勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国は、あくまでも日本と戦う意志を明確にしてきた。文大統領による「親日一掃」キャンペーンが、地方議会で吹き荒れ始めている。韓国の有識者からは、「官製民族主義」の危険性が指摘されている。この点について、本欄では繰り返し取り上げてきた。

     

    京畿道議会は15日から19日にかけて、ホームページ上で「日本戦犯企業製品表示に関する条例案」について道民の意見集約を行った。その内容は、道内の小・中・高校が保有する日本企業の製品で、「戦犯企業」に該当する企業の製品に対して、「日本の戦犯企業が生産した製品です」というステッカーを貼ることを義務付ける内容という。

     

    これは、日本政府として看過すべきことでなく、外交ルートを通じて抗議するほか、具体的な対抗措置を取るべきであろう。これまで日本は、口頭で抗議する程度であったが、一歩踏み出すべきだ。

     

    私の考える対抗策は、次のようなものだ。

     

        京畿道議会で、この法案に賛成した議員には日本への入国ビザを拒否する。

        この「戦犯企業レッテル」を貼った当該学校の卒業生は、日本留学や日本企業就職の入国ビザを拒否する。

     

    子どもたちには気の毒な気もするが、保護者に対して自覚を深めて貰う契機にすることだ。いつまでも、韓国の横暴な振る舞いを放置しておくことは、日本の国益に反する。

     

    『朝鮮日報』(3月20日付け)は、「校内の日本製品に『戦犯ステッカー』貼付義務付け、京畿道議会が条例案」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「今月15日に、黄大虎(ファン・デホ)道議会議員など与党「共に民主党」(民主党)議員25人、保守系野党「自由韓国党」議員1人、同じく野党「正義党」議員1人の計27人が発議した。条例案では、284の日本企業を戦犯企業に挙げた。韓国政府の首相室の傘下にある対日抗争期強制動員被害調査委員会などが発表した「日帝強占期徴用企業」リストを根拠にしたという。ニコン、パナソニックなどが含まれている。また、リストにはない企業でも「(リストの)当該日本企業が戦後に投資して設立したり株式を保有したりした企業、吸収・合併した企業にも適用される」とした。適用対象企業が増えることもあり得る、という意味だ」

     

    なんとも、ため息の出るような話である。ここまで、「反日」に固執する精神的な偏りに絶句する。これもすべて、文在寅氏の政治的な思惑から出た「親日排斥」の結果である。こういう韓国と、安定した親善関係を維持できるはずがない。相手がすでに悪意に満ちている以上、話し合いは不可能である。

     

    (2)「条例案が議会を通過した場合、京畿教育監(教育委員会に相当する教育庁のトップ)は道内の小・中・高およそ4700校の保有実態を調査し、その結果を毎年公開しなければならず、20万ウォン(約1万9700円)を超える製品には「戦犯企業」ステッカーを貼らなければならない。学校が保有するビームプロジェクター、ビデオカメラ、コピー機などが該当するとみられる」

     


    (3)「条例案は今月26日の常任委員会を経て、来月初めごろ本会議に付される予定だ。京畿道議会は、議員142人のうち135人が民主党所属。議員らは、条例案を作った理由を「成長期の児童・生徒に正しい歴史認識を確立させ、教職員に警戒心を抱かせるため」とした。条例案を代表発議した黄議員は、本紙の電話取材で「韓民族を搾取しても謝罪なき戦犯企業を教育しようという趣旨」と述べる一方、「不買運動ではない」とした」

     

    下線を付けた部分は、官製民族主義である。日韓は戦争でも始める雰囲気である。子どもたちに、こういう偏狭な愛国主義を植え付けるマイナスを考えないのだろうか。文大統領の発する「親日排斥」が、地方議会ではこういう妄言を生み出している。

     

    (4)「韓国各地の地方自治体や地方議会、地方教育庁などで、官が主導する形で反日感情をあおるケースが増えている。「親日作曲家」が作ったとして校歌、道歌、市歌を禁止する例も多い。専門家らは「植民地期に対するきちんとした反省のない官製民族主義」と指摘した。柳永益(ユ・ヨンイク)元国史編さん委員長は、「日本を乗り越えたいのなら、日本より良い製品を生産するという前向きなやり方で克服すべきであって、否定的な『レッテル』を貼るやり方は歴史認識の限界を露呈するもの」と語った」

     

    朝鮮日報は、こういう危険な官製民族主義の結果が何をもたらすのか。大いにキャンペーンを張っていただきたい。これによって、ますます日本の「嫌韓派」が増えることだろう。自分で、自分の首を締める愚行を演じている。



