勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国文政権は、本当に民主主義国の政権であるのか、極めて疑わしい部分がある。価値外交において、中朝へ肩入れしているからだ。文政権の言分によれば、それが「均衡ある外交」であると言う。文政権の本質は民族主義である。決してリベラル派ではない。強い保守性を持った政権である。韓国では、保守派がリベラル派と言える。

     

    『中央日報』(1月18日付)は、「米国、EU・インドなどと連携で中国への圧力加速」と題するコラムを掲載した。筆者は、チェ・ビョンイル韓国高等教育財団事務総長である。

     

    米中貿易戦争は技術戦争と軍事戦争に続いて結局は体制戦争につながる。米中覇権競争の複合構図だ。米中貿易合意後の過去2年間、中国共産党の経済統制権はさらに強まった。サイバー空間を掌握する中国ビッグテック企業の自立権は極度に弱まった。体制の安定性という至上目標の下、異見は認められない。デジタル時代にふさわしくない中国規制システムの落後性を指摘したアリババの馬雲(ジャック・マー)氏が象徴的だ。

     


    (1)「米国は、交渉を通じて中国との貿易問題を解消できるだろうか。強気のトランプ大統領に対しても「数字は可能だが、システムは交渉の対象でない」と断固として一線を画した中国だ。第1段階合意という表現はそれで同床異夢だった。2020年11月、目の前に近づいた選挙を意識して自身の支持階層に「私だけが中国を屈服させることができた」と主張したかったトランプ大統領。米国の高まる高関税障壁を避けたい習近平主席。この2つの間の利害計算が絶妙に合致したのが第1段階合意だった」

     

    日米貿易交渉は、第1段階合意で終わっており、第2段階へ進む可能性は米中ともにない。米国における交渉主役が、トランプからバイデンへ代わったからだ。


    (2)「バイデン大統領には中国と第2段階交渉に臨む考えがない。また、植物化した世界貿易機関(WTO)多国間体制を復元して中国の構造的・形態的問題を扱う考えもない。そうするにはバイデン大統領に与えられた時間があまりにも短い。トランプ前大統領は始終一貫して米国のパワーに依存しながら米国単独で中国に圧力を加えることに熱中した。だが、バイデン大統領は価値同盟の旗を掲げて反中国連合戦線を構成しようとする。反中国連合が中国を交渉の場に引き込むための戦略かもしれない。中国は、こうした方式の協議に応じる名分を探せないだろう」

     

    バイデンは、同盟国の価値外交に着目して、反中連合を結成して中国へ圧力を掛ける方針である。これに対して、中国は対抗手段を持たない。

     


    (3)「バイデン大統領は、執権初年度に半導体・バッテリーなど核心素材の中国依存的グローバルサプライチェーンの再編に着手した。執権2年目には米国中心のサプライチェーンに参加する連合国家を物色し、連携を本格化する構想だ。欧州連合(EU)と連携する貿易技術委員会(TTC)、インド太平洋経済協議体が具体化する見通しだ。米国議会から交渉権限を受けなければならず、交渉妥結後に議会表決手続きを踏まなければならない従来の交渉方式では、デジタル覇権競争とコロナパンデミック(大流行)が同時に進行する状況で中国を十分に牽制できないというのがバイデン大統領の判断だ」

     

    バイデンは、EUとインド太平洋戦略(クアッド=日米豪印)の国々を結びつけた、グローバルサプライチェーンの再編に着手する。これは、交渉妥結後に米議会の表決手続きを踏む形式を取らず、実質で勝負する体制をつくるだろう。韓国は、ここで「蚊帳の外」に置かれている。米韓同盟に安住していると取り残される危険性があるのだ。

     


    (4)「米国は、EUおよびインド太平洋同盟国と半導体・バッテリーなど戦略品目サプライチェーンを構築する時、中国を排除する中国包囲戦略だけでは足りない。米国の自国力量強化はバイデン大統領がさらに注力している分野だ。「BBB(Build Back Better)」と命名された米国のインフラ・人的資産に対する投資拡大構想がそれだ。「米国をさらに強く建設する」と解釈されるBBBは、米国の革新力強化と中産層の雇用創出を同時に狙ったバイデン大統領の会心のカードだ」

