勝又壽良のワールドビュー

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    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    護身で検察捜査権限を縮小

    権力を私的に利用した天罰

    世論調査が示唆の政権交代

    ユン前検察総長が有力候補

     

    韓国は、公務員による不動産投機事件が発覚して上を下への騒ぎに発展している。文政権になって、25回もの不動産対策を発表しながら、住宅高騰を止められずにきた。これだけでも、世論の反発を受けて当然だが、その上さらに公務員の不祥事が発覚した。政府不信が高まっている。

     

    韓国土地住宅公社(HL)職員が、政府の住宅建設予定地を先買いして、莫大な投機利益を懐に入れた事件の表面化だ。この関係者が一人や二人でなく、100名以上の数に上がっている。公務員の綱紀が、乱れているのだ。文政権も、検察捜査から犯罪行為を隠している。公務員が、その手法を真似たのであろう。

     

    文政権は、公務員犯罪に大慌てである。4月7日に首都ソウルと第二の都市釜山で、市長補欠選挙が行なわれる。この両市の市長選は、与党出身市長が揃ってセクハラ事件を起こしての辞任(ソウルは自死)結果である。これだけでも、与党候補に不利である。そこへ、公務員による土地投機事件が重なって、選挙戦は野党候補が有利な状況の展開である。

     

    これに慌てた政権・与党は、韓国公務員137万人全体の財産登録制度をつくるという騒ぎに発展している。137万人の財産を登録するには莫大な予算と人材投入が避けられない。これだけの人数の財産を登録すれば、その家族まで含めれば、概ね600万人が政府による財産監視の影響下に入る。韓国国民は5182万人(2020年)だ。この1割強に当る国民財産が、政府機関に登録されるとは、自由主義経済を建前とする韓国で違憲の恐れが強いであろう。

     

    そういうリスクを冒してまでも、ソウル・釜山の市長選に勝たねばならない切迫感に襲われている。ソウル市長は、閣僚級の待遇で閣議に出席できる特権が与えられている。野党出身のソウル市長が誕生すれば、閣議に野党出身者が出席するという不都合な事態になる。これは、政府情報が野党へ筒抜けになるようなものだ。与党は、来年3月大統領選の「秘策」が漏れる事態を避けたいはずである。

     

    そもそも、先の公務員137万人の財産登録制は、公務員を潜在的犯罪者に見たてている。これでは、先述の通り公務員の家族を含め600万人が、野党支持に回る可能性が強まるのだ。大統領選にとって、不利であることは言うまでもない。文政権は、こうした目先の対策に追われ将来を忘れている。進歩派政権「自沈」の道を進んでいるようなものである。

     

    最高検察庁は、公職を利用して不動産投機を行った者を全員拘束し、法定最高刑(終身刑)を求刑するよう、全国の検察庁に指示した。文政権は、検察庁「虐め」で捜査権限を縮小してきただけに、検察内部では割り切れない気持ちになっているという。本来、土地登記簿に照らし合わせた捜査は、警察の管轄であろう。それをわざわざ検察庁所管にさせた狙いは、国民へのアピールである。スタンドプレイなのだ。

     


    護身で検察捜査権限を縮小

    文政権は、検察庁から高度の捜査権を取り上げ、政権の関わった犯罪捜査を妨害した。その代わりに、単純な土地投機捜査を検察にやらせる。本来、警察捜査の分野であろう。文政権は、検察を子どものように扱っている。これが、文政権の目指す検察改革の姿なのだろう。かりそめにも、進歩派を掲げる政権のやるべきことではない。

     

    英誌『エコノミスト』(2020年11月28日号)は、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の検察改革が正反対の効果を生んでいる」と評した。ユン検察総長の職務停止(注:後に解除)が、検察全体をユン総長の側に立たせ、文大統領は前任者(朴槿惠:パククネ)のように捜査対象になりかねないと警告を発しているのだ。

     


    文氏は、以下のような3点で大きな疑惑を抱えている。朴槿惠・前大統領による「国政壟断」と質の異なる悪質な疑惑隠しである。

     

    1)蔚山(ウルサン)市長選で、文氏の長年の友人を当選させるべく、選挙戦直前に野党候補者に無実の嫌疑を掛けて家宅捜査させた。これで野党候補者(現職)の信用を失墜させ、落選させたのである。このお膳立てをしたのが、大統領府で文大統領側近の高官である。

