勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 韓国経済ニュース時評

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    文政権は、4月の総選挙勝利のために是が非でも選挙前に、習近平国家主席の訪韓実現を目指している。現在、新型コロナウイルスが蔓延する中で、習氏の訪韓実現は絶望的である。肝心の中国「全人代」すら、開催が危ぶまれているほどである。中国にとっての訪韓は、切実な課題でないのだ。

     

    文政権は、盲目的なまでに「3月訪韓実現」をクローズアップさせている。そのために、コロナウイルス対策が生温いと批判されている。韓国が、防疫対策を徹底化するには、中国全域からの入国を禁止すべきとの主張すらされているほどである。

     

    新型コロナウイルスの危険が、現時点で最も高い空港(中国を除く)は香港空港である。だが、数多くの国内外の利用者が行き来する仁川(インチョン)国際空港もそれに匹敵するほど危険なことが分かった。航空便を通した新型コロナの流入を防ぐためには、保健当局による防疫措置のさらなる強化が必要という意味である。

     


    ドイツのロベルト・コッホ研究所・フンボルト大学共同研究チームは、最近このような内容をまとめた報告書「国別・空港別新型コロナ流入危険度」を公開した。
    この研究チームは、ビッグデータを分析して新型コロナ流入危険度を「%」単位で調べたもの。中国以外の空港のうちでは、香港の危険度が0.98%で最も高かった。その次が韓国の仁川(0.71%)だった。仁川空港を通した新型コロナ流入の可能性が、2番目に高いのである。以上は、『中央日報』(2月11日付)が伝えた。

     

    仁川空港が、コロナ流入リスクの高い空港である以上、文政権は入国規制を加えるべきだが見送っている。総選挙意識で規制を遅らせている、と批判されているのである。

     

    『中央日報』(2月11日付)は、「政治屋と選挙至上主義」と題するコラムを掲載した。

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「国民の生命と安全を守ることが国家の存在理由であり政府の基本責務」(4日の国務会議)と述べた。「国民の安全に妥協はあり得ない。先制的予防措置は早いほど良く、過度だと感じるほど強力でなければいけない」(1月30日の新型コロナ対応総合点検会議)とも語った。

     

    (1)「政府の措置は先制的でもなく、過度だと感じるほど強くもない。中国が自ら大々的な都市封鎖、外出禁止令に踏み切った。中国の人口の3割ほどの約4億人が対象だ。我々は震源地である湖北省訪問者の入国だけを禁止した。中国の反応を意識しているのが明白だ。大統領は新型コロナ事態後の経済と外交が心配になるかもしれない。しかしウイルスが恐怖とともに国境を越えてくる今は、中国の反応を気にするよりも国民の安全を最優先にしなければいけない。そうしてこそ政府らしい政府だ」

    中国は、北京・上海・天津・重慶の4大直轄都市の封鎖を行なっている。中国の人口の3割ほどの約4億人が対象である。中国自身が、ここまで徹底的な封じ込めをしている以上、韓国が厳しい措置に出てもなんら不思議はない。

     

    (2)「世間では政府の消極的な対処について「4月の総選挙勝利」という政治的な計算が作用しているという声が出ている。政府が積極的に措置を取らない理由は、中国に嫌われて習近平国家主席の4月の総選挙前の訪韓が消えるのを避けるためということだ。事実なら嘆かわしい。習主席の訪韓を選挙用の好材料にしようという人たちが執権勢力の中にいて、それで政府がためらうのなら、それはペテン師と変わらない。こうした形の「選挙勝利至上主義」が意外にも執権勢力の内部に広がっている状況が表れている」

    新任の駐韓中国大使は、韓国が中国からの入国に対する微温的な規制措置に対してすら、批判する厚かましさを見せている。だが、韓国大統領府は不問に付しているのだ。駐韓米国大使が、韓国への批判的な言動をすれば、大変な騒ぎである。米中に対しては、これほど差別的扱いをしている。その狙いは、習氏の3月中の訪韓実現に違いない。文政権は、中国へ卑屈なまでに低姿勢である。すべてが、「総選挙目当て」なのだ。

