勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    あじさいのたまご
       

    韓国政府は、これまでクアッド(日米豪印)への参加を求められたことはない、と言い張ってきた。客観的に見て、そんな筈はなかった。米韓外交・防衛「2+2会議」が、昨年春に韓国で開催され、米国から直々に懇請されたのだ。

     

    韓国は、中国の存在が怖くて回答を保留し、「聞かなかった話」にしてきた。米国の外交安保専門家が、この事実を明かしたので韓国政府は大慌てで否定している。とんだ赤っ恥をかかされた形である。韓国のクアッド参加は、韓国の煮え切らない態度から米国が断念。代わって、英国が参加する意向などと報じられたが、英国は、「AUKUS」(米英豪)の軍事同盟で中国へ対抗する。

     


    『中央日報』(1月28日付)は、「米国外交安保専門家『韓国、昨年のクアッド首脳会議招待を断った』 韓国外交部『事実無根』」と題する記事を掲載した。

     

    「韓国が昨年3月の日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)首脳会議の招待を断った」という米国外交安保専門家の主張に、韓国政府が「事実無根」と反論した。これまで韓国政府はクアッドに関連して「加入を要請されたことはない」という立場を維持してきた。

     

    (1)「米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国碩座のビクター・チャ氏は、今月26日(現地時間)、米外交専門紙『フォーリン・ポリシー(FP)』に寄稿した「なぜ韓国大統領選挙が米国にとって重要なのか」と題する記事で、「信頼できる消息筋から2021年3月クアッド首脳会議を控えて韓国が出席の提案を受けたが断ったと聞いた」と明らかにした。当時の会議はクアッド構成後に初めて開かれた最高級協議だった」

     


    韓国は、米韓外交・安保「2+2会議」後の共同声明で、米韓同盟の関心領域が朝鮮半島からインド太平洋へ拡大された、と明記している。これは、クアッドへの参加問題を議論した証拠である。韓国は、ギリギリの線でクアッド参加を見合わせたのだ。

     

    (2)「チャ氏はまた、「今年3月の韓国大統領選挙の結果によってクアッド参加推進など韓国の対外政策に大きな変化があるだろう」と展望した。具体的に「韓国の与党大統領候補はクアッド参加への可能性に対して沈黙していて、野党指導部は政権を取った場合、クアッド参加を直ちに推進すると公開的に明らかにしたと聞いた」という」

     

    韓国の次期政権が野党に渡れば、クアッド参加を推進するであろうと指摘している。これは、最大野党「国民の力」のユン候補が示唆していることを指している。現実に、その方向へ進む可能性は大きい。韓国は、このクアッド入りをきっかけにして日韓関係修復を目指す狙いもある。すぐに歴史問題を俎上に上げても無理である。安保問題から協調して、歴史問題への接近を目指す「迂回作戦」である。

     

    (3)「あわせて、「韓国はメモリーチップ、電気バッテリーなど高需要商品関連の主要供給国」としながら、「これほど重要な米国の同盟を(クアッド)連帯の外に置くなら、これは新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)ワクチン、次世代無線ネットワーク関連のサプライチェーン(供給網)、気候変化への努力に影響を与えるだろう」と付け加えた」

     

    米国は、韓国の戦略物資製造能力をフルに活用したいところだ。また、「現代版ココム」で中国への禁輸を行なう際に、韓国へ同時行動を求めたいのであろう。

     

    (4)「実際、与党「共に民主党」大統領選候補の李在明(イ・ジェミョン)氏は、今月4日の記者会見で「公式的にはクアッド加入を要求されたことはなく議論したこともないため、前もって何らかの決定をする必要はない」として留保の立場を示した。反面、野党「国民の力」大統領選候補の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏は24日に外交安保分野の公約を発表しながら「クアッド傘下のワクチン・気候変動・新技術ワーキンググループに参加して機能的協力をしながら今後正式加入を模索する」と明らかにした」

     

    下線部分は、野党大統領候補のユン氏の発言である。クアッド参加を模索するとしている。感情的に中国を恐れることでなく、同盟の力で中国による脅威を防ぐという知的戦略である。



