勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    トランプ米大統領が突然、ポンペオ国務長官の訪朝計画を中止させた。北朝鮮がよく使う手をトランプ氏がやったもの。トランプ氏のツイッターでは、中国が北朝鮮の非核化に協力的でない、という理由を挙げている。よく事情がわからないのだ。韓国外相が米国務長官と電話会談したが、中身は不明である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月25日付)は、「トランプ氏、ポンペオ国務長官の訪朝中止を指示、非核化の進展不十分」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ドナルド・トランプ米大統領は24日、北朝鮮との非核化協議が進んでいないことを理由に、マイク・ポンペオ国務長官が来週予定していた訪朝を中止することを明らかにした。トランプ氏はツイッターに「今は北朝鮮に行かないようマイク・ポンペオ国務長官に頼んだ。朝鮮半島の非核化が十分に進んでいないと感じるからだ」と投稿した。米中の貿易摩擦が原因で、中国が以前ほど非核化に協力的でなくなったとの見方も示した。ポンペオ長官は中国との貿易摩擦に決着がついてから訪朝すると述べた。トランプ氏は『貿易を巡るわれわれの中国に対する姿勢ははるかに厳しくなった。このため同国が以前ほど非核化プロセスに協力的だとは考えられない』とツイートした」

    以上が、記事の全文である。要約すると次のようになる。

     

    ①今は北朝鮮に行かないようマイク・ポンペオ国務長官に頼んだ。朝鮮半島の非核化が十分に進んでいないと感じるからだ

     

    ②米中の貿易摩擦が原因で、中国が以前ほど非核化に協力的でなくなった

     

    ポンペオ長官は中国との貿易摩擦に決着がついてから訪朝すると述べた

     

    以上の3点を並べると、中国と北朝鮮がグルになって非核化を遅らせている。よって、米中貿易摩擦問題が解決したらポンペオ氏が訪朝する。こうなると、米朝交渉は棚上げという意味だ。

     

    北朝鮮には、米朝交渉を急ぐ理由がある。早く「朝鮮戦争の終結宣言」を出したい。それによって、米国の軍事攻撃の脅威から逃れたいのだ。北朝鮮が、解決を目指していた国家行事は次の日程である。この記念日に合わせて、「終結宣言」を出せれば効果抜群である。

     

    9月9日 建国記念日

    10月10日 朝鮮労働党創建記念日

    12月27日 憲法記念日

     

    これらのうち、当初は9月9日、10月10日当たりが取り沙汰されていた。ところが、トランプ氏のツイッターで、この夢は消えかかっている。北朝鮮に対して、「朝鮮戦争の終結宣言」が欲しければ、はやく核リストを提示せよと催促したものだろう。北朝鮮から、何らの反応がないのも不思議である。普段なら、ワイワイと騒いで米国批判をする場面である。

     

    中国は、トランプ氏か名指しされて迷惑なポーズをとっている。トランプ氏が、米中貿易戦争と米朝問題を絡めてきたからだ。中国は、北朝鮮から米中貿易戦争の解決を迫られる形になる。こう見ると、トランプ氏は「一石二鳥」を狙った微妙な角度から球を投げ込んだように見える。


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    中国は、台湾と外交関係を維持している国を減らすべく「札束外交」を続けている。先に、中米のエルサルバドルが、台湾との外交関係を断絶し、中国と国交樹立に関する共同声明に署名した。これを受け、米国は23日、中国が中南米で展開する「内政干渉」をエルサルバドル政府が受け入れたとして、「重大な懸念」を示した。米国は、エルサルバドルとの関係を見直すとの声明を発表した。

     

    中米は、米国の裏庭に相当する。中国はそこへ「くさび」を打ち込んだ。米国が敏感に反応するのは当然であろう。もし中国が、そこまで配慮していなかったとすれば大失態。意識して行なったとすれば、これも大失態となろう。米中貿易戦争の最中に、余計な「石」を投げ込んだ。中国が、ここまで米国と対抗する意思であれば、米国の本格的な報復を受けるに違いない。共産主義が、自由と民主主義へ公然と戦いを挑んできたからだ。

