勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    中国は2月1日から「海警法改正」施行により、警備船に武器を所持させ公海上で外国船舶に使用する権限を与えた。これは、極めて危険な行為であり国際法違反である。日本では、尖閣諸島でそのリスクが発生する恐れが強くなってきた。米国は、この海警法施行に当たり中国へ警告を発している。

     

    米国務省は2月19日、中国で施行された海警局に外国船舶への武器使用を認める海警法に懸念を表明した。

     

    国務省のプライス報道官は定例記者会見で、同法の文言が東・南シナ海で「近隣国を脅かす目的」や「違法な海洋権益を主張するために使用される」ことを米政権は懸念していると述べた。さらに、米国は「南シナ海の大半の地域を巡る中国の海洋権益に関する主張は完全に違法」とするポンペオ前国務長官の発言を再確認するとし、日本やフィリピンとの同盟国としてのコミットメントを堅持すると強調した。以上は、『ロイター』(2月19日付)が報じた。

     


    『日本経済新聞』(2月25日付)は、「尖閣で領海侵入、米が中国非難 海警法施行でリスク増大 偶発的な衝突警戒」と題する記事を掲載した。

     

    米国防総省は2月23日、中国海警局の船による沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海への侵入をやめるよう非難した。中国による「海警法」の施行で、平時とも有事とも区別できない「グレーゾーン事態」がおきるリスクが増した。米国は中国に自制を促すとともに、偶発的な衝突への警戒を強める。

     

    (1)「国防総省のカービー報道官は23日、海警局による領海侵入について「誤算につながり、物理的な損害を生む可能性がある」と批判した。記者団からの質問に答えた。当初は「こうした行動への懸念を明確に表明している」と述べるにとどめたが、その後、中国に行動を改めるよう明確な表現で言い直した。カービー氏は「米国は尖閣での日本の主権を支持する。中国にこうした行動をやめるよう求めている」とも語った。国際秩序を維持するため、戦力の近代化や同盟国との協力強化に努める方針を強調した」

     

    米国が、尖閣諸島を巡る中国海警船の領海侵犯について警告した。これまでになかったことである。

     


    中国は、次のような戦術を取ると予想されている。

    1)中国は、大量の漁船を尖閣諸島へ向かわせ、日本の海上保安庁の警備艇と衝突事故を起こさせる。
    2)中国は、兵器を積んだ海警船によって無防備の保安庁警備艇を追い払う。

    3)その間に、中国漁民を尖閣諸島へ上陸させる。

    4)中国軍は、航空機で食糧・武器・弾薬を運び込み、尖閣諸島占領を終了する。

     

    以上のような手順で「尖閣占領」を済ませるというのだ。ここから中国漁民を追い払うには、防衛よりも2倍の犠牲が出ると予測されている。そこで、前記の1)の段階において、海上自衛隊が早期に出動して、上陸防止が最適手段と指摘されている。中国との関係が悪化するとか躊躇していると、その隙を突かれるだけである。日本は、防衛手順を決めておき、それを自動的に発動して退去させることだ。その手順について、米軍と調整しておく。

     

    (2)「バイデン政権は、対中政策の検証を進める。その一環で米軍は6月上旬までにオースティン国防長官に提出する報告書をまとめる。日本の役割も含めて東シナ海、南シナ海を包含するインド太平洋での警戒態勢や軍事作戦も検証の対象となる。内容次第では中国の行動に効果的に対処する態勢を米軍がとる可能性もある。バイデン政権の内情に詳しい関係者によれば日本の役割拡大への期待は大きい。バイデン政権は首脳の電話協議などを通じ、尖閣が米国による日米安全保障条約第5条の適用対象だと繰り返し確認している」

     

    下線のように、米軍は6月上旬までにインド太平洋戦略の具体案を決めるという。尖閣諸島防衛もその一環として取り挙げるはずだ。

     

    (3)「日本政府はカービー氏の発言を好感している。茂木敏充外相は24日の記者会見で、発言を「歓迎する」と表明した。カービー氏は尖閣に関して日本の「主権を支持する」とも言明した。米国はこれまで尖閣における日本の領有権を明言していない。記者団とのやりとりの中で出た発言でもあり、日本外務省幹部は「政権として従来の立場を変更したわけではない」と分析する。日本政府は海警法施行を受け、中国海警局の尖閣周辺での活動に対する批判と国際社会への発信を強めてきた。1日の施行直後は「(海警法が)国際法に反する形で運用されることがあってはならない」と指摘していた」

     

    米国政府が、尖閣諸島防衛に積極姿勢を見せているのは理由がある。

    1)尖閣諸島が中国の手に渡ると、中国海軍は直接、太平洋へ出られるので潜水艦による米本土攻撃が容易になる。

    2)尖閣諸島を埋め立て軍事基地にして、台湾と沖縄への攻撃拠点にする。

     

