勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    日本は、7日から緊急事態宣言下にある。欧米で猛威を振るってきた新型コロナウイルスも、次第に減速兆候を見せ始めている。米国では、どのようにして経済活動を再開するかという議論が始まっている。日本は現在、ひたすら政府や地方自治体の指示を守って、「コロナ台風」の去るのを待つほかない。その間に、再始動への青写真を書かなければ、時間の空費となろう。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月9日付)は、「コロナ対策の次なる課題、経済をいかに再始動するか」と題する記事を掲げた。

     

    (1)「感染ペースに鈍化の兆しが出る中、米国全体が一刻も早い経済活動の正常化を願っている。だが、これに伴い、多くの疑問も生じる:いかなる条件で在宅勤務命令を解除し、職場復帰を認めるべきか? ウイルス感染の再発を防ぐため、労働者の再感染や抗体をいかに監視すべきか? 活動再開は段階的にすべきか、もしくは一斉に行うのか? 誰がこの取り組みを指揮するのだろうか?」

     

    経済活動を止めるのはやりやすいが、再開の手順はきわめて難しい。再感染リスクをいかにして回避するかが、ポイントになるからだ。中国のように工場再開命令を出して、再び延期する事態は避けなければならない。それには、疫学的な判断がカギをにぎる。

     

    (2)「まずは、新規感染者の急減が重要な最初の一歩となるが、専門家はウイルス再発で都市封鎖の復活を余儀なくされる事態を回避するには、他の措置も必要だと指摘している。これには検査や監視システムの構築に加え、「ソーシャルディスタンス(一定の対人距離確保)」戦略など、必要に応じて制限措置の一部を再導入する準備を整えておくことなどが含まれる。企業や個人が感染のリスクを冒さずに職場復帰できるとの信頼感を醸成するためだ。「照明のスイッチをオン・オフするようにはいかない」。

     

    ソーシャルディスタンス(一定の対人距離確保)」戦略は、不可欠である。職場では、オフィスの面積に限度があるから困難な話だ。

     


    (3)「米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のポッドキャスト、「ザ・ジャーナル」とのインタビューでこう述べた。「特定の制限措置を段階的に解除し、社会生活を少しずつ元の状態に戻す取り組みになる」。同所長は、まずは感染者の大幅な減少が最初の条件となるとし、「絶対に正しい方向に向かっていると確信する必要がある」と述べた。「それから、じわりと元に戻す。一気に両足を突っ込むようなことはしない」

     

    特定の制限措置を段階的に解除し、社会生活を少しずつ元の状態に戻す取り組みが必要という。日本を例に取れば、特別警戒宣言の中でも重要項目の一つか二つを外してみて、2週間の感染者発生の状況を見る。こういう尺取り虫のような動きであろうか。こうして、一つ一つ規制を解除しながら様子を見ることになるのだろう。

     

    (4)「公衆衛生の専門家は、再発防止策として、ソーシャルディスタンス戦略の緩和後は、全米規模の検査、追跡、監視システムが必要だと指摘している。だが、連邦政府はまだこれらを整備する段階に至っていない。専門家によると、必要な対策には、無症状だがウイルスを広げる可能性のある感染者を特定する作業も含まれる。連邦政府のデータによると、米国の検査率は300人に約1人。100人に約1人の割合で検査を実施しているドイツを大きく下回っている」

     

    下線部分が必要になる。大規模な検査システムの構築である。幸い、日本企業が簡易型の検査キットを開発している。それを使って、機動的に対応することが必要になる。理想的には、個人が簡単に検査できるキットが完成すれば、申し分ないのだが。

     

    (5)「専門家の間では、経済活動再開のシナリオは、アコーディオンのようになるかもしれないとの声が出ている。ソーシャルディスタンス戦略が緩和されれば、ウイルス再発で再び厳格化せざるを得なくなる地域が出現するといった具合だ。ワクチンの開発は少なくとも1年~1年半先とされるが、この見通しでさえ楽観的だと考えられている。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は、制限を解除しようとする州や地方政府の取り組みについて、検査・治療態勢を増強する措置を伴わなければ、経済には逆効果だとして慎重な姿勢を示している

