勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    韓国は、4月の総選挙を前にして北朝鮮の動きに一喜一憂している。米朝会談が開催されれば、文大統領の「南北交流」に道が開けるかも知れないからだ。文氏の年頭所感では、南北問題が大半を占めたほど。文氏の頭の中は、ほとんど南北問題といわれる。

     

    北朝鮮は、年末にあれだけの「バカ騒ぎ」をした。瀬戸際政策を演じて、米国の経済制裁を解除させようという狙いだった。米国は、「いつもの火病(ストレス障害)」と見ていたから適当にあしらって、病気の鎮まるのを待っていた。ようやく、その時期になったようだ。

     

    北朝鮮は過去、米国に対する「火病」で2回、大きな利益を得ている。その際、米国に経済制裁を解除させ利益を得た後、食い逃げする常套手段を使ったのだ。米国が3回目も騙されれば、「騙した方よりも騙された方が鈍」ということになる。朝鮮民族は、他人を騙すことはスポーツ感覚という。スポーツであれば、敗者は尊敬されない。手段を選ばず勝った方が、「賢い」という評価になる。こうなると、米国は3回も騙される訳にいかないのだ。

     

    北朝鮮が、米国へ話合いを求めているのは、ICBM(大陸間弾道ミサイル)やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の実験段階になると、そのリアクションが大きくなることを恐れているからだ。これは、米国だけでなく、中国までが看過しないという「レッドゾーン」に踏込むことである。北朝鮮は、「やるぞ、やるぞ」とポーズだけ見せれば、それで目的達成である。米国に、高く買い取らせる思惑だ。米国は、これを見抜いている。トランプ米大統領は「金正恩氏は友人である」と広言して、誕生祝いのメッセージを送って気を持たせているのだ。

     

    北朝鮮は、事態がここまで来ている以上、もはや「瀬戸際政策」を行なっても、その演技価値が低く見られるだけである。米軍の厳戒体制と「ピンポイント攻撃」で、正恩氏が消されてしまうリスクも背負わされる段階となっている。こういう環境変化の中で、北朝鮮が話合い路線へ戻り始めてきたのだろう。

     


    『聯合ニュース』(1月11日付)は、「北朝鮮、要求受け入れなければ対話しない、米国をけん制」と題する記事を掲載した。

     

    北朝鮮の金桂官(キム・ゲグァン)外務省顧問は11日に発表した談話で、北朝鮮は制裁緩和のために寧辺などの核施設を放棄しないとした上で、米国が自分たちの要求を受け入れられない限り対話に応じないとの姿勢を示した。朝鮮中央通信が報じた。

     

    (1)「金氏は談話で、昨年2月のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談で北朝鮮が行った国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁を解除する代わりに北朝鮮が主要各施設を廃棄するとした提案に言及。「そのような交渉はもう二度とないだろう」と述べた。また、これまでのように米国にだまされて時間を浪費することは絶対にないと強調した上で、われわれに一方的に強要したり、だましたりしようとする会談を行う意欲はないと言明した」

     

    北朝鮮は、これまでの瀬戸際作戦から降りてきたので、その照れ隠しもあって、大仰な態度である。米国に向かって、「話合ってやるから、ありがたく思え」という調子である。世界最貧国が、覇権国へ向かって申入れる姿勢ではない。こういう調子でなければ、格好が付かないのだろう。北朝鮮は一切妥協しないと宣言している。これでは、交渉にならない。ただ、北朝鮮式の「ラブコール」と思えば良かろう。

     

    (2)「北朝鮮は、ハノイでの米朝首脳会談で「寧辺核施設の廃棄」と国連安保理の制裁解除を同時に行うことを米国側に提案したが、米国は寧辺以外の核施設の廃棄も要求。会談は物別れに終わった。金氏は米朝間の対話を再開させるには、「われわれが米国に提示した要求を全面的に受け入れる条件でのみ可能」としながらも米国側は準備ができておらず、そうすることもできないとけん制することも忘れなかった。同氏は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)とトランプ米大統領の関係は悪くないと認めながらも、米国に対し対話再開に期待を持つなと釘を刺した」

     