     

    バイデンは、米国内のインフラ・人的投資に積極的である。「BBB」と名付けられる国内復興策を立てている。ただこの法案は、上院での民主党議員一名の反対で揺らいでいる。成立すれば、「米国再興」になるはずだ。

     

    (5)「冷戦終息後30年間続いた「国境のないグローバル化」が揺らいでいる。基礎技術開発-核心素材-組立の全過程にわたりコスト最小化の原理が支配するグローバルサプライチェーンに亀裂が生じている。いわゆる覇権競争時代だ。経済運営で効率性が至高至善の時代から安定性がさらに重要な時代に移っている。経済学の教科書を新しく書き直すほどの状況だ。効率性だけが経済運営の究極的な基準だった脱冷戦時代の観念と経験では、米中新冷戦時代に生存と繁栄を模索することはできない。効率性から安全性に経済運営のパラダイムが変化し、国家の政策力量と想像力が試されることになった」

     

    経済学の教科書が効率性第一から、安定供給重視へと大きく変わろうとしている。これは、米中対立によるデカップリングやパンデミックによる影響が、世界経済全体の仕組みを変えるほどの衝撃を与えたからだ。韓国文政権には、こういう経済環境激変について十分な認識があるとは思えない。二股などと季節外れの発言をおこなっているからだ。

     


    (6)「コロナパンデミックで最も重要な点に浮上したのは、主権国家が統制可能領域内に生産基盤を確保することだ。体制が異なる国が技術-安保の結びつきが強い品目のグローバルサプライチェーンを共有した時代に終焉を告げている。その分裂の断層線上に韓国が立っている。外生的な衝撃は避けられないが、どれほど早く回復できるかは国家の実力にかかっている。明確な混沌の時代に協力と共存を叫ぶのは、衝撃は来ないと信じるように愚かだ」

     

    中国による世界覇権への挑戦が、各国に対して否応なく選択を迫っている。中国の人権蹂躙の政策を受入れられない民主主義国は、中国から離れる以外に選択肢がないのだ。中国へ接近すれば、中国の価値観を受入れたと見なされ勝ちである。韓国は、「人権尊重」という一点において政策を選ぶべきである。第二次世界大戦中に起こった、「ファシズム」との戦いと似た構図がこれから始まる。この時代背景において、韓国の二股外交は国を滅ぼす要因となろう。

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    韓国では、安倍首相(当時)さえ代われば日韓関係がスムーズに行くと期待していた。だが、菅首相(当時)も厳しく、次第に期待度は下がっている。先の岸田首相の施政方針演説と林外相の「外交演説」でも、韓国をほぼ無視する内容になった。

     

    韓国メディアは、日本がここまで韓国へ妥協しない姿勢を貫いていることに落胆している。米国がバイデン政権になれば、日韓の仲介役に立ってくれると「取らぬ狸の皮算用」を弾いていた。それも不発に終わった。韓国は、もはやどうにもならない状況だ。

     

    『中央日報』(1月18日付)は、「岸田首相 『韓国に適切な対応を求める』、林外相『竹島は日本の領土』」と題する記事を掲載した。

     

    「重要な隣国である韓国に対しては、わが国の一貫した立場に基づき、適切な対応を強く求めていく」。17日の岸田文雄首相の施政方針演説で韓国への言及はこれだけだった。就任直後の昨年10月8日の国会所信表明演説で「韓国は重要な隣国だ。健全な関係に戻すためにも、わが国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていく」と述べたが、これと比較しても表現と分量が減った。

     


    (1)「首相が、日本の国民に伝えるメッセージの2回の国会演説で、韓日関係の悪化について「韓国の責任」を主張し、日本政府レベルで努力する意志を表さなかったということだ。当分は両国関係の改善を期待しにくい状況が続くとみられる。岸田首相が言及した韓国の「適切な対応」とは、両国間の主な懸案である強制徴用問題と旧日本軍慰安婦問題が1965年に締結された「韓日請求権協定」と2015年の韓日外交長官「慰安婦合意」で完全に解決したという認識に基づく。これを認めなかった韓国裁判所の判決を是正できる対策を韓国側が出すべきという主張だ」

