勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    中国は、製造業のハイテク化を進めており「中国製造2025」計画に着手している。これは、米国の技術窃取を前提に行なう犯罪的なプロジェクトだ。米国政府は、こういう知財権を危険にさらすプロジェクトに断固反対を表明している。その具体的な成果が現れた。

     

    『ブルームバーグ』(12月13日付)は、「米、中国半導体の野心くじく、習氏期待60億ドル工場向け輸出禁止」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領によるテクノロジー輸出規制強化の影響が、中国南東部の海沿いに位置する福建省晋江市で如実に表れている。

     

    (1)「国産技術でテクノロジー大国になるとの中国の目標に沿って、福建省晋華集成電路(JHICC)は60億ドル(約6810億円)規模の半導体工場を建設した。だがトランプ政権が同工場への輸出を禁止したことから、米サプライヤー企業から派遣されていたコンサルタントは去り、工場は静まり返っている。同社の夢は引き裂かれ、そこで働く人々は戸惑うばかりだ。1カ月足らず前、JHICCは地元当局からの財政支援を受けたこのプロジェクトを全速力で進めていた。ウエハー換算で月6万枚程度の本格生産開始までの期限が数カ月以内に迫っていたためだ。同事業はスマートフォンに使われる半導体メモリー生産で中国を競争力のある生産国とするための重要なステップだ」

     

    中国が、米中協議で「白旗」を掲げ始めた裏には、中国の技術窃取に対する米国の厳しい姿勢がある。すべてと言って良いほど米国から盗んだ技術である。技術を盗んでも製造装置の輸出禁止にあえば、今回のような事態に遭う。中国は技術窃取を諦めて、貿易戦争に区切りを付けたいのであろう。

     

    (2)「米国では、司法省が米国製テクノロジーをJHICCが盗んだと主張し、商務省はJHICCが必要としている半導体製造装置の購入に対して扉を閉ざした。欧米のサプライヤー各社が晋江市を素通りするようになり、拡張工事は中断した。JHICCは、習近平国家主席から半導体製造で未来の国内3大王者の一社だとたたえられた。だが、今は不確実性が覆うばかりだ。「次どうなるか確かなことは誰にも分からない。地元の当局者でさえそうだ」というほど」

     

    中国は、技術の盗賊集団に落ちぶれた感じだ。恥ずかしいと思わないところが中国的な所である。「運悪く見つかった」という程度のことであろう。欧州では、トランプ流の強硬策について口には出さないまでも「快哉」を叫んでいると言う。欧米日の世界3極が、中国を警戒している。この包囲網の中で、技術の盗賊を続けるのは困難になろう。

     

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    中国と謀略戦術は切っても切れない関係にある。世界に共産主義を広めるためには、スパイ活動が不可欠と信じ込んでいるようだ。孔子学院が、その恰好な手段になっている。米国では、その手口に警戒感が強まっている。

     

    『大紀元』(12月12日付)は、「米ミシガン大学、孔子学院の閉鎖を決定」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米ミシガン大学は10日、中国共産党のプロパガンダ機関とも言われている孔子学院の来年度閉鎖を発表した。さらに、学内すべての中国文化プロジェクトを再編するという。これまで9つの大学が孔子学院の閉鎖を決定した。ミシガン大学は2009年に孔子学院を設置した。孔子学院は表向きでは中国教育部の資金提供を受けて中国語及び文化を波及させる教育機関だが、中国共産党の掲げる社会主義を浸透させる道具となっていると専門家に非難されてきた。米国議会の中国委員会や超党派議員はこれまで、全米の孔子学院を閉鎖するよう求めている」

     

    共産主義の宣伝をしなければならない。放っておけば、共産主義が消えてしまう、という危機感からだろう。共産主義で利益を得るのは幹部だけ。民衆収奪の暴力的な機関である。反論があれば、中国で選挙制度を導入すればよい。その自信がなければ、宣伝しないことだ。

     

    (2)「ノースフロリダ大学も今年8月、2019年に満期を迎える孔子学院との契約を延長しないことを決定した。『過去4年間の教室活動と資金援助活動を審査したところ、学校の目標や使命と矛盾していることが分かった』と大学は当時、コメントを発表した。これまでに米国ではシカゴ大学、ペンシルベニア大学、ウエストフロリダ大学、ノースカロライナ州立大学、アイオワ大学など9つの大学が孔子学院の閉鎖を発表した」

     

    かつて、シカゴ大学が孔子学院閉鎖の弁が出色であった。自由主義の殿堂とも言えるシカゴ大学に、その対極にある共産主義宣伝機関を置くことは学問への冒涜である、と。この主旨から言えば、全米の大学から一掃すべき存在だろう。

     

