勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    文政権の任期は、残り2年を切った。来年は、次期大統領候補を決める時期で、現大統領への関心が急速に低下する局面である。せいぜい年内が、文在寅氏の「大統領賞味期限」となりそうだ。そこで、文氏が南北関係打開に向けて最後の大博打に出てきた。

     

    国家情報院(韓国の情報機関。国情院)トップと青瓦台(韓国大統領府)の国家安保室長、統一部(省に相当。以下同じ)長官を交代させるという「三人の安全保障ライン」の人事に手を打ったのだ。人事の特色は、「北朝鮮派」の面々であること。金正恩氏に気に入って貰い、「南に顔を向けて」という懇願の臭いが感じられる。

     

    『朝鮮日報』(7月4日付)は、「切羽詰まった文大統領、対北成果を出そうと勝負手」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「国情院長に内定した朴智元(パク・チウォン)氏と徐薫(ソ・フン)安保室長は、金大中(キム・デジュン)政権時代から南北首脳会談など対北接触を主導してきた代表的な「北朝鮮ライン」。朴氏は現政権で初となる野党出身者の起用で、北朝鮮問題に対する切迫した状況を傍証するものだ。統一相に内定した仁栄(イ・インヨン)議員は全大協(全国大学生代表者協議会)議長時代から統一運動を行ってきた人物で、南北協力に向けた意思は強い。北朝鮮は開城工業団地の南北連絡事務所爆破と軍事的な脅しを通して板門店宣言を事実上破棄したが、文大統領は北朝鮮と交渉してきた経験者や対北融和論者などを前面に立たせた。一部からは、今回の人事を通して「自主派」を前面に立たせ、韓米同盟を重視する「同盟派」は排除したのではないかという指摘が出ている」

     

    文氏は、北朝鮮に対して「捨て身の戦法」という感じだ。これまで、北朝鮮と関わりのある人物を前面に立てて、交渉しようという姿勢である。これは、最初から北への「譲歩」する姿勢を見せたようなもので、交渉としては最悪である。文氏はただ、北と会談できれば、それで取り繕えるという点数稼ぎである。米朝関係が動かなければ、南北関係改善は難しいのだ。

     


    (2)「文大統領は最近、「南北関係の成果を後回しにはできないというのが私の確固たる意志」として、既存の政策にこだわる意思を明らかにした。青瓦台や与党内部からも、これまで「あまりにも米国の顔色をうかがい、南北関係でスピードを出せなかった」と批判が出ていた。こうした与党内の批判が今回の人事に反映されたものと解釈されている。文大統領は年頭から「南北関係でスピードを出したい」と語っていた。先月には李度勲(イ・ドフン)韓半島平和交渉本部長を米国に送り、米朝首脳会談と南北首脳会談を同時に推進する構想を米国に伝えたといわれている

     

    金正恩氏は韓国抜きで、米朝首脳会談を狙っている。朝鮮半島の「主人」は、北朝鮮であるというイメージを打ち出して、今後の南北会談を北のペースで進める意向でないのか。そういうロングランの視点で考えれば、北朝鮮が即座に韓国の呼びかけに応じてくるか疑問点が多い。

     

    (3)「北朝鮮が、今回の人事の後、すぐさま文大統領との対話に出てくるかどうかは未知数だ。北朝鮮は最近、鄭義溶(チョン・ウィヨン)安保室長と徐薫・国情院長を対北特使とする文大統領の提案を拒絶したという事実を公にした。さらに、国情院長に内定した朴智元氏について、北朝鮮は昨年8月に「自分が615時代の象徴的な人物にでもなっているかのごとく生意気に自称している」、「汚い舌でやみくもに騒ぎ立て、悪臭を漂わせた」と露骨に非難している。朴氏が北朝鮮のミサイル発射を巡って「最低限の度量からも外れるものとして糾弾せざるを得ない」と批判したことへの対応だった。しかし、先代との縁を重視する北朝鮮の特性上、朴智元氏が金正日(キム・ジョンイル)総書記時代に北朝鮮問題へ関与していた点を評価するだろうという見方もある」

     

    北朝鮮は、開城の南北合同連絡事務所を爆破して、韓国へ「縁切り状」をたたきつけたばかりである。「安保ライン三人衆」の首をすげ替えたところで、すぐに南北会談に応じるのか保証の限りでない。賭けであることは間違いない。

