勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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     英BBCが日本の対策に高評価

       

    英BBCが日本の対策に高評価

    韓国が日本の感染者急増で拍手

    韓国識者が政府へ警告した内容

    国内でマスク増産体制30億円

     

    日本の新型コロナウイルス感染者数は、欧米がピークを越えた後でも、なおピークのメドが立たない状況にある。「世界で最大の清潔国」と言われる日本が、感染抑制に手間取っている背景には、諸外国のような強制措置を取らず、あくまでも国民の自主性に待つという緩やかな規制が理由であろう。これに対して、日本国内からも、「生温い」という批判が寄せられている。

     

    憲法改正すらできない日本が、都市封鎖や強制措置を伴う措置を取ったらどうなるか。人権弾圧、戦前回帰、軍国日本への予行演習という厳しい批判が出るにちがいない。そういう国論分裂を招くような「コロナ対策」は、決して得策でない。終息への時間が遅れても、国民全体が納得する方法で、コロナを制圧するしかないであろう。

     

    英BBCが日本の対策に高評価

    こういう日本的なコロナ対策が、実は海外から高く評価されている。

     

    英公共放送『BBC』では、「住むのに最も健康的な国家」という特集を展開。その筆頭に日本を挙げ、「健康を意識する文化がコロナ危機の衝撃を最小限にとどめている」と生活文化の高さを称賛している。『ENCOUNT』(4月21日付)が伝えた。詳細は、次のようなものだ。

     

    特集では、「世界中で病院や治療院がコロナとの戦いの最前線となっている。しかし、その戦いの成功の大部分は国ごとのヘルスケア制度の有効性にかかっている」と分析している。特集では、英シンクタンク『レガタム』が毎年発表する繁栄指数格付けの健康部門に基づいて、「最も健康的な国」を選出。2019年度版の健康部門でシンガポールに続いて、第2位に選出されているのが日本である。今回の特集では、最初に取り上げられた。

     

    具体的には、次のような事例を挙げている。

     

    1)多くの日本人は、以前からマスクを着用している。花粉症対策もあって、冬と春には着けている。それが、現時点までにコロナ感染症が大きなアウトブレイクに繋がっていない理由としている。花粉症対策などによる、日本のマスク文化を高く評価している。

     

    2)日本人の60%以上は毎年健康診断を受けている。健康状態を維持する努力をしている。これが、コロナ重症例が少ない理由の一つである。

     

    以上二つの理由は、日本が、世界で1、2位を争う長寿国である理由であろう。こういう客観的な背景を考えれば、都市封鎖という強制措置を取らずとも、自主的な管理措置によって、日本がコロナウイルス感染から身を守れる「自信」を与えてくれるのだ。

     

    英国BBCは、日本のコロナウイルス対策を「マスク文化」と絡めて高く評価しているが、そのマスク不足が深刻化している。これまで、海外からの輸入に頼ってきた弱点を露呈したものだ。

     

    中国で、新型コロナウイルス発症当時は、日本の地方自自体の貯蔵していたマスクまで寄付して、在庫払底の中で見舞われた日本襲来である。それゆえ、日本政府も危機に陥って右往左往させられた。中国の感染拡大を、対岸の火事と思って見ていたのである。その虚をまんまと突かれた形である。

     


    韓国が日本の感染者急増で拍手

    この状況に、韓国市民は日頃の反日感情も手伝い、拍手するという異常局面を迎えている。日本のコロナ感染者数が、韓国を上回ったとして「トップニュース」扱いだ。韓国の人口に比べて、日本は2.5倍である。日本の感染者数が、韓国の2.5倍を上回ったならば、反日感情から見て「拍手」も無理からぬであろう。人口比で見れば、日本の現状は韓国よりはるかに低いのだ。

     

    韓国の恒常的な対日感情の悪化によって、韓国政府は日本へマスクを贈るかどうか、世論の動向を見て決めるという。こういう話が伝えられると、日本としては複雑な感情にならざるを得ない。パンダミック(世界的大流行)は、国境で防げない点では一種の天災のようなものだろう。地震や津波の災害と似た側面がある。ならば、被害の大きな国へそれなりの支援をするのは普通のこと。韓国の場合は、世論の動向を見て日本へマスクを贈るか決めるというのだ。(つづく)

