勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    日韓の「民度比較」の好適なケースが、コロナ沈静化状況の違いである。日本は、市民一人一人が夏休みも注意して行動しているので、「第二波」を切り抜けられる見通しが出てきた。韓国は逆である。最終コロナ対策の「第3段階」へ引上げると、経済が麻痺することからその手前の「2・5段階」まで引上げる。

     

    韓国の自慢した「K防疫モデル」は、完全に破綻した。理由は、市民が結束せずバラバラであることだ。自分の目先利益を求めて行動し「自己抑制機能」を喪失した結果であろう。春先のコロナ第一波では恐怖感から協力したが、第二波では恐怖感が薄れて、韓国独特の「自己利益追求」が前面に出た。日本の市民との違いがはっきりと現れている。

     

    8月30日午前0時から当面は8日間、「2・5段階」の規制を開始する。防疫当局は、「少なくとも10日間」とも発言している。規制期間の延長は必至であろう。

     

    『韓国経済新聞』(8月29日付)は、「韓国首都圏でコロナ距離『2・5段階』夜9時以降は飲食店『シャットダウン』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国首都圏で強化された社会的距離「第2段階」が施行される。密接・密集度を減らすために営業方式を制限する方向で対策が準備された。飲食店の場合、午後9時以降は店内で飲食ができない。今回の防疫対策は30日0時から来月6日夜12時まで8日間適用される。



    (1)「新型コロナウイルス感染症中央災難安全対策本部は28日、こうした内容の防疫措置を発表した。飲食店の場合、午後9時から翌日午前5時まで店内で飲食ができない。飲酒も同じだ。テイクアウトとデリバリーに限り許される。それ以外の時間はこれまでと同じく店内での飲食が可能だ。また、強化された措置に基づき、訪問者は電子出入者名簿認証過程を踏むか、手記出入者名簿を作成しなければいけない。適用される業種は一般・休憩飲食店、製菓店など約38万カ所

     

    下線部にように厳しい規制だ。中小・零細企業への打撃は不可避である。韓国経済の下押し効果は、一段と大きくなる。


    (2)「カフェの場合、時間に関係なく店内を利用できない。営業時間のテイクアウト・デリバリーだけが可能だ。ただ、フランチャイズ型コーヒー専門店に先に適用することにした。飲料などをはテイクアウトする場合にも出入者名簿を作成しなければならない。スポーツジム、ビリヤード、ゴルフ練習場など2万8000カ所の室内体育施設に集まることも禁止する。中央災難安全対策本部の関係者は「室内体育施設では飛沫の発生が多い活動が主に行われる」とし「利用者の滞留時間も比較的長くなる。最近、室内体育施設発の集団感染が発生した点を考慮した」と説明した」

    カフェやスポーツジム、ビリヤード、ゴルフ練習場などに集まることも禁止する。

     

    (3)「首都圏にある学習塾も非対面授業だけが可能だ。読書室、スタディーカフェにも人が集まってはいけない。計6万3000カ所にのぼる。教習所(同じ時間帯の9人以下の学習者)は今回の集合禁止措置から除外されたが、依然として集合制限措置は適用される。出入者名簿管理、マスク着用など核心防疫守則を必ず守らなければいけないということだ」

     

    読書室、スタディーカフェにも人が集まってはいけない。図書館も同じ扱いであろう。

     

    (4)「この日、中央防疫対策本部の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)本部長は定例会見で「感染病モデリングの専門家らは『現在の流行状況が続く場合、来週は一日に800人から2000人まで感染者が増加し、大規模流行につながり兼ねない』と警告している」と述べた。続いて「流行状況を今すぐ統制しなければ感染者が幾何級数的に急増し、医療システムが崩壊して社会の必須機能がまひしたり、莫大な経済的被害につながるおそれがある」と憂慮を表した。鄭本部長は特に最近の首都圏状況が最も深刻だと強調した。首都圏全体が危険地域ということだ」

     

    首都圏では、流行状況を今すぐ統制しなければ感染者が幾何級数的に急増する。当然、医療システムが崩壊して社会の必須機能がまひしたり、莫大な経済的被害につながるおそれがある段階まで来た。韓国は、第一波と同じ罠に陥っている。学習効果がなかったのだ。

     

