勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評


    a0011_000047_m
       


    中国は景気循環で自壊過程

    過剰債務で信用危機同然へ

    中国の覇権宣言が墓穴掘る

    米国内3タカ派が結集する

     

    中国の7~9月期のGDP伸び率は、事前予想の前年比6.1%を下回る6.0%に終わった。李首相は、これまで「6.0%成長も大変」と漏らしてきたが、その通りの結果である。中国経済がここまで追い込まれてきた背景に、いくつかの要因がある。

     

    中国は景気循環で自壊過程

    第一は、景気循環要因である。在庫投資と設備投資の循環過程で、両者がボトム期にぶつかっていることだ。在庫循環(キチン・サイクル)は、約4年周期で起こるもの。生産過剰が生産者価格(卸売物価)を下落させて、自律的に生産を調整する効果がある。生産者価格は、すでに8~9月と連続で前年比マイナスに落込んでいる。この現象は始まったばかりだ。これから値下がりが本格化する。

     

    日本経済の高度経済成長期(1960~80年代前半)は、この在庫循環を巡ってエコノミストは白熱の議論を展開した。こういう在庫循環は当然、中国経済にも当てはまる。過剰生産基調の中国経済では、在庫循環の動きがGDP成長率に大きな影響を与えるであろう。一般的に、「景気サイクルは4年」と言われているものがこれである。

     

    設備循環(ジュグラー・サイクル)は約10年周期である。前半の5年は設備投資が上昇過程に乗り、後半の5年は緩やかに下降して、10年目にボトムをつける。中国は、10年目ごとに社会騒乱が起こっているが、設備循環のボトム期と一致している。私は、この事実に気付き、メルマガ21号でそれを具体的に示した。

     

    1949年 中国共産党が政権を奪い、中華人民共和国が誕

    1959年 チベット蜂起の発生

    1969年 中国とソ連が国境のウスリー川のダマンスキー島で大規模軍事衝突

    1979年 中国がベトナムに対して宣戦布告した中越戦争勃発

    1989年 天安門広場で民主化を求める学生と市民を武力鎮圧する

    1999年 中国当局は伝統気功、法輪功学習者へ弾圧政策開始

    2009年 新疆ウイグル自治区ウルムチで大規模暴動

    2019年 米中経済の衝突と新冷戦時代へ

    (以上は『大紀元』による)

     

    「9の付く年」の実質GDP成長率を上げると、次のようになる。

     

    1979年 7.6%

    1989年 4.2%

    1999年 7.6%

    2009年 9.2%

    2019年 6.0~6.5%(政府予想)

     

    中国は、昨年12月20日で改革開放40年を迎えた。この間の平均GDP成長率は9.5%と発表。この9.5%と前記の「9の付く年」の成長率を比べると、いずれも平均値に達していない。これは、成長率が鈍化した結果を示している。この事実は、約10年周期で起こる設備循環の存在を証明するものだ。設備投資が落込む時期は、投資需要の低下を意味するので、GDP成長率は落込んで当然である。

     

    2019年は、在庫循環ボトム期と設備循環ボトム期が重なり合う「最悪期」に当る。これは、20年に1度の確率で起こることだ。ちなみに、前回の1999年前後の実質GDP成長率は、次のような推移であった。中国経済史で、珍しい「停滞期」である。

     

    1996年10.0%

    97  9.

      98  7.

      99  7.

    2000  8.

       1  8.

       2  9.

       3 10.

       4 10.

