勝又壽良のワールドビュー

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    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国は、先の米韓外交・防衛「2+2会議」でクアッド参加を内示している証拠に、米韓共同声明において、米韓同盟の範囲が「朝鮮半島とインド太平洋地域の平和、安保、繁栄の核心軸」と定義した。これまでの米韓同盟の範囲である朝鮮半島に、インド太平洋地域が加わっている以上、韓国が一歩外へ踏み出していることは間違いない。

     

    ただ、文政権がこれまで「二股外交」を行なってきた手前、掌返しができずに沈黙しているのであろう。中国とロシアは、韓国のこの微妙な立ち位置を理解せず、韓国がクアッドと無関係な存在とみているようだ。

     

    『朝鮮日報』(3月23日付)は、「香港紙、韓国が日本より中国に融和的『経済を前面に出して韓中関係を改善すべき』」と題する記事を掲載した。

     

    香港紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』(SCMP)は3月22日、中国が韓国と良い関係を維持する必要が高まったと報じた。

     


    (1)「韓国と日本が最近、それぞれ米国との間で開催した高官級協議「22」で中国に対して異なるアプローチを示したことが、このような主張の根拠になっている。これに関連し、SCMPは「日本は強硬な立場だったが、韓国は(米中間の)力の対決の間に挟まれるのを避けようと努力し、やや融和的な立場を示した」と分析した。協議の後の米日共同声明では、中国が国際秩序に合致しない行動を取っていると批判したが、韓米共同声明では国際秩序に関する部分で「中国」が明記されなかったというわけだ」

     

    日米共同声明と米韓共同声明では、世界情勢に与える影響度が全く異なっている。日米は、尖閣諸島や台湾の防衛で大きな関わりを持っている。米韓では、朝鮮半島の38度線防衛が当面の課題である。このように地政学的な重要性が異なる以上、米国の力の入れ方は違ってくるはずだ。

     

    文政権は、これまでの行きがかりで中国との関係を保ってきた。トランプ政権もそれを認めてきた経緯がある。バイデン政権に変わって、米同盟国は価値外交で足並みを揃える状況になった以上、韓国へ外交路線切り替えの時間的ゆとりを与えていると見るべきだろう。

     


    (2)「中国の遼寧大学変革国家経済政治研究センターの李家成・先任研究員は、SCMPとのインタビューで、韓国は日本と異なり、中国との領土紛争がなく、中国に対抗して米国側につくことには(日本より)慎重だったと主張した。さらに「韓国は中国が北朝鮮核問題の解決を支援することを望んでおり、経済的にも依存している」として、「一方で、米日共同声明を見ると、今後中国と日本の関係の展望が肯定的ではなく、両国関係は徐々に悪化するだろう」との見方を示した」

     

    韓国には、米韓同盟という厳粛な安全保障条約が存在する以上、いまさらこれを反古にして中朝へ接近できるはずがない。もしそうするならば、国民の意思を問うべきであり、文政権が一存でできる話でない。最終的には、現存する米韓相互防衛条約に縛られるものだ。

     

    (3)「華南理工大学のグオ・ハイ研究員は、米日の安全保障同盟は徐々に強まる見通しで、中国に対する日本の認識が変わるとは思えないとの見方を示した上で「中国は韓国との関係を強化する必要がある」と強調した。復旦大学の宋魯鄭研究員は、中国は独島(日本名:竹島)をめぐる韓日間の領土紛争を利用し、主に経済的手段を用いて韓国との関係改善を図る必要性が高いと明らかにした。ただし宋研究員は「韓中関係は、中国がどれだけ多くの政策的手段を有しているかにかかっている」として「現在、経済と貿易以外に、中国には韓国を活用する手段が多くない」と指摘した」

     

    中国は、韓国と経済的な関係を強めて中韓関係の強化を狙っている。だが、米中デカップリングの進行によって、中国は米国市場からしだいに閉出されて行くはずだ。そうなれば、中国経済は規模縮小を迫られる。韓国は、そういう中国に経済的な魅力を感じなくなる。米中デカップリングは、米国のTPP(環太平洋経済連携協定)復帰が実現すれば、中国締出しが明確になるはずだ。

     


    『朝鮮日報』(3月23日付)は、「ロシア外相がインド太平洋戦略を批判、韓国の参加を警戒」と題する記事を掲載した。

     

