勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    来年3月の韓国大統領選は、与野党の代表候補を出す前にまず予備選が行なわれる。与党「共に民主党」は9月、最大野党「国民の力」は11月である。現在は、この予備選に向けた立候補宣言があちこちで行なわれている。こうした中で、ユン前検察総長の立候補宣言が6月29日に行なわれた。

     

    日本メディアが、最も注目しているのがユン氏の存在である。韓国世論調査で大統領選候補の人気度トップであることや、文政権と厳しく対立してついに辞任へ追込まれた過程に関心を寄せているのであろう。日本人特有の判官贔屓という面もあろう。及ばずながら、本欄もその一つである。

     

    『ハンギョレ新聞』(7月1日付)は、「日本メディアがユン・ソクヨルの大統領選出馬にひときわ関心示す理由は」と題する記事を掲載した。

     

    日本の諸メディアは、ユン・ソクヨル前検察総長の大統領選出馬についての内容を大きく報じ、特に韓日関係の改善に意欲を示したことに注目している。

     


    (1)「日本最大の日刊紙である読売新聞は、ユン前総長が韓日関係について述べた「回復が不可能なほど悪化した。歴史の真相は明確にしなければならないが、未来世代のためには実用的に協力するべきだ」との発言を紹介し、韓日の「関係改善に意欲を示した」と報じた。朝日新聞は、韓日関係についてユン前総長が「理念偏向ではなく現実主義に立脚すべきだ」と文政権を批判したと報じた。毎日新聞も韓日関係について「関係改善に前向きな姿勢を示した」と評価した」

     

    日本メディアが、日韓関係改善について関心を持つのは当然のこと。ユン氏が、「理念偏向ではなく現実主義に立脚すべきだ」とする指摘は100%正しい。

     

    (2)「ユン前総長は29日、「政府は政権末期になって韓日関係を収拾しようとしているが、うまくいっていないようだ」と現在の状況を診断した後に「韓日関係では、歴史は歴史として我々の後の世代が歴史を正確に記憶するために真相を明確にしなければならないという問題があるが、未来は我々の後の世代のために実用的に協力すべき関係だと思う」と述べた。そして、「この政権になってめちゃくちゃになった(日本軍)『慰安婦』問題、強制徴用問題、韓日の安保協力や経済・貿易問題、これらの懸案を全部まとめて一つのテーブルに載せて『グランドバーゲン』をするようなやり方で問題にアプローチすべき」と述べた。しかし、日本政府がこれまで一貫して示してきた冷淡な姿勢を考えると、「グランドバーゲン」構想に対して直ちに好意的な反応を示すとは期待しにくい状況だ。日本は、強制動員被害者への賠償問題などの懸案で、まず韓国の方から納得できる譲歩案を示すべきとの考えを曲げていない」

     

    日本政府が冷淡な姿勢を取ったのは、韓国が解決案を出さないからである。これでは、外交交渉は成立しない。

     

    (3)「ユン前総長は29日、韓国政府が取るべき外交・安保政策について、「大韓民国は(世界に対して)文明国家の普遍的価値にもとづいているという明確な立場を示さなければならない」と述べた。また「国際社会は人権と法治、自由民主主義の価値を共有する国同士のみで核心先端技術と産業施設を共有する体制へと急変しつつある。外交・安保、経済、国内問題と国際関係は分離できない一つのものとなった」と述べた。韓国は「自由民主主義の価値を共有する国」との協力を強化するとともに、中国などに対しても「普遍的価値にもとづいているという明確な立場」を示し、一線を引くべきだとの立場を明らかにしたわけだ」

     

    韓国は、米韓同盟によって普遍的価値観で結ばれている。それにも関わらず、中国へ二股外交する姿勢は、自由世界から誤解を招く行動である。韓国には、その自覚がゼロだ。

     