    テイカカズラ
       

    習近平国家主席は、神格化させることで一切の批判を封じてきた。その弊害が、今回の新型コロナウイルスの蔓延を招く原因をつくった。習氏は、胡錦濤政権までの「民主化」に向けた部分的な自由への動きをすべて逆転させた。民族主義者を側近に引上げ、「中華の夢」を貪るまでになっていた。その具体的手段が、領土拡張である。世界覇権への夢に嵌り込み、国民生活をないがしろにした落し穴が、新型コロナウイルス事件である。因果応報である。

     

    『中央日報』(2月10日付)は、「文在寅大統領は「習皇帝」の奴隷になってもよいのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の李夏慶(イ・ハギョン)主筆である

     

    中国の習近平国家主席が「ウイルスは悪魔」とし「必ず悪魔との戦争に勝つ」と誓った。武漢で発生した新型コロナウイルスに対処する前近代的な状況認識が表れた。習近平主席はたん白質の塊りにすぎない半生命体のウイルスを「悪魔」と命名することで責任を回避し、人民と遊離した中世の権力の座に隠れてしまった。死闘する武漢の現場にも現れず、民心とは遠い皇帝であることを実証した。2003年のSARS事態当時、防護服を着て現場で指揮した胡錦濤主席とは対照的だ。世界メディアは「習近平主席はどこにいるのか」と問うている。

    (1)「武漢の災難を感知して最初に問題を提起した若い医師は警察に逮捕されて反省文を書かされ、診療中に感染して死亡した。抑圧的な体制が招いた悲劇だ。感染者発生から50日以上が経過してから、習近平主席は初めて総力対応を促す「特別指示」を出した。武漢の疫病は初期対応を誤って地球的な災難になった。2002年のSARS事態も中国は5カ月経過してから発生の事実を認めた。中国人はネット上で「我々を殺すのはコウモリでなく政府が強要した沈黙」と怒りを表している。独裁国家の中国の心理と行動は未熟であり、その費用を全世界が支払っている

    痛烈な中国批判である。習氏は、自らの威厳を守るために言論の自由を圧殺し、そのコストである「新型コロナウイルス感染費用」を、中国国民だけでなく世界中に払わせている。

     


    (2)「中国は世界保健機関(WHO)までも自国の報道官にした。全世界に非常事態を招いたが、事務局長は「中国政府の対処で新型コロナが海外に広がるのを防いだ」と主張した。米国が予算支援を減らす間に資金力でWHOを掌握して生じた笑劇だ。国際機関の政治的中立性までも揺さぶった中国の貪欲は全人類に毒になるだろう」

     

    WHO事務局長は、金の力で中国シンパになっている。このため、WHO決定が手遅れになり、中国を庇う「代理人」になっている。この中国の「買収作戦」は、すでに綻びが見えている。

    (3)「中国は自国の70都市以上を封鎖したり住民の移動を制限したりした。にもかかわらず韓国には「中国人を入国禁止にするな」と主張する。我々の生命と安全を軽視しながら「韓国は運命共同体」という。大使の傲慢な言動は19世紀の朝鮮を属国として扱った袁世凱と似ている。文政権は総選挙前に習近平主席の訪韓を実現させるために低姿勢を見せた。「運命共同体」発言も文大統領が先にした。米国は中国人の入国禁止措置を取り、中国の同盟国である北朝鮮とロシアも早くから国境を閉鎖した。韓国は観光目的の中国人入国禁止措置さえも発表の2時間後に覆した。中国がそれほど怖いのか。自分を無視する相手と運命共同体になるのは奴隷になる道だ」

    中国は、身勝手である。中国では都市封鎖を行いながら、韓国には「中国人を入国禁止にするな」と恥ずかしげもなく言ってくる。その常識を疑うのだ。これも、WHO事務局長に言いくるめてあるからだ。中国4000年の歴史では、こういう謀略など序の口である。

     

    (4)「中国は自らの力が強まれば恩を忘れる。韓国は中国が人民に銃口を向けた天安門事態で孤立した当時、手を差し伸べて国交を結んだ国だ。中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟すると4年後に市場経済の地位を付与した。米国、日本、EUはまだ拒否している。にもかかわらず北朝鮮の核の脅威に対抗してTHAAD(高高度防衛ミサイル)を配備したという理由で経済報復をした。そのような国と運命を共にすることはできない」

    中国人は、受けた恩と仇は永遠に忘れないという。これは、個人レベルの話である。人縁社会では、「恩と仇」が社会を動かすモティベーションになっている。だが、外交戦略の「合従連衡」は、小国を騙す戦術である。秦の始皇帝は、これによって中国統一を果たした。武術の「孫子の兵法」は詭道(きどう)という欺く戦術が多用される。

