勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

    38
       

    文大統領は、現実を直視せず空想を愉しんでいる。本欄はかねてから、「文在寅」とはいかなる人物かと、その表現方法を考えてきた。米紙『ワシントンポスト』は、空想家という形容詞を使ったが、まさにこの言葉がピッタリする。「空想家・文在寅」に韓国国民だけでなく、世界が振り回されているのだ。

     

    『朝鮮日報』(1月21日付)は、米紙 「南北共同五輪誘致構想は絵に描いた餅」 「文大統領はラ・ラ・ランドに住んでいる」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米ワシントンポストは18日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年の辞の記者会見で2032年の五輪南北共同誘致を表明したことを「絵に書いた餅(pie in the sky)」と評した。南北関係、北朝鮮の人権問題、外国人観光客、報道陣の安全問題を考えると現実性を欠くとの分析だ。同紙は、「これほど大規模のイベントを共同で準備するほど韓国と北朝鮮が何年も安定的な関係を維持し、世界のメディアが参加し、数百万人の観衆が自由に競技を楽しむことができるという考えは全く『絵に書いた餅』だとアナリストの多くが語る」と伝えた」

     

    文氏は2032年、今から12年後の五輪南北共同誘致を表明した。現実に起こっている問題の解決よりも、12年先の話でお茶を濁す戦術かも知れない。目前に迫った総選挙対策であることは明白である。米紙『ワシントンポスト』が、絵に描いた餅と酷評したのは当然だ。

     

    (2)「同紙は文大統領の対北朝鮮構想について、「空想家的(visionary)な物から愚かな(foolish)物までに分かれる」とし、「北朝鮮は韓国と対話することを拒否し、軽蔑と侮辱に満ちた公式報道を通じてのみ意思疎通を行っている」と指摘した。同紙は北朝鮮の女子サッカーチームが今年2月、済州島で開かれた東京五輪最終予選に参加せず、昨年10月に平壌で開かれたサッカー・ワールドカップ予選の韓国対北朝鮮戦が無観客・中継なしで行われたことを例に挙げた」

     

    文氏の構想が、「空想家的なものから愚かな物まで」と酷評した。この表現はピッタリである。それにしてもVISIONARYからFOOLISHまでとは、思い切った表現である。それほど現実を無視した案ということであろう。北朝鮮の韓国に対する姿勢は、敵対的になっている。この状況を踏まえれば、いくら12年先の話とは言え、準備段階から躓くことは確実だ。その前に、五輪開催の決定が出るはずがない。

     


    (3)「ヒューマン・ライツ・ウォッチでアジア局副局長を務めるフィル・ロバートソン氏は、「北朝鮮に対する認識に関して、文大統領は『ラ・ラ・ランド』(ファンタジー映画)のような別世界に住んでいる。五輪共同開催提案は現在の政治的現実と完全にかけ離れた太陽政策的楽観主義の上に構築された巨大プロジェクトだ」と評した」

     

    文氏は、北朝鮮に対する認識が現実を無視した別世界であると指摘している。「北朝鮮愛」が暴走しているというべきだろう。この延長線で突然、韓国国民の北朝鮮旅行問題が浮上している。国民の安全性保障という重大問題を検討もせず、総選挙対策での人気取りでやるべきことではない。文氏は、「病膏肓(やまいこうこう)に入る」である。不治の病に陥っているのだ。

     

    北朝鮮への個人旅行問題は突然、降って湧いた問題である。

     

    文在寅大統領が新年記者会見(14日)で「北朝鮮への個別観光」に言及してからわずか6日後の20日、韓国統一部(省に相当)は「北朝鮮個別観光」の三つのシナリオを公表した。

     

    (4)「統一部の当局者はこれらのシナリオについて説明する際、複数回にわたり「想像の翼を広げるとき」「政府の公式的な発表ではなく実務レベルでの検討」という言葉を使った。大統領が年頭から北朝鮮の個人観光をせきたてるため、綿密な検討もないまま時間に追われて出てきた「未完成のシナリオ」であることを認めた形だ。このように統一部が安全対策抜きの個人観光を進めていることについて、識者らは「国民を奥地の探検やサバイバルゲームに行かせようとしている」などと指摘する」(『朝鮮日報』1月21日付)

     


    前記の記事は、次のような急場しのぎの案が考えられるという。

     