     

     

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    韓国経済は、迫りくるコロナ大恐慌を乗り切る唯一の道は、手元にキャッシュを積んでおくしかない、と守りの姿勢を強めている。本社社屋の売却など、めぼしい資産は現金化するという姿は、底の浅い韓国経済の実態を反映している。

     

    『朝鮮日報』(4月22日付)は、「現代製鉄は社屋、LGは株式、現金確保向けの資産売却相次ぐ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「大韓航空は531日まで最大15%割引で航空券を購入できる「先得航空券」を販売している。こうした航空券の販売は同社創業以来初めてだ。新型コロナウイルスの影響で国際線の運航便数が90%以上減少し、売り上げが激減したことから、何とか航空券をあらかじめ販売し、現金を確保したいという狙いがあるという。大韓航空は遊休資産で時価5000億-6000億ウォンの土地(ソウル市鍾路区松ヒョン洞)のほか、時価300億ウォン台と推定される済州島の社宅も売却を目指している」

     

    コロナ恐慌で最大の被害をうけているのが航空業界である。トップ企業の大韓航空は、国際線の運航便数が90%以上減少し、売り上げが激減している。コロナ禍の前に、昨年7月からに「反日不買」の悪影響を受けており、体力消耗は限界を超えている。遊休資産として、合計5000~6000億ウォン(約500億円前後)の売却を目指している。

     


    (2)「新型コロナウイルスで経営環境が悪化し、企業は売れるものは全て売って現金を確保している。本紙と韓国経済研究院が年初から421日までの上場企業による資産処分・譲渡を集計した結果、店頭市場コスダックまで含め、合計で30件に達した。土地・不動産などの有形資産を売却し、現金確保に動いた企業が前年同期(13件)の2.3倍に達した格好だ。処分・譲渡金額は15841億ウォンで、前年同期(6226億ウォン)の2.5倍を超えた」

     

    上場企業による資産処分・譲渡を集計した結果、4月21日までに合計で30件に達している。前年同期の2.3倍にも達した。上場企業における現金化に動きが激しいことを物語っている。処分金額は、1兆5841億ウォン(約1409億円)になっている。

     

    (3)「企業は46月期の業績から新型コロナウイルスによる影響を本格的に受ける見通しだ。信用格付けが下方修正され、資金調達がさらに困難になることに先手を打って備えている。本紙が国内の信用格付け会社3社の社債格付けを分析した結果、今月に入って格付けが下方修正されたか、格付け見通しがネガティブに変更された大企業はハンファソリューション、SKエナジー、Sオイル、ホテル新羅など16社に達した」

     

    今年の韓国企業は、大量の格下げを予告されている。その企業数は16社だ。格下げされる前に、資産を売却して現金化する「防衛策」に出ている。

     

    (4)「コロナ事態の直撃を受けた現代自動車グループは全ての系列企業に「現金性資産を最大限確保せよ」という指針を下した。鄭義宣(チョン・ウィソン)首席副会長を含め、系列企業50社余りの役員1200人以上が今月から給与を20%自主的に返納することを決めた。これも現金確保に同調する動きだ。現代自グループのもう一つの主力系列会社、現代製鉄はソウル市の江南大路沿いにある蚕院社屋の売却に向け、主幹事の選定を終えた。

     

    現代自動車グループは、系列企業に対して現金保有命令を出している。それだけでない。系列を含めた50社で、役員1200人以上の給与を自主的に20%返納させて、「現金流出」を防ぐ苦肉の策に出ている。現代自の系列企業の現代製鉄は、ソウル市の江南大路沿いにある蚕院社屋の売却に向けて手続きを進めている。まさに、臨戦態勢だ。

     


    (5)「内需企業は支出をさらに引き締めている。ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)会長=日本名・重光昭夫=は今月から6月まで給与の半分を返上した。持ち株会社の役員、社外取締役、ロッテショッピングの役員も給与の20%カットを決めた。新世界グループのイーマートは先月、ソウル市の馬谷都市開発事業の業務用地を売却し、現金8158億ウォンを確保した」

     

    ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)会長は、4月から6月まで給与の半分を返上するという。関連会社役員も20%の賃金カットを決めた。

     

    (6)「出資先企業の株式を処分する企業も増えている。LG電子は流動性確保に向け、中国法人LGホールディングス(香港)の株式約4100万株を6688億ウォンで処分した。ヘテ製菓食品は主力子会社、ヘテアイスクリームの全株式を1400億ウォンでピングレに譲渡。CJ ENMも子会社のスタジオドラゴンの株式1659億ウォン相当を処分した」

     

    出資先企業の株式を処分するという。本業に関係のない企業を整理しようという動きだ。

     

    (7)「韓国経済研究院のチュ・グァンホ経済政策室長は「コロナ事態はこれまで経験したことがない危機状況であり、不確実性が高まっているため、企業は生き残りのために流動性確保に命懸けだ」と述べた」

     

    韓国経済が、これまで経験したことのない恐慌を恐れている。文政権の経済政策に期待できない以上、自衛策を講じるのであろう。

     

     

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    韓国が、朝鮮戦争参加国へマスク贈呈検討中と報じられた。朝鮮戦争で、日本は自衛隊の前身である警察予備隊が発足したばかりであり、正式な支援要請は受けなかった。ただ、旧日本海軍の関係者が、米軍の要請により秘かに機雷の掃海作業で出動していたことは伝えられている。

     

    韓国が、マスク外交によって、国連軍の一員として戦闘行為へ参加した諸国へマスクを贈呈することは、独自判断で行なえばよいことで、日本を除外しても当然であろう。日本の国民感情から言えば、むしろ「貰わない」方を選ぶかも知れない。それほど、日韓関係は悪化しているからだ。

     

    『朝鮮日報』(4月21日付)は、「韓国政府、米国・日本と韓国戦争参戦国にマスク支援を検討」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府が米国と日本、そして韓国戦争(朝鮮戦争)参戦国などにマスク支援を検討していることがわかった。

     

    (1)「韓国日報は20日、韓国政府関係者の話として、丁世均(チョン・セギュン)首相が新型コロナウイルス対策会議で、「保健用マスクを輸出・支援すれば国格をアップグレードするのに助けになるだろう」としながら対象国として米国と日本を具体的に取り上げたと報じた。これに対し食品医薬品安全処と外交部などが必要な措置を論議中だという」

     

    韓国から、これ見よがしにマスクを支援して貰えば、後になって外交面で何を言ってくるか分からないという危惧はある。

     


    (2)「日本に対する支援は慎重に推進中だという。韓国政府関係者は韓国日報に「1日のマスク生産量が1500万枚まで上がる今月末または5月初めごろには方針を決められるだろう。世論調査など国民の意見を聴取する過程を必ず経て、特に日本に対する支援はより慎重に決めることになるだろう」と話した」

     

    日本は、支援を受けるべきでなかろう。韓国政府が、世論調査という「スクリーニング」をかけてまで、支援先を決めるというお情けでマスク支援をして貰う必要はない、と断るべきだ。日本政府に意地があるならば、毅然として石にかじりついてでもマスク増産体制を早急に立てるべきだ。安倍政権の鼎の軽重が問われる。


    (3)「一方、米国と日本以外に韓国戦争に参戦した国に対し「恩返し次元」のマスク支援検討も進められているという。該当国は米国、フランス、英国、カナダ、コロンビア、フィリピン、タイ、エチオピアなど16カ国だ」

     

    国連軍として、朝鮮戦争に参戦した国には「恩返し次元」のマスク支援を検討中という。それは結構なことであり、大いにやるべきだろう。

     

    韓国政府が、日本へのマスク支援について世論調査するとは、日本としても聞き捨てならぬ話である。これでは、日本の立場はない。施しを受けるに等しい行為であるからだ。

     

    韓国では、先の総選挙で与党が「反日」を高く掲げ、「韓日戦争」と銘打って国民に反日を訴えた経緯がある。これほどまでに侮辱してきた韓国から、マスク一枚といえども恵んで貰うような振る舞いを受けることはない。日本政府が、その気になればマスク増産は困難な問題でないはずだ。

     

