勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    肩で風を切って歩いた中国が、突然の「反中国」という突風に見舞われている。米国覇権に挑戦すると威勢は良かったが、コロナ禍ですっかりその勢いが止まった感じだ。それどころか、世界の至る所で「反中ムード」が起こっている。パンデミックに対する中国の不遜な態度が反感を買い、香港問題がそれを増幅したようだ。習近平、最大の危機到来である。

     

    『中央日報』(8月9日付)は、「『よろしい、借りた金は返さない』中国はなぜ各国からこんな扱いを受けるのか」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「『代価を払うことになるだろう』。7月30日の劉暁明駐英中国大使の話だ。劉大使はツイッター動画記者会見で「中国をパートナーや友人扱いしなければ英国は代価を払うことになるだろう」と述べた。脅迫ではなく「結果を教えるもの」ともした。5G通信網構築事業から英国がファーウェイを排除したことを受けた話だ。駐英大使が脅すほど英国の反ファーウェイ戦線合流はそれだけ中国には衝撃だ」

     

    英中蜜月時代は、とっくに消えていた。香港の「一国二制度」を破棄された英国は、怒り心頭である。これまで中国と交わしてきた「5G導入問題」を白紙にしてしまった。香港の「一国二制度」破棄があった以上、当然の話だ。駐英中国大使が、英国は「代価を払うことになるだろう」と捨て台詞を吐いているが、代価を払うのは中国なのだ。

     


    (2)「『よろしい、金は返さない!』。5月にタンザニアのマグフリ大統領がした爆弾宣言だ。中国から借りた100億ドルを返さないということだ。前任の大統領が結んだ契約が話にならない条件だった。借りた資金でタンザニアに港を作るが、使用権は中国が99年間持つ。中国の港内活動に何の条件もつけていない。マグフリ大統領は「酒に酔ってなければできない契約」と話した」

    タンザニアのマグフリ大統領は、中国に100億ドルの建設費を払わないと激怒している。借りた資金でタンザニアに港を作るが、その使用権は中国が99年間持つという契約だ。こんな不平等契約はない。タンザニアの前大統領が騙されたのだ。

     

    (3)「英国とタンザニアの両国だけがそうなのではない。欧州ではフランスも、中国に友好的だったイタリアもファーウェイ排除に出ている。他のアフリカ諸国も中国との建設プロジェクト中止に乗り出している。習近平主席が6月の中国・アフリカ特別首脳会議で債務償還期限を延期することにしたが不満は相変わらずだ。習主席の一帯一路外交の野望に亀裂が入っているという評価が出ている理由だ」

     

    中国への不満が一挙に出てきた。欧州ではフランスとイタリアもファーウェイ排除に乗出してきた。「一帯一路」では高金利(平均3.5%)で建設資金を貸付けてきたことがばれてしまった。親切ごかしに「一帯一路」プロジェクトを勧めてきたが、その利益はすべて中国が吸い取るシステムであった。「酷い中国」という評価が生まれてしまったのだ。



    (4)「中国はなぜこうした扱いを受けるのだろうか。これまで中国が国際社会で影響力を広げた秘訣は2つだ。▽安価な技術力・労働力▽莫大な資金力。英国がファーウェイに友好的だった理由が前者だ。アフリカが中国と緊密な理由は後者だ。だがそれだけだ。「金で影響力は買えても、心は得られなかった」。英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のエリザベス・ブラウ専任研究員の一喝だ。彼女は「中国の国際地位急落はこれまで中国がグローバル商業ネットワークだけ構築し友情を育まなかったため」とみる」

    中国は、「金で影響力は買えても、心は得られなかった」ことが、急速な離反国を生んでいる理由である。やはり、パンデミックと香港問題が中国への見方を180度変えたのだ。さらに「戦狼外交」が、決定的な中国離れを起こしたのであろう。