     

    (4)「今回の人事で米国および北朝鮮核問題の専門家らが排除されることにより、韓米関係の悪化を懸念する声も強まっている。これまで米国との関係は鄭義溶・安保室長が主導してきた。鄭室長の後任となる徐薫室長は、国情院長時代にマイク・ポンペオ国務長官と呼吸を合わせてきた。しかしオーソドックスな外交部の官僚ではなく、対北朝鮮および情報の専門家であるため、韓米同盟の悪化を懸念する視線もある」

     

    南北関係が悪化した最大要因は、北朝鮮が文氏の米朝会談への楽観論に惑わされて、大きなダメージを受けたことだ。「安保ライン三人衆」の首をすげ替えて解決できる問題でないのだ。文氏に、その認識がゼロであることが、南北交渉を困難にさせている要因である。文氏が大統領でいる限り、南北関係に目立った前進があると期待できるだろうか。

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    文大統領は、なりふり構わないで北朝鮮接近人事を始めた。政策は、ことごとく八方塞がりである。そこで最後の突破口として、北のご機嫌取りをしようという狙いに違いない。このままでは、文政権5年間の治績がゼロどころかマイナスになる。

     

    北朝鮮が、ここまで荒々しい振る舞いを始めた理由は、文大統領の「甘い見通し」による。ハノイでの米朝会談が破談になったのは、文氏が北側に根拠不明の楽観論を伝えて、北朝鮮に過剰期待を持たせたことだ。それ以後、北は韓国を完全に信用しなくなっている。こういう状況下で、韓国は「北朝鮮歓迎人事」を行なおうとしている。文大統領任期中の南北会談を期待しているのだ。

     

    『朝鮮日報』(7月4日付)は、「違法に対北送金した人物が国家情報院長、安全保障は誰が守るのか」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅大統領は3日、国家情報院(韓国の情報機関。国情院)トップに朴智元(パク・チウォン)元「民生党」議員を内定した。青瓦台(韓国大統領府)安保室長には徐薫(ソ・フン)国情院長、統一部(省に相当)長官には仁栄(イ・インヨン)議員、外交・安保特補にはイム・ジョンソク元秘書室長と鄭義溶(チョン・ウィヨン)安保室長をそれぞれ内定した。北朝鮮の核の廃棄より、ほとんど無条件の対北融和策を主張してきた人物で塗りつぶされている。

     

    (1)「国情院長に内定した朴智元氏は2000年、金大中(キム・デジュン)大統領の密使として北朝鮮側と初の南北首脳会談開催に合意し、その首脳会談を実現させるため金正日(キム・ジョンイル)に4億5000万ドル(約484億円)の裏金を渡す役割を担った。その支援で、金正日は「苦難の行軍」の危機を乗り越えて核開発に拍車をかけ、6年後には最初の核実験に成功した。朴氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に特別検察官の捜査対象になり、収監された」

     

    日本には、韓国のような独立した機関である国家情報院を持っていない。スパイ活動を行なう機関は、平和憲法下では許されないという論理からだ。お陰で、日本では世界中のスパイが、集っていると指摘されている。スパイを捕まえるには、スパイ活動できる機関が必要であろう。

     

    国家情報機関のトップには、それにふさわしい経歴の持ち主でなければならない。韓国では、北朝鮮へ秘密資金を持込んだ「容北人物」が、国家情報院長に指名されたとして、異論を呼んでいる。北朝鮮に甘い人物が、北朝鮮監視役になれるのかという率直な疑問である。

     

    (2)「国情院は、北朝鮮を含むあらゆる外部の脅威から韓国を守るための存在する安全保障の第一線機関だ。韓国軍は戦時に戦う機関だが、国情院は平時にも戦わなければならない機関だ。いつからか韓国の大統領は、国情院を「国の安全に責任を負う情報機関」ではなく、「自分のアジェンダを遂行する密使」とみなしている。情報業務は決してたやすいものではない。誰にやらせてもいいポストではあり得ない。北朝鮮はもちろん、海外・サイバー・対テロ関連であふれ出て来る情報の中から、韓国の安全保障を脅かす情報を読み取れる経験と識見を持っていなければならない。数十年にわたって国内政治にのみ没頭してきた朴内定者に、金正日と接触した経験のほかにいかなる情報専門性があるのか、理解できない

