勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    文政権は、せっせと中国へ忠勤を励んでいるが、中国進出の韓国企業は中国政府から差別され被害者になっている。韓国政府が、この件で中国政府へ掛け合うこともなく韓国企業は孤軍奮闘を余儀なくされている。その我慢も限界に達している。「チャイナ・プラス・ワン」で新たな輸出市場を求めて動き出したのだ。

     

    最近数年で、韓国企業は中国から相次いで撤退している。ちょっとしたことで爆発する限韓令(韓国を規制する)のような嫌韓リスク、ますます強まる中国当局の規制、外国企業に対する差別で正常な経営は不可能との判断があるためだ。現代自動車グループは16年、179万台を販売し、中国市場でのシェアが10%に迫った。しかし、THAAD問題で中国の消費者による不買運動が広がり、昨年の販売台数は約50万台に減少した。現代自は昨年、海外初の生産拠点だった北京第1工場を売却し、北京第2工場の売却も検討している

     


    不思議なことに、二股外交で気配りしている文政権は、韓国企業が冷遇されていても支援の手を伸さないことだ。「企業は敵」という文政権発足時のムードが、未だに残っている雰囲気である。

     

    『朝鮮日報』(1月16日付)は、「対中依存度を下げる『チャイナ・プラス・ワン』戦略を…中南米やアフリカに目を向けるべき」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の中国経済専門家は「韓国と中国は経済分野ではここ30年で互恵的な関係からライバル関係に変わったため、韓国企業の対中戦略も見直さねばならない」と指摘する。とりわけ中国に過度に依存しているサプライチェーンの多角化が急務との声が多かった。

     

    (1)「仁荷大学国際通商学科の鄭仁教(チョン・インギョ)教授は、「対中貿易にあまりにも依存し過ぎている今の状況をこのまま放置してはならない」「韓国の市場と原材料の供給元を多角化する『チャイナ・プラス・ワン』戦略に積極的に取り組まねばならない」と指摘する。鄭教授は「韓国商品の好感度が高いメキシコやブラジルなどの中南米諸国や資源が豊富な中央アジア、アフリカなどが韓国にとって貿易をもっと増やさねばならない地域だ」と提案した」

     

    日韓関係が良好な頃は、日韓企業の協調で海外へ進出す案が検討されていたこともある。今から見ればウソのような話だ。この例を以てしても、日韓関係の悪化は韓国企業にマイナスである。日本では、総合商社が世界中にビジネスチャンスを求めて活動している。韓国にはそういう例を聞かないから不利であろう。

     


    (2)「韓国金融研究院国際金融研究室のチ・マンス室長は、「中国への投資を増やす時代は終わった」とした上で「韓国企業は韓国で製造した完成品を中国に輸出する『2008年以前のモデル』に回帰することも検討すべきだ」との考えを示した。チ室長は、「これまで韓国と中国は韓国が半導体などの部品や中間財を提供し、中国が安い労働力でこれを組み立てて加工し完成品を製造する相互補完的な関係だったが、それが今やライバル関係に変わった」「米中対立やカーボンニュートラルなどで中国企業が足下をすくわれている間に、韓国は造船や半導体、鉄鋼など主要な産業分野で競争力を取り戻さねばならない」と説明する。

     

    「中国への投資を増やす時代は終わった」という認識は正しい。中国経済は、労働力不足・不動産バブル崩壊という悪条件が重なり、これから急速に経済成長率が低下する。今までのような感覚で、中国経済を見ていると大きな間違いだ。現在の韓国のGDPは、中国のGDP成長率にかなり影響されている。早く「逃げ出す」ことである。

     


    (3)「韓国経営研究所のパク・スンチャン所長(竜仁大学教授)は、「韓国と中国の技術競争で中国は莫大な人的資源と資本を前面に出し韓国を激しく追撃している」「規制改革や未来産業に対する専制的な投資など、スピード戦で中国の追撃をかわさねばならない」と提案した。対外経済政策研究院のヤン・ピョンソプ研究委員は、「韓国における今の問題は源泉技術は米国に依存的で、市場は中国に依存的という点だ」「半導体のように韓国が優位にある産業を継続してつくり上げなければ、中国と対等な経済協力を論じることは難しくなるだろう」と警告した」

