勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国大統領府は、自らの景気判断の間違いを認めず強情を張り続けている。景気は「気」からと言われる。政府が、景気は良いと言っていれば、国民がそれを信じて消費を増やすと信じているようだ。

     

    韓国政府の「原始的」景気観は、OECD(経済協力開発機構)の示す景気先行指数の悪化が否定する。OECDの示す韓国景気先行指数は、6月まで15カ月連続で下落している。これだけの材料が出てきても、依然として「景気は良い」とオウム返しの回答である。

     

    問題は、OECDの発表する各国の景気先行指数の中で、韓国よりも悪化している8ヶ国のうち、なんと7ヶ国が通貨急落に遭遇していることだ。となると、次はウォン相場が急落か、という悪い予感がする。韓国政府は、こんな危険なシグナルが出てきても馬耳東風だ。

     

    『中央日報』(8月13日付)は、「さらに大きくなるOECDの経済危機警告音、韓国通貨危機直後と同様」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「OECDが月別で景気先行指数を公開する38カ国のうち韓国より先行指数が低いのはメキシコ、チェコ、スロベニア、エストニア、ギリシャ、アイルランド、インドネシア、トルコの8カ国にとどまった。アイルランドを除く大部分が最近になり自国通貨の急落のために金融不安が加重されている新興国だ」

     

    OECD景気先行指数は、実際の景気が動く約6~9ヶ月前の状況を示唆するデータだ。6月の韓国の景気先行指数は前月より0.3ポイント下落の99.22となった。100を割っていることは、景気悪化が迫っている信号だ。韓国政府はこれを認めず、自説に固執している。

     

    気になるのは、韓国より先行指数が低いメキシコ、チェコ、スロベニア、エストニア、ギリシャ、インドネシア、トルコの7カ国が、いずれも通貨の急落に直面している。そうなると、ウォン相場も波乱の前兆と見ざるを得ない。

     

    (2)「これ以外の国の景気先行指数はそれなりに良好な方だ。15カ月間に韓国が1.76ポイント落ちる間に日本は0.27ポイント、中国は0.49ポイントの下落にとどまり、米国はむしろ0.32ポイント上昇した」

    韓国政府は、OECD景気先行指数を無視しているが、荒唐無稽なデータではない。各国

    の景気動向をマッチしているからだ。米国の景気先行指数の上昇は、現状の動きから見てもうなずける。「左派政府」の欠陥は、現状を無視し固定観念に固執すること。このパターンが、見事に当てはまるケースであろう。


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    韓国政治の左派は、条件を問わずに南北統一ができれば、それで良しとする単純な民族主義思考が強い。ただ、この考えは年配者に多く、20代や30代とは異なっている。

     

    南北は、同じ民族であるからそれが一緒になろうというのは、ごく自然の動きである。それ自体を批判するのはナンセンスである。だが、北は「金ファミリー」の支配する国家という現実認識を欠かせない。これを忘れて、「南北統一」という動きは危険である。

     

    文政権は、単純な民族主義思考である。自らの政治的な実績にしたいという思惑が先行している。この文政権の偽らざる本心は、最近の左派の発言に見られる。

     

    『朝鮮日報』(8月12日付け)は、「北朝鮮の核は民族の資産だという幻想」というコラムを掲載した。筆者は、同紙の池海範(チ・ヘボム)記者である。

     

    (1)「最近ある会合で左派陣営の出席者がこんな発言をした。『統一後を考えれば、北朝鮮の完全な非核化よりは、一部の核を残しておいた方がよいかもしれない。わが民族が大国の横暴をけん制する上で核を持った方がはるかに有利だ』『南の経済力と北の核が合わされば、この世に恐れるものはない。我々の世代で偉業を成し遂げよう』。南北が平和的に共存、協力する時代になれば、北朝鮮の核は南北共同、すなわち民族の資産になるという論理だ。ゆえに、北朝鮮の非核化にこだわり過ぎず、大きな枠組みで交流、協力を強化すべきだというものだ。彼の発言には出席者数人がうなずいた」

     

    左派の人たちは、「空想」に生きる集団である。現実認識が希薄でナイーブな集団とも言える。言葉を換えれば、一度教え込まれた認識から脱却できず、それに拘束されて生きている人々のように思えるのだ。変化する現実を見ようとしない。だから硬直的な政治になる。文政権の最低賃金政策を見ていて、「これが左派政治の本質か」と納得した。

     

    北の核への理解も韓国左派の弱点を露わにしている。北を理想化しているので、北の核も容認する姿勢だ。文政権の本音もそこにあるように思える。多少の核はあってもいい。南北融和が進めば、韓国に核を落とすことはない。この程度の認識であるとすれば、日本は深刻にならざるを得ない。