     

    要するに、中国では個人レベルのモラルが、国家レベルで否定される国である。この動かしがたい事実を忘れると、とんだ目に遭う。儒教思想は、個人レベルのモラルである。国家は、法家思想に基づく厳罰主義である。これが、始皇帝以来の国家統治策である。甘くない国なのだ。

     

    帝政ロシアの流れを継ぐソ連(ロシア)や、中華帝国の後身である中国共産党も、小国を騙して大国になった歴史を持つ。こういう歴史を忘れて、文在寅氏のように中国を信じるのは幼稚なのだ。


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    韓国人の生活行動に大きな変化が見られる。中国の新型コロナウイルス感染を恐れ、外出を控えているためだ。地下鉄乗客は減り、百貨店売り上げが前年比30%減少という「ウイルス不況」に直撃されている。

     

    『朝鮮日報』(2月10日付)は、「中国0%台成長の見通し、韓国デパート売り上げ30%減の非常事態」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「世界的なシンクタンクは今年13月期の中国の経済成長率が0%台に低下するとの見通しを示している。衝撃的だ。最も直撃を受ける国は貿易の25%を中国に依存する韓国だ。過去の新型肺炎(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)の際には成長率が0.20.25ポイント低下した。武漢肺炎による衝撃はそれを上回る見通しだ。昨年ようやく2%台を達成した韓国の成長率が今年は1%台に低下する可能性は排除できない

     

    今回の新型コロナウイルスによる世界全体の経済的損失は、SARS(2003年)の100倍との説が出ている。理由は、中国経済の世界に占める比率が現在、15%に上がっていること。グローバル化の波で人々の行動範囲が拡大して、感染率が上がっていること、などである。中国政府が、ウイルス発症初期対応を誤り隠蔽したこと。WHO(世界保健機関)が、中国政府の圧力で「異常事態宣言」を遅らせたこと、も見逃せない。

     

    今回の感染者激増は、明らかに「人災」である。感染者数が、SARS時よりも格段の増加を見せていることが、それを証明している。韓国市民が、極端に外出を控えているのはMERS(2015年)の時に38人と多数の死者が出た記憶が強い結果であろう。これが、韓国人の生活パターンを変えさせている。個人消費の減少は当然であろう。今年上半期のGDPは、マイナス成長に落込む。

     


    (2)「既に国内消費が凍りつき始めた。量販店や従来型の市場、飲食店、映画館などの複合施設の利用客が急減し、ソウル地下鉄の乗客も15%以上減少した。ロッテ、新世界など百貨店の売り上げは前年同期比で30%減少。全国の映画館における1月の観客数は旧正月が1月だった2017年に比べ28%減少した。特定の中国製部品の供給が止まり、現代・起亜自動車の工場が全面ストップするなど、製造業の生産障害も現実となっている。反企業・反市場政策で経済の活力が低下した状況で、中国発のショックが輸出、消費、生産に全面的に及べば、予想外の状況に陥りかねない」

     

    下線部のように大きな影響が出ている。人々が外出を控えている以上、落込みが大きいのはやむを得ないことだ。韓国人の行動が極端に変化している中に、「感情8割・理性2割」というパターンが顕著に表れている。

     


    (3)「韓国政府は、「新型コロナウイルスで不安になる必要はない」と言う。行き過ぎた不安は合理的とは言えない。個人の衛生は徹底するが、日常生活をそのまま営むことが韓国社会全体にとって好ましい。そのためには政府から不安がってはならない。現在基本中の基本であるマスク問題すら解決できていない。品薄と価格急騰は変わっていない。政府は防疫体制を再チェックすると同時に、経済政策の基調転換で経済主体に希望を与える必要がある」

     

    下線部では、韓国人の行き過ぎた不安心理を指摘している。一つの現象に引っ張られるのは、反日不買で一斉に象徴的な日本製品排斥に動き出す心理と似通っている。その点で興味深いのだ。

     

    ウイルス感染を防ぐには、手洗いを励行すれば効果的と指摘されている。こういう原則を守って「正しく恐れ、合理的に行動する」ことが大事であろう。韓国人の「ウイルス恐怖症」は、家庭でのテレビ視聴率を高めている。

     