     

    日韓関係の悪化は、すべて韓国側の責任において解決せよ、とするのが日本立場である。すでに法的に解決済みの問題を韓国司法が穿り返した、という認識である。韓国司法は厳正中立でなく、政治の強い影響を受ける後進国的動きをしている。

     


    (2)「日本政府は、安倍晋三首相当時からこうした立場を繰り返し明らかにしてきた。解決の糸口が見つからず、具体的な言及が徐々に減っていく傾向だ。菅義偉前首相は昨年1月18日の国会施政方針演説で「韓国は重要な隣国だ。現在、両国の関係は非常に厳しい状況にある」と現在の関係を診断した後、「健全な関係に戻すためにも、わが国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていく」と述べた」

     

    自民党政権である以上、外交政策が変わるはずがない。韓国では、そういう認識に欠けている。日本の現実認識が足りないのだ。日本が加害者で、韓国は被害者という位置づけである。だから、日本に対して何を要求しても構わないという幼稚な考えである。過去、日本外交がそれを受入れたことにも責任がある。こういう悪例を直すには、現在が絶好の機会である。

     


    (3)「半面、北朝鮮に対する内容は増えた。岸田首相はこの日の演説で、北朝鮮の日本人拉致問題について「最重要課題」とし、このために条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う決意だと明らかにした。「拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組む」と強い意志を表明した。続いて、2002年9月の金正日(キム・ジョンイル)総書記と小泉純一郎首相が平壌(ピョンヤン)会談後に出した日朝平壌(ピョンヤン)宣言に基づき「拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指す」という従来の立場を繰り返した。北朝鮮が繰り返す弾道ミサイル発射については、「断じて許されず、ミサイル技術の著しい向上を見過ごすことはできない」とし「敵基地攻撃能力を含め、防衛力を抜本的に強化する」と述べた」

     

    日本は北朝鮮と、賠償問題が済んでいない。それを終わらせるためにも、早急な会談が必要である。ミサイル発射実験は、由々しき問題である。日本一国が立ち向かうべき問題でない、

     


    (4)「岸田首相はこの日の演説で今後は現実を直視した「新時代リアリズム外交」を進めていくと明らかにした。日米同盟の強化と共に自由で開かれたインド太平洋構想を実現するため、オーストラリア、インドのほか東南アジア諸国連合(ASEAN)および欧州国家とも協力を強化すると伝えた。今年で国交正常化50周年を迎える中国には、「主張すべきは主張し、具体的な行動を強く求めていく」とし、建設的で安定的な関係を構築することを目標にすると明らかにした」

     

    下線部が、日本外交の生命線である。日韓関係は、その附随のような位置になった。韓国は、米韓同盟が後押しして「一流外交国」と任じているが、すでに「二流外交国」に落込んでいる。二股外交を行なっている結果である。

     


    (5)「首相施政方針演説に続いて林芳正外相の外交演説では、独島(ドクト、日本名・竹島)が日本領土という主張が繰り返された。林外相は「竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も日本固有の領土」とし「この基本的な立場に基づき、毅然と対応していく」と述べた。日本外相が外交演説で独島領有権に言及したのは安倍内閣当時の2014年から9年連続。また林外相は「日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題などにより非常に厳しい状況にあるが、このまま放置することはできない」とし「国と国との約束を守ることは国家間の関係の基本」という従来の立場を繰り返した」

    竹島は、李承晩元大統領が強引に自国領に組入れたものだ。中国の南シナ海領有と同じやり方である。儒教国は、領土に関して強引である。  

     

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    韓国の輸出額の4分の1は中国向けである。香港を含めれば3割にもなる。韓国が,二股外交を行なってきた裏には、輸出依存度の高さもあった。その中国経済の不調が、今年から鮮明になることから緊張している。中国経済は、20~21年についてイレギュラーであったが、今年からいよいよ「ベース」(基調)に戻る。実力の度合いが鮮明になるからだ。