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    韓国国会が、最大野党の代表質問で文大統領を「北の首席報道官」と批判して大荒れである。国会では、議員発言は自由であり責任追求を受けないルールである。だが、与党は「元首誹謗」と時代がかった台詞まで飛び出し、メディアから失笑を買った。

     

    ここで、話が終われば良かった。だが、「親文在寅派」の怒りが収まらず、最初に「北の首席報道官」と報じた米国通信社記者の実名を上げて、「人身攻撃」するところまでエスカレート。今度は、海外ジャーナリスト協会が、言論の自由を脅かしとして、与党「共に民主党」へ抗議する騒ぎにまで拡大している。

     

    こういう一連の動きを見て実感するのは、韓国政治の未熟さである。特に、与党「共に民主党」は、労働組合が企業批判するような激烈さで、相手を攻撃するのだ。当然、その毒舌は日本にも向けられた。その非常識な日本非難の弁を採録した。これによって、韓国の政治風土が分るであろう。下記の報道記事は、海上自衛隊の掲揚する旭日章非難である。

     

    済州(チェジュ)で開催される国際観艦式で日本海上自衛隊が自衛艦旗(旭日旗)を掲揚する立場を表したことに対し、韓国与党が批判した。共に民主党の朴ギョン美(パク・ギョンミ)院内報道官は30日午前、書面ブリーフィングで『非常識をもちろん、一抹の良心さえも見られない日本の傍若無人にあきれる』とし、『戦犯国として世界の平和を一瞬にして壊し、数えきれないほど殺傷行為を犯した日本が旭日旗を誇っているのは、日本が永遠に二等国家にとどまるしかない理由でないかと思う』と指摘した」(『中央日報』2018年10月1日付け)


    韓国が、隣国である日本を「永遠の二等国」とまでこき下ろした。こういう感情的な昂ぶりこそ、韓国政治の感情過多症の実態を示している。日本が、韓国に対して「永遠の三等国」と発言したならば悶絶するであろう。

     

    『朝鮮日報』(3月19日付け)は、「北の首席報道官発言、なぜ韓国国会は修羅場と化したのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の政治部・崔宰赫(チェ・ジェヒョク)次長である。

     

    (1)「韓国の最大野党・自由韓国党の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表が、先週した国会演説はいろいろな意味で話題となっている。「一体どういう内容で国会本会議場が修羅場になったのか、と気になって、生まれて初めて『国会交渉団体代表演説』動画を検索した」という人も少なくない。中には、「『大韓民国の大統領は(北朝鮮の)金正恩(キム・ジョンウン=朝鮮労働党委員長)の首席報道官などと恥ずかしいことをこれ以上言われないようにしてほしい』という発言に、与党・共に民主党がなぜそこまで激怒したのか理解できない」という人もかなりいる」

     

    最大野党の質問は、「大韓民国の大統領は(北朝鮮の)金正恩(キム・ジョンウン=朝鮮労働党委員長)の首席報道官などと恥ずかしいことをこれ以上言われないようにしてほしい」というものだ。「文大統領が北の報道官」というのは昨秋、文氏が訪欧した先々の国で、経済制裁緩和を主張して歩いた際、海外メディアが報じていたものだ。私も、この言葉を紹介した。韓国与党が突然、怒りに転じた裏には、最近の文氏が政策的な手詰まりに陥っていることを反映したのだ。

     

    (2)「現政権発足後、雇用減少・中産階級崩壊・自営業者没落・産業競争力悪化は構造的要因に責任転嫁するのも難しいほど急速に進んでいる。それでも文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が高止まりしていたのは、3回にわたる南北首脳会談や初めての米朝首脳会談といった外交・安保上のビッグイベントが経済分野の失敗を打ち消していたためだった。先月行われたベトナム・ハノイでの2回目の米朝首脳会談が決裂したことは、支えとなっていた北朝鮮という切り札をしばらく使えなくなったことを意味する。今月に入って文大統領の支持率は下落に転じた」

     

    内政の失敗は、これまで南北問題によって隠されてきた。ところが、文大統領支持の支え棒である北朝鮮問題が暗礁に乗り上げた。これにより、文氏の支持率が低下して、不支持率と逆転している。与党は、焦りが募って「八つ当たり」状況だ。もともと、政権担当能力のない政党なのだ。それが、フロッグで大統領が当選した。問題は、ここにあるのだろう。

     

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    IMF(国際通貨基金)は、韓国政府との「年次協議結果」を発表した。今年は、まだ2ヶ月余しか経過していない段階で、早くも財政支出拡大と金利引き下げを提案した。文政権による経済の舵取りが、「下手」という判定である。「素人衆」の経済運営であると見抜かれたのだ。