    韓国での日本関連記事では、日本のコロナ感染者急増を大喜びするコメントが列をなしているという。やっぱり、予想通りの事態が起こっていたのだ。大統領が「反日」を堂々と宣言する国である。国民が、これに呼応して「日本批判」を大合唱するのは致し方ないであろう。

     

    日本経済が、消えるという説まで唱えているほどだ。韓国経済が、日本の分を引き受ける「反射利益」(漁夫の利益)で大発展する。こういうコメントまで登場しているのだ。韓国経済の置かれている苦境を代弁している。劣等感の裏返しだ。

     


    『中央日報』(4月14日付)は、「
    日本のコロナ感染拡大、喜ぶことか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のナム・ジョンホ論説委員である。

     

    (4)「日本国内の新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染者数が急増しながら、関連記事に反日コメントが列をなしている。「地獄の門が開かれた。1万人突破は時間の問題」「絶対に助けてはいけない」--背筋が寒くなるような内容ばかりだ。2011年東日本大震災の時に560億ウォン(現レートで約49億5000万円)以上の寄付を集めた韓国人の性格がなぜここまで殺伐とするようになったのか」

     

    日本を羨ましく思ってきた気持ちが、逆転して「日本を呪う」気持ちに変わっている。その背後には、韓国経済の疲弊による閉塞感が、こういう感情を引き起していると見る。


    (5)「日本国内の新型コロナの感染拡大を心配しなければならないのは人道主義のためだけではない。在日同胞だけで60万人、日本への留学生も1万7000人になる。一方ではコロナで日本経済が消える場合、韓国側が反射利益を得るだろうという期待もあるようだ。日本企業が路頭に迷えば、ライバルの韓国会社側が海外占有率が高まるという論理だ。だが、他の外国にも競争者が山程いる世の中だ。日本の分をすべて韓国会社が占めることができるという保障はない」

    下線部分では、日本経済が消えるという期待感まで出ている。こういう「空想」に胸を膨らませているところに、韓国経済の行き詰まりが現れている。ここまで、日本を貶めようという国民から支援されたマスクに、日本人は喜ぶだろうか。

     

     

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    韓国与党は、先の総選挙で国民全員へコロナ見舞金を支給すると公約した。だが、財源不足が明らかになって立ち往生している。そこで編み出されたのが、資産家への寄付依頼案という杜撰さである。選挙のために甘言を弄したが、選挙後5日で早くも馬脚を現すというみっともない姿をさらしている。

     

    韓国財政は、文政権になってから急速に悪化している。これまで韓国は、国債格付けが日本よりも2階級上で、それを自慢してきた。対GDP比の国債発行残高は、少ないことが理由である。「反日韓国」として、財政悪化で日本への優位点を失うことを恐れたのか、資産家に寄付を募る案は、国家の体裁をなしていない無様さである。

     

    「中央日報」(4月21日付)は、「全国民に災難支援金を与えるから『金持ちは寄付してほしい』という韓国与党」と題する記事を掲載した。

     

    「共に民主党」が、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)事態にともなう緊急災難支援金をめぐり全国民の支給に向けた妙手を苦心している。財政はギリギリとなっているのに総選挙で「全国民100%災難支援金支給」を約束したためだ。

     

    (1)「民主党の李仁栄(イ・イニョン)院内代表はこの日、KBSラジオ番組に出演して「選挙過程で国民の100%に緊急災難支援金を支給することが望ましいという立場を貫いてきた。また、そのような方針で国民的共感が形成されている」として「(政府側と)バランスの取れた解決方法を探っている」とした。政府は公式的には与党と3月調整した通りに下位70%(中位所得150%)まで支給する方針で準備を終えた。丁世均(チョン・セギュン)首相はこの日、国会施政演説で「支援対象間公平性とかぎられた財源などを考えて一部の高所得層を支給対象からやむを得ず外した」と明らかにした」

     

    与党が、総選挙での公約を財源面での理由で守れないとは、どういうことだろうか。選挙に勝つためには、「何でもあり」という不信感を国民に与えるだけだ。しかも、大統領府との予算面での調整もしていないとは、国家と言い難い不統一を曝け出している。

     