     

    『ロイター』(8月24日付)は、「エルサルバドル、台湾との断交で中国の内政干渉受容ー米政府」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米ホワイトハウスは23日、台湾と断交して中国と新たに国交を樹立したエルサルバドルの決定について、米国政府にとって深刻な懸念だとして非難し、中国は覇権を求めるために経済的誘因を提供していると警告する声明文を発表した」

     

    中国が、覇権を求めるためにエルサルバドルと国交を結んだと指摘している。この意味は、米国にとって中国は「敵」であるという認識である。この事実は、重要である。

     

    (2)「声明は、『エルサルバドル政府が、自国の内政に対する中国の明らかな干渉を受容したことは米国にとって深刻な懸念であり、エルサルバドルとわれわれの関係の再評価につながるだろう』とした。短期的な経済成長とインフラ向けに国家主導の投資を獲得するために、中国との関係樹立・拡大を望む国々は長期的には失望する可能性がある、と指摘。『世界中で、各国政府は中国の経済的誘因がパートナーシップではなく、経済的依存・支配を促進するという現実に目覚めている』との認識を示した。また、中国による『両岸関係の不安定化および西半球に対する政治的干渉』に反対し続けるとした」

     

    これまで台湾と断交して、中国と国交を結んで国の多くが「債務漬け」にされて財政危機を迎え、内政干渉を受ける羽目になっている。エルサルバドルも港湾開発で、中国から多額の借入れをし、挙げ句の果てに港湾の運営権を奪われるに違いない。その場合。米国は絶対に座視しないことだ。かつてのキューバ危機同様に、エルサルバドルを舞台に中国と対峙することになろう。中国は、わざわざ南米まで米国との争いの種を持ち込んできたと言える。

     

    中国が、台湾との外交関係にある国へ乗り込むのは、両岸(中台)関係の不安定化をもたらすこと。また、中国が中米まで手を出してきたことが、政治的な干渉をもたらすと警告した。エルサルバドル政府の決定を受け、米上院外交委員会のガードナー東アジア・太平洋小委員長(共和)は23日、台湾との外交関係を断絶しようとする国への対外援助の停止などの権限を国務省に与えて、台湾との関係を維持させるための法案を近く提出すると述べている。これが法案化されれば、米中は新たな対抗関係へ進む。

     


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    中国の景気対策と言えば、インフラ投資と住宅投資である。この判で押したような政策しか頭に浮かばない政策当局の構想力の貧弱さに驚く。改革開放政策後40年経っても、なおこの状態であるのは不思議なのだ。日本の敗戦は1945年。40年後の1985年は、プラザ合意で円相場の大幅切り上げを迫られた時期に相当する。日本は、円高を期に生産機能を海外に移転させるなど前向きの政策で危機に対応した。中国は、相変わらずの「土地関連産業」にかかわっている。

     

    中国が海外へ展開できない理由は、世界の価値基準に背を向けているからだ。この狭い地球で、「中国式社会主義」とやらを持ち出し、金科玉条のような硬直した政策が、先進国と摩擦を生んでいる理由である。これが壁になって、中国資本は受け入れ拒否という結末を招いている。それほど「世界一」に憧れている理由は、習近平氏が世界の頂点に立ちたいという個人的願望であろう。これが国粋主義者の危険な側面である。中国が、今後とも独特の価値尺度に固執し他国と摩擦を生じさせ続けるならば、「土地関連産業」のインフラ投資と住宅投資がもたらす累積債務の重圧で、苦しみ続けるはずだ。

     

    7月の経済指標全般が悪化している中で、ひときわ目立っていたのが、住宅価格の値上がりである。沿岸部地域では、住宅価格の高騰が家計債務の重圧を招いている。一方では、まだ住宅が値上がりし続けるという異常な状態が続いている。住宅高騰が家計を圧迫しているという事実が広く認識されていなのであろう。「住宅犠牲者」がまだまだ出るのだ。

     