    ロシアのラブロフ外相が中国けん制を念頭に置いた米国のインド太平洋戦略を強く批判し、韓国の参加を警戒した。

    (4)「ラブロフ氏は23日の韓国訪問を前に、モスクワで19日(現地時間)に行った韓国特派員とのオンラインインタビューで、今回の訪問での韓国側との会談の主要議題に関する質問に対し「アジア太平洋地域で、韓国はロシアの非常に重要で展望あるパートナーだ。アジア太平洋地域の問題も協議する」と答えた。現在、アジア太平洋地域を再編しようとする試みがあり、インド太平洋地域という用語が導入されたとした上で、「この過程の意味は非常に憂慮される」と指摘した。東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とした構造に対峙(たいじ)する何かを作ろうとする試みが行われていると述べ、否定的な立場を示した」

     

    朝鮮李朝末期の外交は、日本・中国・ロシアの三派に分かれて争っていた。現在再び、これら三国に加え米国が韓国外交の帰趨に大きな関わりを持ち始めている。歴史の皮肉を感じるほかない。当時は、価値外交という理念はなかった。現在は、民主主議という大きな枠が掛っている。このことに重点を置けば、結論は自然に出るはずである。

     

    中露が、韓国を味方につけようとしているのは、「合従連衡」という策略に他ならない。韓国を「弱い輪」と見てここへ手を突っ込めば、米国の同盟を崩せると読んでいる結果である。韓国は、節操のない国と見られているのだ。

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    「驕れる者久しからず」と言われるが、韓国政界で地殻変動が始まった。昨年4月の総選挙では、与党「共に民主党」が総議席の6割を獲得し盤石の構えであった。あれから1年も経たないうちに、「文在寅丸」は大きく傾いてきたのである。

     

    4月のソウルと釜山の両市長選は、大統領選の前哨戦と位置づけられている。この選挙の原因は、いずれも与党出身市長のセクハラ辞職によるものだ。ソウル前市長は、セクハラ発覚で自殺するという前代未聞の事件を引き起した。米国務省の「各国別人権調査」では、このセクハラ事件が取り上げられ、韓国が人権「三流国」であるとの烙印を押されている。

    ソウル市長選は、3月25日から始まる。与野党が候補者を出すが22日、野党候補の一本化が成功した。世論調査では、野党候補が大差で与党を引き離している。釜山も野党候補が有利な状況である。韓国で一位、二位のソウルと釜山の市長選が野党勝利となれば、文政権のレームダック化が確定的になろう。

     


    『ハンギョレ新聞』(3月23日付)は、「文大統領と与党の支持率が“最低”に、大統領選挙の構図まで“トリプル劣勢”」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の政府与党にとって不吉な兆候が続いている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国政遂行への支持率が最低値を更新したのに続き、政権与党の支持率が急落した。着実に優位を保ってきた次期大統領選挙の構図でも与党が劣勢に転じた。

     

    「22日に公開された各種世論調査の結果を見ると、与党の危機状況が一目で分かる。文在寅大統領の国政遂行に対する支持率はこれまでで最低値に落ち込んだ。リアルメーターが「YTN」の依頼で今月15日から19日まで全国有権者2510人を対象に実施した世論調査で、文大統領の国政遂行に対する支持は先週より3.6ポイント下落した34.%だった。不支持は4.%上昇した62.%だった。支持は政権発足以来最低である一方、不支持は最高値を記録したのだ」

     

    文政権支持率34.%、不支持率62.%は、政権構造が傾いた決定的なデータである。韓国世論調査では「35対55」の法則がある。35%は、絶対に動かない支持基盤である。55%は、「固有の支持基盤+中道派」である。この方程式に当てはめると。文政権支持率は、進歩派だけとなった。不支持は保守派と中道派を合計したもの。中道派は、文政権を見捨てたというのが、現在の世論調査の示唆する内容である。

     


    (2)「何より文在寅政権の主な支持層である40代の年齢層の変化が目立つ。同年代で国政遂行に対する支持は51.%で、不支持は46.%だった。もう一つの主な指標である政権与党の支持率も不安な状況だ。リアルメーターの調査で共に民主党の支持率は、前週に比べ2.0ポイント下落した28.%で、文在寅政権発足以来、最も低かった。国民の力が3.%上昇して35.%を記録し、両党の支持率の格差は7.4ポイントで誤差範囲(信頼水準95%、誤差範囲±2.%)を越えた」

     

