勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    農林水産省は9月22日、米食品医薬品局(FDA)が東電福島第一原発の事故発生時から続けていた、米や牛肉を含む、日本産食品に対する輸入規制を全面撤廃したと発表した。これによって、原発事故にからむ日本産食品への偏見が消えることになった。

     

    欧州連合(EU)も9月20日、日本産食品の輸入規制を緩和すると発表。これまで、日本産の農産物をEUに輸出するためには、放射性物質検査証明書や産地証明書の発行が必要だったが、10月10日からは検査証書は不要となり、産地証書の発行枚数は規制対象品目のうち7割程度が削減される見通しという。

     

    このように、米欧が大きく動いている反面、韓国は反日を貫いている。先の東京五輪とパラリンピックでも、韓国選手団へ日本食材を使わない料理を提供するなど、「差別」を行った。やむなく日本産を使う場合は、汚染度を調べるという「嫌がらせ」を行っていたのである。

     


    『大紀元』(9月22日付)は、「米FDA、福島産含む輸入規制の全面撤廃 EUも大幅緩和へ」と題する記事を掲載した。

     

    米国はこれまで、県単位で輸入停止措置を講じていたが、これらを撤廃し、22日から輸出可能となる。輸入制限対象は、東北、甲信越、関東地域の14県で生産された合計100種類の農産物に及んでいた。

     

    (1)「福島第一原発の事故以来、日本の農業従事者は国内外の消費者の安心感を回復するために、放射能検査証明書や産地証明書を記載するなどして尽力してきた。一部には風評被害の影響が残るものの、徐々に解消されつつある。米国は第3位の日本産農林水産物および食品の輸出相手国で、2020年の輸出額は1188億円。農林水産省は、米国以外の輸入規制国の解除も目指す。現在もなお、香港や中国など14カ国・地域が輸入規制を行なっている。22日朝、菅首相はツイッターで、4月の日米首脳会談でも、バイデン大統領に直接規制の撤廃を働きかけてきたことを強調し、今回の決定を「大変感慨深く思う」と述べた」

     

    米国は、日本農林水産物の輸出第3位の国である。その米国が、全面的な輸入規制撤廃を発表しことで、今後の輸出増加が期待される。この効果は、他国にも及ぶはず。日本食が、世界的ブームになっていることから、喜ばしいことである。農家出身の菅首相が、いち早く感謝のメールを送ったという。その心情は、痛いほど伝わってくるものがある。

     


    (2)「日本は、農林水産物食品の輸出額を2025年に2兆円、2030年に5兆円に達成する目標を掲げている。菅首相は「引き続き、各国・地域の輸入規制の撤廃に向け、政府一丸となって取り組んでいかねばならない」と意気込みを語った」

     

    かつて、日本の農産物といえば輸入品にどう対抗するかがテーマであった。小泉首相が、日本農産物の輸出目標1000億円を立てたころは、夢物語であった。農協が、日本のTPP加盟反対の急先鋒となり、自民党議員の落選運動を行ったほどだ。全て、時代の変化というのでなく、受け身の日本農業が、こうして前向きに変わったことは特筆に値する。

     

    (3)「農林水産省によると、EUもまた規制を大幅緩和する。EUは20日、日本産食品の輸入規制を緩和すると発表。これまで、日本産の農産物をEUに輸出するためには、放射性物質検査証明書や産地証明書の発行が必要だったが、10月10日からは検査証書は不要となり、産地証書の発行枚数は規制対象品目のうち7割程度が削減される見通し」

     

    日本食がブームになっている背景には、日本人の平均寿命が世界で一、二を争うという長寿国であること。また、日本人の肥満度がOECDの中で最も低い事実が、これを立証している。こうして、日本の食材が世界から注目される理由になっている。

     


    (4)「今回、米国の規制撤廃は、菅首相の訪米直前に発表された。首相は、23日から26日まで訪米し、日米豪印首脳会合(通称クワッド)に臨む。政府は、新型コロナウイルス対策など地域課題を首脳間で議論し、ルールに基づく透明性ある地域構想「自由で開かれたインド太平洋」を推進すると発表している」

