勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国経済は、文政権の登場で深刻なダメージを受け始めた。最低賃金の大幅引き上げは、その典型例である。理念先行であり、政策手段を吟味しない結果だ。誰でも、最低賃金を引上げて暮らしよい社会をつくることに反対する者はいない。

     

    問題は、その実現手段が問われている。短兵急に最賃を大幅に引上げれば、それで「全て良し」になるのか。あるいは、企業の生産性を引上げる政策(規制緩和など)を合わせて行なうのか。文政権は、前者のみである。規制緩和は、大企業にわがままな行動を許すことになるから「反対」という姿勢である。いかにも、労組と市民団体の主張に沿った政策選択だ。

     

    この「書生」丸出しの政策によって、韓国経済は体力を消耗し始めた。日本のバブル崩壊後に直面した経済指標を下回る状況になっている。個人消費意識は、急速に凍結化へ向かっており、早くも生活防衛が前面に出ている。

     

    『朝鮮日報』(7月22日付)は、「1990年代の日本より深刻化する韓国の不況」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「高齢化、民間所得の伸びなど韓国経済の指標が日本の長期不況初期の1990年代と似た傾向を示し、「日本よりもひどい停滞を経験するのではないか」との指摘が経済専門家の間でささやかれている。青年層の失業率、高齢者の資産、負債の質などが当時の日本より劣るためだ。日本の長期不況のシグナルは民間消費の急激な減速だった。1980年代に年平均3.6%だった民間消費の伸び率は1990年代には1.9%に低下した。韓国も同様だ。200007年には年平均4.3%だったが、その後は2.2%だ。昨年には2.6%に回復したが、海外支出を除くと1.6%にとどまった。1990年代の日本を下回る数値だ」

     

    平成時代になって生まれた日本人には、日本のバブル崩壊後の経済がどのようなものか知るよしもない。だが今、韓国で起こっていることを見れば追体験できる。日本は、高度成長から一転しての「墜落経済」であり、右往左往して対策が見つからなかった。随分と間違えた政策を行い、大量の国債発行の後遺症はこの時代からだ。経済再建の第一歩は、過剰債務の整理である。日本はこの面で10年も時間を空費した。

     

    (2)「韓国の内需危機は青年層、高齢層の双方で同時に進んでいる。青年層では就職難が出発点になる。昨年の韓国の青年失業率は9.5%で、5月には同月としては過去最悪の10.5%を記録した。1990年代の日本の青年失業率は56%だった。日本は高齢化社会を迎えた1994年を基準にすると4.8%にとどまった」

     

    韓国は、すでに家計債務残高が所得の許す限界を超えている。家計債務の増加は、必ず債務返済を優先するのでその分、消費を減らす代償を伴う。韓国の家計がなぜ、債務を増やしたのか。ミニ不動産バブルで住宅ローンの負担が重くのし掛かっている。不動産バブルが起こったときは、確かに景気は明るかったが、それでも経済成長率は3%に届かなかったのだ。家計債務残高が正常化するまで、韓国経済は低空飛行を余儀なくされる。2%成長時代が続くと見られる。

     

    余談だが、中国の不動産バブルは歴史に残るものだから、この後遺症が中国経済に与える「負の遺産」は想像を絶するものがある。日本のバブルの比ではない。しかも中国は、国家がそれを促進した「確信犯」である。国家ぐるみの「沈没」が予想できる。中国経済にも警戒信号が出ているのだ。


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    韓国海兵隊が運用しているマリンオン上陸機動ヘリコプターが、7月17日墜落して将兵5人が亡くなるという痛ましい事故が発生した。事故機は海兵隊が今年1月に初めて導入した国産機動ヘリコプターで、この日試験飛行を実施している途中で10メートル上空から墜落した。

     