    中国は、古来より流言に惑わされる人々が多い欠陥を抱える。歴史的な騒動は、全てこの噂から始まっている。まさに、「流言飛語」の類いである。現在も多分、「住宅価格は絶対に下がらない。政府が保証している」などという噓話がまかり通っているのだろう。そうでなければ、ここまで超高値の住宅を買うはずがない。合理的な経済計算と無縁な社会だ。それを利用して成立しているのが、中国共産党政権である。他国では、成立し得ない政権である。

     

    『ロイター』(8月15日付)は、「中国、全国新築住宅価格、7月は2年ぶりの高い伸び、中小都市でブーム」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国国家統計局が15日発表したデータに基づくロイターの算出によると、7月の中国主要70都市の新築住宅価格は前月比1.1%上昇した。伸び率は6月の1.0%から拡大し、2016年10月以来、ほぼ2年ぶりの高水準となった。価格の上昇は39カ月連続。中・小規模都市が価格の上昇を主導した。2016年と2013年前半の住宅ブーム時を除くと、前月比の上昇率が1%を上回るのは非常にまれ。前年比では5.8%上昇。6月の5.0%から伸びが加速した。こちらは2017年9月以来の大幅な伸びだった」

     

    7月の全国の住宅価格は、前月比1.1%上昇、前年比で5.8%上昇である。昨年9月以来の大幅な値上がりだ。中・小規模都市が価格の上昇を主導した。

     

    (4)「西南証券のアナリストは、『住宅在庫の減少と依然旺盛な需要が重なり、住宅の供給不足に拍車が掛かっている』と指摘した。アナリストの間では、中小企業の金融支援拡大に向けた中国政府の取り組みの余波で不動産セクターの需要が拡大し、住宅販売が加速しているのではないかとの声も出ている。政府は不動産規制を維持する姿勢を変えていないものの、米国との貿易戦争の影響を抑えるために経済への資金供給を増やしており、不動産開発業者の資金調達環境も改善しているもようだ」

     

    住宅価格が、根強い騰勢を続けている裏には、政府が米国との貿易戦争の影響を抑えるために資金供給を増やした結果、不動産開発業者の資金調達が改善したことも影響している。それを裏付けるデータを次に挙げておきたい。

     

    『ロイター』(8月14日付)は、「中国不動産投資、7月は前年比+13.2%、2016年10月以来の高い伸び」と題する記事を掲載した。

     

    (5)「中国国家統計局の発表に基づくロイターの算出によると、7月単月の中国不動産投資は前年同月比13.2%増と、2016年10月以来の高い伸びとなった。6月は8.4%増だった。統計局が発表した1~7月の不動産投資は前年同期比10.2%増となった。1~6月は9.7%増加していた」

     

    不動産投資は、7月に前年比13.2%増。2016年10月以来の伸びである。当局が優先して資金繰りを支援している結果であろう。「不動産業」は、立派な国策産業の位置付である。

     

    (6)「デベロッパーの信頼感を示す新築着工(床面積ベース)は、7月単月は前年比32.4%増加し、2014年10月以来の高い伸びとなった。6月単月は15%増加していた。1~7月の新築着工は14.4%増加。1~6月は11.8%増だった。また統計局によると、1~7月の中国不動産デベロッパーの資金調達額は9兆3000億元(1兆3500億ドル)となり、前年同期から6.4%増加した。1~6月は4.6%増加していた。1~7月の土地購入(床面積ベース)は前年比11.3%増となった。伸び率は1~6月の7.2%を上回った」

     

    重要な点を要約する。これらは、明らかに地方政府のテコ入れが効いている。業界独自の判断ではないだろう。

     

       7月の新築着工(床面積ベース)は、前年比32.4%増加し、2014年10月以来の高い伸び。

       1~7月の中国不動産デベロッパーの資金調達額は1兆3500億ドルとなり、前年同期から6.4%増加した。

       1~7月の土地購入(床面積ベース)は前年比11.3%増である。

     

    こうして、住宅建設が景気対策の切り札になったことが分る。

     

     

     

     


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    米中貿易戦争を契機に、中国の経済構造の矛楯が一気に噴き上がっている。およそ、GDP世界2位にふさわしい体裁をなしておらず、ゲリラ的な経済運営であることを証明している。「ゲリラ」という言葉の対は「正規軍」である。中国の経済政策は、「正規軍」というオーソドックスなものでなく、木に竹を接ぐものだ。

