勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    韓国は、文政権5年間の不動産政策の失敗で金融不安を抱えている。文政権下で、ソウルの住宅価格は8割も急騰したが、原因は不動産政策の失敗によるものだ。住宅需要を抑え込むために25回も政策を発動した。一方で、住宅供給を増やさないという片手落ち政策でことごとく失敗した。その間、コロナ禍救済目的で利下げしたので「火に油を注ぐ」結果になったのだ。

     

    今や、世界的な高金利時代を迎えて、韓国もウォン相場下落防止で利上げに踏み切っている。これが、住宅価格を暴落させている。同時に、多額の住宅ローンを抱える家計債務が、高金利で苦しみ延滞危機に見舞われているのだ。家計債務の不良債権化が、金融機関経営に波及すれば、韓国が金融危機に陥るのは不可避である。現在、その危機に直面しているというのである。

     

    『中央日報』(5月4日付)は、「韓国の金融システム最大のリスク要因 不動産市場沈滞と家計負債」と題する記事を掲載した。

     

    内外の金融・経済専門家は現在の韓国の金融システムの最大リスク要因として高い家計負債水準と不動産市場沈滞を挙げた。韓国銀行は3日、こうした内容を盛り込んだ「2023年上半期システムリスクサーベイ」の結果を発表した。先月5~17日に進められた上半期のアンケート調査には、国内金融機関の経営戦略・リスク担当者、株式・債券・外国為替・派生商品運用とリサーチ担当者、金融・経済関連協会と研究所スタッフ、大学教授、海外金融機関の韓国投資担当者ら76人が答えた。

    (1)「韓国銀行は2012年から年2回、内外の金融・経済専門家を対象に韓国の金融システムの主要リスク要因を調査している。回答者が金融システムのリスク要因として最も多く挙げたのは18.4%に上った。「企業業況と資金調達環境悪化にともなう不良化リスクの増加」が13.2%、「国内金融・外国為替市場の変動性拡大」が10.5%、「金融機関の貸付不良化と偶発債務の現実化、大規模資金引き出しの可能性」が10.5%)、「経常収支赤字持続」が7.9%などとなった」

     

    韓国では、金融システム不安の最大要因として「不動産市場沈滞」を上げている。不動産ミニ・バブルの崩壊が理由である。これは、家計債務急増と結びついており、住宅購入後の金利急騰が負担を大きくしている。同時に、韓国独特の賃貸住宅制度「チョンセ」が破綻しており、韓国は大きな渦巻きに飲み込まれている。

     

    (2)「重要度と関係なく回答者が選択した5つの主要リスク要因を頻度基準で集計した結果、対内要因としては「家計の高い負債水準と償還負担増加」が53.9%、「不動産市場沈滞」が48.7%、「金融機関の貸付不健全化と偶発債務の現実化、大規模資金引き出しの可能性」が43.4%などとなった」

     

    金融リスクの主要要因として、家計負債の償還負担と不動産市場沈滞が上がっている。いずれも、金利急騰が原因である。家計債務の返済が滞れば、住宅を手放さなければならない。だが、その住宅価格が急落しているので返済は不可能になる。こういう悪循環の最後の行き着く場所が、資金を貸付けた金融機関の不良債権化である。

     

    (3)「不動産市場沈滞」は相対的に発生の可能性と金融システムに及ぼす影響力がいずれも大きい要因と評価された。単純回答数基準で昨年11月に続き今回の調査でも「家計負債リスク」が最も高い回答率を示し、「不動産市場沈滞」の回答率は36.1%から48.7%に上昇し主要リスク要因に浮上した」

     

    韓国は、家計債務が対GDP比で105%にもなり、OECD(経済協力開発機構)でワースワンである。日本は60%と大差である。韓国家計が「借金好き」な背景には、生活が派手好みであること。見栄を張って他人に負けまいとする「家計心理」が強く働いていることだ。これは、民族特性であるので矯正は困難である。これからも、続くであろう。

     