    (2)「この日、民主党では「全国民支給」と「財源限界」を合わせるために

        高所得層の自主的な辞退

        1世帯当たり支給額の下方修正

    などのアイディアが登場した。キム・ソンファン代表秘書室長は、フェイスブックに投稿して「基本的に今回のコロナ災難は性格上全国民に支給するのがはるかに正しいと考える」として「ただし、高所得層への支援と行き過ぎた財政が問題であれば所得余力がある層は支援金寄付キャンペーンでも積極的な消費を促すことを通じて還流させ、財政に困難があれば4人世帯の基準で100万ウォン(約8万7000円)を80万ウォンに引き下げれば良いと考える」と提案した」

     

    国民全員にコロナ見舞金を支給すると言いながら、高額所得者は辞退せよという案は、公約違反である。しかも、財源不足を理由に4人世帯の基準で100万ウォン(約8万7000円)を80万ウォンに引き下げるとは、言語道断の振る舞いである。まさに、「公約の食い逃げ」に等しい行為だ。

     

    (3)「「支援金寄付」では、一種の「ノブレス・オブリージュ(指導層が持つ道徳的義務)」キャンペーンを展開するということだ。ウォン・ヘヨン議員もこの日、フェイスブックに「全国民に災難支援金を支給する一方で、高所得層の自主的な寄付で社会連帯協力基金を作ろうという金慶洙(キム・ギョンス)慶南(キョンナム)知事の提案に同意する」と書いた。これに先立って金知事が6日出したアイディアに注目した。支給額を100万ウォンから80万ウォンに引き下げる案は、当初支給対象から外された上位30%まで支給する代わりに100万ウォン(4人世帯基準)だった支給額を減らそうという提案だ

     

    支給額を100万ウォンから80万ウォンに引下げる案は、最初の提案に戻ることだ。所得上位30%を含めると財源が足りないから、公約違反であるが支給しない、とする案である。要約すれば、次のようになる。

     

    与党は選挙に勝つため大風呂敷を広げ、所得上位30%まで含む全国民に支給するから投票してくれと言った。だが、総選挙では予想外の大勝になったので、やっぱり高所得者には支給しない。「だまし討ち」である。しかも、寄付を強要するとは、完全な公約違反である。

     


    (4)「青瓦台(チョンワデ、大統領府)は22日、非常経済会議で大々的な雇用対策を発表する予定だが、この時「雇用金融緩和」を出しながら1世帯当たり支給額を減らす場合、支援金の縮小に対する反発を和らげることができるのではないかという見方も党内にある。だが、金額を引き下げるのは「下位70%」に与える金を「上位30%」にも与えるという論議を呼んで、当初100万ウォンを期待していた人々を刺激する可能性がある。また、社会指導層の支援金返済も「与えたものを取り戻すこと」という論議の中で富裕層が自主的に行動するかどうかが不透明であるうえに、結果的には企業家、公務員、著名人の顔色をうかがうような寄付になるのではないかという声もある」

     

    いかにも、韓国的なやり方である。日韓問題もすべてこの便宜主義で反古にされてきた。韓国ドラマを見ていて気付いたのは、「約束」という言葉(発音)が出てくることだ。朝鮮社会には古来、「約束」という言葉がなかったのであろう。それが、日本統治下で日本から持込まれた概念として使われている。いはば、約束は「外来語」であるから、未だに単なる言葉に過ぎないのだ。約束=契約は、近代市民社会の基本ルールである。韓国には、それが根付かないのである。

     

     

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    世界経済の津波は、4~6月以降に「最高潮」に達するというのがIMF(国際通貨基金)の見通しである。韓国輸出には、その予測通りの動きが始まっている。半導体やスマホなど、韓国輸出の「最後の砦」が総崩れの様相を見せ始めているからだ。世界経済の動きから言えば、当然のことが起こっているに過ぎない。

     

    半導体とディスプレー、スマホの3品目が、韓国輸出で占める割合は約4分の1にも達している。これら輸出が大きく落込めば、韓国経済を支える柱はもはや存在しない。4~6月期GDPが大きくマイナス成長へ転落するのは不可避となろう。総選挙における与党大勝利の余韻は吹き飛び、国民から非難される局面へ変わるであろう。

     

