先のオンラインによる日米首脳会談において、バイデン大統領は日本で開催される今春の「クアッド首脳会談」(日米豪印)で訪日が決まった。韓国は、この情報にヤキモキしている。訪韓の話が一切、出ていないからだ。韓国は、米国からの度重なるクアッド参加要請に反応しなかった。訪韓が、話題にも上がらないのは当然であろう。
『朝鮮日報』(1月24日付)は、「バイデン大統領『今年上半期に訪日』 訪韓は検討もせず」と題する記事を掲載した。
米国と日本の両首脳は今月21日(米国現地時間)にテレビ会談を行い、今年上半期に日本で米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国による安全保障協力体「クアッド」首脳会議を開催することで合意した。米国のバイデン大統領と日本の岸田文雄首相はさらに「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、香港や新疆ウイグル自治区における人権問題への深刻な懸念についても共有したことを明らかにした。両国は北朝鮮による先日の相次ぐミサイル挑発についても共同で糾弾声明を出すなど、対北朝鮮政策や中国けん制路線で徐々に密着度を強めている。
(1)「これに対して文在寅(ムン・ジェイン)政権は終戦宣言など任期末の「南北平和イベント」への執着を捨てられないことから「米国中心の対北・対中圧力路線から離脱している」との見方が浮上している。実際にワシントンでは「かつて米国が東北アジア政策の重要なツールとして活用していた韓米日三角協力が韓国の非協力的な態度でその機能を発揮できず、クアッドやAUKUSなど新たな安保協力体に依存するに至った」との見方もある」
韓国は、日米韓三角協力の環から脱落して、南北融和路線を模索して突き進んでいる。文大統領の両親は、北朝鮮出身だけに文氏自身も北朝鮮が墳墓の地となる。北へは格別な思いがあって当然としても、それは私情である。大統領として外交の采配を振るう身とすれば、私情を封印して韓国の将来に身を捧げるのが筋だ。
(2)「複数の専門家は、このように韓米日協力体制が揺らぐ状況でバイデン大統領訪日のニュースが飛び込んだことに注目している。バイデン大統領は昨年4月、就任後最初の首脳会談で日本の菅義偉首相(当時)、2回目には文大統領を選んだ。今回日本とはそれから約1年ぶりの首脳会談が実現したが、韓国との首脳会談は現時点で検討されていないという。韓国のある外交官幹部OBは「バイデン大統領が、東京だけを訪れソウルをパッシングするという万が一の外交惨事を懸念している」「大統領選挙を前に韓国の政治情勢が流動的であることを考慮しても、これはできれば避けたい状況だ」と述べた」
バイデン氏は、クアッド首脳会談目的で訪日する。そのクアッド参加を拒んだ韓国が、バイデン氏に訪韓してもらいたいというのは、余りにも虫が良すぎる話だ。
(3)「クアッド首脳会議に中国は極度に神経質な反応を示す。日本の読売新聞によると、今回の首脳会談でバイデン大統領は中国の習近平国家主席が、かつて米中首脳会談で「クアッド首脳会議は開催しないでほしい」と発言した逸話を紹介したという。当然、中国は強く反発した。日本の中国大使館は「(米日)両国が冷戦的な思考にこだわって集団政治を行い、陣営対立を扇動している」と批判した」
習近平氏は、バイデン氏に対して「クアッド首脳会談を開催しないで欲しい」と要望した。日米豪印の対中結束が、習氏への圧力になっているのだ。これは、クアッド結成が成果を上げている証拠である。
(4)「昨年1年の間に米国は、通商・外交・情報分野の閣僚や次官クラスを日本だけでなく韓国にも何度も派遣し、グローバル・サプライ・チェーンの再編など中国に対するけん制・圧力への韓国の参加も強く求めた。これに対して韓国は、今も明確な回答を示していない。米国中心の北京冬季オリンピックに対する外交的ボイコットも日本は即座にこれに同調したが、韓国は「ボイコットは検討していない」として事実上拒否の意向を明確にした。ワシントンのある外交筋は「昨年5月の韓米首脳会談後の共同声明は、米国による対中けん制路線に事実上韓国が加わる内容だったが、その後に韓国が示した行動はそうではなかった」と指摘した」
下線部分は、韓国の言行不一致を証明している。米韓共同声明では米国へ寄り添う姿勢を見せても、後は実行しないのだ。典型的な、「口舌国家」である。これでは、バイデン氏が韓国へも寄ろうという気持ちになるはずがない。
(5)「北朝鮮が先日4回にわたりミサイル挑発を行ったことへの対応でも韓国と米国の温度差は明確になっている。米国は、北朝鮮が武力示威を行うたびに「安保理決議違反」として糾弾はもちろん単独制裁まで発動した。北朝鮮ミサイルの射程圏内にある韓国政府は、糾弾でなく遺憾という言葉ばかりを繰り返している。北朝鮮による挑発を糾弾する声明に韓国が抜け日本が加わるパターンも繰り返されている」
韓国は、北朝鮮へ腫れ物に触るような逃げ腰である。これでは、北朝鮮に舐められて当然である。北にとっての韓国は、「でくの坊」に映っているに違いない。操縦しやすい相手なのだ。
(6)「文大統領による最近の中東歴訪も「任期末外交が混乱している一つの断面」との指摘が相次いでいる。文大統領の歴訪はコロナの感染拡大や北朝鮮によるミサイルの連続発射という状況で行われた。青瓦台(韓国大統領府)は「必ず行かねばならない事情がある」と主張しているが、事前に予告していたエジプトへの防衛装備品輸出などは実現せず、アラブ首長国連邦(UAE)では首脳会談も行われなかった。そのため野党などからは「確実な成果が得られる見通しもないままこの渦中に席を空けるべきだったのか」との批判が出ている。上記の外交官幹部OBは「外交政策の優先順位に対する判断が麻痺したと言わざるを得ない」とコメントした」
中等歴訪は、疑義の多い海外訪問であった。下線のように、UAEでは首脳会談が直前に中止となったのだ。「突発的な事故発生」が理由であるが、海外の賓客に対する態度ではない、文氏は、帰国に当たり「韓国の国格が確実に上がっている」と自画自賛した。こういう「お国自慢」をしているのも韓国らしい話である。