    (4)「金融システム危機を招く衝撃が1年以内の短期に発生する可能性が「非常に高い」または「高い」と答えた割合は昨年11月の58.3%で今年4月には36.8%まで下落したのに対し、「低い」または「非常に低い」は5.6%から27.7%に上昇した。1~3年の中期的に衝撃が現れる可能性に対しても「非常に高い」または「高い」は40.3%から34.2%に下落したが、「低い」または「非常に低い」は15.3%から27.6%に上昇した」

     

    金融システム不安は続いているが、危険度は若干の減少になっている。ただ、要警戒は続く。

     

    (5)「韓国金融システムの安定性に対する今後3年間の信頼度に対し「非常に高い」または「高い」と答えた割合は昨年11月の36.1%から4月は42.0%に上昇した。今後脆弱性が最も浮上すると判断される金融業としては、回答者の大部分が貯蓄銀行と相互金融、中小証券会社、キャピタル会社など非銀行業を指摘した。特に不動産プロジェクトファイナンス(PF)不良が脆弱要因になると予想した」

     

    韓国の脆弱な金融構造としては、ノンバンクが上がっている。具体的には、貯蓄銀行と相互金融、中小証券会社、キャピタル会社などだ。特に不動産プロジェクトファイナンス(PF)が、危険視されている。PFという長期ファイナンスが、ノンバンクという不安定な金融機関の手で行われていること自体、不謹慎な話と見られる。

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    韓国左派は、礼儀を忘れた振る舞いをしている。韓国大統領は、国家元首であるにも関わらず、左派メディアに登場した寄稿において、「あの男」呼ばわりされている。韓国政治の左右対立がここまで深い溝をつくっていることに唖然とするほどだ。日本に対しても、平然と「戦犯国」と呼んでいるのだから、自称「道徳の国」では、これが普通の現象であろう。

     

    『ハンギョレ新聞』(5月3日付)は、「尹大統領の自由に欠けているもの」と題する寄稿を掲載した。筆者は、イ・ジンスン財団法人ワグル理事長である。

     

    あの男が帰ってきた。今回は一寸の「恥」をかくこともなく、足取りも堂々と、がい旋した将軍のように帰還した。訪米期間中にジョー・バイデン大統領と5回も対面会談を行い、「手厚い歓待」を受けたという美談は、ホワイトハウスの晩さん会場で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「アメリカン・パイ」熱唱に200人あまりの来賓が歓呼と起立拍手を送ったという部分で「感動」の頂点に達する。帰国直後、大統領室は「米国から過去最高の国賓晩さんという評価を受けた」と述べつつ、今回の訪米の成果を列挙した報道資料を発表した。

     

    (1)「バイデン大統領が「私の友人」と呼び、尹大統領の好みを事前に把握して野球の記念品やゼロコーラまで準備してくれたのだから、待遇が変化したと感じるだけのことはある。だが、ホワイトハウスの細心の儀典と配慮は、韓国大統領室が誇るべきことなのだろうか。外交的無能のせいで大統領が国際的にのけ者扱いされるのは国民にとっても恥だが、外交の相手国から最高のもてなしを受けたからといって、それは手放しに喜ぶべきことなのだろうか。その歓待は国民に利益として戻ってくるのだろうか。

     

    韓国左派は、リベラリズムとはほど遠く、世界的にも独特の存在である。1980年代後半に起こった民族主義で革命的学生運動を母体にしていることだ。南北統一を最高目標にし、日米はそれを妨害する勢力として位置づけている。文在寅・前大統領がその象徴的存在である。左派勢力から見れば、尹大統領が米国で歓迎されたことは我慢ならいことであろう。

     

    (2)「国家安保室が、米中央情報局に盗聴されていたという疑惑を先頭に立ってごまかし、慎重で精巧な外交戦略が必要なウクライナと台湾の問題に関しても、豪快な突撃隊長よろしく米国の望む通りに対応しているのだから、米国が歓待しない理由はない。その対価として得てきた「ワシントン宣言」は実体が曖昧で、インフレ抑制法(IRA)、半導体法などにおける韓国企業に対する障壁をどのように低くするかも具体的に協議はなされていない。時と場所をわきまえずアッパーカット・パフォーマンスをするように書き殴った大統領の海外白紙手形が、どのように帰ってくるか心配になってくる」