    (5)「前記のブラウ専任研究員の分析を見よう。ブラウ氏は米『フォーリン・ポリシー』誌への寄稿で、「中国は米国が数十年にわたりさまざまな国に作ったソフトパワーが皆無だ」と批判する。「率直に中国は米国ほど魅力的ではない。世界でだれが自発的に中国の歌、中国のテレビ番組、中国のファッションを見てまねるだろうか」ということだ。中国の影響力の「元手」は今年明らかになった。新型コロナウイルスで多く国の経済が冷え込んだ。ここに米国の反中戦線参加の圧力はますます大きくなる。中国が掲げた利点だけでは中国と一緒にやる理由が足りなくなった。むしろ中国に対し抱えていた不満が水面上に出てきた。英国とタンザニアの反中行動はこうした背景で出た」

    中国文化に魅力がないことも、中国離反を急速に起こさせた理由と指摘している。中国政治は権威主義で人権弾圧。胡散臭さがいつもつきまとっているのだ。こういう中国と深く交わりたいと思う国は少ないはず。因果応報とはいえ、習近平路線が失敗したのである。「愛される中国」にならなければダメなのだ。それには、習氏が引退することが前提になろう。

    テイカカズラ
       

    米ドル安にまつわる憶測

    FRBは世界最後の貸手

    デジタル人民元の厚化粧

    「高利貸し」中国の素顔

     

    世界の基軸通貨である米ドが、「ドル指数」で見ると7月に4%超の下げとなった。月間の下落率としては約10年ぶりの大きさとされる。新型コロナウイルスのパンデミックが始まった3月は、世界的な米ドル資金不足が顕著で、ドル高になっていたのである。それが、現在のドル安相場で、いろいろと憶測が流れている。米国の景気や政治への不安の高まりから、マネーが逆流している、というのである。

     

    米ドル安にまつわる憶測

    米国は現在、新型コロナウイルスが蔓延している。11月の大統領選挙を前に、共和党も民主党も党大会によって正式な候補者選出ができないほどだ。こういう状況を見れば、「米国不安」説が出てくるのも致し方ないであろう。この状態が、1年も2年も続くのではない。一時的な混乱であろう。米国の強さは、「地下水脈」として世界経済をしっかりと支えているところにある。これこそ、基軸通貨国として盤石な強味となっている。

     

    金の国際価格は連日、史上最高値を更新している。米ドルの価値が落ちていることの反比例現象だ。基軸通貨米ドルの信認が問われているというのである。金の国際指標ニューヨーク先物相場は7月末、初めて1トロイオンス2000ドルを突破した。9年ぶりの最高値を更新し、改めて米ドル相場の下落と関連づけて注目されている。つまり、米ドルが下落して不安を煽っており、金に乗り換えているというのだ。

     

    市場では、「今後1年半のうちに1トロイオンス3000ドルを目指す」(米バンク・オブ・アメリカ)との声も飛び出したという。実需が乏しいのに金のさらなる上昇を信じて疑わないのは、世界の通貨取引の中心にあるドルの価値が低下に向かうとの見方を強めているためだという。以上は、『日本経済新聞』(8月9日付)が報じたものだ。

     


    前記の『日本経済新聞』は、現在の世界における米ドル需給状況を次のように説明している。

     

    「米連邦準備理事会(FRB)は3月、金融市場の動揺に対応して無制限の量的緩和に乗り出し、米政府の経済対策のための国債増発を事実上、支える構図になった。企業の資金繰りを支える社債購入にも着手した。さらに、ドルの確保に追われる各国に、それぞれの中央銀行とのドルスワップの枠組みで最大約4500億ドルを供給した。その結果、FRBが米国内に供給する資金量を示す『マネタリーベース』は5月に5兆ドル強と2月末比で約5割増えた。米国以外の中銀が外貨準備として抱える米ドルを合算した世界のドルの流通量『ワールドダラー』も5月に過去最大の8兆ドルに達した」

     

    世界のドルの流通量「ワールドダラー」は、5月に過去最大の8兆ドルに達したという事実に注目すべきであろう。3月にパンデミックによる世界経済への衝撃は、FRBによる果敢なドル資金供給によって、破綻することなく乗り切れたのである。仮に、FRBが米国だけの経済事情でドルを供給し、他の中央銀行とのドルスワップの枠組みを設定していなかったならば、「世界恐慌」が現実化する公算が大きかったであろう。FRBが、この危機を救ったと言っても過言でない。

     

