勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評


    安倍首相が10月に中国を訪問した際、習近平国家主席に米中貿易摩擦に関連して助言をしたという報道が出てきた。香港『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)が6日、情報筋を引用して報道したもの。韓国紙『中央日報』が転載した。

     

    『中央日報』(12月6日付)は、「安倍首相、米中貿易摩擦で習近平主席に助言」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「香港『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)が6日、情報筋を引用して報道した内容によると、先月末にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議を控えて、習近平主席は安倍首相に助言を求めた。これに対し安倍首相は、トランプ米大統領が習主席を尊重しているという点を想起させ、トランプ大統領と直接会って対話をするのがよいと述べた。安倍首相は、中国政府の国有企業支援や中国に投資した外国企業の知識財産権保護に関する問題も指摘した。そして、習主席に市場開放を拡大することを助言したという

    日本の報道では、先の安倍訪中の際の夕食会で、両首脳は隣同士に座った。習氏から米中会談の助言を求められた安倍首相は、「お互いによく話合って」という所までは報道されたが、その先の話はなかった。実際は、かなり突っ込んだ話し合いがされていたのだろう。

     

    (2)「安倍首相がこうした助言をしたことについて、SCMPは『安倍首相がトランプ大統領と緊密な関係を維持しているため可能だった』と分析した。実際、習主席は12月1日、トランプ大統領と夕食会をした。米国の追加関税適用を中断し、両国が貿易交渉を再開してから90日以内に貿易摩擦解消案を見いだすことで合意した。中国は安倍首相の訪中後、2011年の福島原発爆発事故後に禁止した原発周辺地域の農産物輸入を再開した。日中関係の改善に誠意を見せるためというのが関係者らの見方だ」

     

    この「安倍助言」によって、習氏は考え方を整理していたのだろうか。米中首脳会談では、安倍助言が効果を現して、米国の要求を受入れる心の準備を一人でしていたのかもしれない。ただ、それを指導部全体の意思にまでまとめていなかったので、帰国後5日間で根回しを終わったとも思われる。安倍首相が、米中会談の裏で果たした「美談」とも言えるのだが。

     

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    12月1日の米中首脳会談以降、中国政府は会談について詳細発表をしなかった。5日になって初めて商務省が発表したもの。会談は成功し、実現に向けた準備をはじめるという内容だ。

     

    詳細発表まで5日間も費やしたのは、中国側が事前の想定内容と異なる会談結果になったので、国内での摺り合わせが行なわれていたのだろう。となると、今回の合意事項は米国側が提出し、習近平氏の単独意思で受入れたものと見られる。中国は、米国に虚を突かれたと見られる。

     

    私は今朝、「メルマガ11号」で、米トランプに追い込まれた中国、習近平の座に揺らぎはないか」と題するレポートを発表した。苦悩する中国経済の実情と習近平氏への政治的不満を集中的に取り上げた。ぜひ、併せて読んでいただければ、混迷する中国の内情をさらに理解いただけると思う。

     

    『ブルームバーグ』(12月6日付)は、「米産大豆とLNG輸入再開、中国準備、貿易合意を速やかに実行」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国商務省は5日発表した声明で、米国との貿易をめぐる会談について『非常に成功した』との認識を示した上で、協議での合意成果を実行することに自信を示した。詳細について言及は避けたものの、関係者によると、中国政府は米国産大豆と液化天然ガス(LNG)の輸入再開に向けた準備を始めたという」

     

    米中会談が、非常に成功したと発表したのは国内向けであろう。米国に追い込まれた結果でないと、虚勢を張ったものと見られる。そうでなければ、5日間も内部協議をしているはずがない。

     

    (2)「声明では、中国は米国とコンセンサスに至った具体的な事項の実行に速やかに着手すると説明。『予定表・ロードマップ』にある90日以内に米国と通商協議を前進させると指摘した。中国が協議期間を90日間であることを公式に確認したのは初めて。ただ、期限までに合意に至らなければ米国が追加関税率を引き上げる方針を示していることには触れなかった」

     

    中国が、90日間以内に協議を進めると指摘した裏には、国内事情の急変があるはずだ。あれだけ、逃げ回っていた中国が、米国案に対して真摯に対応するという姿勢に転じたのは、中国経済の危機が引き金を引いている。この上、2000億ドルの輸出に25%関税をかけられたら、製造業のみならず他産業へも深刻な影響を懸念する事態になる。ファーウェイ副会長がカナダで逮捕され、米国へ移送されると見られる事件も圧力をかけられた。また、習近平氏への政治的不満を抑えるべく、急遽、舵を切ったと見られる