     

    下線部分は、かなり中国経済を買い被っている。IMF調べでは、2009~18年の中国の全要素生産性(TFP:技術進歩や生産性の効率化など)は年平均0.7%増にすぎない。労働や資本の増加がなければ、GDPの成長率は0.7%に止まるという経済である。こういう中国経済に依存した韓国経済は、前途多難というべきだ。

       

    文氏はレガシー造り狙う

    最後まで北に賭ける哀れ

    聞く振りの米国バイデン

    対北問題は日米が主導権

     

     

    北朝鮮が、年明け早々5日、11日、14日と極超音速ミサイルの発射実験を行なった。

    韓国の文大統領は、昨年9月の国連総会で朝鮮戦争の「終戦宣言案」を公表。以来、この終戦宣言をめぐり議論されたものの、日米には反対論が強かった。北朝鮮の「終戦宣言」への回答は、3連続のミサイル発射実験で「ノー」と読めるのだ。

     

    文氏によれば、この終戦宣言は米朝の協定でない、としていた。米韓が一方的に宣言することで、北朝鮮が話合いに応じるような環境整備を促すというものである。百戦錬磨の北朝鮮は、在韓米軍の撤退を話合い条件に付ける可能性もあろう。その意味で、「終戦宣言」は北朝鮮に利用されるだけ。反対論者は、こういう危惧を前面に出していた。

     


    文氏はレガシー造り狙う

    文氏が、反対論にも関わらず終戦宣言構想に固執した理由は、大統領としての「業績」にしたかったことであろう。大統領職は5月10日までだ。残りの任期期間は僅かである。3月9日には、次期大統領が決まる。こういう政治日程を考えれば、文氏にとって「終戦宣言」が最も手っ取り早い業績つくりに違いない。北朝鮮が喜びそうなこの案について、北朝鮮はこれまで沈黙してきた。

     

    北朝鮮の金正恩氏は、北京冬季五輪への北朝鮮不参加を発表した。北京で文氏との遭遇機会を避けたのである。金氏が、文氏を忌避したのには理由がある。大統領の残り任期僅かな文氏と会って約束しても、実行される可能性がないことだ。金正日時代にも、盧武鉉大統領との面会でそういう事例があった。韓国次期政権が交代すれば、文氏と交わす約束も実行される保障はない。北朝鮮が、そうした無駄なことに時間を使う可能性はない。

     

    文氏は、こういう見通しを持てなかったのである。換言すれば、文氏の外交認識はこれほど低いというのが現実だ。

     

    韓国大統領は、国家元首である。誰の意見を聞かずとも、大統領一人の意見で政策を決められるという弱点がここに現れている。日本のような議院内閣制では、国会議員の意見が政策の舵を握る。韓国は「皇帝的大統領」ゆえに、間違ったことでも実行に付すという「裸の王様」である。韓国外交で起こりうる悲劇は、この大統領制にある。大統領が間違えば、国を滅ぼすリスクを抱える政治制度そのものにあるのだ。

     

    文氏の外交知識は、浅薄そのものである。言葉は悪いが思いつきである。その源流は、1980年5月の光州事件に始まる80年代の韓国民主化運動にある。学生運動を初めとする民主化運動が、国を揺るがし激動の時代のさなかにあった。連日のように大学キャンパスで開かれる学生集会。学生と機動隊の衝突。学生たちは火炎ビンを投げ、石を投げつけていた。ここでは当然、「親中朝・反日米」が運動の起点になる。

     

    文氏は、1975年の朴正熙時代の民主化闘争で検挙されている。その後、兵役に就いており、大学卒業は1980年だ。激動の韓国民主化時代を経験していることが、一生の政治姿勢を決めた。ただ、大統領就任後も前記の「親中朝・反日米」を無批判に受入れてきたことが致命傷になっている。現在は、2020年代である。すでに40年間のズレが生じている。その間の国際情勢変化を折り込まず、学生運動の「ノリ」で韓国外交を指揮した。その誤りは取り返しのつかない結果をもたらした。