     

    左派は、ロシアのウクライナ侵攻が台湾侵攻や朝鮮戦争再燃のリスクと繋がることを想像もできないナイーブな集団である。だから、口を極めて尹大統領を批判して満足しているのだろう。ここまで、無邪気に振る舞っているのを見ると、韓国左派はいずれ消える運命にある。若い人たちからの支持が、得られなくなるというのが理由だ。

     

    (3)「もうひとつ懸念されるのは、今回の訪米が尹大統領に自らの政治哲学と路線に対するなお一層の確固たる自負を抱かせたのではないか、ということだ。すでに大統領就任式から示していた「自由の戦士」として自身を位置づける戦略は、今回の訪米でも際立つ。米議会での演説では自由を46回叫んでおり、わずか19分あまりのハーバード大学での演説では自由が82回も登場する。大統領室は「自由民主主義、法治、人権などを守る『価値同盟』としての役割を再確認した」と主張するが、米国建国の最重要価値である自由が、彼の言う自由と同じだとは考えにくい

     

    下線部は、米国の主張する自由と尹大統領の支持する自由が同一概念であるから、米議会でもスタンディンオベーションを数十回も受けた理由だ。ほかに、そうする理由があるだろうか。

     

    (4)「米国議会での演説とハーバード大学での演説で尹大統領は、「自由と民主主義を脅かし否定しつつも、あたかも自分たちが民主主義運動家、人権活動家であるかのように正体を隠し、偽装する」「全体主義勢力」に抗して「力を合わせて勇敢に戦わなければならない」と自身の持論を再び明らかにした。歓呼と起立拍手に酔った大統領がこのことをもって、自らの統治観が国際的に認められ支持されたのだと過信するのではないかと心配だ」

     

    尹氏が発言した、「自由と民主主義を脅かし否定しつつも、あたかも自分たちが民主主義運動家、人権活動家であるかのように正体を隠し、偽装する」は、韓国左派を指しているのだ。左派は、自分たちだけが正しく、他は間違っているという韓国朱子学の信仰そのものである。反日もこの延長戦にあるので、際限なく日本へ謝罪を要求してくるのだ。

     

     

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    日本は、かつての半導体先進国としてのプライドに賭けて、最先端システム半導体の国策会社「ラピダス」をスタートさせた。北海道に工場を建設し、25年に試作品、27年から大量生産を開始する計画だ。

     

    韓国の識者は、この動きに注目している。「日本は甘く見る国ではない。最も目を引く変化は半導体領土回復の動きだ。日本は北海道と熊本に半導体工場を建設する。推進の速度と方式、目標はすべて驚くレベルだ。熊本にできる台湾TSMC工場は深夜にも明かりをつけて24時間工事中だ」(『中央日報』4月7日付)と警戒モードである。

     

    『中央日報』(5月3日付)は、「システム半導体クラスター成功するには」と題するコラムを掲載した。筆者は、キム・ヨンソク成均館(ソンギュングァン)大学電子電気工学部教授、半導体工学会副会長である。

     

    韓国政府が3月、民間投資300兆ウォン(約30兆円)で竜仁(ヨンイン)一帯に世界最大規模のシステム半導体クラスターを構築すると発表した。核心は、サムスン電子が投資するシステム半導体クラスターだ。韓国の半導体生態系を設計から前工程・後工程に至るまですべて考慮した政府の案は意味が大きい。

    (1)「このシステム半導体クラスターが成功するには、大きく3つの推進戦略が必要だ。最初に、サムスンが留意すべき事案だ。システム半導体ファウンドリー(注:受託生産)はサービス事業だ。市場である製品(セット)と顧客であるファブレス(注:自社工場を持たない製造業)を常に見なければならない。メモリーとは違う。顧客確保に格別な努力が必要だ。ファブレスのトップランナーである米クアルコムを脅かすほど大きくなった台湾のメディアテックの成功要因を見れば答が得られる。ファウンドリー(TSMC)との密接な協力関係が成功要因だ」