     

    (3)「一方、米国との協議に詳しい中国当局者は、米国産大豆とLNG購入に向けて必要な措置を講じるよう指示を受けたことを明らかにした。中国が大豆とLNGに賦課した報復関税を下げるかどうかや、輸入が行われる時期は不明。国家備蓄用の大豆購入を対象に実施したように、関税を支払った輸入業者に政府がその分を払い戻す可能性もある。米国への報復関税で中国による大豆やLNGの購入は落ち込んでいた」

     

    米国産大豆とLNGの輸入は即時、再開する方針だ。高い関税分は、政府が後から戻す形になるようだ。中国がここまで米国へ譲歩したのは、経済危機回避と習氏への不満を防ぐという苦肉の策であろう。

     

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    カナダ政府は、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)兼副会長を逮捕したと発表した。米当局は、同社を対イラン制裁違反の疑いで捜査しており、同CFOは米国に引き渡される可能性がある。『ブルームバーグ』が、6日伝えた。

     

    ファーウェイは、ZTE(中興通訊)が対イラン制裁違反で二度も米国から制裁を受けていることと関係している。当時、ファーウェイも捜査を受けていたので、容疑が固まったのであろう。制裁措置としてファーウェイも、米国からソフトと半導体の輸出が禁止されれば、同社も大きな影響を受ける。中国のハイテク産業にとって、重大な損害になろう。

     

    『ブルームバーグ』(12月6日付)は、「カナダ当局、華為技術CFOを逮捕ー米国が引き渡し求める」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「カナダ政府は5日、中国スマートフォンメーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)兼副会長を逮捕したと発表した。米当局は同社を対イラン制裁違反の疑いで捜査しており、同CFOは米国に引き渡される可能性がある。加司法省スポークスマンのイアン・マクラウド氏は孟晩舟容疑者について、今月1日にバンクーバーで逮捕され、米国から引き渡しを求められており、保釈審問が7日に予定されているとの声明を公表。『公表禁止の措置がとられているため、現時点でこれ以上の詳細は提供できない。孟CFOが禁止を求めた』と説明した。同CFOの逮捕についてはカナダ紙『グローブ・アンド・メール』が先に報じていた。逮捕の理由はこれまでのところ明らかになっていない」

     

    逮捕理由の詳細は不明である。ただ、米国による対イラン制裁違反が理由であるので、厳しい処罰が予想される。ZTEの場合は、違反による米国の制裁で、倒産寸前まで追い込まれた。罰金15億ドル(うち、4億ドルは再犯の場合、没収)を科されている。ファーウェイが、対イラン制裁違反を犯したとなれば、背後に中国政府が強制したことも想像できる。会社独自の判断で行なった事件ではない。

     

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    一見、粗野に振る舞うトランプ大統領は、計算し尽くして動いている感じだ。対中交渉では、その真骨頂が見える。早い時点でハト派を使うことを止めて、タカ派に重心を移していたが、外部には一切、気が付かぬようにしていた。中国は、その虚を突かれた感じだ。

     

    『ロイター』(12月4日付)は、「対中交渉決裂なら追加関税、トランプ氏が明言、私は『関税マン』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「トランプ米大統領は4日、中国との通商交渉が決裂した場合、同国からの輸入品に追加関税を課すと明言した。トランプ氏はツイッターで、「本物の合意」が可能かどうかはライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が判断するとした上で「そうなれば一件落着だ」と指摘。一方で、「私はタリフマン(関税の男)なのでよろしく」とけん制した」

     

    ライトハイザー氏は、弁護士でもあるので対中交渉では、文書化することも検討している。トランプ氏は、今回の米中交渉がライトハイザー氏の準備の下に進み、多大な成果が上がったという認識である。ライトハイザー氏は、12月1日は「偉大な1日であった」とも言っているように、「米国完勝」である。

     

    (2)「週末の米中首脳会談で合意した追加関税導入に対する90日の猶予期間については延長する可能性もあると示唆。『中国との交渉はすでに始まっている』とし、猶予期間は「延長されない限り」、1日にアルゼンチンで行われた習近平国家主席との夕食会から90日で終了するとした」

     