     

    確かに、「ド素人」が大統領府に陣取っている。「86世代」というかつての学生運動家上がりの集団である。学生運動で火炎瓶を投げさせたら超一流でも、経済政策論は学ばなかったのであろう。「所得主導成長論」という聞いたこともない経済政策まがいのものを持出して、強引に実施している。その弊害が、多方面に及んだ。中堅の人たちが失業の憂き目にあい、田舎へ帰って農業を始めた層がこの1月以来、急増している。

     

    帰農者は、実質的に失業者である。経済的に言えば、「偽装失業」「不完全就業」に分類される。だが、雇用統計では「就業者」に数えられているのだ。IMFは、こういう雇用実態をつぶさに見て、財政支出拡大と金利引き下げを提案した。

     

    『中央日報』(3月19日付け)は、「賢いIMF、笑う文在寅政権」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイ・サンリョル経済エディターである。

     

    (1)「最近、韓国を訪れたIMF年次協議団は経済問題で支持率下落に直面した現政権が喜ぶ処方せんを提示した。まずは大規模な補正予算の編成だ。韓国との年次協議結果発表文で「韓国の経済成長が中短期的に逆風を受けていて政策措置が必要だ」としたIMF協議団は記者会見で関連質問が出ると、『国内総生産(GDP)の0.5%を超過する水準』と明示した。韓国政府の成長目標(2.6~2.7%)を達成するには約9兆ウォン(約9000億円)台の補正予算が必要ということだった。IMFは毎年、韓国政府にいくつかの政策助言をしてきたが、このように規模まで提示して補正予算を注文したのは異例だ。救済金融をしたという理由で財政支出にいちいち干渉した20年前の通貨危機当時を思い出させる」

    IMFは、1~3月期のGDP統計が出ない段階で、GDPの0.5%を超過する水準の財政支出を勧告した。これは、異例のことだという。IMFから見た今年の韓国経済は、相当の落込みを予想したのだろう。私がごとき者まで、韓国の今年のGDP成長率は2%スレスレまでの低下を見込むほどだから、IMFは相当の危機感を持っているに違いない。

     

    こういう韓国経済の危機は、すべて最低賃金の大幅引上げに原因がある。IMFは本来、この最賃大幅引上げが原因と伝えるべきだが遠慮した。国家主権への干渉と取られることを懸念したのだろう。しかし、文政権の間違った政策で多くの人々が職を失い、帰農者として田舎へ帰らざるを得なかった、その苦悩へ思いを致すべきだ。そういう政策アドバイスをしないIMF「年次協議結果」は、一片の価値もないと思えるのだ。

     

    (2)「補正予算は成長率の数値を高めるのに最も良い手段だ。補正予算の正確な効果をめぐっては意見が分かれるが、政府が支出を増やせば当面の成長率は上がる。政府は内心悩んでいたはずだ。470兆ウォン(約47兆円)という歴代最大予算で新年を迎えたが、経済はうまくいかなかった。輸出は大幅に減少し、30~40代と製造業の雇用は急減した。ところが補正予算ほど効果が大きい浮揚カードはないと知りながらも3月に補正予算の話はできなかった」

     

    3月の時点で、GDPの0.5%超の補正予算を組むとは前代未聞である。秋になって台風被害が出た、という特殊事情があればともかく、「最低賃金の大幅引上げが原因」で補正予算を組みますとは、口が裂けても言えない話だ。

     


    韓国政府は、「他人のせいに」にするのが得意である。ここで、大型補正予算を組むとなれば、誰の悪口を言うのか。米中交渉が上手くいかず、南北交流事業が不首尾に終わったと言うに違いない。そうなると、米国、日本がヤリ玉に挙げられるのか。無論、これは冗談である。いくら文政権が非常識でもここまで他国を理由にはできない。だが、本心は日米悪者説にこだわっているに違いない。

     

    IMFは、金利引き下げも提案している。家計債務増加による金利負担によって個人消費減退を警戒したのであろう。だが、これから世界経済が波乱含みで、ウォン相場に激変が起らないとも限らない。そういうリスクを含む現在、利下げは余りにも冒険過ぎる提案である。IMFは、そこまで韓国経済について危機感を持っていると読めば、「なるほど」と思わざるを得ない。

     

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    昨年9月、南北首脳による平壌共同宣言が発表されてから6か月が過ぎた。具体的な合意事項13項目のうち、これまでに履行されたのはわずか1項目という。その1項目とは、「年内に鉄道・道路連結の着工式を行うこと」だけだ。対北朝鮮制裁の影響で「着工のない着工式」となった。