    何とも、妙な話である。ハノイ会談時で、北朝鮮が提案した案を受入れろ、というのだ。一方では、対話再開ではないといっている。高飛車に出ているだけだ。

     


    (3)「今回の談話は米国を刺激したり、圧力を加えるために挑発に乗り出すというよりも、ひとまず情勢を見ようということに比重を置いたものだと受け止められる。また金氏は談話で、トランプ氏が韓国高官に金委員長の誕生日(1月8日)を祝うメッセージを託したことについても言及。韓国青瓦台(大統領府)がこれについて発表したことに不快感を示した上で、米朝関係の仲介役としての役割に未練があるようだが米朝間には対話のチャンネルがあるとして、韓国側に自重するよう促した」

     

    韓国に対しては、冷たい態度だ。米朝間の話合いに韓国が口を差し挟むな、と拒絶している。これでは、韓国が期待する南北会談など開催される可能性は、ほぼゼロであろう。韓国が狙った米朝会談への「仲介役」は、ゼロとなっている。この韓国無視は今後、長く続くと見られる。韓国からの好条件を引き出す戦術であろう。


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    米国とイランは、一触即発の危険なムードに包まれたが、イランによる「紛争不拡大主義」よって、大きな紛争を防げたようだ。ただ、米国は一人の米兵でも犠牲が出れば断固、反撃する旨を宣言しているだけに、イランは民兵の暴発防止に神経をすり減らす局面になった。

     

    『東亜日報』(1月10日付)は、「イラン、空爆前にイラクに通知『人命被害を避けた』、米『戦争拡大を自制』」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領が8日(現地時間)、イランがイラク内の米軍基地に対してミサイル攻撃したことを受け、軍事対応をしないと明らかにし、拡大にするかにみえた両国の対立はひとまず一息つくことになった。イランは、ミサイル発射前にイラクに事前に通知するなど、米国との全面戦争を避けるための措置を取ったという。ただし、イラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のカセム・ソレイマニ司令官が死亡したことに対するイラン内の報復世論が依然として激しいうえ、シーア派民兵隊の追加攻撃などの変数もあり、危機がいつでも再燃しうるとみられている。

     

    (1)「イランのミサイル攻撃に対して、トランプ米大統領の対応が予想よりも弱かったのは、米国人の死傷者がなかったうえ、11月の大統領選を念頭に置いたためとみえる。大統領選を控えたトランプ氏に中東地域の戦争は避けなければならない最悪のシナリオだ。兵士約52万人と射程距離2千キロ以上の中距離弾道ミサイルを保有するイランとの全面戦争は、米国としても負担だ。「米国はもはや世界の警察でない」とし、中東をはじめ海外紛争から手を引くという公約にも反する」

     

    米国は、米兵の被害者が出れば黙っているわけには行かない。断固、反撃するのが基本である。ただ、11月の大統領選を控えており、本格的な紛争を避けたいのが本音である。

     


    (2)「そのトランプ氏にとって、△米国人の死傷者が一人も出ず、△イランが今後追加攻撃をしないと明らかにし、△イランが攻撃計画を事前にイラクに知らせたことは、「落としどころ」と判断する根拠になったと、外信は分析した。AP通信は、トランプ氏の決定に対して共和党戦略家のアレックス・コナント氏を引用して、「強く脅すものの、実際の武力衝突は避けるというこれまでの外交政策パターンに合致する」とし、「大統領選を控えて強いイメージを作りながらも、中東での終わりのない戦争を終わらせることを望む支持者をなだめることに成功した」と評価した」

     

    米国は、事前にイランから「紛争不拡大方針」を伝えられていたという。次のパラグラフの通り、スイスが仲介したという。

     

    (3)「スイスが、イランの攻撃計画を知り、仲裁にある種の役割を果たしたという観測も流れている。米国はこれにより、事前に基地内の兵士をバンカーに避難させた。実際に、ホワイトハウスの指令室に外交安保ラインの参謀が集まった時間は7日午後2時だった。イランの攻撃(午後5時半)の3時間半前から攻撃について知っていたという意味だ」

     