     

    防疫専門家の間では、経済活動再開シナリオは、アコーディオンのようになるとも言っている。広げたり縮めたりという意味であろう。FRBでは、検査・治療態勢を増強すべきとしている。コロナ感染の二波、三波を防ぐには、こういう慎重さが求められるということだ。

     

     

     

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    世界は、新型コロナウイルス感染でどん底へ突き落とされている。WHO(世界保健機関)は、なぜか震源地である中国を庇ってきた。中立であるべき国際機関が、中国の利益を代弁するようなことでは、世界の結束を守ることが困難になろう。米国トランプ大統領が7日、新型コロナウイルス感染拡大を巡り、WHOが「中国中心主義」で、世界に不適切な提言を行っていると批判し、WHOへの拠出金を停止する考えを示した。

     

    『ロイター』(4月8日付)は、「トランプ氏、WHOは中国寄り、新型コロナ対応で批判、拠出金停止も」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「トランプ大統領はツイッターへの投稿で「WHOは大きく失敗した」と言明。「米国による大規模な出資にもかかわらず、どういう訳かWHOは中国中心主義となっている。われわれはこうした点を精査する」と述べた。さらに、新型コロナ流行にもかかわらず、WHOが1月31日に世界各国に渡航や貿易制限を勧めないと提言したことについて、「米政府は幸運なことにWHOの提言に従わなかった。なぜあのような誤った提言をしたのか」と批判した。米政府は1月31日に中国に対する渡航制限措置を発表した」

     

    WHOが、中国擁護の姿勢では国際機関としてふさわしくない。本欄でも、これまで複数回、テドロス事務局長の言動を批判してきた。感染源である中国を庇うことは、WHO加盟国にとって不愉快きわまりない話だ。テドロス事務局長は、中国で習近平氏と会談したが、武漢市には行かなかった。こんなWHO事務局長では、新型コロナウイルスの感染源究明は不可能であろう。

     

    WHOが、1月31日に世界各国に渡航や貿易制限を勧めないと提言したことは、最大の失敗である。これが、世界中へ感染を拡大させる要因になっている。中国のメンツを守る立場の決定であることは疑いない。

     


    (2)「トランプ氏はその後、ホワイトハウスの会見でもWHO批判を繰り返した。「彼らは誤った判断をした」とし、「WHOへの資金拠出を停止する」と述べた。トランプ氏に近い共和党のグラム上院議員は、上院の次期予算法案にはWHO向け資金を盛り込まない方針を示した。同議員は、FOXニュースチャンネルのインタビューで「私は予算に関する小委員会の責任者だ。現在のリーダーシップ下でのWHOへの資金拠出を支持するつもりはない。彼らはあてにならず、対応が遅く、中国の擁護者となってきた」と語った。共和党のルビオ上院議員も先週、WHOのテドロス事務局長について「中国政府がWHOを通じ世界を欺くことを容認した」と批判し、辞任を要求した」

     

    米国下院では、中国非難決議の中にWHOを調査する項目を入れている。米国の怒りは大きく、特に中国を擁護したことが許しがたい行為と見えるのであろう。米国が、WHOへの拠出金支払いを拒否することになれば、WHO活動は半身不随に陥る。WHOは、自己批判を迫られよう。

     

    WHOは、中国の指示で台湾を追放している。今回のようなパンデミックでは、中国の思惑を排して、台湾を復帰させるのがWHO精神から言って当然だ。それすらできず、中国の支配に屈しているWHOであれば、存在意義が問われよう。WHOが、中国の支配下にある理由は、次の記事がこの間の事情を説明している。

     


    『中央日報』(3月26日付)は、「習近平主席はなぜWHOに行ったのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイェ・ヨンジュン論説委員である。

     

    (3)「新型コロナの出現は誰も予測できない「ブラックスワン」だったとしても、今のように全世界に広がる事態は防ぐことができた。防げなかった原因は油断だ。その油断をあおったのがWHOという事実にはあきれる。先制的な警報はおろか、非常事態宣言も、パンデミック宣言もかなり遅かった。中国の感染者が爆発的に急増していた時期にテドロス事務局長は「よく防いでいる中国に感謝しなければいけない」とし「人的移動制限を勧告しない」と繰り返した。韓国政府が、医師協会や感染学会の進言を一蹴した名分もWHOの勧告だった。今ではWHOの勧告に従う国はない」