    (4)「ユン前総長は、自らの立場を改めて確認するように「大韓民国がどのような国なのか、確固たるアイデンティティを示し、敵と友人、競争者と協力者すべてに予測可能性を与えるべき」と付け加えた。米国と中国の間で「戦略的均衡」を保つために苦心してきた文在寅政権とは異なり、自由民主主義的価値を共有する米日との安保協力を深めていく外交の方向性に重きを置いたものとみられる。この主張は韓国の保守主流の主張を事実上代弁するものだ」

     

    韓国の現状は、どっちつかずの「ヌエ」的存在である。これでは、韓国外交の「予測可能性」はゼロだ。中国から不当な圧力を掛けられるのは、旗幟を鮮明にしないことが理由である。この主張は、韓国の保守主流の主張を事実上代弁するものと記事では切り捨てているが、ハンギョレ新聞の偏見である。

     


    (5)「日本のメディアは韓日関係以外に、現政権との対立など、ユン前総長個人に対しても大きな関心を示した。読売新聞はユン前総長について「政治経験はないが、各種世論調査で次期大統領候補としてトップの支持を得ている」とし「(政府的)圧力に屈しない姿勢が国民の人気を集めた」と分析した。朝日新聞は「文在寅政権との激しい対立で注目を集めたユン氏は、野党勢力の中で世論の支持が最も高い」と紹介した。さらに、ユン前総長の知人たちの話を引用して「ユン氏は金大中(キム・デジュン)元大統領を二つの点から尊敬しているという」と報じた。金大中元大統領が民主化運動で大きな困難を受けたにもかかわらず、保守に報復をしなかったことと、1997年の通貨危機を逆手にデジタル社会を築いた手腕で、現在の新型コロナ危機の克服に通ずるという点を挙げたという」

     

    ユン氏は、文政権から二度も懲戒措置を受けながら行政裁判所の判決で職場復帰した人物である。権力に対して立ち向かう姿勢は見事と言うほかない。ユン氏が金大中・元大統領を尊敬しているという話も日本では高評価の理由であろう。金氏を死刑判決にまで追込んだ保守に報復しなかった姿は、ユン氏に「公平性」を感じさせるのだ。

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    韓国与党は、日本問題になると感情論で対応するのがほとんどである。「反日」で票を集めた御仁が多いからどうにもならないが、元外交官の発言では、日本を冷静に分析している。読む側もホッとする。この元外交官の日韓外交修復論を聞いてみよう。

     

    『中央日報』(6月30日付)は、「日本に過去の賠償を強要しないと明言しよう」と題するコラムを掲載した。筆者は、イ・ヒョク元駐ベトナム大使である。

     

    日本は現在、米国の最も緊密かつ友好的な同盟国であり、クアッド(日米豪印)の一員として米国の対中戦略形成にも相当な影響を及ぼしている。米国の戦略の力点が、中国が含まれたアジア太平洋から、中国排除の含意を持つインド太平洋に移動しているのも、結局は中国を意識した日米共同戦略構想の産物と理解できる。また、米国は韓米同盟、日米同盟を媒介に韓日米の協力で米中競争で優位に立とうとしている。



    (1)「中国の急激な浮上で、世界の中で、そして韓国の国益の側面で、日本の地位が過去より相対的に低下したのは事実だ。とはいえ、我々が現在の停滞した韓日関係を改善しようとする真摯かつ実効性ある努力を軽視すれば、それは我々の国益を大きく損なわせる。むしろ変化した国際秩序パラダイムの中で日本は新しい重要性を帯びることになり、韓日関係に対する新たな思考を我々に要求している。今は北朝鮮核問題で停滞しているものの、日本と北朝鮮の接触が本格化した場合に韓半島の秩序に及ぼす潜在的影響力を決して軽視すべきでない。このように日本との緊密で生産的な関係を維持することが我々の外交力を高め、韓米同盟を強化するだけでなく、健全な韓中関係発展のためのテコになる可能性がある」

     

