勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    中国の習近平国家主席は、後代の歴史家にどのように評価されるだろうか。「民族主義者」習近平は、国力を無視して米国へ挑戦して退けられ、急速に国力を消耗したと記されるであろう。現実に、中国が真っ正面から米国にぶつかっても、勝てる相手でないのだ。「速度制限」を大幅に上回って疾走してきた中国が、速度制限にゆとりを持たせて走っている米国に、耐久レースで勝てるはずがない。本欄は、米中関係を本質的にこのように見る。

     

    『日本経済新聞』(8月8日付)は、「米怒らせた中国 外交に変化の芽 」と題する寄稿を掲載した。筆者は、豪ロウイー研究所シニアフェロー リチャード・マクレガー氏である。豪紙『オーストラリアン』を経て、英紙『フィナンシャル・タイムズ』で北京、上海支局長を経験した。

     

    米国をはじめ多くの国々との関係が悪化する中国の指導部は、疑問を抱き始めているだろうか。表面的には、習近平(シー・ジンピン)国家主席らが軌道修正し、野心的な外交目標を後退させている兆候はみえない。

     

    (1)「中国人民解放軍のシンクタンクである中国軍事科学院の周波・名誉フェローは7月27日、香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』に寄稿した。周氏は米国との対立を、中国の「平和的」な発展への「逆風」とみているようだ。ポンペオ米国務長官は723日、演説し、米国は国際秩序を転覆させようとする中国の試みをもはや容認しないという姿勢を示した。中国は周氏のような論調を示し、厳しい対中批判をかわそうとしているようだ。中国の学者らの間には以前から、強引な外交・軍事政策によって米国を挑発していると習氏を批判する声が上がっていた」

     

    中国にとって「不運」なのは、新型コロナウイルスがパンデミックとなって世界に甚大な悪影響を与えたこと。もう一つ、香港に国家安全維持法を導入して「一国二制度」を破棄したことだ。これは、従来の中国イメージを一変させた。「何をするか分らない中国」というイメージを欧州に植え付けたのだ。

     

    欧州は、これまで米国と距離を置いて、中国への「親近感」を持ってきた。それが、パンデミックと香港問題で一変した。米国との距離を縮めて対中共同作戦を取るに至ったのだ。

     

    こういう海外における対中姿勢の変化は、中国国内の「習近平反対派」を勇気づけるであろう。中国経済が悪化すればするほど、「習批判」が高まっても可笑しくはないのだ。

     


    (2)「かつて改革開放にカジを切った鄧小平氏は、爪を隠して力を蓄える「韜光養晦(とうこうようかい)」という対外政策だった。習氏への批判派は、控えめな外交路線を貫くほうが、中国の国益にはるかにかなうと考えているようだ。中国のような大国が低姿勢を保つのは不可能なのかもしれないが、批判派は習氏を名指しせず、鄧氏の路線を持ち出して隠れみのにしようとしているらしい

     

    習氏は、実父と鄧小平の関係が悪かったことから、鄧小平を低評価する悪いクセがある。国家指導者としての器量は、鄧小平が断然、習近平を上回っている。鄧小平が健在であれば、現在のような米中関係になっていなかっただろう。

     

    (3)「中国の外交官らが他国に攻撃的な言動をする「戦狼外交」は、一時期に比べ鳴りをひそめているようだ。中国が新型コロナウイルスの感染拡大の危機から脱しつつあった時期、多くの国から激しい反発を受けたため、外務省の「戦狼」は頭を垂れておとなしくしているとみられる」

     

    「戦狼外交」(注:他国への戦闘的発言)は、世界の反感を買った。中国外交部に根拠のあやふやな「ウソ情報」を流させたところに、習近平氏の狭量さが見て取れる。子どもじみた発言だったのだ。習近平氏が、偉大なる指導者であれば「戦狼外交」などさせるはずがない。自ら、視野の狭い民族主義者であることを証明した。

     


    (4)「中国人民解放軍の戴旭氏は対外強硬派の論客とされるが、最近の寄稿で、中国が米国と比べた自らの弱点を認識して行動することを提唱している。戴氏はトランプ米政権の不安定で一方的な外交、特に貿易政策への不支持が広がっているにもかかわらず、米国と対立する中国の友人が増えるわけではないことに注目する。中国とともに、反米同盟を結成しようと名乗りを上げる国はないと論じた」