     

    韓国の国家情報院の能力は、落ちていると言われる。米朝ハノイ会談が、破談になることを事前に掴めなかったからだ。日本は、事前に米国から「ノー・ディール」を通報されていたが、韓国には知らされていなかった。北朝鮮に漏れることを警戒されたためだ。文氏は、ハノイ会談が成功すると信じ、米朝首脳の記者会見をTVで見るべく側近と待機していたほどだ。韓国の国家情報院は、事前にこの結末を見抜けず、大恥をかかされた。

     

    (3)「国情院は、韓国の弱点である先端装備を持った米国・日本との情報交流に依存してきた。こうした友邦諸国が、北朝鮮を巡る朴氏の立場や態度をどういう視角から見るか、疑問がある。これらの国々がデリケートな対北情報を国情院とどれだけ共有しようとするか、心配だ。国情院は、板門店首脳会談の1カ月前に金正恩(キム・ジョンウン)が特別列車で訪中したにもかかわらず、これをきちんと把握できなかった。ハノイでトランプが偽りの非核化の場を蹴って出て来るまで、ホワイトハウスの動きも分かっていなかった。現政権になって、北朝鮮のスパイが捕まったという話もほとんど聞かない。逆に、北が新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)を撃った日、スパイの捜査はよそに渡すという「改革案」を発表した」

     

    文政権は結果がどうあれ、北朝鮮重視政策を取らなければ、「レゾンデートル」(存在理由)がないと思い込んでいる。それは、病的とまで言って良いほど。だから、北朝鮮が増長する。こうして悪循環に嵌まっているのだ。

     


    (4)「北朝鮮の核をなくそうと思うなら、北の集団とも交渉しなければならない。しかし北は、南北首脳会談を開いた直後に韓国の警備艇を奇襲して将兵を殺す集団だ。交渉の渦中にあっても、誰かが監視の目を光らせておかなければならない。その仕事ができるのは国情院だけだ。それなのに、国情院長が情報機関のトップではなく対北密使だったら、安全保障は誰が守るのか」

     

    韓国学生運動家が、30年前に「親中朝・反日米」を絶叫した。その時の意識のままで、文政権は北朝鮮政策を行なおうとしている。現実とのギャップの大きさを自覚していないので、対北外交は上手くいくはずがない。韓国進歩派は、北朝鮮の巧妙な外交戦術を全く理解しない「盲目集団」と言うほかない。手玉に取られるだけである。



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    「雀百まで踊り忘れず」である。韓国国会の外交統一委員長は30年前、学生運動の闘士であり、「親中朝・反日米」を叫んでいた。その時の学生気分が今も抜けず、在韓米軍過剰を叫んでいる。この現象は、韓国与党や大統領府に共通である点が、韓国の安全保障にとって気懸りである。

     

    北朝鮮の凶暴性は朝鮮戦争以来、一貫して変わらないのが世界の共通認識である。だが、韓国進歩派は、そういう認識でないのだ。逆に、米国が韓国に駐留することを理由に挙げている。「大甘」と言うべきだ。朝鮮戦争は、未だに「休戦」状態であり「終戦」になっていないのだ。

     

    『朝鮮日報』(6月3日付)は、「『在韓米軍は過剰』韓国外交統一委員長、30年前の運動圏の視角が心配だ」と題する記社説を掲載した。

     

    国会外交統一委員長を務める与党・共に民主党の宋永吉(ソン・ヨンギル)議員が「在韓米軍は韓米同盟における軍事力のオーバーキャパシティーではないかと思う」と発言した。「在韓米軍は必要以上に多いので、現在2万8500人の在韓米軍を削減すべきだ」という意味に解釈できる

     

    (1)「北朝鮮は平壌-元山ラインの南側に100万人の兵力と火力のほとんどを配備している。首都圏を狙った長射程砲だけで340門以上だ。韓国を攻撃するための核ミサイルも引き続き増強している。北朝鮮の誤判を防ぐには、韓米連合軍の圧倒的な戦力が必須だ。ところが韓国軍は2022年までに62万人から50万人に削減される。その空白を埋める新兵器の導入は一部で遅れている」