    (A)「第三国経由の観光」で、これは北京の北朝鮮大使館や瀋陽の総領事館で北朝鮮ビザを受け、中国の旅行会社が販売する北朝鮮観光ツアーを利用するというものだ。現在、北朝鮮は韓国国民に観光目的のビザを発給していない。そのため北朝鮮が応じなければ実現不可能な「虚妄のシナリオ」にすぎない。

     

    (B)北朝鮮が応じたとしても、国民の安全をどうやって担保するか検討も行われていない。2008年に金剛山観光が中断した理由は、北朝鮮が韓国人観光客を射殺し、これについて韓国政府が再発防止や安全対策を何度も要求したにもかかわらず、北朝鮮がこれらに一切応じなかったからだ。

     

    (C)韓国統一部は、「個人観光は(かつて現代峨山が行っていた)事業形態の金剛山観光とは異なる」としか説明しない。確実な身の安全の保障がないまま個人観光の実現を目指すということだ。

     

    文大統領は、思いつきでこんな危険な旅行を韓国国民に勧めている。国民の生命を守るべき大統領が、総選挙対策で無責任なことを発言したのだ。異常と言うほかない。



    a0960_008532_m
       

    韓国は、4月15日の総選挙を控え死に物狂いで支持率引上げの動きを強めている。国民に北朝鮮観光を進める目的で、法律で禁止されている北朝鮮の観光サイトを開けたからだ。これにより、南北交流を進めようという狙いである。

     

    一方、米朝関係は緊迫してきた。米軍が朝鮮半島周辺へ空母2隻を展開させる事態である。2017年以来のことだ。朝鮮日報は20日、次のように報じている。

     

    在日米軍のシュナイダー司令官は19日、読売新聞とのインタビューで「北朝鮮はこの数カ月間、(軍事)態勢とレトリックを変化させている」「(東北アジアにおける)最も差し迫った安全保障上の挑戦は北朝鮮だ」などと述べた。シュナイダー氏は韓半島で戦争の危機が高まった2017年当時にも言及し「17年には金正恩(キム・ジョンウン)体制が弾道ミサイル開発と実験を繰り返した。それが再開されるかもしれない」と予想した。

     

    韓国は、こういう中で国民に北朝鮮旅行を進める姿勢だが、人質などの不測の事態が懸念され始めている。

     


    『朝鮮日報』(1月20日付)は、「今の米朝関係だと観光客はいつでも人質になり得る」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「米国と北朝鮮の関係が尋常ではない。米国は東太平洋に展開する原子力空母「セオドア・ルーズベルト」を中心とする艦隊を17日から西太平洋に移動させている。日本に拠点を置く原子力空母「ロナルド・レーガン」と共に韓半島周辺海域に配備する予定のようだ。中国をけん制すると同時に「衝撃的な行動」などの言葉で脅迫する北朝鮮に圧力を加えるためだ。韓半島周辺に2隻以上の米空母が集結するのは、北朝鮮が核や大陸間弾道ミサイル(ICBM)による挑発で戦争の危機が高まった2017年以来となる。在日米軍基地には先日から世界で唯一の核探知特殊偵察機も配備された。在日米軍司令官は19日にメディアとのインタビューで「2017年の危機的状況が繰り返されるかもしれない」と述べた」

     

    2017年以来、米海軍が朝鮮半島周辺へ2隻の空母を同時展開する状況になっている。米国が、明らかに北朝鮮に異変が起こっていることをキャッチした結果であろう。

     

    (2)「一方で北朝鮮では外相が李容浩(リ・ヨンホ)氏から李善権(リ・ソングォン)氏に交代したと報じられた。外交官出身の李容浩氏は米国との核交渉専門家だったが、李善権氏は朝鮮人民軍出身で、韓国の大企業トップらを「冷麺が喉を通るのか」などと侮辱した人物だ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長自ら交渉はせず、米国に対抗するシグナルとも考えられる。最近になって北朝鮮は「制裁と核施設を交換するような交渉は二度としない」と主張している。核とミサイルを持った状態で最後までわが道を行くという意味だ」

     

    北朝鮮は、軍事的に強硬策を「演じる」姿勢を見せてきた。米軍が、これを見逃すはずがない。「力には力で対抗する」という論理が、展開され始めている。国民が、北朝鮮を観光旅行するいう雰囲気ではない。

     