     

    パンデミックに巻き込まれている各国が、中国の味方になるはずがない。各国とも、中国へ賠償金を請求したいほどである。中国は、これで大きな借りができた。中国外交の制約条件となったのだ。

     

    (5)「戴氏は、中国が(米国の)ドアをたたき「米国を追い越し、米国に取って代わり、世界一になる」と声高に宣言すべきではないとも警告している。中国が先走っていることを認めているようだ。戴氏は、中国は日本に目を向けるべきだという。日本は中国よりも、他国に追い抜かれそうな米国の不安をよく理解しているとみているのだろう。貿易問題で米国の圧力にさらされている中国の政府高官は近年、米国への対処法について、日本の関係者に助言を求めているようだ」

     

    米中関係が悪化すると、中国は不安になって日本へ接近する。これまでの例が、それを示している。日本に、米国への仲介を頼むためである。ただ、これは日本を利用する、便宜的なものに過ぎない。日本と真の友好関係になろうと考えていないのだ。尖閣諸島への中国の姿勢を見れば、それは明らかである。中国の日本への「ニーハオ」は、つくり笑いに過ぎない。それを忘れると大変な目に遭うだろう。

     


    (6)「日本には貿易摩擦で米国の圧力をかわすために使った手法があるが、中国への重要な助言は「米国を怒らせるな」ということだろう。もちろん日本と中国は異なる。日本は(軍事面などで)米国に保護される立場でもあり、不利な立場に置かれていたといえる。中国にこうした制約はない」

     

    日本は、太平洋戦争で米国を怒らせた代償で原爆を浴びた。米国は、「ヤンキー精神」(開拓者精神)であることを忘れると大変な事態を招くのだ。

     

    (7)「中国は日本よりはるかに大きく、軍はより強大で、政治体制は西側に対する強力な敵愾心に根差している。中国の野心や鉄の規律などが、軌道修正を難しくしている。中国は既に「米国を怒らせてしまった」ため、現状の変更は容易でないだろう。米国だけでなく、歩調を合わせた世界の中国への反発が、当面続くことは確実だ。中国に友好国がなくなる懸念はあっても、各国の反発が、中国の行動に影響を及ぼすかどうか定かではない」

     

    中国は、すでに先進国をすべて敵に回してしまった。今さら、「ごめんなさい」とも言えないであろう。中国を救う道は、習氏が引退することに尽きる。中国が、保護主義を守って世界を敵に回せば、亡国の道へ通じるであろう。

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    中国は、米国へ敵対することが国是となっている。頻繁なサイバー攻撃によって、米国へ年間31兆円もの被害を与えている「夜盗国家」に成り下がっているからだ。その中国企業が、これまで米国へ上場して米国の貯蓄をかすめ取っている、という厳しい目が注がれてきた。ついに、その結論が下されたのだ。

     

    米国での中国上場企業は、米国の証券取引法をクリアできなければ、2022年までに上場廃止というもの。中国政府はこれまで、米国による監査を認めないという「片務的」条項をつけていた。監査による中国の実態把握を忌避してきたと見られる。米国が、この身勝手なルールに鉄槌を加えるものだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月7日付)は、「監査基準未達の中国企業、米が上場廃止も 22年までに」と題する記事を掲載した。

     

    米国から中国企業を締め出す動きが加速している。米財務省などで構成する作業部会は6日、米国に上場する中国企業の監査状況を厳しく検査するようトランプ大統領に提言した。20221月までに基準を満たさなかった場合、上場廃止となるようルールを改正する方針だ。

     

    トランプ大統領は5月下旬、米上場の中国企業に対する調査を指示していた。ムニューシン米財務長官をトップとする作業部会に、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長や米証券取引委員会(SEC)のクレイトン委員長などが加わり、提言内容をまとめた。6日公開された報告書ではSECに対し、上場ルール改定作業を進めるように求めた。中国企業の監査状況の検査は長年の懸案だった。米国では上場企業会計監視委員会(PCAOB)が上場企業の会計監査を担当する監査法人を定期的に検査し、財務諸表の質を担保している。

