勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国の文政権は、就任以来の景気停滞の理由を全て他に転嫁して、自らの責任としない希有の存在である。これほど無責任な政権は珍しい。あるいは、これが韓国社会の縮図と見るべきだろう。

     

    GSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)の破棄にも典型的に表れている。GSOMIA破棄は、「日本のせい」になっている。日本が、韓国を「ホワイト国除外」にしたからそれへの抗議だとしている。日本は、韓国が戦略物資の管理を完全に行なわないから、「ホワイト国除外」にして、輸出管理手続きを厳重に行なっていると説明する。韓国は、これに対して報復措置を取り日本を「ホワイト国除外」にした。普通ならば、これで「おあいこ」なのだ。これで、済まないところが韓国だ。いまも韓国は、世界中で日本批判をして歩く。この姿を見ると、「まともな国家のやることか」呆れるのだ。

     

    『朝鮮日報』(11月6日付)は、「経済停滞の原因は『天気のせい』『海外のせい』『韓国党のせい』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国与党・共に民主党の院内副代表は5日、「今年の経済成長率が2%を達成できなければ、その責任は(野党の)自由韓国党が負うべきだ」と発言した。韓国党が追加補正予算案の可決を2カ月半遅らせ、予算額を8567億ウォン削減したせいで、成長率が0.1ポイント低下したとの主張だ。民主党の政策委員会議長も同様の発言を行った。しかし、10月末時点で追加補正予算案の実際の執行率は政府の計画を10ポイント下回る60%にとどまっている。追加補正予算をまともに使いもしないで、追加補正予算案の成立が遅れ、成長率が低下したと主張しているのだ。これは牽強付会だ。経済副首相ですら追加補正予算案67000億ウォンを執行すれば、成長率を0.1ポイント引き上げる効果があると述べていた」

     

    韓国では、歴代政権が補正予算を組まないことを誇りにしてきた。一政権が、1~2回程度の補正予算に止めてきたのだ。ところが、文政権はすでに4回の補正予算を組むと異常な事態に追い込まれている。それだけ、経済政策が初期の効果を上げず、財政支出に依存する事態を引き起こしたからだ。最低賃金の大幅引上げが、韓国の雇用構造を破壊し、財政でアルバイトを雇うという前代未聞の政権である。

     

    下線を引いた部分は、文政権の政策失敗を棚に上げて、野党・自由韓国党が補正予算の審議を遅らせていると批判の矛先を向けている。第1回目の補正予算の執行率が60%である。それにも関わらず、2回目の補正予算が議会で成立しないと喚いているのだ。先ずは、最初の補正予算の100%執行が先決である。

     

    (2)「韓国政府は雇用指標と経済指標が悪いたびに「天候のせい」「人口構造のせい」「前政権のせい」と主張してきた。経済危機を懸念する専門家に向かって、青瓦台の経済首席秘書官は「別の意図を持つ勢力の陰謀だ」と非難した。そして、景気が急激に悪化すると、「世界経済のせい」と言いだした。非正社員が大幅に増えると、国際労働機関(ILO)が基準を変更したせいだと主張した。今度は成長率が1%台に低下しかねない危機に直面すると、「韓国党のせい」だと言っている。所得主導成長というおかしな経済実験で国家経済を悪化させた政府・与党の責任は全くないという言いぶりだ。それだけに、次も何かのせいにするのだろう」

     

    文政権は、子どもじみた政権である。失敗ごとは、全て他人の責任にする点で、子どもと同じ振る舞いである。大人であれば、潔く自己の責任にするが、それば抜け落ちている。GSOMIA問題もそうである。日本が、戦略物資の管理不十分を指摘しても、絶対の受入れず「日本陰謀論」に差し替えている。こういう文政権の支持率が、まだ40%台もある。これもまた、不思議である。「蓼食(たでく)う虫も好き好き」というのだろう。これが、韓国なのだ。

     

     

     

     

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    米国が、GSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)の破棄回避に向けて、韓国とギリギリの交渉を進めている。訪韓したデビッド・スティルウェル米国務省東アジア太平洋次官補が6日午前、キム・ヒョンジョン大統領府国家安保室2次長と70分間にわたり面会し、GSOMIA問題について具体的な議論を行ったと大統領府が明らかにした。「終了日の延期」が有力な案として協議されたようだ。