     


    文大統領の下に集まった大統領府の秘書官の6割は、80年代の学生運動経験者である。この一大「元学生運動家」が、「親中朝・反日米」外交政策で邁進したことは疑う余地もない。韓国外交は、「40年間」の時代のズレを伴って生き続け、ついに後述のように破綻したのである。

     

    最後まで北に賭ける哀れ

    北朝鮮は1月5日、弾道ミサイルと推定される飛翔体1発を日本海に向けて発射した。昨年10月の新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射以来である。この際、文氏はなんと発言したかだ。驚くべきことを言ってのけたのである。

     

    文大統領は、「南北間の信頼を蓄積していけば、ある日突然、私たちに平和が訪れるだろう」と述べたのである。何か、教会で牧師の説教を聞かされている錯覚さえ覚えるのだ。「神のお恵みによって地上へ平和が訪れるように」と祈りを捧げている場面である。もちろん、神への祈りを否定するものではない。だが、一国の運命を率いる大統領の発言としては、他人事のように聞えるのである。そこには、外交政策も安全保障政策も消えているからだ。

     


    韓国では、北朝鮮のミサイル発射を「挑発」と規定せず、警告や遺憾の表明もしなかった。韓国政府は、北朝鮮をいつものようになだめることに汲々としている。これでは、北朝鮮が増長して、ミサイル発射実験をやりたい放題に行って当然であろう。

     

    文氏にとって北朝鮮は、「主敵」の位置にない。大統領就任後に、韓国軍の「主敵」が北朝鮮であるとの規定を削除してしまった。「主敵」でない北朝鮮が、ミサイル発射実験を行なっても「隣国」の出来事くらいしか捉えていないのだ。恐るべき安全保障の「不感症」に陥っていると言うほかない。代わって、「主敵」は周辺国に置換えられている。つまり、日本である。1980年代、韓国学生運動の「親中朝・反日米」の「反日」が、現実の安保政策で実現したことになろう。(つづく)


     

    あじさいのたまご
       

    中国政府は、国内企業の保護政策を露骨に行なっており、現地進出した韓国企業は弾き飛ばされている。韓国企業と中国企業の技術格差が、縮小していることも影響しているであろう。韓国政府は、二股外交を行なって中国のご機嫌取りに夢中である。一方、現地の韓国企業は規制を受けて四苦八苦しており、撤退が増えている。文大統領は、こういうときこそ中国政府へ抗議しなければならないのだ。

     

    『朝鮮日報』(1月16日付)は、「中国の思い通りに規制、現代自の販売7割減 アモーレは店舗半数閉鎖」と題する記事を掲載した。

     

    韓国化粧品大手アモーレパシフィックは今年、中国国内の「イニスフリー」の店舗280カ所のうち140カ所を閉店する計画だ。昨年は「エチュード」の店舗610カ所を閉鎖。「ヘラ(HERA)」「アイオペ(IOPE)」などのブランドも実店舗を全て閉じ、大規模な事業再編を進めている。

     


    (1)「アモーレパシフィックは2016年、中国で「Kビューティー」ブームをリードし、創業以降初めて営業利益1兆ウォンを達成した。しかし、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題で限韓令(韓流禁止令)が本格化すると、海外販売の70~80%を占めていた中国事業の業績が急落した。LG生活健康も中国事業の業績で一喜一憂する状況に変わりはない。金の卵を産むはずだった中国市場は今や諸刃の剣だ」

     

    化粧品や生活用品は、中国の品質が向上すれば韓国製品へ追いついてくる。それに加えて、限韓令という中国政府の「韓国品排除」ムードが重なれば、韓国製品はシェアを落とすであろう。

     

    韓国は、中国から限韓令という差別を受けながら、日本製品に「No Japan」で不買運動を行なっている。韓国は、中国で痛みを知って、日本に対して同じことをやっている。その矛楯を気付かないのだ。