     

    米国も、菅首相へ粋な計らいをしてくれた。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、菅氏が首相就任の際、「イチゴ農家の息子が首相へ」という記事を書いている。米国では広く、この事実を知っていたのであろう。 

     

     

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    中国の「戦狼外交」は、相手国を威嚇するが、相当な反感も買っている。これによって、西側諸国は対中投資を減らしているという調査結果が出てきた。米国の対中投資は、むろん激減している。

     

    『大紀元』(9月21日付)は、「米中間、技術投資96%激減 各国でデカップリングにらむ動き加速―米企業調査」と題する記事を掲載した。

     

    米コンサルティング大手の最新調査によると、米中対立の激化で両国間の技術分野の投資は急減した。

     

    (1)「ベイン・アンド・カンパニーは9月20日、最新年度調査報告書を発表した。それによれば、2016~20年まで、米中両国間の全体的な直接投資は620億ドル(約6兆7927億円)から160億ドル(約1兆7530億円)に減少した。この期間中、技術セクターでの投資は96%急減したという。同社の米中投資センターの統計データでは、技術、不動産、医療関連セクターにおける二国間投資の落ち込みは最も激しい。米中両国はそれぞれ国内で大規模な投資を行っている」

     

    2016~20年までの5年間で、米中間での投資のうち技術セクターでは96%減になった。これは、中国にとって新技術習得の機会を失っていることを示している。米中対立は、デカップリングで中国側の実質的損失になったのだ。

     

    (2)「米上院は6月、2500億ドル(約27兆3906億円)規模の「米国イノベーション競争法案」を承認した。この法案では、国内の半導体研究・生産に520億ドル(約5兆6973億円)、全米科学財団に810億ドル(約8兆8746億円)の資金を拠出するなどと定められた。いっぽう、報告書によると、中国当局のテクノロジー分野への年間研究開発費は2020年に3500億ドル(約38兆3469億円)を上回った。今後数年間、人工知能(AI)、半導体、次世代移動通信(5G)ネットワークなどに1兆4000億ドル(約153兆円)を投じる計画だという。「両国の新たな動きから、デカップリング(切り離し)は将来数年間、テクノロジー分野における決定的な特徴となる」という」

     

    米中が、それぞれ国内で半導体やAI投資を行う。デカップリンが前提であるのだ。従来であれば、米国企業は中国において投資したであろう。中国は、この面で明らかに損害を被っている。

     


    (3)「同時に、米中のデカップリングや世界的な半導体不足に伴い、他の主要経済国は経済安全保障と国家安全保障の観点から、技術とサプライチェーンの独立性を強めるために、投資を拡大しているという。韓国は5月、2030年までに世界最大の半導体チップ生産拠点となるために、4500億ドル(約49兆3031億円)の投資計画を発表した。欧州連合(EU)は3月、「デジタル主権のために1500億ドル(約16兆4344億円)の投資を表明した。EUは同計画を通じて、30年までに世界の半導体生産に占める割合を20%に拡大することを目標としている」

     

    韓国は、米国とEUがそれぞれ半導体投資を行っているので、シェア対抗という自衛的な意味から投資を増やしている。これは中国にとって、世界的なシェア低下を意味するもの。不利な事態が進んでいるのだ。

     


    (4)「ベイン・アンド・カンパニーは大紀元宛に送った声明の中で、この状況は「世界各国のハイテク企業に不確実性をもたらした」との見解を示した。同社は、「世界中でデカップリングに備えた投資はかつてない規模とペースで行われている」として、テクノロジー分野の企業は「短期的および長期的な戦略」を常に見直し更新しなければならないと指摘した。報告書は、「中国では多額の投資にも関わらず、主要な製造技術と重要な設備が不足しているため、国内の半導体製造を強化できない」との見方を示した。米国に関して、「最先端の半導体ファウンドリー、設計企業、部品メーカーへのアクセスはほとんどアジアに依存している」との課題を指摘した

