勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    中国では目下、米中貿易戦争の行く末を「占い」で判断して貰う人たちが増えている。中国と言えば、「風水」が伝統的な占いである。中国共産党員には、占いを信じるな、と通達を出しているそうだが、庶民にとって悩みは尽きない。

     

    トランプ氏が隠し持っている作戦のヒントを得ようと、中国の迷信深い人々は、トランプ氏の写真や生年月日を手に、宇宙エネルギーのマスターやいにしえの精霊の専門家などの下に「神頼み」に走っている、というわけだ。

     

    『ロイター』(9月4日付)は、「中国伝統の『奥の手』で占うトランプ貿易戦争」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「トランプ氏が隠し持っている作戦のヒントを得ようと、中国の迷信深い人々は、トランプ氏の写真や生年月日を手に、宇宙エネルギーのマスターやいにしえの精霊の専門家などの下に『神頼み』に走っている。貿易戦争は、中国の経済成長の先行きへの不透明感を高めただけではない。事業経営や、米国への移住計画を進めるべきかなどでアドバイスを求める一般の中国人の中にも、自身の生活について不安を感じている人たちがいる」

     

    米中貿易戦争が、中国市民の生活に多大な影響を与えていることが分かる。これを見ただけでも、中国が不利であることを証明している。中国の「勝ち戦」であれば、誰も悩む人はいない。中国が米国の覇権へ挑戦することなど、中国市民レベルでは考えられないことなのだ。

     

    (2)「著名な流派に属する香港の風水師ビクター・ウンさんは、通常は顧客の生年月日や出生時間を使って占いを行っている。だが貿易摩擦が激化し、将来の不確実性が高まったことで、ほかの要素も占いに取り入れるようになった。投資ブローカーのリッキー・フォンさんは、ウンさんの占いで、貿易戦争が自分のビジネスに及ぼす影響を切り抜けてきた。『米中貿易戦争について言えば、私見では投資への影響はきわめて大きい』と、香港でフォンさんは話した。現在のところ、少なくともいくつかの占いによると、トランプ氏と貿易戦争の運命は正しい方向を指し示している」

     

    占いでは、貿易戦争が中国の株価に大きな影響を与える、という判断だそうである。「現在のところ、少なくともいくつかの占いによると、トランプ氏と貿易戦争の運命は正しい方向を指し示している」という。つまり、いくつかの占いが、トランプ勝利という「お告げ」だそうである。

     

    (3)「西安の占い師XieXianglinさんの下には、貿易戦争の行く末を占ってほしいという依頼が『増え続けている』という。そのほとんどが、起業家や投資家からのものだ。Xieさんは、1件500元(約8000円)で占いを請け負っている。『貿易戦争は、近い将来、和解に終わる』とは、占い師Xieさん。ロイターのために、無料で占いを提供してくれた」

     

    西安の占い師によると、「貿易戦争は近い将来、和解に終わる」という。中国が敗北を認めて、米国の条件を飲むということか。さて、結果はどうなるだろう。結論は、関税を引上げているトランプ大統領の胸の中にある。


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    中国の未来は、「中国製造2025」の実現にかかっている。先進国からどれだけ非難されても、技術窃取は止められない。まさに、「生活がかかっている」からだ。カンヌ国際映画祭で最高賞に輝いた「万引き家族」になぞらえれば、中国は、悪を承知でやっている、この「ヤマ」を越せば、製造強国としての位置を固め、米国へ対抗できると信じているのだろう。そんなに上手くことは運ぶだろうか。

     

    日本経済新聞の名物コラム「大機小機」で、次のような記事が目についた。

     

    (1)「中国企業の技術力の進歩によって、中国はコピーする側からされる側(知財大国)に変貌しつつある。米国が非難する、デジタル分野の知的財産権侵害を続ける必要性は薄れている。世界一のデジタル国家を目指す『中国製造2025』も、自力での達成のメドをつけたといわれている。以上を勘案すれば、中国は今秋にも習近平(シー・ジンピン)国家主席がデジタル分野や通商上で思い切った妥協案を出すことが考えられる。ディール(取引)の短期完結がモットーのトランプ大統領がこれをのみ、休戦が実現する可能性も十分ある。これへの備えも重要だろう」(8月29日付「米中貿易戦争、収束に備えを」筆名:逗子)

