勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国経済がますます左前になっている中で、なるほどと納得させる理由の一つが見つかった。社外取締役に検察出身者を据えている点だ。韓国の「反企業ムード」に晒されながら経営する企業側の防衛策であろう。こういう守りの経営で、韓国経済が発展できるのか。はなはだ、疑わしくなってきた。

     

    『ハンギョレ新聞』(10月10日付)は、「大企業の社外取締役 国税庁出身者を追い抜き検察出身者が多数」と題する記事を掲載した。

     

    官僚出身の大企業の社外取締役のうち、検察庁出身者が国税庁出身者を抑えて最も大きな割合を占めたことが分かった。企業評価サイト「CEOスコア」は、国内30大グループの系列会社のうち四半期報告書を提出する企業190社の社外取締役の経歴を全数調査し、9日に発表した。

     

    今年の第1四半期現在、社外取締役総数656人のうち、10人に4人に相当する39.3%(258)が官僚出身だった。このうち検察出身が43(16.7%)で最も多く、中でもソウル中央地検と特捜部出身が多かった。続いて国税庁(39)、裁判所(28)、企画財政部(23)、公正取引委員会(21)、金融委員会(17)の順だった。検察と裁判所出身者を合計すれば官僚出身者全体の27.6%を占めるほど、法曹出身者の割合が大きかった。

     

    (1)「今年の分析で目立つのは、検察出身の社外取締役数が国税庁出身者を初めて上回ったことだ。2015年には国税庁出身が39人、検察出身が35人と国税庁出身の社外取締役が最も多く、その後も昨年までは国税庁が1位を守っていたが、今年は逆転。社外取締役の出身母体が国税庁などの権力機関に集中し、本来の経営監視ではなく「元官僚」によるロビー活動偏重となる懸念が絶えず提起されてきた中、最近になって検察出身の「需要」が大きくなっているのだ」

     

    韓国企業の社外取締役を迎える理由は、経営者の安泰を狙っているものが主である。社外取締役の目的は本来、株主利益の増進にあるはず。韓国は、株主利益の増進は眼中にない。韓国財閥が出資と経営を分離せず、未分離である理由と完全に重なり合っている。

     

    ここで、日米の社外取締役の出身別階層をみると、韓国とは全く異なっていることがわかる。日本では経営者出身が5割であり、法曹関係者は1割程度だ。米国では経営者出身が7割にも達している。法曹関係者は、2~3%に過ぎない。韓国の実情を日米と比べると、その後進性が明らかである。

     

    (2)「検察出身者の躍進は、「オーナーリスク」が重要な要因に挙げられている。CEOスコアのパク・チュグン代表は「これまでは現代自動車、新世界、ロッテなどの大手企業で社外取締役を国税庁や公正取引委員会から迎える傾向があった。2015年からはサムスン、CJ、ロッテなどの大企業において『オーナーリスク』が浮き彫りになり、裁判や訴訟問題への対応のため検察出身を増やす傾向が強くなってきた」とし、「検察の中でもソウル中央地検と特捜部からの登用が増えている」と語った」

     

    オーナーリスクとは、不思議な現象である。まさに出資と経営の未分離を表している。出資と経営が分離されていれば起こらないリスクである。

     

    (3)「官僚出身の社外取締役の割合が最も大きなグループは64.3%(9)の永豊で、斗山(61.9%13)、新世界なども社外取締役の半分以上を官僚出身者で固めている。官僚出身の社外取締役258人のうち、半分以上の154(59.7%)1級以上の高位公職者出身だった。このうち次官級出身が87(56.5%)で最も多かった。1級以上の高位官僚出身の社外取締役が最も多いグループはサムスンと現代自動車(15)で、SK、ロッテ(11)CJ、ヒョソン(10)などが続いた。官僚出身以外では学界が33.4%(219)で次点、財界(15.5%102)、マスコミ(3.5%23)が続いた」

     

    韓国経済の屋台骨であるサムスンと現代自は、社外取締役のうち次官級出身者をそれぞれ15人も抱えている。いかに、政府と密着しているかを物語っている。政府からの補助金や許認可事項が多い証明であろう。これでは、韓国経済は発展できまい。

     

    日本でも戦後の高度経済成長時代、大企業の役員で官僚出身が1~2人ぐらい在籍していた。今では、そういう例を聞くこともない。グローバル経営時代には、官僚が役立たなくなっている結果であろう。政府の許認可事項がなくなっている証拠だ。

     