    前記の2点が現実化すると、日米双方にとって重大な軍事危機が迫ってくる。ここは用意周到に準備して、中国の尖閣諸島略取を絶対に防止しなければならない。

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    韓国は、国際情勢の変化を顧みず戦作権(統帥権)の移管を在韓米軍に求めている。韓国の主張によれば、戦作権の移管は米韓同盟の軍事指揮構造の変化にすぎないとしている。しかし、指揮構造変化は、重大な問題である。指揮官の意思一つで米韓同盟が生きるも死ぬも決まるからだ。

     

    米国は、対中国防衛線の主軸をインド太平洋においている。朝鮮半島防衛は二次的な位置づけに後退するのだ。ただ、韓国がインド太平洋戦略に参加するならば、朝鮮半島防衛はインド太平洋戦略の一環になる。現在の文政権は、インド太平洋戦略に参加する意思を見せないのだ。この状態で、韓国軍に統帥権を移管したならばどういう事態になるのか。米国は、インド太平洋戦略と朝鮮半島防衛を一元的に行えない危険性が出てくる。

     


    中朝は、一体化作戦に出てくるだろう。インド太平洋と朝鮮半島の同時軍事進行も予想される。その場合、指揮官が異なれば二元化されて不利な戦闘を強いられる可能性も出る。例えば、中国が尖閣諸島と台湾に同時攻撃を仕掛け、北朝鮮が38度線を突破する作戦に出て来た場合、兵員をどう動かすのか。それは、米軍の一元化した戦術で戦う方がベストである。米国が、在韓米軍をどう動かすか、重要なポイントになるからだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(2月25日付)は、「都合よく変わる米国の『戦時作戦統制権の移管』方針」と題する寄稿が掲載された。筆者は、キム・ジョンソプ世宗研究所首席研究委員である。

     

    盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代、韓米連合司令官を務めたバーウェル・ベル元司令官が今月10日、次のように述べた。「北朝鮮が核兵器で武装している限り、戦時作戦統制権(戦作権)の移管を進めてはならない。戦作権の移管が強行されれば、韓国は北朝鮮に服属させられる危険性が高まる」。「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)に送った声明書の内容だ。実に衝撃的な主張だ。戦作権の移管が実現すれば、米国は同盟パートナーの役割に専念しないかもしれないし、韓国軍が北朝鮮に撃退される可能性が高いということだ

     


    (1)「朝鮮半島の戦作権の責任を担っていた(元)米軍司令官の発言であることから、軽く聞き流すわけにはいかない。韓国国内でも、北朝鮮の核の脅威が存在する限り、戦作権の移管は時期尚早という声が高い。しかし、はたしてそうだろうか。戦作権の移管は韓米同盟の軍事指揮構造の変化にすぎない。在韓米軍も維持されるだろうし、連合司令部の体制にも変わりはない。重要な変化は、韓国軍の将軍が司令官となり、米軍の将軍が副司令官になるだけのことだ。なのに「北朝鮮が韓国軍を撃退」し、韓国が「北朝鮮に服属」させられるというのはどういう意味なのか」

     

    このパラグラフは、完全に素人の寝言同然である。軍隊の指揮権は絶対的ものである。韓国司令官がトップに立てば、韓国大統領の命令が反映されるはずだ。文大統領であれば、北朝鮮からの攻撃には即時「戦闘中止」の白旗であろう。これほど危険なことはない。

     

    (2)「非核保有国を核の脅威から守るという公約と個別国家の核武装の自制は、一種の交換関係にある。むろん、北朝鮮の核の脅威に対する韓国軍の対応能力を高めることは必要であり、韓国軍が司令官になって主導的に戦作権を行使するのに役立つだろう。しかし、北朝鮮の核の脅威は基本的に韓国軍単独ではなく、同盟の能力で対応しなければならない問題だ。したがって北朝鮮の核の脅威への対応は、戦作権の移管の決定的要因や条件ではなく、戦作権の移管前後を問わず、韓米が共に努力しなければならない課題と理解するのが正しい

     

    下線部も誤解している。北の核脅威に対しては唯一、米軍の核保有の威力で防止することができる。核を持たない韓国軍が、どうやって北の開戦を思い止まらせるのか。こういう夢のような話で、統帥権を論じてはいけないのだ。

     


    (3)「では、ベル(元)司令官はなぜこのような主張を展開したのか。これは元将軍の私的見解だけではない。米国政府は戦作権の移管に対し、なぜ「条件」を満たすことだけを強調し、消極的な立場を堅持しているだろうか。米中競争などの流動的な安保環境の下で、朝鮮半島で軍事的主導権を手放したくないという思惑が大きいだろう。局地的衝突など危機段階で韓国軍に対する統制が弱まるのではないかという懸念もあるだろう

     

    下線部分が、米国の本音であろう。韓国は、それが分からず自国だけの立場で統帥権移管を求めている。米軍は、他国軍の指揮下で戦ったことがないのだ。そういう歴史を考えると、韓国だけ統帥権を渡すことは考えにくい。それは、韓国から米軍が撤退する時であろう。米軍が、韓国に駐留している意味を考え直すことだ。

     