     

    下線のような問題が、米中にそれぞれ起こっている。相対的に言えば、米国に有利な展開である。中国は孤軍奮闘するだけで効果は上げられないのだ。米中でカップリングが長期にわたって進めば、中国は孤立して技術的な面で「干乾し」にされる運命であろう。

     


    (5)「同社はまた、米国は中国に対抗するため同盟国との連携強化を図っているとした。「成功すれば、中国への重要技術輸出を制限または阻止することが容易になる」が、EUが米主導の中国対抗同盟に参加するかは不明瞭だという。日本経済新聞は19日、今月24日に開催予定の日本、米国、オーストラリア、インド4カ国首脳会議の経済安全保障に関する共同文書の原案を引用し、4カ国は今後半導体など戦略物資のサプライチェーン構築で協力する計画だと報じた」

     

    下線部は、浅慮極まりない見方である。EUと中国の間は冷却化している。EUが、どう転んでも中国へ協力することなど100%ないからだ。EUは、NATO(北大西洋条約機構)で米軍事力の笠に入っている。この現実を忘れた議論は無益である。

     

    あじさいのたまご
       

    中国の経済政策は、7人の中央政治局常務委員を含む10人程度しか関与していないと言われる。幅広く意見を集めて議論するのではない。少人数で決めているのは、統制経済がもたらすものとはいえ、情報収集に限界を生み大きな判断ミスをもたらしている。

     

    今回のパンデミックによる経済活動の後退は、突然の感染症拡大によるものである。通常の「恐慌」であれば、金利を引下げるなど金融緩和で踏み切って対応する。日米欧などは、この定石に従った。

     

    中国は、これに倣わずに従来の金利水準4.35%(2015年10月以来)を維持した。不動産バブル再燃を恐れたのだ。これは、主要国では突出した「高金利」部類である。また、パンデミックのもたらした「ロックダウン」を長期かつ広範囲に行って、感染者ゼロを目指した。これが現在、中国経済の足腰を徹底的に脆弱化させている。「感染者ゼロ」という政治宣伝を第一にして、党の威信を守ろうとし、結果として大失敗したのである。

     


    中国の李克強首相は、昨年初夏に感染者が激減したことから、中国の風物詩でもある露店の出店を認めた。これによりロックダウンによる庶民の窮迫した暮らしの一助と願った。だが、習氏の一派が、「都市の景観を乱す」として撤去させるチグハグさを見せていた。こうしたパンデミック下の国民の暮らし無視が、現在の中国経済に重大な影響を与えている。

     

    下記の寄稿は直接、中国経済を論じたものでないが、私は中国経済の今後を考える上で大きな示唆が得られると考えて取り上げた。コメントで、その問題点に触れた。

     


    『ハンギョレ新聞』(9月20日付)は、「
    パンデミック経済危機はこれまでの危機とは違う」と題する寄稿を掲載した。筆者は、パク・ポギョン慶煕大学国際大学院教授である。

     

    (1)「既存の経済危機はすべて企業や金融機関、あるいは政府財政の不良化といった経済内部の問題が原因だった。しかし、今回の危機は感染症という経済以外の要因によって発生した未曾有の事態であったため、参考にするに足る過去の事例がなかった。1世紀前、第1次世界大戦の終盤に発生したスペイン風邪の事例はあるものの、戦争の経済的衝撃が大きすぎたため、パンデミックの影響はほとんど注目を浴びなかった」

     

    パンデミックは、戦争と同じで生命の危機に直結する。それだけに、通常の経済恐慌とは質がことなるゆえ、国民全てに関わる恐怖感を取り除く必要があった。

     