     

    (2)「『北朝鮮の核が民族の核』という論理をつくり上げて宣伝してきたのは平壌の政権だ。今年125日、北朝鮮の統一戦線部が発表した「内外の朝鮮民族全体への訴え」はこう主張する。『わが民族が握る核の宝剣は米国の核戦争挑発索道を制圧し、朝鮮民族全体の運命と千万年の未来を固く担保する。民族の核、正義の核の宝剣を北南関係の障害物として売り渡そうとするあらゆる詭弁や企てを断固粉砕しよう』。ここで言う『民族の核』『核の宝剣』とはすなわち、『南の経済力と北の核を合わせれば、世の中に恐れるものはない』という主張に等しい」

     

    前のパラグラフで、左派の人々の主張は、北の主張と同一であることが分る。北の主張は、「金ファミリー」を守る主張である。北の専制君主を守る主張に同意することは、韓国人として民主主議の否定につがっている。左派の人たちは、口を開けば「人権を守れ」「労働者を守れ」と言い続けている。この人たちが、国民や人権の全てと踏みにじる北の主張に同意する。なんとも不思議な光景である。

     

    韓国左派の主張は、現在の若者によって否定されている。賞味期限は長くない。若者は、金ファミリーの存在そのものを拒否する。彼らにとって、同世代の人間が国民を人間扱いしない政治に絶望している。左派の年配者よりもはるかに健全な思考と見える。


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    韓国政府は、封建時代の悪代官そっくりである。最低賃金を2年間で30%も引上げる。信じがたい政策を行なうからだ。暴挙といって差し支えない。間違った経済学を信奉している結果である。だから、当局に罪の意識はない。民の暮らしが分らず、年貢を大幅に引上げる。まさに現代の悪代官が、韓国政府である。

     

    文大統領の支持率が、つるべ落としになって目が覚めたらしい。今年と来年の最賃引き上げ幅は変えないと強情を張っている一方、最賃の引き上げ法の改善を認める兆しが見えるという。過ちをすぐに糺すは政治の基本のはず。悪代官だから、メンツにこだわっているのだ。

     

    『中央日報』(8月10日付)は、「『私たちだけ国民としての扱いを受けてない』と小商工人が呼び掛け」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「急激な最低賃金引き上げは、大統領支持率下落に繋がった。2カ月前には80%を越えていた支持率は昨日、58%に急落した。就任後最低水準だ。沈んだ景気と、イマイチな電気料金割引なども原因だが、支持率下落の主な原因は最低賃金だった」

    現金なものだ。自らの支持率が下がれば保身の術で改善に動き出す。普段、言っているきれいごとが、全て噓に見えるから不思議である。

     

    (2)「この中で幸いにも、青瓦台(チョンワデ、大統領府)と政界に変化が見え始めている。新任の印兌淵(イン・テヨン)青瓦台自営業秘書官は一昨日、ラジオで業種別の差別適用の可能性を示唆した。イン秘書官は、『今、自営業者が危機に陥っているのに、最低賃金はこれから2年にかけて30%近くまで引き上がる。これは首まで水に浸かった状況で口と鼻を防ぐようなことだ』と述べた」

     

    大統領府が急遽、新設した「自営業秘書官」(小商工業者出身)が、最賃決定をこれまでの1年1回を2年に1回にしたい。業種別の最賃制にしたいなどとラジオで発言した。大統領府の了解を得た上での発言だろうか。日本の最賃は、小幅引上げで都道府県ごとに異なる。この例が参考にされている。

     

    (3)「野党自由韓国党の金学容(キム・ハギョン)国会環境労働委院長も、最低賃金を2年に一度調整するようにする法改正案を準備中だ。最賃委員会の全委員を国会が推薦し、労働者・使用者委員に零細自営業者とアルバイト生代表などが多数参加させ、業種別に異なる最低賃金を適用するのが柱だ」

    最低賃金委員会の委員も選出方法を変えるという。政府のお手盛りを廃して国会が推薦する制度に変えたいという。零細自営業者とアルバイト生代表も参加した、現場での生の声を反映させる、としている。悪代官が一方的に決めるのでなく、「農民代表」も最賃委員会の委員にする案だ。


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    韓国では、文政権が「国民請願掲示板」なる制度を設けた。国民の声を直接、大統領に届ける趣旨である。1件当たり20万人以上の賛成があれば、政府が何らかの対応をするというもの。これまで、「こんな話が」と訝るような非常識な投書もあった。

     