    韓国大統領府は、「現在、韓国のスリオン(KUH-1、マリンオンの原型モデル)の性能と技量は世界最高水準」と述べたほど、自信を持ってきた機種である。ただ、これまでたびたび小さな事故を出してきたことも事実だ。

     

    韓国は、武器輸出に 力を入れており、フィリピンは韓国製武器の得意先である。フィリピンは2013年から27年にかけて軍事力近代化への3段階の計画を推進している。韓国政府との防衛産業の協力を強化しており、韓国製軽攻撃機「FA50」12機と、2600トン級護衛艦2隻を購入している。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、昨年からスリオンに関心を寄せており、「訪韓の機会にスリオンの実物をぜひ見たい」と韓国政府に要請していたそれだけに、今回の墜落事故は輸出商談に大きな蔭を落とすであろう。

     

    韓国の軍事関連輸出は2009年以降、16年までに1100%近く増加した。「不安定さを増す世界情勢や価格競争力の高さ、韓国が得意とする通常兵器の需要再燃により、韓国の武器製造企業が繁盛していることが背景にある。アナリストは、韓国はこのまま順調にいけば、20年までにアジア最大の武器輸出国である中国を追い抜くとみている」(『フィナンシャルタイムズ』2016年12月6日付)というほどの成長力が見込まれてきた。

     

    韓国の武器輸出は、5億8700万ドル(2017年)である。世界11位だ。中国は、11億3100万ドル(同)8位である。韓国が5億ドル台に乗ったのは2016年からで、それ以前は3億ドル以下であった。韓国が相当、輸出に力を入れていたことは疑いない。

     

    『朝鮮日報』(7月19日付)は、「韓国海兵隊ヘリコプター事故、徹底調査で再発防止を」と題する社説を掲載した。

     

    海兵隊と韓国航空宇宙産業(KAI)によると、事故機はローターブレード(翼)の1枚が分離して飛ばされたことによって回転力が一カ所に集中して駆動軸まで折れたという。このためブレードにつながっているスリーブという装置に問題があったのではないかとの推測も出ている。事故現場に残されていたスリーブには、強い衝撃を受けて陥没していた跡があるという。しかし、飛行直前の整備でこのような異常を発見できなかったことは理解できない。あるいはヘリコプターそのものにあった欠陥が突然現れて、部品と部品が衝突することによって事故が発生した可能性もある。どちらにしても、このような事故が再発することがないように原因を徹底的に究明しなければならない」

     

    「昨日公開された事故の映像を見ると、マリンオンは浮上すると同時にプロペラが根本から外れて飛んでいった。整備不良や構造的な欠陥はもちろん、防衛産業不正の可能性も調査しなければならない。現政権も航空産業とは何の縁故もない人物をKAI社長に任命し、防衛産業業者の専門性を落としていなかったどうか振り返る必要がある」

    この事故の映像はかなり衝撃的なものである。それだけに、原因究明には相当の時間が必要であろう。既述の通り、韓国は武器の輸出に力を入れている。それだけに、今回の事故は痛手であろう。しかも、人命損傷事故である。購入先は一層、慎重にならざるを得まい。


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    韓国政府は、公約を守るべく来年も大幅な最低賃金引き上げを決定した。一方で、この副作用によって零細小企業で解雇者の増加懸念が出ている。最賃法に従わなければ、罰則が適用されるためだ。ここで編み出されたのが、後述のような財政資金による「弱者救済」である。財政資金をテコに最賃を実施するようなもので、批判を免れない。賃金上昇分は、企業活動を活発化させた生産性向上で補うもの。財政資金投入とは本末転倒である。

     

    来年の最賃引上率は10.9%である。零細小企業主は、今年が16.4%であったから、とても実現できないと予告している。こういうムードを反映、最近期の世論調査では、自営業者の文大統領支持率が急落した。

     

    「中央日報」(7月19日付)は、「文大統領の支持率61.7%に急落」と題する記事を掲載した。

     