     

    2)文氏が大統領選で掲げた「反原発」の公約を早期に実現させる目的で、黒字操業であった月城原発を「赤字経営」にデータ改ざんして、強引に操業を止めてしまった。後に会計検査院からの査察を免れるため、深夜に所管部署へしのび込み、関連データを改ざん、あるいは削除した。

     

    3)削除されたデータの中に、北朝鮮への原発建設案があった。韓国で建設中にストップさせた原発工事を再開し、北朝鮮へ電力を送電する案が含まれていたのである。また、南北の緩衝地帯に原発を建設する案まで含まれていた。韓国では、原発は危険であるとして操業を中止させながら、北朝鮮のためなら喜々として再開させる。この「ダブルスタンダード」は何であるのか。売国的な行動であろう。(つづく)

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    韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官が4月2、3日に中国招請で訪問し、王毅外相と会談する。3月18日、米韓の外務・防衛の「2+2会議」を終わっているだけに、中国は会談内容を聞き出したいところであろう。鄭氏は、どこまで話すのか。日米の目が光っている。

     

    『中央日報』(3月31日付)は、「米国より先に中国を訪問する韓国外交長官、覇権競争の中で『綱渡り外交』」と題する記事を掲載した。

     

    外交部は31日の報道資料で、「鄭長官は王毅外相の招請で中国福建省廈門を実務訪問し、4月3日に韓中外相会談を開く予定」とし「韓中関係発展案を模索すると同時に、韓半島(朝鮮半島)および国際問題などについて深みのある意見を交換する機会になるだろう」と明らかにした。



    (1)「鄭長官の今回の訪中は、2月の就任後初めての海外対面外交日程という点で象徴的な意味がある。鄭長官は18日の韓米外交・国防(2プラス2)閣僚協議に続き、25日には韓露外相会談をしたが、共に相手国のカウンターパートが訪韓して実現した日程だった。さらに政府高官級の大半が新型コロナで海外への出国を自制している点を考慮すると、鄭長官が中国との関係設定を重視していることを示唆する。実際、外交部長官が米国より先に中国を訪問するのは異例だ。歴代外交部長官はほとんどが就任後、米国訪問を高官級外交の開始点とした」

     

    歴代外交部長官はほとんどが就任後、米国訪問を高官級外交の開始点としてきた。今回は3月18日に米韓外交・国防「2+2会議」を済ませたので、中国へ訪問するのだろう。その意味では、目くじら立てることもないだろう。ただ韓国は、インド太平洋戦略の「クアッド」加入で米国へその意思を示したとすれば、米国が韓国に対して取越し苦労することもあるまい。

     

    (2)「鄭長官の訪中は、2月の王毅外相の招請後、実務協議を経て実現することになった。外交筋によると、3月中旬から韓中間で会談の日時や議題をめぐる本格的な協議が進行していたという。17日に訪韓したブリンケン米国務長官を迎えた時点には、すでに韓中外相会談に関連した日程を調整していたということだ。外交筋は「王毅外相の公式招請後、鄭義溶長官が中国訪問に対する確固たる意志を見せ、会談の日程や議題の調整が加速した」と伝えた」

     

    中国の王毅外相は、日本の茂木外相にも招請状を出しているというが、日本は右顧左眄することなく訪中せずに中国批判を展開している。日韓外相の対中姿勢を見ると、日本の方がはるかに毅然としている。韓国の鄭長官は、茂木外相との早期会談を希望すると語っている。

     

    (3)「このように韓国政府が、「同時管理」外交に注力しているのは、バイデン米政権の発足以降、米中覇権競争の構図が本格化しているからだ。18日に韓米外交・国防(2プラス2)閣僚協議が韓米同盟を強化する契機だったとすれば、鄭長官の今回の訪中は韓国が米国に傾いているという中国側の憂慮をなだめるための日程と評価される」

     

    韓国が、「同時管理外交」(バランス外交)できる技倆を持っているとは思えない。日本とこれだけ対立している韓国外交は、極めて稚拙である。対中国外交では、「米つきバッタ」のように振る舞っているとしか思えない。「ご機嫌うかがい」は、外交と呼べないのである。

     