    (5)「韓国政府はこの寄稿文の内容に強く反論した。外交部の崔英森(チェ・ヨンサム)報道官は27日の定例記者会見で「事実と異なる」とし、「我が国はクアッド4カ国のどこの国からも直接的に参加要請を受けたことはない」と明らかにした」

     

    韓国外交部は、これまで「ウソ発言」を繰返してきたので、否定せざるを得ない立場だ。

     

    (6)「これに関連し、バイデン政府はこれまで公式的にはクアッド拡大に線を引いてきた。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官のカート・キャンベル氏は昨年5月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン大統領間の初めての首脳会談を控え、国内メディアのインタビューで「現時点でクアッドを拡大する計画はない」と明らかにした。ただし「我々は韓国、東南アジア諸国連合と領域内の他のパートナーとの協力を継続して拡大する方法があるだろうと考える」と述べた」

     

    クアッドを「4ヶ国限定にする」という発言の裏には、英国の存在がある。英国は、今年中にTPP(環太平洋経済連携協定)への正式参加が認められる予定だ。英国がアジアへ経済的に「移住」するとなれば、安保面でも存在感を発揮するであろう。これまで韓国へ期待された役割を、英国が果たす可能性も出て来た。韓国は、頭を下げて「参加させてください」という羽目になっているのだ。

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    ウクライナは、ロシアの大軍10万の圧力を受け、NATO(北大西洋条約機構)へ必死の支援要請をしている。米英仏は、対ロシア政策で歩調を合せ軍備の増強を急いでいるところだ。その中でドイツが、ロシアへ気配りして中立を装うという予想外の行動を見せ、顰蹙(ひんしゅく)を買っている。

     

    ドイツは、ウクライナに対してヘルメット5000個を送ること。万一に備えて野戦病院を建設するというのだ。NATO主力メンバー国のドイツが、ロシア軍を前にして「逃亡姿勢」である。これでは、NATO存立の意味が問われる事態だ。ドイツの理由は、ウクライナへの武器供与がロシアとの対立を煽るとして拒否しているもの。ウクライナは、軽武装でロシアへ立ち向かえと言っているに等しい。

     

    ウクライナの首都キエフのビタリー・クリチコ市長は、独日刊紙『ビルト』に対し「言葉を失った」と失望を示した。クリチコ氏は、「われわれが対峙(たいじ)しているのが装備の整ったロシア軍で、いつ侵攻が始まってもおかしくないことを理解していない」とドイツを批判。「ヘルメット5000個なんて冗談もいいところだ」「次は何を送るつもりだ? 枕か?」と皮肉った。以上は、『AFP=時事』(1月27日付)が伝えた。

     


    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月24日付)は、「ドイツは信頼できる米同盟国ではない」と題する寄稿を掲載した。筆者のトム・ローガン氏は、米ニュースサイト・週刊誌『ワシントン・エグザミナー』の国家安全保障担当ライターである。

     

    ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻に乗り出す気配が濃厚となる中、米同盟諸国の大半はウクライナ政府を支持し、北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国の中で脆弱(ぜいじゃく)な国々を安心させる行動を見せている。しかしドイツは、ロシアの利益を欧米側の利益よりも優先するという、異なった対応を示している。

     

    (1)「ドイツ政府の対応からは、厳しい現実が分かる。それは、米国と第2次大戦後の民主的国際秩序が、中国・ロシアという2つの最も重大な安全保障上の脅威に直面する中で、ドイツはもはや信頼できる同盟国ではなくなったということだ。ドイツにとっては、安価なガス、中国向け自動車輸出、そしてプーチン氏を怒らせないことが、民主主義に支えられた同盟諸国の結束よりも重要なように見える。ウクライナの運命は、ドイツが担うべき責任の重さを伝えることになるだろう」

     

    ドイツには、米軍が駐留している。トランプ大統領時代、米独が対立してトランプ氏は、米軍をポーランドへ移転させると発表したことがある。これに困惑したドイツは、米軍の移転撤回を求めた経緯がある。このようにドイツは、米軍駐留の恩恵を受けながら、ウクライナへは軍事支援しないという、身勝手な行動を取っている。何か、韓国と似た面がありそうだ。