    韓国の家庭でこの週末、テレビの視聴時間が伸びたことが分かった。新型コロナウイルスの感染を避けるため、外出を控え、家で過ごした人が多かったようだ。

    視聴率調査会社のTNMSが10日、全国3200世帯を対象にした調査結果を発表した。それによると、9日のテレビ視聴時間は平均10時間35分で、1年前の日曜日(2019年2月10日)に比べ27分長かった。『聯合ニュース』(2月10日付)が報じた。

     

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    韓国は、ストレスに弱い社会のようである。海外から押し寄せる「事件」に対しては、門を固く閉じてしまう習性が見受けられる。朝鮮李朝時代、中国からもろもろの難題を持ち込まれて、難儀をした受難史が、こういうパターンを生んだと思われる。

     

    『レコードチャイナ』(2月7日付)は、「韓国国内の旅行者数、新型肺炎長期化すれば最大40%減も韓国シンクタンク」と題する記事を掲載した。

     

    27日、韓国『KBSワールドラジオ』(2月7日付)の中国語版サイトによると、新型コロナウイルス』感染症の問題が長期化すれば、2015年のMERS(中東呼吸器症候群)事態の時のように、韓国国内の旅行者数が最大40%減少する可能性があるとの見通しが出された。

     

    (1)「韓国忠清南道のシンクタンク、忠南研究院は7日発表した「忠南経済問題報告書」で、MERS事態の統計に基づき、新型コロナウイルス肺炎が地域社会に伝播され、長期化すれば、国内の経済成長率が低下し、観光産業が深刻な打撃を受けると指摘している。韓国観光研究院の国内観光統計によると、146月の国内主要観光地の旅行者数は1989万人だったが、MERSの地域社会への拡散がピークとなった156月の旅行者数は1193万人で、1年前と比べて40%、800万人近く減少した。157月も前年同月比10%減で、8月になってようやく前年の水準を回復した」

     

    MERSの時は、韓国の死者が38人も出た結果、国内旅行に強い影響を与えた。今回の新型コロナウイルスが、終息宣言が出るまでに6ヶ月もかかれば、次のパラグラフで指摘しているように国内旅行者は40%減になるという予想である。

     


    MERSの際、韓国で多数の死者が出たのは、完全に病院側の落ち度である。入院者の病室に排気口がなかったのが原因である。

     

    元々一つだった病室を二つに分割したことで排気口が8103号室のみにしか存在せず、初のMERS感染者が入院していた8104号室には排気口が存在しなかった。当初、韓国防疫当局はWHOのガイドラインに基づき2m以内の密接接触者のみを監視対象としていたが、結果的には8階の入院者に感染が広がったというお粗末な原因である。

     

    (2)「報告書は、新型コロナウイルス肺炎が地域社会に伝播され、多数の死者が発生した場合、MERS事態と同様に、国内旅行者数が急減すると予測している。特に新型コロナウイルスの拡散が6カ月続けば、国内旅行者数が最大40%減少するとみている」

     

    感染者が出ても、多数の死者発生にならなければ、事態は変わってくる。一般の「ウイルス」と同じように死者を出さなければ、雰囲気は随分と変わるであろう。

     

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    韓国の現代自・起亜グループは、中国からの部品供給が杜絶した結果、10日から全工場が操業ストップ状態に追い込まれる。現代自は単独で、すでに7日から休業状態だ。日本は、トヨタを初めとして日産やホンダも正常操業である。この差は、どこから生まれたのか。

     

    日本は、歴史問題で中国と紛争を起こす度に、「チャイナ・プラスワン」を旗印に、中国一辺倒を避けてきた。東南アジアへの強固な進出によって、代替基盤を構築した。危険分散を図ってきたのだ。

     

    これに対して韓国は、「THAAD」(超高高度ミサイル網)設置によって、中国から経済制裁を受けながら、ますます中国への「ご機嫌取り」にのめりこんでいる。こういうアベコベの政策が、今回の中国新型コロナウイルス発症で、日韓自動車産業に大きな差をもたらした。

     

    『朝鮮日報』(2月8日付)は、「『中国オールイン』の現代自動車は稼働中断、多角化のトヨタは正常稼働」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「武漢肺炎のせいで中国製部品供給に支障が生じ、現代自動車と起亜自動車は10日に韓国国内の工場7カ所の稼働を全面中断する。電子装置をつなぐワイヤリングハーネスという部品の供給が途絶え、在庫が尽きたからだ。世界的な供給網を有し、事情がよかったルノー・サムスンも工場の稼働中断を検討している」