    文政権の主な支持層は40代である。この層での支持・不支持が拮抗している。与野党支持率では、与党28.%、野党35.%となった。支持率の格差は、7.4ポイントと誤差範囲を超えており、野党優勢という結果を生んだ。

     


    (3)「与党をさらに不安にさせるのは、大統領と与党に対する不支持が次期大統領選挙の構図にも影響している点だ。
    数回の危機の中でも与党と支持層が大きく動揺しなかった主な理由は、次期大統領の座をめぐる競争で民主党候補のイ・ジェミョン京畿道知事とイ・ナギョン前民主党代表が2強構図を維持してきたからだ。しかし、最近になってユン・ソクヨル前検察総長の支持率が上昇し、不安が高まっている。同日、韓国社会世論研究所(KSOI)が「TBS」の依頼で実施した世論調査では、ユン前総長の支持率は39.%で、2位のイ・ジェミョン知事(21.%)と3位のイ・ナギョン前代表(11.%)の支持率の合計を上回った」

     

    来年の大統領選では、与党候補予定者の支持率が不利という結果になった。

    ユン前検察総長   39.%(立候補意思表明せず)

    イ・ジェミョン知事 21.%(与党)

    イ・ナギョン前代表 11.%(与党)

     

    与党2人の合計支持率は、33.6%であるが、ユン前検察総長の39.1%に届かないという屈辱的な結果になった。ユン前検察総長は、大統領選へ立候補するか否かを明らかにしていない。ただ、「政治的発言はする」とだけ明らかにした。ユン氏への高い支持率は、現政権への不満の裏返しである。

     


    (4)「文在寅政権は、(朴政権弾劾要求の)「ろうそくデモ」を背景に登場した。現在は、発足後初めて迎える“複合危機”という分析が注目に値する。政界の内外では、今回の支持率の下落の原因について、これまで起きていた危機要因が累積的に影響を及ぼしていると見ている」

     

    具体的には、(法務部長官の)「チョ・グク事態」を契機に直面した道徳性の危機、法務部と検察の対立による疲労感、不動産政策の失敗に対する深い不信感、LH(韓国住宅土地公社)問題で、LH職員が開発予定地域の土地を事前に買い付けた投機事件など、公正性の危機が重なって文政権の統治能力全般に対する信頼が落ちたことが指摘されている。

     

    さらには、最低賃金の大幅引上げが大量の失業者を生み出し、出生率の異常低下を招いている。韓国経済の将来に対して回復不能な禍根を残した。文政権は、韓国にとってプラスになることがゼロという最悪政権の烙印を押されるであろう。

     

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    韓国国防部長官が、これまで聞いたこともない「親日発言」をした。米韓国務・防衛「2+2会議」を行なった翌日19日、米国経済通信社『ブルームバーグ』とのインタビューで「日韓安保協力は価値ある資産」と発言したのである。

     

    韓国は、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)をめぐって2019年8月、破棄すると大騒ぎした経緯がある。米国の猛反対によって取り下げたが、実態は「いつでも協定中止できる状態」という宙ぶらりんの形になっている。日本が、半導体の重要3素材の輸出手続き強化に踏み切ったことへの報復であった。

     

    この韓国がその後、当時の国防部長官は交代して変わっているとはいえ、「日韓安保協力は価値ある資産」発言するまでに変わってきたのだ。米国の強い要請があったのであろう。

     

    『中央日報』(3月22日付)は、「韓国国防長官『韓日安保協力は価値ある資産 国防協力レベルで必要』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の徐旭(ソ・ウク)国防部長官が「韓半島(朝鮮半島)保護は韓米同盟を中心にしているが、我々は韓日安保協力も価値のある資産だとみている。それで維持している」と述べ、日本との軍事協力強化の可能性を示唆した。

     

    (1)「3月22日の『ブルームバーグ通信』によると、徐長官はブルームバーグTVのインタビューで「歴史に関連する問題の事案が厳然と存在するが、我々は韓日関係が国防協力のレベルで必要だとみる」とし「我々は軍事的な議論を続けていき、未来に協力を維持していく考え」と明らかにした。徐長官は先週、ブリンケン米国務長官、 オースティン米国防長官と会ったが、インタビューはその翌日に行われた。ブルームバーグは、バイデン米政権の国務・国防長官の韓国・日本訪問がふさがった韓日関係の緩和につながるとみられる、と分析した」

     