    (3)「2017年に孔子学院について調査報告を発表した全米学識者協会ディレクターのレイチェル・ピーターソン氏によると、孔子学院の教材には、中国共産党が敏感話題と位置付ける事件や事案について取り上げていない。1989年の学生運動弾圧・六四天安門事件や、迫害されている法輪功、地下教会、ほかチベット、新疆ウイグル自治区の人権侵害問題に触れていない。また、台湾や香港の両岸関係にも言及はなく、共産党政権の政策を全面的に正当化する内容だという

     

    中国の宣伝機関である以上、中国の欠陥を隠すのは当然。そういう、学問の府にふさわしくない機関は学内に置くべきでない。

     

    (4)「調査によると、孔子学院の契約にあたり、中国側は大学事務局長や著名な教授を中国に招き接待して、米国大学の会計にプラスとなる中国人留学生の募集を手伝ったりする。その後も、米国大学の研究所と共同研究や協定を結び、関係を深め、米国の技術力や知識を吸収する。全米学識者協会は米大学に対して、設置する孔子学院の資金提供源や財務状況の透明性を高めるよう要求している。また、同学院を外国代理人に登録することで、国家の安全保障を守ることにつながるとしている」

     

    このパラグラフに、孔子学院設置の目的が現れている。中国側は大学事務局長や著名な教授を中国に招き接待して、米国大学の会計にプラスとなる中国人留学生の募集を手伝ったりする。こうやって、コネをつくり大学へ潜り込む。スパイ活動を始めるのだ。大学の教員は、「人を疑わない」天性の善人が多い。それだけに、百戦錬磨の孔子学院担当者には、狙いやすい「スポット」であろう。

     

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    今朝、「メルマガ13号」(有料)を下記の目次で発行しました、よろしくお願い申し上げます。

     

    世界一の通信機メーカーへ

    通信機にバックドアの疑惑

    米の有力IT企業から部品

    ZTE並の罰則で崩壊する

    中国は米の友人たちを失う

    中国が白旗を掲げた理由は

     

    米中首脳会談が開かれた12月1日、世界最大の通信機メーカー、ファーウェイ(華為技術)の副会長兼最高財務責任者(CFO)孟晩舟氏が、カナダで逮捕されました。米司法省の要請によります。この事件は、ファーウェイが米国のイラン制裁に違反してIT製品を輸出し、孟氏が銀行に偽りの説明をしたとされます。これが、詐欺罪容疑に問われたのです。

     

    このファーウェイ事件は、米中間を超えて世界の通信機市場に大きな衝撃を与えました。ファーウェイは、次世代通信網「5G」(約100倍の速度)の先頭を走っているからです。同社はこれまで、中国人民解放軍と密接な関係があると指摘されてきました。その意味では、「通信機メーカー」と言うよりも、「軍事企業」とか「諜報機関」という疑惑まで持たれているのです。中国政府が、「孟氏逮捕」に対して異常な神経を払った理由でしょう。

     

    事実、米下院情報委員会は2012年、ファーウェイと中興通訊(ZTE)が米国の法律に違反しており、スパイ活動などに利用される可能性があると警告したのです。前記の委員会は報告書の中で、ファーウェイが「中国政府の支援に依存し続ける可能性が高い」ことに加え、中国共産党が「同社内の党委員会」を維持していることを指摘しました。また、同社がイラン制裁を順守していないことも示唆しました。これは、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月7日社説)からの引用です。

     

    ファーウェイ事件には、こうした背景があるのです。それだけに、中国にとっては深刻な事態です。ファーウェイ副会長が、仮に米国で裁判を受ける身になれば、長期間にわたり米国の管理下に置かれて、中国の極秘情報が米国に渡ります。米国を打倒して世界覇権を握る。これが、中国の最終的な夢とされています。米国が、その極秘計画の一端でも知る所となれば中国の計画は水泡に帰します。

     

    中国が、カナダに脅迫まがいの言動を続け、カナダの元外交官を勾留して「人質」にした理由はこれです。ファーウェイ副会長の身柄は、絶対に米国へ渡してならない。中国が、ここまで切羽詰まった状況に追い込まれたのです。

     

    世界一の通信機メーカーへ

    次に、企業としてのファーウェイの「横顔」を見ておきましょう。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月7日付)からの引用です。

     

    世界最大の通信機器メーカーです。ネットワーク上のデバイスの接続を助ける基地局や携帯電話の中継塔も含まれています。韓国のサムスン電子に次いで、世界で2番目に大きい携帯電話メーカーであります。

     

    従業員数は、インテルを上回る約18万人を擁し、欧州やアフリカや南米を含む世界中に通信ネットワークを築いいます。昨年の売上高925億ドル(約10兆4000億円)は、中国の電子商取引大手アリババグループの3倍を上回ります。経費の約3分の1(昨年は約130億ドル)を研究・開発(RD)に注いでおり、RD費は世界トップクラスになっています。

     