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    韓国は、「反日不買」運動を大規模に行い、勝手に「勝利宣言」を出している。これとは反対に、日本が一切の妥協を拒否していることから不安も募ってきたようだ。「ホワイト国除外」で韓国に実損はなかったが、今後もその保証はない。いつ日本が、「伝家の宝刀を抜いて」逆襲に転じるかも知れないという懸念を持ち始めているようだ。

     

    こうして、なんとか日本との関係を修復しなければ、外交面で孤児になると真面目に考え始めているようだ。そこで、来る天皇即位式を利用してなんとか安倍首相との会談に持ち込みたい、という「執念」を持ち始めている。韓国は、興奮が冷めて見たら日本の相変わらずの冷たい態度が気になって仕方ないのだ。

     

    『聯合ニュース』(10月15日付)は、「即位礼出席の韓国首相、大統領専用機で訪日 大規模記者団も同行」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の李洛淵(イ・ナクヨン)首相は天皇が即位を国内外に宣言する「即位礼正殿の儀」に出席するために訪日する際、大統領専用機の空軍1号機を利用する。1号機と同様に、2号機も大統領専用機だが、1号機の搭乗可能人数が180~200人であるのに対し、2号機は30~40人で機体が小さい。今回の李首相の訪日は国民の高い関心を反映してか、同行記者団の規模が大きく、韓国首相の同行記者団としては過去最大になる見通しだ。現在までに国内30の報道機関から約50人が同行取材を申請した」

     

    韓国から30社、約50人の記者団が李首相に随行して取材に当るという。これまで、「反日不買運動」の旗を振ってきた記者が、「日韓友好」の必要性を訴える記事を書くのだろうか。考えて見れば、風見鶏でその時の空気に流された記事を書くとしたら、何とも哀しい人たちに見えるのだ。

     

    (2)「韓国大法院(最高裁)の強制徴用賠償判決、日本の対韓輸出規制強化、韓国の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定などで韓日関係が1年近く悪化を続ける状況の中、今回の訪日を機に関係改善の糸口を見いだすことができるか注目される。特に李首相と安倍晋三首相の会談が実現すれば、昨年10月に韓国大法院が初めて強制徴用被害者への賠償を日本企業に命じて以降、約1年ぶりの首脳級会談となる

     

    下線部分を読むと、韓国はどうしても安倍首相と首脳会談を開きたがっている。それによって、何らかの「言質」を引き出したいのだろう。考えて見れば、日韓は攻守ところを変えてしまった。昨年10月末の韓国大法院の徴用工判決以降、日本が外交的な解決を求めて韓国政府に接触しようしても、一切の交渉を絶っていた。その韓国が、「ホワイト国除外」という日本の切り札を見て仰天し、横柄な態度を改め「首脳会談を開いてくれ」と依頼する側に回っている。

     

    反日不買運動は、韓国が国を挙げた日本への嫌がらせである。日本政府は、それにも毅然として対応している。韓国の国際法違反を指摘して一歩も譲らない状況に、韓国が音を上げてきた。ここで、妥協しては元の木阿弥になる。「政経分離」でなく、「政経不分離」を明確にして、韓国に対して自らの言動に責任を持たせることだ。日本に対して、不条理な要求を出せば、しっぺ返しを受ける。そのことを、韓国に認識させることである。

     

    中国の対韓国政策の基本はこれである。必ず、しっぺ返しをしている。中国ほど露骨な振る舞いをしないまでも、日本に対して罵詈雑言を言っても何のペナルティも受けない。これでは、国家間の友好ルールを傷つける。韓国に大人の振る舞いをさせるためにも、日本はここで妥協せず、厳しく対応することが必要だ。

     

    『聯合ニュース』(10月14日付)は、「旭日旗使用禁止求める決議案伝達に日本応じず=韓国国会議員」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「韓国国会で先ごろ可決された、2020年東京五輪・パラリンピックでの競技場への旭日旗の持ち込み禁止を求める決議案を日本側に伝達するために与野党の議員団が訪日する意思を伝えたものの、日本側がこれに応じずにいることが14日、分かった。国会文化体育観光委員会の安敏錫(アン・ミンソク)委員長(与党・共に民主党)がこの日、国会で開かれた大韓体育会(韓国オリンピック委員会)などに対する国政監査で明らかにした」

     

    (4)「安氏は日本側の態度について、「非常に遺憾であり、傲慢(ごうまん)な態度」とし、「わが国を無視する姿勢が続けば、両国間に外交的にも不幸な状況になるだろう。あらかじめ警告する」と述べた。その上で、「日本側がわが国の国会代表団の面談日程を決めることを丁重に要請する」と話した」