     

    これは、GSOMIA終了日である11月23日を延期する、という案である。「終了日は、別途、日韓双方が協議して決める」という線に落ち着くのであろうか。そうなれば、韓国が先に行なった日本への「GSOMIA破棄通告」は自然消滅となる。

     

    『ハンギョレ新聞』(11月8日付)は、「米国、GSOMIA 『終了延期』を代案として推進」と題する記事を掲載した。

     

    韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了を控え、両国が解決策を見出すまで終了日を延ばす案が、代案の一つとして検討されていることが分かった。

     

    (1)「韓国政府は823日、GSOMIAの終了決定を盛り込んだ公文を日本に伝達しており、これから90日になる11230時にGSOMIAは公式に終了する予定だ。米国は韓国のGSOMIA終了決定が「韓米日3角安保協力」を揺さぶるとし、決定の見直しに向けて圧力をかけている。しかし、韓国は「安保上信じられない国」という理由を挙げて輸出規制を施行した日本の不当な措置が撤回されない限り、この決定を覆すことはできないという原則を強調している。日本は、韓国最高裁判所(大法院)の強制徴用賠償判決に対して、韓国が解決策を提示しなければならないと主張している。GSOMIAの終了まで、今後半月以内に鋭く対立する両者の主張が接点を見出す可能性は非常に低い状況だ」

     

    韓国がGSOMIA破棄を棚上げして、「終了日を延長」するという玉虫色決着になりそうだという。韓国は、米国の顔を立てて妥協した形だが内心、ホットしているに違いない。韓国が破棄論に固執すれば、外交的に孤立を免れなかった。

     

    (2)「こうした状況で、米国は解決策を見出すまでいったんGSOMIAの終了日を延期してGSOMIA協定そのものは維持するという代案を提示し、韓日と水面下の調整を図っているという。米国のインド太平洋戦略、中国牽制政策において、韓米日3角軍事協力のために情報を交換する枠組みであるGSOMIAの維持がそれだけ重要だと見ているからだ。歴史や経済、安保問題が複雑に絡み合った韓日関係から、協定が一旦終了すれば、再び締結するのは非常に難しいと判断しているものとみられる

     

    日本の韓国への「ホワイト国除外」は、韓国が戦略物資の管理を完全に行なうという保証が得られなければならない。もう一つ。徴用工問題も絡んでいる。韓国が、日韓の争点である歴史問題を封印することができるかどうか。この問題が再燃すれば、韓国には「ホワイト国除外」の重石が効くというリスクを抱えていることに変わりない。

     

    「GSOMIA終了日延長」は、米国の仲介で日韓が承認する形になれば事実上、GSOMIAは封印される。韓国にとっては、「名誉ある撤退」という形だが、今後は簡単に歴史問題を持ち出せないという枠がはめられるであろう。これまでのように日本へ「罵詈雑言」を浴びせられなくなるはずだ。「政経非分離」という重石がつくからだ。

     

    (3)「外交消息筋は7日、「理論的に見れば、協定終了を通知しても、双方が同意すれば再延長や終了の延期は可能だ」とし、「韓日両国が終了日を延期するという内容の合意文を作るだけで済む」と述べた。米国はこのような形を通じてでも、ひとまずGSOMIAの終了を阻止するために奔走しているように見えるが、日本の輸出規制に変化がない限り、韓国にとってはGSOMIAの終了決定を覆す方向で動く名分がない」

     

    「終了日の延期」とは、改めて日にちを切ると今回のような騒ぎになる。したがって、「終了日は、日韓両国の協議で決める」という曖昧な形になるのだろう。

     

     

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    韓国のGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄は、日韓問題を超えて米韓紛争の様相を呈してきた。韓国は、日本の「ホワイト国除外」を撤回させる目的で始めたGSOMIA破棄だ。日本が無反応であり、すでに韓国の引き出し違いが明白である。米国が代わって主役として登場し、韓国へ撤回の圧力をかけるという構図だ。日米対韓国という図柄が出来上がっている。

     