    (4)「ただ、外交関係者の間では米中覇権競争が本格化する中での鄭長官の今回の訪中に憂慮の声も出ている。「韓米同盟は我々の外交の根幹」というメッセージと、米国よりも先に中国を訪問するという事実の間隙のためだ。特に最近中国と密着しているロシアの外相と国防次官が訪韓したのに続き、鄭長官がまた訪中して外相会談をするのは、中国に対する牽制意思を明確にしているバイデン政権を刺激する余地があるという指摘だ」

     

    米同盟国の中では、韓国が最も弱い輪と見られているのだろう。中ソが相次いで、韓国へ接近しているのは、そういう認識の結果である。これは、韓国として恥に思わなければダメである。

     

    (5)「韓中外相会談が、台湾と隣接する福建省厦門で開かれる点も注目される要素だ。台湾は最近、米国と政治・軍事的協力を強化すると同時に、中国から軍事的な脅威を受けるなど米中競争の要衝地と評価されているからだ。こうした状況で韓中外相が台湾の目の前の厦門で会談するのは、それ自体で不必要な誤解を招くおそれがある。韓国が台湾問題など米中の対立する事案で中国側と密着している信号として映るからだ。特に新型コロナで対面外交が制限される状況であるうえ、昨年11月に王毅外相が訪韓してから5カ月ぶりにチャーター機で中国を訪問する点などを勘案すると、こうした憂慮はさらに深まる」

     

    中韓外相会談が、台湾の目の前の厦門で開催することに「ピン」と来なければ外交官として落第であろう。中国が、韓国を利用しているのだ。この程度の認識では、お世辞にも「同時管理外交」とは言えない。中国の策略に飲み込まれている証拠だ。

     

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    文大統領は、内外の政策で完全に袋小路へ入り込んだ。文氏が政治生命を懸けた南北交流は、米国バイデン大統領が金正恩と面会しない方針で宙に舞うことになった。文氏の大統領在任期間は、あと13ヶ月を残すのみである。国内では、次期大統領選の候補者選びが始まる。文氏のレームダックは確実だ。文氏は、内外で何も業績を残せなかった大統領になろう。

     

    『中央日報』(3月31日付)は、「金正恩に会うことはない、これがバイデンスタイル…韓国の『トップダウン推進』立場を事実上拒否」と題する記事を掲載した。

     

    北朝鮮へのアプローチをめぐる韓国と米国の隔たりが克明に表れた。韓国は北朝鮮非核化のために米朝の首脳が直接会うトップダウン方式を好むが、米国は米朝の首脳が会うことはないという点を明確にした。北朝鮮は弾道ミサイル発射試験に続き、30日には金与正(キム・ヨジョン)労働党宣伝扇動部副部長の談話で文在寅(ムン・ジェイン)大統領に向けて「米国産オウム」「厚顔無恥」などと暴言を浴びせ、文政権が推進する南北協力に呼応する考えがないことを表した。米国とは隔たりが浮き彫りになり、北朝鮮には拒否され、文政権の北朝鮮政策は「総体的難局」に直面している。



    (1)「米ホワイトハウスは29日(現地時間)、バイデン米大統領は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会う考えはない、と明らかにした。サキ報道官はこの日の定例記者会見で、「大統領は北朝鮮と一定形式の外交をする準備ができていると話したが、金委員長と向き合って座ることも含まれるのか」という質問を受けると、「彼(バイデン大統領)の接近方式はかなり異なると考える。それは彼の意図ではない」と答えた。ホワイトハウスと米国務省はバイデン政権の発足直後から北朝鮮に対する「新しい接近法」を予告してきたが、首脳会談の可能性を一蹴したのは異例だ」

     

    文氏は、大統領在任中になんとしてもあと一回、金正恩氏と会談したい。これによって、南北交流を軌道に乗せたいとしているが、不可能になってきた。7月の東京五輪で、日米韓朝4ヶ国首脳会談を開きたいという夢物語は完全に消えた。

     

