプリー症候群とは自ら作り出した嘘を信じる精神状態を意味する。米国の犯罪小説『リプルリ』(1955年)での主人公リプリーの偽善的人格障害に由来する。「リプリー病」「リプリー効果」ともいう。リプリーは富豪の友人を殺害した後、自身がその友人であるかのように生きていく。身分を偽るために果てしなく嘘をつく。これを原作に1960年にアラン・ドロン主演の映画『太陽がいっぱい』が作られ、1999年にはより原作に忠実な『リプリー』が再映画化された。

    (1)「このリプリー症候群が最近、韓国の政界にも現れている。虚偽履歴疑惑がふくらんだ「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領候補の妻キム・ゴンヒ氏と関連してだ。ある与党議員は、2007年に世間を騒がせた申貞娥(シン・ジョンア)氏の学歴偽造事件を引き合いに「キム・ゴンヒ氏の(虚偽)回数はもっと多い。本当に慎重であるべきだが、もしかしてリプリー症候群ではないのかと思うほど」と話して反発を受けた。大統領選挙を控え無差別な政治攻勢を展開する渦中であってもリプリー症候群に例えたのは常軌を逸したものだ」

     

    韓国社会自体が、リプリー症候群である。日韓併合時代を噓で固めた歴史観で覆い隠し、韓国の発展は自立によるものと噓を重ねている。真実を真実として受入れない国民性ゆえに、現在の大統領選候補者家族の噓が生まれたのであろう。これは、民族の業病である。

     


    (2)「(前記の)キム氏は、国民向け謝罪で「よく見せようと経歴を膨らませ間違って書いたものがあった」と明らかにしたように総体的偽造というには難しい。リプリー症候群でも偽の人生とはちょっと距離がある。だが、反対陣営の嘲弄と攻勢は激しい。膨らませた経歴がだれかに被害を与えたなら責任を取るべきという論理だ。それが公正と常識でないかと問う。嘘になった言葉の代価はこれほど大きい。「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補も変わらない。息子の疑惑は政治攻勢だと振り払っても、土地開発をめぐる疑惑は違う。核心関係者が相次いで死亡し真相糾明は難しくなったが、特検要求を消せるだろうか。李候補自ら「事実、大壮洞(テジャンドン)は私が設計した」と話しており、疑惑が沈静化するか疑問だ」

     

    「共に民主党」候補の李氏は、息子の問題だけでなく、土地開発をめぐる疑惑まで背負い込んでいる。凄い人物が、大統領候補者になったものだ。得意の弁舌で疑惑を乗り切ろうと作戦を練っているが、すでに二人の関係者が自ら命を絶っている。それでも、大統領候補を辞退しない。欲得が絡むとこうなる見本である。

     


    (3)「こうして見ると、現実を誇張し膨らませるのは政治権力では日常茶飯事である。失敗と判明しても謝罪すら惜しむ。国が行った政策は、大統領候補の妻の履歴虚偽記載や一介の自治体の宅地開発不条理とは比較にならない。国民の暮らしと国の未来に莫大な影響を及ぼすためだ。(不動産)価格を統制できるという傲慢さこそ、リプリー症候群と似ている。住宅価格を原状回復するという住宅政策、生活給を与えるという最低賃金の急激な引き上げ、非正規職をなくすという雇用政策、原発の恐怖を解消するという脱原発などは現実と乖離した「希望拷問」だ。その余波で住宅価格が急騰し、バイトの仕事がなくなり、電気料金が上がり、暮らし向きが厳しくなったが責任を取る人はいない」

     

    文政権も、リプリー症候群である。大統領就任後、いくつかの失政を重ねながら、任期を全うしようとしている。「人権派弁護士」という触れ込みだったが、国民生活を破壊した張本人である。最低賃金の大幅引上げ、不動産政策の間違い、強引な原発廃止に伴うデータ偽造。多くの失敗を重ねた大統領である。

     

    (4)「11月まで従業員のいる自営業者が、3年連続で減少したのは最低賃金の急激な引き上げによるところが大きい。36カ月間減少したのはこの2年間の新型コロナの衝撃の前からの傾向だったということを傍証する。脱原発を強行して世界最高水準の炭素中立を達成するというのも誇張された約束だ。抗体形成と関係なく接種率だけ掲げて世界の模範になったという「K防疫」もやはり虚像と明らかになっている」

     

    文大統領の歩いた跡は、すべて間違いの連続である。一つぐらい良いことしたのでないかと探すのだが、あいにくゼロである。「安っぽい正義感」が、招いた失敗の連続である。記憶力だけ優れている「学校秀才」が、免れなかった悲劇である。文氏は、真の政治家でなかったのだ。 

     

