韓国進歩派は、野党潰しのために捜査機関を自由に操っている。捜査で万能な検察庁の捜査能力を著しく制限するため、文政権は野党の猛烈な反対を押し切って、公捜処(高位公職者犯罪捜査処)を設置した。大統領、国会議長、大法院長(最高裁長官)などの高位公職者の犯罪捜査を専門とする独立機関である。
この、公捜処が文政権を守るために違法な捜査を行なっていることが分った。何か、戦前の日本警察が、野党弾圧のために行なった違法捜査を思い出させる事態だ。韓国は、日本よりも80年は遅れた存在である。
『中央日報』(12月31日付)は、「通信照会を反省しない公捜処長 責任を取るべき」と題する社説を掲載した。
昨日の国会法制司法委員会の懸案質疑は、報道機関と野党を全方向から査察した疑いがある高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が最小限の釈明はするだろうという予想の中で行われた。しかし出席した金鎮ウク(キム・ジンウク)処長は大量に行われた公捜処の通信資料照会について「指摘に留意する」
「振り返ってみる」としながらも「合法的だった」と強弁する態度で一貫した。
(1)「最大野党『国民の力』の議員105人のうち80%以上が公捜処に通信資料を照会されたが、事態の深刻性を全く感じていないように国民の力の議員の質問に「発言の度が過ぎる」と反論する姿を何度も見せた。怒った野党議員らは公捜処を廃止すべきだとし、「辞任」「弾劾」「罷免」などの表現を使った」
公捜処は、韓国駐在の朝日新聞記者や東京新聞記者の通信記録の提示を求めるなど、言論の自由を踏みにじる行為を行い抗議されている。これ以前に、韓国野党議員の通信記録の照会を行なっていたことが判明している。韓国与党は進歩派を名乗るが、欧米のリベラリズムとは異質の民族主義を掲げる保守主義者の集まりである。この民族主義集団が、強引に設置したのが公捜処だ。最初から政治がらみで設置された機関である。
こういう民族主義者集団であることから、言論弾圧や通信の自由侵害行為を平気で行なっている。与党は、口を開けば立派なことを言うが、行なっていることは極めて政治的な動きをしている。公捜処の捜査活動は、大統領府・与党からお墨付きを貰っているのだろう。
(2)「窮地から抜け出すために検察と警察の通信資料件数を調べて取り上げた姿にはさらにあきれる。金処長は今年上半期だけで検察は約59万件、警察は約187万件も通信資料を照会したのに対し、公捜処は135件にすぎないと力説した。検察と警察が尹錫悦(ユン・ソクヨル)国民の力大統領候補夫妻の通信資料を照会した事実も公開した。このため文在寅(ムン・ジェイン)政権の捜査機関が市民の通信資料を無差別的にのぞくという非難が続いた」
公捜処の金処長は野党からの追求に溜まりかねて、検察と警察が尹錫悦「国民の力」大統領候補夫妻の通信資料を照会した事実も公表して、さらに紛糾させている。尹錫悦氏については、政治がらみで告発されたが、明らかに大統領候補としての尹氏のイメージダウンを狙った訴訟である。公捜処は、それを知りながら、即日、電撃的に立件して捜査を初めて尹氏へ圧力を掛けている。現在の日本ではあり得ない、政治と検察の癒着である。
(3)「公捜処の査察疑惑は日々、新たな事案があふれ出ている。大統領選が近づく時点で尹錫悦候補夫妻の通信資料が公捜処に何度か照会された事実が確認された。朝日新聞は、ソウル支局の韓国人記者が公捜処の個人情報収集対象に含まれたとし、理由と経緯を明らかにするよう要求した。海外にも恥をさらした」
公捜処は、日本の新聞記者まで監視する異常な状況にある。文政権から強い圧力を受けている結果であろう。韓国の民主主義は、文政権によって危険な状態に追い込まれている。
(4)「あふれる疑問に公捜処がまともに説明もできない状況で青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)までが関連質問に「公捜処は独立機構」として答弁を避けた点も失望させた。公捜処がいかなる物議をかもしても青瓦台は眺めるだけなのか。少なくとも金処長が昨日国会で提起した、文在寅政権発足以降の検察と警察の数百万件にのぼる通信資料照会について、立場を明らかにすべきだ」
文政権は、自らの政権公約で強引に設置した公捜処である。それが、まともに説明もできないような違法行為を繰返している。「生みの親」である文大統領には、大きな責任があるはずである。文政権は、まことにいかがわしい存在である。