     

    システム(非メモリー)半導体は、受注生産である。メモリー半導体は、汎用品であるから見込み生産である。サムスンは、メモリー半導体主体であるので、受注生産体制に不慣れだ。それ故、ファブレス(注:自社工場を持たない製造業)に動向に気を配るべきである。

     

    日本のラピダスは、経産省・大学・企業・金融機関が総掛かり体制である。ラピダスの株主にはユーザーも名を連ねている。サムスンの悩みは、ラピダスのような体制にないことだ。

    (2)「サムスンは、大量受注を中心に顧客を受け入れたため、未来の潜在顧客であるスタートアップや大学研究室を取り逃した。内外の短期と中長期顧客をともに考慮しなければならない。差別化されたシステムアイデアを見つけてシステム半導体設計に差別点を反映するスタートアップシステム企業や大学研究室を育て、初期から良い協力関係を持たなければならない。少ない量でも製造して彼らとともに発展して成長するという考えを持たなければならない。韓国に優れたファブレスができてこそサムスンのファウンドリー競争力を高めることができる」

     

    日本のラピダスには、研究面で有力なサポート体制を取っている。「日本版NSTC」といわれる「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」を22年設立。内外の研究者を糾合する。この点で、韓国にひけを取らない体制づくりを行っている。

     

    (3)「2番目に、大学が主管しなければならない体系的な人材養成だ。人材は半導体事業を成功させるためにとても重要で至急だ。人材不足がシステム半導体クラスターの競争力確保に障害になりかねない。韓国は2000年代初めから発生した理工系離れ現象で優秀学生の工学部進学が減って20年以上になる。優秀な学生が半導体分野に多く来られる誘引策も必要だ。人材養成において重要なのは量より質だ。企業の要求事項を十分に反映しなければならない。大学は実務型半導体人材を育てなければならない。また、設計・前工程・後工程(パッケージング)分野をすべて考慮しなければならない。したがって電子工学、ソフトウエア、物理学、化学、新素材、産業工学など関連した多くの専攻分野の学科がともに努力しなければならない」

     

    日本は、人材育成に努力する。「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」が中心となり、東大や東京工業大などの学生を教育する。毎年、数十人程度の学生や研究者を選び、専用の教育プログラムを受講できるようにする。23年度から開始する。通信事業者や半導体製造業者らを講師とし、半導体の製造過程で必要な知識や技術を実践的に指導するもの。工場が立地する北海道も、独自に人材育成の計画を立てている。

     

    (4)「3番目に、政府は用水・電気などインフラを必ず解決しなければならない。SKハイニックスが2019年に120兆ウォンの投資を発表したが、用水施設構築と関連し驪州市(ヨジュシ)の許認可協議が解決できなかった。結局、昨年11月に解決し2027年に工場が稼動する見通しだ。半導体は速度戦であることを知らなければならない」

    ラピダスは、北海道が誘致したので全面的な協力体制である。韓国では、「反企業主義」がはびこっており、半導体工場建設に非協力である。

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    韓国は、世界がすべて自国中心に回っていると錯覚している。岸田首相の支持率が、50%を上回ったのは、韓国の大統領と握手した結果という記事が出てきた。この感覚が、韓国の国際的認識を誤らせているのであろう。

     

    韓国のチョ・テヨン(趙太庸)国家安保室長は5月1日、岸田文雄首相の訪韓と関連して、「これからは韓国の利益に役立つことを日本がしなければならない」と強調したほど。岸田首相は現在、G7首脳会談前に、いくつかの国を回って意見の聴取をして議論をしているが、「韓国に来ても、われわれの話を尊重して傾聴するのは無理ではなさそうだ」と発言している。『WOWKOREA』(5月1日付)が報じた。岸田氏が、G7サミット前に各国を訪問しているのは議長国としての儀礼である。韓国は、G7招待国であり、日本の善意で招くのだ。この辺の理解が違っている。

