勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国政治の動向を左右するのは、20~30代女性有権者である。李明博(イ・ミョンバク)大統領や朴槿惠(パク・クネ)大統領の時代もそうだった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が当選できた裏には、20~30代女性の動向を敏感にキャッチして、「フェミニスト文在寅」を見事に演じ切ったことが大きく影響している。

     

    文大統領は、若い女性層から「フェミニスト」として大きな期待がかかっていることを承知しながら、今回のソウル市長セクハラ事件では無言を貫いている。遺憾の旨を発言すれば、進歩派の仲間を裏切ると思っているのだ。被害女性に味方してきた従来の「フェミニスト文在寅」は、もはや存在しないのだ。存在するのは、与党「共に民主党」一員としてわれ関せず、を貫くしかない「偽フェミニスト文在寅」である。この日和見主義は、次期のソウル市長選と釜山市長選に大きく響くだろう。

     

    文在寅氏がかつて党代表を務めた際、セクハラがらみで辞任した後任選挙では、共に民主党候補者を立てないと発表した。ソウル市長と釜山市長は、いずれもセクハラ辞任である。韓国与党は、この方針通りとすれば候補者を立てられず『不戦敗』だ。与党には、次期大統領選も逆風である。セクハラが招いた突風である。

     


    『朝鮮日報』(7月24日付)は、「女性を食い物にする女たちと男たち」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の楊相勲(ヤン・サンフン)主筆である。

     

    (1)「20~30代の女性たちの政治意識が反保守に流れ始めたのは狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)騒動時からだったと思われる。李明博氏は大統領選挙で、ライバル候補よりも20~30代の女性たちからはるかに高い支持を得ていた。しかし、狂牛病騒動が起こってからは劇的な変化を見せる。騒動後の世論調査で、李明博大統領に対する20~30代の女性たちの支持率は6%まで急落した」

     

    李明博大統領は、大統領選で20~30代女性から高い支持率を得ていたが、狂牛病問題でこれら層の支持率が一挙に下落して6%にまで落込んだ。

     

    (29「2012年の大統領選挙で朴槿恵候補に対する20代の女性たちの支持は文在寅候補の半分にも及ばなかった。最後の世論調査では朴槿恵候補26%、文在寅候補63%だった。少し分かりにくいこの現象について、「若い女性たちは朴槿恵候補を同じ女性として認識するよりも、『女性の姿をした年寄り』や『金のスプーンとはしの(金持ちの家に生まれた)お姫様』だと見ている」という分析も出た」

     

    文在寅氏は、2012年の大統領選で落選したが、20代女性は、朴槿恵候補26%、文在寅候補63%というぐあいに、文氏が圧倒的な支持率を得た。

     

    (3)「負けはしたものの、2012年の大統領選挙時の若い女性たちからの圧倒的支持は、文在寅大統領がこれを大きな資産だと考えるようになったきっかけになったようだ。このころから文在寅大統領の姿勢は変わる。その象徴的な出来事が2016年に発生した「ソウル・江南駅無差別殺人事件」だ。精神疾患のある男が若い女性を理由なく殺害した事件で、女性たちは大きな衝撃を受けた」。

     

    文氏は、2012年の大統領選で若い女性支持者の圧倒的支持で「フェミニスト文在寅」に変身した。そのきっかけが、2016年に発生した「ソウル・江南駅無差別殺人事件」だ。

     


    (4)「文在寅氏は当時、一人で江南駅を訪れ、弔問に来た若い女性たちに寄り添った。若い女性たちの間で文在寅ファン層が形成された。これらの人々は後に「私たちのイニ(文在寅)、やりたいことを全部やって」というフレーズを作り、地下鉄駅に文在寅大統領の誕生日を祝う広告板を出したりもした。こうした支持はコンクリートのように固く、どんな時も揺らがなかった。一言で言えば「忠誠集団」だった。文在寅大統領は自らをフェミニズム(女権運動)大統領だと宣言し、性に関する問題が出るたびにことごとく介入した」

     

    文氏は、一人で事件現場を訪れ弔問し、若い女性たちの支持を集めるようになった。これが、2017年大統領選で大きな力となって見事、当選の栄に輝く原動力になった。

     