    (2)「文在寅政権はバイデン政権にシンガポール式の米朝首脳会談を提案するなど、トランプ式の北朝鮮政策の延長線で政策を推進すべきだという立場を伝えたが、結局、拒否されたのだ。ブリンケン国務長官は国連体制内で同盟と共に北朝鮮の核問題を扱うと強調した。ブリンケン長官はこの日、ニューヨークの海外メディア向けプレスセンターで記者会見し、「(北朝鮮の)弾道ミサイル発射は国連安保理決議を違反し、地域と国際社会を脅かすため、我々そして国連体制を含む同盟とパートナーの糾弾対象だ」と明らかにした。これに先立ちバイデン大統領は25日、「ミサイル発射は国連安保理決議1718号違反」と宣言し、米国は直ちに安保理傘下の北朝鮮制裁委員会を招集した」

     

    米国は、トランプ大統領時代の米朝トップ会談で問題解決する方式を捨てた。全て、国連や同盟国と一致した行動によって、北朝鮮へ圧力を掛ける方式へ戻る。文大統領が、単騎で動いてもどうにもならない状況になっている。

     

    (3)「トランプ政権の北朝鮮政策がトランプ-金正恩間の首脳外交に焦点を合わせたのに対し、バイデン政権は韓日米3カ国の連携や中国など周辺国の関与を強調した。ブリンケン国務長官は「我々は北朝鮮問題に関しては米韓日間の調整がどれほど重要であるかを知っている」とし「3カ国は北朝鮮の挑発に対抗して朝鮮半島非核化を進展させるという約束の前で団結している」と評価した。

    米国は、先ず日米韓3ヶ国で北朝鮮の徴発に対抗する姿勢である。韓国だけの動きを封じている。

     


    (4)「ブリンケン長官は最近、韓国と日本を訪問した当時、北朝鮮核問題を主な議題とし、アラスカ州アンカレジで中国側とも議論したと伝え、「中国と意見がある程度一致する分野の一つだと考える」と述べた。北朝鮮の同盟であり経済的な命綱である中国までも引き込んで北朝鮮を圧迫するという米国の意志を表している」

     

    米国は、中国とのアラスカ会談において北朝鮮問題で歩み寄りの可能性がある、と見ている。中国は、北朝鮮問題で米国へ歩みよらざるを得ない事態を抱えているようだ。その中身は不明である。

     

    (5)「米軍は30日、米陸軍ホームページで、在韓米軍をはじめとするインド太平洋地域の米軍が今月初めから12日までミサイル防衛合同訓練をしたと、今になって公開した。太平洋地域駐留米軍のミサイル防衛部隊が合同訓練に同時に参加したのは初めてだ。訓練に参加した米軍部隊の配置地域を見ると、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃を想定している可能性が高い。今回の訓練を自衛隊は参観した可能性が高いが、韓国軍は参加しなかった。軍関係者は「米軍は韓国軍に参加を要請しなかった」と話した」

    下線部のように、米国は韓国と一線を引いている。韓国とは、「腹を割った話合い」を避けているようにも見える。韓国を信頼しきれないという面があるのだろう。

     

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    韓国の一部公務員が、政府の内部情報を利用して公共事業用地を先買い、大儲けしたことで非難が殺到している。文政権は、この非難を交わすべく新たに公務員130万人の財産を登録させると発表した。これに対して、公共事業と無縁の職場の公務員からは、逆に政府非難が出るなど蜂の巣を突いたような騒ぎである。

     

    政府は、4月7日のソウル・釜山の両市長選が与党候補不利であることから、選挙対策上「一芝居」打っている感じが強い。ここまで真剣に不動産対策を行っている、というポーズなのだ。

     

    『中央日報』(3月30日付)は、「韓国、9級末端公務員まで財産登録 100万人に青天の霹靂」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府と与党が公職者の不動産投機根絶に向け、公職者の財産登録範囲を9級下位職の公務員まで拡大する案を出したことを受け公務員らが反発している。


    (1)「洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官は29日に不動産投機根絶と再発防止対策に関する会見を開き、「不動産投機根絶と再発防止対策をまとめ、政府は法・制度・文化・行動などを原点から点検した。原則的にすべての公職者に財産を登録させる」と明らかにした。「特に予防対策に重点を置いた」とした。前日「共に民主党」と政府が韓国土地住宅公社(LH)事態の再発防止対策高位協議会を開いて導出した結果だ」

     

    政府は、130万公務員の財産を登録させると言うが、公共事業と無関係な職場に勤務する公務員まで調査するのは非現実的である。「土地情報」に関係する職場だけ調査すれば済む話であろう。政府は、これまでの「土地無策」を全公務員調査で隠す、あくどいやり方である。

