勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国文政権を支援する『ハンギョレ新聞』が、9月15日、17日、18日と3回も日韓関係回復を要請する社説を掲載した。最初は高飛車であったが、次第に丁寧な調子へと変わりながら、「日本よ、関係正常化に応じてくれ」という悲痛な思いが、文面に表われている。韓国大統領府が、困憊している証拠だ。

     

    GDP世界3位の日本と同12位の韓国である。しかも、日本の技術で動いている韓国製造業が、日本と「ガチンコ勝負」の対決になったら、韓国は勝てるはずがない。こういう日韓の総合力の格差を思い知った韓国が、「門前払いしないで、ともかく会って欲しい」という哀願調になってきた。


     

    前記の通り、4日間で3回も社説を書いて、日本へ懇願する姿を見ておきたい。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月15日付)は、「菅次期首相に韓日関係の前向きな姿勢を望む」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「菅氏の実用的リーダーシップが韓日関係でも発揮されることを期待する。そのうえ、すでに一度延期された東京五輪を来年開催するには、韓国との協力が必要な状況だ。日本国内でも実益はなく、かえって日本企業に被害を与えた輸出規制を緩和すべきだという声が高まっている。菅氏が首相就任後に早期総選挙を実施して安定した指導力を確保するなら、安倍首相と区別される独自カラーの政治を推進し、韓国をはじめとする周辺国との関係改善に乗り出す空間が広がるだろう。日本が韓日関係をこのまま放置し続ける意図がないなら、新しく登場する菅内閣が現実的で前向きな態度で韓国に手を差し伸べることを望む」

     

    下線部分は、傲慢そのものである。日本に対して韓国と和解した方が、「利益になる」と言う言い方である。

     

    1)一度延期された東京五輪を来年開催するには、韓国との協力が必要な状況だ。

    2)日本企業に被害を与えた輸出規制を緩和すべきだという声が高まっている。

    3)韓国をはじめとする周辺国との関係改善に乗り出す空間が広がるだろう。

     

    前記項目ごとにコメントを付す。

     

    1)東京五輪は、韓国の力を借りなくても日本独自で開催できる。

    2)輸出手続き規制緩和は、戦略物資の安全流通を実現する手段である。日本国内で、規制廃止論が世論となっていない。

    3)日本外交は、韓国を除けがすべて順風満帆である。韓国だけが異常な振る舞いをして、日本へ対抗しているだけだ。

     

    以上のように、この段階では「日本と外交関係を回復してやる」という調子であった。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月17日付)は、「変化の意志見せぬ菅首相の『安倍そっくり内閣』」と題する社説を掲載した。

     

    (2)「菅首相は、当面は新型コロナへの対応、経済回復、五輪開催などの国内課題に集中するとの意思を表明している。安倍政権の政策設計者ではあったものの、外交問題には大きく関与していないことから、権力基盤が安定すれば独自外交を進める可能性もある。米中新冷戦の危機の中、韓日協力の必要性は高い。両国政府が、韓国の推進する朝鮮半島平和プロセスと日本の望む朝日国交正常化などで接点を見出し、韓日関係改善の突破口を見いだすことを願う

     

    下線部を要約する。

    1)米中新冷戦の危機の中、韓日協力の必要性は高い。

    2)両国政府が、韓国の推進する朝鮮半島平和プロセスと日本の望む朝日国交正常化などで接点を見出し、韓日関係改善の突破口を見いだすことを願う。

     

    朝鮮半島問題を巡って、日韓が協力しようというのだ。ただ、この問題の大枠は米朝交渉で決まるというのが現実である。日韓が話合ったところで、ラチはあかないのだ。

     


    『ハンギョレ新聞』(9月18日付)は、「菅首相は文大統領の対話の呼びかけに前向きな対応を」と題する社説を掲載した。

     

    (3)「今年、韓国で開催予定の韓中日首脳会議が開かれ、文大統領と菅首相の初の首脳会談が実現すれば、両首脳の意志によって重要な変化が生まれることもあり得るだろう。両国いずれも悪化した韓日関係をこれ以上このまま放置する余裕はない。米中新冷戦がもたらした不安な国際情勢や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行、経済危機などの状況で、韓日が力を合わせれば、両国国民に大きく役立つだろう。韓日両国が外交空間を作り、機会を生かすための努力を惜しまないでほしい