    (5)「文在寅大統領は進歩陣営の人々が相次いでMeToo(性暴力被害の告発)運動の対象となった事態について、「これは女性の人権問題」だとして、「性暴力の抜本塞源(そくげん=弊害などを根本からなくすこと)」を指示した。それまでの加害者たちは、文在寅氏や共に民主党と大統領候補をめぐって争った人々や検察幹部、芸術家などだった。だから、文在寅大統領はこのころまでは女性たちの味方になってこられたものと思われる」

     

    大統領当選後の文氏は、積極的にMeToo運動を支援した。加害者が、文陣営(与党)でないので、「気軽」に支援できたのであろう。

     

    (5)「朴元淳市長事件で、文在寅大統領の「本性」が明らかになった。加害者である朴元淳市長に対して哀悼の意を表し、被害女性に対してはたった一言のいたわりの言葉すらない。傷ついた多くの女性たちに対しても「抜本塞源」を約束するどころか沈黙している。文在寅大統領は何よりも加害者をかばい、被害女性を非難する熱狂的支持層の動向を意識したのだろう。MeToo運動を起こした女性たちが朴元淳市長に対して沈黙しているのと同じだ。釜山市長だけではなく、ソウル市長補欠選挙まで行う事態となった今、自身の陣営の道徳崩壊を自ら認めるのも難しいだろう」

     

    文大統領は、国民統合の大統領にはなれなかった。民主党代表の「大統領」である。セクハラ事件の加害者が民主党陣営となると、途端に鋭い舌鋒は消えて無言を装うからだ。MeToo運動を起こした女性たちが、朴元淳ソウル市長に対して沈黙しているのは、余りにも「党派性」に過ぎる。身内の犯罪に甘く、他人の犯罪に厳しいこの落差は、文大統領を筆頭に、与党全体の「ご都合主義」を見せつけているのである。

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    韓国の首都ソウルの市長が、秘書に4年間もセクハラを行なった事件は、韓国政治の前近代的部分を明らかにした点で特筆すべき内容を含んでいる。それは、市長側近を形成した秘書団が、一般公務員でなく市長が選任した学生運動出身者や市民団体出身者で固められていたことだ。これら秘書団は、被害者が事実を訴えても取り上げず、もみ消してきた点で加害者と同罪である。

     

    前記の秘書団は、学生運動出身者や市民団体出身者であり、口を開けば「人権」「平和」「民主主義」を喋ってきた人たちである。この人たちが、セクハラ事件では隠蔽側に立った点で、「ダブルスタンダード」の典型例と言わざるを得ない。

     

    ソウル市長の秘書団構成は、韓国大統領府秘書官の構成と同じである。文大統領秘書官も学生運動出身や市民運動出身で固められている。官僚の専門知識を軽視して、思いつきや学生運動時代の精神を行政に持込む点では、ソウル市秘書団と大差ないのだ。韓国政治は、こうして中央も地方も行政に「素人秘書」を大量に抱える特異の性格を持っている。

     


    『朝鮮日報』(7月23日付)は、「
    ソウル市庁「6階の人々」によるセクハラほう助、衝撃的事実の数々」と題する社説を掲載した。

     

    朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長にわいせつ行為・セクハラ(性的嫌がらせ)を受けた被害者側の代理人は記者会見で、「被害者は4年以上、ソウル市の関係者らに(朴市長が送信した)下着の写真やテキストメッセージを見せて苦情を訴えたが、黙殺された」と言った。こうした訴えは、ソウル市の人事担当者をはじめ、秘書官ら約20人に対してしたという。正常な組織ならば、こうした深刻な事実がこれほど多くの人々に知られたら、決して葬り去ることができない。それなのに、この件は葬り去られた。

     

    (1)「朴市長の秘書陣など最側近は、ソウル市庁で「6階の人々」と呼ばれているという。その数は30人余りにのぼる。一般公務員出身者よりも、市民団体・環境団体やかつての労働運動団体・学生運動団体などの出身者の方が多いそうだ。当然、実勢を握るのは朴市長が特別職に抜てきした人々だ。彼らは関連法規上、朴市長の任期が終了するか、市長が退職すれば、自動的に免職される。互いを「殉葬組」(任期の最後までトップと運命を共にする参謀たち)で呼び合い、朴市長と一心同体になって動いたとのことだ。だから、被害者に対して、朴市長の「喜び組」の役割まで強要したのだろう」

     

    ソウル朴市長(与党出身)は、30名近い秘書団を抱えて入るが、多くは「特別職」という。市長が、自分につながりのある人物を任命したもので、市長の任期が終われば自動的に退職する。こういうことから、市長との関係は「一心同体」になっている。専制時代の「家臣団」である。こういう制度が、今も残している韓国政治の時代遅れは明白である。