     


    (2)「最近数年で、韓国企業は中国から相次いで撤退している。ちょっとしたことで爆発する限韓令のような嫌韓リスク、ますます強まる中国当局の規制、外国企業に対する差別で正常な経営は不可能との判断があるためだ。現代自動車グループは16年、179万台を販売し、中国市場でのシェアが10%に迫った。しかし、THAAD問題で中国の消費者による不買運動が広がり、昨年の販売台数は約50万台に減少した。現代自は昨年、海外初の生産拠点だった北京第1工場を売却し、北京第2工場の売却も検討している」

     

    中国は、THAAD問題で「実損」のないことを十分に知りながら、これを武器に使って韓国から多くの利益を得ようとしている。文政権は、その「悪辣外交」に気付かず、次々と譲歩しているのが現実だ。民族主義者の文在寅が、中国の前では借りてきた猫のような振る舞いである。こういう時こそ、民族主義の本領を発揮すべきだ。

     

    (3)「SKグループは崔泰源(チェ・テウォン)会長自ら、中国を第2の内需市場にしようという「チャイナ・インサイダー」戦略を推進してきた。しかし、10年間経営してきたレンタカー事業を昨年整理するなど、中国企業の大規模な再編を進めている。サムスン電子は18年に天津市のスマートフォン工場の稼働を中断し、19年10月には広東省恵州市のスマートフォン素材工場も閉鎖した。天津市のテレビ工場、江蘇省蘇州市のパソコン工場、液晶ディスプレー工場も閉鎖した」

     

    サムスンは、さすが目先が利く。中国市場を撤退してアジアや米国へ生産拠点を移している。いつまでも、中国にしがみついていると、大きなしっぺ返しを受ける。早く、見切りを付けるべきだが、中国へ言うべきことをはっきり言う勇気が必要だ。これでは、自ら中国の属国扱いに甘んじているようなものであろう。

     


    (4)「
    国際標準とはかけ離れた中国当局の規制も、韓国企業にとっては致命的なリスク要素だ。代表的な業種はゲームだ。4~5年前から中国が許可証の発給を全面的に中断し、ゲーム業界全体が「中国発リスク」に陥っている。年平均200種類の中国製ゲームが韓国市場で発売され、巨額の収益を上げる一方、過去4年間に中国市場で配信が認められた韓国製ゲームは1つにとどまっている」

     

    中国は、身勝手な国である。「戦狼外交」を見れば、それが一目瞭然だ。中国よりも弱いと見た相手には徹底的に高姿勢で臨む。それが、中国流である。これに対抗するには一国では無理。同盟の力しかない。韓国には米韓同盟がありながら、ここから抜け出てチョロチョロやっている。ますます、中国から舐められるのだ。

     

    (5)「中国で痛い目に遭う企業が増え、ここ数年で「中国市場撤退」の相談に専門で応じる業者まで登場した。ある中国専門コンサルティング業者は「中国人社員が技術だけ学んだ後、別会社を設立し、取引先ごと持っていくケースが目立つ」と指摘した。企業の脱中国ラッシュには中国の産業環境の変化も大きな影響を与えた。ただでさえ韓国ブランドの影響力が低下している状況で、習近平国家主席が掲げる「共同富裕」政策の影響で、賃金上昇が続き、生産拠点としても魅力は大きく低下した。中国人労働者の最低賃金は16年当時の時給18.7元(約341円)から今年は25.3元へと35%も上昇した」

     

    中国には、始皇帝時代から経済倫理が存在しない。商工業を弾圧した結果、商工業のルールは無用であったからだ。現代に至るまで、「暴利謀略」が中国商法のトレードマークである。歴史を見れば、中国を交渉の相手とするときは、同盟の力による対抗手段を備えるしかない。哀しいかな、これが歴史の教える現実である。一国で素手のまま立ち向かえば、返り血を浴びる。韓国は、まさにそのケースである。

     

     

     