     

    現代自・起亜自グループは、10日から一斉休業である。ルノー・サムスンも同様の事情によって、操業中止を検討している。

     

    (2)「韓国国内の自動車生産の80%を占める現代・起亜自が工場を閉鎖したら、およそ8000の協力企業も連鎖的に打撃を受け、その被害は並大抵ではない。中国製部品一つのせいで自動車産業全体がマヒするという、未曽有の事態が起きた」

     

    現代・起亜自グループは、韓国自動車生産の80%を占めている。こういう自動車寡占状態のなかで、操業中止が起これば8000社に及ぶ協力会社は、生産ストップ状態に追い込まれる。韓国経済にとって大きな痛手だ。経済減速を加速させて、今年上半期のマイナス成長を決定的にしている。

     

    (3)「韓国と対照的に、日本のトヨタ自動車は正常に稼働している。一部の中国製部品の調達に支障が生じはしたが、東南アジアや日本国内の協力企業から代替調達することで、大きな支障もなく工場を動かしている。ほかの日本企業もまた、中国に大挙進出していて被害が予想されているが、韓国ほどではない。東南アジアなどに部品供給元を多角化していたおかげだ。特に、2010年の尖閣諸島領有権問題で中国が貿易報復を加えてくると、中国以外の地域に生産拠点を追加建設する「チャイナ・プラスワン」戦略で対中依存度を大きく下引き下げた」

     

    中国は2010年、GDPで日本を抜いてから、外交面で高姿勢に転じてきた。特に、習近平氏が、12年に国家主席に就任以来、「中華再興」の旗印を掲げ日本へ対抗する姿勢を強めている。日本は、「チャイナ・プラスワン」政策によって、脱中国政策を鮮明にしてきた。この点が、韓国と全く異なる点である。日本は、中国に対してなんら臆することなく、日米同盟強化の方向で中国へ対抗している。

     


    (4)「韓国は、2000年代初めの「ニンニク紛争」や17年のTHAAD(高高度防衛ミサイルシステム)報復などを経験しても、対中依存度を減らすどころか、高め続けてきた。リスクへの備えなき「中国オールイン」へと突き進み、武漢肺炎問題でたっぷりとその代償を払っている。自動車だけでなく、産業の大部分と経済全体が対中依存度を過度に高めた。韓国の貿易のうち、4分の1が中国一国を相手に行われている。中国からの輸入額のうち64%は素材・部品で、中国国内で生産に支障が出たら、韓国の工場も手を止めなければならない状況だ。中国の成長率が1ポイント下落したら、韓国の成長率も0.5ポイント落ちる」

     

    韓国は、輸出の25%が中国向けである。これが、対中外交を必要以上に低姿勢にさせている。安全保障面でも、中国に対して「3不政策」という、国権を蹂躙する低姿勢をとっている。中国が、韓国の旧宗主国に当ることから、中韓ともにそれを意識した外交政策である。中国は高姿勢、韓国は低姿勢という不均衡な外交政策である。

     

    日本は有史以来、中国に対して毅然とした姿勢を取っている。日本は、学問的にも中国に対する研究が豊富である。近代中国の研究では、日本の学問的な蓄積が厚い。中国が、どのような対外戦略を取るかは、大方の予測がついている。必ず、領土膨張政策に転じるであろう。日本は、その面で防衛に抜かりがない。米国との同盟を基盤に、インド太平洋戦略を展開しているのはそのためだ。韓国は、中国に対して全くの無防備である。

     

    (5)「中国で、武漢肺炎のような伝染病は今後も発生し得る。構造的に問題を抱えているからだ。また中国は、外交問題を巡り経済で報復することにためらいがない国だ。報復のやり方も手荒で、暴力的だ。こんな中国に対する経済依存度は、今や韓国の主権と安全保障に影響を及ぼすレベルになりつつある。対中依存度を下げることは、切迫した国家的課題だ」。

     

    下線部分は、まさに正鵠を得ている。秦の始皇帝以来、外交政策は「合従連衡」である。軍事政策は、「孫子の兵法」である。中国は、2000年以上も昔の政策から、一歩も出ていないところに進歩の後が見られない。それだけに、対抗策が取りやすい国である。民主国の同盟こそ、中国へ対抗する唯一の効果的な手段である。


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