     

    下線部を要約すると、次のようになる。

     

    1)米中新冷戦がもたらした不安な国際情勢や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行、経済危機などの状況で、韓日が力を合わせれば、両国国民に大きく役立つだろう。

    2)韓日両国が外交空間を作り、機会を生かすための努力を惜しまないでほしい。

     

    コメントをつけたい。

     

    1)昨年から、日本に向けた罵詈雑言は何だったのか。「日本に負けない」「日本に勝つ」「国産化で日本に勝った」という類いの発言を連発してきた。それが今、日韓の協力で成果は上がると言われても、戸惑うばかりだ。

     

    2)日韓外交に空白をつくるな、協力して欲しいとまで言っている。急に、そういう「親密」な関係を装うような発言をされても困るのだ。韓国がつくりだした問題は、韓国で解決すべきである。日本が「協力」する範疇の問題ではない。

     

    以上、3回にわたる社説を読めば、最初の「上から目線」から次第に降りてきて、3回目は「哀願」である。ともかく、韓国外交は完全に行き詰まった。その打開のきっかけを日本に求めてきたのだ。

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    韓国は、日本の菅政権発足をチャンスと捉え、日韓話合い復活を求めて大騒ぎしている。昨年の今頃は、反日不買運動を展開し「NoJapan」「No安倍」と幟までつくって反日を煽った。4月の総選挙で、与党「共に民主党」は「韓日決戦」とあからさまに反日を前面に立てたのだ。

     

    それが、いまはどうだろうか。米中対立の長期化という国際情勢急変の中で、日韓の冷却関係に不安を覚えて「日本と話し合いをしたい」という変化である。過去1年以上にわたる、日本への罵詈雑言を考えると、おいそれと会談するのは時期尚早である。韓国に反省させる時間を与えるべきだろう。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月18日付)は、「菅首相に書簡で対話呼びかけた文大統領、韓日関係回復の契機なるか」と題する記事を掲載した。『ハンギョレ新聞』は、文政権支持メディアである。ある意味で、政権の意思を示した記事が多い。

     

    (1)「菅義偉新首相の9月16日の就任を機に、韓国政府が「歴代最悪」の状態に陥っている韓日関係の改善に向けた強い意志を示した。しかし菅首相が「安倍内閣の継承」を前面に掲げており、短期間で大きな変化を期待するのは難しいとみられる。カン・ミンソク大統領府報道官は同日午後、「文大統領が今日午後、菅新首相宛てに書簡を送って就任を祝うと共に、在任期間中に韓日関係のさらなる発展に向けて一緒に努力していきたいという意向を示した」と述べた」

     

    「歴代最悪」の日韓関係に陥った原因をつくったのは、すべて韓国である。慰安婦合意の一方的破棄や、旧徴用工賠償問題で日韓基本条約を骨抜きにした以上、日本が反発するのは当然である。韓国が、急に思いついたように日韓話合いを求める騒ぎは、自らに非があることを認めたのも同然である。

     

    (2)「大統領府はさらに一歩進んで、「基本的価値と戦略的利益を共有するだけでなく、地理的・文化的に最も近い友人である日本政府といつでも向かい合って対話し、コミュニケーションを取る準備ができており、日本側の前向きな反応を期待している」としたうえで、「積極的に協力して歴史問題を賢明に克服し、経済・文化・人的交流などあらゆる分野で未来指向的かつ互恵的に協力を強化していきたい」という意思も明らかにした」

     

    韓国が、「基本的価値と戦略的利益を共有するだけでなく、地理的・文化的に最も近い友人である日本政府といつでも対話したい」と揉みてしているが、ならば、なぜ今年4月の総選挙で「韓日決戦」という扇情的なアドバルーンを上げたのか。今さら、お世辞をたらたら言って接近してきても、信じる訳にいかないのだ。

     

    (3)「1カ月前の8・15記念(光復記念日)演説では、「協議の扉を開けている」と対話の意思を強調する水準にとどまった。今回の書簡では、「日本側の前向きな反応を期待する」という大胆な表現まで使い、日本の誠意ある対応を要請した。韓国政府のこのような動きは、米中が鋭く対立しており、朝米間の核交渉で進展が見られない状況で、両国関係をこれ以上放置できないという“戦略的判断”によるものと見られる