     

    『中央日報』(1月18日付)は、「中国の経済成長率8.1%、今年は5%も不安だ」と題する記事を掲載した。

     

    昨年10~12月期の中国経済は4%の成長にとどまった。3%台に低下する恐れもあるという市場の懸念は避けられたが、今年の見通しは明るくない。消費指標が振るわない上に建国以来最低を記録した出生率など成長動力が失われているからだ。



    (1)「中国国家統計局は17日、昨年10~12月期の国内総生産(GDP)増加率は前年比4.0%だと発表した。ブルームバーグが集計した市場見通しの3.6%よりは高い数値だ。昨年の年間成長率も8.1%を記録し8%台を予想した市場の期待に合致した。

     

    昨年の実質成長率である8.1%は、表面的には立派な数字だが、四半期ベースで見ると、右肩下がりの惨憺たる内容である。


    (2)「昨年の年間8.1%の成長率は「錯視」だ。新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年の2.2%と比較しベース効果が現れたためだ。流れを見ると中国の成長率は急速に鈍化している。昨年1~3月期に18.3%だった成長率は4~6月期に7.9%、7~9月期に4.9%と速度が落ち、10~12月期には4.0%をかろうじて維持した」

     

    四半期別成長率推移(前年同期比)

    1~3月期   18.3%

    4~6月期    7.9%

    7~9月期    4.9%

    10~12月期  4.0%

     

    上記の成長率推移を見れば、中国経済が「安定」にほど遠いことを物語っている。

     


    (4)「特に昨年12月の経済指標を見ると懸念は大きくなる。3大エンジンである輸出と投資、消費のうち、消費が大きく振るわなかった。12月の小売り販売増加率は1.7%で前月の3.9%より低下し、年中最低値を記録した。市場予想値の3.7%を大きく下回った。これに対し失業率は5.1%で予想値の5.0%より高かった。ハナ金融投資のキム・ギョンファン研究員は、「中国の失業率はとても保守的に集計されるので実際の雇用状況ははるかに悪いという意味。昨年10~12月期の4%の成長率はこれまで好調であった工業生産や輸出が持ちこたえたおかげで、民間消費はショック的な低水準」と話した。10~12月期の輸出は23.3%増えた」

     

    下線のように、小売り販売が極端に不調である。パンデミック前の小売り販売額8%前後の伸びを維持していた。それが、1%台まで落込んでいる。「デッドロック」で市民生活を「凍結」しているのだから当然としても、絶句するほどの落込みである。

     


    (5)「『ゼロコロナ』政策で一部都市が封鎖され内需消費と雇用などが打撃を受けた。ここに不動産とビッグテック、教育などさまざまな分野にわたった企業規制措置が成長動力を引き下げたとの解釈も出ている。問題は、ベース効果が消える「本当の」成績表が出る今年だ。市場では今年中国が5%の成長も達成は困難と予想する。ゴールドマン・サックスは今年の中国成長率を4.3%、JPモルガンは4.9%と予想する。ゴールドマン・サックスはゼロコロナ政策にともなう強力な封鎖措置が今年の成長率を従来の見通しより0.9ポイント低く下げかねないと予想した」

     

    下線のように、今年のGDP成長率はゴールドマン・サックスが4.3%である。日本の投資銀行ノムラも昨年4.3%と予測していた。期せずして両投資銀行が、4.3%になっている。これが、持つ意味は大きい。安易な予測を許さない重みがある。

     


    (6)「大きくなる景気鈍化への懸念に中国政府は足早に動いている。先月預金準備率と最優遇貸出金利(LPR)を引き下げた中国人民銀行はこの日サプライズで金利引き下げに出た。市中銀行に供給する中期貸出制度(MLF)金利を2.95%から2.85%に0.1%引き下げた。人民銀行がMLF金利を下げたのは2020年4月から21カ月ぶりだ。メリッツ証券のチェ・ソルファ研究員は「追加的な預金準備率引き下げや流動性供給、インフラ投資などが上半期に集中するとみている」と話した。昨年10月の中国の生産者物価指数(PPI)上昇率は13.5%で過去最高を記録した後、先月は10.3%とやや緩和する姿を見せたのも中国が積極的に浮揚策を使うだろうという見方に力を与える」