     

    (2)「洪副首相の言葉通りならば、現在4級以上の公務員を基準としている公職者財産義務登録範囲が5~9級まで拡大する。昨年出された行政安全部の「2020行政安全統計年報」が集計した2019年12月基準の全国の公務員数は110万4000人だ。政府はすべての公務員と公共機関職員まで加えれば財産登録義務化対象は130万人程度になると推定した。現在財産登録対象の高位公務員は約23万人だ。新政策が施行されれば100万人以上が追加で登録対象になる」

     

    現在、財産登録対象の高位公務員は、約23万人である。新政策が施行されれば、さらに100万人以上が追加で登録対象になる。一口に100万人というが、膨大な事務量の増加で、ほとんど意味をなさない業務であろう。土地情報の管理を徹底化し、当該地の土地登記簿を集中的に調査すれば犯罪の有無は判明するはずなのだ。

     


    (3)「これに対し、「すべての公務員を潜在的犯罪者とみているということなのか」という反発が出ている。大邱(テグ)公務員労働組合はこの日声明を通じ「(すべての公職者財産登録義務化は)ニューフェース公務員に犯罪集団のくびきをかけるもの。公務員という理由で親の財産まで公開しなければならないいまの大韓民国の現実はあまりにみじめだ」と明らかにした。その上で「財産登録義務化を即時中断し、1日も早く実効性ある政策をまとめるよう厳重に要求する」と強調した」

     

    一般公務員の反発は大きいであろう。土地と無関係な職場に勤務する公務員には、不愉快千万であろう。実効性ある政策は、前のパラグラフで私が提案したように、土地情報の管理を徹底化し、当該地の土地登記簿を集中的に調査すれば公務員の投機行為が把握可能である。

     

    (4)「一部では、4月の補欠選挙を控え怒った世論をなだめるための方便にすぎないと解釈した。これに先立ち全国公務員労働組合は23日に声明を出し、「選挙を控えて危機を回避するためのアピール式展示行政を中断すべき。下位職公務員は土地投機危機から目をそらすためのスケープゴートではない」と強調した。全教組出身である大田(テジョン)地域の小学校教師は「政権が公職社会の票をすべてあきらめたようだ」と声を高めた」

     

    目前に迫ったソウル・釜山の市長選対策である。政府は、不動産対策を真剣に行なっているというポーズを見せたいだけである。

     


    (5)「
    実効性に対する疑問も提起された。大邱公務員労働組合は「(財産登録義務化が)もっともらしい対策のように見えるが実効性も効果もない制度」と主張した。同組合は「自治体9級から7級公務員はほとんどが住民自治センターや事業所で請願業務を処理している。彼らは(LH事態を呼んだ不動産関連の)『特定情報』に対する接近は不可能だ」と説明した」

    自治体9級から7級公務員は、全く政策立案とその実行を担う職場と無縁である。「市民窓口」へ勤務する公務員の財産登録は、無意味で事務煩雑になろう。プライバシーの侵害にも当るのだ。

     

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    韓国、「選挙対策」ソウル・釜山市長選で与党不利 全公務員の財産調査し土地投機封じ「

     

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    アップルが開発中である夢の自動EV(電気自動車)は、まだ受託生産先が決まらず交渉中という。韓国の現代自動車や同傘下の気亜が一時、有力な受託生産先と報じられ、株価が急騰する場面もあった。また、日産自動車も「交渉中」と噂されたが、空振りに終わった。その後は、すっかりアップルカーの話題が消えたが、新たに鴻海(ホンハイ)が受託生産先に浮上している。

     

    『ブルームバーグ』(3月30日付)は、「アップルカー iPhoneで培った手法で開発か 自動車会社と協議難航」と題する記事を掲載した。

     

    アップルには新製品の投入に向けお決まりのやり方がある。自社で設計、独自の部品を調達し、外部のメーカーに組み立てを委託し協力していくというものだ。

     