     

    在庫循環と設備循環が重なり合うと、以上のようにその前後で数年にわたり成長率のジグザグを描いている。ここから推測されることは、今後の中国経済が容易ならざる事態にはまり込むであろうという予測だ。上のデータで分るように、1997~2003年までの7年間もGDP成長率が停滞した。今後の中国経済に起こっても、なんら不思議ではないのだ。(つづく)

    a0960_006624_m
       

    土地錬金術の経済も終わりを告げた。7~9月期のGDP成長率は前年比6.0%だ。前期比は1.5%増で46月より0.1ポイントの減速。年率換算では、6.13%になる。李首相は、「6%成長も大変」とぼやいたが、いよいよ苦しい局面を迎えた。

     

    景気循環的な視点で言えば、中国経済は10年周期の設備投資循環と4年周期の在庫循環のボトムが重なり合う最悪局面に落込んでいる。生産者物価(卸売物価)は、8~9月と前年比マイナスに落込んでいる。この状態では、企業の売上は低下して債務返済は不可能である。来るべきところまで来てしまった。まさに、挽歌を聞くおもいであろう。世界覇権論などと、「大法螺」を吹きすぎたのだ。

     

    『ロイター』(10月18日付)は、「3四半期の中国GDP、前年比6.0%増、貿易戦争響き統計開始以来最低」と題する記事を掲載した。

     

    中国国家統計局が18日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比6.0%増と、第2・四半期の6.2%から減速し、政府の今年通年の成長率目標である6.~.5%の下限に落ち込んだ。当局がさらに刺激策を打ち出す必要に迫られるとの見方が強まりそうだ。ロイターがまとめたアナリスト予想は6.1%増だった。

     

    (1)「最近の弱い中国経済指標は内需と外需の低迷を浮き彫りにしている。それでもなお、アナリストの大半は、過去の緩和サイクルで積み上がった債務が残るなか、当局が積極的な刺激策を打ち出す余地は限られているとみている。華宝信託(上海)のエコノミスト、Nie Wen氏は予想を下回るGDP成長率は製造業をはじめとする輸出関連業種の弱さが原因と分析。「輸出が回復する見込みがなく、不動産部門の伸びが鈍化する可能性もあるため、中国経済への下押し圧力は継続する公算が大きい。第4・四半期の成長率は5.9%に落ち込む見込み」と述べた」。

     

    輸出は、米中貿易戦争の影響を受けて落込んでいる。このマイナス分を内需でカバーできるはずがない。住宅やインフラ投資は、これまで債務をテコに過剰なまでに踏込んでおり、もはや新規の投資余地はなくなっている。「打ちでの小槌」も効き目がなくなった。まさに、無理に無理を重ねた経済運営が、どうにもならない限界に突き当たった状態だ。米国経済を追い抜くという途方もない夢を見て、自らが大きな穴にはまり込んだ形である。

     

    中国は独自技術がなく、模倣と窃取という違法な手段でしか手に入れられない技術を頼りにどうやって経済運営を行なう積もりか。明らかに、中国式社会主義とやらは行き詰まった。この厳しい現実を見据えて、方向転換するしか経済再生の道はない。

     

    『ロイター』(10月18日付)は、「中国経済は懸念水域に 減速ペースが予想上回る」と題するコラムを掲載した。

     

    中国経済の減速は懸念すべき段階に達した。第3・四半期の経済成長率は6%に低下し、中国の当局者は見通しを引き下げている。一部の歴史に照らせば、中国の発展段階にとってあまりに低い伸びであることが示唆されている。李克強首相は先月、中国のGDP(国内総生産)伸び率が少なくとも6%を維持するのは「非常に困難」になるだろうと発言。さえない結果を見込んだシグナルとして容易に解釈できる。一部のエコノミストは年内に6%を割り込むと予想し始めている。

     

    (2)「一定程度のいわゆる構造的な減速は自然な現象だ。全ての途上国は米国の所得水準に近付くにつれてコピーできる裕福な国のアイデアを使い果たす。オックスフォード・エコノミクスによると、中国の成長率は2030年までに4%に低下し、その後は2040年までに2.8%に低下する見通しだ。しかし、中国は予想されているよりも速いペースで減速している。国際通貨基金(IMF)のデータに基づくと、購買力で調整した中国人1人当たりのGDPは米国人の約30%に過ぎず、依然として比較的貧しいままだ」

     

    一人当り名目GDP(2018年)では、米国6万2869ドル、中国9580ドルである。中国は、米国の15%にしか過ぎない。この中国が、米国を抜くと豪語するから物笑いの種になる。世界銀行と中国国務院発展研究センターの共同研究によれば、将来の中国GDPを次のように予測している。暗い予測である。