    『中央日報』(4月20日付)は、「韓国の輸出の柱『半導体・ディスプレー・スマホ』さらに危険な4~6月期」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の輸出の柱となっていた半導体、ディスプレー、スマートフォン市場に暗雲が立ち込めている。新型コロナウイルスのパンデミックにともなう世界的な景気鈍化がこれらの市場にも本格的な悪影響を及ぼし始めた。需要減少と投資縮小、サプライチェーンリスクが同時進行し、4~6月期の暗鬱な輸出指標をもたらしかねないとの見通しが出ている。

    (1)「19日の関連業界によると、半導体、ディスプレー、スマートフォン市場の見通しはすべて灰色だ。グローバルコンサルティング会社のマッキンゼーは最近の報告書で「新型コロナウイルスにより今年の世界の半導体市場は前年比最小5%から最大15%減少するだろう」と予想した。半導体が使われるスマートフォン、パソコン、家電、自動車市場などが萎縮するという理由からだ」


    今年の世界半導体市場は、「前年比最小5%から最大15%減少」とすれば、常識的に見て15%減に賭けるべきだろう。世界恐慌以来の動乱経済になるとすれば、そういう結論が妥当だろう。



    (2)「昨年の不況を乗り越えて今年半導体市場が反騰するだろうと口をそろえた市場調査会社などもすでに「悲観論」に転じた。半導体専門市場調査会社のICインサイツは今年の世界半導体(IC・集積回路)市場は3468億ドル前で年比4%減少すると予想した。1月に8%成長するだろうとしていた予想値を大幅に下方修正した。ICインサイツは「1-3月期に新型コロナウイルスの感染拡大が急速に進み、3月から世界全域の製造設備が止まり、市場がまひした」と明らかにした

     

    下線のように、世界全体の半導体設備が稼働中止であれば、マイナス幅はさらに拡大するとみなければならない。


    (3)「新型コロナウイルスは半導体とディスプレーの主要需要先であるスマホ市場もなめ尽くして過ぎている。世界最大のスマホ市場である中国は1~2月のスマホ出荷量が前年同月比それぞれ39%と56%減った。3月もやはり23%減少した(中国情報通信研究院)。また、米国の3月第4週のスマホ販売台数は前月比48%減った(カウンターポイントリサーチ)。市場調査会社のIDCは今年の欧州のスマホ市場が前年比26%減少すると予想した。IDCは「最悪の場合、47%までマイナス成長しかねない」とした」

     

    中国のスマホ市場は、1~3月期で前年比39.9%の減少である。米国は3月第4週が前月比48%減。軒並み大幅減に見舞われている。IDCは「最悪の場合、47%までマイナス成長しかねない」と予測するが、それ以上の落込みを覚悟すべきだ。この混乱状態で、スマホの買い換えをしようという人は珍しいだろう。

     

    (4)「ブルームバーグが19日に内外の経済研究機関と投資銀行9カ所の1-3月期の韓国の実質国内総生産(GDP)成長見通しを集計した結果、平均値はマイナス1.5%となった。これは金融危機を体験した2008年10-12月期のマイナス3.3%以降の11年3カ月で最も低い。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が4・19記念式に出席し「通貨危機以降で最悪の経済危機状況をともに勝ち抜かなければならない」と話したのと脈絡を共にする」

    韓国GDPが、予測機関の平均値で1~3月期マイナス3.3%成長になる。中国の1~3月期が、マイナス6.8%であることから見て、韓国のGDPはマイナス4%超を覚悟するべきだろう。

     


    (5)「4-6月期はさらに悪化が予想される。1-3月期までは輸出が善戦したが、新型コロナウイルスが米国や欧州など先進国に広がった4-6月期から輸出減少傾向に反映される見通しだ。LG経済研究院のイ・グンテ首席研究委員は「サービス業中心の打撃から主力輸出産業へと被害領域が広がるだろう」と予想する」

     

    4~6月期GDPが、マイナス6%見当まで落込めば、韓国経済は麻痺状態になる。未曾有の局面に向かっていることは確かだ。この事態をどのように乗り切るのか。妙案はない。過去の間違った経済政策の撤回しか道はないが、それを実行する勇気はない。いたずらに、財政支出を拡大するだけの「蟻地獄」に落込むと見る。

     

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