    『中央日報』(5月2日付)は、「尹大統領の手を握って支持率を上げた岸田首相 7~8日に訪韓 歴史への謝罪は」と題する記事を掲載した。

     

    岸田文雄首相が7~8日に韓国を訪問する予定だと1日、明らかにした。岸田首相の5月初めの訪韓についてはメディアなどを通してすでに伝えられたが首相が直接日程を確認したのはこれが初めてだ。NHKなど日本メディアによると、アフリカ・ガーナを訪問中の岸田首相はこの日現地記者団との会見で訪韓日程を公開した。岸田首相は今回の訪韓が実現すれば「首脳間の深い信頼関係を背景に、日韓関係の加速や激変する国際情勢について、腹を割って意見交換する良い機会になる」と期待した。

     

    (1)「今年3月尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が日本を訪問して両国首脳間のいわゆる「シャトル外交」再開を宣言した後、岸田首相の答礼訪問は今月19~21日に開かれる首相7カ国(G7)首脳会議(サミット)以降になると予想されていた。予想よりも早い時期の5月初めに韓国を訪問することに対して岸田首相は「シャトル外交にはずみをつけ、関係改善を加速させたい」という考えを表わした。一部では3月の韓日首脳会談後、政権支持率が50%を突破して国会議員の補欠選挙で自民党が勝利するなど政治的に力を得た岸田首相が韓日関係改善を可視化させるためにより積極的に乗り出したという分析もある」

     

    岸田首相の支持率回復は、ウクライナ訪問である。厳しい状況下で現地を訪問したことへの評価である。韓国の問題ではない。


    (2)「日本メディアは、岸田首相と尹大統領が今回の会談で北朝鮮の核と弾道ミサイル開発に対応するための両国間の協力を集中的に議論すると予想している。尹大統領が4月米国を訪問してバイデン大統領と「ワシントン宣言」を発表して核拡張抑制を議論する「核協力グループ(NCG)」を発足させたことを基盤に核問題に対する韓日、韓日米間の協力方案が具体化するものとみられる」

     

    岸田氏の訪韓目的は、安全保障問題である。日米韓三カ国の結束によって、中朝ロへどう対抗するかという問題だ。合同演習などが議論になるのだろう。

    (3)「関心が集まっているのは、日帝強占期強制徴用被害補償問題に関連して岸田首相が「謝罪と反省」に直接言及するかどうかだ。2日、日本経済新聞は今年1月に韓国政府が強制徴用解決策を発表した後、「韓国内には日本側の明確な謝罪がないという批判も出ている」とし「今回の首脳会談でも韓国の解決策の履行状況を確認したうえで日本の対応が議題にのぼる可能性がある」と伝えた。東京のある外交消息筋は「岸田首相が予想よりもはるかに早い時期に訪韓を決めたところをみると、韓国側に『誠意ある措置』を準備した可能性もある」と期待を示した」

     

    新たな謝罪問題は、あり得ないことだ。米つきバッタのように、韓国の要求のたびに首相が謝罪するのでは、国民が黙っていないだろう。過去をほじくり返して「快感」を覚えるのは、劣等感の裏返しである。早く、こういう「悪弊」から抜け出すべきだ。




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    韓国では、クレジットカードの決済延滞率が上昇し始めている。今年1~3月期には1.19%に跳ね上がった。景気停滞と高金利が災いしているもの。それ以上に、安易にクレジットカードで支払いを済ませていることも影響している。日本のクレジットカード決済の延滞率は、0.64%(2020年12月)である。カード決済では、延滞率が1%以下で正常とされている。韓国は、すでに「非正常」の域へ向かっている。

     

    『中央日報』(5月2日付)は、「韓国、金融圏の延滞率が急上昇 4カ月後がさらに心配」と題する記事を掲載した。

     

    銀行とカード会社など金融会社の延滞率が一斉に上昇している。高金利が続き利子負担が増えた家計と企業の償還余力が落ちたためと解説される。すぐに懸念される水準ではないがコロナ禍の金融支援で隠れていた不良が表面化すれば延滞率が急激に上がる恐れもあるとの懸念が出ている。