     

    韓国は、いつもの調子で「困った時の神頼み」で日本へ接近しているのであろう。米中対立は、短期で終わる問題でない。米国が徹底的に中国へ立ち向かう姿勢を見せているからだ。米韓同盟を結ぶ韓国として、対岸の火事ではない以上、韓国も巻き込まれるのだ。その決意もなく、「米中バランス外交」などという空理空論に酔っている。この韓国空想外交を目覚めさせるには、日本との交流再開が不可欠である。

     

    韓国は、旧宗主国・中国の振る舞いがいかに残酷であったか。忘れたはずがない。それでも秋波を送るという病的な卑屈さである。この際、中国から独立して米韓同盟の基本に立ち返るべきである。それが、韓国の「戦略的判断」というのであろう。その一環として、日本へ接近しているのだ。

     


    (4)「菅首相が、「安倍内閣の継承」を前面に掲げており、短期間に大きな変化を期待するのは現実的に難しい状況だ。菅首相も官房長官時代、両国間の最大懸案である強制動員被害者に対する賠償問題について「韓国が責任を持って解決策を示さなければならない」と述べており、9月5日付の産経新聞のインタビューでも「日韓請求権協定は日韓関係の基本」という認識を示した。日本外交の司令塔と言える茂木敏充外相を留任させたことからも確認できるように、安倍晋三前首相が進めてきた外交路線に今すぐ大きな変化は見られない見通しだ」

     

    韓国は、日本へ呼びかけても無言であることに、焦りを感じている。あれだけ日本を非難した以上、それは当り前のこと。ホイホイと返事などするはずがない。韓国がまず、解決に向けて具体案をつくることだ。日韓がただ会ってみても、具体案がなければ話合いは進まない。むしろ、日本の反対意識を強めるだけであろう。韓国は、外交的に完全な受け身であることを自覚すべきである。 

     

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    韓国と日本の公人が、身を処するに当りこれほどの差があるのは、やはり「民度」の違いといわざるを得ない。民度という言葉を使ってはいけないが、秋美愛(チュ・ミエ)法相の息子が兵役中に便宜を受けていた疑惑を巡って、秋氏の発言は身びいきの「親バカ」の典型であるからだ。日本の閣僚であれば、「公務に差し障りがあるので辞任する」が一般的である。

     

    秋氏は、法相である。第三者から疑惑を受けるような事態に陥ったならば、法相としての任務遂行は困難になる。だが、虚言を操ってますます国民からの信頼を落とす振る舞いを続けているのだ。公人としての責任感はゼロである。韓国の公人には、「自己責任」という概念がないようである。日本と韓国の身の処し方に大きなさが認められるのは、自己責任という基本ルールが欠如している結果であろう。「武士道精神」から言えば、かけ離れた振る舞いだ。

     


    『中央日報』(9月18日付)は、「今までこんな政府はなかった」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のチェ・サンヨン論説委員である。

     

    (1)「『小説を書くつもりか』と怒りを見せた秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官(法相)が、今では、「私と息子が最大の被害者」という詭弁でむしろ国民を愚弄している。「検察が明らかにしてほしい」というが、いかなる捜査結果が出てもそのまま信じる人はどれほどいるだろうか。捜査でなく捜査するふりをしながら騒ぐショーと見る目が多いからだ。捜査に消極的な人たち(検察)にまた捜査を任せれば当然のことだ」

     

    文大統領が得意とする言葉は、「公正と正義」だ。秋法相が引き起した疑惑は、まさに「公正と正義」に反するものである。徴兵制が敷かれている韓国では、国民は平等に軍規を守らなければならない。その軍規が、秋氏の親子によって踏みにじられたのである。手術後の帰隊時間を守らず、部隊の当番兵から時刻までに帰隊していないことから発覚した「事件」である。遅刻した上に、部隊上官を通して休暇延長願いを出すという、二重のルール違反を犯したのだ。部隊上官への通報は、秋法相(当時は、「共に民主党」代表)が行ったことも確認されている。

     