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    韓国銀行(中央銀行)は、自国経済の脆弱性を熟知しているので、パンデミック下では他国よりも一歩も二歩も早く利上げに動いている。これまで二度の通貨危機で、韓国経済は大きく揺さぶられた経験があるからだ。

     

    昨年の株価高騰と不動産価格暴騰は、韓国経済の脆弱性を熟知している若者達が、一斉に仕掛けた短期的利益確保の刹那的行動であった。それとも知らず、外部のエコノミストは、韓国経済が日本を抜くと言い出す始末だ。韓国銀行は、こういう「韓国礼賛」を苦々しく思っていたであろう。

     

    『ハンギョレ新聞』(1月15日付)は、「韓国銀行、政策金利を1.25%に引き上げ コロナ以前の水準に戻る」と題する記事を掲載した。

     

    韓国で政策金利が新型コロナウイルス禍以前の水準である1.25%まで引き上げられた。 

     

    (1)「中央銀行の韓国銀行(韓銀)は14日、金融通貨委員会を開き、現行の年1.00%の基準金利を0.25ポイント引き上げた。韓銀は新型コロナの景気ショックの衝撃を補うため、2020年5月に過去最低の0.50%にまで金利を引き下げたが、昨年8月からこれを正常化し始めた。韓銀が同日までに0.25ポイントずつ3回引き上げたことで、政策金利は年1.25%となった。コロナ禍発生前の2019年10月(1.25%)水準に戻ったということだ」

     

    韓国は、なぜこれほど早く利上げに踏み切っているか。韓国経済のバブル的体質を警戒している結果である。韓国で唯一、韓国経済の将来を懸念しているのは、この中央銀行しかないのだ。最後のストッパー役である。これまでも、折りに触れて株価と不動産価格の暴騰に警戒感を示してきた。

     

    総合株価指数(KOSPI)は、2020年11月1日(安値)から21年6月27日(高値)まで、45.65%もの値上りをした。政策金利が、0.5%にまで引下げられた結果である。だが、その後の金利引上げによって、前記の高値から22年1月14日までに11.7%の下落になった。利上げが、韓国株価を引下げている。これからも、政策金利は引き上げられる見通しである。株価は下落の運命である。

     

    不動産価格は、株価以上の値上りとなった。まさに,暴騰である。韓国有数の経済市民団体の一つである経済正義実践市民連合(経実連)によると、朴槿恵政権時(2013年2月~2017年3月)の不動産価格の上昇率は4年間で7.6%、李明博政権時(2008年2月~2013年2月)は5年間で2%だった。  文大統領の就任からの4年間で、ソウルは93%も上昇したと明らかにしている。不動産政策の失敗と低金利の結果によるものだ。上がった物価は、正常化すれば下落するもの。不動産暴落は目前に来ている。

     


    (2)「韓銀は、景気、物価、金融不均衡、主要国の通貨政策の転換などを考慮し、追加の政策金利引き上げに踏み切った。韓銀は、韓国経済がオミクロン変異株発生にもかかわらず回復を続けていると判断している。韓銀は昨年11月の経済見通し報告書で、今年の韓国経済は年間3%成長すると予想した。一方、消費者物価上昇率は韓銀の安定目標である2.0%を上回り、高い上昇を続けている。韓銀の立場としては、追加の政策金利引き上げを通じて物価がさらに高騰する可能性を食い止めなければならない」

     

    韓銀が、最も恐れているのは資産価格高騰後に襲う急落である。行き過ぎて上昇した資産価格は、必ず急落するだけに、早く利上げしてバブル熱を冷まさせる狙いが込められている。

     

    文政権の不動産政策は、供給を制限するという真逆のことを行なった。不動産対策は、実に20回余も行なわれて失敗した。政策の素人集団であったのだ。

     


    (3)「韓銀は、家計融資の増加傾向は多少鈍化しているものの、いまも続く負債と資産市場の過熱を沈静化させなければならないとみている。さらに韓銀は、米連邦準備制度(FED)の政策金利引き上げや量的緊縮が速まっていることに対しても備えなければならない。韓国の金利より米国の金利が高くなれば、収益を追って国内に投資された外国人投資家の資金が流出する可能性があり、この過程で急激なウォン安ドル高などの金融市場の混乱が発生する恐れがある」