     

    中国が「中国製造2025」にメドを付けたという内容である。今秋にも、米中は取引するだろうとしている。この記事を読んで以来、何が根拠で中国は技術開発にメドを付けたと判断したのか。関心を持ってきた。この前提で考えると、ZTE(中興通訊)は、あれほどの屈辱的な条件をのまされず、もう少し上手く立ち回れたのでないか。そう思うと、中国でハイテク技術の開発にメドを付けたという根拠が、薄くなる印象であった。

     

    私の印象を裏付ける記事が登場した。

     

    『日本経済新聞 電子版』(9月3日付)は、「中国ハイテク銘柄が苦戦、『製造強国』道半ば」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「中国のハイテク銘柄の業績が伸び悩んでいる。2018年1~6月期は監視カメラ大手の純利益が前年同期比で2ケタ増えたものの、鳴り物入りで上場した台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の中核子会社は小幅な増益。車載電池や液晶パネル最大手は大幅減益で、産業振興策『中国製造2025』はまだ収益力につながっていない。鴻海子会社で、6月に上海証券取引所に上場したフォックスコン・インダストリアル・インターネット(FII)の1~6月期は純利益が54億元と2%増にとどまった。売上高は16%伸びたが、主力のスマートフォン(スマホ)受託生産で人件費高騰が重荷となった」

     

    ハイテク上場企業の上期決算発表が行なわれているが、増益率が微々たるものである。これは、競争力が十分でないことの証明であろう。


    (3)「17年にパナソニックを抜き、世界最大の車載電池メーカーとなった寧徳時代新能源科技(CATL)。6月の上場後、初の決算発表となる1~6月期は純利益が5割近く減少した。株式売却によるかさ上げがなくなったのが主因だが、中国政府による電気自動車(EV)の補助金政策の変更も響いた。補助金に頼らない収益構造づくりが急務だ」

     

    パナソニックを抜いて、売上シェアで世界一になったEV電池メーカーのCATLは、純利益が5割近くも減った。政府の補助金が削減も響いている。このCATLが、急速に売上を伸した裏に、中国政府の保護政策があった。韓国のサムスンなどに補助金を出さず差別したのだ。これが、産業強国の裏に隠された装置である。汚い手を使って、世界のトップに立ったところで利益はわずか。補助金を外したら一本立ちできるだろうか。心許ない。やっぱり、独立独歩は時期尚早に思う。

     


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    中国が、外貨準備高で3兆ドル台を維持している理由は、発展途上国への見栄である。中国が、有り余る資金を持っているという幻想を与えて、中国の言うことを聞かせる手段に使っている。もともと海外で資金をバラマクには、国際収支で有り余るほどの経常黒字を必要とする。

     

    中国は、その経常黒字が先細りになっている。国際収支構造が、次第に弱体化している結果だ。この理由については、このブログで耳にたこができるほど繰り返し説明してきた。所得収支とサービス収支の赤字拡大が原因だ。海外で投資という名目で資金をばらまいているが、これもリターンを度外視しているから所得収支の赤字幅を広げている。今年の経常黒字は1000億ドル、来年は500億ドル以下に落込む見通しだ。

     

    『共同通信』(9月3日付)は、「中国、アフリカに6兆円超、巨額支援で運命共同体、米国をけん制」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「中国とアフリカ各国が参加する『中国アフリカ協力フォーラム』首脳会合が3日、北京の人民大会堂で始まった。習近平国家主席が開幕式で演説し、アフリカとの『運命共同体』を構築し、アフリカの経済発展のため総額600億ドル(約6兆6600億円)規模を拠出すると表明した。『保護主義や単独主義に反対する』とも述べ、保護主義的な通商政策をとるトランプ米政権をけん制した」

     