    (5)「鄭本部長は、「今後少なくとも10日ほどは出退勤、病院訪問、生活必需品の購入など必須の外出を除いて集まり・旅行など人との接触を減らし、宗教活動、各種会議も非対面に切り替えてほしい」と要請した。さらに「外部活動をする場合は必ずマスクを着用し、手洗い、2メートルの距離維持などを徹底的に守ってほしい」と呼びかけた」

     

    防疫当局は、今後少なくとも10日ほど、と規制期間を予告している。文大統領は強権発動をちらつかせているほど。日本とは随分と違い、張り詰めた雰囲気が感じられる。日韓の「民度」の違いと言えば、韓国は激怒するだろうが、現実を見ればそう言わざるを得ない状況だ。 

     

     

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    韓国は、中国から見ると無定見の国家に見えるようだ。米中対立の中で、中国が定めた「友軍国家」候補は、韓国・シンガポール・ドイツと言われる。中国の外交政策を総括する楊潔チ政治局員が先週末に訪韓した。その目的は、韓国を米韓同盟から引き離す下工作であった、と指摘されている。韓国が、これにまんまと乗せられるかどうか。目が離せなくなってきた。

     

    『ハンギョレ新聞』(8月26日付)は、「文在寅政府は「親中」なのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のパク・ミンヒ論説委員である。

     

    「現政府はあまりにも“中国寄り”ではありませんか?」。このような話をよく聞く。ネット上でも「親中政府」と非難する書き込みを数多くみられる。文在寅(ムン・ジェイン)政権を“親中”だと攻撃する保守・極右勢力の執拗な攻勢が“嫌中ムード”の広がりと重なって、深刻な誤解を作り出した。

     

    (1)「文在寅政府の外交政策は、過度に“親米”的と言える。トランプ政権を説得して朝米交渉を進展させることに相当な外交力を注いだからだ。大統領府は2018年、中国を除いた「南北米終戦宣言」を推進すると発表し、中国が激しく反発したこともあった。2019年2月28日、ハノイでの朝米首脳会談でトランプ大統領が自らの政治的利害関係のため、合意を拒否してから、韓国は“トランプに頼り切る”政策を打ち切り、自ら核問題の解決策を打ち出さなければならなかったが、それからも米国を説得することに時間を費やしてきた

     

    下線部は、完全に認識を間違えている。米朝が、朝鮮戦争を法的に解決できる当事者である。韓国は立場上、米国陣営に属していることをしっかりと頭に入れて置くべきだ。韓国が、法的に朝鮮戦争の当事者でない以上、米国を出し抜いた中朝との交渉は不可能である。北朝鮮もそれを指摘しているのである。

     


    (2)「米中「新冷戦」の影響が韓国外交にも主要な課題となった今、韓国政府は中国に対する冷徹な理解と戦略の不足を反省しなければならない。THAAD(高高度防衛ミサイル)をめぐる軋轢を「3つのノー(THAADを追加配備しない、米日ミサイル防衛(MD)に加わらない、韓米日の協力を軍事同盟に発展させない)」原則を言及することで取り繕って以来、問題をまともに解決するための対中外交は稼動していない。大統領府内に対中国戦略を担う戦略家がいないことを、文在寅政府に助言する専門家たちでさえ深刻な問題だと指摘する。「外交部で米中新冷戦に備えるための政策報告書を作成したが、大統領府では誰も気に留めなかった」、「大統領府安保室は米国派、外交部は北米局が主導している。中国関連政策には誰も取り組もうとしない」。多くの専門家がこう話している」

     

    韓国政府は中国に対して、THAAD(高高度防衛ミサイル)をめぐる軋轢で「3つのノー」を約束した。これこそ、国家固有の自衛権を縛る行為で、文政権が中国寄りと指摘される最大の理由である。一種の「売国的行為」と批判されても抗弁できないほど、非常識な内容である。

     

    (3)「先週末、中国の外交トップ楊潔チ氏がシンガポールを経由して訪韓し、釜山(プサン)でソ・フン国家安保室長と6時間にわたって会談した。楊政治局員はなぜこの時期に韓国を訪れたのか。米中の対立が激化する中、最近、中国内部では米国の攻勢に対する対応方向をめぐり、強硬派と穏健派の論争があったが、冷静に状況を管理する方向で意見がまとまった。トランプ政権のわなにはまり、中国に対する国際的反感を高めるよりは、落ち着いて友軍を確保し、“持久戦”で勝利を勝ち取る戦略だ。中国が激しい内部論議の末に戦略を整えてから、初めて取った行動が楊潔チ政治局員の韓国、シンガポール訪問だった。今週は王毅国務委員兼外相がドイツなど欧州5カ国を歴訪する」