     

    (2)「口を開けば「正義」「人権」を唱える人々(秘書団)が、セクハラの容疑者をかばい、被害者に沈黙を強要する。かつての労働運動・学生運動関係者たちの「組織保衛論」を思い起こさせる。このような人々が9年以上にわたる朴市長の在任期間中、人口1000万人の首都の行政を担ってきた。驚がくを禁じ得ない」

     

    敵と味方になって争う。それが普通の韓国は、宗族制社会の遺制を残していると言うべきだ。だから、組織を守ることが敵に勝つ必須条件である。ソウル市長セクハラ事件は、韓国社会の宗族制を赤裸々に表わしているとみるべきである。

     


    (3)「朴市長に対して被害者の告訴事実がすぐに伝えられたことについても、新たな事実が明らかになりつつある。被害者側が警察に告訴する前日、ソウル中央地検担当部長検事に被害事実と共に、朴市長関連であることをまず知らせたというのだ。すると、部長検事は会う約束を突然取り消したという。おそらく、この事実をソウル中央地検の幹部らに直接、報告した可能性がある。ソウル中央地検は今、大統領の大学の後輩が掌握している」

     

    下線の部分で、文大統領の学閥という糸が、セクハラ事件の告訴を受理したソウル中央地検トップに繋がっている。告訴を最初に知りうる立場を利用して、政治的に動き回ったことが浮かび上がるのだ。

     

    (4)「朴市長の遺書作成、公邸を出た時刻などを考えると、朴市長は告訴事実と内容をほぼリアルタイムで把握していたと思われる。ソウル市と警察、検察、青瓦台などが知らせなかったら不可能なことだ。被害者を危険にさらすかもしれない犯罪行為だ。誰がどの経路で朴市長に知らせたのか、一つ一つ解明しなければならない」

     

    被告訴人が、告訴と同時に情報を入手していたことが分かる。違法は言うまでもない。韓国政治には、こういう前時代的要素が複雑に絡み合っているのだ。

     

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    文政権の始めた週52時間労働制が、賃金コストを高めている。外資系企業が、韓国で生産活動する上でこれが最大のネックだ。韓国では、最低賃金引き上げや週52時間労働制が、違反企業に罰則を伴うだけに、「韓国さよなら」が続いている。

     

    『中央日報』(7月22日付)は、「脱香港より脱韓国がさらに心配、6000人の生計かかる企業が撤退」と題する記事を掲載した。

     

    大邱市達城郡(テグシ・タルソングン)にある工場の従業員147人は、今月末になれば職場を失うことになる。自動車部品用ベルトを作る韓国ゲイツが撤退するためだ。韓国ゲイツは米国ゲイツが51%、日本のニッタが49%を出資する外国人投資企業だ。大邱市はパニック状態となった。この会社が廃業すれば従業員だけでなく協力会社とその家族など市民6000人の生計が影響を受けるためだ。

     

    (1)「米国ゲイツは、中国で生産した同じ製品を現代自動車に継続して納品する予定だ。韓国から撤退した後は生産地を中国に移すことになる。このため人件費を削減し労働規制を避けるために韓国から撤退するのではないかとの分析が出ている。韓国ゲイツの昨年の平均給与は5000万ウォン前後とされる。米国ゲイツは中国で生産した同じ製品を現代自動車に継続して納品する予定だ」

     

    米国ゲイツは、韓国から撤退して中国で生産して韓国自動車メーカーに部品供給するという。韓国撤退理由は、人件費を削減し労働規制を避けるためでないかと見られている。韓国の労働規制は、それほど厳しいのだ。



    (2)「週52時間制は企業誘致の最も大きな障害物に挙げられる。2月に外資系金融会社代表は殷成洙委員長に会って「外資系金融会社の社員が海外支店との業務協力などで勤務時間外業務が避けられない場合には週52時間勤務規制適用対象から除外してほしい」と建議した。その後企画財政部が金融センター推進に向け実施した需要調査でも外資系金融会社は「週52時間制を守って働くのは事実上不可能だ」として否定的な回答を送ってきた」

     