    (3)「北朝鮮は「人質」を交渉によく利用する。マレーシア空港で化学物質による殺人を行った工作員を取り返す際には、平壌駐在のマレーシア大使館職員を人質とした。2009年には米国の女性記者二人を豆満江近くから連れ去り、クリントン前大統領を北朝鮮に来させることにも成功している。平壌のあるホテルで宣伝物を持ち去ろうとした米国人大学生ワームビアさんを拘束し、瀕死(ひんし)の状態で送り返したこともあった。今回も緊張が高まると北朝鮮は再び「人質」を探そうとするだろう。米国は北朝鮮を「旅行禁止国」に指定しており、英国やオーストラリアは「旅行自制国」リストに掲載している

     

    米、英、豪などの諸国は、北朝鮮を旅行禁止国ないし自制国に指定している。韓国政府は、そういうリスクのある地域へ旅行を推薦する姿勢は、無責任というほかない。目前に迫った総選挙目当ての政策は、国民に新たな危険を強いるようなものであろう。


     

    a0960_004876_m
       

    文大統領は、臆面もなくお世辞を言う名人であるようだ。これが、米国トランプ大統領と「ケミストリ」(相性)が合わない理由かも知れない。もっとも、トランプ氏は、初対面の人物と会ったとき、旧知のように振る舞うという。その点で、安倍首相もトランプ型で如才ないタイプと聞く。ならば、文氏もトランプ氏と波長が合うはずだが食い違っている。なぜか。文氏には「一物」を持って、表面だけ繕っているのかもしれない。「ディールの天才」と自称するトランプ氏から見れば、文氏は腹を割って話せるタイプでないのだろう。

     

    首脳間のギクシャクは、外交面に表れる。トランプ氏は、本当に韓国(文大統領)が嫌いだという。できれば、韓国へ行きたくないと安倍首相に愚痴っていると報じられている。この「韓国嫌い」が、米韓防衛費負担問題で揉める原因である。米軍の韓国駐留費分担問題で、米国は約50億ドルを請求して大騒ぎだ。一挙に前年の5倍も引上げたのだから、すんなり決まるはずがない。ただ、韓国も考え直す部分があろう。米韓同盟国として、中国へ「色目」を使わないことだ。これが、どれだけ米国の神経を逆なでしているか分からない。

     

    朝鮮戦争で救ってくれた米国をぞんざいに扱い、侵略してきた中国や北朝鮮に神経を使い、丁重に対応している。これは、常識外れである。とりわけ、中国へは最大の敬意を払っている。旧宗主国・中国という思いが消えないのだろう。過去の問題で、日本には謝罪と賠償を求める。中国には、一切の恨み言を言わず最敬礼している。不思議な国である。

     


    『中央日報』(1月19日付)は、「トランプ、『韓国がTHAAD費用100億ドル出さなければ米軍撤収と言及』」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領がミサイル防衛(MD)システム費用100億ドルを韓国が負担すべきと主張し、在韓米軍撤収にまで言及した事実が公開された。『ワシントンポスト』は17日、自社の記者2人が書いた本『非常に安定した天才』に収録された2017年米国防総省ブリーフィングのエピソードを紹介した。


    (1)「報道によると、トランプ大統領は2017年7月20日に米国防総省で行われた内部ブリーフィングで、「韓国がMD費用100億ドルを出すべき」と話した。「われわれの兵士がそこにいる代価を払わせなければならず、われわれは全てを使って金を稼がなければならない」としながらだ。同紙はMDシステムが韓国軍と在韓米軍を北朝鮮の短距離・中距離ミサイルから保護するために考案されたものと説明した。トランプ大統領は韓国に「賃借料を出すべき」と話し、10億ドルを負担しなければ在韓米軍を撤収しようという提案をしたと同紙は伝えた」

     

    トランプ氏は乱暴な言い方をして誤解を受けている。ただ、同盟国のあり方として、米国が大半の駐留経費を払うことは、いつまでも継続できるはずがない。仮に、米国と同盟を結び安全保障が維持され、国土が侵略されないメリットを計算すれば、応分の負担は当然であろう。韓国の場合、文政権になって米国への態度で、「裏表」が目立っている。韓国国防部の上層部は、定期的に中国人民解放軍幹部と面会しているという。こういう隠れてコソコソやっていることが、米国の信頼を裏切っているのだ。

     