    90日交渉の最終日は、2月28日と区切られた。この90日説を出したのは、ライトハイザー氏と見られる。より長い期間を取ると、中国に利用されてうやむやにされることを警戒したものだ。過去、中国との交渉はすべて中国ペースにはまって失敗した経験を生かしている。米国は、ライトハイザー氏という勝負士を据えて、中国の急所を突く戦術である。WTO(世界貿易機関)ルールの改正も絡めてくるので、米中交渉で応じなければ、WTOルール規制で縛りを入れる作戦とも見える。最早、中国の逃げ場はなくなった感じだ。

     

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    下記の目次で、「メルマガ11号」けさ発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    米は5つの分野で攻め込む

    中国は技術窃取を当然視へ

    貿易戦争の本質問題は何か

    中国国内で伏せられた点

    バブルの決定的な証拠とは

    習近平氏の政治責任へ発展

     

    12月1日の米中首脳会談は、世界注視の中で開かれました。習中国国家主席が、トランプ米国大統領の宿泊するホテルを訪ねるという、へりくだった形式を取りました。米国代表団は、一様に緊張した様子で会談が始りましたが、習近平氏は淡々と中国側の対応を説明し、いい雰囲気で会談を終わったと伝えられています。

     

    詳しい交渉結果は、後で取り上げます。結論だけ先に上げると、90日間の交渉過程を設け、その間は追加的措置を取らないというものです。一種の「休戦」です。トランプ氏は、会談中に米国の交渉統括として、ライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表を指名しました。中国は、副首相の劉鶴氏が統括役となり、40人からなる代表団を率いてワシントンを訪問する手はずとなりました。

     

    米は5つの分野で攻め込む

    米中首脳会談は、90日間の交渉期間を区切っています。その間に交渉がまとまらなければ、米国が関税引き上げ第3弾の2000億ドルに、追加関税25%(現行10%)を科すことになります。先ほど「休戦」と書きましたが、この休戦条件は中国にとって極めて厳しい内容です。これまで、中国が問題の存在自体を認めなかった5つの分野が検討課題に挙がり、結論を出すことが求められました。

     

    5分野は、下記の通りです。

     

    .米企業への技術移転の強要

    .知的財産権の保護

    .非関税障壁

    .サイバー攻撃

    .サービスと農業の市場開放

     

    以下に各項目について、簡単な説明をします。

     

    .米企業への技術移転の強要は、米国企業だけでなく各国企業にも同じ要求を出しました。中国は、外資企業の単独進出を認めず、合弁形式を許可してきました。これによって中国側が、労せずして先進技術を手に入れるという狡猾なことをしてきました。この問題は古くて新しい問題です。

     

    .知的財産権の保護は、字義通りです。特許権やノウハウなど製造業に欠かせない知的財産権が、中国によって窃取されてきました。産業スパイや研究者を米国の大学や企業に送り込んで、最新技術を盗み出させてきました。この背後には、中国情報部や孔子学院という一見、企業と無縁に見える教育機関まで総動員する「スパイ網」をつくり上げています。

     

    .非関税障壁は、関税以外の手段によって自由貿易を疎外するものです。輸出補助金、輸入割当などが上げられます。中国は、このうち輸出補助金が鉄鋼やスマホにも使われています。スマホの場合、生産段階で補助金を出すので、世界一のスマホ・シェアを誇っていたサムスンのスマホが、中国では全く売れないという事態が起っています。これなどは、悪質な例です。

     

    .サイバー攻撃は、技術情報から軍事機密まで盗み出すもので、最近は中国の名門大学である精華大学の関与が指摘されています。精華大学と言えば、前国家主席の胡錦濤氏や現国家主席の習近平氏の出身大学です。この大学までがサイバー犯罪に手を染めている現実は、深く憂慮されています。

     

    .サービスと農業の市場開放は、金融業を受入れる農産物の輸入を増やすという表明です。金融サービスの市場開放は、これまでどれだけ約束してきたことか。その度に実行せず、遅らせてきました。空約束の連続です。今度こそ実行させる。あるいは、繰り上げさせるという厳しい要求が突付けられています。農業は即刻、米国の大豆などの輸入を増やすと約束しました。

     

    中国は技術窃取を当然視へ

    以上の5項目に、ハイテク計画の「中国製造2025」が入っていないという指摘があります。これは当然で、「中国製造2025」の中止を求めるのは、中国の主権を侵害することになります。ただ、前記5分野のうち1~4の違法行為を中止させれば、「中国製造2025」に大きな影響が出て、進捗不可能になると見られています。つまり、中国は、不法行為による技術窃取で、ハイテク計画を進める予定でした。

     

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