    アフリカの経済発展のため総額600億ドルの拠出をすると大見得を切っている。空手形に終わらないだろうか。来年の経常黒字は500億ドルを切りそうな見込みである。無論、アフリカへ一度に600億ドル融資するはずがないが、その「原資」は細っている。「大法螺」を吹いていると中国の信用を落とすだけだ。

     

    すでに、エチオピアで中国の「空手形」が始まっている。エチオピアは、「一帯一路」の「モデル国家」として称賛されているが、過剰債務で首が回らなくなってきた。中国政府は一帯一路全体に1260億ドル(約14兆円)を投資して、自国とユーラシア、アフリカ大陸をつなぐ鉄道、道路、海路の構築を目指している。

     

    エチオピアは2000年以降、中国国有の政策銀行から121億ドル以上の融資を受けている。だが、債務返済で苦境に立たされており、同国の主な債権者である中国が、一部のインフラ計画の収益性に懸念を強めて融資を鈍化させる兆しが見えている。「出資者は、エチオピアのGDPの59%に及ぶ債務の返済リスクが非常に高まっていることを懸念している」と、中国代表団は7月、エチオピアの首都アディスアベバのアフリカ連合(AU)本部へのウェブサイトで表明した(『ロイター』9月3日付「『一帯一路』鉄道計画がエチオピアで頓挫、中国融資減速」)。中国は、大風呂敷を広げていると、エチオピアのような債務返済国を増やすことになる。

     

    (5)「天然資源や巨大市場を抱えるアフリカ諸国と連携を強める姿勢を示した。習指導部が提唱する現代版シルクロード経済圏構想『一帯一路』の枠組みで経済協力を進め、アフリカ発展を中国の成長に取り込む。また、貿易摩擦で対立する米国を念頭に『自国を閉ざされた孤島に押し込めても前途はない』と述べた。会合にはアフリカの53カ国が参加。4日まで開かれ、中国とアフリカの関係緊密化や経済連携の具体策をまとめた『北京宣言』と2019年から21年までの行動計画を採択する予定」

     

    アフリカが将来、有望市場になることは分かっている。中国が、そこへ先行投資する意義も理解する。ただその狙いが、米国への対抗にあるというのは噴飯物だ。中国が逆立ちしても敵わない相手が米国である。基軸通貨国・国際金融システムを把握・科学技術の最先端・自由と民主主義で開かれた国家。中国は、この総合力を持つ米国とどうやって覇を競うのか。もっと、現実感覚を持たなければ国を滅ぼすであろう。これが、国粋主義者の最大の欠陥である。習近平と東条英機の共通点は、現実認識が希薄で覇権に酔う甘さである。

     

    『産経新聞』(9月3日付)は、「太平洋諸島フォーラム開幕、中国巨額援助の債務の罠に危機感」と題する記事を掲載した。

     

    オセアニアの地域協力機構『太平洋諸島フォーラム(PIF)』の年次総会が3日、太平洋の島国ナウルで始まった。太平洋諸国は中国からの巨大経済圏構想『一帯一路』などを通じた巨額の援助で『債務のわな』に陥る危険性が指摘されており、4日の首脳会合では債務放棄要請が議題となる可能性があるという。

     

    (6)「オーストラリアのローウィ国際政策研究所によると、中国が2011年以降、太平洋諸国に援助した総額は低利融資を含め約12億6千万ドル(約1400億円)。豪州に次ぐ2位で、ニュージーランドを上回る。公約ベースでは59億ドル(約6500億円)に上り、地域全体への援助公約額の3分の1を占める。ロイター通信によると、トンガでは対外債務の約60%、バヌアツでは約半分が中国融資に基づく。世界銀行の幹部は同通信に、太平洋諸国の債務は『継続的に返済できる限界に近づいている』と指摘している」

     

    中国が、オセアニア諸国を「債務漬け」にしようとしている狙いは、この地域を中国支持の基盤にすることだ。将来は軍港をつくり、太平洋から直接、米本土へミサイル攻撃する準備と見られる。アフリカに支持基盤を広げる目的は、国連で米国と争う際の票集め。中国経済がフラフラしている中で、こんな夢を見ている習近平氏とは何者か。秦の始皇帝になったつもりであろう。