     


    (1)「米当局の要請にもかかわらず、中国政府は自国監査法人がPCAOBの検査対象となることを拒否してきた。監査法人の持つ中国企業の財務諸表に共産党に関連する内容が含まれ、検査を通じた情報の漏洩を懸念しているとの見方がある」

     

    中国政府は、すべてを秘密のベールで隠してしまう一方、他国では「グローバリズム」を主張するという身勝手な国である。米国資本市場から「追放」されるのは当然である。

     

    (2)「報告書では検査の具体的な手法にも踏み込んだ。PCAOBが中国の監査法人を検査できない場合、共同で作業する別の監査法人に対し、監査関連書類の提出を求めることを視野に入れる。KPMGなど世界展開する4大監査法人グループ(ビッグ4)を念頭に置いた対応とみられる。米政府の動きは米議会における立法作業と呼応している。米上院は5月下旬、中国企業を念頭に米国に上場する外国企業に経営の透明性を求める法案を全会一致で可決した。(海外企業は)外国政府の支配下にないことを証明するよう求めるほか、PCAOBよる監査状況の検査を義務付ける。3年間、検査を拒否した場合は上場廃止とする内容だ。中国企業への監視を強めることでは、トランプ政権と共和党、野党・民主党の足並みはそろう」

     

    中国企業は、中小企業に至るまで企業内に中国共産党支部を強制的に設置されている。これは、国家の支配を受けている証拠である。中国企業は、すべて米国から撤退を余儀なくされるであろう。

     


    (3)「中国側はすでに手を打ち始めている。半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)は19年に米国上場を廃止し、7月に上海のハイテク企業向け市場「科創板」への新規株式公開(IPO)を実現した。米ナスダック市場に上場するゲーム大手のネットイースと、ネット通販大手の京東集団(JDドットコム)は香港市場への重複上場を果たした」

     

    中国企業は、すでに香港市場へ重複上場を余儀なくされている。その香港市場も、今後の米中関係次第ではどうなるか分からない。確実に追い込まれているのだ。

     

    (4)「資本市場の分断は米中双方にとって痛手だ。米投資家は中国の成長企業に投資しにくくなり、高いリターンを得る機会を失いかねない。ウォール街の金融機関は中国企業の資金調達支援で収益を上げていたが、今後は規制リスクを考慮せざるを得なくなる。中国勢は世界で最も投資家層の厚い米国から締め出され、資金調達に支障がでる可能性がある

     

    中国企業の成長期は終わった。これから一段の成長は望めない。中国経済が、低成長路線を歩むからだ。世界の資本市場の米国から追出される痛手は、簡単に挽回できるものではない。米国と敵対することは、こういうペナルティが付くのだ。

    テイカカズラ
       


    米国は721日付で南部テキサス州ヒューストンの中国総領事館に、3日以内の閉鎖を求めた。これは、大使追放よりも厳しい外交措置と言われている。米国は、あえてその厳しい措置によって、中国のスパイ行為へ警告を行なった。

     

    この米国の強い措置が、中国に明確なメッセージとして受け取られたかどうかは不明だ。中国も対抗措置として米国の成都総領事館の閉鎖を行なっているからだ。米国はさらなる対抗措置として、米中双方に外交官駐在人数を平等にするよう調整している。米国に比べて圧倒的に多数の中国外交官が米国に赴任している。この中国外交官が、米国でスパイ活動に従事していると見られている。外交官特権を利用して、米国を自由自在に動き回って、スパイ活動を行なっている。FBIは、中国スパイ活動を取り締まるには、中国外交官数を減らすことだと、指摘しているほどだ。

     

    米国の明確なメッセージは、中国近海での米軍機偵察活動である。これならば、中国も米軍の最新鋭戦闘機の飛来を目の当たりにして、奔放な行動を改める契機になるかも知れない。

     

    『大紀元』(8月7日付)は、「米軍機、7月中国近海を67回飛行、防衛から対抗へと戦略転換か」と題する記事を掲載した。

     

    北京大学の研究調査機関「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」によると、85日夜、米軍機は広東省まで59.27海里のところに近づいた(SCSPIツイッターより)。