     

    適度に改革する    改革しない   全面的な改革

    21~30年  5.%        4.0%     5.1%

    31~40年  2.%        1.7%     4.1%

    41~50年  2.%        2.3%     3.0%

     

    (3)「ピーターソン国際経済研究所のニコラス・ラーディ氏によると、日本は米国の所得水準の約25%に達してから、さらに20年にわたって年平均9%超の伸び率を維持した。韓国は同じ期間に平均7.7%の伸びを達成。台湾とシンガポールはそれぞれ伸び率が8.4%と8.7%だった」

     

    中国は、前記の世銀と国務院発展センターの共同研究によれば、今後の潜在成長率は急速に鈍化する。日本は米国の所得水準の約25%に達してから、さらに20年にわたって年平均9%超の伸び率を維持した。この例から見ても中国の「急速鈍化」は異例の早さだ。この原因は、生産性向上率の低さと人口高齢化の異常な早さにある。

     

    (4)「中国の経済規模は14兆ドルで、言うまでもなく既にアジアの他国を上回った。米国との貿易戦争や世界的な景気停滞も要因となっている。ただ、刺激策を巡る日々の激しいやり取りの中、政策立案者らは自らのまずい決断で潜在成長率が早く低下していることが見えなくなっている可能性がある。カーネギー国際平和財団のユーコン・フアン氏によると、成長率が4~5%に低下すれば、予想されていた米国人の所得水準との「コンバージェンス(収束)」は事実上行き詰まるかもしれない。注意が必要なのは中国政府が経済開放という厳しい選択肢を取るのではなく、「新常態(ニューノーマル)」を受け入れることだろう」

     

    中国の経済運営の実権は、経済改革派でなく神がかった民族派が握っている。国有企業制度を堅持し保護政策を貫くという一派だ。この「連中」は、潜在成長率が予想外に早く低下していることに気付かず、ただ大言壮語している可能性が強い。GDP成長率が、4~5%に低下すれば、中国の「世界覇権」は絵空事に終わる。

    a0960_008707_m
       

    中国は、建国100年の2049年に世界覇権を握る夢を公表している。だが、世界の中央銀行の専門家は、そういう現実が来ないと見ている。今後25年、世界の基軸通貨は、依然として米国ドルと予測しているのだ。当然であろう。世界覇権を握るには、基軸通貨国にならなければならない。そのためには、国内市場を完全開放すること。また、世界の銀行のトップに立って金融センターになることが条件だ。現在の中国共産党には、そのような度量も力量もない。

     

    『ブルームバーグ』(10月16日付)は、「外貨準備、今後25年もドルが王者に君臨―中銀幹部がUBS調査で予想」と題する記事を掲載した。

     

    各国中央銀行の外貨準備担当幹部は、少なくとも今後25年間は米ドルが引き続き基軸通貨としての地位を維持するとみている。

     

    (1)「UBSアセット・マネジメントが、中銀30行を対象に行った調査によると、回答した幹部の66%はこの先25年間の準備通貨としてドルが引き続き選択されるとみている。国際通貨基金(IMF)が先月発表したところによると、世界の中銀が保有する117000億ドル(約1270兆円)規模の外貨準備のうちドルが占める比率は約62%となっている」

     

    トランプ氏が、米国大統領になってあちこちで摩擦を起こしているので、「米国嫌い」が増えていることは事実だ。そういう「反米国」は、外貨準備でドルの比率を下げ、金のウエイトを増やすなど、ささやかな抵抗している。だが、それはごく一部であり、米国ドルは圧倒的な価値と使い勝手の良さで他通貨を寄せ付けない。

     

    トランプ氏の自負は、米国市場の奥深さにある。この米国市場に直接アクセスできることだけでも、大変なメリットであると言い放っているのだ。中国が、米国によって特別関税を掛けられ「高いアクセス料」を支払わされている現状は、とうてい世界覇権の資格もないことを立証している。中国が、国内市場を保護主義でガードしている限り、横綱になれないことを示している。