     

    下線部分のように、WHOは判断ミスを繰返した。中国の強い圧力を受けていたのだろう。

     

    (4)「WHO事務局長はなぜそのような勧告を繰り返したのだろうか。中国の影響以外には説明できない。テドロス事務局長はエチオピアの保健相と外相を務めた。彼が外相だった2012-16年は、中国が一帯一路の橋頭堡であるエチオピアの鉄道・港湾に莫大な投資をした時期と重なる。エチオピアはアフリカで中国の3番目の投資国だ。テドロス事務局長の前任者である香港のマーガレット・チャン氏は中国の推薦と支援でWHO事務局長になった」

    テドロス事務局長が、エチオピア外相だった2012-16年は、中国が一帯一路の橋頭堡であるエチオピアの鉄道・港湾に莫大な投資をした時期と重なる。エチオピアは、アフリカで中国の3番目の投資国という事情が、全てを物語っているのだ。エチオピアが、国家として中国の世話になった恩義を、テドロス氏はWHO事務局長としてお返ししている倒錯した関係である。

     

    (5)「中国の影響が強まったWHO体制で最も大きな被害者は台湾だ。国際機関のうち最後までオブザーバー資格を維持して総会出席権を保有していたWHOから2016年に追放された。台湾の外交孤立に動き出した中国の圧力というのは公然の秘密だ。WHOで屈辱を受けた台湾がコロナ防疫でWHOの勧告と正反対の道を歩んで成功している。WHOの勧告を信じて従った国ではウイルスが広がり、台湾やシンガポールなどWHOの勧告と反対の道を選択した国は防疫の模範になった。防疫と政治の錯綜こそが防疫を亡ぼす主犯だ。WHOが自ら反面教師になって知らせた真実だ。その裏には国際社会の覇権を握ろうとする中国の力がちらつく。いま我々が生きている世の中はこのように動いている」

    台湾は2016年、中国の差し金でWHOから追放された。しかし、これを阻止しなかった自由主義国の責任も大きい。ただ、一つ「エクスキューズ」があるとすれば、「中国は一つ」という原則論である。当時はまだ、中国のこの主張が通る国際情勢であったということを知る必要があろう。現在では、あり得ない決定である。わずか4年で、中国を取り巻く国際情勢がこれだけ変わったと言うことである。中国の落勢がめだつのだ。

     

     

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    米中貿易戦争で、中国のファーウェイ(華為)は、米国からの輸出禁止措置を受けている。だが、1月発売のスマホ新製品は、相変わらず米国製品に依存していることが分かった。中国側は、口では「自主独立」を標榜するが、実態はきわめて困難なことを示している。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(4月1日付)は、「ファーウェイ、禁輸後も米社製部品を使用」と題する記事を掲載した。

     

    米政府から事実上の輸出禁止措置を課されている中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、1月に発表したスマートフォンの最新モデルに米国製品を使用していることが、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の分解調査で明らかになった。

     

    (1)「米政府は20195月にファーウェイに禁輸措置を発動しており、米国企業は商務省から個別に許可を得ない限り同社とは取引できない。126日に公表したスマホの最新シリーズ「P40」は同社が禁輸発動後初めて発売した主力製品となる。ファーウェイはトランプ米大統領から中国政府のスパイと名指しされており、禁輸発動後は米国以外の企業から部品を確保しなければならなかった。特に致命的なのは、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」上で動作するアプリ開発・配信プラットフォームを使用できなくなったことだ」

     

    米政府が禁輸相手としたファーウェイが、新製品で米国部品を組み込んでいることが判明した。FTが、スマホの最新シリーズ「P40」の部品分析を依頼した結果である。そのカラクリは、最後のパラグラフで分かるように、世界中の流通網から仕入れた模様だ。この事実が分かった以上、米国政府はそこまで追及の手を広げて、「ファーウェイ退治」に乗出すのか注目される。

     