     

    韓国は、過去2回も通貨危機に襲われている。ウォン相場の急落である。現状は、1ドル=1200ウォンを割込んだ後、辛うじて1100ウォン台へ踏みとどまるギリギリの線にある。いつ、レッドラインを大きく割込むか分らないだけに、政策金利の引上げを急いでいる。

     


    (4)「従って、韓銀は今後政策金利をさらに引き上げる可能性が高い。ただ、以前より引き上げは減速する見通しだ。韓銀がコロナ以前の水準にまで政策金利を正常化させるという課題を達成したからだ。また、韓銀のイ・ジュヨル総裁の任期も3月31日に終わる。次期大統領選挙とあいまって、後任総裁の任命が遅れる可能性もある。市場では、追加の引き上げが続いて最終的な政策金利が1.50~2.00%に達するとの推測が出ている

     

    市場では、政策金利が1.50~2.00%まで引き上げられるとの予想も出ている。2015年当時の水準に戻る計算だ。当時の総合株価指数は、ほぼ2000ポイントで推移していた。現在の2921ポイント(1月14日現在)から見ると、ざっと32%もの下落予想である。韓国企業の収益が好転している訳でないから、相当な株価下落が予想される。

     

    韓国は、若者がバブル期待で株式投資に手を染めただけに、大きな損失に見舞われる恐れが出ている。これまでも、この種の警告は出されてきたが、無視されてきたのである。

     

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    人口270万人のリトアニア(バルト三国の一つ)が、巨像の中国へ堂々と立ち向かっている。リトアニアは、長いことロシアの支配下で苦しんできた歴史を繰り返すまいと、共産主義への警戒心が根強い。現在、中国と台湾の呼称をめぐって紛争状態になっている。外交機関名を「台湾代表部」にしたことで、中国がお馴染みの経済制裁を課しているのだ。

     

    リトアニアは、これに一歩も引かない構えである。一段と台湾との関係を深めている。台湾は、リトアニアへ10億ドルの基金を設けて、半導体工場設置へ動いているのだ。EU(欧州連合)も、リトアニアを支援する立場を明らかにした。台湾の半導体事業を、EU全体へ広く誘致したいという狙いが透けて見えるのである。

     


    『朝鮮日報』(1月15日付)は、「小国リトアニアに学ぶ中国の扱い方」と題するコラムを掲載した。筆者は、崔有植(チェ・ユシク)東北アジア研究所長である。

     

    米国で昨年バイデン政権が発足してから、欧州と中国の関係は以前とは異なり悪化の一途です。その先鋒に立つ国が、すなわちバルト海の小国リトアニアです。

     

    (1)「リトアニアでは2020年10月の総選挙によって自由・保守連立政権が発足し、これにより中国との関係が悪化し始めました。中国は中欧と東欧で一帯一路政策を推し進めるため、中国と中欧・東欧・バルカン諸国17カ国による経済協力首脳会議「17プラス1」に力を入れてきましたが、リトアニアは昨年5月にここからの離脱を宣言し、中国への批判を強めました。「中国からの投資は受けない」ということです」

     

    「17プラス1」は、中国の一帯一路政策の一端を担っているが、肝心の投資がなく、中国マネーへの期待は急速に萎んでいる。リトアニアを含め6ヵ国が、「脱中国」の動きをしている。中国は、これを防ぐ目的でリトアニアへ辛く当っていると見られる。

     

    (2)「昨年7月には首都ビリニュスに台湾代表部の設置を認めると発表しました。9月にはリトアニア国防省次官が中国のシャオミやファーウェイのスマホについて「セキュリティー上の問題がある」と直接指摘し「中国スマホは購入せず、すでに購入したなら捨てなさい」と国民に呼び掛けました。11月には中国の反対を押し切り台湾代表部が設置されました」