    韓国にとっては、中国のウエイトが日本よりも高いであろう。だが、民主主義国における日本の役割は高まっている。韓国は、この現実を見落として反日をやっていると大変な損害を被ると見ている。韓国は、日本と密接な関係を樹立すれば、中韓関係の健全な発展のテコになると見ている。これは、斬新な見方である。

     


    (2)「もう日本では韓国との過去に対する負債意識は薄れている。むしろ日本政府は「不可逆的」韓日慰安婦合意に基づいて設立された和解・癒し財団を韓国政府が解体し、合意を違反したと批判している。また、韓国司法府の徴用者賠償判決と慰安婦に対する日本政府の賠償責任判決が国際法違反だと主張している。今は過去の論争で加害者だった日本が被害者だった韓国に対し、あたかも日本が被害者で韓国が加害者だと主張するような状況になってしまった。こうした状況で韓国政府もいくつかの案を模索しているが、これといった答えを探せずにいるという印象を受ける」

     

    現在の日本は、韓国に対して「お荷物」感覚である。率直に言って、韓国と関わりを持ちたくないという意識が強い。嫌韓から無韓というところだろう。日韓首脳会談に応じない背景はこれである。

     


    (3)「韓日政府の間で多くの協議があったが、日本は全く譲歩する態度を見せず、日本が受け入れ可能な解決策を韓国側が提示すべきだという立場で一貫しているようだ。とはいえ、国際社会や日本の大多数の「良心勢力」も韓国を支持する状況ではない。韓国が過去のように被害者プレミアムを武器に日本の譲歩を引き出すことができる状況ではないようだ。しかも日本政府はさらに露骨かつ積極的に「日本の領土の竹島(独島の日本名)を韓国が強制占拠している」と主張し、慰安婦募集に対する日本政府の直接的な関与も否定している」

     

    日本は、国際法違反の韓国と同じ土俵で相撲を取る気持ちがないほど冷え切っている。日本国内が、これほどまでに韓国を見る目が冷淡になったのは初めてであろう。



    (4)「今後、韓国政府は過去を政治的な手段として活用する誘惑から抜け出すことが求められる。また、韓日間で問題が発生した場合、理性的な判断よりも無条件に反日的な対応をするのが安全だという政府の認識も消さなければいけない。振り返ると、歴代政権は韓日の過去に関連して国民感情をあおったり迎合したりする措置を取れば一時的には支持率は上がったが、結局は政権にプラスにならず韓日関係を悪化させる結果だけを招いたという批判を受けるケースがほとんどだった」


    韓国は、反日を政権支持率のテコに使ってきた。極めて非常識な振る舞いである。日韓併合時代が過ぎ去っても未だに、過去を持ちだして賠償金と謝罪を求めるのは常軌を逸していると言うほかない。

     

    (5)「もう、新政権になるほどマイナス遺産ばかりが増える韓日関係に終止符を打つ時だ。現政権の任期は1年も残っていないが、韓日関係が最悪の状態と評価される現時点で、新しい発想で韓日関係改善のきっかけを用意する努力を傾けるべきだろう。徴用者賃金問題に関連し、国内的に非常に複雑で難しい過程があるが、我々が自らこの問題を解決し、もう日本に賠償を強要しないと明らかにする必要がある。そうしてこそ我々の道徳的な権威が高まり、日本政府と企業・国民も韓国人に大きな苦痛を与えた過去を深く省みるだろう

    下線のような言い方が、日本人をカチンとさせるのだ。すでに、日韓基本条約によって解決ずみである。この問題で、韓国が独自の解決案を出すのは当然だ。「日本政府と企業・国民も韓国人に大きな苦痛を与えた過去を深く省みるだろう」としているが、そんなことはない。戦時中の日本人も厳しい状況にあった。朝鮮人だけを酷使したわけでない。戦時中という異常事態が招いた災難である。日本人には当然ながら、一銭の賠償金もない。こういう現実を知ってほしいものだ。