    (2)「FTは最新モデルの「P40プロ」だけでなく、制裁の直前にファーウェイが発売した19年モデル「P30」も分解して両モデルを比較した。分解作業は深圳に拠点を置くXYZoneが担当した。同社はスマホを分解して部品の供給元を割り出すサービスを提供している。
    携帯電話は同じモデルでも製造時期によって異なる部品を搭載することがある。FTが分解したのは発売直後に入手したP40だ。最も意外だったのは、ファーウェイが米政府から事実上の禁輸措置を課されているにもかかわらず、最新機種に米国部品を搭載していたことだ

     

    ファーウェイが、米国から禁輸措置を受けている部品を組入れている理由は何か。ビジネス上、不可欠であるので採用しているのだが、米国政府と新たな摩擦になることを予測していないのかどうかである。米国が、新たな制裁を加えれば、「それもやむなし」という捨て身の戦法なのか、だ。

     

    (3)「XYZoneの分解調査によると、P40では米半導体メーカー3社(クアルコム、スカイワークス・ソリューションズ、コルボ)の高周波フロントエンドモジュール(FEM)が搭載されていた。FEMはアンテナに接続し、通話やインターネット接続に欠かせない通信用の基幹部品だ。クアルコムの事情に詳しい消息筋によると、最新機種に搭載されている同社製品は米商務省の輸出許可を受けているという。コルボとスカイワークスはコメントの要請に応じなかった。「ファーウェイは1回の製品開発サイクルで多くの米国部品を代替生産し、米政府の制裁への高い対応力を示した。とはいえ、コルボとスカイワークスの半導体が引き続き搭載されているのを見る限り、米国技術への依存から脱却するのは至難の業のようだ」と、中国の調査会社、龍洲経訊(ガベカル・ドラゴノミクス)のテクノロジーアナリスト、王丹(ダン・ワン)氏は分析する」

     

    クアルコムの消息筋によると、最新機種に搭載されている同社製品は米商務省の輸出許可を受けているという。これが事実とすれば、米商務省が「弾力的運用」で認めたのであろう。コルボとスカイワークスは「ノーコメント」だ。これは、ファーウェイが迂回輸入したことを暗に認めたのだろう。いずれにしても、ファーウェイが、次世代ネットワーク「5G」で世界支配を目指していても、技術的には米国依存姿勢を暗示している。米国政府は、新たな「攻め所」が浮上したので、その対策に乗出すに違いない。

     

    (4)「米政府が安全保障上の脅威となる外国企業を列挙した「エンティティー・リスト」にファーウェイを指定したため、米企業は商務省の承認を得ない限り、同社に米国製の技術を輸出できない。一方、ファーウェイ製の無線設備の更新を迫られた米通信事業者の要請に応じ、米政府は米国外でも手に入る汎用部品に限定して輸出を一部認めた。しかし、P40のような最新のハイテク製品に使う部品の輸出は認可していない。米国製品を採用するには商務省に個別に申請する必要があるが、商務省はどの製品を認めたのかまで明らかにしていない。ファーウェイの広報担当者は「米国をはじめ各国の輸出管理規則を常に順守している」としたうえで、「搭載部品はすべて世界中のパートナー企業から合法的に調達している。今後もパートナー企業と連携し、消費者に高品質な製品やサービスを提供していく」と強調した」

     

    ファーウェイは、下線のように答えている。世界中のパートナー企業(提携企業)から合法的に仕入れていると胸を張っている。米司法省は、これまでファーウェイを「イラン禁輸措置違反容疑」で摘発してきた。今回の一件には、どう対応するのか、である。その法的な裁きが注目される。

     

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    中国外交部報道官が、約1ヶ月前に自らのツイッターに、「武漢発症の新型コロナウイルスは、米軍兵士が持込んだもの」という出所不明の偽情報を掲載した。しかも、「この情報を広く世界に伝えて欲しい」という一文まで添えたのだ。米国は、これに強く反発した。その後、駐米中国大使がこの発言を全面否定して、事態の沈静化を図るという騒ぎにまで発展した。

     