    週52時間労働制は、外資系企業にとって時差の関係もあり、事実上不可能だという。韓国の夜は、欧米では昼間だ。韓国政府は、こういう点についての配慮がゼロである。

    (3)「高い税率も、韓国行きを忌避する要因に挙げられる。法人税を見ると韓国は最高税率が25%で、シンガポールの17%や香港の16.5%より高い。所得税率に対する指摘もある。香港は現在まで個人所得税率が最高15%だ。中国政府が最近香港にも本土の所得税率である最高45%を適用するとして高所得エリート社員が他に移るだろうという予想が出ているが、移動候補地として主に挙げられるのは最高税率が22%のシンガポールだ。韓国も勤労所得税率が最高で42%(5億ウォン超過)に達するためだ。産業銀行香港法人長を務めたパク・キスン元中国サムスン経済研究所長は「中国の富裕層がこれまで香港に行っていた理由は所得税のため。韓国が彼らを迎え入れるには所得税問題に手を入れなければならない」と話した。

    韓国の法人税率、所得税率は、反企業や富裕者痛めを目的にして、他国より高くなっている。いずれも労組や市民団体の要望を受入れた結果だ。こういう「鬱憤晴らし」政策が、外資系企業に働く労働者へ災難として降りかかっている。何とも皮肉な結果である。

     

    韓国社会には、「共存共栄」とい考え方が希薄である。「敵か味方」の二分類である。労働者にとっての敵は、企業である。市民団体の敵は、富裕階級である。労組と市民団体は、それぞれの敵をやっつけるために高い税率を掛けて喜んでいるのだ。こういう児戯同然の振る舞いの中で、韓国経済は失速して発展する基盤を失うのであろう。朝鮮李朝時代から、敵味方に分かれて、血で血を洗う闘争を繰り広げてきた。その悪弊は、現代も変わらず生き続けている。私の韓国滅亡論は、こういう社会構造からも説明可能と思う。

     

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    4月の総選挙では、与党が議席の6割という絶対多数を占める勝利を握った。この結果に有頂天になってきた文政権は、僅か100日足らずで不支持率が、支持率上回る「デッドクロス」状況に落込んだ。有権者から「白紙委任状」を受け取ったとして有頂天であった与党に鉄槌が下ったのだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(7月21日付)は、「文政権のコア支持層30代も離脱『事態の深刻さと世論把握できず』」と題する記事を掲載した。

     

    大統領府と与党は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国政遂行支持率が変動するたび、「数字で政治を行うわけではない」、「支持率の推移に一喜一憂しない」と豪語してきた。しかし、最近続いている支持率の低下には緊張の色がありありと見える。政権4年目、総選挙の圧勝から100日も経たないうちに現れた持続的な下落傾向という点で、「レームダック」につながりかねないという危機感のためとみられる。与党は何よりも政権のコア支持層である30代まで離脱しているという点を深刻に受け止めているようだ。

     

    (1)「文大統領の国政遂行支持率は、韓国ギャラップの調査基準で、7週連続で下落した。7月第3週の支持率は46%で、今年最高点を記録した5月第1週に比べて25%も下落した。7月20日に発表されたリアルメーターの調査では、文大統領の職務遂行に対する否定的評価(51.%)が肯定的評価(44.%)を上回り、「デッドクロス」現象まで発生した。国政支持率は「チョ・グク事態」の真っ最中だった昨年10月第2週以来最低値だ。さらに、与党の共に民主党の支持率も昨年10月以降最も低い」

     

    韓国の世論調査は複数の会社が、毎週行なうという念のいれようだ。だが、不明朗な世論調査も噂さえされている。韓国では、政治意識が高いというより、「噂話」に関心が持たれている面がある。それにしても、文氏の支持率が急落している点に注目が集っている。

     


    (2)「支持率下落の背景には、正義記憶連帯の会計不正疑惑や仁川国際空港公社の正規職への転換問題など、4月の総選挙後に相次いだ与党周辺の悪材料がある。特に、最近の急激な民心の離反は、信頼を失いつつある不動産政策や故パク・ウォンスン・ソウル市長の強制わいせつ疑惑とこれに対する与党の不適切な対処などが重なり、加速している。忠清北道清州市(チョンジュシ)とソウル市盤浦洞(バンポドン)にマンション2戸を所有していたノ・ヨンミン大統領府秘書室長が「ソウルのマンションではなく、清州のマンションを処分する」と発表したのは最悪だった。不動産が生活の根幹になる住居の問題という点のため、民心がさらに大きく揺らいでいるという分析もある」