     

    下線部分を読むと、日本を属国扱いした発言である。旭日旗は、日本の法律で制定したもの。内政干渉も甚だしい。「わが国を無視する姿勢が続けば、両国間に外交的にも不幸な状況になるだろう。あらかじめ警告する」とは笑わせる。日本が、太極旗の図案を見て笑ったら韓国は怒るだろう。それと同じことなのだ。他国の軍旗まで口出しすることは、過去に日本が手痛い打撃を与えずに黙認してきた結果だ。韓国がここまで言ったら、日本はしっぺ返しするというレッドラインを引いておくことだ。それが、韓国に大人の対応をさせる要因となろう。

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    「反企業主義者」であった文大統領が、にわかに「親企業主義」に宗旨替えしたようだ。サムスン電子の工場視察をする一方、現代自動車へも顔を出すという変りようである。大統領支持率が低下しているため、企業訪問で保守派からも人気を集める戦術のように見える。

     

    『聯合ニュース』(10月15日付)は、「文大統領、30年に未来車市場でトップに、現代自動車を訪問」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、ソウル近郊、京畿道・華城の現代自動車の研究所で開かれた「未来車国家ビジョン宣布式」に出席し、「われわれの目標は2030年までに未来型自動車で競争力1位の国になることだ」と述べた。文大統領はこれまでシステムLSI(大規模集積回路)、バイオヘルス、未来型自動車、水素経済などの新産業を積極的に育成し、第4次産業革命時代をリードするとの意志を示してきた」

     

    日本が、韓国を「ホワイト国除外」扱いにして以来、危機感を強めて国内企業の技術育成に力を入れ始めた。これまで、大企業の法人税を引上げるなど時流に逆行する政策を採用してきた。その文大統領が、にわかに企業擁護派に回り始めている。

     

    (2)「この日の宣布式への出席も、未来型自動車の世界市場を先取りするためのビジョンや目標を産官学が共有し、対応戦略を講じることを支援する狙いがある。文大統領は10日にもパネル大手サムスンディスプレーの工場を訪問しており、大企業の士気を高めて経済活力を向上させるとの意志を改めて強調したものとみられる」

     

    (3)「宣布式で、文大統領は30年に新規車両生産の30%が水素を燃料にする燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)になり、50%以上が自動運転車になると説明。移動サービス市場は1兆5000億ドル(約162兆5000億円)に成長するとし、「エコカーは必需品になっている」と述べた」

     

    下線をつけた部分は、驚くほど楽観的な見通しに立っている。EVは蓄電池の問題。FCVは、燃料である「水素」の扱い業者がきわめて少ないのだ。現状は、技術的にEV・FCVともに四苦八苦しており、文氏が考えるほど楽観はできない。

     

    『ロイター』(9月25日付)は、「韓国、難路続く燃料電池車対策、水素社会に高い壁」と題する記事を掲載した。

     

    燃料電池車(FCV)の普及をめざす韓国政府の取り組みに乗ろうと、ソン・ウォンヤンさんは昨年9月、蔚山市内に水素補給ステーションを開設した。わずか1年後、彼はもう廃業を検討している。

     

    (4)「蔚山にはヒュンダイ・モーターズの主力工場が立地し、市内を走るFCVは韓国の都市で最多の約1100台。ソンさんが新設した水素補給ステーションは、蔚山市内5カ所のうちの1つだ。建設費は電気自動車向けの急速充電設備に比べ6倍以上の30億ウォン(250万ドル)だが、政府が負担してくれた。ソンさんが経営するガソリンスタンドの隣に設置された2基の水素補給ポンプには、毎日ヒュンダイ製のSUV「ネクスコ」が確実に訪れる。「それでも経営は赤字だ。1日に補給できる台数に限度があり、また消費者のFCVへの乗り換えを促すために政府が水素小売価格を低く設定していることも制約となっている」

     

    水素補給ステーショの経営が苦しいことが、FCVの普及にネックとなる。

     