     


    (1)「中国南部を襲った台風が過ぎ去った後、米軍がこのほど、中国沿岸部での偵察活動を再開したことがわかった。北京大学の研究調査機関、「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」によると、85日と6日、米軍機3機が中国周辺海域で飛行した。SCSPIのツイッター投稿によると、5日、米軍機3機が中国周辺海域で飛行した。6日、米空軍RC-135W偵察機と米海軍P-3C対潜哨戒機が広東省付近で偵察活動を行っていた。SCSPIは、5日午後9時頃、対地警戒管制を行う米軍のE-8C早期警戒管制機が広東省沿岸地域を飛行したことを「初めて観測した」とした」

     

    「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」によれば、米軍機が頻繁に中国近海の偵察飛行をしていることが分る。中国側の防衛態勢をチェックしているのだろう。米中復交後、米国がここまで踏込んだ偵察飛行をしている意図はけん制という意味であろう。

     

    (2)「SCSPIによれば、5日夜、米E-8C早期警戒管制機が台湾の南方海域から中国方向へ飛行し、広東省まで59.27海里(約109.77キロ)のところに近づいた。同日夜、米軍機P-8A対潜哨戒機とKC-135R空中給油・輸送機がそれぞれ、バシー海峡と台湾の北東海域で活動していた」

     

    米軍機は、中国側にはっきりと台湾防衛姿勢を見せつけている。中国が、香港の次は「台湾開放」を豪語しているだけに、米国の姿勢を鮮明にしているのだ。

     


    (3)「米軍はここ数カ月、南シナ海をめぐって、中国周辺海域で軍事力を強化し、頻繁に偵察活動を行っている。7月、米海軍ロナルド・レーガン空母打撃群とニミッツ空母打撃群は、日本の海上自衛隊やオーストラリア海軍、インド海軍と合同演習を行った。SCSPIの統計では、7月、米軍機は中国近海で少なくとも67回の偵察飛行を行った。5月の35回と6月の49回と比べて、大幅に増えた。7月の回数は5月の倍となった」

     

    南シナ海防衛では、米国・日本・豪州・台湾・印度が「同盟軍」として中国の攻撃を食い止める。すでに、合同訓練が精力的に行なわれている。米軍機による中国近海の偵察飛行は、7月の67回は、5月の35回の倍に達している。海軍の合同訓練に歩調を合わせているのだろう。

     

    (4)「SCSPIは、「米軍の偵察戦略は防衛から対抗へと転換させたことを意味する」と分析している。7月、中国沿岸部で、米軍P-8A対潜哨戒機が29回、RC-135偵察機が12回、P-3C対潜哨戒機9回、EP-3E電子偵察機8回、E-8C早期警戒管制機が7回とそれぞれ飛行したという。726日、P-8A対潜哨戒機は、福建省の領海基線まで41海里(約75.9キロ)のところに迫った。中国当局のSCSPIは、米軍の頻繁な偵察活動は「政治的および軍事的圧力を強める狙いがある」と非難した」

     

    SCSPIは、「米軍が、偵察戦略を防衛から対抗へ転換させた」と理解している。米軍がここまで踏込んだ戦術に転換すると、中国は不気味であろう。実戦経験ゼロの中国軍が、百戦錬磨の米軍とどう戦うのか。もはや、机上訓練の段階を超えているからだ。「よせば良かった」と言うことになりかねないであろう。

     

     

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    中国は、情報泥棒国家である。サイバー攻撃で米国へ年間31兆円の損害を与えているという。これは、重要情報である。米国が、中国から恒常的に「損害賠償金」として取り立てる道を開くことになるかも知れない。中国にとって「甘いビジネス」でなくなろう。

     

    『大紀元』(8月6日付)は、「米議会委員会『中国サイバー攻撃に』威嚇的な対抗体制を、年間損失31兆円」と題する記事を掲載した。

     

    米議会は、中国共産党政権が仕掛けたサイバー攻撃と情報窃盗に対抗する措置を強化する姿勢を示した。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が84日、報じた。

     