    (2)「パンデミックが招いた経済危機は、これまでの危機とどのように異なるのか、今や整理してみる時間となった。まず、パンデミックによる経済危機は、他の経済危機に比べてはるかに鋭いV字型を描いた。最初は極端な封鎖措置により経済がほぼ停止状態に陥り、生産と雇用が急激に落ち込んだ。しかし封鎖は政治的にも経済的にも長くは続かなかった。医療システムが再整備されて移動制限が緩和されると、経済は予想より早い回復を見せた。コロナは変異を繰り返しながら予想より長く続いたものの、経済は予想より早く回復したのだ」

     

    中国は、感染予防で徹底的なパンデミックを行った。市民の暮しを無視した「感染者ゼロ」が、共産党威信確立と認識したのだ。「豚コロナ」の感染予防と同じ感覚である。経済も重視する「ウイズ・コロナ」という欧米の認識が、中国には生まれる政治基盤を持たなかった。共産党の威信確立を最優先したのだ。

     

    (3)「雇用は生産や輸出に比べて回復がはるかに遅かった。経済的衝撃が部門によって非常に不均衡であることも特徴だ。あらゆる危機は不平等を深化させる傾向があるが、パンデミック危機はその程度がよりひどい。物理的接触による感染という感染症の特徴のため、対面業種と非対面業種の違いもはっきりしている。一方の危機が他方には機会となっている。したがって、パンデミック危機に対する政策処方は、他の経済危機に比べて選別的である必要がある

     

    パンデミック危機対応は、ロックダウンという一律封鎖でなく、「一方の危機が他方には機会となる」現実を見据えるべきであった。「人流軽減」目的で飲食店が打撃を受ければ、配達サービスで切り抜けることも可能になる。まさに、「危機が機会」になりうるのだ。中国は、一律ロックダウンで、このチャンスを奪うことになった。

     


    (4)「注目すべき重要な違いは、景気回復に向けた政府の対応の積極性だ。コロナで深刻な景気低迷の兆しが現れたことを受け、米国をはじめとする大半の先進国は大規模な景気刺激策を迅速かつ積極的に実施した。中央銀行は量的緩和を通じて、ある意味で必要以上に豊富な流動性を長期にわたって供給している。政府の財政拡大も前例のないほど果敢だった」

     

    主要国の政策金利水準を見ておきたい。今年7月現在である。

     

    日本(-0.10%)、米国(0.25%)、EU(0%)、英国(0.10%)、カナダ(0.25%)、豪州(0.10%)である。これに対して中国は、4.35%である。政策金利は、潜在成長率と関係するが、パンデミックという緊急事態下では、各国とも同じ状況のはずだ。中国の4.35%では、市民の暮しは成り立たないであろう。

     

    中国は、経済対策として相変わらずのインフラ投資で、高速鉄道建設を行っていた。もはや、人口密度の低い人間の住まないような地域での鉄道工事である。都会では、ロックダウンを行というチグハグさだ。「コロナ外交」と称して、マスクとワクチンの輸出に力を入れたが、低品質で不評を買うだけだった。

     


    (5)「かつてとは異なり、パンデミック危機に過剰なほどの刺激策を打ち出せたのは、当時より政策に余力があったからではない。そのような政策の政治的受容性が高かったからだ。普通の危機の際には危機誘発の主体を戒めるべきだという要求が強く、果敢な景気刺激策は議会の承認を得にくい。しかし、ウイルスは刺激策で利益を上げる対象ではなかったため、大規模な景気刺激策に皆が合意できたのだ」

     

    パンデミックという人命に関わる緊急事態の発生で、先進国は一斉に大規模な景気刺激策を行った。中国は、インフラ投資という方向違いのことに資金を使っていたのだ。

     

    (6)「過度の果敢な需要拡大は、ウイルスが誘発した一部の供給障害と結びついて今やインフレを招いている。かつての経済危機の後には、デフレが心配だったが、今はそれが逆になっている。このようにパンデミック危機は多くの面で普通の経済危機とは異なる。そのため対応も変えなければならない」

     