     

    (2)「独政府はウクライナへの武器供与を拒否し、さらにエストニアによるウクライナへの武器供与を阻止しようと活発な動きを見せている。英国はここ何日かの間に対戦車用兵器をウクライナに空輸し、ウクライナ情勢に関連した情報収集のため航空機の飛行を行っている。情報収集の飛行は、英国とウクライナを結ぶ最も直線的ルートであるドイツの領空を通過するルートで行われたが、兵器の空輸はドイツを迂回するルートを利用した」

     

    英国防省が、ドイツに領空通過の許可を求めなかったのは、ドイツがそれに応じるか拒否するかの選択を強いられるからだった。オラフ・ショルツ首相が率いるドイツ新政権は、対ロシア紛争から身を退いて、中立を装っている。それは、ロシア産の天然ガスと深い関係がある。ドイツを右顧左眄させている理由は、天然ガス供給である。

     

    (3)「ロシアから欧州に天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」に関する独政府の対応も、ドイツの姿勢を明確に示す一例だ。ドイツの規制当局は、同パイプラインについて、関連企業による法令順守基準の達成が確認されるまで、運転開始は認められないと主張している。これは、パイプラインの即時運転開始を望むプーチン氏をいら立たせている。その見返りとして、プーチン氏に操られたロシア国営ガス会社ガスプロムは、既存の「ヤマル・ヨーロッパ」パイプラインでのガス輸送を、4週間超の期間にわたって通常と逆方向の流れに変えている。ロシアはまた、ウクライナ向けの一般炭の供給を3カ月以上にわたって停止している」

     

    ドイツが、ロシアに揺さぶられているのは、ロシア産天然ガス供給が大きな理由だ。ドイツは、脱原発でエネルギー事情が不安定である。原発を止めて天然ガスへ切り変えたので、ロシアの思う壺に落込んでしまった。脱原発という理想論へ走ってしまい、ロシアにまんまと裏をかかれる事態になっている。EUは、原子力をクリーンエネルギーに指定したほど。ドイツにおける脱原発の根拠が失われたのである。すでに、ドイツのエネルギーコストが高騰しており、競争力に陰りが出ている。

     


    (4)「プーチン氏のメッセージは明白だ。そのメッセージとは、ウクライナはロシア支持へと寝返るのが賢明であり、ドイツはノルドストリーム2の運転開始を承認するのが賢明だというものだ」

     

    ロシアは、ドイツとウクライナへ石炭と天然ガスで独占的な供給状態である。これを利用して、意のままに操縦しようとしている。ドイツは、この策略に乗せられている。表面的には、「紛争を好まない」と綺麗事を言っている以上、ドイツ駐留の米軍をウクライナ近辺へ移駐させて、ドイツの目を覚まさせることだ。

     

    (5)「ドイツはまた、国防費を国内総生産(GDP)の2%にするというNATO目標の達成を断念し、1.5%しか支出していないほか、国内でロシアの化学兵器に関する研究が行われることを容認している。そうした研究は、ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏や元英国のスパイを標的にした事件のような暗殺計画を下支えする。ショルツ氏はまた、核兵器禁止条約でオブザーバーの立場を追求することを約束しており、NATOの核抑止力を漠然としか支持していない。こうした譲歩は、プーチン氏が長年求めていたものだ」

     

    ドイツが、NATO精神に沿わない動きをしているならばこの際、思い切って駐独米軍の完全撤退をして、NATOに貢献する国々の防衛を優先させるべきであろう。ドイツは、NATOに防衛して貰いながら、義務を果たさないのでは、ますます韓国に似てきた感じがする。

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    先のオンラインによる日米首脳会談において、バイデン大統領は日本で開催される今春の「クアッド首脳会談」(日米豪印)で訪日が決まった。韓国は、この情報にヤキモキしている。訪韓の話が一切、出ていないからだ。韓国は、米国からの度重なるクアッド参加要請に反応しなかった。訪韓が、話題にも上がらないのは当然であろう。