    こういう事実を振り返れば、現在のドル安相場は世界経済危機を未然に防ぎ、小康状態にあることを示している。危機を防いだ大量のドル資金が、その役目を終えて金相場へ向かっていると見れば良いわけで、米国経済の新たな不安という解釈には賛同し難いのだ。

     

    FRBは世界最後の貸手

    FRBは、これまで世界の中央銀行になることを拒否してきた。一国の中央銀行は、「最後の貸手」として、金融的混乱を食い止めるべく貸出をして「連鎖倒産」を防ぐ義務がある。FRBが世界の中央銀行になることは、「最後の貸手」になる責任を負うのだ。今回のパンデミックでは、IMF(国際通貨基金)が1929年の世界恐慌再来という危機感を強調していたほど。こうした切羽詰まった状況で、FRBは「世界の中央銀行」として、最後の貸手に踏み切ったのである。この意味は、極めて重要である。FRBが、世界経済を支配する実力を備えた機関であることを示したことだ。(つづく)

     

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    中国の習近平国家主席は、後代の歴史家にどのように評価されるだろうか。「民族主義者」習近平は、国力を無視して米国へ挑戦して退けられ、急速に国力を消耗したと記されるであろう。現実に、中国が真っ正面から米国にぶつかっても、勝てる相手でないのだ。「速度制限」を大幅に上回って疾走してきた中国が、速度制限にゆとりを持たせて走っている米国に、耐久レースで勝てるはずがない。本欄は、米中関係を本質的にこのように見る。

     

    『日本経済新聞』(8月8日付)は、「米怒らせた中国 外交に変化の芽 」と題する寄稿を掲載した。筆者は、豪ロウイー研究所シニアフェロー リチャード・マクレガー氏である。豪紙『オーストラリアン』を経て、英紙『フィナンシャル・タイムズ』で北京、上海支局長を経験した。

     

    米国をはじめ多くの国々との関係が悪化する中国の指導部は、疑問を抱き始めているだろうか。表面的には、習近平(シー・ジンピン)国家主席らが軌道修正し、野心的な外交目標を後退させている兆候はみえない。

     

    (1)「中国人民解放軍のシンクタンクである中国軍事科学院の周波・名誉フェローは7月27日、香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』に寄稿した。周氏は米国との対立を、中国の「平和的」な発展への「逆風」とみているようだ。ポンペオ米国務長官は723日、演説し、米国は国際秩序を転覆させようとする中国の試みをもはや容認しないという姿勢を示した。中国は周氏のような論調を示し、厳しい対中批判をかわそうとしているようだ。中国の学者らの間には以前から、強引な外交・軍事政策によって米国を挑発していると習氏を批判する声が上がっていた」

     

    中国にとって「不運」なのは、新型コロナウイルスがパンデミックとなって世界に甚大な悪影響を与えたこと。もう一つ、香港に国家安全維持法を導入して「一国二制度」を破棄したことだ。これは、従来の中国イメージを一変させた。「何をするか分らない中国」というイメージを欧州に植え付けたのだ。

     

    欧州は、これまで米国と距離を置いて、中国への「親近感」を持ってきた。それが、パンデミックと香港問題で一変した。米国との距離を縮めて対中共同作戦を取るに至ったのだ。

     

    こういう海外における対中姿勢の変化は、中国国内の「習近平反対派」を勇気づけるであろう。中国経済が悪化すればするほど、「習批判」が高まっても可笑しくはないのだ。

     


    (2)「かつて改革開放にカジを切った鄧小平氏は、爪を隠して力を蓄える「韜光養晦(とうこうようかい)」という対外政策だった。習氏への批判派は、控えめな外交路線を貫くほうが、中国の国益にはるかにかなうと考えているようだ。中国のような大国が低姿勢を保つのは不可能なのかもしれないが、批判派は習氏を名指しせず、鄧氏の路線を持ち出して隠れみのにしようとしているらしい

     

    習氏は、実父と鄧小平の関係が悪かったことから、鄧小平を低評価する悪いクセがある。国家指導者としての器量は、鄧小平が断然、習近平を上回っている。鄧小平が健在であれば、現在のような米中関係になっていなかっただろう。

     