    (2)「実際にトランプ大統領は、2017年4月のインタビューで「韓国が高高度防衛ミサイル(THAAD)システム費用を払うのが適切で、その費用は10億ドルになるだろうと韓国に通知した」と明らかにした。しかし当時は曲折の末に米国が費用を負担することで合意案が採択された。一方、当時のブリーフィングはマティス元国防長官、ティラーソン元国務長官、コーン元国家経済委員会(NEC)委員長らが企画した。彼らは第2次世界大戦後に形成された核心同盟関係に関するトランプ大統領の無知に驚きを隠すことができなかったと同紙は伝えた」

     

    下線部分は、これまで指摘されてきた点である。不動産王が米国大統領になったのだから、専門家の目からみれば、「無知」であっただろう。一つ良い点は、文氏が戦争嫌いということだ。なまじ、軍事知識を持っていて、積極的に軍事面で口を出されるのも困ったものだろう。

     


    (3)「マティス元長官はさまざまな資料を動員して米軍が韓半島(朝鮮半島)とアフガニスタン、イラン、イラク、シリアなどでどのような役割をしているのか詳しく説明した。各種チャートとグラフィックが活用されたこのブリーフィングは、トランプ大統領向けの一種の授業だった格好だ。しかしトランプ大統領は授業のような雰囲気にかんしゃくを起こし不平を言い始めたと本は記述した」

     

    トランプ氏は、中国を仮想敵としている。これは、米国の超党派の見解でもあり、トランプ氏が「ディール感覚」で中国と取引するのでないかと危惧されているほどだ。米議会では、トランプ氏が「中国と取引」させない強硬姿勢を見せている。トランプ氏は受け身である。

     

    米国は、「インド太平洋戦略」を策定して、アジアでの中国の膨張抑制に動いている。これは、安倍首相のアイデアに基づくもので、日本外交が世界を俯瞰している例だ。日本は、米国と安全保障政策で共同歩調を取ることはきわめて重要だ。日米が一体化すればするほど、中国は日本を攻撃することのリスクの大きさを自覚する。これが、平和を維持する上に寄与するのだ。戦後の一時期、中立が戦争に巻き込まれない防止策といわれた。だが、最近は中立ほど危険であるという認識が深まっている。安全保障論の進化である。

     

    (4)「合わせてトランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)を無価値だとこき下ろした。彼は「滞納された」という不動産用語を使ったりもした。その上で「あなたたちは受け取れなかった借金がある! あなたたちが事業をしていたなら完全に破産しただろう」と怒ったと同紙は報道した」。

     

    NATOは、米国に依存しっぱなしである。防衛費も対GDP比で低位である。第二次大戦終了後、今年は75年を迎える。米国に依存しすぎるのは、トランプ氏ならずとも怒って当然であろう。安全保障に、「フリーライダー」は許されない。

     

    a0960_006628_m
       

    韓国は、「反日」が一休みしたら今度は、「反米」に火を付け始めた。火付け役は、大統領府、与党「共に民主党」である。米韓同盟という韓国の基幹部分を形成する米国のハリー・ハリス大使が、「ヒゲ」をつけていることから、かつて朝鮮を支配した「朝鮮総督」になぞらえて非難攻撃する低俗さである。

     

    米国メディアでは、「人種差別」に当ると反論するなど、韓国のハリス米国大使への個人攻撃を逆批判している。この「ヒゲ問題」の裏には、4月の総選挙を目前にして選挙を有利に運ぼうという「党利党略」が隠されている。「反日」と言い「反米」と言い、この民族には、真の味方になろうという国をつくろうとしない欠陥があるようだ。

     

    『朝鮮日報』(1月18日付)は、「韓国与党支持者ら、『ひげが日本の巡査みたい』『ハリスを追放せよ』と非難」と題する記事を掲載した。

     

    韓国大統領府と政府、与党「共に民主党」は17日、北朝鮮関連事業について「韓米協力」と「制裁順守」を強調した米国のハリス駐韓大使を集中的に攻撃した。ある与党支持者らはハリス大使のひげについて「日本の巡査だ」と指摘するなど、個人攻撃まで行っている。

     

    ハリス大使に対する一連の批判は共に民主党議員の間から始まった。同党の宋永吉(ソン・ヨンギル)議員は17日朝、あるラジオ番組に出演した際、ハリス大使を「朝鮮総督」とした上で「太平洋艦隊司令官を務めていたので、外交にはあまり慣れていないのでは」と指摘した。その直後には共に民主党の最高委員を務める薛勲(ソル・フン)議員が拡大幹部会議において「ハリス大使は韓国政府の南北関係進展構想に制裁という尺度を適用した。これには強い遺憾の意を表明する」と発言した。