     

    中国の戦略が、建設的かどうか見定める眼力が必要だ。中国は、最終的に世界覇権を握ろうとしている。現状は、米国の力が強く不利であるから「一部退却」という戦術であろう。そこで、韓国、シンガポール・ドイツを「友軍」に仕立てて小休止し、陣営を整え米国へ戦いを挑む決意を固めている。

     

    中国は、共産主義で世界支配する野望を抱いている。韓国は、その中国に「塩を送る」というのだろうか。韓国は、朝鮮戦争で共産主義により甚大な被害を受けている。その韓国が、中国共産党の支え棒になるとは、道義的にも許されるはずがない。文政権には、そういう見識をしっかりと持つべきなのだ。

     


    (4)「北東アジアの韓国、東南アジアのシンガポール、欧州のドイツは、米国と緊密な関係を結んでいる主要国の中で、中国が合従連衡の主な対象に選んだ国である。ドイツは欧州で中国を経済的に最もよく活用する国として知られている。シンガポールは、リー・クアンユ―元首相からリー・シェンロン現首相まで、世界で中国を最も深く理解し、米中間で巧みな外交を行うことで有名だ」

     

    米中対立が今後、一段と激しくなる中で、韓国は中国の「友軍」になるメリットはあるのか。米国は中国包囲網を強めていく。韓国が、米韓同盟を破棄して中国陣営へ馳せ参じることは「自殺行為」である。米国市場から切り離されるのだ。米国の与野党が抱く中国への怒りは、韓国の二股外交を認めるはずがない。そういう国際情勢の変化について認識を改めるべきだ。

     

    (5)「北朝鮮核問題の解決と朝鮮半島平和プロセスにおいて、中国とどのような協力をしていくかも明確に判断しなければならない。香港国家安全維持法などに対する確固たる立場も必要だ。中国が発し始めた“友好のシグナル”を活用しつつ、敵味方を分けようとする米中の圧力に巻き込まれないよう、朝鮮半島の平和と繁栄を進展させる戦略を政府がどれだけ深く考え、練っているのかが気になる

     

    これほど甘い認識で、米中対立を乗り切れるはずがない。下線部分は、完全に韓国中心主義の幻想である。米ソ対立の激しさを思い起こせば、米中対立が韓国の二股外交を許すとは思えない。世界覇権競争とは、そういう厳しい戦いである。

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    韓国は、中国と同じですぐに有頂天になる。春の新型コロナウイルスでは、上手く収束できたと思いきや、今や大きな第二波に飲み込まれている。春先の勝ち誇った「K防疫モデル」が、すでに破綻しており、世界が韓国を見る目が冷淡になってきた。相次いで、韓国人の入国を制限するようになっている。

     

    焦点は、10人以上の集会禁止や登校授業全面中止などの措置が実施される「社会的距離確保第3段階」への引き上げを実施するかどうかだ。大統領府は、経済的な影響に対する懸念から決定を下せずにいる状況だ。

     

    『朝鮮日報』(8月28日付)は、「韓国の新型コロナ新規感染者441人、崩壊したK防疫」と題する記事を掲載した。

     

    8月26日に全国で441人の新型コロナウイルス感染者が確認され(27日0時基準)、今年3月の大流行以来の400人超えとなった。防疫当局は10人以上の集会禁止や登校授業全面中止などの措置が実施される「社会的距離確保第3段階」への引き上げを検討していると明らかにしたが、青瓦台は経済的な影響に対する懸念から決定を下せずにいる状況だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は先日、「防疫と経済は必ず同時に捕まえなければならない2匹のウサギ」と発言した。

     


    (1)「防疫当局は最悪の事態に備えて第3段階への引き上げ検討に入った。中央事故収拾本部の尹泰皓(ユン・テホ)防疫総括班長は同日、「第3段階に準じる措置で行くのか、完全な第3段階ですぐに行くのか、あらゆる可能性について協議している」と語った。第3段階にすぐに引き上げする案と、いわゆる「第2.5段階」と言われる中間段階を経る方法の両方を検討しているものと思われる」

     

    防疫当局は、「第3段階」か「第2.5段階」かの選択幅を残しているが、いずれしても対策強化を目指している。医療崩壊も目前である以上、もはや逡巡はゆるされない。大統領府は、経済失速を恐れて決断できずにいるのだ。