     

    韓国では、仲間内の不祥事は徹底的にカバーするという「非合理的」側面がある。ことの善悪を問わない、この「身びいき」は異常そのものだ。4月15日の総選挙後、3つの事件が立て続けに起こっている。いずれも民主党員がらみの事件だ。

     

    特に、慰安婦支援団体による寄付金横領事件では、「主犯」の民主党議員を庇っている。検察庁の事情聴取さえ行なわせないほどの固いガードである。ともかく、仲間内を守ろうという意識が異常なのだ。日本では、疑惑を受けた議員は、離党が相場と決まっている。韓国は逆である。党が、社会の追究を遮断するのだ。

     

    (3)「不動産で沸き立っていた民心は、「パク・ウォンスン事態」(セクハラ事件)で爆発した。与党関係者は「パク市長が強制わいせつ疑惑で自ら命を絶ったのも衝撃的だが、その後の事件に対する与党の態度によって支持者まで背を向けるようになった」と述べた。政治評論家のユ・チャンソン博士は「イ・ヘチャン代表の『××野郎』発言が象徴的な場面だ。民心がどのような状態なのか、パク市長の強制わいせつ疑惑に若い世代がどのような視線を送っているのかについて、与党がほぼ把握していないことが露呈した」と指摘した」

     

    与党は、党員の不祥事であるからセクハラ事件を隠そうとした。その上、被害者の苦痛になんら配慮しない言動は、国民から強い批判を浴びた。民主党は、弱者の味方を標榜しているにもかかわらず、セクハラ事件では真逆の対応をしたのだ。

     

    (4)「チョ・グク(注:前法相事件)、ユン・ミヒャン(注:慰安婦支援団体の寄付金横領)、パク・ウォンスン(注:ソウル市長セクハラ事件)事態を相次いで経験した与党では、「個人的な付き合いや情に囚われず」断固として早期収拾に乗り出すしか方法がないという声が高まっている。パク・ウォンスン市長の強制わいせつ疑惑についても断固たる立場を示して民心をなだめると共に、改革課題の処理に集中することで支持を取り戻すべきという主張だ」

     

    韓国最大の欠陥は、仲間内の不祥事を隠すという「ダブルスタンダード」である。与党は、これら3事件が野党関係者によって引き起されたとすれば、根掘り葉掘りで大騒ぎして究明したであろう。こういう「身内を庇う」不公正さが、国民の批判を浴びているのだ。

     

    (5)「与党関係者は、「『チョ・グク事態』の時は『検察改革』という政策イシューが重なり、耐え抜く余力があった。今回の危機は『権力型性犯罪』という“賛否”を問えないイシューから始まった危機であるため、さらに深刻だ。一日も早く断固たる対策を打ち出さなければならない」と述べた」

     

    「チョ・グク」事件も見苦しかった。文大統領は、演説でチョ氏を庇い、「さぞ苦しい立場であったろう」とまで言ったのだ。これは、完全に身内を庇い、支持者向けの発言である。大学教授夫婦が、娘の大学不正入試に手を貸すという、前代未聞の事件である。文大統領は、この事件をもみ消すような言動をしたのだ。大統領府は、この不正事件が検察の行き過ぎた捜査結果として、検察を改革するという恥ずべき行動に出た。腐った政権である。

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    文大統領の支持率が急落している。不支持率が支持率を上回る「デッドクロス」現象が起こっているのだ。新型コロナウイルス対策では、70%を上回った支持率が現在、50%を割込んで不支持率を下回っている。原因は、文大統領の盟友であるソウル市長のセクハラ事件について一切、国民に向けて発言をしていないことが響いていると見られている。

     

    文大統領は、これまで平等や民主などを明快に語ってきた。今回の朴ソウル市長のセクハラ事件では、何らかの発言があって当然にもかかわらず、不自然な形で沈黙しているのだ。

     

    『中央日報』(7月20日付)は、「文大統領支持率が『デッドクロス』肯定44.8%、否定51%」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国政遂行肯定評価が8週連続で下落した中で、否定評価が肯定評価を追い抜く「デッドクロス」現象を示した。故朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長のセクハラ疑惑事件の影響に続き、住宅供給拡大方案などをめぐって与党内でも足並みが乱れ、政策信頼度を落としたためだと考えることができる。