    先進国は、パンデミックで大規模な需要創出策に出たが、パンデミックによる供給制約も起こり、インフレ問題を招いている。中国は、国民生活に結びつく需要創出を見送ったので、パンデミック・デフレに襲われている。パンデミック後に、主要国はインフレとデフレに分かれている。中国の冒した政策ミスが、潜在成長力を大きく棄捐することは疑いない。

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    中国の習近平国家主席が9月17日、第21回上海協力機構(SCO)会議に画像で参加して、「戯れ言」を発した。米国に向けて、「いかなる外部勢力の説教、内政干渉も受け入れない」と明らかにしたもの。一方で米国に対して、アフガニスタンの再建に責任を持てと王毅外相に発言させている。都合の悪いことは聞かず、資金の掛かることは米国に回すという身勝手さを見せている。

     

    『中央日報』(9月18日付)は、「習主席『外部勢力の説教・内政干渉を拒否』 『AUKUS』創設の米国に向け」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国外務省がこの日に公開した演説によると、習主席はこの席で「我々は我々のシステムに対する自信を強め、他国をあごで動かすように説教するのを決して受け入るべきではない」と述べた。続いて「外部勢力がいかなる口実でも内政に干渉することを決して許容せず、我々の未来と運命を自らの手で確実に統制しなければいけない」とも話した。さらに「国際問題の解決でいわゆる『優越な(力の)地位』から出発したり、覇権と覇道、懲らしめを強行したりしてはならない」と強調した」

     


    内政干渉という言葉は便利なものだ。海外からの批判を一切、遮断できるからだ。だが、普遍的な価値にもとる行為は保護されないのだ。習氏は、その区別ができず世界から批判されている。下線部分は、習氏が南シナ海や東シナ海で行っていることだ。それへの天誅が、民主主義国の同盟体から行われるのは当然のこと。習氏らしくなく、いつになく弱気になっている。

     

    (2)「こうした発言は、米国のバイデン政権が15日(現地時間)、英国・オーストラリアとインド太平洋地域の新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設した直後に出てきたという点で目を引く。SCOは2001年6月に創設され、中国とロシアをはじめ、インド、パキスタン、カザフスタン、ウズベキスタンなどが加盟する政治・経済協議体。イランはその間、準会員資格で参加してきたが、今回の会議で正式会員となった。中国がロシアやイランなど米国の牽制勢力を結集させる状況だ」

     

    インドは、以前の中国との関係が良かったころにSCOへ参加したが、今回は出席していないようだ。当然である。中印国境の紛争で、インド兵20名が中国兵に惨殺されたからだ。中国は、SCOメンバー国すら非情にも襲う国である。

     

    超強気の習氏が、珍しく「AUKUS」の結成に弱気を見せている。豪州が米英の最新鋭原潜で立ち向かってくる姿を想像して、「豪州を虐めすぎた」と後悔していることだろう。後悔先に立たず、だ。

    『ロイター』(9月18日付)は、「米、タリバンに向き合う必要 アフガン再建に責任=上海協力機構首脳」と題する記事を掲載した。

     

    中国とロシアが主導する地域協力組織の上海協力機構(SCO)は17日に開いた首脳会議で、米国に対し、アフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバンに向き合い、同国に対する支援を実施するよう呼び掛けた。同時に、タリバンに対し他の民族出身者も含む内包的な政権を構築するよう訴えた。今回の首脳会議の中心議題はアフガニスタン問題。西側諸国が人道危機の回避に責任を負っているとし、とりわけ米国が役割を果たす必要があるとの考えが示された。

     


    (3)「ロシアのプーチン大統領は、「米国、および北大西洋条約機構(NATO)は、アフガニスタンに長く駐留したことで引き起こされた深刻な結果に直接的な責任を負っている」とし、「再建に関連する費用の大部分は米国とNATO加盟国が負担するべきだ」と述べた。その上で、タリバン暫定政権は薬物や武器の取引で資金を得ようとする恐れがあるとし、米国に対しアフガニスタン中央銀行の資産凍結を解除するよう呼び掛けた。中国の習近平国家主席は、現在の状況を引き起こした「特定の国々」がアフガニスタンの将来的な発展に責任を果たすべきとの考えを示した。ただ、米国を名指しすることはしなかった