    今回の請願掲示板では、「犬を家畜の領域から外せ」が投書された。20万人以上の賛成がある。大統領府は、前向きに取り上げる意向を見せている。犬が家畜でなくなると、「食用禁止」だ。韓国伝統の「犬を食べる」習慣が禁止される。これで、韓国の「ワンちゃん」は命拾いする。先ずは、犬の大好きな人々には朗報となろう。

     

    『中央日報』(8月10日付)は、「青瓦台、家畜から犬が除外されるように規定を整備食用禁止も議論」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「チェ・ジェグァン青瓦台農漁業秘書官はこの日、青瓦台のSNS放送である『11時50分青瓦台です』に出演して、『(今の家畜法は)政府が食用犬の飼育を認めるもので、誤解されかねない』として」動物保護と動物福祉に対する関心が高まっている中で動物を家畜だけに定義している既存の制度が時代に合わない側面があり、畜産法関連規定の整備を検討する』と明らかにした」

     

    犬を家畜から除外すべく、「畜産法関連規定の整備を検討する」という。

     

    (2)「チェ秘書官は「2004年には国民10人中9人(89.5%)がポシンタンの販売を禁止する必要がないと答えたが、2018年実施した調査では18.5%だけが食用に賛成することが分かった」とし、犬の食用に対する社会的認識が変化していると強調した。しかし、チェ秘書官は、『依然として犬を飼育する農場が多数存在する』として、『このような点などを考えて利害当事者に対する意見聴取の過程を経て議論がより必要な部分がある』と直ちに解決は難しいと説明した」

    犬を飼育している業者もいるから、すぐに解決は難しい、とする発言だ。しかし、動物愛護という基本精神に立ち返れば、韓国中で「犬愛護募金」を集めて、業者に生業転換の助成資金に使うなど、アイデアはいくらでも出てくるはずだ。「言い訳は要らない」。私も犬が好きだから、韓国での「犬食用」に眉をひそめていた一人である。


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    南北朝鮮が融和ムードの中で、やっぱり想像通りの動きが始まった。日韓併合時代の「過去史」を穿り返し、韓国が北朝鮮とともに日本へ賠償を求めようというものだ。日本は、北とは国交回復がないので、日韓併合時代の賠償金支払いはない。韓国は、これに悪乗りして、もう一度甘い汁を吸う計画であろう。韓国とは、日韓基本条約で全て解決済みだ。韓国社会に巣くう「どす黒い」金銭欲には驚くほかない。

     

    『中央日報』(8月10日付)は、「日本の過去史に対する謝罪と賠償 南北が共同対応する共同行動発足」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本の過去史に対する謝罪と賠償を韓国と北朝鮮が共に対応するための団体が発足した。民族問題研究所、興士団など韓国の市民団体10団体が9日午前、ソウル中区(チュング)プレスセンターで記者会見を行い、『強制動員問題解決と対日過去清算に向けた共同行動』(以下共同行動)の発足を知らせた」

     

    韓国の市民団体とは、文政権を支えているグループである。これが、音頭をとって始めた騒ぎと見られる。何か、金になることはないか。探して歩いている集団のように見える。北を巻き込み、もう一度、賠償金を取りたい。そんな醜さが読み取れる。

     

    (2)「共同行動は宣言文で『日本政府は植民主義の清算要求に誠実に応える代わりに、歴史の時計を戻そうとしている』として『対日過去清算のために志を同じくする南と北、在日同胞、日本をはじめとする世界市民と連帯するだろう』と明らかにした。北朝鮮の民族和解協会は、『日本の過去の罪悪清算運動はウリ民族の怨恨を解き、後代に歴史の真実を正しく植え付けるための正しい運動』とし、『共同行動が板門店(パンムンジョム)宣言の下で祖国統一の明るい未来を切り開く先鋒的な役割を果たすだろう』とした」

     

    北は、日本企業の日窒などが残した大型発電所や膨大な製造設備を使って、大きな利益を得たはずだ。その設備も補修もせずに使い続けて結局、元の木阿弥になった。こういう利益を棚に上げて、恨み言だけを言ってくる。

     

    (3)「共同行動側は南北共同強制動員被害の実態調査およびデータベースの構築、南・北・在日同胞共同強制動員被害者証言大会および真相究明討論会の開催などを開く計画だ」

     

    日本が、ロシアによる北方四島の不法占拠に対して、このような動きがあっただろうか。韓国が、今なお過去史から経済的な利益を得ようとすることは、日本の「嫌韓ムード」に拍車をかけるだけだ。そのリアクションを考えたことがあるとは思えない。これからの韓国経済は、日本との連携なしではやれない。そこまで追い詰められようとしている。この現実を忘れては困る。

     


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