     

    その一端は、企業格付けである。これが全く機能を果たしていない。企業側からの賄賂によって格付けが左右されるというデタラメぶりである。金融逼迫の現象が起こっている現在、融資先企業の財務内容を的確に把握する指標は格付けのはずである。その格付けが、企業実体を表わさないので、正確な貸付のリスク計算もできない状態だ。債券発行企業の格付けは、6割が最高格付けの「トリプルA」(AAA)が付けられている。この「トリプルA」からデフォルトが出る惨状である。

     

    AAAは本来、デフォルト率「0%」である。それほどの最高ランクの格付けが、中国企業の6割についていること自体が異常なのだ。当然、企業と格付け会社との「癒着」が想像できる。それを裏付ける事件が持ち上がった。次の記事がそれである。

     

    「8月20日、中国当局は、利益相反の疑いで大手格付け会社『大公国際資信評』」に異例の厳しい処分を実施した。しかし政府は現在、景気テコ入れを目指し銀行にインフラ支援を呼びかけてもいる。貸出しの増加とリスキーな慣行の取り締まりを両立させるのは難しい。今回の処分は政府のジレンマを浮き彫りにした」

     

    「中国証券監督管理委員会は17日、大公国際資信評価に対して1年間の新規業務停止を命じた。同社が高額なコンサルティング・サービスを提供した企業に格付けも付与し、利益相反の恐れがあるというのが理由だ。中国では格付け会社と企業の癒着がリスク評価を歪ませており、不正一掃は確かに長年の課題だった。データ会社ウィンドによると、中国の既発債券の60%(金額ベース)は『トリプルA』格付けの発行体のもので、これは驚くべき数字だ」(以上は、『ロイター』(8月25日付)

     

    厳格であるべき企業格付けが、賄賂まがいの「コンサルティング・サービス」契約を結んだ企業に、AAAという最高格付けを出すというのだ。こういう実態を見ると、格付け自体が信用できず、金融機関は融資の基準になる尺度がないのだ。これは、中国の金融監督当局の業務懈怠でもある。こうして調べれば調べるほど、中国の金融秩序はデタラメの限りを尽くしている。これが、崩壊したならば再建は絶望と見られるほどだ。

     

    この金融無秩序状態で、当局が金融緩和を図っても実際に企業の資金繰りが楽になる保証はどこにもない。こうなると、中国の内需拡大策は、従来型のインフラ投資と不動産開発の二本柱に依存する。

     

    インフラ投資の拡充は、次のような路線が決められた。

     

    『日本経済新聞』(8月1日付)は、「中国、景気重視に転換 政治局会議 公共投資拡大へ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「2018年下期に積極的な財政政策で景気を下支えする方針を決めた。地方のインフラ整備など公共投資を拡大するとみられる。金融政策も緩和方向に修正する。米国との貿易戦争の激化に備え、景気優先の運営にカジを切る。習近平指導部はこれまで、過剰債務の削減など構造改革を優先課題としてきた。景気刺激へのシフトで構造改革が先送りになるおそれが強まる」

     

    インフラ投資は、建設時期はGDPに寄与するが、人口密度の低い地域での投資であるから、リターンはほとんど望めない。この投資が、財政資金で賄われるのでなく、借入金や債券発行による調達に依存する。こうして負債が累積し続けるという最悪状態になる。今回もその例外でなく、中国経済を蝕むことが不可避だ。童歌の「行きはよいよい、帰りは怖い」という「通りゃんせ」と同じ状態になろう。つまり、債務によるインフラ投資は、返済で難儀を被るという意味だ。

     

    (2)「中国政府はすでにインフラ投資の拡大に動き始めている。国営の新華社によると、7月25日から27日にチベット自治区を視察した李克強首相は鉄道建設の現場を訪れ、工事の加速を指示した『中西部のインフラはまだ脆弱だ。有効な投資で弱い部分を補強すれば、地域間の格差を縮めるだけでなく、経済にかかる下押し圧力への対応にも役立つ』。李首相はこう述べ、景気対策としてインフラ投資を増やす必要性に言及した」