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    日韓慰安婦合意が成立したのは、2015年12月28日である。安倍首相(当時)が訪韓して、朴大統領(当時)と「日韓間の慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した」筈である。それが、その後の文政権登場で破棄されてしまったのだ。

     

    韓国外交部長官は、今になってまだ「日本の誠意ある謝罪を求める」と見当違いの発言をしている。日本は、謝罪し賠償金も10億円支払い済みである。「今さら何を言っているんだ」というのが日本の本音であろう。

     

    『中央日報』(12月29日付)は、「韓国外交部長官、『慰安婦問題関連で日本の前向きな対応期待』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国外交部の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官は29日、慰安婦問題に関して「日本がもう少し前向きかつ合理的な対応をすることをわれわれは期待している」と話した。

    (1)「鄭長官はこの日、ソウルの外交部で行われた記者懇談会で「韓国政府としては(慰安婦)被害者らと対話を継続してこの問題の解決に向けた現実的な案を日本側に提示し続けている」としてこのように明らかにした。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、韓日慰安婦合意で作られた和解・癒やし財団を2018年に解散し、政府予算で103億ウォンを編成して男女平等基金に出資した。財団の残余基金などの処理方向をめぐって日本と協議を進めているが数年にわたり足踏み状態だ」

     


    日韓慰安婦合意は、日韓政府間で交わされた協定である。条約と異なり、国会で批准されたものでないが、これに準ずる扱いを受けるべき性質のものだ。それを、政権が変わったという理由で一方的に破棄した。「革命政権」でも、対外的に交わされた協定類は遵守する。これが国際的な習わしだ。文政権は、国内政治の視点だけでそれを破ったのである。日本を軽視した結果である。

     

    日本としては、韓国から軽視・侮辱された以上、「はい、そうですか。次に案を出します」などと言うはずがない。これが、外交上のメンツという問題である。協定を破壊した韓国政府が、自らの責任で「残務整理」すべき義務を負っている。
     



    (2)「鄭長官は、「多くの被害者が和解・癒やし財団からの支援を拒否しており、財団をこれ以上運営するのは現実的に不可能だった。多くの被害者が真に願うのは日本の真正性ある謝罪だ。お金を望むのではない」と強調した。その上で「韓国政府が最小限の慰労をするため政府予算から別途の基金を設けて支援する案などを検討して男女平等基金を作ったが、被害者はまず日本の真正性ある謝罪から受けるよう求めてきた。日本は最後まで韓国が2015年の合意をそのまま守るべきという立場を頑強に守っており、(韓日間の協議が)全く進展をせずにいる」と話した」

    下線部分は、明らかな虚偽発言である。なぜなら、大半の元慰安婦とされる人々は、日本が提供した資金を受取っているのだ。

     

    日本は、慰安婦合意に基づき和解・癒やし財団に10億円を拠出した。合意時点で生存していた47人中34人、死者199人中58人に計44億ウォン(約4億2600万円)が支給され、約56億ウォンが残っている。

     


    生存者(当時)のうち72.3%の人々は、日本提供の資金を受取った。死者の家族は29%が受領した。これは、日韓慰安婦合意に反対する市民団体が、強烈に行なった「受領拒否運動」にもかかわらず、受取った人たちである。

     

    外交部長官による、「多くの被害者が和解・癒やし財団からの支援を拒否した」という発言は、真っ赤な噓である。それにも関わらず、さらに「真摯な謝罪」要求とは何ごとか。日本政府が、「聞く耳持たぬ」態度を取っているのは当然である。韓国は、深く反省すべきである。

    ムシトリナデシコ
       

    日本政府は、来年2月の北京冬季五輪へ高官を送らないと発表した。注目されていた中国外交部は、日本がJOC(日本オリンピック委員会)会長を送ることに対して、「歓迎する」という拍子抜けの反応をした。

     

    韓国政府は、日本が「外交ボイコット」と言わなかったことで、中国を刺激しなかったと見たのか、これまでの「出席ムード」が揺らぎ始めている。急に、文在寅氏が出席した場合の米国の出方を気にし始めているのだ。

     

    『中央日報』(12月21日付)は、「北京冬季五輪への政府代表派遣に悩む韓国」と題する記事を掲載した

     

    韓国政府が日本、英国、オーストラリアなど米国の核心同盟国とは違い2022年北京冬季五輪に対し、選手団だけ参加し政府代表団は送らない「外交的ボイコット」とは事実上距離を置きながらも政府代表の派遣に対しては苦心を繰り返している。特に北京五輪を文在寅(ムン・ジェイン)大統領が直接参加する首脳外交の機会にすることと関連しては得失を確認するのに慎重にならざるをえない雰囲気だ。