     

    (2)「UBSのアナリスト、マッシミリアノ・カステリ、フィリップ・サルマン両アナリストは16日のリポートで、「ドルの独占的な地位は、外貨準備管理においては不変の特長だ。過去25年間、ドルの占有率は平均で60%を上回っている」と指摘。「この数十年、ドルの独占的な地位は近く終息すると幾度となく言われてきたことを考えると、この調査内容には驚く」とした。中国人民元がドルのシェアを徐々に奪うと予想されているが、人民元が今後四半世紀で準備通貨としてのドルやユーロの地位に並ぶとの回答は38%にとどまった」

     

    第二次世界大戦直後、フランスは米国ドルの基軸通貨制に反対して、米国へ挑戦し続けた歴史がある。だが、外国為替相場の変動制によって、「ドル危機」は解消しさらなる力を持つに至った。それが、米国市場の持つ魅力である。個人消費が、米国経済を動かしている現状は、他国にない魅力なのである。自由で創造的な社会の魅力は、他に匹敵する国がないのだ。

     

    米国ドルが魅力を失ってくれば、米国自身が自らのアイデアでそれを克服する。そういう能力を持つ国は、米国しかない。1929年の世界恐慌。さらに、2008年のリーマンショックの「火元」も米国である。だが、その危機を乗り越えたのは、世界史において米国しか存在しない。この一事をもってしても、米国の底力に脱帽せざるをえない。中国共産党は専制主義で、国民に選挙権も与えない国である。米国とは、次元が異なる。

     

    a0960_008331_m
       

    中国は専制国家である。絶対に弱味を見せないというのが鉄則なのだろう。身内や敵に対して、弱味を見せれば一気に攻め込まれる。こういう宿命を負っていきた中国は、GDP統計では水増しする。外貨準備高では外部の債務まで含め水増しする。すべて、ウソが絡んでいるのが中国経済の本質である。

     

    私が毎日、中国ウォッチを始めたのが2010年5月のブログからだ。ここで得たヒントは、中国が虚勢を張るという事実だ。虚勢を張れば張るほど、実態はピンチという意味である。このヒントにぴったりの記事が現れた。現実は、相当な困難を金融危機抱えていると見るべきである。システミックリスク(金融連鎖倒産)回避で、米国金融資本を導入するという瀬戸際へ突入した。米中通商協議が突如、「第一段合意」した裏には、中国経済の金融危機がある。

     

    『人民網』(10月9日付)は、「中国で数十年間も経済危機が起こらないのはなぜか」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「新中国成立からの70年間、中国経済の成長率は世界の平均水準を明らかに上回ってきた。改革開放の40年間、中国の国内総生産(GDP)の年平均成長率は95%、対外貿易額の年平均成長率は145%に達し、世界経済成長への寄与度は数年連続で30%を超えている。こうした数字の背景には、中国が絶えず発展させ、改善することで形成してきた「中国の自信」、「中国の能力」、「中国の経験」があり、これらが相まって数十年も経済危機が発生しない中国の状況を生み出した秘密の鍵になったといえる」

     

    このパラグラフは自画自賛しているだけで、客観的な分析はない。中国は2010年、人口動態が「人口ボーナス期」のピークを迎えた。それまでの期間は一貫して、人口動態が高成長を押し上げてきた背景を無視している。

     

    現に、2011年以降は「人口オーナス期」入りしており、潜在成長率は下降局面に向かっている。中国経済は、この「人口オーナス期」になって、バブル経済崩壊に伴う過剰債務返済という難題にぶつかった。簡単に言えば、定年退職者が、多額の住宅ローンを抱えているようなもの。これが、中国経済の真実である。中国の金融危機が始まるのだ。

     