    徐国防部長官は、これまで予想もしていなかった「親日発言」をした。韓国を取り巻く状況が180度変わったことを印象づけるものだ。さらに驚くべきことは、日本に倣って「軽空母」の建艦に踏み切ることだ。目的は、「インド太平洋戦略」への協力姿勢を見せていることである。この点については後で取り上げる。

     


    (2)「徐長官はバイデン政権と韓米同盟を発展させ、国際舞台でさらに大きな役割ができるようにすべきだと強調した。ブルームバーグは、バイデン政権が中東海域の安全確保など国際安全保障体系にさらに参加すべきと圧力を加えた後、韓国政府が空母と原子力潜水艦の獲得を推進している、と説明した。また、これは韓国では過去数年間で最大規模の軍事力増強であり、韓国は海外でより一層大きな力を投射できるだろうと伝えた。空母計画について徐長官は「未来の潜在的脅威に対応する、すなわち韓半島のための範囲の問題であり、人道主義支援などの問題で柔軟性を確保しようということだ」と述べた」

    韓国は軽空母と原子力潜水艦を建艦するという。朝鮮半島周辺の海域では、軍事的にも軽空母も原子力潜水艦も必要ないはず。それが、「徐長官は、バイデン政権と韓米同盟を発展させ、国際舞台でさらに大きな役割ができるようにすべきだと強調した」。韓国政府は沈黙しているが、インド太平洋戦略「クアッド」(日米豪印)への参加を示した結果である。韓国海軍が、インド太平洋へ進出するという前提がなければ、軽空母も原子力潜水艦も不要のはずである。

     

    『中央日報』(3月22日付)は、「英国、『韓国に空母技術提供 非公式対話を開始』」と題する記事を掲載した。

     

    英国が空母に関する技術を韓国に輸出するため非公式対話を始めたと、英テレグラフが21日(現地時間)報じた。テレグラフによると、英国は空母「クイーン・エリザベス」製作のためにバブコック、BAEシステムズ、タレスなどの連合が開発した先進システムとデザインを、韓国側に提案した。

    (3)「韓国海軍は、「クイーン・エリザベス」(6万5000トン)より小さい軽空母建造事業を推進中だ。テレグラフは業界情報筋を引用し、英国際通商省が韓国側と非公式対話を始めたと伝えた。ウォレス英国防相は今年1月、韓国の徐旭国防長官と電話会談し、軍事問題と関連した緊密な協力について議論した。英政府報道官はテレグラフに「英国と韓国は重要な国防、安保関係を結んでいる」とし、インド太平洋での協力がさらに多くの地域での協力をもたらすだろうと述べた

     

    韓国国防部は2月22日、2033年までに国産軽空母を実戦配備するという計画を発表した。このため2兆ウォン(約1920億円)以上を投入すると明らかにした。この計画実現のために、英国から空母建艦技術を導入すると英『テレグラフ』が報じた。

     

    下線部で、「英国と韓国は重要な国防、安保関係を結んでいる」とし、「インド太平洋での協力がさらに多くの地域での協力をもたらすだろう」と述べた点に注目すべきである。韓国は、インド太平洋戦略の「クアッド」参加を前提に、軽空母の建艦に着手するのであろう。だからこそ、「犬猿の仲」の日本と関係修復に出ていると読むべきである。

     

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    あじさいのたまご
       

    韓国労組は、「労働貴族」と称されるほど強い反対運動を展開することで名を馳せている。EV(電気自動車)化の進行で労働作業量が減ることから、早くも「EV化」に反対姿勢を見せている。

     

    労組が反対する裏には、韓国労働市場が「半失業時代」に陥っているプレッシャーもある。失業という虎が、大きな口を開けているからだ。それでも、まだEV化で人員整理問題が起こっている訳でない。

     

    韓国自動車労組の「EV化反対」は、英国産業革命時に見られた「ラッダイト運動」を思い出させる。1811~17年頃にかけて機械使用の普及により、失業の恐れを感じた手工業者・労働者が起こした機械破壊運動である。後世においては、時代の進展を弁えない行動として批判されているが、韓国で第二の精神的な「ラッダイト運動」が始まった。

     


    『韓国経済新聞』(3月22日付)は、
    「『仕事なくなるかも』労組反発…既得権に足引っ張られる韓国の未来車」と題する記事を掲載した。

     