     

    北朝鮮は朝鮮戦争休戦後、どれだけ韓国へ人命を含む軍事的な被害を与えてきた分からない危険な存在である。もともと、朝鮮戦争は北朝鮮軍の始めた侵略行為である。韓国進歩派は、「民族統一戦争」と解釈しているが、それは間違いである。あのまま、韓国が北朝鮮軍に占領されならば、韓国の現在の繁栄はなかったはずだ。北朝鮮に搾取され、奴隷のごとき扱いを受けていたであろう。

     

    北朝鮮が、38度線にそって100万人の兵力と火力のほとんどを配備している状況を忘れた在韓米軍過剰論は、韓国の安全保障を無視した議論である。北朝鮮が、先ごろ見せた韓国への威嚇の裏にあるのは、38度線にある北朝鮮軍の存在である。

     


    (2)「今は在韓米軍の過剰ではなく不足を心配すべき状況だ。ただでさえトランプ大統領は、機会があればすぐ資金問題を理由に在韓米軍の削減・撤収に言及してきた。つい先日にはドイツ駐留の米軍9500人の削減案を承認した。一人の議員ではない国会外交統一委員長による「過剰」発言は、トランプ大統領に在韓米軍削減の口実を与えることになりかねない」

     

    在韓米軍は、「金ファミリー」が北朝鮮を支配している限り、必要不可欠な存在である。仮に、米軍が韓国を全面撤退した場合、韓国軍は核を持つ北朝鮮軍に敵うはずがない。有事の際は、米軍の核の傘の下に入らざるを得ないのだ。それは、日本も同じである。在日米軍は必要な存在である。日本では、在日米軍が多すぎるという議論を聞かない。それは、米軍の役割を正しく認識している結果だ。

     

    (3)「宋永吉議員は2016年、北朝鮮による高角ミサイル攻撃を防ぐ在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備にも反対した。外交統一委員長となってからも、北朝鮮はわれわれの税金180億ウォン(約16億円)で建設した南北共同連絡事務所を爆破したが、これについても「砲撃で爆破しなかっただけでもよかった」と述べた。「(最近の)北朝鮮の状況は、白人警察に首を押さえ付けられ窒息した黒人のフロイド氏とよく似ている」とも主張した。北朝鮮は何も間違ったことはしていないのに、米国主導の制裁による犠牲者になっているということだ。制裁は北朝鮮による核開発のためだ」

     

    韓国が、北朝鮮への思い入れが強いのは、同じ朝鮮民族であるから当然である。だが、その北朝鮮を奴隷扱いしている「金ファミリー」と、北朝鮮国民を一緒にした議論は、認識不足という誹りを受けるであろう。北朝鮮国民は悪くないが、北朝鮮を支配している「金ファミリー」は悪である。

     


    (4)「彼は1980年代に総学生会長、労働運動、弁護士活動を行ってきた。当時身に付けた反米運動圏レベルの知識と見方によって国会外交統一委員長となり、在韓米軍削減といった重大な安保問題を裁断しているのではないか」

     

    30年前の血気盛んな20代の学生気分で、国際情勢を判断するのは危険である。韓国進歩派は、ほとんどこのタイプである。日本には見られない「種族」である。年齢を重ねると共に、知見は広がるもの。韓国人には、それが見られないのだ。「反日運動」は、この未成熟がもたらす側面が大きい。

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    韓国労組は、現在の「コロナ不況」に無関心である。ひたすら、労組の立場だけを主張して、来年の最低賃金引きで2桁要求を出してきた。今年の韓国経済は、マイナス成長が濃厚である。韓国銀行(中央銀行)によれば、「コロナ不況」が元通りに回復するには、2~4年の歳月を要するという。厳しい予測である。

     

    GDP成長率は、生産性の向上分である。マイナス成長もあり得るという予測は、生産性が落込むことである。労組は、それと無関係に来年の2桁に最賃引き上げ要求である。日本の労組は、経済全体の動きを理解しているから、韓国のような突飛もない賃上げ要求を出すことはない。韓国労組は、韓国経済を滅ぼす積もりだろうか。

     