     

    『朝鮮日報』(1月24日付)は、「バイデン大統領『今年上半期に訪日』 訪韓は検討もせず」と題する記事を掲載した。

     

    米国と日本の両首脳は今月21日(米国現地時間)にテレビ会談を行い、今年上半期に日本で米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国による安全保障協力体「クアッド」首脳会議を開催することで合意した。米国のバイデン大統領と日本の岸田文雄首相はさらに「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、香港や新疆ウイグル自治区における人権問題への深刻な懸念についても共有したことを明らかにした。両国は北朝鮮による先日の相次ぐミサイル挑発についても共同で糾弾声明を出すなど、対北朝鮮政策や中国けん制路線で徐々に密着度を強めている。

     

    (1)「これに対して文在寅(ムン・ジェイン)政権は終戦宣言など任期末の「南北平和イベント」への執着を捨てられないことから「米国中心の対北・対中圧力路線から離脱している」との見方が浮上している。実際にワシントンでは「かつて米国が東北アジア政策の重要なツールとして活用していた韓米日三角協力が韓国の非協力的な態度でその機能を発揮できず、クアッドやAUKUSなど新たな安保協力体に依存するに至った」との見方もある」

     

    韓国は、日米韓三角協力の環から脱落して、南北融和路線を模索して突き進んでいる。文大統領の両親は、北朝鮮出身だけに文氏自身も北朝鮮が墳墓の地となる。北へは格別な思いがあって当然としても、それは私情である。大統領として外交の采配を振るう身とすれば、私情を封印して韓国の将来に身を捧げるのが筋だ。

     


    (2)「複数の専門家は、このように韓米日協力体制が揺らぐ状況でバイデン大統領訪日のニュースが飛び込んだことに注目している。バイデン大統領は昨年4月、就任後最初の首脳会談で日本の菅義偉首相(当時)、2回目には文大統領を選んだ。今回日本とはそれから約1年ぶりの首脳会談が実現したが、韓国との首脳会談は現時点で検討されていないという。韓国のある外交官幹部OBは「バイデン大統領が、東京だけを訪れソウルをパッシングするという万が一の外交惨事を懸念している」「大統領選挙を前に韓国の政治情勢が流動的であることを考慮しても、これはできれば避けたい状況だ」と述べた」

     

    バイデン氏は、クアッド首脳会談目的で訪日する。そのクアッド参加を拒んだ韓国が、バイデン氏に訪韓してもらいたいというのは、余りにも虫が良すぎる話だ。

     

    (3)「クアッド首脳会議に中国は極度に神経質な反応を示す。日本の読売新聞によると、今回の首脳会談でバイデン大統領は中国の習近平国家主席が、かつて米中首脳会談で「クアッド首脳会議は開催しないでほしい」と発言した逸話を紹介したという。当然、中国は強く反発した。日本の中国大使館は「(米日)両国が冷戦的な思考にこだわって集団政治を行い、陣営対立を扇動している」と批判した」

     

    習近平氏は、バイデン氏に対して「クアッド首脳会談を開催しないで欲しい」と要望した。日米豪印の対中結束が、習氏への圧力になっているのだ。これは、クアッド結成が成果を上げている証拠である。

     


    (4)「昨年1年の間に米国は、通商・外交・情報分野の閣僚や次官クラスを日本だけでなく韓国にも何度も派遣し、グローバル・サプライ・チェーンの再編など中国に対するけん制・圧力への韓国の参加も強く求めた。これに対して韓国は、今も明確な回答を示していない。米国中心の北京冬季オリンピックに対する外交的ボイコットも日本は即座にこれに同調したが、韓国は「ボイコットは検討していない」として事実上拒否の意向を明確にした
    。ワシントンのある外交筋は「昨年5月の韓米首脳会談後の共同声明は、米国による対中けん制路線に事実上韓国が加わる内容だったが、その後に韓国が示した行動はそうではなかった」と指摘した

     