    それでも、自らは連絡していないと言い張り、事後の休暇延長願いも有効な手続きと主張している。軍規に照らせば、帰隊遅延や電話での休暇延長願いは、違法である。秋氏は、韓国軍の軍規を否定するという、法相としてあり得ない発言を繰り広げている。与党がまた、これを正しいとして違法行為擁護に加担しているのだ。日本の政界ではあり得ない珍現象である。民度の低さをまざまざと見せつけているのだ。検察が、捜査に消極的という点も日本ではあり得ない点だ。



    (2)「
    韓国社会で公正性は兵役・入試・就職が1次的な判断基準となる。ろうそくデモもチョン・ユラの大学入試特恵が発火点だった。そのような怒りのエネルギーで執権した文在寅(ムン・ジェイン)大統領は就任後、「特権層で起きた事件の真実を究明できなければ正義社会をいうことはできない」とし、公訴時効が過ぎた事件までも事実を確認するよう指示した。それで多くの過去の問題までが捜査対象に含まれた

     

    文大統領は、「公正と正義」を振りかざして、公訴時効が過ぎた事件まで捜査させるという異常な振る舞い行っている。韓国社会の公正性は、兵役・入試・就職が1次的な関門である。文大統領は、その兵役における不公正問題について、一切発言せず沈黙している。身びいきのためだ。これほど、法律を曲げてしまう大統領は、韓国で初めてである。文氏こそ、大統領引退後、法廷に立たせねばならない人物である。


    (3)「このあたりでもう大統領の真相究明指示、責任を問うという立場が出てこなければいけない。少なくとも国民に対して謝罪でもする必要がある。しかし、一言も言及はない。過去の政権の問題に対しては、「捜査機関が故意に不十分な捜査をしたり、さらには積極的に真実究明を遮断してかばった状況が見られる」と一つずつ細かく批判した。同じ指針を(秋法相事件に)出せない理由はない。韓国では兵役と教育は極めて敏感な問題だ。娘の不正入学疑惑で辞任した曺国(チョ・グク)前法相に続く「身びいき」疑惑に、国民の怒りは高まっている」

    文大統領は、口舌の徒である。ただ、口当たりの良いことを発言するだけである。自陣営に優しく他陣営には峻烈という、典型的な「弁護士」に過ぎない。「真の大統領」になれないお人である。

     

     

     

     

     

     

    テイカカズラ
       

    韓国は、元国会議長らが菅政権登場を機に日韓融和策に転じるべしと提言した。日本では、そういう動きはゼロだが、韓国の焦り方は尋常でない。「反日運動」で燃えさかった韓国が一転、「仲良くしましょう」と呼びかけている。不思議な感じがするのだ。

     

    『聯合ニュース』(9月17日付)は、「韓日関係の放置は「百害あって一利なし」韓国元国会議長らが提言」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の元国会議長らが悪化の一途をたどっている韓日関係を放置してはならないと口をそろえた。関係改善に向けてはそれぞれ違う解決策を示した。文喜相(ムン・ヒサン)前議長ら4人が9月17日に発刊された季刊誌『韓米ジャーナル』とのインタビューで韓日関係に関する見解を明らかにした。

    (1)「文氏は、「韓日関係が放置されることは両国に百害あって一利なしである。両国の指導者が無責任であり、両国の国民に被害を与える」と指摘。「直ちに解決しなければ歴史に大きな罪を犯す」との見解を示した。また、「解決策は意外と簡単かもしれない」とし、国会議長時代に強制徴用訴訟問題の解決策として自身が提案した案を取り上げた。同案は韓国と日本の企業、国民から寄付を募って基金をつくり、被害者に支給するなどの内容が盛り込まれている」

     

    日韓関係冷却化で損をするのは韓国がより多い。日本も、訪日客の減少という痛手はあるが、それ以外に目立ったものはない。日本ビールが売れないとか伝えられているが、韓国では雇用減に結びつき、失業を増やしている。文元国会議長は、自らが提案した法案の再提出を求めている。

     


    (2)「鄭義和(チョン・ウィファ)元議長は、「70年の歳月が過ぎた今日では許して歩み寄る姿勢を持たなければならない」として、「われわれの主張も重要だが、易地思之(相手の立場に立って考えること)の姿勢で日本を理解する姿勢も必要だ」と表明。「われわれがあらゆる面で日本より良い国にならなければならない。それが日本に対する美しい復讐(ふくしゅう)」と強調した」