    ホワイトハウスの司令室には、イランの攻撃開始時間より3時間半も早く、外交安保ラインが集合していたという。イランの攻撃時間を知っていたので米兵はバンカー(塹壕)に避難して事なきを得た。

     

    (4)「トランプ氏は同日、「米国はエネルギー自立を達成した。この歴史的な成就は、私たちの戦略的優先順位を変えた」とし、「私たちは独立しており、中東の石油を必要としていない」と断言した。対中東戦略の転換にともなう今後の軍撤収の立場を再確認したとみえる。さらに、「北大西洋条約機構(NATO)に中東にさらに関与することを求める」と付け加えた。米国は中東問題から手を引き、欧州の近隣諸国がその場を埋めなければならないということだ。しかし、これで米国とイランの衝突局面が終わったと見ることはできない。予想しなかった「突発変数」が発生すれば、いつでも火薬庫に火がつく可能性がある。CNNによると、直ちに8日午前0時頃、駐イラク米大使館があるバグダッドの「安全地帯」(グリーンゾーン)にロケット砲2発が発射され、一時緊張が高まった」

     

    米国は、イラン側の攻撃がなければ反撃しない方針である。イラン側には多数の民兵を抱えているので、それが暴走しないように手綱をしっかり締めておかなければならない。紛争拡大は、予想外のところから起こるからだ。

     

    テイカカズラ
       

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領による1月2日の「新年の辞」は、北朝鮮政策に集中していた。非核化や米韓関係より「南北関係が優先」という意向を明確に示したものである。北朝鮮が挑発を予告し、米国も憂慮している状況を無視したまま、「ひたすら北朝鮮」という政策の方向性だけを強調し我が道を行っている、と危惧する声も出ている。

     

    この大統領発言に対して、ハリス駐韓米大使はすかさず、「米国と協力すべきである」と韓国ラジオのインタビューに答えるなど、米韓関係に隙間風が吹いている。ワシントンが最も警戒しているのは、文大統領が北朝鮮政策で米国との協調を振り切り、独自の道を歩み出すことである。

     

    現実にその危険性がきわめて高いことを示唆する発言が飛び出した。文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官が6日、米シンクタンクのセンター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト(CNI)と韓国国際交流財団が主催した「2020年北朝鮮見通しセミナー」の基調演説で、個人の資格としながら「米韓衝突」を暗示するような発言をした。要注意である。

     

    『中央日報』(1月8日付)は、「文正仁氏、『北朝鮮の核解決 米と協力? 文大統領、完全にサンドイッチ状態』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「文特別補佐官はまず北朝鮮に向け、「米国は十分に北朝鮮の不満と怨み声を聞いてあげたのでもう北朝鮮は交渉テーブルに戻って合意しなければならない」と話した。米国に向けては「もっと柔軟で現実的にならなければならない」と注文した。彼は「非核化を先にやれば見返りを出すという(米国の)戦略は実際には作動できない。米朝双方が一種の妥協的アプローチをしなければならず、米国はより大胆になる必要がある」と話した米国は非核化が先で補償は後にすると主張し続けるために、北朝鮮は「米国が敵対政策を完全かつ後戻りできない水準で廃棄すれば交渉テーブルに出る」と話すのではないかとしながら、「米朝は完全な平行線を歩んでいる」と診断した」

    文特別補佐官は、米朝交渉で米国が厳格過ぎると指摘し、妥協を求めている。過去2回、米国は北朝鮮へ妥協して裏切られている。こういう経緯を見れば、米国の妥協案は非現実的と言えよう。

     

    (2)「文特別補佐官は、より現実的なアプローチを強調した。米国の研究者の主張を引用し、非核化を目標にするが実際の履行過程では核軍備統制方式を活用する案を考えてみる必要があると話した。平和体制を作り、非核化に対する代価として在韓米軍を縮小し、協力的威嚇削減(CTR)に向けた基金を推進して北朝鮮に真正性を見せ、約束違反時には戻すことができるスナップバック導入を検討し、スナップバック制裁緩和に向けたワーキンググループを構成する方法を提示すれば北朝鮮が態度変化を見せられないだろうかと話した」

     