    『中央日報』(7月3日付)は、「韓国労働界、新型コロナでも『最低賃金2桁の引き上げ率』主張」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルスの感染拡大で経済危機が深刻化する状況で、労働界は2桁の最低賃金引き上げ率を、経営界は「マイナス引き上げ率」をそれぞれ固守した。労使間の溝が大きく、最低賃金が新型コロナ不況局面の重大変数に浮上した。しかし労使の苦痛分担を通じた合意の可能性は大きくない。

     

    (1)「1日、開かれた第4回最低賃金委員会全員会議で、労働界は来年の最低賃金水準を今年の8590ウォン(約768円)より16.4%上げた時給1万ウォンを提示した。3年間で最低賃金が33%上がったが、再び急激な引き上げ率を主張したのだ。労働界は最低賃金を1万ウォンに引き上げねば1人世帯の生計費水準に合わせられないと主張した。労働者委員のイ・ドンホ韓国労総事務総長はこの日の会議で「来年の最低賃金算入範囲まで拡大すれば実質賃金上昇率が低くなる」として1万ウォンを提示した理由を明らかにした」

     


    文大統領の就任後の3年間(2018~20年)で、最賃は33%もの引上である。労組はさらに、来年16.4%の噴き上げ要求である。非常識という以外に言葉はない。労組の言い分は、「賃上げで個人消費を増やそう」というもの。昔の日本でも、こういう要求が出ていた。韓国は、いまでもこういう「時代遅れの」要求を出している。

     

    (2)「これに対し経営界は2.1%減らした8410ウォンを提案した。新型コロナの感染拡大で中小企業・小商工人が厳しい状況だけに人件費負担を減らすべきという理由からだ。韓国経営者総協会(経総)は稼いでも利子も返せない企業の割合が増加し続けていると強調した。韓国銀行が集計したこの割合は2018年の31.3%から昨年は34.1%に増えた。コロナ不況の中で限界企業はさらに増えることが確実視される。使用者委員のリュ・ギジョン経総専務は、「企業を生かし雇用を守る課題を考えれば現在の経済状況を(来年の最低賃金引き上げ率に)反映すべきだろう」と話した」

     

    韓国では、最賃の大幅引き上げをするほど、解雇者が増える構造になっている。最賃引き上げ幅を守れない経営者は、罰則を受けるシステムであるからだ。業績不良企業は、解雇者を増やして、事態を乗り切るのである。最賃大幅引上げ=失業者増加である。

     


    (3)「労使対立の激化で特に泣かされているのは中小企業だ。中小企業中央会スマート雇用本部のイ・テヒ本部長は「中小企業界では最近会社そのものが存廃の岐路に立たされているのに最低賃金議論自体に何の意味があるのかと苦しさを吐露する人が多い」と伝えた。最低賃金引き上げは事業主にだけ負担になるのではない。賃金水準が低い小規模事業者に所属する労働者も過半数が最低賃金据え置きを望んだ。最低賃金引き上げが、結局雇用減少につながるということを体感したためだ」

     

    最賃引き上げ=雇用減少であるのは、韓国経済の最大欠陥である。

     

    (4)「中小企業中央会が、最近発表した「2021年最低賃金関連中小企業労働者意見調査」によると、中小企業の従業員の51.7%は来年の最低賃金を据え置くべきと答えた。今年より引き下げるべきという回答は5%、引き上げるべきという意見は43.3%だった。労使政が雇用を維持する代わりに最低賃金を据え置くよう合意することに63%が賛成した。釜山(プサン)大学法学専門大学院のクォン・ヒョク教授は、「(巨大労組が)過去のように自己主張だけするならコロナ危機局面で国民の支持を受けにくいだろう。政策的・理念的な正当性よりは客観的に経済状況を診断し労使間の溝を狭めていこうとする努力をすべきだ」と話した」

     

    最賃引上の恩典を受けるはずの中小企業従業員の51.7%が、据え置きを希望している。これは、解雇者を増やすこれまでの経験に基づくもの。最賃大幅引上げで一番のメリットは、大企業労組が受けているのだ。