     

    韓国が、北朝鮮から小馬鹿にされながらも、じっと我慢している理由はなにか。北朝鮮を怒らせないで、ご機嫌伺いしている結果だ。資金や物資の出し手である韓国が、北朝鮮に神経を使っているのは、南北交流事業を始めて国内経済に活気を取り戻したいという副次効果を狙っている。北朝鮮は、こういう韓国の隠れた意図を見抜いているので、平壌共同宣言の履行に熱意を見せずにいるのだろう。

     

    『朝鮮日報』(3月18日付け)は、「平壌共同宣言から半年、合意13項目のうち履行わずか1項目」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「平壌共同宣言の中で具体的な実践事項は13項目。そのうち実践されたのは「年内に鉄道・道路連結の着工式を行うこと」の1項目だけだ。それさえも対北朝鮮制裁の影響で「着工のない着工式」となった。下記の7項目は現時点で全く履行されていない。

     

        南北軍事共同委員会の稼働

        条件付きで開城工業団地と金剛山観光の正常化

        金剛山に離散家族の常設面会所を開所

        離散家族の映像による面会とビデオレター交換問題の解決

        平壌芸術団のソウル公演実施

        東倉里のエンジン試験場とミサイル発射台の永久廃棄

        金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のソウル訪問

     



    上記7項目は、手つかずの項目である。北朝鮮が誠意ある対応をするつもりがあれば、③、④、⑤、⑦はいつでも実施可能なはずだ。それが見送られている理由は、韓国を甘く見ている証拠だろう。いつもの調子で、威嚇すればその場を取り繕えると見ているのだろうか。

     

    (2)「北朝鮮は、先月ハノイで行われた米朝首脳会談が決裂したころから、南北の協力事業に対する積極的な意志を示していない。平壌共同宣言のうち軍事共同委員会の稼働、平壌芸術団の公演、東倉里の施設の廃棄に関しては、北朝鮮さえその気になれば実現可能な合意事項だが、北朝鮮は沈黙を貫いている。韓国軍の関係者は『北朝鮮側から回答が来れば、いつでも軍事共同委員会を構成できるが、何ら反応を示してこない』と話した。韓国の国策研究所の関係者は、『韓国与党の主張に従って国会の批准手続きまで済ませていれば、韓国だけが自分の首を絞めることになっただろう』として『北朝鮮は初めから平壌宣言をただの宣言以上には考えていないようだ』と話した」

     

    平壌共同宣言は、北の金正恩氏の強い希望もあって、韓国国会での批准を求められた。これには野党が反対したので批准が見送られた。今になって見れば、批准しないで良かった、と胸をなでおろしているという。専制国家とは、協定など簡単に結べないのだ。そういう韓国も、北朝鮮を笑う資格はない。日本との条約である日韓基本協定を骨抜きにした。また、日韓慰安婦協定も実質破棄である。

     

    朝鮮民族は、契約精神がゼロである。契約精神は、ヨーロッパの市民社会に生まれたルールである。日本に市民社会の経験はないが、契約を遵守する国である。この背景には、江戸中期の石田梅岩の「石門心学」によって、約束を守ることが「神仏との約束」という精神が涵養されたもの。子どものころ、「嘘つきは泥棒の始り」と教えられた。約束を守る重要性を強調した教えである。

     


    (3)「北朝鮮が望んでいた南北軍事合意については、平壌共同宣言とは異なりスピーディーに進んでいる。軍事境界線(MDL)一帯への飛行禁止区域の設定、非武装地帯(DMZ)内の監視所(GP)の試験撤去、共同警備区域(JSA)の非武装化、漢江河口への共同利用水域の設定および調査、西海(黄海)の軍事境界線に当たる北方限界線(NLL)一帯への平和水域の設定など、ほとんどが実現した。こうした中、北朝鮮は一方的に合意に背く振る舞いを見せたり、韓国への宣伝戦を仕掛けたりしており、その回数は増加傾向にある」

     

    南北の軍事合意は、スピーディーに行なわれた。この問題が今後、韓国の安全保障を脅かすことにならないか。韓国メディアは、頻りにこの点について異議を呈した。文政権のお人好しが、韓国の安全保障に重大な危機を及ぼさないよう、北を監視するしかない。早まったという批判も出ている。


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    文在寅大統領は、「日帝残滓批判」という形で民族主義を煽り立てている。日帝とは日本帝国主義=植民地主義を指しており、その残滓が今なお韓国に居座っているから一掃しようという呼びかけだ。現在の日本人にとっては、ピントこない話である。日本敗戦から74年も経とうというのに、韓国に今なお「日帝残滓」がこびりついているとは信じがたい。