     

    習近平氏は、下線部では米国名を伏せている。王毅外相は、米国を名指しでアフガン復興に協力(資金面)を迫っている。アフガンのテロ集団が、新疆ウイグル族救援に向かってくることを極度に警戒している結果だ。米国は、これを見越してアフガン撤退を敢行したもの。安易な協力をするはずがない。アフガンで中国を苦しめる、という戦術に立っているのである。

     


    (4)「各国首脳は同時に、パシュトゥン人を中心に構成されるタリバン暫定政権に懸念を表明。パシュトゥン人はタリバンの主要支持母体だが、アフガニスタンの人口に占める割合は半分以下。パキスタンのカーン首相が、タリバンは全ての民族が参加する内包的な政治機構を樹立する必要があると指摘したほか、プーチン大統領は「暫定政権では他の民族が代表されていないため、内包的と見なすことはできない。取り組みが必要だ」と述べた」

     

    一番気の毒な存在は、アフガンの国民である。人権弾圧の狂信集団が政権を握っているからだ。中国は、そこへ接近して「獲物」を探している。何ともみすぼらしく、恥ずかしい構図である。

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    韓国は、複雑な思いで9月16日(米国時間)に発表された米英が豪州へ原子力潜水艦技術を移転する計画発表を聞いたはずである。韓国も、原潜開発計画を立てており、米国へ内々技術移転の話を持ちかけていたからだ。

     

    米英豪三ヶ国な、「AUKUS」(オーカス)なる名称で軍事面など密接な関係を築くという。また、米国が豪州へ原潜技術の移転を行うのは「特別のケース」としており、韓国が同様な待遇を受ける機会はなさそうである。それだけに、「豪州優遇」が目立つ。その裏には、確固とした米豪関係がある。その点、米韓関係は北朝鮮次第で揺らぎ、さらに中国まで変数が多いのだ。

     

    『朝鮮日報』(9月17日付)は、「中国けん制のため 米英、原子力潜水艦の極秘技術を豪に移転」と題する記事を掲載した。

     

    米国が英国、オーストラリアと共に3カ国の新たな安保協力体「AUKUS」を立ち上げることを15日(現地時間)に正式に発表した。米国、日本、オーストラリア、インドによる4カ国連合体「クアッド(Quad)」に続きまた新たな対中けん制ネットワークが誕生する運びとなった。

     


    (1)「オーストラリア(A)、英国(UK)、米国(US)の頭文字を合わせた名称となったAUKUSは3カ国による初の協力事業として、オーストラリアに「原子力潜水艦艦隊」を立ち上げることにした。米国と英国が全面的に支援を行うという。米国が原子力潜水艦の建造に必要な原子力関連技術を他国に移転するのは、1958年に英国に移転して以来63年ぶりとなる。3カ国首脳はこの日発表した共同声明で「可能な限り早い時期にオーストラリアがこの能力を実戦配備できるようにしたい」との考えを示した。オーストラリアは近くアデレードで原子力潜水艦の建造を開始する予定だ」

     

    「AUKUS」という三ヶ国の名称を付けて、米英豪三ヶ国の結束を固めるというのは、「血は水より濃し」を象徴するようなケースであろう。米国が「とっておき」の原潜技術を豪州へ渡すのは、それなりの結束が必要なはずだ。韓国のように、中国との間で「二股外交」を行う国には絶対に移転するはずがない。

     


    (2)
    「米国がオーストラリアに原子力潜水艦技術の移転という破格の支援を決めたことは、「確実に米国側に立つことの手本を提示した」という意味合いもある韓国政府は昨年9月、青瓦台(韓国大統領府)国家安保室の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第2次長を米国に派遣し「原子力潜水艦の建造に必要な核燃料の供給を米国から受けたい」との考えを伝えたが拒否されたという

     