    (1)「リアルメーターがYTNの依頼で13~17日に全国有権者2516人を対象に実施した調査で、文氏の国政支持率(肯定評価)は前週比3.9%ポイント下落した44.8%となった。これは「チョ・グク事態」真っ只中だった10月第2週(41.4%)以降、9カ月ぶりの最低値だ。否定評価は前週比4.5%ポイント上昇した51.0%で、肯定評価を追い抜く「デッドクロス」現象が現れた。否定評価と肯定評価の違いは誤差範囲外の6.2%ポイントだ。否定評価が誤差範囲を超えて肯定評価を上回ったのは、2月第4週以降20週ぶりとなる」

     

    文大統領の支持率は、44.8%。不支持率の51.0%が高くなって逆転した。高い支持率が特色である文大統領にとって、「デッドクロス」は二度目の現象である。

     

    (2)「支持率の下落は女性と30代が主導した。前週比で女性は肯定評価が6.6%ポイント下落し、否定評価は7.5%ポイント上昇した。30代は肯定評価が14.4%ポイント下落し、否定評価は15.5%ポイント上昇した。故朴市長の死亡に伴う与党内人々の2次加害問題に加えて、不動産市場に新たに進入する30代で6・17不動産対策と7・10対策などに対する否定世論の影響が続いたとみられる」

    不支持率が急増しているのは、女性と30代が支持層から離脱した結果だ。女性の不支持率増大は、ソウル市長セクハラ事件である。弁舌爽やかな文大統領が、盟友の起こしたセクハラ事件になんら言及しない不自然さに失望したと見られる。30代の支持率下落は、住宅問題が解決できずにいることだ。文政権になってからの住宅価格上昇率は、歴代政権でも最大という「住宅無策」が、30代の不支持率増大を招いている。

     

    文政権は、女性支持率の高いことが特色である。文氏のフェミニストぶりが好感を呼んできたのである。ソウル市長の自殺という異常な事件だけに、フェミニストをもって任じる文大統領が、関連発言しないのは余りにも不自然であると、批判されているのだ。

     


    『中央日報』(7月20日付)は、「『ソウル市長セクハラ』暴露から10日、被害者の味方は誰もいない」と題する社説を掲載した。

     

    朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長の女性秘書セクハラ疑惑事件が明るみになって10日が過ぎた。今回の事件によって途方もない衝撃と波紋が起きたが、実体的な真相究明の速度がとても遅い。そのような渦中に2次加害が飛び交っている。迅速かつ厳正な捜査を通じて、真相を究明して被害者の苦痛を軽減しなければならない。

     

    (3)「『フェミニスト大統領になる』といって性平等公約を掲げた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は16日、第21代国会開院演説の途中、女性人権問題を口にすることもなかった。30代女性を中心に支持率が逆さまに落ちている。今からでも大統領が徹底した調査と責任者処罰、再発防止策用意を指示することが正しい流れだ」

     

    文大統領は、韓国社会の性差別の是正を大統領選の公約に掲げた。現実に、身近なところで4年にわたるセクハラ事件が起こっていたのだ。文氏としては、いの一番で遺憾の旨を発言し、被害者への同情と再発防止を約束しなければならない立場である。それにも関わらず、沈黙を貫いている。韓国女性が、文大統領に対して批判の眼差しを向けるのは当然であろう。

    (4)「被害者は厳格に存在するのに、今の雰囲気はおかしいどころか別の疑惑を生んでいる。ソウル市・女性家族部・警察・検察・民主党・青瓦台(チョンワデ、大統領府)の誰も被害者のために積極的に出ようとしていない。「見えない手」が動き、「あちら側なら有罪、こちら側なら無罪」にもっていこうとしているのではないか疑われる。一次的な責任は加害当事者にあるだろうが、性犯罪が4年間起きていたにもかかわらず、黙認・ほう助した疑惑があるソウル市に大きな責任がある。ジェンダー特別補佐官は被害者よりも朴氏側で活動し、女性家族政策室長は被害者側の記者会見を延期させようとした」

     

    加害者の朴ソウル市長は、責任をとって自殺という過激な方法で事件の幕引きをした。だが、韓国与党や大統領府などは臭いものに蓋で、調査の動きは極めて遅い。時間稼ぎをして、ウヤムヤに葬ろうと狙っている感じすらする。これがかりそめにも、民主主義を標榜する進歩派陣営のすることだろうか。海外メディアも注目しているセクハラ事件である。韓国進歩派の真贋が問われている。

     

     




     

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