    (5)「ソンさんはロイターに対し、「政府が運営コストを補助してくれない限り、どこの水素補給ステーションでも、閉鎖する以外に選択肢がなくなる」と語った。「さもなければ、ここは30億ウォンもかけた鉄クズということになる」。アジア第4位の経済規模である韓国では、水素エネルギーを「未来の社会基盤」と位置づけ、文在寅大統領自ら水素テクノロジーの推進役になることを宣言、2030年までに85万台のFCVを導入するという目標を掲げている。これまでの販売台数が3000台に満たないことを考えれば、決して容易な目標ではない。やはりFCVの普及に熱心で、自動車市場の規模は韓国の3倍もある日本でさえ、同時期の導入計画は80万台だ」。

     

    下線の部分は深刻である。政府が、水素ステーションの運営コストも補助しなければ、経営が成り立たないという。文氏は「夢追い人」で、綿密な計算が苦手のようである。韓国は、2030年までに85万台のFCVを導入するという。だが、韓国の自動車市場の3倍もある日本が、手堅く80万台に止めている。どう見ても、日本に軍配が上がりそうだ。

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    韓国政府は、自ら蒔いた種の収拾で四苦八苦している。日本が徴用工賠償問題で、一切の妥協を拒否しているからだ。韓国大法院(最高裁)は、「人権に時効はない」と啖呵を切ったが、すでに日韓基本条約で解決済みの問題である。それを持出した「非」は韓国にある。

     

    韓国の間違いは、条約の持つ重みを軽視していたことだ。頼みの米国も、この問題については沈黙している。最大の責任者は、文在寅氏の甘っちょろい法的認識にある。「人権」と言えば、快刀乱麻のごとく難問を解き韓国に有利に展開すると見たことだ。

     

    この甘さは、今回の「チョ・グク法相問題」にも良く現れている。「検察改革」と叫べば、韓国の難問がたちどころに解決すると誤診した。検察改革を実施するには、公正中立で身辺に疑惑のない人間が陣頭指揮すべきである。それを、自らが捜査対象になっている人物を法相に任命するという破天荒なことをやって大失敗した。文在寅なる人物は、この程度の認識しかないことを証明した。

     

    日韓問題が戦後最悪事態に落込んでいるのも、文氏の誤った「対日観」と「人権は条約を超える」という法律家として致命的な欠陥に由来する。この大統領が居座る限り、日韓関係は打開されないだろう。それを暗示する報道が現れた。

     

    『中央日報』(10月14日付)は、韓国元野党代表『特使が日本行ってきただろう』 韓国首相『どうして知っているのか』」と題する記事を掲載した。

     

    今月7日夕方、ソウル三清洞(サムチョンドン)首相公館に李洛淵(イ・ナギョン)首相と政治元老が集まった。マッコリを酌み交わしながらの夕食会が終わるころ、鄭大哲(チョン・デチョル)元新千年民主党代表が李首相の耳に手を当て慎重に尋ねた。
    「日本に特使が行ってきただろう」(鄭氏)
    「なんと、それをどのように知ったのですか? 秘密なのに」(李首相)

    (1)「鄭氏は会合の数日前、「韓国政府高位要人が日本特使として行ってきた」という話を耳にしたという。夕食会の席で李首相に尋ねると、驚いた顔で「どのように知ったのか」という反応が出てきた。鄭氏が「小耳に挟んだところによると4人が日本特使に行ってきたそうだが」と再度聞くと、李首相は「それは確認することはできません」と話した」

    (2)「日本特使は韓日経済戦初期に政府が公開した2回の特使とは違う。鄭氏は取材に対し、政府関係者から聞いたところによると、皆知っているほどの有名人を含めた4人が最近、密かに訪問したと聞いた」とし「GSOMIA(軍事情報包括保護協定)問題もすべて解決して整頓しようという次元で派遣したと承知している」と伝えた」

    韓国政府はつい最近、4人の密使を日本に派遣したという。文大統領が天皇即位式に出席した場合の日韓首脳会談の可能性を探らせたものだ。密使の持ち帰った回答は、すべて日本の拒否にあったのであろう。韓国は、ずる賢く振る舞っている。韓国国内で徴用工賠償問題を解決するのが筋である。それを巧妙に避けて、無関係なGSOMIAを絡め、日本から利益を吸い取ろうという戦術である。日本が拒否するのは当然である。

     

    (3)「李首相は22日の徳仁天皇即位式出席のために日本を訪問する。李首相は7日、鄭氏との席で「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が日本に行けると一番良いが、(水面下の)話がうまくいかないようだ」と雰囲気を伝えた。あわせて「私が政府代表として天皇即位式に行けば安倍晋三首相と会って傾聴したい。昔から安倍首相と近いが、話をよく聞いてくる」と述べたという。NHKなど日本メディアでは李首相が今回の天皇即位式に出席する場合、安倍首相と15分程度の会談が実現する可能性があると報じている