    下線部分は、韓国の言行不一致を証明している。米韓共同声明では米国へ寄り添う姿勢を見せても、後は実行しないのだ。典型的な、「口舌国家」である。これでは、バイデン氏が韓国へも寄ろうという気持ちになるはずがない。

     

    (5)「北朝鮮が先日4回にわたりミサイル挑発を行ったことへの対応でも韓国と米国の温度差は明確になっている。米国は、北朝鮮が武力示威を行うたびに「安保理決議違反」として糾弾はもちろん単独制裁まで発動した。北朝鮮ミサイルの射程圏内にある韓国政府は、糾弾でなく遺憾という言葉ばかりを繰り返している。北朝鮮による挑発を糾弾する声明に韓国が抜け日本が加わるパターンも繰り返されている」

     

    韓国は、北朝鮮へ腫れ物に触るような逃げ腰である。これでは、北朝鮮に舐められて当然である。北にとっての韓国は、「でくの坊」に映っているに違いない。操縦しやすい相手なのだ。

     


    (6)「文大統領による最近の中東歴訪も「任期末外交が混乱している一つの断面」との指摘が相次いでいる。文大統領の歴訪はコロナの感染拡大や北朝鮮によるミサイルの連続発射という状況で行われた。青瓦台(韓国大統領府)は「必ず行かねばならない事情がある」と主張しているが、事前に予告していたエジプトへの防衛装備品輸出などは実現せず、アラブ首長国連邦(UAE)では首脳会談も行われなかった。そのため野党などからは「確実な成果が得られる見通しもないままこの渦中に席を空けるべきだったのか」との批判が出ている。上記の外交官幹部OBは「外交政策の優先順位に対する判断が麻痺したと言わざるを得ない」とコメントした」

     

    中等歴訪は、疑義の多い海外訪問であった。下線のように、UAEでは首脳会談が直前に中止となったのだ。「突発的な事故発生」が理由であるが、海外の賓客に対する態度ではない、文氏は、帰国に当たり「韓国の国格が確実に上がっている」と自画自賛した。こういう「お国自慢」をしているのも韓国らしい話である。

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    台湾は、欧米への経済的協力で積極的姿勢を見せる。米国に対しすでに、インド太平洋戦略の経済的枠組に協力する意向を固めている。中国が、「戦狼外交」によって反感を買われているのをチャンスに、台湾のトレードマークである半導体技術をひっさげ、台湾への友好国を増やす戦術だ。

     

    中国は、東欧のリトアニアが台湾代表部設置することで反対し対立を深めている。台湾は、これを機にリトアニアへ10億ドルの協力金を提供し、半導体工場建設を示唆している。これは、EU(欧州連合)全体に「台湾歓迎ムード」をもたらしており、EUは中国によるリトアニアへの経済制裁に対抗措置をとる方向へ動いている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月20日付)は、「台湾、米主導の経済枠組み参加に意欲 駐米代表会見」と題する記事を掲載した。

     

    台湾の駐米大使に相当する駐米台北経済文化代表処の蕭美琴代表は日本経済新聞のインタビューに応じ、米国が創設をめざすインド太平洋地域の経済的な協力の枠組みに「台湾も加われるよう希望している」と参加に意欲を示した。サプライチェーン(供給網)やデジタル貿易、インフラなどで民主主義勢力が連携し、中国の威圧に対抗する必要があると強調した。

     

    (1)「蕭氏は、安全保障に関する蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の上級顧問を経て2020年7月に現職に就いた。蔡氏の右腕として知られ、外交政策の決定に深く関わる。21年1月にはバイデン大統領の就任式に出席した。米大統領の就任式に台湾の駐米代表が正式に招待され、出席するのは1979年の米台断交後初めて。21年12月にバイデン氏が主催した「民主主義サミット」にも参加した。蕭氏はインタビューで、民主化の成功で開放性や創造性を高めた台湾の民主主義の維持は「価値だけでなく、戦略としての重要性がある」と語り、中国による香港への抑圧などアジアの民主主義を後退させないために極めて重要と指摘した」

     