    (2)「数組のデータから、中国の経済規模と総合的競争力が大幅に向上し、基本的に安定した金融システムと十分な外貨準備を構築したことがわかる。工業システムも次第に整い、ハイテク産業をはじめとする新原動力の可能性と潜在力は引き続き広大かつ巨大だ。経済規模の拡大、総合的国力の向上、広大な市場、十分な潜在力が、外部からのリスクと危機が訪れた時に、中国が速やかに効果的に対応することを可能にしている。これこそが中国経済の強靱さの源だ」

     

    下線を引いた部分は、既に過去のこととなった。昨年の国際収支における経常収支黒字は、490億9200万ドル。対GDP比で0.4%まで減少した。IMF予測では、2022年に経常赤字に落込む。もはや、「気息奄々」の事態に入り込んだ。しかも、中国の輸出の半分は外資系企業が稼ぎ出している。中国資本の企業ではない。ここに、中国経済の最大の弱点が潜んでいる。

     

    中国は、経常収支黒字が減って赤字になる寸前の経済である。貯蓄が減少していることを表している。これでは、金融システムが安全とは言い難い。逆であって、脆弱化している。先の米中通商協議の「第一段合意」で、中国は金融サービスの開放を上げた。米国の金融資本を受入れ、中国の金融システムの補強策に出るのだ。

    (3)「新中国成立からの70年間、中国に経済的な変動がなかったわけではなく、中国も同じように国際経済や金融危機の打撃を何度も受けてきた。ただ他国と異なり、中国は常に危機をチャンスに変え、自国の構造改革とモデル転換の発展を遂げてきた。中国交通銀行の連平(リエン・ピン)チーフエコノミストは、「その後で外貨準備による資本注入、中国内外での公開の債券発行や上場といった株式制度改革措置を打ち出したため、08年の金融危機発生時に、中国の銀行業は十分な資本金と高い貸出の能力をもちえたのであり、さらに中国金融産業の全体的なリスク対抗力が目に見えて増強され、この危機の衝撃に耐えることができた」との見方を示した

     

    下線部分は、金融面の補強で08年のリーマンショックを乗り越えたと認めている。今後もこの政策によって、中国経済の補強をするという暗示である。前のパラグラフで、私がつけたコメントのように、米国金融資本の導入によるテコ入れ策を認めている。

     

    (4)「現在の状況をみると、グローバル経済の下ぶれ圧力は絶えず蓄積し、経済低迷のリスクがますます増大した。最近は、国際通貨基金(IMF)が今年のグローバル経済成長率予測を6.2%に下方修正し、過去10年間で最低になった。未来に向かって、中国は経済危機が発生しないというボーダーラインをどうやって守り続けるか。潜在的な危機・リスクに効果的に対処するにはどうすればよいか

     

    このパラグラフで、下線をつけたように「本音」(弱音)を吐いている。経済危機を発生しないというボーダーラインをどう守るか、深刻な事実を吐露している。要注目である。

     

     

    (5)「HSBCアジア太平洋地域の王冬勝(ワン・ドンション)行政総裁は、「複数当局にまたがった金融管理監督の協調メカニズムを強化し、統一的で、協調的で、効率の高い金融監督システムを構築しなければならない。より高い次元でグローバル経済ガバナンスに関与し、グローバル経済・金融分野の改革を建設的に推進しなければならない。市場の予想を誘導し、市場の信頼感を高める能力を向上させなければならない」と述べた」

    下線部は、金融監督システムを強化して、金融の連鎖倒産を防がねばならないと、深刻な事態にあることを「告白」している。すなわち、システミックリスクの防止だ。シミックリスクとは、ある所で発生した決済不能が次々と広がって、世の中に混乱を及ぼす可能性のこと(リスク)を意味する。中国経済は、ついにこの最後の段階まで追い込まれている。中国経済への楽観論は即刻、捨てるべきだ。


    a0003_000034_m
       


    世界の「G2」を気取って、米国と互角の交渉をするとしてきた中国が急遽、米国の要求を飲まざるを得ない事情が分ってきた。これ以上、米国の関税引上に耐えられないという限界にぶつかっていたのだ。

     