     

    韓国は今、日本を日韓併合で許すべしとしている。こういう感覚だから、日本人はスッキリしないのだ。1965年の日韓基本条約で解決済みである。日本が、韓国を嫌うのは「許す」とか「謝罪」しろとか繰返されることに食傷気味である。感情論は止めて、合理的な解決策(韓国国内で解決する)しかないのだ。

     

    (3)「金炯オ(キム・ヒョンオ)元議長は、「韓日関係で不協和音が続けば続くほど外交、安全保障、経済などあらゆる面でわれわれが受ける被害が莫大(ばくだい)だ」として、「ねじれた韓日関係の答えは結者解之(自ら行ったことを自ら解決すること)」と述べ、両国の指導者が関係改善に乗り出す必要があるとの認識を示した。また、「われわれがより大きな被害を受けざるを得ない構造だが、(政界では)反日感情をあおり、国内の政治に利用している」とし、「時間が経てば国民も理性と冷静さを取り戻し、政界に大きなブーメランとして返ってくる」と警告した」

     

    このパラグラフでは率直に、日韓関係冷却によって韓国がより大きな損害を被ると指摘している。韓国側で日韓融和策を言い出している背景には、韓国の受ける損害が大きいことを物語っている。反日を政治的に利用してきた文政権は、頭を丸めなければならないほど、害毒を流してきたのだ。

     

    『東亜日報』(9月17日付)は、「日本新政権スタート、韓日の『知日派―知韓派』に注目」と題する記事を掲載した。

     

    菅義偉政権でも韓日関係の改善は容易ではないという見通しが優勢だが、一部では期待の声も出ている。韓日関係が進展するには、韓日両国で知日派、知韓派の役割が過去よりも重要になった。

    (4)「韓国与党要人の中で菅氏と個人的な信頼で話ができる代表的な人物として、与党「共に民主党」の李洛淵(イ・ナクヨン)代表が挙げられる。外交筋によると、日本国内の核心人物を広く知っている李氏は、特に菅氏の周辺人物と親交があり、比較的円滑な意思疎通が可能とされる。昨年10月、首相だった李氏が政府代表として天皇陛下の即位の礼に参列した時、2人が非公開で会って、責任を持って韓日関係改善のために努力するという趣旨の話を交わしたという」

     

    菅首相は、昨年10月、韓国首相だった李氏と二人きりで会っているという。面識はあるのだ。



    (5)「前政権の要人の中には、李丙琪(イ・ビョンギ)元大統領秘書室長が菅氏と格別の間柄だという。李元室長は2013~14年、駐日大使時代、月に1度以上、菅氏と会ったという。15年の韓日慰安婦合意の時、「李丙琪ー菅ライン」が重要な役割を果たしたと、日本政府関係者が明らかにした。李元室長が収監された2年間、菅氏が慰労のメッセージを送ったという」

     

    菅首相は、15年の日韓慰安婦合意で李丙琪・元韓国大統領秘書室長と重要な役割を果たした。だが、その日韓合意を文政権は破棄している。菅氏が、簡単に文政権との交渉に応じるか疑問だ。管氏は、裏切った相手と会うほど「お人好し」だろうか。

    (6)「日本政界の最高の知韓派は、与党自民党のナンバー2とされる二階俊博幹事長だ。二階氏は、日本国内の反韓、嫌韓ムードが高まると、これを和らげる役割をしてきた。日本の半導体部品輸出管理強化で韓日関係が最悪だった昨年9月、二階氏はあるテレビ番組に出演して、「日本が手を差し伸べ、譲歩できることは譲歩すべきだ」と話した。全国旅行業協会(ANTA)会長でもある二階氏は17年6月に訪韓した時、日本の旅行会社代表ら民間人360人も同行した。今年も1200人規模で韓国を訪問しようとしたが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期になった。

     

    二階氏も昨秋は、韓国代表団との会見約束を破るほどで、火中の栗を拾わなかった。老練な政治家だけに、国内世論を読むだろう。決め手は、国内世論だ。




    テイカカズラ
       

    ドイツが中国へ反旗を翻す

    悩んだ末の結論が人権重視

    同盟の価値を知らない韓国

    米の反論受けるお粗末大使

     