    (1)「大韓体育会は、まず五輪開会式出席者名簿に文化体育観光部の黄熙(ファン・ヒ)長官を上げているが、これは通常の仮登録にすぎない。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長出席の可否、終戦宣言成功の可能性などによって文大統領が訪中する可能性も開かれているという意味だ。だがすぐに「公平」の問題が提起される。文大統領はすでに任期中2度にわたり中国を訪問している。2017年12月の単独訪中に続き、2019年12月には韓日中首脳会談出席のため中国を訪れた。2回の機会にいずれも韓中首脳が会っており、そのたびに韓国政府は習近平国家主席の答礼訪問で双方が認識を一致したと明らかにしてきたが訪韓はまだ実現していない」

     

    文氏の「終戦宣言」への執着は異常である。大統領としての「業績」にしたいと焦っているもの。だが、文氏が訪中すれば3回目になる。この間、習氏は一度も訪韓していないのだ。これでは、バランスを欠くという議論が起こってきた。

     


    (2)「韓国政府は、高官級協議などが行われるたびに習主席の訪韓を打診しているが、中国側は「条件が整い次第推進する」という立場だけ繰り返している。特に2018年の平昌(ピョンチャン)五輪当時、中国は習主席だけでなくナンバー2の李克強首相すら訪韓しなかったという点を考慮すれば、文大統領の北京五輪出席は首脳間の相互訪問という側面でバランスが取れない。韓国政府はボイコットを避ける論理として、「前回大会開催国としての役割」を強調するが、平昌五輪閉会式で次回開催国首脳の習主席はビデオメッセージだけ送った

     

    韓国は、文氏の訪中の理由付として、頻りに「平昌冬季五輪」への返礼を理由にする。だが、習氏が訪韓したわけでない。たかが、ビデオメッセージにすぎない。とすれば、韓国もこの手で済ませる方法もある。

     

    (3)「それでも文大統領の訪中が、「有効なカード」として残っている理由は、金正恩委員長の五輪出席とこれを契機にした終戦宣言進展の可能性のためだ。韓国政府は2018年の平昌五輪当時、南北が合同チームを組んで韓半島(朝鮮半島)平和の雰囲気を作り、連鎖的な南北・米朝首脳会談が開催された状況を今回の北京五輪で再演する「アゲイン平昌」を念頭にしている。韓米間での協議が事実上終えられた終戦宣言にまた別の当事国である中国が呼応するならば北朝鮮もやはり自然に協議のテーブルに誘導できるというのが韓国側の希望だ。北朝鮮が、韓米両国の対話提案と終戦宣言協議経過に対し何の反応も見せていない対立局面が続くだけに、韓国の立場では中国の援護射撃が切実な状況だ」

     

    このパラグラフは、完全に韓国の「期待」に基づく話である。金正恩氏は、任期少ない文氏と会っても、約束を履行してくれる保障がない。それよりも、次期大統領と会談した方がプラスであろう。金氏が、「嫌い」な文氏へ花を持たせる意味はないと見ているのだ。

     

    北朝鮮が、中国の指示で動くことは先ずない。このことを忘れてはいけない。中国よりも米国へ親近感を持っているとされるだけに、文氏は訪中について冷静に判断すべきであろう。

     


    (4)「米国が、公式にボイコットを宣言して同盟を糾合中の北京五輪に、文大統領が直接訪問するのは誤解を受ける恐れがある。韓国政府としては、韓半島平和プロセスを重視した決定だとしても、国際社会では「韓国が中国に完全に傾いた」という誤ったシグナルと解釈する可能性が大きいためだ。また、これは外交的ボイコットの根拠だった中国の人権侵害を問題視しないという態度に映る懸念さえある」

     

    文氏が、北朝鮮問題解決で北京冬季五輪へ出席するという目的としても、米同盟国は違う目で見るだろう。韓国が、中国の人権侵害を容認していると受取らるからだ。

     

    (5)「一部では、韓米同盟に及ぼす影響を事前に最小化するなど緻密な戦略なく韓半島平和プロセスと終戦宣言だけを叫んで文大統領が訪中する場合、2015年に朴槿恵(パク・クネ)前大統領が中国戦勝節に参加したのと同様の状況が発生する可能性があるとの懸念も出ている。北京五輪に首脳が参加することにした国はロシアとアルゼンチンなどまだ少数にすぎない。2015年に当時の朴大統領は習主席とロシアのプーチン大統領とともに北京の天安門広場の城楼で閲兵式を見守ったが、これは内外で韓国の「中国傾斜論」に対する懸念につながった」

     

    文氏にとって最悪ケースは、訪中しても金正恩氏に会えないことだ。「終戦宣言」は実現せず、韓国だけが笑い者になるだろう。この際、大恥をかくことで、韓国外交も「大人」になるだろう。

     

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