    下線のような提案をしている。在韓米軍の縮小である。これこそ、南北朝鮮の「陰謀論」として否定されるだろう。文政権は、北の正恩体制を前提にした南北統一を狙っている。在韓米軍縮小の隙を狙った軍事行動は、十分に想定されるのだ。米国が、これに乗せられるはずがない。

    (3)「文特別補佐官は、「韓国はすでに米国が北朝鮮との対話に突破口を作れなければ何をすべきなのかジレンマに陥った」と話した。続けて「文大統領支持者の間では米国が北朝鮮との交渉を再開できなければ韓国が独自に行動すべきという声が大きくなっている」と伝えた。彼は「韓国は民主主義国で大統領は支持者の支持を必要とし続ける。支持者を満足させられなければ文大統領は政治的ジレンマに陥ることになり、いま完全にサンドイッチ状態になった」と話した。韓国が米国と中国、米国と北朝鮮の間に挟まれたサンドイッチ状態という表現も使った」

    下線部分は、意味深長なことを言っている。文大統領が、総選挙に勝つため最終的に大統領選挙の公約である「南北統一」準備行動を取る、という示唆である。これは、米韓の決定的な分裂を意味する。韓国国内では、南北統一よりも「共存共栄」という現在の流れに賛成する意見が50%に近い。南北統一論は年々、減っており30%を割っているのだ。

     


    (4)「文特別補佐官は、その後特派員懇談会で「北朝鮮が来月の太陽節ごろにもし大陸間弾道ミサイル(ICBM)や衛星発射のような挑発をすればトランプ政権は非常に強力な報復的措置をすると考える」と話した。
    トランプ大統領が生ぬるい対応をすれば民主党や国内政治的に批判を受けるため、イラン問題まで加え「2つの戦争」で軍事行動も辞さないだろうとしながら「北朝鮮も慎重に考える必要がある」とした。

    このパラグラフでは、北朝鮮がICBMなどの「レッドライン」を超えた動きをすれば、米国が強力な軍事制裁を加えるだろう、と発言している。

     

    (5)「北朝鮮の核交渉で韓国政府の役割に対しては、「基本的に米国と一緒に行くが、継続して進展がなく国内政治的に厳しくなれば文在寅大統領がどうして行き続けられるだろうか。修正することもできる」と話した」。

     

    下線部では、韓国が最後に独自の道を選択するとしている。総選挙は4月である。これから3ヶ月、与党「共に民主党」が総選挙で劣勢であれば、独自行動するというのだ。これは失敗するだろう。韓国では、80%強が米国支持である。米国と争う形を忌避しているのだ。文大統領は、この現実を見落としている。


    テイカカズラ
       


    韓国文大統領による新年初の演説は、北朝鮮への平和統一呼びかけであった。文氏は7日午前、青瓦台(大統領府)で演説した。その中で、平和統一の意志を誓う(南北)合同行事をはじめ、金正恩委員長の答礼訪問のための環境が、一日も早く整うよう南北が共に努力することを望む、と述べた。

    文大統領は、北朝鮮への熱い思いを語ったが、大統領府を防衛するパトリオットを付近の山へ据え付けたという。皮肉な話である。国防省が文氏の南北平和論の効果を信じていない証拠である。文氏の平和論は破綻した。

     

    『聯合ニュース』(1月7日付)は、「韓国大統領府付近にパトリオット配備、北朝鮮ミサイルに対応か」と題する記事を掲載した。

     

    韓国軍がソウルの青瓦台(大統領府)付近にある北岳山に弾道ミサイルなどを迎撃する地対空誘導弾パトリオットを配備したことが7日、分かった。北朝鮮の短距離ミサイルなどから青瓦台などの主要施設を守るためとみられる。政府消息筋が明らかにした。

    (1)「対空砲などが配備されていた軍事地域にパトリオット砲隊を配置したとみられる。配備されたのはPAC2とPAC3とされる。韓国軍は通常、主に航空機を迎撃するPAC2と、主にミサイルを迎撃する改良型のPAC3の両方を運用している。韓国軍は2017年、南部の慶尚北道星州郡に米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」が配備されたことを受け、南部地域のパトリオット砲隊を首都圏に移転する計画を進めた。ミサイル再配置の一環として、北岳山にパトリオット砲隊が配備されたとみられる」