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    韓国与党「共に民主党」代表の宋永吉(ソン・ヨンギル)氏が、2年前に始まった反日不買運動で、「日本が屈服したような印象」という意味不明の発言をした。これは、前検察総長の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が、大統領選出馬宣言で文政権の対日外交を批判したことへの「当てつけ」である。世にも不思議な「勝利宣言」をしたものである。

     

    『中央日報』(6月30日付)は、「尹氏の『竹槍歌』批判に韓国与党代表『日本、われわれに屈服』…チョ氏は『竹槍歌』FB再掲載」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国与党「共に民主党」の宋永吉代表が6月30日、2年前の日本輸出規制とこれに対する韓国内の不買運動を取り上げて「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が『絶対に負けない国を作る』というスローガンの下にすべての企業が参加して、今では日本がむしろわれわれに屈服するような現象を作った」と話した」

     


    日本は、韓国に対して何ら屈服していない。日韓首脳会談を開いてくれて哀願しているのは韓国である。韓国を「ホワイト国」条項から外して、輸出半導体素材の3製品については、相変わらず輸出1件当たりの個別審査を行なっている。韓国に譲歩したものは一つもないのだ。何を勘違いして、突然の強気になったのか。不思議千万である。韓国に屈服したのでなく、韓国が日本へ屈服して首脳会談を申入れているのが現実である。お間違いないように一言ご注意を申し上げたい。


    (2)「宋代表は、慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)にある慶南道庁で開かれた予算政策協議会で「2年前の7月6日は日本が突然韓国に対して半導体部品などに対する輸出統制を始めた日」と述べた」

     

    言葉は、正確に使って貰いたい。輸出統制はしていない。輸出手続きの厳正化である。他国への流出を阻止する目的である。

     

    (3)「このような発言は、前日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長が大統領選挙出馬記者会見で述べたことを意識した発言とみられる。尹氏は尹奉吉(ユン・ボンギル)義士記念館で開かれた記者会見で、韓日関係改善方案に対する日本NHK記者の質問に「外交は実用主義、実事求是、現実主義に立つべきだが、理念偏向的な竹槍歌を歌ってここまで来た」としながら「いまの韓日関係は修交後で最も劣悪になり回復が不可能になるほど壊れた」と答えた。尹氏は実用主義や実事求是、現実主義などを強調し、宋代表は「屈服」という強力な単語を使った点は、尹氏と与党圏の外交観の間に横たわる隔たりを端的に示している」

     

    日韓の立ち位置は、ここ3~4年ですっかり変わった。日本の安全保障において、韓国の占める役割はぐっと下がっている。韓国は、それが分からず昔のままであると誤解している。日本は、インド太平洋戦略のクアッド(日米豪印)の一員で、4ヶ国で安保グループを構成している。韓国への関心は大きく低下しているのだ。

     

    こういう状況にある以上、韓国は歴史問題を持ちだし、日本へ謝罪を求めてもすでに歴史的な局面が変わっている。韓国は、それに気付かず「日本構ってよ」と言っているに過ぎない。

     


    (4)「宋代表は、「当時、保守報道機関や野党は『文大統領が扱い方を間違った』『大韓民国の経済が滅びさせた』としながら、早く安倍首相に謝って韓日関係を復元させろと大騒ぎした」としながら「昨日、尹錫悦前検察総長も我々に対して韓日関係の悪化を非難したが、われわれ大韓民国はやり遂げた。2年の間に国民が共に成し遂げた偉大な成果」と話した」

     

    韓国の本音は、今もここにあるはず。だから、頻りと日韓首脳会談を懇請しているのだろう。

     

    (5)「チョ・グク前法務部長官もこの日、「尹錫悦さんの歴史意識のない大統領選挙出馬宣言に接して再び掲載する」としてフェイスブックに再び『竹槍歌』をシェアした。チョ氏は輸出規制措置で葛藤が深まった2019年に『竹槍歌』をフェイスブックでシェアしたことがある。チョ氏は「日本政府と類似の歴史意識に驚愕する」と書き添えた」