    (3)「中国の外交官らが他国に攻撃的な言動をする「戦狼外交」は、一時期に比べ鳴りをひそめているようだ。中国が新型コロナウイルスの感染拡大の危機から脱しつつあった時期、多くの国から激しい反発を受けたため、外務省の「戦狼」は頭を垂れておとなしくしているとみられる」

     

    「戦狼外交」(注:他国への戦闘的発言)は、世界の反感を買った。中国外交部に根拠のあやふやな「ウソ情報」を流させたところに、習近平氏の狭量さが見て取れる。子どもじみた発言だったのだ。習近平氏が、偉大なる指導者であれば「戦狼外交」などさせるはずがない。自ら、視野の狭い民族主義者であることを証明した。

     


    (4)「中国人民解放軍の戴旭氏は対外強硬派の論客とされるが、最近の寄稿で、中国が米国と比べた自らの弱点を認識して行動することを提唱している。戴氏はトランプ米政権の不安定で一方的な外交、特に貿易政策への不支持が広がっているにもかかわらず、米国と対立する中国の友人が増えるわけではないことに注目する。中国とともに、反米同盟を結成しようと名乗りを上げる国はないと論じた」

     

    パンデミックに巻き込まれている各国が、中国の味方になるはずがない。各国とも、中国へ賠償金を請求したいほどである。中国は、これで大きな借りができた。中国外交の制約条件となったのだ。

     

    (5)「戴氏は、中国が(米国の)ドアをたたき「米国を追い越し、米国に取って代わり、世界一になる」と声高に宣言すべきではないとも警告している。中国が先走っていることを認めているようだ。戴氏は、中国は日本に目を向けるべきだという。日本は中国よりも、他国に追い抜かれそうな米国の不安をよく理解しているとみているのだろう。貿易問題で米国の圧力にさらされている中国の政府高官は近年、米国への対処法について、日本の関係者に助言を求めているようだ」

     

    米中関係が悪化すると、中国は不安になって日本へ接近する。これまでの例が、それを示している。日本に、米国への仲介を頼むためである。ただ、これは日本を利用する、便宜的なものに過ぎない。日本と真の友好関係になろうと考えていないのだ。尖閣諸島への中国の姿勢を見れば、それは明らかである。中国の日本への「ニーハオ」は、つくり笑いに過ぎない。それを忘れると大変な目に遭うだろう。

     


    (6)「日本には貿易摩擦で米国の圧力をかわすために使った手法があるが、中国への重要な助言は「米国を怒らせるな」ということだろう。もちろん日本と中国は異なる。日本は(軍事面などで)米国に保護される立場でもあり、不利な立場に置かれていたといえる。中国にこうした制約はない」

     

    日本は、太平洋戦争で米国を怒らせた代償で原爆を浴びた。米国は、「ヤンキー精神」(開拓者精神)であることを忘れると大変な事態を招くのだ。

     

    (7)「中国は日本よりはるかに大きく、軍はより強大で、政治体制は西側に対する強力な敵愾心に根差している。中国の野心や鉄の規律などが、軌道修正を難しくしている。中国は既に「米国を怒らせてしまった」ため、現状の変更は容易でないだろう。米国だけでなく、歩調を合わせた世界の中国への反発が、当面続くことは確実だ。中国に友好国がなくなる懸念はあっても、各国の反発が、中国の行動に影響を及ぼすかどうか定かではない」

     

    中国は、すでに先進国をすべて敵に回してしまった。今さら、「ごめんなさい」とも言えないであろう。中国を救う道は、習氏が引退することに尽きる。中国が、保護主義を守って世界を敵に回せば、亡国の道へ通じるであろう。

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    中国は、米国へ敵対することが国是となっている。頻繁なサイバー攻撃によって、米国へ年間31兆円もの被害を与えている「夜盗国家」に成り下がっているからだ。その中国企業が、これまで米国へ上場して米国の貯蓄をかすめ取っている、という厳しい目が注がれてきた。ついに、その結論が下されたのだ。

     

    米国での中国上場企業は、米国の証券取引法をクリアできなければ、2022年までに上場廃止というもの。中国政府はこれまで、米国による監査を認めないという「片務的」条項をつけていた。監査による中国の実態把握を忌避してきたと見られる。米国が、この身勝手なルールに鉄槌を加えるものだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月7日付)は、「監査基準未達の中国企業、米が上場廃止も 22年までに」と題する記事を掲載した。