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    韓国政府が、馬脚を現した。中国による香港国家安全法適用に対し、国連人権理事会で先進国27ヶ国が廃止を要求した。韓国は、これに加わっていないことが判明したのだ。一方韓国は、「G7参加」で先進国の一員であることを証明したいと、米国トランプ氏の気まぐれ「G7拡大案」呼びかけに舞い上がっている。これに対して、日本などが反対意向を見せたことで激怒し、日本非難のボルテージを上げている。

     

    韓国は当然、今回の国連人権理事会における中国への要求に、「先進国の一員」の証明として、名前を連ねるべきであった。韓国は、中国への気兼ねでそれを避けたのである。この行動は、どう見ても韓国が「G7拡大案」にふさわしい国でないことを証明した。皮肉な結果に終わった。

     

    『中央日報』(7月2日付)は、「香港国安法の廃止を」27カ国が国連で要求…韓国は抜ける」と題する記事を掲載した。

     

    香港国家安全維持法の通過を受け、27カ国が中国に廃止を促すなど国際社会の反発が強まっている。英国のブレイスウェイト在ジュネーブ国連大使は現地時間の先月30日に開かれた国連人権理事会で「中国と香港の政府がこの法の施行を再考することを促す」と述べたと、ロイター通信が報じた。

    (1)「ブレイスウェイト大使は、「香港国家安全維持法は一国二制度の原則を毀損し、人権に大きな影響を及ぼす」と憂慮し、国連のバチェレ人権高等弁務官に「香港と新疆ウイグル自治区などに関する情報を定期的に提供してほしい」と要求した。国連をはじめとする国際機関はその間、ムスリムのウイグル族が居住する新疆ウイグル自治区で深刻な人権弾圧が続いていると懸念を表してきた」

     

    中国は、人権という言葉があっても、その認識のない国である。人間は、権力が自由自在に支配する対象でしかないのだ。新疆ウイグル自治区では、100万人以上の住民を強制収容所に入れたまま。中国は、職業訓練と称している。本人の意思に反した、こういう強制収容は、人権を弾圧する犯罪である。

     


    (2)「今回の演説は、オーストラリア・カナダ・ニュージーランド・スイス・日本など27カ国を代表したもので、韓国はここに含まれなかった。欧州連合(EU)もこの日、「中国の今回の決定に慨嘆する」という立場を表した。シャルル・ミシェルEU大統領は記者会見で、「この法は香港の自治権を深刻に阻害し、法治に影響を及ぼしかねない」と述べた。フォンデアライエン欧州委員長も欧州連合とその他の国が取ることができる可能な措置について議論すると明らかにした」

     

    韓国の「二股外交」は醜いものである。トランプ氏から「G7拡大案」を呼びかけられると、大喜びする。中国非難の決議案には参加しない。これは、国家として恥ずかしい行動である。確固たる信念がないからだ。

     

    日本は、香港国家安全法適用に反対している。今回の国連人権理事会での演説に加わっているだけに、習近平中国国家主席の訪日中止も視野に入れた行動である。すでに、河野防衛相は、そのようなニュアンスの発言をしている。韓国は、今秋の習氏の訪韓実現を、文政権の外交成果にしたいという強い思惑が働いている。日本と韓国の見せる、この際だった外交姿勢の違いに、韓国政治の後進性をはっきりと表わしている。韓国は、中国が旧宗主国意識から抜け出られない国であることを示している。

     

    日韓併合時代の問題が、韓国から繰り返し持ち出されてくる背景には、韓国独特の「過去志向」がある。韓国の意識は、朝鮮李朝時代のままである。南北問題に異常な関心を寄せるのも、李朝時代の認識が今も続いているのであろう。

     

    (3)「先月30日に通過した香港国家安全維持法は国家分裂行為、国家政権転覆行為、テロ行為、海外勢力と結託して国家の安全を害する行為などを処罰する内容を盛り込んでいる。最高刑量も終身刑と定められ、この法が人権弾圧の手段として活用されると国際社会は憂慮している」

     

    香港の自由が奪われたのである。韓国は、心が痛まないのであろう。北朝鮮の「金ファミリー」の横暴を見ても、何の反応も見せないのは「韓国民主主義」が未成熟な結果である。文大統領は、口を開けば「自由・平等・人権」をセールス・トークに使っている。その言葉こそ、今回のような香港の自由弾圧に向けられるべき言葉なのだ。

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