    米中外交のど真ん中に投げ込まれた「フェイクニュース」は、4月7日の中国外交部の公式発言で当人自らが否定して幕引きを計った。これによって、「フェイク」がきれいさっぱり消える訳でない。発言の意図と今回の打ち消しの目的は、何であったのかが改めて問われるのだ。

     

    中国外交部報道官と言えば、いくらツイッターとはいえ、公的な存在である。その当人が、私的な形式とは言え「米軍兵士説」を流したのは、中国指導部の承認を受けて行なったと見るべきだ。それが、1ヶ月後に否定したのは、世界における中国の立場が、悪くなっていることの反映であろう。

     

    中国は一筋縄でいかない国である。絶えず、策謀が巡らしている。陰謀こそ、中国の「命」と言ってもいいほどだ。だが、これまでその策謀が成功したとしても、もはや今後は無理である。世界中が、その陰謀の手口を知ってしまったからだ。秦の始皇帝以来の外交戦術は、「合従連衡」である。この域を一歩も出ない古色蒼然としたスタイルである。いたってシンプルであるから、一度、中国に騙された国は、二度と騙されないという貴重な経験を積む。

     

    先進国が、今回の「米軍兵士説」を受け付けず、逆に中国批判を強めたことに驚き、路線修正に転じたものであろう。言ってみれば、外交的なアドバルーンが失敗して、慌てて恥を忍び記者会見に登場したのだ。

     


    『日本経済新聞 電子版』(4月7日付)は、「米軍ウイルス持ち込み、発言を訂正、中国報道官」と題する記事を掲載した。

     

    中国外務省の趙立堅副報道局長は7日の記者会見で、3月にツイッターで根拠も示さないまま「米軍が感染症を湖北省武漢市に持ち込んだのかもしれない」と主張したことについて「米国の一部の政治屋が中国に汚名をかぶせたことへの反発だった」と釈明した。米国を中心に国際的な反発が広がっており、訂正した。

     

    (1)「趙氏は、「ウイルスの発生源は科学の問題で、科学者の専門的な意見を聞く必要がある」と話した。趙氏が記者会見に姿を現したのは約1カ月ぶり。趙氏のツイートは米欧のメディアでも大きく取りあげられたことから、ネットで「更迭説」まで飛び交っていた。趙氏は、「中米両国はウイルス対策で連携を強化したい」とも述べた。中国共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部は米欧や日本、アフリカなどに医療物資を寄付する「マスク外交」を加速し、国際的な世論の支持を得ようと動いている」

     

    米中両国は、「ウイルス対策で連携を強化したい」と今になって言い出した裏には、米国が急ピッチでウイルス・ワクチン開発を進めていることを視野に入れたものだろう。米国が開発に成功したならば、中国にも分けてくれと言う意思表示であろう。米国は、かつてないスピードでワクチン開発に突進している。

     

    「(米)研究者たちは、通常なら数カ月かかるスケジュールを、数週間から数日単位にまで短縮している。ジョンソン・エンド・ジョンソン (J&J)の科学部門責任者のポール・ストッフェルズ氏は、『われわれがこれほど迅速に、これほどの資源を投じて、これほど短期間に開発を進めたことはかつてなかった』と述べている。それでも、大半の治療方法とワクチンの臨床試験で安全と有効性が確認されるのは、盛夏を過ぎたころになるだろう。J&Jはワクチン開発の見通しが明るいとみているが、臨床試験を開始できるのは9月以降になりそうだ。研究開発の進展は、通常の基準で判断すれば素晴らしいが、それでもウイルスの急速な拡大にはまったく追い付いていない」(『ウォールストリートジャーナル』4月7日付)

     

    中国は、こういう状況を目の当たりにして、米国の「お裾分け」を狙っているのであろう。ともかく、「他人の褌で相撲を取る」ことにおいて、抜群の才能を持つ民族である。

     

    (2)「トランプ米政権は新型コロナへの対応に苦戦しており、中国共産党の統治の優位性を印象づけるねらいもありそうだ。趙氏の「米軍のウイルス持ち込み説」を巡ってはポンペオ米国務長官が「今は偽情報やくだらない噂を流布するときではなく、あらゆる国が共通の脅威に連携して立ち向かうときだ」と猛反発した。中国の崔天凱駐米大使も「誰かがばらまいた狂った言論だ」と述べ、火消しに追われていた」