     

    (2)「教会に端を発するクラスター(集団感染)などにより一日の感染者数が100人を超えた13日から26日までの2週間で確認された感染者数は3936人に達する。これは一日平均281人で、「2週間の平均が100人以上」という第3段階の要件の半分を満たすものだ。これに並ぶ要件である「週2回のダブリング(前日比で2倍以上の増加)」は発生していないが、専門家らは先制的な第3段階引き上げが必要だと指摘している。

     

    すでに、感染者数で「2週間の平均が100人以上」という条件を上回っている。後は、「週2回のダブリング(前日比で2倍以上の増加)」だが、これも時間の問題である。早めの決断が必要だ。「K防疫モデル」の精神を忘れてはならない。

     


    (3)「民間企業や一部の地方自治団体は自己防衛策として、現在施行されている第2段階を超える防疫措置の強化に入った。サムスン電子・LG電子などは同日、在宅勤務拡大を発表した。教会でのクラスターが広がっている光州広域市は同日から「第3段階に準じる社会的距離確保」に入った」。

     

    企業や自治体の一部では、すでに「第3段階に準じる社会的距離確保」体制に入っている。韓国政府の決断が遅れている結果、海外の韓国を見る目は冷淡になってきた。

     

    『朝鮮日報』(8月28日付)は、「『Kー防疫』の善戦が一転、感染者急増で冷淡になった世界」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルスの感染再拡大により、韓国発の旅行者に対する検疫と隔離を強化する国が増えている。わが政府が自慢してきた「K-防疫」に対して門を閉ざし始めたのだ。外交部(省に相当)などが27日に明らかにしたところによると、かなりの数の国・地域が韓国発の入国者に対する検疫を強化している。26日現在で韓国国内の1日当たりの新型コロナ新規感染者が400人を超えたことに伴う措置とみられる。

     

    (4)「台湾の保健当局は27日、ビジネス目的の短期入国者に限って自己隔離期間を短縮できる「新型コロナウイルス中低リスク国」リストから韓国を除外したと発表した。これに伴い、韓国からの入国者の隔離期間は従来の7日から14日へと長くなった。台湾中央伝染病管理センター(CECC)は「韓国は新規感染者が急速に増加しており、韓国政府も感染拡大の勢いがピークに達したとは考えていないため、再拡大のリスクがあると判断した」と説明した」

     

    台湾が、韓国からの入国者の隔離期間は従来の7日から14日へと長くした。「新型コロナウイルス中低リスク国」リストから韓国を除外した結果だ。

     

     

    (5)「シンガポールも同日、韓国からの入国者に対し、自己隔離の場所をこれまでの自宅・居住地ではなく政府の指定する隔離施設とするよう措置を強化すると発表した。この措置は29日から始まる。中国政府は前日、仁川-重慶間のチャーター便運航を2日前になって急きょ保留した。中国国内の韓人会では「チャーター便の運航は当分困難だろう」という話が出ているという」

     

    シンガポールは、韓国からの入国者に対し、自己隔離の場所を政府の指定する隔離施設とすると発表。中国は、チャーター便を中止した。

     

    (6)「わが政府はこれまで、新型コロナウイルスに対する迅速な対応をベースに、いわゆる「K-防疫」の優秀性を強調してきた。他国に先駆けて「企業人ファストトラック制度」を導入するなど、経済への打撃を最小化するための取り組みを強化した。しかし、今回の事態をきっかけにK-防疫が水泡に帰すのではないかとの危機感が高まっている。外交関係者の間では「シャンパンを開けるのが早すぎたのではないか」との声も聞こえている

     

    文政権は、コロナ問題を政治的に扱い過ぎた。国内で政治的得点にすべく、「K防疫モデル」などと自慢して、総選挙に利用した。今、その咎めが出ているのだ。

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    韓国社会は混乱の極にある。首都圏が、新型コロナウイルス第二波に飲み込まれたからだ。「K防疫モデル」はあっさり崩壊した。市民の自主的な防疫姿勢が、意外に脆弱であった。コロナ・マジノ線は、突破されたのである。

     

    韓国では、高齢者の感染が増えるとともに、重症化が懸念されてきた。その重症患者の病床数が、首都圏であと19床という最悪事態だ。ただ、医師と看護師が動員可能な重症患者病床数は、何と7床だけ。これが、現実の韓国首都圏の医療実態である。