    (1)「米議会のサイバースペース・ソラリアム・コミッションが8月4日、サイバー抑止力の促進を含むサイバーセキュリティ戦略の実施状況に関して報告書を発表した。委員会の主要責任者であるアンガス・キング上院議員(無所属、メイン州)は同日の議会公聴会で、米国は壊滅的なサイバー攻撃を受けたことはないとしたものの、「知的財産権侵害や、米国民の個人情報の窃盗、選挙への介入など、一定のサイバー攻撃を受け続けてきた」と述べた」

     

    米国は、中国のサイバー攻撃で国家が大きな被害は受けていないが、民間部門で被害を受けている。

     

    (2)「サイバースペース・ソラリアム・コミッションの報告書は、中国による知的財産権侵害で、米企業などは毎年3000億ドル(約31兆6623億円)以上の損失を被っていることを明らかにした。被害企業は、消費者信用情報会社のエキファックス、ホテル大手のマリオット・インターナショナルなどがある。さらに、米連邦政府人事管理局(OPM)もサイバー攻撃を受け、職員などの個人情報が盗まれた」

     

    米企業などは、毎年3000億ドル(約31兆6623億円)以上の損失を被っていることを明らかにした。これだけに損害をどのようにして中国に穴埋めさせるべきか。中国にサイバー攻撃が、儲からないことを教えるべき段階である。

     

    (3)「同報告書は、サイバースペースにおいて、悪意のあるハッカー集団により、米国の国家安全保障、経済、政治体制、公衆衛生などがリスクにさらされていると指摘した。米国の重要なインフラ施設の85%は民間企業が所有・運営している。これらの米民間企業が、中国などのサイバー攻撃の主要対象となっている。また、米国は他国政府だけでなく、国内においても官民一体でサイバー上の国家脅威に対して連携を強化し、サイバー攻撃の対応に一貫性、機敏性、迅速性を確保する必要があると強調した」

     

    米国は、大きな国家的な損害を受ける前に、中国に止めさせる「強硬手段」が必要になってきた。報復内容を告示することも必要だろう。

     


    (4)「キング議員は公聴会で、「情報機関と民間企業が、サイバー攻撃に関する情報を共有することはできる。同時に、威嚇的な対抗体制を整える必要がある。これによって、相手が米国にサイバー攻撃を仕掛ける前に、米国がどう反撃するだろうかと不安になるだろう」と語った。議員は、中国などのサイバー攻撃への対抗措置として、国家レベルの経済制裁にも言及した。米陸軍元将校はRFAに対して、サイバー的な脅威に対して、米国は「過去の守備体制から、自ら攻撃していくという戦略に転換しようとしている」と話した」

     

    米国は、これまでの受け身姿勢を止めて、報復姿勢を打ち出すことだ。

     

    (5)「元将校は、中国当局は盗んだ米国民の個人情報を、人工知能(AI)技術でその生活パターン、政治的考えなどの分析がますます容易になっていると指摘した。「大統領選挙に向けた候補者らの選挙活動では、中国当局が嘘の情報を広め、効果的に選挙に介入することが可能になっている」

     

    中国は、盗んだ個人情報をAIで分析している。ここから得られた分析で、中国の情報戦術につかって宣伝工作を行なっているという。

     

    (6)「サイバースペース・ソラリアム・コミッションはこれまで、大統領執務室のサイバーテロなどに対応する「国家サイバー・ディレクター」を設けることや、国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラストラクチャー・セキュリティ庁(CISA)の強化、2年ごとに行政、議会、州政府、民間企業の上級幹部が参加する国家レベルのサイバー机上演習の実施などを提案した。また、米サイバー軍の戦力体制評価の実施、迅速な意思決定を可能にする国防総省の権限委任の見直し、防衛産業の企業間情報共有プログラムへの参加促進、サイバー予備軍の創設などについても提言した」

     

    米国は、サイバー予備軍創設が必要としている。米中は、総力戦段階に入った。米の同盟国は共同歩調が求められるだろう。

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    環境破壊が食糧不足招く

    憎い米国捨てられぬワケ

    米大統領選に左右される

    中国人口が世界3位転落

     