     

     

     

     


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    中国経済は厳しい局面を迎えている。不動産バブルの後遺症に加えて、米中貿易戦争という予想外の重圧がかかっているからだ。この事態を冷静に判断できなかった習近平氏の政治責任は極めて重い。合理的な経済判断を怠った結果だ。

     

    中国・吉林大金融学部の李暁学部長は今年6月末、大学の卒業生に対する祝辞で、次のように述べたという。『朝鮮日報』9月1日付コラム「義和団に等しい韓国の反中ムード」から引用した。

     

        「中国は工業・貿易国家の目で脱工業化国、金融国家である米国を眺め、開発途上国として製造業で成し遂げた成果に酔いしれただけだ」

        「中国の崛起(くっき)は『ドルシステム内の地位向上』にすぎない」

        「経済学を学んだならば、『米国の没落』を安易に語るな」

     

    吉林大金融学部の李暁学部長の卒業生に向けた祝辞の中に、中国経済が抱える根本的な脆弱性が指摘されている。習氏を含む国粋主義者は、こういう客観的な経済事情を忘れて強硬論一辺倒で来た。その報いが、製造業のPMI(購買担当者景気指数)の悪化に現れている。

     

    中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、14ヶ月ぶりの低水準になった。50.6で好不況の分岐点の50を上回っているが予断を許さない。この調査は、民間の財新/マークイットが行なっているものだ。

     

    『ロイター』(9月3日付)は、「財新の中国製造業PMI、8月は50.6に低下、14か月ぶり低水準」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「財新/マークイットが発表した8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.6と、7月の50.8から低下し、14か月ぶり低水準となった。輸出受注が5カ月連続で50を下回ったほか、企業の人員削減も加速した。拡大・縮小の分かれ目となる50は15カ月連続で上回ったが、2017年6月以来の低水準となった。生産は小幅改善したものの、大半の部門は低調だった」

     

    8月の製造業PMIは、2017年6月以来の低水準。生産は小幅改善したものの、大半の部門は低調である。米中貿易戦争の影は、確実に深まっている。政府の強気は、いつまで保つか。

     

    (2)「CEBMグループのマクロ経済分析部門ディレクターは『軟調な需要を背景に製造業部門は引き続き低迷している。供給サイドは依然安定しているが、需要が弱い中でそれが続くとは思わない』との見方を示した。『加えて、雇用状況の悪化が消費の伸びに影響を与える可能性がある。中国経済は今や、明らかともいえる下振れ圧力に直面している』と説明した」

     

    需要部門が脆弱化しているので、いずれ生産部門に波及する。そうなれば、中国経済は総崩れだ。雇用の悪化も進んでいる。消費に影響するはずだ。バブルの崩壊に加えて、貿易戦争の重圧がかかり始めた。「負のダブル影響」であろう。

     

    日本はバブル崩壊後、円高が輸出を抑え国内生産に悪影響を与えた。中国は米中貿易戦争で同じ過程を歩んでいる。中国の場合、円高が貿易戦争に代っただけである。1994年以降の日本経済が辿った道を中国も歩むであろう。

     

    円高は本来、交易条件の改善に寄与するから歓迎すべきものである。ただ、円相場の水準が購買力平価の均衡点(1ドル=100円近傍)から見て、どの位置にあるかと関係する。100円を突破する円相場の下での円高は、輸出を大幅に抑制する。

     

    中国は、米中貿易戦争によって物理的に輸出を阻害される。その点では、かつての日本が超円高で輸出が落込んだ状況と似通ったものになる。中国経済が、貿易戦争で受ける影響は大きいはずだ。そのカバーが、高速鉄道建設であるとはなんとも頼りない。戦時中の日本が、本土決戦で「竹槍」の訓練をしていたのに毛が生えたようなもの。高速鉄道建設は、全て国有企業の借金で賄わせる計画だ。建設後のリターンは極端に低いので、高速鉄道会社の経営を圧迫するだけである。要するに、後先を考えない「辻褄合わせ」に過ぎない。

     