     

    ひと頃韓国では、東京都庁がコロナ感染者集計でファックスを使っていると嘲笑し、勝ち誇った態度を見せていた。その韓国が、重症者病床数の確認を間違えて、過剰報告していたというのだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(8月27日付)は、「重症患者病床『過剰集計』首都圏には残り19床のみ」と題する記事を掲載した。

     

    防疫当局が集計した首都圏地域の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症患者用の病床数が、実際に使用できるものより多く集計されていたことが、26日に明らかになった。前日に防疫当局は、首都圏に残る重症患者用病床を56床と発表していたが、現場での点検の結果、実際に残っている病床は19床だった。COVID-19の拡散傾向が続けば、病床不足が直ちに入院待機などとして現実のものとなるとみられる。

     


    (1)「この日、中央事故収拾本部(中収本)が明らかにした「重症患者治療病床」の数は、ソウルの場合、前日の50床からこの日は11床へと、1日で39床も減った。首都圏全体では56床から19床へと37床減った。これについて中収本のユン・テホ防疫総括班長は「一部の使用可能な病床と実際に報告された病床の間の差を、現場点検を通じて確認した」とし「一部の病院が、実際に使用可能な病床より多く報告していたケースがあった」と述べた。入院中の重症患者が増えて病床数が減ったのではなく、そもそも集計が間違っていたというのだ」

     

    病床数の確認は、医療現場ではイロハのイであろう。それが過剰報告とは、絶対に許されるミスではない。医療崩壊という最悪事態を招くのだ。日本のファックスを笑っていられるものではない。

     

    (2)「24日現在で直ちに重症患者が入院できる首都圏の病床は7床だとして、すでに重症患者医学会が中収本の集計(56床)に疑問を提起していた。同学会の説明によると、医師や看護師の人数も考慮して、直ちに入院が可能な病床のみを集計する同学会とは異なり、中収本の数字は病院が集計システムに入力する単なる数字のみを集計するため、現実からかけ離れているという。この指摘が政府の現場点検によって事実として確認されたわけだ)

     

    24日現在で、直ちに重症患者が入院できる首都圏の病床は7床という重症患者医学会がまとめた数字がある。これは、実際に稼働体制をとれる現実的な数字だ。となれば、19床すら非現実的な数字になる。医療崩壊が現実問題になってきた。

     

    (3)「COVID-19重症患者の病床不足は現実となっている。現在、江原道、光州市(クァンジュシ)、忠清南道、全羅北道では、直ちに入院が可能な重症患者用の病床は0床だ。前日に集団感染が発生した江原道原州市(ウォンジュシ)では、必要時に病床のないケースも発生した。ユン班長は「首都圏にある上級総合病院を通じ、今月末までに36床を追加し、病状が好転した患者は全員を中等症・軽症病床に移すことで、重症患者の病床を直ちに確保する。9月中旬までにさらに40床を確保する」と述べた」

     

    直ちに入院が可能な重症患者用の病床は、江原道、光州市、忠清南道、全羅北道で0床という。よく、ここまでの危機的状況を放置していたものだ。韓国全体が、ネジが抜けたような状態にある。

     

    (4)「しかし、このような対応のみで、増加する患者に対処できるかどうかは疑問だ。重篤患者は前日の38人に続き、この日は43人となって5人増えるなど、急激な増加を示している。専門家で構成される新型感染症中央臨床委員会は、最近の傾向のように1日で300人の新規感染者が発生した場合、来月3日までに重症患者は最大で130人発生すると予想している。国立中央医療院中央感染症病院のパン・ジファン運営センター長は「防疫に比べて重症患者治療の力量を向上させるのに投じられた政府の資金は不十分。せめてこれからは重症患者治療の力量を高めるべき」と述べた」

     

    1日で300人の新規感染者が発生した場合、9月3日までに重症患者は最大で130人発生すると予測されている。130人も重症患者が増えたら、完全に病床不足は明らかである。政府の資金不足が指摘されている。

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    文大統領は、退任まで2年を切った現在、退任後の自らの身辺に焦りがあるようだ。かつての部下で、司法関係を固めており、絶対にボロを出すまいという執念さえ感じさせるほどである。次期政権が保守派になれば、文大統領が行なってきた「積弊一掃」は、保守派で行われても文句を言う筋でなくなる。文「元大統領」は、司直の追及に合うはず。その種を自ら蒔いただけに、引退後が恐ろしくなるのだろう。