     

    米国から中国企業を締め出す動きが加速している。米財務省などで構成する作業部会は6日、米国に上場する中国企業の監査状況を厳しく検査するようトランプ大統領に提言した。20221月までに基準を満たさなかった場合、上場廃止となるようルールを改正する方針だ。

     

    トランプ大統領は5月下旬、米上場の中国企業に対する調査を指示していた。ムニューシン米財務長官をトップとする作業部会に、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長や米証券取引委員会(SEC)のクレイトン委員長などが加わり、提言内容をまとめた。6日公開された報告書ではSECに対し、上場ルール改定作業を進めるように求めた。中国企業の監査状況の検査は長年の懸案だった。米国では上場企業会計監視委員会(PCAOB)が上場企業の会計監査を担当する監査法人を定期的に検査し、財務諸表の質を担保している。

     


    (1)「米当局の要請にもかかわらず、中国政府は自国監査法人がPCAOBの検査対象となることを拒否してきた。監査法人の持つ中国企業の財務諸表に共産党に関連する内容が含まれ、検査を通じた情報の漏洩を懸念しているとの見方がある」

     

    中国政府は、すべてを秘密のベールで隠してしまう一方、他国では「グローバリズム」を主張するという身勝手な国である。米国資本市場から「追放」されるのは当然である。

     

    (2)「報告書では検査の具体的な手法にも踏み込んだ。PCAOBが中国の監査法人を検査できない場合、共同で作業する別の監査法人に対し、監査関連書類の提出を求めることを視野に入れる。KPMGなど世界展開する4大監査法人グループ(ビッグ4)を念頭に置いた対応とみられる。米政府の動きは米議会における立法作業と呼応している。米上院は5月下旬、中国企業を念頭に米国に上場する外国企業に経営の透明性を求める法案を全会一致で可決した。(海外企業は)外国政府の支配下にないことを証明するよう求めるほか、PCAOBよる監査状況の検査を義務付ける。3年間、検査を拒否した場合は上場廃止とする内容だ。中国企業への監視を強めることでは、トランプ政権と共和党、野党・民主党の足並みはそろう」

     

    中国企業は、中小企業に至るまで企業内に中国共産党支部を強制的に設置されている。これは、国家の支配を受けている証拠である。中国企業は、すべて米国から撤退を余儀なくされるであろう。

     


    (3)「中国側はすでに手を打ち始めている。半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)は19年に米国上場を廃止し、7月に上海のハイテク企業向け市場「科創板」への新規株式公開(IPO)を実現した。米ナスダック市場に上場するゲーム大手のネットイースと、ネット通販大手の京東集団(JDドットコム)は香港市場への重複上場を果たした」

     

    中国企業は、すでに香港市場へ重複上場を余儀なくされている。その香港市場も、今後の米中関係次第ではどうなるか分からない。確実に追い込まれているのだ。

     

    (4)「資本市場の分断は米中双方にとって痛手だ。米投資家は中国の成長企業に投資しにくくなり、高いリターンを得る機会を失いかねない。ウォール街の金融機関は中国企業の資金調達支援で収益を上げていたが、今後は規制リスクを考慮せざるを得なくなる。中国勢は世界で最も投資家層の厚い米国から締め出され、資金調達に支障がでる可能性がある

     

    中国企業の成長期は終わった。これから一段の成長は望めない。中国経済が、低成長路線を歩むからだ。世界の資本市場の米国から追出される痛手は、簡単に挽回できるものではない。米国と敵対することは、こういうペナルティが付くのだ。

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    米国は721日付で南部テキサス州ヒューストンの中国総領事館に、3日以内の閉鎖を求めた。これは、大使追放よりも厳しい外交措置と言われている。米国は、あえてその厳しい措置によって、中国のスパイ行為へ警告を行なった。

     

    この米国の強い措置が、中国に明確なメッセージとして受け取られたかどうかは不明だ。中国も対抗措置として米国の成都総領事館の閉鎖を行なっているからだ。米国はさらなる対抗措置として、米中双方に外交官駐在人数を平等にするよう調整している。米国に比べて圧倒的に多数の中国外交官が米国に赴任している。この中国外交官が、米国でスパイ活動に従事していると見られている。外交官特権を利用して、米国を自由自在に動き回って、スパイ活動を行なっている。FBIは、中国スパイ活動を取り締まるには、中国外交官数を減らすことだと、指摘しているほどだ。