     

    さらに韓国統一部(省に相当、以下同じ)報道官はハリス大使の発言に反論し、午後には韓国大統領府の関係者までハリス大使の発言について「非常に不適切だ」と批判した。わずか1日の間に与党議員、政府関係者、さらに大統領府まで米国大使を集中的に攻撃したのだ。

     


    (1)「韓国大統領府と政府、与党が「ハリス攻撃」に乗り出したことを受け、一部与党支持者らもツイッターなどを通じて露骨な批判を始めた。ツイッターには「ハリスは韓国駐在総督ではない」「大韓民国を植民地と考えるハリスを追放せよ」などの書込みが広まっている。これに先立ち13日には北朝鮮メディア「わが民族同士」がハリス大使を「事実上の現地(韓国)総督」「南朝鮮をただの植民地としかみない態度」などと批判した」

     

    韓国大統領府・政府・与党が結束して、「ハリス大使批判」を始めた。すべて総選挙目当てであることは誰でも気づく。ただの鬱憤晴らしとはいえ、米韓外交に感情問題を持ち込んで後悔するのは韓国である。反日騒ぎと同じ経過を辿るであろう。韓国人の8割は「米国が好き」という世論調査結果が出ている。反米騒ぎは、逆効果になることを忘れている。

     

    (2)「ハリス大使が日系米国人という点を問題視する指摘もあった。与党の支持者などはネットに「ハリスは日王から旭日章を受け取って赴任した」「ひげが日本の巡査みたいだ」などと書き込んだ。ハリス大使は日本人の母と在日米軍兵士だった父との間で日本で生まれた。ニューヨーク・タイムズ紙やガーディアンなど外信各社は「ハリス氏のひげが外交問題として浮上した」と報じた。米CNNは関連記事の中で「ハリス氏は日本人ではなく米国籍だ。彼を日本の血統と呼ぶのは米国であれば間違いなく人種差別とみなされるだろう」と指摘した」

     

    ここでは、「反日」と「反米」を重ね合わせている。ハリス大使が、日系米国人であることが理由である。米国における韓国のイメージは悪くなるだろう。

     


    (3)「韓国大統領府、政府、与党が年頭から反米世論を煽り、北朝鮮関連事業に全力を投入する背景については「4月に予定されている国会議員選挙を意識したもの」との見方もある。現在、与党などは住宅価格の高騰、就業率の低下、景気不振、韓日対立など、国内外におけるほぼ全ての政策において「まともなものが全く見当たらない」との指摘を受けている」

     

    文政権が就任3年目を迎えた今、政策のすべてが失敗している。その焦りが、米大使への個人攻撃という卑劣なことを始めさせたのであろう。それにしても醜い振る舞いである。

     

    (4)「共に民主党の中からも「政権獲得から4年目になっても南北関係に何の成果がない場合、逆風にさらされる恐れがある」と懸念する声もある。そのため与党などは選挙前までに金正恩氏の韓国訪問といったイベントを実現させ、否定的な世論を一気に吹き飛ばしたい考えもあるようだ。金正恩氏の韓国訪問が難しいのであれば、南北離散家族再会や金剛山の個人観光など、選挙に向けた大きな材料を手に入れたい思惑もあるだろう」

     

    与党「共に民主党」は、南北関係改善が唯一の選挙材料になっている。ハリス大使が、南北関係について米国と調整すべきと発言していることに不快感を強めているのは疑いない。こうした的外れな「反米煽動」は、韓国の未来に傷をつける。


    a0960_008565_m
       

    2019年の実質GDP成長率が昨日、発表された。6.1%の伸び率である。18年の成長率6.6%から見れば、大幅な減速だ。2兆元(約32兆円)の減税を行ない辛うじて6%割れを防いだ形である。今年の実質GDP成長率予測は2月に発表されるが、「6%前後」という説が飛び交っている。

     

    15日には、米中が通商協議「第1段階合意」で調印した。これは、貿易戦争の「休戦」でなく「半休線」と呼ばれる通り、知財保護と技術移転の難物が未解決のままである。近く、「第2段階合意」に向けて協議を始めるという。トランプ米大統領は、「第2段階合意」に到達すれば、関税の引上げ分の全面削除を発表した。それまでは、第1~第3弾2500億ドル25%関税が、中国輸出に重くのしかかることに変わりない。ただ、第4弾の関税引き上げ1200億ドルの関税(15%)は7.5%に引下げられた。