    李首相と安倍首相は、旧知の間柄という。その李氏がなぜこれまで、安倍首相とコンタクトを取らなかったのか。文大統領が、自説を主張してあくまでも日本企業に徴用工賠償負担させる。そういう原則論を指示していたからだ。韓国の首相とは、大統領の「僕」(しもべ)に過ぎない。その李首相が、安倍首相と会談したところで「ご意見拝聴」に過ぎまい。しかも、会談時間は、たったの15分程度で成果を得られるはずがない。韓国国内では、この会談に大きな期待を寄せているが、それは「過剰期待」になろう。

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    チョ・グク氏が、法相に任命されてから1ヶ月余で辞任に追い込まれた。この人事は、検察からの事前情報で「不適任」の烙印が押されていた曰く付き人事であった。文大統領は、その疑惑を無視して強行したもの。なぜ、このように破綻することが分っていた人事を進めたのか。文政権支持派の労組と市民団体をつなぎ止める目的の人事とされている。

     

    これほど、国民を愚弄した人事があるだろうか。来年4月の総選挙を控えて、進歩派を結束させるには、どうしてもチョ氏を法相に任命して検察改革を行う必要に迫られていたというのだ。こうした党利党略人事であったことを考えると、検察改革も党利党略の具にされていたことが分るのだ。検察改革は、野党からは猛烈な反対に遭っていた。この一点からも、政権や与党を有利にさせる「仕掛け」があったのだろう。そうでなければ、野党も賛成した検察改革になったはずだ。

     

    最新の世論調査では、文大統領の支持率が低下している。同時に、与党支持率も下落し、最大野党の自由韓国党支持率とほぼ並んだ。これは、進歩派支持層が一部で離脱し始めている結果と見られている。進歩派の結束を固める意味で強行したチョ法相人事が、逆に進歩派の結束を乱す方向に作用しているのだ。

     

    チョ氏が法相を辞任しても、文氏と与党の支持率が回復する保証はどこにもない。むしろ逆であって、これから文大統領は「レームダック化」する危険性の方がはるかに大きい。歴代政権は、時期的に支持率低下サイクルに入ること。これに加えて、チョ法相の家族ぐるみの疑惑が、逆風を及ぼすとみられる。

     

    『中央日報』(10月14日付)は、「文大統領、チョ・グク長官辞任に『葛藤を招いて申し訳ない』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が14日、チョ・グク法務部長官が辞意を表明したことに関連し、「結果的に国民に多くの葛藤を招いた点について非常に申し訳なく思う」と述べた。文大統領は大統領府で首席・補佐官会議を開き、冒頭発言で「チョ・グク法務部長官と尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の幻想的な組み合わせによる検察改革を望んだが、夢のような希望に終わってしまった」とし、このように述べた。冒頭発言の最後に「我々の社会には大きな陣痛があった。その事実だけでも大統領として国民に非常に申し訳ない気持ち」と述べ、繰り返し遺憾を表明した」

     

    チョ・グク問題は、法相としての適格性が議論の的になったもので、これが検察改革の方向性を不明朗にさせた。責任は、法相を任命した文大統領にある。この点を曖昧にして、文氏に降りかかる批判を回避しようと懸命になっている。それは、次のパラグラフで取り上げられている「メディア批判」である。メディアは、権力を監視する役割を課されている。メディアが、チョ・グク問題を大きくとり上げることに対し、文氏が異議を申し立てるのはお門違いも甚だしいのだ。

     

    (2)「メディアにも言及した。「陣痛の中でも意味があったのは、メディアの役割に対して改めて深く考えることができる貴重な機会になったという点」と述べながらだ。文大統領は「メディアの役割については政府が介入できる領域でない」とし「メディアが自らその切迫感について深く省察し、信頼されるメディアのために自ら改革のために努力するよう求める」と語った。しかし文大統領はチョ長官の指名と任命の適切性には言及しなかった」


    下線部分は、文氏の傲慢さを表している。人権派弁護士を名乗ってきた文氏が、こういう形でメディア批判をする当り、ありきたりの権力者に成り下がったと言うほかない。文氏は、大統領任期の折り返し地点に差し掛かっている。来年4月の総選挙で与党が敗北すれば、文大統領の「レームダック化」は不可避だ。文氏は、国益に資する政策が一つもなく、反日だけに勢力を費やした大統領として記憶されるだろう。

     

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