     文在寅韓国大統領の国政支持率が就任後、最も大幅(6.4ポイント)に下落して61.7%になったという世論調査結果が出た。世論調査専門機関リアルメーターがtbsの依頼で16日から18日まで調査したもの。7月第3週の週中集計によると、文大統領の国政遂行支持率(肯定的評価)は61.7%(非常によい33.9%、よい27.8%)だった。否定的な評価は23.3%。自営業(肯定48.7%vs否定45.3%)で最も大きな下落幅(12.2ポイント)となった」

     

    世論調査は、全体では61.7%の支持率。前回調査よりも6.4ポイントの低下だ。自営業では一挙に12.2ポイントもの低下であり、最低賃金の大幅引き上げがショックであることを示している。文政権は、こういう結果を招くことが予測できなかったのは、いかに空念仏に囚われているかを示している。

     

    年齢別では50代(54.3%vs39.9%)が11.0ポイント、政治的には中道層(61.0%vs34.3%)が7.7ポイントと、それぞれ最大の下落幅を見せている。熱烈な「文支持者」以外では、支持率がかなりの落ち込みだ。この現象が一時的かどうか。今後の経済動向が暗い予想である。それだけに、再度の支持率上昇になるか疑問である。

    政府は最低賃金の大幅引き上げが、反作用をもたらすことに気づき始めた。そこで、次のような財政資金の投入を決めた。

     

    「韓国で行き過ぎた最低賃金引き上げによる副作用で、庶民の所得が目減りするのをカバーするため、政府・与党は17日、計画通りに基礎年金を早期に引き上げるほか、低所得層への勤労奨励金を大幅に引き上げることを骨子とする低所得層支援対策を示した。最低賃金引き上げ分を税金で支援(雇用安定基金から3兆ウォン=3000億円)し、低所得層の所得の空白をまたもや税金で埋める格好だ」(『朝鮮日報』7月18日付)

     

    この財政支援は一度だけである。こういう形の最低賃金引き上げは最も愚策だ。政治が面倒見る最賃引上は、最終的に国民の負担で賃上げするのと同じこと。文政権は、この矛楯が分らないほど経済の現実感に欠けている。


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    韓国と北朝鮮が1992年、国際的に「日本海」で呼ばれている海域の呼称を変更するように申し立てて以来、韓国は「東海」と呼び「日本海」と併記するように求めて来た。この韓国の念願が、グーグルによる世界統一表記で「日本海」となって潰えた。

     

    『レコードチャイナ』(7月18日付)は、次のように伝えた。

     

    (1)「韓国『KBS』(7月17日付)は、は、グーグルマップに『日本海』表記が用いられていることを伝えた。それによると、韓国が主張する呼称『東海』は、地図を拡大すると現れる。以前は韓国でグーグルマップを利用する場合は『東海』と表記されるよう設定されていたが、12日の地図サービスアップグレードで地域別に表示形式を変える機能が省かれたという。これにより韓国で利用する場合も含め、全世界の地図表記が日本海(Sea of Japan)に統一された」

    (2)「この報道を受け、韓国のネットユーザーからは『グーグルマップを使うな』『韓国から出て行け』『グーグルで働いている韓国人は、この問題をなんとかして』『グーグルが無知なんだ』など批判の声が寄せられた。また『国力がないから、仕方ない』など、国力の差に言及する意見も見られた」

     

    韓国は、日本海は東海。黄海は西海と呼んでいる。ところが、日本海の呼称を変えろと要求する一方で、黄海については何らの反応を見せずにきた。これは片手落ちである。中国には遠慮し、日本だけに執拗な要求を続けてきたのは、日本を甘く見ており、要求すれば何でも通るという錯覚に基づくものだろう。

     

    韓国は、国連はもとより米国へも「日本海」の呼称変更を求めて運動した。米国は、世界の地名について、単独表記を原則とするという回答で「併記」は却下されている。今回、グーグルマップの統一表記で「日本海」になったことで、呼称騒ぎも終わることだろう。