     

    中国の国家発展改革委員会によると、7月のインフラ投資計画承認額は、776億9000万元(112億4000万ドル)と発表した。6月の208億元(公式データを基にロイターが算出)のほぼ4倍に相当する急増ぶりだ(『ロイター』8月16日付)。中国政府が、いかに慌てふためいているかが分る。この投資が、GDPに寄与するのは来年の話だ。急場には間に合わない。

     

     



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    破竹の勢いで、対中貿易戦争に臨んでいる米国トランプ大統領に、前途多難を予想させる問題が持ち上がっている。トランプ氏が過去に関係した二人の女性に対して、大統領選挙中にトランプ氏の個人的弁護士は「口止め料」を払った。これが、選挙違反に問われて有罪となった。しかも、トランプ氏が口止め料支払いを承知していたことも分かった。

     

    野党の民主党は、鬼の首を取ったような「喜び」を押し殺している。これで、仇敵のトランプ氏を弾劾に持ち込みたい、としている。ただ、トランプ氏が、ロシアと謀議を重ねて大統領選を勝ったという問題ではない。「派生的」問題で大喜びして、今から「トランプ弾劾」と言い出せば、逆に「トランプ支持派」を刺激して逆効果になりかねない。だから、前述のように「喜び」を押し殺して、次なる闘いの準備を始めている、というのだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月24日付)は、「大統領の弾劾に口つぐむ民主党」と題する社説を掲げた。

     

    (1)「(トランプ氏の元私的弁護士の)コーエン被告の罪は重大だが、大統領弾劾の議論は「時期尚早」だと民主党の上院院内幹事を務めるディック・ダービン議員も言う。『より多くの情報が出てくる必要がある』ため、『まだそうした言葉を使う段階ではない』。政治的な現実はこうだ。民主党が11月の選挙で下院の過半数を獲得すれば、ほぼ確実にトランプ氏の弾劾手続きに入るだろう。民主党のこれまでの発言や既に動き出したプロセスからみて、民主党には他に取るべき道があまりない。ただ、選挙前の今はそれを認めたくないだけだ。4年の任期を見越して大統領を選んだつもりでいる大勢の『嘆かわしい人々」』(トランプ氏の支持者)や無党派層の人々を刺激しないようにとの配慮だ」。

     

    民主党支持者にとってトランプ氏は、仇敵である。大統領選直前まで、有利に闘っていたクリントン氏が、まさかの敗北を喫した。その理由は、ロシアの選挙干渉である。その裏に、トランプ氏がいたはずだ。そう思い込んでいる。現在は、選挙違反ということだが、今後にボロが出てくるはず。11月の中間選挙までは沈黙して我慢しよう、というもの。

     

    (2)「民主党が下院(定数435)で228議席を獲得し、過半数を奪還するのが妥当な推測だと思われる。10議席差は多くないが安定的多数といえる水準だ。それは民主党が2年間主張し続けたことによってもたらされた結果となる。すなわち、トランプ氏はロシア政府と共謀して2016年の大統領選をかすめ取った正当性を欠く大統領であり、大統領の地位を私利私欲の手段に利用しており、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー前長官を解任したことは司法妨害にあたり、コーエン氏が有罪を認めた以上、もはや選挙資金不正の「起訴されていない共謀者」(注:トランプ大統領)だという主張だ」

     

    民主党が下院で過半数の議席を得たら、「トランプ弾劾」を声高に主張する。これが、民主党の戦略である。確かに、トランプ氏は破天荒なタイプだ。世界中をかき回している人物である。だが、米中貿易戦争という世界の自由と民主主義を賭けた大戦略を前に、二人の女性に口止め料を払ったことを理由に、弾劾する意味を考えるべきだ。中国が、先の米中交渉でなんらの解決策も持たずに臨んだ裏に、民主党と気脈を通じていた? そんなことはあり得ないが、中国は大いに期待していることだろう。民主党は、党利党略を避けて世界の利益を考えるべきだ。


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