    中国による香港への「国家安全維持法」導入以来、西側諸国は台湾を守れという意識が高まっている。これは、中国にとって予想外のことであろう。香港を得て台湾を失った感じである。インド太平洋戦略は、表面には出ていないが台湾防衛が主題である。そうでなければ、結成する意味はなかったであろう。

     

    (2)「バイデン米政権の複数の高官は、日本などの同盟国・友好国と近く「インド太平洋経済枠組み」を立ち上げ、経済面でのアジア関与を強める意向を示している。蕭氏は「中国の経済的な威圧、不正な操作、影響力の行使に対抗するには、国際的な貿易ルールを尊重する民主主義勢力が結束、連携するしかない」と語り、サプライチェーンの安定へ重要な役割を担う台湾を枠組みに入れることが「全ての参加者にとっての利益になる」と言明した。台湾が締結を目指す米国との貿易協定については「米国が重要性を真剣にとらえるよう希望する」と述べた」

     

    「インド太平洋経済枠組み」は、条約という形式を踏まない見込みである。議会で承認という煩雑さを嫌い、実効面で効果の上がる方式を模索していると言う。台湾も、この枠組に加入して、「クアッド」を経済面で支えることで「日米豪印」へ貢献しようという狙いと見られる。こうなると、台湾は韓国とバッティングすることになる。韓国の立ち位置が微妙になろう。

     


    (3)「中国による台湾への軍事的、経済的な威圧については、「武力行使を排除しない意志、軍事能力の急速な強化の両面で、深刻な脅威を感じる」と明言。台湾の自衛力増強によって中国の実力行使を阻止することを最優先の課題に挙げた。中国の抑止に向けた米国と台湾の防衛協力は「非常に幅広く多面的だ」と強調し、台湾海峡の現状維持へ米国が日本、オーストラリアや欧州の同盟国と結束を強めている動きを評価した」

     

    台湾は、秘密裏に山中に飛行機や武器弾薬を隠していると言われる。中国の不意を突く戦略である。米軍によって、台湾軍の訓練が行なわれている。

     


    (4)「蕭代表は、「米国の党派を超えた台湾への支持に感謝する」と述べ、与党・民主党、野党・共和党の両党議員から数多くの台湾訪問の申し出があると明らかにした。現在は新型コロナウイルスの厳しい感染防止措置で動きが鈍ったが「さらに多くの米議員による台湾訪問を歓迎する」と、交流の一段の深化に期待を示した。日本との関係では「台湾への新型コロナワクチンの寄付に感謝する」と表明。台湾が中国とほぼ同時に申請した環太平洋経済連携協定(TPP)への参加では「日本や地域の有力国がオープンな姿勢で台湾を支持してくれることを強く期待する」と述べた」

     

    台湾のTPP加盟について、日豪は「歓迎する」と言明している。だが、中国については、「条件クリアは厳しいだろう」と釘を刺している。台湾を歓迎し、中国を拒否する意向だ。台湾が、TPPへ加盟すれば台湾の国際的認知が一層進むと見られる。

     

     

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    安易な財源造りが命取り

    地価値下がりで経済直撃

    ゼロコロナが消費を圧殺

    高齢社会入りの「悲劇」

     

    中国のGDP統計が発表された。21年の実質経済成長率は、前年比8.1%である。その限りでは、高い成長率という評価になるが、四半期別に成長率推移を見れば、ゾッとするような急激な右肩下がりの成長であった。参考までに、四半期別成長率を示したい。

     

    21年四半期別成長率推移(前年同期比)

    1~3月期   18.3%

    4~6月期    7.9%

    7~9月期    4.9%

    10~12月期  4.0%

     


    上半期は、パンデミック下で前年同期が低成長で「ベース」が低かったので、高い成長率になったもの。いわば、形式的な高い成長率と言える。ところが、下半期になると事情は一変する。4%台へ低下している。注目点は、この4%台の成長コースが、22年経済にそのまま引継がれるリスクである。22年に入って改善を期待される需要項目が見当たらないのだ。今年の中国経済が、深刻な事態に向かっていることは明らかである。