     

    (1)「5月1日の金融圏によると、国民銀行、新韓銀行、ハナ銀行、ウリィ銀行の韓国4大銀行の1-3月期延滞率は昨年末と比較していずれも上昇した。新韓銀行とウリィ銀行の延滞率はそれぞれ昨年10-12月期の0.22%から1-3月期には0.28%と0.06ポイント上がった。ハナ銀行は0.2%から0.03ポイント上がった0.23%を記録した。昨年末に0.16%で4大銀行では唯一0.1%台だった国民銀行の延滞率は今年に入って0.2%に上がった」

     

    4大銀行の利子延滞率が、上昇し始めている。大銀行の顧客は、他の金融機関に比べてワンランク上のはずだ。それが、すでに利子の延滞を始めている。韓国経済の停滞感が伝わってくる。

     

    (2)「4大金融持ち株会社系列のカード会社の延滞率も一斉に上がった。国民カードの延滞率は昨年10-12月期の0.92%から今年1-3月期には1.19%に、ハナカードは0.98%から1.14%に上がって1%を超えた。新韓カードは1.04%から1.37%、ウリィカードは1.21%から1.35%と上昇した。貯蓄銀行79社の延滞率も3.4%から5.1%に上がるなど金融圏全業種の延滞率が上がっている」

     

    4大銀行系列のカード会社でも、延滞率が一斉に上がっている。今年1~3月期には、警戒ラインの1%台に乗った。ノンバンクの貯蓄銀行79社の延滞率は、昨年10~12月期の3.4%から今年1~3月期には5.1%に上がっている。韓国の貯蓄銀行は、一般個人や自営業者などを主な対象にしており、銀行よりも緩い貸出条件が延滞率を高めている。

     

    (3)「銀行など金融圏の延滞率は2019年から2021年まで下方傾向だった。4大都市銀行の場合、2019年の延滞率は0.19~0.3%だったが、2021年には0.12~0.2%に下がった。コロナ禍で直撃弾を受けた脆弱階層に対する金融支援の影響が大きかった。だが韓国銀行が昨年の高物価に対応して引き続き利上げを断行し貸出利子負担が大きく増えた。庶民と小商工人などの償還余力が落ち延滞率が上がったと分析される」

     

    4大銀行融資でも最近、延滞率が上昇している。政策金利の急上昇が負担になっている。

     

    (4)「ノンバンクの企業向け貸付延滞率は昨年10-12月期基準で2.24%だった。前四半期の1.81%より0.43ポイント上がった。2016年1-3月期の2.44%から6年9カ月ぶりの高水準だ。高金利に景気不振が続いており今後延滞率は上昇する可能性が大きい。その上コロナ禍関連貸付に対する猶予措置が終了する9月以降に延滞率が急騰するかもしれないとの懸念が出ている。ここに不動産プロジェクトファイナンス(PF)不良懸念、伝貰詐欺住宅競売猶予措置なども今後金融会社の延滞率を引き上げかねない悪材料に挙げられる」

     

    ノンバンクによる企業向け貸付延滞率は、昨年10~12月期で2.24%だ。4大銀行の延滞率は、今年1~3月期で0.28%である。ノンバンクの延滞率が、ざっと10倍という差である。いかに貸付先で優劣があるかを物語っている。

    (5)「ハンファ投資証券のキム・ドハ研究員は「まだ延滞率はコロナ禍前に比べ高くないが、上昇速度が速い点は問題。と今後金融会社の健全性指標に悪影響を与える恐れがある」と説明した。ハナ金融のパク・ジョンム最高財務責任者(CFO)は27日のカンファレンスコールで「金融市場の不安が大きくなり、子会社の延滞率上昇など潜在リスクも拡大した。今年最も重点的に見るのはリスク部門」と話した」

    延滞率は、これから上昇する危険性が高い。韓国経済のアキレス腱になっている。恒例の「金利減免・債務免除」という手段で救済することになるのか。先行きの注目点である。

     

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