     

    韓国は、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)を破棄していたら、今頃どうなっていただろうか。文政権は非難ごうごうであっただろう。先を読めない韓国政権が、ついにお尻に火がついた形で北岳山(大統領府の写真に映る後方の山か)にパトリオットを配置するという。韓国軍の主敵は、従来から「北朝鮮」と明記してあった。文政権は、それを削除して、暗黙裏に「日本」を想定する旨軍内部で秘かに通達していた。それが、この姿である。文政権の「感情100%」の政策が失敗した。

     

    パトリオットを大統領府の付近に設置するという緊急事態になった以上、THAAD(超高高度ミサイル網)の増設も必要であろう。これも、中国に対して「増設しない」と約束(3不)したが、そんな悠長なことを言っていられる場合でなくなった。これも破綻した。要するに、「北朝鮮は平和主義」と信じていたことすべてが、間違った選択を招いたのだ。世にも不思議な「極楽トンボ政権」である。

     

    状況が急変した裏には、米国がイランで行なった斬首作戦で、米国とイランの軍事対立が想定されることだ。イランと北朝鮮は、40年来の核開発の盟友である。北朝鮮は、米・イの対立の機に乗じて、韓国に向けて軍事挑発するのでないか。韓国防衛省が、こういう危機感を持ち始めたようである。

     

    『朝鮮日報』(1月7日付)は、「核開発ではイランと同志の北朝鮮、米国を狙って正面突破」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「イランは2015年に欧米6カ国と締結した核合意からの脱退を宣言したが、これが北朝鮮の核・ミサイル挑発や米朝非核化交渉の全面的な決裂につながるかに注目が集まる。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は先月31日に幕を下ろした朝鮮労働党中央委員会全員会議の席で、「核とミサイルのモラトリアム(試験・発射の猶予)破棄」をちらつかせたが、その一方で米国との交渉を完全に閉ざすことはしなかった。しかし北朝鮮と「核・ミサイルのコネクション」を維持してきたイランが核合意を破棄したことから、今後これが北朝鮮の非核化にもマイナスの影響を及ぼすという懸念も相次いでいる」

     

    北朝鮮が、イランと共同歩調をとって「核放棄中止」宣言を出すかも知れない。韓国では、こういう警戒感がにわかに高まっている。となれば、北朝鮮へ向けて解いてしまった警戒体制を復活させなければならない。文政権のドタバタ劇である。

     

    (3)「北朝鮮は両面的なシグナルを発している。朝鮮労働党の機関誌・労働新聞は6日「敵対的行為と核の脅威による恐喝が増大している以上、われわれには期待することも、ためらうこともない」と主張した。労働新聞はさらに「いかなる勢力であれ、われわれに対して武力を使用する考えさえできないよう、無敵の軍事力を質的・量的に引き続き強化していかねばならない」とも訴えた。米国がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を「ピンセット除去」したことを念頭に「軍事力強化」を強調したのだ」

     

    韓国は、北朝鮮に対する一貫した見方がなかった。これは、冒頭で掲げた文氏に「南北平和論」にも表れている。安全保障政策がクルクル変ると、こういう醜態を演じるのだ。ともかく、文政権が「アマチュア政権」であることは、今回の一件でますます明らかになっている。


     

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    新興国は、いつでも大誤算を演じる。日本が、一時的でも米国に勝てると見て始めた太平洋戦争は、開戦7ヶ月後のミッドウエー海戦の大敗北から連戦連敗の憂き目にあった。最後は、原子爆弾2発の投下によって惨めな戦が終わった。

     

    中国は、米国と2018年夏に貿易戦争を始めた。勝てると見ての戦いであったが、無残な敗退で米国の要求をほぼ入れた「第1段階合意」を結ぶ。1月15日に署名する。中国が、最も屈辱条項とすべきは、米中合意が誠実に履行されているかチェックする項目が含まれていることだ。これこそ、日本がミズーリ号米戦艦で署名した「敗戦受託」と同じである。