     

    韓国民族派は、一人舞台で踊っていれば良いだろう。今さら「親中朝・反日米」を持ち出しても激変する世界情勢について行けないだけである。せいぜい、来年の大統領選で臍(ほぞ)をかまないように、ご注意申し上げたい。

     

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    韓国では、20~30代の失業が目立つ。政府の救済策と言えば、財政資金を使ってアルバイト口をつくるくらいである。経済無策と、批判されるゆえんである。今年5月の失業率は4.0%である。日本の3.0%より悪化している。

     

    韓国の正規雇用が減っており、官製アルバイト増によって一時しのぎ策に出ている。文政権の経済無策を表している。最低賃金の大幅引上げは罰則を伴うので、賃上げできない職場では解雇するという無慈悲なことが行なわれている。最賃が、失業者を増やしているのだ。

     


    昨日、大統領選への立候補を発表したユン前検察総長は、次のように文政権の経済政策を批判した。

     

    「『経済の常識を無視した所得主導成長、市場と争う住宅政策、法を無視して世界一流の技術を死蔵させた脱原発、買票に近いポピュリズム政策で、多くの若者、自営業者、中小企業者、低賃金労働者が苦痛を受けた。政府の負債の急増で、まともな雇用も探せない若者世代が途方もない未来の負債を抱え込んだ。若者の挫折は、大韓民国を人口絶壁に追い込んでいる』とし『20~30世代』に訴えた」(『東亞日報』6月30日付)

    この発言の通りであり、経済の常識から外れて、労組の支持する政策を鵜呑みにしてこのような惨憺たる結果を招いた。

     


    『東亞日報』(6月30日付)は、「企業採用を増やす誘引策なしに『アルバイト』15万件を追加した経済政策」と題する記事を掲載した。

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨日、拡大経済閣僚会議を開き、洪楠基(ホン・ナムキ)経済副首相などから「下半期の経済政策方向」について報告を受けた。財政を供給して「税金雇用」を増やし、クレジットカードの使用など消費を促進する内容が報告に多く含まれている。大統領は、「下半期の経済の最優先目標は、雇用を増やし格差を減らす完全な危機克服だ」とし、「第2次補正予算の編成を迅速に推進してもらいたい」と指示した。

    (1)「政府は第2次補正予算を投入して、人工知能(AI)、ソフトウェア分野の若者雇用2万〜3万件を含め、15万件以上の雇用を新たに創出することにした。当初本予算に含まれている104万2000件、3月の第1次補正予算の際に追加された25万5000件を含め、今年は144万7000件の雇用を、財政を投入して創出するという。青年層のために、大学街や駅周辺に安価な賃貸住宅5000戸を提供し、若者層だけのための優遇金融商品も7月中に出すという。20~30世代をなだめるために税金を使った雇用、住居支援などの政策資源を総動員した格好だ」

     


    文政権は、雇用減の原因が経済無策にあることを無視している。その結果、対症療法として官製アルバイトを増やしている。政府は、アルバイトであろうと短期的な就業者を増やすので、これを自慢するトンチンカンな発言をしている。

     

    20~30代の若者には、文政権の存在が大きな災難として降りかかっている。文政権支持で、20~30代の若者が離間しているのは当然であろう。

     

    (2)「社会に進出しなければならない時期に新型コロナ禍を受け、第一歩すら踏み出せなかった若者らに、就職のチャンスを提供するのは重要なことだ。しかし、キャリアに役立たない単純業務であるという理由のため、今年予定された60万以上の青年雇用のうち、多くが青年層からそっぽを向かれている状況で、数字をさらに追加するのは財政無駄遣いになる可能性が高い」

     