     

    前記の短期的な経済問題に加えて、さらに大きな問題が浮上した。21年の出生数が1062万人と、1949年の建国以来で最低水準へ落込んだことだ。一方、死亡者は1014万人と出生数と接近している。こうして、昨年の「自然増」は48万人にすぎず、今年から「自然減」は不可避の状況になった。世界一の人口大国である中国が、ついに「人口減社会」へ突入する。この経済的、政治的インパクトは極めて大きいのである。

     

    これまで2027年ごろに、インドの人口が中国を抜くと見られてきた。だが、中国の予想以上に早い人口減入りによって、世界の人口トップの座はインドへ移る時期が早まる見込みである。

     


    中国は、これまで「世界一」の人口を誇ってきた。そのプライドが消え、同時に低水準の経済成長率が恒常化すれば、中国経済は一挙に「老齢期」を迎える。もはや、「元気溌剌」な経済は昔話になり、これからは常時、「年金財政破綻」を気にしながら経済運営する綱わたり経済へ移行する筈である。

     

    安易な財源造りが命取り

    中国における最大の見誤りは、「土地本位制」経済にたっぷりと浸かってきたことだ。日本の平成バブルが、不動産担保金融の破綻であったと同様に、中国も同じ過ちを国家レベルで行なったという救いがたい事態へ落込んでいる。

     

    平成バブルは、民間企業が土地を担保にして銀行から借り入れを増やしたことが発端である。通常の不動産担保は、時価の6割が妥当な評価水準である。ところが、実際には120%というさらなる値上り期待で銀行融資が行なわれていた。こういう貸出姿勢の金融機関が、その後の地価崩壊ですべて整理の対象になった。私は、この状況を記者として目の当たりにした。1990年のバブル崩壊(1月4日に株価大暴落)を、最も早い時点で「週刊東洋経済」社説で取り上げたのである。

     

    日本の場合は、民間企業における異常な金融問題であった。中国は、土地国有制を「悪用」して、土地売却益を中央・地方政府の財源(2020年は35%)に繰り入れていることだ。これは、中国全体が不動産担保金融に落込んでいた希有の事例である。

     

    世界最初の中央銀行は、英国のイングランド銀行(1844年)である。通貨発行の担保を何にするかで議論した。その際、土地担保案が出されたが、地価上昇によるインフレを警戒して却下した。代わって、商業手形が選ばれた。これならば、経済活動が一巡すれば回収されてインフレを招かないという理由である。この背後には、金本位制が控え通貨価値への信頼性をさらに保証した。

     

    中国は、前記のような通貨発行の歴史に挑戦して、「土地本位制」を選んでしまった。これまでは、地価値上りで財源が豊富であった。インフラ投資や国防費の隠れ予算にふんだんに使ってこられたのである。中国が、世界覇権を握れると錯覚した経済的な要因は、この土地本位性の「魔性」にある。打ち出の小槌を握っていると錯覚したのだ。

     


    現在、住宅バブルの崩壊で地価が値下がりしている。地価値下がりによる土地売却益減少で、地方政府は財源不足の直撃を受けている。すでに公務員の給与が大幅カットされた。中国経済は、地価値下がりで沈没の危機を迎えている。そういう認識が、中国当局にあるだろうか。

     

    20年の土地売却益は、過去最高の8兆4000億元(1兆3000億ドル)であった。これは、豪州のGDPを若干、下回る程度である。豪州のGDP(1兆4234億ドル)は、世界13位だ。これだけの「国富」を地価値上りで手にした中国は、錬金術で土地を「通貨」に変えたのである。手品は、いつまでも通用しない。去年から「ネタばれ」状態になっており、今年はさらに下落するという予測が一般的である。(つづく)

    次の記事もご参考に。

    2022-01-13

    メルマガ325号 「自縄自縛」習近平の敗北、コロナとバブル崩壊が追詰める中国経済

    2021-12-20

    メルマガ320号 予想以上の経済失速 習近平は「顔面蒼白」 危機乗切り策やっぱり「

     


     

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