     

    現在の中国経済は、信用危機のまっただ中にある。不動産バブル崩壊に伴う不良債権の累増により、信用創造機能は大きく制約されている。マネーサプライ(M2)は、名目GDP成長率並という極度の資金逼迫状態に追い込まれている。

     

    「土地本位制」で高騰する地価上昇に任せ、資金供給してきた咎めが一気に噴出しているのである。日本がバブル経済で酔っていた当時の再現であった。このことから、中国経済の未来は、ほぼ推測が可能である。つまり、中国経済の「再興」はあり得ないということだ。中国が、今回の米中貿易戦争「休戦」に当り、米国の要求を飲まざるを得なかった背景は、すべてここにある。中国が、米国に勝てると錯覚して「応戦」した米中貿易戦争の当時の舞台裏を見ておきたい。

     


    『ロイター』(2018年8月8日付)は、「中国トランプ貿易戦争に勝てる理由」と題するコラムを掲載した。

     

    (1)「トランプ米大統領が中国との貿易戦争に勝つことを期待できない理由を知りたければ、ネット通販大手アマゾンの中国版とも言えるアリババ・グループ・ホールディングを見れば事足りる。筆者は先月、アリババの最高戦略責任者で、中国のビジネス・金融界最高の知性の1人とされる曽鳴氏と2度突っ込んだ話をする機会を得た。曽氏が明確に指摘したのは、中国にはもはや、米国を本当に必要としている分野はほとんどないということだった。米国製品は必要ないし、米国のアイデアはさらに必要ない。挫折をしても、中国は自分の力で立ち直れることを証明している」

     

    私は、このコラムがいかに間違えているか、これまで複数回ブログで取り上げてきた。結論は、すでに出ているが、下線部分に新興国の傲慢さが滲み出ている。「中国にはもはや、米国を本当に必要としている分野はほとんどないということだった。米国製品は必要ないし、米国のアイデアはさらに必要ない」とは、よくぞここまで盲目的な発言をしたものと驚く。

     

    これは、アリババの最高戦略責任者の発言だけでない。多くの中国人が傲慢発言をしていた。日本の若手将校が「打倒米英」と絶叫して、開戦要求して軍部の上層部を突き上げていた状況と変らないのだ。これが、新興国共通の奢りである。盲目になって前が見えないのだ。

     

    (2)「トランプ政権は、最初から負けるよう計算された競争を、あるいは戦争を、実行するために最善を尽くしているようにみえる。中国株式市場の方が米国株式市場よりも打撃を受けているが、トランプ氏は、米国の方がより長く痛みに耐えることができ、締め付けを強めれば中国政府が交渉に応じると考えているようにみえる。だがそれは、中国人の考え方や、1年前よりも弱含んでいるとはいえ依然として米国の2倍近いペースで拡大している中国経済の底堅さに対する理解を欠いた考えだ。そして、事の重大さやメカニズムをあまり理解していない人間が、待ち受ける大混乱に突入するとき、どこまで事態が悪化しうるかについて考えを巡らせた形跡もない

     

    このコラムの筆者は、米紙『ニューヨーク・タイムズ』や米『CBSテレビ』の元特派員である。私は、このコラムを読んだとき、筆者の略歴を見て驚いたのである。これだけの経験を積んだ記者が、中国情報に惑わされたのだ。中国経済がバブルであることの認識が100%欠如していたことの哀れな記事となった。

     

    下線部分は、中国経済が完全に「バブル軌道」を暴走していることを掴めなかったことを証明している。日本経済は、「いずれ米国を抜く」と大真面目に考えるエコノミストが存在した。このパラグラフでの主張も、日本で誤診をしたエコノミストと同じである。

     

    冷静に米中の経済構造を分析すれば、中国有利などという結論が出るはずがない。米国は世界の覇権国である。世界一の市場の深さ、ドルの基軸通貨、世界一の技術イノベーション国。中国が勝てる相手ではない。そういう基礎分析をすれば、アリババの最高戦略責任者の発言を鵜呑みにすることもなかっただろう。汚名を残してしまった記事である。

     

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