     

    『朝鮮日報』(8月26日付)は、「文在寅チルドレン」が司法機関を完全掌握、恐れるものがそれほど多いのか」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「政権発足から4年目を迎えた文在寅(ムン・ジェイン)大統領が司法機関の要職とトップの座を盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の青瓦台出身者で埋め尽くした。

    李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長、

    趙南寛(チョ・ナムグァン)大検察庁次長検事は盧武鉉政権の青瓦台特別監察班出身で、文在寅・民情首席秘書官(当時)の下で働いた

    金昌竜(キム・チャンリョン)警察庁長は治安秘書官室

    金大智(キム・デジ)国税庁長は民情首席秘書官室の行政官

    金宗浩(キム・ジョンホ)青瓦台民情首席秘書官は国政状況室の行政官

    李錫兌(イ・ソクテ)憲法裁判官

    金善洙(キム・ソンス)大法官も民情首席秘書官室の秘書官

    文大統領が当時青瓦台で共に勤務した人々ばかりを選んで登用した格好だ。大統領が自分と縁がある人物で司法機関全体をこれほど埋め尽くした例はほとんどない」

     

    一見、「正直人間」に見える文大統領だが、どうしてどうして、身辺の警戒はもの凄い。自分の、あるいは与党の醜聞を絶対に捜査させないという姿勢を、この人事配置は示している。文氏は、仮に自分の任期中は捜査を避けられても、いずれ保守党政権が行うだろう。その時、文氏は法廷に立たされることになるのか。臭いものに蓋をしてはならない。

     


    (2)「『文在寅チルドレン』勢力が司法機関を掌握したことで何が起きたか。大統領の「30年来の友人」である与党候補を蔚山市長に当選させるため、青瓦台が繰り広げた選挙工作に対する捜査は大統領の前でストップした。兆ウォン単位の金融詐欺被害が出たファンドの事件では与党議員や青瓦台職員の関与が明るみに出たが、捜査は遅々として進んでいない」

     

    (3)「尹美香(ユン・ミヒャン)議員の正義記憶連帯(正義連)会計不正や秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の息子の軍休暇未復帰事件も同様だ。朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長がわいせつ行為の疑いで告訴された事実が漏れた事件については、捜査が露骨に押さえつけられている。呉巨敦(オ・ゴドン)前釜山市長は強制わいせつ容疑を除き、残る容疑は嫌疑なしで処理されようとしている」

     

    文大統領は、弁護士出身である。国民は法の前に平等という精神から言えば、文氏のやっている「身辺強化」は、法の精神に反することだ。弁護士の文大統領が、それをやっていることが、絶望的な感じを抱かせるのである。

     

    (4)「文大統領の娘、娘婿と関連があるイースター航空の創業者、李相稷(イ・サンジク)氏の疑惑も覆い隠そうとした。検察に布陣された大統領系の人物が検察総長を「植物総長」に仕立て上げ、全ての事柄で率先している。検察を大統領の忠犬にした格好だ」

     

    文大統領の家族にも疑惑が噂される事態になっている。これも、前記の「文在寅チルドレン」が盾になって、捜査を阻止しているのだろうか。

     


    (5)「警察は、政権の行動隊になった。国会を訪れた大統領に靴を投げて抗議した市民団体代表を拘束しようとしたが令状請求が棄却されると、その後の集会で警察に暴力を振るったとしてついには拘束した。大統領のご機嫌取りに乗り出したのではなかろうか」

     

    (6)「自分たちの人物を司法機関に布陣した大統領は、青瓦台内部の監察機関である特別監察班を4年も任命していない。違法でもそのまま押し通している。特別監察班がなければ、せめて民情首席秘書官室でも内部の監視をしっかりすべきだが、そのポストも大統領系の人物が占めている。現在の民情首席秘書官だけでなく、金照源(キム・ジョウォン)前首席秘書官も過去に青瓦台で文大統領の下にいた。現在青瓦台で内部監視とけん制は皆無だ。歴代でこういう青瓦台はなかった」

     

    文政権は、「新積弊」になってきたようである。青瓦台内部の監察機関である特別監察班は、4年も任命していないのだ。これほど、身内にはルーズな文氏である。しかし、「親日排除」となると、目の色を変えて取り組む。価値観の基準が、常人とは違うのだろう。 

     

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