     

    日本海」という呼称は、1602年のマテオ・リッチの地図に最初に現れているという。のちに19世紀の初頭、ロシアの海軍提督が使用したと記録されている。このような動かぬ証拠があっても韓国は諦めない国だ。竹島も、終戦直後に李承晩韓国大統領(当時)が、勝手に「李承晩ライン」なるものを設定して韓国領に編入したもの。以後、韓国は知恵の限りを尽くして「韓国領」を主張している。「日本海」呼称問題と同様に、屁理屈を並べる点では、中国とよく似た行動をする。この中韓は儒教国家であることも手伝い、「似たもの同士」という印象が強い。

     

     


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    韓国政府は、自らの政策ミスによって生じた「最賃失業」への対応をせかされている。今年の最低賃金引き上げは16.4%、来年は10.9%と連続して、大幅引き上げだ。中小零細企業では、これに追いつけず、やむなく従業員を解雇するという、とんでもないことが起こっている。韓国の最賃法は、業種、地域、性別、年齢を問わない無差別、一律の適用である。違反企業には罰則を伴う厳しさである。

     

    こうなると、企業は犯罪者になりたくないから、涙をのんで従業員を解雇する。韓国では、政治が失業者をつくり出すという前代未聞のことが起こっている。原因は、間違った経済政策にある。「所得主導経済」とやらを狙っているもの。国民の所得を増やすには、最低賃金を引上げる政策が、最も効果的という「珍説」に惑わされている。中国が2010年頃から始めた政策を真似たのだろう。

     

    中国の目的は、所得不平等を解消する目的であった。この面では、所得再分配政策が有効だが、共産党員が既得権益を侵害されるという「わがまま」によって阻止したので窮余の策で始まった。韓国では、「反企業主議」による誤解が原因である。企業は賃上げに消極的だから政府が先鞭を切って最賃を引上げ、「見本」を見せる。そんな意識であったに違いない。

     

    これが、思い上がりというもの。賃上げは、企業が生産性を引き上げて初めて実現する。政府は、反企業主議ゆえに企業への規制を緩和するどころか強化している。これでは、生産性は向上しない。だが、政府の頭は固いから規制を緩和しないのだ。一方で、最賃は引上げる。この状態では、失業者が増えて当然である。

     

    政府は、財政資金を使って「最賃被害者」を救済するという。もう呆れてものも言えないほどだ。貴重な財源を政府の政策ミスを尻ぬぐいすることに使うとは、世も末であろう。韓国経済は、こういう「トンデモ政権」のお陰で体力を消耗する。

     

    『朝鮮日報』(7月18日付)は、「最低賃金引き上げのツケ、韓国政府が税金で穴埋め」と題する記事を掲載した。

     

    「韓国で行き過ぎた最低賃金引き上げによる副作用で、庶民の所得が目減りするのをカバーするため、政府・与党は17日、計画通りに基礎年金を早期に引き上げるほか、低所得層への勤労奨励金を大幅に引き上げることを骨子とする低所得層支援対策を示した。最低賃金引き上げ分を税金で支援(雇用安定基金から3兆ウォン=3000億円)し、低所得層の所得の空白をまたもや税金で埋める格好だ。政府・与党はこのほか、青年求職者に支給する求職活動支援金を現在の月30万ウォン(約3万円)、最長3カ月から月50万ウォン(約5万円)、最長6カ月に拡大することとし、扶養義務者がいても、所得下位70%に属する重度障害者や高齢者がいる世帯に対しては、来年から生活保護支援を実施する」。

     

    日本のアベノミクスから見ると、異次元の政策だ。企業の規制を緩和して活発化させれば、最賃も自然に上昇する。就職難も解決して、求人難に逆転するはずだ。日本に見本があるのに「左翼経済学の虜になって意地を張っている。


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