    米華字メディア『多維新聞』(8月21日付)は、英紙『フィナンシャル・タイムズ』の「中国の広大な高速鉄道網が、鉄道事業を運営する中国鉄路総公司の負債を急増させている」とする記事を掲載した。

     

    (3)「中国の高速鉄道は誕生からわずか10年で、営業距離は2万5000キロに達し、世界の高速鉄道の総営業距離の3分の2を占めるまでになった。だがその広大な鉄道網が中国鉄路総公司の負債を急増させている。中国鉄路総公司の今年3月時点での負債総額は5兆元(約80兆円)に上る。北京交通大の李紅昌(リー・ホンチャン)教授は、『同社の債務負担の8割は高速鉄道建設と関係している』とし、同大の趙堅(ジャオ・ジエン)教授も『同社の負債は今後数年間で60%増加し、2020年には8兆元(約1280兆円)に達する』と指摘する」

    今年3月末で約80兆円の債務である。これが、2020年には約1280兆円に達するという。2年後に現在の16倍もの債務を抱える「狂気の経営」だ。GDP押上げ目的で、人口密度の低い地域へ無理矢理、建設させられるもの。米中貿易戦争の犠牲がここへ現れている。ここまでやって米国へ対抗するのだ。空しい抵抗である。

     


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    中国経済の底流は確実に冷却化へ向かっている。

     

    中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、14ヶ月ぶりの低水準になった。50.6で好不況の分岐点の50を上回っているが予断を許さない。この調査は、民間の財新/マークイットが行なっているもの。国家統計局が別途、調査している製造業PMIによると、8月は51.3となり予想外に上昇した。民間の調査対象はやや中小企業が多く、政府の調査対象はやや大企業のウエイトが高いという差はある。ただ、政府調査だけに、「ゲタを履かせた」疑いは否定しきれない。その点で、民間調査に信憑性がある。

     

    『ロイター』(9月3日付)は、「財新の中国製造業PMI、8月は50.6に低下、14か月ぶり低水準」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「財新/マークイットが発表した8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.6と、7月の50.8から低下し、14か月ぶり低水準となった。輸出受注が5カ月連続で50を下回ったほか、企業の人員削減も加速した。拡大・縮小の分かれ目となる50は15カ月連続で上回ったが、2017年6月以来の低水準となった。生産は小幅改善したものの、大半の部門は低調だった」

     

    8月の製造業PMIは、2017年6月以来の低水準。生産は小幅改善したものの、大半の部門は低調である。米中貿易戦争の影は、確実に深まっている。政府の強気は、いつまで保つか。国粋主義は国を滅ぼす。

     

    (2)「CEBMグループのマクロ経済分析部門ディレクターは『軟調な需要を背景に製造業部門は引き続き低迷している。供給サイドは依然安定しているが、需要が弱い中でそれが続くとは思わない』との見方を示した。『加えて、雇用状況の悪化が消費の伸びに影響を与える可能性がある。中国経済は今や、明らかともいえる下振れ圧力に直面している』と説明した」

     

    需要部門が脆弱化しているので、いずれ生産部門に波及する。そうなれば、中国経済は総崩れだ。雇用の悪化も進んでいる。消費に影響するはずだ。バブルの崩壊に加えて、貿易戦争の重圧がかかり始めた。「負のダブル影響」であろう。

     

    日本のバブル崩壊後は、円高が国内生産に悪影響を与えた。中国も同じ過程を歩んでいる。中国の場合、円高が貿易戦争に代っただけだ。1994年以降の日本経済が辿った道である。

     

    (3)「新規輸出受注のサブ指数は48.8となった。50を下回った期間としては、2016年上期以来最長となった。7月は48.4だった。財新調査によると、コスト高と需要低迷に直面している国内製造業はここ5年ほど人員削減に動いているが、8月の人員削減は約1年ぶりの大きな幅となった」

     

     新規輸出受注が50を割っている。2016年上期以来、最長だという。これがさらに続けば、製造業も持ちこたえられる限界を超えるだろう。8月の解雇は1年ぶりの高水準になっている。国粋派による「徹底抗戦」など、寝言みたいなことを言える環境にない。

     


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