     

    下線部分は、1ヶ月前の話である。現状は、全く変わってしまった。武漢市が、相次ぐ感染者の増加に手を焼いている。新型コロナウイルスの恐ろしさを認識せず、SARS(2003年)程度の認識でいたことは間違いない。だから、「米軍兵士説」という奇想天外な話を組立てれば、世界を簡単に騙せると見たのだろう。ところが、武漢市は当初予想を覆して、ゾロゾロと感染者が発生している。封鎖してきた団地から患者が出ているのだ。米国のご機嫌取りをしてまで、ワクチンの恩恵に預かりたい。そういう心理状態になったとしても、不思議はないのだ。中国外交は、目先の利益で動いている。


     

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    中国は、世界中に新型コロナウイルス菌をばらまいた。国内経済は、その「呪い」に罹り始めた。武漢市の都市封鎖解除は、4月8日(お釈迦様誕生日)という縁起の良い日を選んでいるが、前途は多難というべきだ。先ず、失業率の急上昇とそれに伴う個人ローンの滞納増加が、中国経済の信用機構を直撃するはずだ。また、失業率増加が社会不安を引き起す。こういう2大問題が、習近平氏の背中にのしかかって来た。

     

    習氏はこれまで、経済の暗いニュースの報道を禁じてきた。ところが、そういう規制の網をくぐって真実の姿が垣間見え始めている。これは、実勢悪によって統制が緩んできている証拠だろう。中国経済は、「コロナの呪い」で大きく揺らぎ始めている。

     

    『ハンギョレ新聞』(4月6日付)は、「中国、『大恐慌』警告に、『失業率25%』憂慮すら」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散傾向が統制不能なまま続けば、世界経済が大恐慌に次ぐ最悪の状況に陥る可能性があると、中国中央銀行の当局者が指摘した。公式集計とは異なり、中国の失業率が最大25%を上回るとの推定が金融界から出てくるなど、新型コロナが経済全般に及ぼす影響に対する警告が強まっている。

     


    (1)「『サウスチャイナ・モーニングポスト』(4月6日付)は、中国人民銀行の朱ケイ国際司長(局長)の話を引用し、「新型コロナウイルスの拡散を統制できない状況が続く中で、実物経済の悪化と突発的な金融危機が重なるならば、大恐慌級の状況が発生する可能性がある」と伝えた。これに先立って朱ケイ国際司長は1日、経済メディア『第一財経』への寄稿で「現在、市場が直面した最大の不確実性は、新型コロナウイルスの拡散であり、これは各国中央銀行の断固かつ強力な通貨政策をもってしても統制不可能だ」として「防疫のための対面接触遮断の経済的費用が深刻な状況であり、可能性は低いものの新型コロナが2008年の世界的金融危機を超えて大恐慌時に匹敵する水準に駆け上がりかねないことに備えなければならない」と指摘した」

     

    米国経済は、4~6月期にマイナス成長幅が拡大するという事態を迎えている。中国経済は、対米輸出が落込めば、その悪影響で経常収支を圧迫して赤字転落の引き金を引くことになろう。こうなると、米国マイナス成長=中国輸出減=中国経常赤字化という切迫した問題に転化する気配である。米国の問題が中国の問題になる点で、中国は米国依存症という弱味を抱えている。中国が、政治的に米国へ対抗しようというのは、無鉄砲で自滅的行動なのだ。

     

    (2)「新型コロナの拡散とあいまって、世界的に失業の恐怖が高まっているなかで、中国の実質失業率は当局の公式発表値より4倍以上高いだろうとの金融界の分析も出てきた。深圳ワンジョン資産管理有限公司の劉陳杰チーフエコノミストは最近、経済メディア『財新』への寄稿で「中国国家統計局は12月の失業率を6.2(2740万人)と発表したが、29千万人に及ぶ農民工(移住労働者)が統計から排除されるなどの限界がある」として「農民工をはじめ多くの労働者が新型コロナ防疫のための移動制限で職場に復帰できない点を考慮すれば、実質失業率ははるかに高いだろう」と伝えた」