     

    米国の明確なメッセージは、中国近海での米軍機偵察活動である。これならば、中国も米軍の最新鋭戦闘機の飛来を目の当たりにして、奔放な行動を改める契機になるかも知れない。

     

    『大紀元』(8月7日付)は、「米軍機、7月中国近海を67回飛行、防衛から対抗へと戦略転換か」と題する記事を掲載した。

     

    北京大学の研究調査機関「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」によると、85日夜、米軍機は広東省まで59.27海里のところに近づいた(SCSPIツイッターより)。

     


    (1)「中国南部を襲った台風が過ぎ去った後、米軍がこのほど、中国沿岸部での偵察活動を再開したことがわかった。北京大学の研究調査機関、「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」によると、85日と6日、米軍機3機が中国周辺海域で飛行した。SCSPIのツイッター投稿によると、5日、米軍機3機が中国周辺海域で飛行した。6日、米空軍RC-135W偵察機と米海軍P-3C対潜哨戒機が広東省付近で偵察活動を行っていた。SCSPIは、5日午後9時頃、対地警戒管制を行う米軍のE-8C早期警戒管制機が広東省沿岸地域を飛行したことを「初めて観測した」とした」

     

    「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」によれば、米軍機が頻繁に中国近海の偵察飛行をしていることが分る。中国側の防衛態勢をチェックしているのだろう。米中復交後、米国がここまで踏込んだ偵察飛行をしている意図はけん制という意味であろう。

     

    (2)「SCSPIによれば、5日夜、米E-8C早期警戒管制機が台湾の南方海域から中国方向へ飛行し、広東省まで59.27海里(約109.77キロ)のところに近づいた。同日夜、米軍機P-8A対潜哨戒機とKC-135R空中給油・輸送機がそれぞれ、バシー海峡と台湾の北東海域で活動していた」

     

    米軍機は、中国側にはっきりと台湾防衛姿勢を見せつけている。中国が、香港の次は「台湾開放」を豪語しているだけに、米国の姿勢を鮮明にしているのだ。

     


    (3)「米軍はここ数カ月、南シナ海をめぐって、中国周辺海域で軍事力を強化し、頻繁に偵察活動を行っている。7月、米海軍ロナルド・レーガン空母打撃群とニミッツ空母打撃群は、日本の海上自衛隊やオーストラリア海軍、インド海軍と合同演習を行った。SCSPIの統計では、7月、米軍機は中国近海で少なくとも67回の偵察飛行を行った。5月の35回と6月の49回と比べて、大幅に増えた。7月の回数は5月の倍となった」

     

    南シナ海防衛では、米国・日本・豪州・台湾・印度が「同盟軍」として中国の攻撃を食い止める。すでに、合同訓練が精力的に行なわれている。米軍機による中国近海の偵察飛行は、7月の67回は、5月の35回の倍に達している。海軍の合同訓練に歩調を合わせているのだろう。

     

    (4)「SCSPIは、「米軍の偵察戦略は防衛から対抗へと転換させたことを意味する」と分析している。7月、中国沿岸部で、米軍P-8A対潜哨戒機が29回、RC-135偵察機が12回、P-3C対潜哨戒機9回、EP-3E電子偵察機8回、E-8C早期警戒管制機が7回とそれぞれ飛行したという。726日、P-8A対潜哨戒機は、福建省の領海基線まで41海里(約75.9キロ)のところに迫った。中国当局のSCSPIは、米軍の頻繁な偵察活動は「政治的および軍事的圧力を強める狙いがある」と非難した」

     

    SCSPIは、「米軍が、偵察戦略を防衛から対抗へ転換させた」と理解している。米軍がここまで踏込んだ戦術に転換すると、中国は不気味であろう。実戦経験ゼロの中国軍が、百戦錬磨の米軍とどう戦うのか。もはや、机上訓練の段階を超えているからだ。「よせば良かった」と言うことになりかねないであろう。

     

     

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