     

    中国にとって、「第1段階合意」が貿易面で効果を表わすのは、国内手続きを経るので4月以降とされる。第4弾の1200億ドル7.5%関税が軽減されただけなのだ。中国にとっては、大したメリットになるわけでない。難物の「第2段階合意」に進まない限り、「関税爆弾」から解放されない。米国の強い意志を感じ取るはずだ。

     

    米中貿易戦争は、米国の100%勝利である。その証拠は、次の点である。

     

    (1)「米中両政府は様々な協定を結んできたが、米国側には「中国が約束を破ってきた」との不信感が根強い。このため中国が着実に履行するよう「完全な実効性を持たせた」(トランプ米大統領)。具体的には中国が約束を守らなければ、米国が一方的に罰則を科せる仕組みを導入。違反が疑われる場合は個別に政府間で約90日間協議する。解決しなければ追加関税再発動など「改善を求める措置をとってもよい」と明記した。一方で相手には「報復してはいけない」もしくは「合意から離脱する」と縛りをかけている。米通商代表部(USTR)のウェンディ・カトラー元次席代表代行は「米中が過去に結んだ合意と大きく異なる点だ」と指摘する」(『日本経済新聞』1月17日付)

     


    下線部は、中国にとって屈辱的な条項である。中国が、「国権」に関わるとして昨年5月に、調印寸前で反古にした問題の項目がこれだ。今回は、米国が有無を言わせずに中国へ認めさせた。中国が約束を守らなければ、「米国から一方的に罰則を科せる仕組み」を押しつけられた。また、「中国は報復してはいけない」もしくは「米国が合意から離脱する」と殺し文句がはいっている。つまり、中国は報復関税を掛けられない。米国は、中国が約束違反したならば、関税を復活させると書き込んでいる。中国の「無条件降伏」である。日本の「ポツダム宣言」受諾と同じだ。

     

    米国が100%勝利という私の判断は、中国経済の破綻でもはや抵抗不可能な事態へ追い込まれている結果によるもの。あのメンツの中国が、鼻をへし折られたのも同然の状態で、調印に追い込まれた。習近平氏の間違った判断が、この事態を招いたのである。

     

    中国共産党の機関紙『人民日報』系の新聞で、国家主義的なスタンスで知られる『環球時報』(15日付)の論説記事は、次のように言っている。「中国国民に少し言うべきことがある。第1段階の合意で米国産品の購入を中国が増やすことを理由に『われわれは負けた』と感じてはならない」と呼び掛けた。また、米中間の「貿易に一定の不均衡があった。米国製品購入は中国国民の消費を向上させるニーズを満たすだけでなく2国間関係を強化し、21世紀の正しい方向に両国関係を支える」と指摘した(『ブルームバーグ』1月17日付)。

     

    中国敗戦をカムフラージュした記事だ。中国経済の脆弱性が、これだけはっきりと浮き彫りになった以上、中国は国有企業中心体制を止めて、民営企業中心の市場経済体制に転換しなければ、生き残れないところまで追い詰められている。

     

    『ブルームバーグ』(1月17日付)は、「米中共存への道筋はなお不透明、貿易合意署名も戦端は開かれたばかり」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米中関係が再び険悪化すれば中国と習主席に多大な影響を及ぼす可能性がある。短期的には、両国関係の再度の緊張は既に変調を来している中国経済を悪化させる恐れがあるほか、中国経済の成長に不可欠な技術を獲得する計画は投資規制により阻まれかねない。習主席にとっては、対米関係をうまく保てないと見なされれば、2022年の中国共産党大会での3期目への支持が万全ではなくなる可能性がある

     

    米国は、超党派で中国へ敵対意識で臨んでいる。トランプ大統領は、融和的な姿勢を取れないほど「反中国意識」が充満しているのだ。ここまで米国を怒らせた中国の責任は重い。とりわけ、民族主義の習近平氏が、事態を悪化させた張本人である。中国は、米国へ無条件降伏した以上、「第2段階合意」でも厳しいやり取りがされるだろう。その間に、中国の経済重視派が、米国の要求の正統性を認め、市場経済化に歩調を合わせれば、習近平氏の3選は不可能になろう。習氏にとって、これからの3年間はヤマ場を迎える。習氏の座は、決して安泰でない。


    このページのトップヘ