     

    リトアニアが、台湾との関係強化に努めているのは、台湾が中国の圧力で孤立させられていることへの反発=民主主義防衛という正義論が働いている。ただ、それだけではない。リトアニアの工業水準が高く、台湾との交流強化が利益になるという計算もあって当然だ。

     

    (3)「中国では両国の外交関係を大使級から代理大使級に格下げし、輸出入電算網の輸入対象国リストからリトアニアを排除するなど大規模な報復に乗り出しています。リトアニアに向かう貨物列車の運行も中断しました。しかしリトアニアは全く動じません。「中国の制裁は栄光であり、われわれが正しいことを確実に示している」という雰囲気だそうです。ある西側メディアは「経済的な損益の計算よりも民主主義と人権、国際社会のルールなどを重視するリトアニア式の価値観外交だ」と分析しています」

     

    下線部は、韓国の文政権へ聞かせてやりたい話だ。文大統領の「十八番」である人権・公正は、中国や北朝鮮に対しては「死語」になっている。もっぱら使われるのは、「反日宣伝」の時だけである。

     

    リトアニアは、「価値外交」を高く掲げており、米国と一体化外交を目指している。ここでも、韓国とは大きく異なっている。文大統領の価値外交は、「中朝」に向けられている。同盟国の米国へ背を向けて、中朝へ傾斜する不思議な政権である。

     

    (4)「リトアニアは欧州連合(EU)を中心に中国に対抗しています。中国の制裁を「WTO(世界貿易機関)のルールに反する不当な脅迫」と見なし、「EU加盟27カ国が結束して対抗すべきだ」と世論戦を仕掛けています。EUは第三国から不当な経済制裁を受けた加盟国を保護する手段を作るための協議を始めることにしました。リトアニアが反中の先頭に立つことを自認する背景には、この国の歴史的経験があります。近代以降はずっとロシア帝国の支配を受け、第2次大戦直前にはソ連に併合されましたが、旧ソ連の崩壊によって独立しました。長い間続いた血の支配により大国の横暴や共産党による強圧的な統治に対する反感は非常に強いそうです」

     

    EUでは、フランスが議長国であることからフランス外相が、中国への対抗策をまとめると発表している。リトアニアは、全体主義色を強めるロシアやベラルーシと国境を接する。それだけに、地政学的な危機感が強く、ロシアと気脈を通じる中国への警戒感は、韓国にもあって当然なはずだ。韓国は、逆に米国より中朝へ接近して地政学的危機感はなさそう。

     


    (5)「リトアニアは過去に支配を受けたロシア、独裁国家のベラルーシなどと国境を接しており、常に安全保障上の脅威を受けています。そのため2004年に北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、NATO軍の駐留も認めています。 反中外交を進める最も大きな理由も、ロシアをけん制するには米国の力が必要になるからです。中国と熾烈な体制競争を繰り広げる米国を後押しすることで、米国がリトアニアに継続して関心を持ち続けるよう仕向ける戦略ということです。リトアニアは数年前に大統領自ら米国に米軍の常時駐留とTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を要求しています」

     

    リトアニアは、NATOへ加盟している。米国へTHAAD配備を要請するほどである。ここでも,文政権と大きく異なる。中国へTHAADを増設しないと約束しているのだ。韓国は、米韓同盟に安住しており、米国を踏みつけ中朝へ接近する外交政策が、いつまで続くはずもあるまい。

     


    (6)「経済的な理由もあります。リトアニアは1人当たりの国内総生産(GDP)が2万ドル前後(注:正しくは3万8700ドル=2019年)に達する中東欧でも代表的なIT(情報技術)強国です。世界的な半導体企業を持つ台湾と協力することが経済的にも実利が大きいと判断したようです」

     

    リトアニアの国土面積は、日本の九州・四国・山口・島根を合計した程度である。一人当たり名目GDPから見て、農業国でないことは明らかで工業化レベルが高い。リトアニアが、半導体生産国になれば、他国へも伝播して「脱中国」の動きが強まるであろう。

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