    韓国の大卒(短大を含む)率は、95.86%(2018年)で世界5位である。若者に正規雇用でなくアルバイト口を提供している政権は、支持されるはずがない。



    (3)「若者層が望む雇用を増やすためには、大企業が国内投資を増やし、自営業者が従業員を採用する誘因を作らなければならない。しかし政府が今回、半導体、バッテリー、ワクチンの3大「国家戦略事業」の研究開発(R&D)、設備投資への支援は米国などに大きく及ばない水準だ。「Uターン企業」に対する支援策も、依然として首都圏に戻ってくる企業は排除されている」

     

    文政権は、反企業の立場である。企業性悪説に立っており、企業を規制することが国民の利益になるという逆立ちした考えである。これでは、企業が積極的に設備投資するはずもない。設備投資しなければ、正規雇用は増えないのだ。この分かりきったことを理解できない政権である。

     

    (4)「下半期の韓国経済には、若者雇用を減らす出来事が次々と待ち受けている。中小・ベンチャー企業の反対を押し切って、来月から施行される5〜49人の事業所に対する週52時間勤務の拡大は、企業の困難を増大させ、雇用に悪影響を及ぼす可能性が高い。二大労総が1万ウォンを超える最低賃金を要求しており、自営業者たちは必要な人材さえ採用せず、状況を見守っている。政府が企業各社の訴えに耳を傾けなければ、いくら多額の税金をつぎ込んでも、若者らが希望する雇用は容易には生まれないだろう」

     

    週最大52時間労働制は理想型である。だが、生産性の低い職場では、どうしても「52時間」に収まらない。韓国では罰則を伴うので絶対的な規制になるので、このルールは労働者の収入を減らすという逆の問題を起している。週52時間労働制を守らせるには、企業の設備投資支援策など総合的な対策が必要である。

     

     

     

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    来年3月の大統領選へ向けて、最有力候補者と見られている尹錫悦(ユン・ソンニョル)前検察総長が6月29日、正式な立候補宣言をした。

     

    ユン氏は検察改革などを巡って文在寅(ムン・ジェイン)政権と鋭く対立し、今年3月に検事総長を辞任せざるを得なかった。法務部長官から二度もの懲戒処分を受け、行政裁判所へ上訴して復権してきた。それも、限界として辞任したもの。

     

    大統領選立候補に当り、ユン氏は記者会見で次のように語った。『聯合ニュース』(6月29日付)が報じた。

     


    1)「ユン氏は、「この政権が犯した無道な振る舞いはいちいち列挙することも難しい」として、「この政権は権力を私物化するだけにとどまらず、政権を延長して国民を略奪し続けようとしている」と批判。「自由が抜けた民主主義は本当の民主主義ではなく独裁」とし、「到底彼らをこのままにして置くわけにはいかない」と強調した」

     

    ユン氏は、文政権から捜査妨害を受けるという圧力を加えられてきた。蔚山市長選と月城原発の疑惑は、文政権を直撃するだけに絶対に捜査させないという強烈なものだった。民主派を名乗る政権が、こういうあくどいことをしたのである。

     

    2)「また、「これ以上彼らの欺瞞(ぎまん)とうその扇動に騙されない」として、「腐敗し無能な勢力の政権延長と国民略奪を防がなければならない」と述べた。その上で、「同意するすべての国民と勢力は力を合わせなければならない。必ず政権交代を成し遂げなければならない」と訴えた」

     

    文政権は、さらに進歩派政権の継続を狙って司法を味方につける露骨な干渉を人事面でしている。ユン氏にとっては、いずれも生々しい経験だけに、「検事の正義感」も手伝って、徹底的に洗い直すであろう。

     


    日韓関係では次のように答えた。『産経新聞 電子版』(6月29日付)が伝えた。

     

    (3)「文政権下で極度に悪化した日韓関係の改善に向けて意欲を示した。ユン氏は「今の韓日関係は回復不可能なほどだめになった」と指摘。イデオロギーにこり固まった文政権の姿勢に原因があったとの認識を示した上で、政権末期の現政権には収拾できないとの見通しを語った」