    韓国の狙いは何か。日本へ「ホワイト国除外」を交換条件として出しているが、これは不可能であることは明白である。となれば、国内世論を鎮めるために、GSOMIA復帰への舞台装置が必要である。すでに、日韓首脳「歓談」で雰囲気づくりに成功した。次は、米国から次々と高官を呼び寄せて、「韓国が主役」というイメージを生み出す。韓国の芸は細かいが、これが韓国外交の落し穴になるリスクも孕んでいる。そのことに気付いていないようだ。

     

    『朝鮮日報』(11月8日付)は、「米国防長官が来週訪韓、米 『GSOMIA問題の解決望む』」と題する記事を掲載した。

     

    米国防総省は7日、エスパー国防長官が13日から韓国とタイ、フィリピン、ベトナムの4カ国を歴訪すると発表した。韓国には14日に到着する見通しで、15日にソウルで開かれるとされる韓米定例安保協議(SCM)に出席する。これに合わせ、韓米国防長官会談が行われる可能性も取り沙汰されている。

    (1)「同省のホフマン報道官は記者会見で、エスパー氏は訪韓中、韓国が終了を決定した韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)についても議論すると説明した。軍事機密を共有するために韓日が結んだGSOMIAの失効は今月23日午前0時に迫っており、ホフマン氏は「われわれはそれが解決されるのを見たい」と述べてGSOMIAの維持を求める立場を改めて示した」

     

    米国防長官は、就任後2度目の訪韓である。いずれも韓国のGSOMIA破棄を思いとどまらせる目的である。最初の訪韓での説得は、韓国から無視された。米国防長官としては、それだけででもメンツを潰された形だ。2度目の訪韓でも結果として同じことになれば、米韓関係は大揺れが想像できそうだ。

     

    (2)「ホフマン氏は、GSOMIAの維持が「われわれ皆が域内で最も大きな脅威となっている北朝鮮の活動、そして地域を不安定にしようとする中国の試みに集中できるようにするためのもの」だと説明した。エスパー氏の訪韓は長官就任後間もない8月8~9日に続き2度目。スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)から国防トップのエスパー氏に至るまで米国の国防・安全保障責任者が相次いで韓国を訪れ、GSOMIAの維持などを求め全方位から圧力を強めている格好だ」

     

    下線部分が、米国の本音であろう。GSOMIAが、日韓だけの問題でなく日米韓三ヶ国の安全保障の情報インフラであり、インド太平洋戦略の一環をなすという主旨だ。米国が、ここまで踏込んで説明すれば常識的には、韓国も「NO」という返事はできないであろう。韓国はすでに、米国とインド太平洋戦略に参加すると文書まで交わしている。それにも関わらず、GSOMIAは「NO」と言えるだろうか。米韓同盟が結ばれ、韓国の安全を保障してくれる米国の説得を拒否するとなれば、韓国はそれ相当の「代償」を払わされることは必定だ。

     

    総選挙を来春に控えた現在、北朝鮮のミサイル発射が日常化している。韓国の安全保障をどうするかという切実な問題になってきた。文政権は、GSOMIA廃棄で選挙目当ての大衆人気を得る戦術に出るとすれば、最低・最悪の選択となろう。

     

    在韓米軍の主要後方基地は日本にある。米韓同盟に日本は加わっていないが、米韓同盟の「準加盟国」の位置にあるのだ。その日本に、歴史問題で喧嘩を売ってくる。常識的にはあり得ない行動である。この非常識な韓国が、常識を取り戻すのか。非常識のままなのか。11月22日までに決まる。

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    一国の元首に対して、はなはだ失礼なタイトルをつけた。先ず、許しを頂かなければならぬが、文政権の経済政策はそれほど間違えたものである。文氏の学生時代は、左翼の経済学教授でも、これだけ酷い経済政策を教えなかったと思う。聴講する学生の「文在寅」が、真面目に聞いていなかったのであろう。その結果、大統領にまで上り詰め、韓国国民を悲嘆の底へ追い落とし平然としている。政治家を志す学生は最低限、正統派経済学の知識を身につけるのが常識だ。

     