     

    中国の失業統計は、都市労働者だけを対象としている。農民工(2億9000万人)は対象外である。都市労働者の失業率上昇は、自動的に農民工の失業率上昇と読むべきである。国家統計局は12月の失業率を6.2%(約2740万人)であるが、農民工を含めた実質失業率はこれをはるかに上回っているはずだ。

     


    (3)「劉氏はさらに、「大企業労働者500万人、中小企業労働者2000万人、サービス部門労働者18千万人など、職場に復帰できない約2500万人の労働者が摩擦的失業状態にあると推定され、その場合に中国の実質失業率は25%を超えるだろう」とし「時間の経過によりこうした状況は自然に回復するだろうが、回復の速度と程度は新型コロナの世界的拡散状況によって変わるだろう」と指摘した」

     

    前記の劉氏は、現在の中国には以下のような失業者(職場に復帰できない)の存在を予想している。

    大企業労働者       500万人

    中小企業労働者     2000万人

    サービス部門労働者 1億8000万人

    合     計   2億0500万人

    以上の労働者が摩擦的失業状態にあると推定され、実質失業率は25%と予測する。中国経済は、これだけの打撃を受けているのだ。この点を無視できるはずがない。25%の失業率になっていれば、家計のローン支払い遅延は当然であろう。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月6日付)は、「中国でローン滞納増加、新型コロナで収入減」と題する記事を掲載した。

     

    中国では新型コロナウイルス流行の影響で個人向け融資の返済滞納が増えており、国内の与信が数十年ぶりに縮小する可能性が高まっている。一部の中国の銀行とオンライン融資プラットフォームの経営幹部はここ数週間、クレジットカードや融資の返済が遅れる消費者が増えていると述べている。滞納は今後何カ月かのうちに雪だるま式に膨れ上がり、債務不履行の増加につながる恐れがある。このため一部の貸し手は、当局が経済全般にわたる信用供与の維持を要請しているにもかかわらず、新規融資を減らしている。

     

    (4)「招商銀行の田惠宇頭取は3月、決算発表時の電話会見で「個人の融資返済の意欲と能力がともに低下している」と語った。同行のクレジットカード発行枚数は中国で最大級で、小口金融事業の規模も大きい。田氏によると、クレジットカード債務、住宅ローン、マイクロローンの滞納比率は2月に大幅に増加した。当時は、ほぼ全国で多くの企業活動が停止され、隔離政策によって大半の国民が自宅待機を強いられていた。招商銀行の問題を悪化させたのは、新型コロナウイルス流行の中心地となった武漢をはじめとする湖北省の都市閉鎖だった」

     

    中国で最大級のクレジットカード発行枚数を数える招商銀行頭取によると、クレジットカード債務、住宅ローン、マイクロローンの滞納比率は、2月に大幅な増加となったとしている。ただ、数値は発表しなかった。失業に伴う収入減で、ローン支払いが滞るのはやむを得まい。

     

    (5)「多くの企業は従業員を一時帰休させ、2月と3月については給与の大幅減額を受け入れさせた。こうした動きの影響は、銀行やノンバンクの最新の財務報告に表れている。ニューヨーク市場に上場する中国のインターネット金融サービス「趣店(クディアン)」が3月半ばに発表したところによると、2月の時点で20%の融資の返済が滞っており、滞納率は昨年第3四半期の2倍に上がった。同社は滞納率がさらに上がるとみている。趣店によると、同社のローン組成は急減しており、第1四半期には多額の赤字を報告する見込みだという。創業者で最高経営責任者(CEO)の羅敏氏は「既に消費者金融セクターに存在していた問題がウイルス流行によって悪化するとわれわれはみている」と述べた。同社の株価は年初から60%下落している」

     

    利用に手軽なインターネット金融サービスは、2月の時点で20%の融資返済が滞っている。昨年7~9月期の2倍の滞納率である。よって、1~3月期は多額の赤字計上を余儀なくされると見られる。中国信用機構破綻は、まずインターネット金融サービスから始まりそうである。中国経済崩壊への序章となろう。


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