     

    ユン氏は、文政権が対日外交でイデオロギーに固執したことで、日韓関係悪化をさせたと、はっきり認識している。後一年足らずの任期中に日韓関係改善は難しいとしている。

     

    (4)「ユン氏は、日本との関係について、歴史問題の重要性に触れつつも「未来の世代のために実用的に協力しなければならない」と強調した。慰安婦やいわゆる徴用工問題に加え、日韓間の安全保障協力や貿易問題なども「全て一つのテーブルに上げて協議する方式でアプローチすべきだ」とも述べた。日韓間に防衛と外務の「2+2」形式や、防衛と外務、経済の「3+3」形式など各担当相による協議体を立ち上げ、関係回復を図っていく必要性にも言及した

     

    日韓関係改善では、防衛・外務・経済の「3+3」委員会などの立上げに言及するなど、具体策に踏込んだ発言をしている。ユン氏は、検察総長辞任後に安全保障、外交、経済などと幅広い勉強会を行なってきた。予備知識は十分とみられる。

     

    ユン前検察総長の辞任のほかに、28日は崔在亨(チェ・ジェヒョン)監査院長(日本では会計検査院長)が、「大韓民国のための役割を熟考する」として辞任した。政界は事実上、大統領選出馬の手順だと見なしている。文在寅政権が任命した二つの監査機関の首長が、任期を待たずに政治参加へ向かう珍しい現象が現れている。

     


    これは、文政権がいかに非道なことを検察総長と監査院長に押し付けていたかを証明している。

    『中央日報』(6月29日付)は、「検察総長・監査院長が政治を宣言する未曽有の事態」と題する社説を掲載した。

     

    尹錫悦前検察総長がきょう、大統領選出馬を公式宣言するという。昨日は崔在亨監査院長が任期を待たず辞任した。特に、崔監査院長の辞退は格別だ。検察庁法に任期(2年)が明示された検察総長と違い、監査院長は憲法が任期(4年)を保障した憲法機関長だ。憲法は三権分立のために国会議員と大統領・大法院長の任期を明示しているが、監査院長も同じだ。崔院長に向かった一部の批判が、一見適切に見える理由だ。



    (5)「それにもかかわらず、二人の政治参加を非難ばかりするわけにはいかないのが昨今の状況だ。このような事態を自ら招いた1次的な原因が文在寅政権にあるためだ。文在寅政権はチョ・グク元法務部長官一家の不正捜査や月城(ウォルソン)原発の早期閉鎖事件に対する監査を執拗に妨害した。人事権を振り回して両機関の政治的中立性と職務上独立性を押し倒し窮地に追い込んだ」

     

    文政権は、政権疑惑捜査を封じるためにやりたい放題のことをしてきた。その咎めがこういう選挙の場で明らかにされようとしている。自業自得と言うほかない。

     

    (6)「約1年間、ユン前総長を追い出すために行った秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官の無理な方法や、最近、朴範界(パク・ボムゲ)法務部長官の政権捜査を無力化するための検察中間幹部の人事などが代表的だ。崔院長は、月城原発を監査して民主党議員から辞職の圧力を受け、市民団体の告発で捜査対象になる状況に追い込まれた。事実上、監査院・検察の制度的根幹を揺るがす、とうていあり得ない異常な状況を招いた」

    文政権の幹部は、法廷に立たせてその恣意的な権力執行の実態を暴かねばならない。過去の政権にも見られなかった権力の私物化を図ってきた。そのテコに「反日」を利用してきたのである。日本から見れば、許しがたい政権である。

     

    韓国の保守政界では、ユン大統領と崔首相の組み合わせを要望する声もあるという。仮に実現したならば、文政権の権力乱用が白日の下に曝け出されるであろう。韓国政治の大掃除を期待したい。

     

     

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