    下線のように、韓国は昨年9月、米国へ原潜技術の移転を交渉して断られたという。韓国政府はこの事実を隠してきた。現在、韓国が進めている原潜計画では、米国からの技術移転を前提にしているが、米国が拒否した以上、自力開発しか道はなくなった。

     


    (3)「これについてバイデン政権のある幹部はこの日、ホワイトハウス担当の記者団に「この(原子力潜水艦)技術は極度に敏感なものだ。率直に言ってこれ(オーストラリアへの技術移転)は多くの側面で米国における政策の例外だ」と強調した上で「このようなことが今後別の状況で行われるとは予想していない。これはたった1回だけ行われることだ」と述べた。米中間で曖昧な態度をとり続ける韓国が米国から原子力潜水艦技術の移転を受ける望みはなくなったと考えられそうだ」

     

    下線のように、米国が虎の子技術を移転するのは極めて稀なケースとしている。韓国が、米韓一体の外交姿勢を取らず、「経済は中国、安保は米国」という使い分けしている状況では不可能であろう。

     

    『中央日報』(8月29日付)は、「韓国型次期潜水艦は原潜に決定、いまや政治的決断だけが残った」と題する記事を掲載した。

     

    韓国型原子力潜水艦が徐々に姿を現している。今年初めに原潜の作戦要求性能(ROC)が確定した。事業の最大の山場である燃料問題でも進展を見せている。今年が過ぎる前に韓国型原潜関連の公式発表が出てきそうだ。



    (4)「国産原潜を就航させるには、予算、技術、原子炉、核燃料が必要だ。予算と技術は問題にはならない。海軍が自主国防ネットワークに原潜導入検討を依頼した結果、原潜開発に7年が必要で、費用は1隻当たり1兆3000億~1兆5000億ウォンになると出てきた。韓国は張保皐I、張保皐II、張保皐IIIと潜水艦を相次いで建造し、関連技術を蓄積してきた。不足する技術は国内研究で埋め合わせたり海外から導入すれば良い。カギは原潜の心臓である原子炉と原子炉を稼動する核燃料だ。原潜の原子炉は韓国型小型原子炉であるSMARTを修正して使うものとみられる。この原子炉は旧ソ連の原潜の原子炉を基に設計された

     

    韓国は、原潜建艦に興味を持ち続けている。原子炉と核燃料をどのように調達するかでる。

     


    (5)「SMART原子炉は設計図にとどまっており、現在商用化を推進している。ソウル大学原子核工学科のソ・ギュンリョル教授は「SMART原子炉を土台にした韓国型原潜原子炉は4年以内に試運転できる」と話した。一部では米国や英国、フランスのようにすでに原潜を自力で作った国から技術とノウハウを学ぶ必要性が出ている。米国との協力は必須だ。特に原潜原子炉の動力源である核燃料がカギだ。韓米は米国産ウランを20%未満だけで濃縮でき、軍事目的に使用できないようにする内容の原子力協定を結んだ。米国の原潜は90%以上の高濃縮ウランを使う」

     

    韓国技術で原潜原子炉は4年以内に試運転できるという。このメドが立っているならば、米国からの技術導入を待たなくても実現できるはずだ。

     

    (6)「米国の態度は強硬だった。米海軍海上システムコマンドのジェームズ・キャンベル分析官は2019年のある討論会で「米国は韓国が同盟国であっても(原潜)技術を渡さないだろう」と話した。韓国はこれまで米国に旧型原潜を貸与または販売を執拗に要求した。しかし米国は自国の戦略資産である原潜を海外に売った前例がないという理由で拒絶した。ところが米ワシントンの雰囲気は変わっている。北朝鮮が原潜を開発すると明らかにし、中国を牽制するのに必要なため韓国の原潜保有を認めようという世論が米国議会でも出ている」

    韓国は、米国からの技術移転であれば、事故もなく安心して稼働できる。だが、米国は拒否している。韓国への信頼感が足りないのだ。韓国は、原子炉の自主開発が可能ならば、独自の道を進むしか方法はない。

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