    『中央日報』(11月7日付)は、「良質の雇用、政府ではなく市場を通じて作ろう」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「第19代大統領選挙当時の文在寅(ムン・ジェイン)候補の公約1号は「雇用」だった。文候補は高齢化と第4次産業革命という挑戦に対抗して雇用を守るとして公共部門雇用創出労働時間短縮2020年まで最低賃金1万ウォン引き上げ――を約束した。大統領就任あいさつでも「雇用を何より先に取りまとめる」と話した。3日後には仁川(インチョン)空港公社を訪れ「非正規職雇用ゼロ」を宣言した。青瓦台(チョンワデ、大統領府)には第4次産業革命委員会と雇用首席秘書官も新設した。強大な力と資金を持つ政府が乗り出して雇用を作り守るという抱負だった」

     

    文氏は、大統領就任に当り「雇用を守る」と公約第一号に上げた。第二号は、「国民世論の分断を防ぐ」政治であった。いずれも、単なる口約束で終わり、実態は一段と悪化している。30~40代の雇用が奪われアルバイトが増えている経済だ。国民世論の分裂は激しさを増している。党派性の「大臣人事」を強行しているからだ。法相「チョ・グク」は与党支持者を結束させる目的で、あえて不正行為を知りながら任命する破天荒な振る舞いをした。文大統領にもはや、「進歩派」というイメージがなくなっているのだ。

     

    (2)「2年半が過ぎた現在の成績は、がっかりするばかりだ。数字だけ見ればそれなりに持ちこたえているように見える。最近発表された9月の雇用は34万8000人増加し、雇用率も61.7%。月間基準では、23年来の高水準を記録した。政府はこれを根拠に雇用事情は大丈夫だと強弁する。内実を見れば、きまりが悪いばかりだ。週36時間に満たない短期雇用が73万件以上増え、60歳以上の高齢者雇用も38万件増加した。雇用の高齢化、短期化が急速に進行している。これに対し経済の腰である30~40代の雇用率は24カ月連続で減っている。良質の雇用を提供する製造業も18カ月連続で雇用が減少した。2年間で週36時間以上働くフルタイム雇用は実に118万件が消えた。公共機関の非正規職の正規職化が進められた時からだ」

     

    アルバイトという短期雇用の増加でも、統計上は「就業者」にカウントされる。文政権は、この統計を悪用して誇大宣伝している。現実は、雇用の高齢化、短期化が急速に進行しているのだ。これに対し経済の核である30~40代の雇用率は、24カ月連続で減っている。原因は、生産性上昇を上回る「最低賃金の大幅引上げ」にある。この結果、正規雇用が失われている。代わって、財政資金によって不正規雇用のアルバイトが増える異常さだ。

     

    労組に義理立てした大幅な最低賃金の増加が、雇用構造を破壊している。経済に悪影響を与えていることが立証されても、最賃政策の修正を忌避している。ひたすら政権を支持する労組への「利益還元」である。韓国政治の後進性を絵で見るような光景である。

    (3)「政府は高齢化や米中貿易紛争と英国のEU離脱など外部要因を理由に挙げる。だがその影響だけでこうした現象を説明することはできない。2016年から現在まで40代の人口が6万5000人減少したが失業者は11万3000人増えたのが一例だ。仕事に熱中すべき40代すら雇用不足で困難に見舞われている。韓国経済全体が活力を失って雇用を作る力が消えているという疑いを感じさせる。2017~2018年の2年間だけで54兆ウォンの政府予算を注ぎ込んだ結果にしては恥ずかしいばかりだ」

     

    韓国経済は、文政権の登場で確実に衰退速度を速める。文政権が任期で退陣する2022年5月には、失業率がさらに高まり4%台に乗るだろう。経済成長率は、日本とそれほどの差がなくなる。間もなく、人口減社会に入る。これまでの想定より10年も早い段階で人口減社会へ移行する。今年の年末当りがその時期となってきた。

     

    韓国は、2000年に「高齢化社会」(65歳以上が7%)へ。17年後の昨年、「高齢社会」(65歳以上が14%)に突入したそして、8年後に超高齢社会(65歳以上が21%)に突入して活力を一段と失う。日本は、人口高齢化対策を進めてきたが、韓国は無年金者が54%もいるのだ。完全に無策である。「反日」に関心は向くが、高齢者対策では無防備である。


     

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    韓国与党は、来年4月の総選挙の公約で、現在の徴兵制(期間18ヶ月)を改め将来、志願兵制を検討していることが分った。表面的な理由は、人口減という絶対的な条件を挙げているが、文政権も徴兵期間を21ヶ月から現行の18ヶ月に短縮する公約を掲げ実行したことから、選挙対策の面も否定できない。