     

    文氏は、別の政治意図で「日帝残滓批判」を持出していると見るべきだろう。それは、日帝=韓国保守派=危険という構図である。文氏は、生涯の政治目的を南北統一に置いている。その実現に当っての障害物は、国内の保守派である。この保守派=日帝残滓と一括りにすれば政治的危険物として排斥できる。こういう単純な図式を描いている。

     

    この文氏の思惑は、米朝首脳会談決裂で躓き始めている。その後、北朝鮮が見せる核保持への強い意思によって、文氏の米朝交渉「仲介役」に疑念を呈しているのだ。こうして、思わざるところで文氏の「思惑」は軋みを見せている。同時に、文氏による「日帝残滓批判」が、官製民族主義という危険性を帯びているとの批判が出始めた。政治的に中立な「教養人」グループから提起されてきたもの。

     

    これは同時に、日韓併合時代に日本の果たした役割を冷静に評価するという動きでもある。私も、日韓併合が朝鮮近代化に果たし役割がきわめて大きいと考えている。朝鮮経済史=近代化という視点で見れば明らかであろう。

     


    朝鮮は、1920年代に工業化(産業革命)に成功しており、アジアでは日本に次ぐ早さである。それを実現したのが、日本の技術と資本である。韓国は、その遺産(教育制度を含め)を受け継いで朝鮮戦争後の急発展を可能にさせた。韓国人は、この重要な部分をすべて封印して、自分たちの努力のみで成功したと自惚れている。これが、「反日」へと向かわせている原動力である。

     

    韓国政治学界元老の崔章集(チェ・ジャンジブ)高麗大名誉教授は、韓国で進歩派として評価されているという。進歩派といえば、すべて「反日」と想像しがちである。だが、崔教授は実証主義に基づいている。日本統治時代の「遺産」が、韓国近代化において大きな役割を果たした点を、最近の学会講演で次のように力説した。

     

    (1)「解放後、韓国現代史で半分を占める前半期は、植民地遺産が人的要素はもちろん制度と運営方式、政治文化などのいくつかの面で直接的に影響を及ぼした。日帝植民残滓の清算という言葉は成立することもなく、望ましくもない」(『中央日報』3月16日付け「文大統領の三・一節演説、理念対立を煽る官製民族主義」)



    この発言に刺激されたのか、次のようなコラムが登場した。

     

    『中央日報』(3月18日付け)、「韓国、日本を甘く見れば大変なことになる」と題するコラムを掲載した。筆者は、ホ・ウソン慶煕大名誉教授である。

     

    (2)「韓国の反日感情は文化的に深く根付いているようだ。一般市民はもちろん保守・進歩と関係なく簡単に反日感情に染まる。問題は、反日感情が過剰なら対日関係において計算力が毀損され、日本の賢い政策に対処するのが難しくなる。日本は決して甘く見る相手ではない。北朝鮮への対応も難しいが、日本までが韓国を敵対視すれば韓日米の安保連携までも崩す致命的な敗着になりかねない。もし、米国の東アジア防衛ラインで韓国を除いた新アチソンラインが引かれれば、解放後70年間ほど自由主義文明の中で我々が成し遂げた発展は水の泡となり、死よりひどい隷属の道を歩くこともあり得る。戦争の可能性を1%でも低めたければ、反日感情というパトスが国際法というノモスを犯すようにしてはいけない」

    このコラムの冒頭で、「壬辰戦争」について触れている。日本では秀吉の朝鮮出兵である「文禄の役」(1592年)と「慶長の役」(1596年)だ。この問題について、「戦争責任の相当な部分が朝鮮にあると」いう主張を紹介している。実は、明治の朝鮮出兵論も朝鮮側に責任があった。日本は、明治新政府が成立した旨を伝える文書を、「明治天皇」の名義で李朝へ差し出した。李朝は、これを受け取り拒否した。理由は、日本が「天皇」という言葉を使うとは、「おこがましい」というもの。日本を格下扱いしたのだ。「壬辰戦争」も李朝が日本を侮辱したのであろう。

     

    本文の要旨は、次のようなものだ。

        日本は決して甘く見る相手ではない。

        日本まで韓国を敵対視すれば、日米韓の安保連携も崩れ。韓国が致命的な敗者になりかねない。

        反日感情というパトスが、国際法というノモスを犯すようにしてはいけない。

    これら3点は、秀吉以来の日本と朝鮮の歴史から引き出した結論のようである。文大統領に読ませたいコラムである。

     

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