    電気自動車や水素電気自動車などエコカー産業があちこちで内燃機関時代の既得権に妨げられ競争力を育てられずにいるという懸念が大きくなっている。生産、販売、運行、充電など各分野の既得権層である労働組合、営業組織、既存事業者などの反発のせいだ。

     

    (1)「3月21日の業界によると、今年に入り電気自動車や水素自動車などエコカー販売が突風を起こしている。現代自動車の電気自動車「アイオニック5」は事前契約件数が4万台を超えた。今年の販売目標の2万6500台を大きく上回る。水素自動車「ネクソ」は全国で品切れが続いている。各自治体の2021年型ネクソに対する補助金申請受付が開始と同時に締め切られるほどだ。全国各地でネクソの補助金受付が始まるとともに申請台数が支援台数を超えた」

     

    水素自動車の購入には補助金がつくので、消費者の人気は上々である。購入申請台数が、計画台数を上回るほどだ。



    (2)「エコカー市場が拡大しあちこちであつれきも起きている。現代自動車労使はアイオニック5の生産人材規模をめぐり最近まで対立を生じさせていた。労組は一時生産ラインを止めることもした。電気自動車量産にともなう人材縮小に反対したのだ。オンラインなど販売チャンネルを多様化しようとする動きには既存の営業組織が強く反発している。エコカー充電所の拡大には既存のガソリンスタンド業界の抵抗が激しい」

    エコカーは、既存の自動車関連業界に衝撃を与える。労働現場の作業量減少、オンライン販売で既存の営業組織が不要。また、ガソリンスタンドも需要減少に見舞われるからだ。トータルでは、相当の関連需要の減少が不可避となる。

     

    (3)「現代自動車蔚山工場では、5日に次世代電気自動車アイオニック5テストカーの生産ライン投入をめぐり、労使がもみ合う一触即発の状況が起きた。会社側が、アイオニック5量産ラインに投じる人材規模(マンアワー)に対する労使合意に至っていない状況でテストカーを投じると、労組がラインを止めたのだ。電気自動車は部品数が内燃機関車より30%ほど少ない。それだけ生産人材を減らす余地がある

     

    EVでは、部品点数が約30%減少する。それだけ、工程数が減るので労働者の数が浮く計算である。

     


    (4)「労組は、人材が減少すれば労働強度がさらに強まるとして、量産に先立ち実力行使に出た。水素電気自動車、電気自動車の品切れが続くなど、エコカー時代が本格的に開かれ内燃機関車時代の既得権層の反発も大きくなっている。じっとしていていては、仕事を奪われるかも知れないという懸念のためだ。しかし変化を拒否すれば激しい世界的な未来車競争で遅れを取ることになりかねないというのが専門家らの指摘だ」

    生産工程の減少は、生産現場の労働者を減らす。労組は、結果として労働強化が起こると警戒している。これは、労使の話合いで解決するほかない。韓国の労使は、日本の労使関係と異なり信頼関係が欠如している。だから、話合いよりも実力行使で決着させる悪例を積み重ねてきた。

     


    (5)「輸入車会社は、すでにオンラインで車を販売している。テスラは、当初から100%オンラインだけで車を販売し、昨年韓国で1万台以上の実績を上げた。電気自動車部門1位だった。メルセデスベンツ、BMWなども韓国でオンライン販売を増やす計画だ。業界関係者は、「中長期的にオンラインチャンネルの強化は逆らうことはできない流れ。このままでは国産車が消費者からそっぽを向かれかねない」と指摘した」

    韓国に進出している海外自動車は、すでにオンライン販売に踏み切っている。韓国自動車企業も、オンライン販売に進まざるを得なくなろう。韓国の自動車関連産業は、大きな転換期に遭遇している。日本でも避けられない動きとなろう。TVでは、自動車のオンライン販売の宣伝活動が始まっている。


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    米国務省が、2020年の「国別人権報告書」を発表した。その中で、韓国がヤリ玉に上がっている。人権派弁護士出身として名前を売ってきた文大統領が、俎上に乗せられているのだ。

     

    文大統領は、日本だけには厳しい人権論を押し立てて攻めまくった。旧慰安婦問題は、日本の人権無視であり永遠に「時効はない」と舌鋒鋭く斬り込んできたのである。だが、韓国国内や北朝鮮に対しては、「人権違反」に沈黙するダブルスタンダードを採用。米国務省が、この矛楯を鋭く指摘し改善を求めているのだ。

     