    中国が、対EU(欧州連合)関係でも苦境に立っている。9月14日に開かれたオンラインでの中国とEUの首脳会議で、両者は市場開放や人権問題をめぐり衝突した。双方が今年末までで終了することにした中国・EU間の包括的投資協定を議題にしたが、欧州側首脳3人は人権と貿易の問題を前面に押し出し、習近平氏に圧力を加え、習氏も反発したという。この日、双方の共同声明は出なかったほど、対立の溝は深くなっている。

     

    ここで注目すべきは2点ある。

     

    一つは中国・EU首脳会談の議題が包括的投資協定であるにも関わらず、EU側から人権問題を持ち出されていることだ。経済活動は人間の行為である以上、人権問題が不可避という認識である。中国側には、全く存在しない人権意識だけにEUから急所を突かれたた思いだろう。習氏は、国内問題であり内政干渉であると突っぱねた。EU側がそれで引き下がるはずがない。

     

    具体的には、中国による香港への「国土安全維持法」導入である。「一国二制度」を破棄しただけに、人権・言論の弾圧が懸念されている。また、新疆ウイグル自治区での100万人以上の強制隔離と強制労働問題は、EUが看過できない問題である。中国のいう内政干渉の域をはるかに超えた人類の問題である。

     

    ドイツが中国へ反旗を翻す

    もう一点は、この中国・EU首脳会談にドイツのメルケル首相が出席していたことだ。全体の出席メンバーは、習主席、シャルル・ミシェル欧州理事会議長、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長。それに、EU巡回議長国であるドイツのメルケル首相である。メルケル氏は、これまで「親中国」の立場で中国批判を封印してきた。これが、ドイツ政界では不評を買い、与野党含めて「もっと中国批判をやれ」と批判を浴びてきたのである。

     


    ロイター通信によれば、この会談でメルケル氏は「中国は、市場開放を意味する投資協定を本当に望んでいるのか明言せよ、と習主席に圧力を加えた」と報じられた。これは、従来のメルケル氏から想像できない「反中国」的な発言である。メルケル氏といえども、中国に対決せざるを得ないドイツ国内とEUの雰囲気を無視できない立場になっている。

     

    ドイツ政府は92日、インド太平洋地域は「外交政策の優先事項」と位置づけ、地域との関係強化を正式に表明した。地政学的な権力構造の変化が、ドイツに直接影響を及ぼすことなどを理由にあげている。「ドイツ・ヨーロッパ・アジア:21世紀を共に形作る」と題された政策ガイドラインが、2日に閣議決定されたのである。ドイツが、「インド太平洋地域の国際秩序の形成に積極的に貢献する」ことを目的とする政策ガイドラインを発表したのである。

     

    ドイツのへイコ・マース外相は記者発表で、「インド太平洋地域がドイツの外交政策の優先事項である。インド太平洋という重要な地域との関係を強化し、多国間主義、気候変動の緩和、人権、ルールに基づく自由貿易、コネクティビティ、デジタル交易、特に安全保障政策の分野で協力を拡大する」と明確にした。また、インド太平洋が「国際秩序の形が決まる場所であり、強者(注:中国)の法に基づくのではなく、ルールと国際協力に基づくものだ」とした。

     

    ドイツは、これまでの「親中国」の立場を離れて、自由民主主義の立場を堅持することを明確にした。中国の恣意的な南シナ海戦略に反対する旨を強調したのだ。ドイツは、こういう明快な対中国戦略を発表した。ただ、ここまで来る過程で随分、悩んできたのも事実である。

     

    悩んだ末の結論が人権重視

    ドイツが、アジアを除く先進国の中で、米中両国と最も深い経済関係を築いており、米中「冷戦」時代を迎えれば、最大の犠牲者となるからだ。過去20年にわたり米中双方と貿易関係を深めたことで、ドイツは大きな恩恵を受けてきた。新型コロナウイルス流行を受けた経済対策として1兆ユーロ(約120兆円)をつぎ込めるだけの財政力――これらは、すべて米中両国との貿易がもたらした賜物だ。ドイツの経常黒字は2912億ドル(2018年)で世界1位。日本は1747億ドル(同)で世界2位である。(つづく)

     

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