     

    中国は、必死になって金融の小幅緩和で景気下支えに出るが、不動産バブルへの警戒感も残っている。米国の利上げ予想が確実視されているので、米中の金利差縮小にも限界がある。中国からの資金流出が懸念されるから、中国の利下げに限度が出てくるのだ。

     


    (7)「中国の浮揚策は韓国経済に短期的には好材料だ。韓国貿易協会によると、韓国の対中輸出の割合は25%に達する。キム・ギョンファン研究員は「中国の景気が回復すれば韓国の化学と鉄鋼、自動車など景気敏感株には恩恵となり、化粧品のような消費財も肯定的影響を受けるだろう」と話した。

     

    中国の景気動向は、韓国の輸出に影響する。長期的に見て、中国経済の落込みは、韓国にととって悪材料である。

     

    (8)「中国政府が、金融緩和で短期的な鈍化は防いでも、長期的成長軌道には暗雲が立ち込めている。中国の昨年の出生率は建国以来最も低い数値を記録したためだ。この日中国政府が発表した人口統計指標によると、昨年の出生率は人口1000人当たり7.52人と集計された。韓国経済研究院のイ・テギュ研究員は「中国の最大の強みだった人口が急速に減っている。韓国も対中輸出の割合を減らしていくなど長期的な対応が必要だ」と話した」

     

    下線のように、中国の最大の強みであった人口動態に異変が起こっている。今年は、人口減社会に向かうことは確実である。中国経済の活力が、これによって削がれて行くのだ。中国も,これで普通の国になる。経済成長率も低下する運命である。

    テイカカズラ
       

    韓国メディアは、昨年12月の輸出額が過去最高でも、貿易収支は赤字になったと不思議がる記事を掲載した。理由は、簡単である。輸入額が増えた結果である。輸入物価の上昇によるものだ。これは、韓国経済構造が素材や部品を仕入れて加工する業態であることを示している。

     

    韓国は、中国の習近平氏と同様に、「背伸び」し続けている。大統領選での与党候補の李氏は将来、韓国が世界の「五大大国になる」と公約を発表した。人口規模から言って、逆立ちしても可能性はゼロである。そういう不可能なことをなぜ、「公約」するのか。韓国には、そういう荒唐無稽なことを喜ぶ人たちがいるからだろう。地に足がついていないのだ。

     


    『朝鮮日報』(1月16日付)は、「韓国の輸出は過去最高なのに貿易収支は赤字、何かおかしい」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の輸出が過去最高を記録する中、貿易収支は赤字となる異例の状況が生じている。韓国産業通商資源部によると、昨年12月の輸出は607億ドル、2カ月連続で600億ドルを超えた。貿易収支は、前月の30億ドルの黒字から5億8600万ドルの赤字に転落した。貿易収支の赤字は2020年4月以来1年8カ月ぶりだ」

     

    昨年11~12月は、輸出は2ヶ月連続で600億ドルを超えたが、貿易収支は対照的であった。11月は30億ドルの黒字だが、12月は6億ドル弱の赤字と正反対の動きを見せた。

     


    (2)「輸出と貿易収支の動向が逆行する要因は「価格」だ。サプライチェーンの崩壊と需要増による急激なインフレで商品が高く売れるようになり、輸出額が大幅に増えたものの、同時に原油・ガスなどの原材料、部品・素材も値上がりし、利ざやが縮小した格好だ。12月の輸入物価上昇率(35.5%)は輸出物価上昇率(25.5%)を圧倒した。SK証券のアナリスト、アン・ヨンジン氏は「輸出指標だけをみて楽観せず、世界的な景気の流れを見ることが重要だ」と指摘した」