    この7月、中国最高指導部と党長老との非公式懇談会である「北戴河会議」では、習氏による強気の米国対抗策が承認されたと伝えられていた。その後の動きを見ると、確かに強気を装っていたが、時間の経過とともに綻びが鮮明になってきた。製造業の利益悪化である。国有企業に一大利権を持つ「紅二代」(太子党)は、悲鳴を上げたのであろう。習指導部に、米国との妥結を急がせたのだ。そう見なければ、ここ3ヶ月の態度急変は理解できない。

     

    『大紀元』(10月11日付)は、「中国18月工業利益が完全失速、上海は前年比約2割減」と題する記事を掲載した。

     

    中国浙江省統計局がこのほど発表した統計では、中国の18月の全国工業部門企業利益は前年同期比1.7%減で、そのうち、上海、北京、山東省は2桁のマイナス成長となった。特に、中国最大の経済都市である上海の工業利益が2割近く鈍化したことは大きく注目された。

     

    この統計は本来、極秘にされておくべきものが手違いで掲載され、すでに削除されている。一部の中国人ネットユーザーはツイッター上で、「(浙江省統計局は)本当に正直だった。こんなにも悪い数字もそのままを公表した」などと称賛したという。中国経済の事態は、ここまで「腐食」しているのだ。

     

    (1)「中国浙江省統計局のウェブサイト、「浙江統計信息網」が930日、「18月の浙江工業部門企業利益の伸び率は全国平均を上回った」と題する記事を掲載した。これによると、同期浙江省の工業利益は2.8%増で、「全国平均の1.7%減を上回った」というもの。さらに、同記事は中国東部の7省・市の工業利益がマイナス成長になったと明らかにした。「北京は14.4%減、天津5.8%減、河北省11.2%減、上海19.6%減、江蘇省3.5%減、山東省13%減と広東省は0.4%減だ」という」

     

    1~8月の工業利益を整理すると、次のようになる。

    北京  14.4%減

    天津   5.8%減

    河北省 11.2%減

    上海  19.6%減

    江蘇省  3.5%減

    山東省 13.0%減

    広東省  0.4%減

    浙江省  2.8%増

     

    これら主要地方の工業利益が大きく落込んでいるのは当然、雇用減になっているはずだ。利益が減れば、債務返済は不可能になる。新規の資金調達もできる訳がなく、設備投資に影響する。つまり、中国製造業は座して死を待つという最悪事態に直面している。この事態を招いたのは、習近平氏とこれを取り巻く民族主義者グループである。米国の実力を軽視するこれら「一団」が辿り着く先は、軍拡とそれに伴う財政圧迫による衰退である。習氏が、中国のトップに留まる限り、中国の経済や社会は行き詰まるであろう。

     

    日米欧や中国など20カ国・地域(G20)は17日から2日間の日程で財務相・中央銀行総裁会議を開く。IMF(国際通貨基金)は、同会議を前に政策課題をまとめた報告書を公表し、米中の関税合戦によるマクロ経済への影響を次のように試算した。

     

    (2)「IMFは11日、米中の貿易戦争が悪化すれば、2020年時点で中国のGDPを2.%下押しすると試算した。米GDPも0.%失われ、世界経済全体でも0.%下振れするとした。世界的な貿易縮小だけでなく、企業投資の減退や金融市場の混乱を引き起こすと警鐘を鳴らした」(『日本経済新聞 電子版』10月12日付)

     

    トランプ米政権は19年12月に、制裁関税の対象を中国からの輸入品ほぼすべてに広げると主張してきた。ただ、今回の米中通商協議の「第1段合意」により、10月15日からの追加関税2500億ドル分を見送る。この分はIMF試算に入っていないはずだ。

     

    18年7月以降の関税引き上げの影響を合算すると、中国のGDPは20年時点で2.%下押しされ、23年時点でも0.7%%分の下振れ圧力が残るとした。IMFは20年の中国の実質成長率を6.%と見込んでいたが、関税合戦が止まらなければ大幅な下方修正は避けられなかった。中国が、米国と対抗して体力を疲弊していた事情がよく分るであろう。

    このページのトップヘ