    (1)「自動車市場への参入を目指すアップルだが、一部の大手自動車メーカーとの協議は行き詰まっている。そのため「iPhone(アイフォーン)」などで培ってきた手法を採用し、製造を請け負う比較的知名度の低い企業と手を組む可能性がある。自動車の製造でアップルには主に3つの選択肢がある。既存の自動車メーカーとの提携、独自の製造施設建設、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)やカナダのマグナ・インターナショナルなど受託生産事業者との協力だ」

     


    かねてから、自動車の開発・生産受託の世界大手であるマグナ・シュタイヤー(オーストリア)の存在が注目されてきた。同社のフランク・クライン社長は日本経済新聞の取材に「マグナは車業界のフォックスコン(台湾・鴻海=ホンハイ=精密工業傘下)になりつつある」と述べたことがある。

     

    マグナはこれまでに10社、30モデル、累計370万台の車を生産した。独メルセデス・ベンツの高級多目的スポーツ車(SUV)「Gクラス」、独BMWのセダン「5シリーズ」、トヨタ自動車のスポーツ車「GRスープラ」などだ。ソニーのコンセプトEV「VISION-S(ビジョンS)」の製造を受託し、最近は、アップルが参入を検討しているEVの提携先の候補として取り沙汰されたこともある。

     

    (2)「アップルは韓国の現代自動車など複数の自動車メーカーと接触したが、協議は難航。このシナリオでは、アップルが自動運転システム、内外装および車載技術を開発し、最終的な生産を自動車メーカーに委託する。これは実質的には既存の自動車会社に対し、自社ブランドを捨て、新たなライバルの製造を引き受けるよう依頼するようなものだ」

     

    既存自動車メーカーにとっては、受託生産によって固定費は引下げられるメリットがある。ただ、アップルカーの「下請け」というイメージは、「社格」に傷をつけるというマイナス面も考慮しなければならない。

     

    (3)「アップルは機能の仕方や形など自動車の仕組みそのものの前提に挑もうとしているが、従来からの自動車メーカーは、そうした現行の価値基準を打ち砕くライバルとなる可能性を秘めた企業の支援には消極的だ。アップル、テスラ両社で長くマネジャーを務めた関係者は匿名を条件にこう指摘する」

     

    アップルが、既存の自動車の枠を飛び出たEVとなれば、受託生産先の自動車メーカーには、自らライバルを育てることに協力するような矛楯を背負うことになる。こうなると、「アップル」というブランドに飛びつく危険性が高くなるのだ。

     

    (4)「アップルと自動車業界の交渉はここ数カ月で立ち消え状態となっている。現代自と傘下の起亜自動車は電気自動車の開発に関する協議を確認していたが、その直後に協議を行っていないと説明。アップルの自動運転車チームは昨年、フェラーリの担当者と会ったものの進展はなかったと、事情に詳しい1人の関係者が明らかにした。日産自動車は今年2月、アップルと協議していないことを確認した」

     

    現代自と傘下の起亜は、韓国株式市場が「好材料」と飛びついただけで終わった。アップルは、なぜか交渉をひた隠しするクセがある。株式市場で話題になれば、それだけで交渉を打ち切るという「高飛車」な態度だ。交渉過程を伏せておいて、「アッ」と驚かす手法を狙っているのかも知れない。

     

    (5)「こうした事情を背景に、鴻海精密とマグナがアップルの自動車事業を巡る提携で有力候補に浮上していると、複数の業界関係者が明らかにした。鴻海精密はiPhone組み立てでアップルに最も頼られているほか、自動車事業にも進出。マグナも約5年前にアップルと自動車製造を巡り協議していた経緯がある」

     

    アップルの「iPhone(アイフォーン)」の受託生産で密接な関係にある鴻海が、アップルカーの受託生産先に取沙汰されている。鴻海は3月25日、EV事業参入を発表した。同社への協力を表明したサプライヤーが1200社超に達したと明らかにした。ソフトウエアや自動車部品の世界大手が名を連ね、日本からは日本電産などが参加する。

     

    鴻海によれば、2023年に量産を始め「25~27年にEV市場で世界シェア10%を獲得する」のが当面の目標としている。鴻海自身がEVの8割を設計して無料提供し、新規EV参加企業に割安EV生産を実現させるという企業モデルを考案した。生産は、鴻海が担当するもの。この鴻海EVモデルとアップルカーがどのように組み合わせるのか。鴻海は、独自モデルとアップルカーモデルの「二本立て」になるのだろう。

     

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