     

    下線部に、12月の輸出が最高のびだったが、貿易収支は赤字の理由を説明している。つまり、輸入物価上昇率(35.5%)が、輸出物価上昇率(25.5%)を上回った結果である。

     

    韓国は、典型的な加工貿易型産業構造である。素材部門の競争力が劣位にあるので、輸入で賄いこれを加工して製品化する構造になっている。韓国経済が、朝鮮戦争後の早期復活を実現できた背景には、この加工型貿易が寄与した。この際、日本の技術・資本・素材が大量に供給されている。

     

    韓国が現在、誇っている半導体技術は、日本から違法手段で手に入れたものだ。日本企業へ正式な対価を払ってはいない。こういう裏事情を忘れた顔をして、「反日運動」を展開するから、日本の強い反発を受けるのである。

     

    韓国は、日本よりも安価に素材を供給する先として中国が登場している。

     

    『朝鮮日報』(1月16日付)は、「韓国の急所を握る中国、尿素水など1850品目でシェア80%超」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国市場における韓国企業の立ち位置は徐々に弱まっているが、韓国の産業界に対する中国企業の影響力は徐々に強まっている。昨年、韓国で大混乱が起こった尿素水のように韓国が輸入する品目のうち1850種類で中国企業のシェアが80%を上回っている。太陽光発電、バッテリー、液晶パネルなどハイテク分野の市場でも中国の影響力が強まっている。太陽光発電では中国製太陽電池の市場シェアは78%、太陽光パネルは72%に達する。黒煙やリチウム、レアアースなど電気自動車用バッテリーに必要な素材の供給も中国企業がほぼ独占している」

     

    韓国は、中国依存度が高くなっている。1850品目で中国企業のシェアが80%を上回っている。米中対立によるデカップリングが進む気配の中で、韓国は中国へ大きく依存したかたちだ。中国企業には,政府から補助金が出ている。これが、中国品の競争力を付けさせた理由である。WTOのダンピングに引っかからないように、生産段階で補助金が出ているのだ。あのファーウェイにも多額の補助金が出ている。中国政府が、中国企業に対する米国の監査を嫌った理由はこれだ。

     

     

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    「反日」闘士である李在明・大統領与党候補者は、福島県産海産物が放射能に汚染されているとして、輸入禁止を公約した。李氏が、大統領に当選しこの公約を実行すれば、TPP(環太平洋経済連携協定)への加盟は不可能である。日本が、韓国の加盟を拒否するからだ。

     

    李氏は、ポピュリストとして有名である。支持率を高められると見れば、実現不可な案でも発表する。不評であれば、撤回すると言う「風見鶏」候補である。今回の福島産海産物の輸入禁止は、韓国の「反日」からみて公約を撤回することにはなるまい。当選の暁が、興味深くなってきた。

     


    『ハンギョレ新聞』(1月17日付)は、「韓国与党のイ・ジェミョン候補 『放射能に汚染された日本の水産物の輸入は禁止する』」と題する記事を掲載した。

     

    共に民主党の大統領候補イ・ジェミョン氏は、放射能に汚染された日本の水産物の輸入を禁止するなど、水産食品の安全に責任を負うと表明した。

     

    (1)「イ候補は16日、47番目の小確幸(小さくも確実な幸せ)公約を発表し、国内産水産物に対する放射能検査の強化と国際基準の安全管理制度である「ポジティブリスト制度」の導入を公約しつつ、このように述べた。イ候補は「残留許容基準のない物質もキログラム当たり0.01ミリグラム以下のケースのみ輸入を認めるよう、強力な措置を取る」と強調した。また放射能検査に必要な機器や人材などの安全管理インフラを大幅に拡大すると述べた。イ候補は「老朽化した委託販売所の現代化に合わせて放射能検査機器、実験室などに対する投資を増やしていく」と述べた」

     