    『朝鮮日報』(3月22日付)は、「米国、対北ビラ禁止からチョ・グクや尹美香の腐敗まで言及」と題する記事を掲載した。

     

    米国務省は2020年の「国別人権報告書」の中で、北朝鮮だけでなく韓国国内の人権問題についても細かく指摘した。トランプ前政権では北朝鮮の人権問題はあまり深刻に取り扱われなかったが、バイデン政権ではこれを非核化と同じく対北朝鮮政策の前面に押し出すと同時に、金正恩(キム・ジョンウン)政権との対話や協力を口実に、北朝鮮の人権問題から顔を背ける文在寅(ムン・ジェイン)政権の動きにブレーキをかける意図が見え隠れするという見方もされている。

     

    (1)「金錫友(キム・ソクウ)元韓国統一部(省に相当、以下同じ)次官は21日「トランプ前大統領による衝動的な対北朝鮮政策に便乗して、文在寅政権は北朝鮮の人権問題を後回しにしてきた。しかし今は民主主義の価値を重視するバイデン政権の登場によって非常事態になっている」とした上で「文大統領はかつて人権弁護士といわれてきたが、今後は人権問題への対応に対する批判につながってくるだろう」との見方を示した」

     

    文氏は、「人権派弁護士」の顔を使い分けてきた。日本へは厳しく、国内や北朝鮮には甘いという政治的な利用をしてきたのである。この二刀流使いが、米国から批判されることになった。

     


    (2)「外交関係者の間からは、米国務省が北朝鮮の人権問題だけでなく韓国の与党勢力による不正や腐敗、さらにセクハラにまで言及した点に注目する見方が広がっている。報告書にはチョ・グク元韓国法務部長官の腐敗容疑、韓国与党・共に民主党の尹美香(ユン・ミヒャン)議員による横領や背任での起訴、故・朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長や呉巨敦(オ・ゴドン)元釜山市長によるセクハラなども記載されている」

     

    米国は、韓国政府や与党が引き起してきた腐敗や反日を利用した横領、セクハラなどの事件が、全て人権無視と関わっているものと総括している。文大統領は、これらの事件について沈黙して「われ関せず」で通してきた。海の向こうの米国が、堪りかねて「人権無視」という声を出してくれたお陰で、韓国政府は対応せざるを得なくなろう。

     


    (3)「これについて、キム・ホンギュン元韓国外交部韓半島平和交渉本部長は、「米国は同盟国に対する人権報告書であえて指摘する必要のない内容まで記載したが、その背景を把握するため外交部は今大忙しだろう」とコメントした。別のある外交官幹部OBは「韓国政府は北朝鮮の人権問題から顔を背けているが、これについて米国は『全般的な民主主義の退行』という観点から認識している可能性が考えられる」との見方を示した。外交関係者の間からは「人権弁護士出身の大統領がいる国が、金正恩政権による人権じゅうりんに顔を背けた結果、非常に追い詰められる状況を自ら招いた」などの指摘が相次いでいる」

     

    人権派弁護士で売って来た文氏が、米国からその「真贋」のほどを試されている。北朝鮮の人権問題に対し何も言えなかったことは、文氏の弁護士資格を疑われかねない事態であろう。

     

    (4)「ロバート・コーエン元米国務省人権担当副次官補は20日(現地時間)、米政府系放送局『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)とのインタビューで、「文在寅政権は北朝鮮の意向に合わせようとしているため、人権問題は『平和への障害』と考えているが、この問題(人権問題)を後回しにしているようでは平和を得られない」と指摘した」

     


    (5)「コーエン氏はさらに、「文在寅政権は南北関係において『核兵器か人権問題かどちらか一つを選択すべきだ』と主張しているが、そのようなやり方そのものを問題視しなければならない」「(かつてのソ連や東欧の事例から分かるように)人権問題を取り上げることなく核合意が実現したケースはない」などとも主張した。韓国政府は国連人権理事会による北朝鮮人権決議案の採択に3年連続で共同提案国から外れたが、これについてもコーエン氏は「北朝鮮の脅迫と警告の結果であり、自尊感のない行動だ」と批判した」

     

    文大統領は、これまでの「便利主義」を批判される事態となった。その都度、国内メディアから猛烈な批判を受けてきたが、全て「偽ニュース」扱いして逃げてきた。米国が、突きつけた文大統領の「人権無視」は、大きな失点になった。

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