    中国は、改革開放政策(1979年)以来の40年間の平均経済成長率が9.79%にも達した。この記録は、空前絶後であろう。これを実現した背景は、「一人っ子政策」による、急激な生産年齢人口比率の上昇であった。扶養人口が減って、生産年齢人口(15~59歳)比率が上昇した結果だ。世界標準では、生産年齢人口年齢が15~64歳である。中国では、健康上の理由で15~59歳と短縮されている。

     

    このギャップが、世界で中国の潜在成長率を過大に見積もらせている。世界標準で計算するからだ。中国の現実の生産年齢人口は、世界標準よりも約1割少なく計算しなければならない。このことを、繰り返し指摘しなければならないほど、世間ではこの点を無視している。

     

    環境破壊が食糧不足招く

    改革開放政策以来の40年間の平均経済成長率が、約10%にもなった背景には、環境を破壊したままにし、回復コストをかけなかったことも上げられ。大気汚染・水質汚染・土壌汚染・地下水の過剰くみ上げなどだ。環境破壊分をコスト計算すると、毎年2~3%が「環境破壊」と試算されている。つまり、40年間も平均約10%の経済成長を実現したが、環境破壊分を織りこめば、実質「7~8%」に間引かれるのである。

     

    問題は、環境破壊がもはや放置できない限界に達していることである。とりわけ重要なのは、「地下水の過剰くみ上げ」である。中国全耕地面積に占める灌漑面積が、約半分も占めているのが現実だ。この灌漑面積で、中国の75%の食糧と90%の経済作物が生産されている。極論すれば、中国農業は、灌漑に依存しているのである。

     


    この灌漑が、地下水をくみ上げている場合、地下水は涸れる運命である。実は、中国の華北平原(黄河以北の中国)では、古くから粟や麦が栽培され、日本でも有名な水ギョーザ(餃子)やマントウ(饅頭)などの中華料理を生み出した土地柄である。

     

    地下水が、これまでの過剰くみ上げで枯渇しかかっている。その被害が、中国東北部の遼寧省で干ばつとなって現れている。同省阜新市や錦州市などでは今年、トウモロコシなどの収穫は皆無に近い状況だという。

     

    中国水利部(省)7月29日の発表によると、6月1日~7月27日まで、遼寧省の平均降水量は108.8ミリで、平年同期と比べて53.1%減少し、昨年同期比では20.6%減少した。1951年以降、降水量が最も少ない年になったという。地下水の過剰汲み上げは、干ばつの理由の一つとされている。遼寧省の干ばつが、地下水の過剰汲み上げと関係あるとすれば、事態を深刻に受け取るべきである。

     

    中国紙『新京報』(7月30日付)によると、遼寧省西部はトウモロコシの主要産地で、7月末に収穫期を迎える。しかし、この2カ月間、降水量の不足で、トウモロコシは成長できず、収穫できなかった。一部の村ではトウモロコシ畑の大半が水不足で枯れた。東北三省である黒龍江省、吉林省もイナゴの大群に襲われている。遼寧省も干ばつ被害に遭ったように、異常気象に翻弄されているのだ。

     

    中国国家統計局のデータによると、東北三省である黒龍江省、吉林省、遼寧省の食糧生産量は中国全体の20.8%を占める。中国の「食糧生産基地」が、以上のような「天災」に遭遇しているのは偶然の出来事ではない。

     


    憎い米国捨てられぬワケ

    中国のウイークポイントは、食生活の高度化に伴い食糧不足が顕著になったことである。「仮想敵」の米国からも穀物輸入しなければならないのである。これは、米中紛争が激化した場合、中国にとっては徹底的なマイナス点だ。早くもこれ反映した動きが見られる。

     

    米中両政府は1月に署名した2国間貿易合意を巡り、中国側の合意履行を評価するため8月15日にハイレベル協議を実施することで合意した。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月5日付)が報じた。中国は貿易合意の「第1段階」で米国からの輸入を今後2年間で計2000億ドル(約21兆円)増やすとした。協議では、その点が集中的に取り上げられる見通しという。中国政府は米国産の大豆や豚肉、トウモロコシなどの農産品の輸入をここ数カ月で増やしているものの、現時点では目標達成に必要なペースを大幅に下回っている。(つづく)

     

     

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