    韓国は、WTO(世界貿易機関)で福島県ほか7県の海産物輸入禁止をめぐる係争で、日本が提示した科学データに基づく反論で敗れている。だが上級審で「風評」を根拠にして輸入禁止措置の正当性を勝ち取った。こういう非科学的な韓国の主張が、国際標準の「ポジティブリスト制度」を導入すれば、韓国が敗北するに決まっている。そのときはまた、「風評」という非科学的な根拠を持出すであろう。ともかく、「こう言えば,ああ言う」で手が付けられない相手である。

     

    こういう「分からず屋」の主張を繰返すならば、日本は韓国をTPPへ加盟させないことで「お仕置き」することだ。理屈の分らない相手には、こういう手段しかないであろう。

     

    (2)「イ候補は、国民の力の大統領候補ユン・ソクヨル氏の昨年8月の地域メディアとのインタビューにおける「日本の福島第一原発は崩壊しなかったので、放射能の流出はなかった」との発言に言及し、批判した。イ候補は「真実は明らかだ。2011年3月の地震と津波が福島第一原発を襲い、建物が損傷し、原発の機能がマヒして大規模に放射性物質が流出した」とし「国際原子力機関は国際原子力事象評価尺度(INES)の最高等級であるレベル7を与えた」と指摘した。続いて「外交的低姿勢で福島第一原発の放射能汚染水の危険性を無視することは、国民の命と安全に目をつぶることにほかならない」とし「国民の安全を守ることについては、過剰対応と評価されるほど強力に対処する」と述べた」

     

    下線部は、余りにも非科学的な主張である。日本人は、福島産海産物を毎日食しているが、誰一人被害に遭っていない。こういう実態を無視して「過剰対応と評価されるほど強力対応する」と力んでいる。ならば、日本もTPPで強力対応して加盟阻止である。どちらが損するか。それは、韓国に決まっている。

     

    李在明氏は、口の当たり放題の「公約」を連発している。韓国を世界五大国家」に押し上げると言い出したのだ。

     


    『ハンギョレ新聞』(1月12日付)は、「与党のイ大統領候補が掲げる新経済『5・5・5 宣言』実現性不明批判も」と題する記事を掲載した。

     

    共に民主党の大統領候補のイ・ジェミョン氏が11日、科学技術・産業・教育・国土大転換の4大転換を通じて「イ・ジェミョン新経済の目標である総合国力『世界5強の経済大国』」を実現すると述べた。しかし、具体的な実行策が見当たらず、選挙用のスローガンに終わる恐れがあるという指摘も出ている。

     

    (3)「イ・ジェミョン候補は同日、国会議員会館大会議室で開かれた「新経済ビジョン宣布式」で「まさに今が大転換の危機を成長の機会に変えられるゴールデンタイム」だとし、「大韓民国世界5強をイ・ジェミョン新経済が成し遂げる」と述べた。イ候補は「デジタル成長への転換のため、物的・制度的・人的インフラを先制的に構築する」とし、「(これを通じて)デジタルに特化した未来の人材100万人を養成し、究極的には約135兆ウォン(約13兆0600億円)のデジタル転換投資で200万の新しい雇用を創出する」と強調した」

     

    大法螺を吹く前に、現在の合計特殊出生率の歴史的低下を食止めることが先決である。2020年で「0.84」と世界最低を更新している。昨年はさらに低下して「0.80割れ」が確実視されている。2020年の日本の合計特殊出生率は、「1.34」である。宿敵日本よりも、さらに低い最悪状態だ。この事態を解決しなければ、砂上の楼閣に終わる。

     


    (4)「同日の発表は従来の「5・5・5(世界5強、国民所得5万ドル、株価5000)時代」の公約を掲げた「イジェノミクス」(イ・ジェミョン+エコノミクス)の完成版だ。イ候補は新経済ビジョン宣布式後に行われた質疑応答で「重要なのは国の役割を拡大し、(成長のための)インフラの構築に乗り出すこと」だと説明した」

     

    韓国の人口は、遠からず5000万人台を割込む。その韓国が、世界5強になるには、欧米風の合理的な精神を持つことが大前提である。福島産海産物を輸入禁止という非科学的主張を持出すようでは、この夢も不可能だ。

     

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