     

    『朝鮮日報』(11月7日付)は、「現実となった人口絶壁、韓国軍兵力を50万人に削減 募兵制も検討」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国政府が少子高齢化に備え、兵力の削減、師範大(教育系大学)の定員調整などを骨子とする「人口構造変化対応方案」を打ち出した。政府は今後、高齢人口の増加への対応策と福祉支出増加への管理案を追加で打ち出す計画だ。政府は先日打ち出した生産年齢人口拡充対策でも、日本式の定年延長を導入する案を、現政権の任期が終了した後の2022年ごろに検討すると表明していた。一方、安全保障に直接的な影響を及ぼす兵力削減については直ちに施行に移し、今後3年間で8万人が削減されることになる」

     

    文政権は、若者から反発の出そうな定年制延長問題を先送りしている。労働力人口の減少をカバーするには定年制延長しかない。ただ、失業者が蔓延している現在、労働環境にそぐわないことも否めない。政府は、労働政策の失敗を突かれるのを恐れて、無難な先送りを決めたと思われる。兵力削減は、人気を得るためにも3年間で8万人を削減するという。この分がまた、失業者増となって跳ね返る。

     

    昨年61万8000人だった韓国軍の兵力は1年で約4万人減り、現在は57万9000人である。これが3年後には50万人体制となる。これに対し、専門家と軍の一部からは、現在の安全保障の状況と野戦部隊の意見が十分に反映されていないとの指摘が出ている。現在の計画通りに進めば、5年間に陸軍だけで約11万8000人減ることになる。陸軍の兵力は2022年に36万5000人まで削減され、北朝鮮の地上軍110万人の33%水準まで減ると指摘されている。

     

    『朝鮮日報』(11月7日付)は、「韓国与党シンクタンク、3カ月前から募兵制導入研究 選挙公約

    として検討」と題する記事を掲載した。

    韓国与党「共に民主党」が、来年415日の総選挙公約に「募兵制導入」を検討することが分かった。人口が急激に減少する「人口の絶壁」で徴兵制が限界に直面している上、現代の戦闘が科学戦の形態に変化しつつあることに対処する必要があるとの趣旨からだ。与党関係者は6日、朝鮮日報の電話取材に「党のシンクタンクである民主研究院が募兵制転換を研究してきただけに、党公約として提案してきたら検討に入る計画だ」と語った

     

    (2)「与党は、募兵制導入の表向きの理由に「人口減少と人工知能(AI)時代に合った軍システム改編」などを挙げているが、実際には与党支持率が最近下がっている20代男性の票を狙ったものだという見方もある。ただし、募兵制導入は党レベルでは具体的な議論が行われていない状態だ。共に民主党政策委員会関係者は、「長期的に推進する課題だということは明らかだが、時期尚早という意見も少なくない」としている」

     

    現在は、与党のシンクタンクが志願兵制を検討している段階だが、与党の「公約」レベルには上がっていない。だが、来年の総選挙で「志願兵制検討」の公約には上がりそうだ。北朝鮮という「獰猛部隊」と対峙する韓国軍として、単なる「きれいごと」で「志願兵制検討」と言えない現実はある。だが、若者に魅力的テーマだ。これで、与党離れした20代をつなぎ止める作戦とも見られる。

     

    (3)「政府も、「募兵制は長期的な課題だ」という原論的立場だ。鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官は今年9月の国会対政府質問で、「(募兵制転換は)長期的に検討しなければならないという認識を共にしている」と答えた。南北分断の状況で募兵制に転換すれば安保上の不安につながる可能性があるだけでなく、莫大(ばくだい)な財政負担という山も乗り越えなければならない。募兵制転換などのためには兵役法改正が必要で、これには野党の協力も欠かせない」

     

    韓国政府は、志願制について将来の問題としている。ただ、与党が選挙対策に着手し始めた以上、公約になる可能性は否定できない。下線部分のように、財政問題や士気の問題が懸念される。志願兵が「傭兵感覚」になると、戦力低下は不可避である。短期間に議論する問題でなく、与野党が時間をかけて冷静に議論する必要があろう。

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