    ファーウェイは、1987年に人民解放軍の兵士の任正非氏によって創業されました。2012年、売上高でエリクソン(スウェーデン)を超えて世界最大の通信機器ベンダーとなったように、破竹の勢いで成長を続けています。このことから、背後で中国政府が有形無形の援助をしており、国力増進の片腕になっているのでないか。そういう疑いがかけられています。

     

    通信機にバックドアの疑惑

    中国政府支援の見返りは、ファーウェイ製品を通じて秘かに集められた情報が提供されているのでないか。通信機に「バックドア」が仕組まれており、ユーザーが知らないうちに情報が抜き取られている、と指摘されています。そのソフトの組み込みは、中国の中小零細の現場で行なわれていると報じられました。確証が握られているのです。(つづく)

     

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    中国は、ファーウェイ副会長の逮捕に報復して、カナダの元外交官を拘束した。暴力団の論理で「人質」にしたもの。北朝鮮と同じことをやっている。共産主義の冷酷・無慈悲な側面がよく現れている。

     

    『ロイター』(12月11日付)は、「米、中国渡航巡る勧告を検討、ファーウェイ幹部拘束の報復警戒」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(CFO)が米政府の要請でカナダで拘束されたことを受け、米政府は中国への渡航を巡る新たな勧告の発令を検討している。2人の関係筋が11日、明らかにした。関係筋の1人によると、国務省が発令する勧告は、米国民に対しファーウェイ幹部の拘束に中国が報復するリスクについて警告するものになるという」

     

    人権無視の中国である。自国の社会派弁護士を理由もなく投獄している。一方では、孔子学院をつくって「善人」ぶっている。この落差の大きさに驚くのだ。すべて、共産主義の利益拡大だけが目的の振る舞いである。こういう国家が、恣意的に外国人を捕まえて人質にする。一種の「人食い国家」である。何とも形容し難い人間の性を感じる。目的のためには手段を選ばない国家である。

     

    (2)「米国務省が最後に中国への渡航について勧告を出したのは1月22日で、中国による『国内法の恣意(しい)的運用と米中との二重国籍保有者への特例的制限』を理由に米国民に対し、『一段と警戒するよう』勧告していた。この時の勧告によると、中国当局は外国人に対して『出国禁止措置』を発動することが可能で、企業間の紛争の解決や裁判所の命令に関する和解を強要したり、政府の調査を容易にすることがその目的とされている。国務省のパラディーノ報道官はこの日のブリーフィングで、中国によるカナダ人拘束の報道について懸念していると表明。中国には『あらゆる形態の恣意的な拘束を停止』するよう求めた」

     

    今回、中国で拘束された元外交官は、中国批判をすることで知られていたという。私のような中国批判者も、中国へ行ったら出国禁止措置に引っかけられるだろう。これを見越して、中国へ行くなと注意を受けている。これまで、習近平批判をした覚えのある人は、中国は「魔のゾーン」になること請け合いである。そういう情報は微に入り細に入り集めている国だ。無益なことにコストをかけているものである。

     

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    中国は、迫り来る経済の崩壊を前に米中貿易戦争の回避に向けて全力を挙げている。「貿易休戦」で確実な成果を上げて、2000億ドルの追加関税25%を逃れる努力をしている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル 電子版』(12月12日付)は、「中国、米自動車の関税引き下げに合意15%に」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国製自動関税は現在、40%に引き上げられている。これを15%に引下げるもの。中国の劉鶴副首相は米東部時間10日遅く、米国のロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表およびスティーブン・ムニューシン財務長官と電話協議し、自動車関税を引き下げると表明した。実施時期は不明だが、米国側は中国政府にできるだけ早期の譲歩を求めている」

     

    中国の自動車販売台数は、すでに6月から前年比でマイナス状況に陥っている。

    乗用車販売台数(販売店ベース)

    2018年6月  -3.7%

         7月  -5.4%

         8月  -7.4%

         9月 -13.1%

        10月 -13.2%

        11月 -18.0%

     

    中国国内は、輸入車が関税引き下げ効果で販売シェアを高め、国内車がその余波を受けて一段と苦境に立っている。その中で、米国製乗用車の関税を他国並に下げることは、貿易戦争での火の粉拡大を防ぐべく米国へ行なう譲歩である。中国の敗北は一層、明白になってきた。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル 電子版』(12月12日付)は、さらに次のよう報じた。

     

    (2)「劉副首相、ライトハイザー代表、ムニューシン長官の電話協議に詳しい複数の関係者によると、3氏は中国経済の構造改革や同国による農産品輸入について協議した。中国は産業政策「中国製造2025」の見直しも検討しているという」

     

    中国は、今回の米中貿易戦争の発火点になった「中国製造2025」の見直しの検討も表明したという。ファーウェイ副会長の逮捕(現在、保釈中)が、大きな影響を与えたと見られる。

     

    この点の詳細は、あす(13日)発行の「メルマガ13号」で特集するので、ぜひとも読んでいただきたい。

     


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