    (4)「重要なのは、戦作権の移管に対する米国の立場が、米国の戦略によっていくらでも変わり得ることだ。盧武鉉政権とブッシュ政権は2007年、戦作権を2012年4月に移管することで合意したが、その過程で移管時期の繰り上げを望んだのはむしろ米国側だった。当時、ラムズフェルド米国防長官は、「韓国軍の能力を信頼する」として、2009年10月の早期移管を主張し、韓国国防部を困惑させた。イラクやアフガニスタン戦争などの対テロ戦争に陥っていた米国としては、朝鮮半島に縛られている在韓米軍をもっと柔軟に活用したいという計算が働いたのだ」

     

    米国が、統帥権について考えがコロコロ変わると指摘しているが、国際情勢の変化に即応していると見るべきだ。韓国が、自力で防衛できず米軍に「助っ人」を依頼する現状では致し方ない話であろう。

     

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    崩れた韓国の天動説的外交観

    米マジノ線は朝鮮半島離れる

    韓国は親藩から転落して外様

     

    日韓関係で、これまでにない大きな潮流変化が起こっている。米国が、日韓双方へ向ける視角が変わったことだ。韓国は、そのことに気付かずにいる。米国が、いずれ日韓紛争を仲介してくれるだろうと安易な期待をつないでいるのだ。もはや、そういう子どもじみた考えは通用しなくなった。それは、日韓を取り巻く国際情勢の変化に基づくのである。

     

    比喩的に言えば、韓国が地図で眺めているのは日本列島であろう。日本は、海洋国家として、世界地図を俯瞰せざるを得ない地政学的位置にある。それだけに、世界の情勢変化に敏感である。韓国は、過去だけに関心を持っている。日本は、未来を展望している。そういう差が最近、如実に現れてきたのだ。日韓の違いを、次に述べる天動説と地動説に喩えたい。

     

    崩れた韓国の天動説的外交観

    16世紀半ばに、従来の天動説に代わって地動説が登場した。精密な天体観測の結果である。これを最初に唱えた人物がコペルニクスであったことから、天動説から地動説への認識変化は、「コペルニクス的転回」と呼ばれている。

     

    日韓関係で韓国は、このコペルニクス的転回が起こっていることを認識すべきだ。現実には、それができずに右往左往している。ワシントン外交界のインナーサークルでは、日本が西側諸国へ分類されているという。もはや、アジアの枠を越えたのだ。外交上における日韓のウエイトは、日本9割に対して韓国1割と圧倒的な差がついている。これは、キム・ドンソク米州韓国人有権者連帯代表が、韓国政権支持メディア『ハンギョレ新聞』(2月23日付)で述べていることだ。韓国人同胞が、韓国紙に語った率直な声である。

     

    韓国は、これまで一貫して「天道説」に立ってきた。米国は、必ず韓国の味方になり日本を「制裁」してくれると信じてきたのである。その最大の根拠は、植民地問題と元慰安婦の人権問題である。次に指摘するように、客観情勢は天動説に不利な状況をもたらしている。

     


    世界情勢が激変してきたのだ。中国の軍事的台頭で、米中対立の長期化が引き金になって、西側では、「インド太平洋戦略」で民主主義政体を守る「体制安保」が緊急の課題になっている。さらに、元慰安婦問題は2015年、日韓慰安婦合意という政府間協定が成立したことで、日韓に関わる過去問題は消えたはずである。こうなると、天動説が自然消滅し、地動説=日本優位の外交状況に代わったのだ。

     

    米国の目指すインド太平洋戦略は、民主主義国を横断する世界戦略である。重ねて言えば、自由と人権を守る体制安保である。日本は、インド太平洋戦略概念の最初の提示国だ。これに参加するのは当然だが、韓国は大きな悩みに直面している。米中対立を象徴するインド太平洋戦略に参加すれば、中国や北朝鮮との対決姿勢を鮮明にするので具合が悪いという「朝鮮半島」的な視点である。

     

    韓国は、体制安保に関する重要性への認識が欠けている。中朝が仮に、韓国を侵略する場合、目的は共産主義化である。それは、体制安保の危機なのだ。韓国は、朝鮮戦争(1950~53年)が共産化にあることを忘れている。つまり、第二次朝鮮戦争が起こるとすれば、目的は共産化以外にない。文政権は、親中朝であるので共産主義に親愛感すら持っている。こういう安保認識では、バイデン政権の唱える体制安保に合流するはずもなかろう。韓国が、文政権の下で潜在的な安保危機を抱えている理由である。

     


    米マジノ線は朝鮮半島離れる

    朝鮮戦争後、米国は在韓駐留米軍によって韓国防衛に当っている。第二次世界大戦後は、朝鮮半島が「発火点」として危惧されてきたからだ。米国は現在、朝鮮半島を超えてインド太平洋という大きな海域で、中国と対峙せざるを得ない局面になった。こうなると、米国の主力防衛線は利害共通国の多さと体制安保という視点から、インド太平洋戦略に置かざるを得なくなっている。

     

    この際、朝鮮半島防衛を広いインド太平洋戦略に包含すれば、米国は極めて効率的な兵力展開が可能だろう。その場合、韓国はインド太平洋戦略に加わる意思を示すことが前提である。文政権は、インド太平洋戦略に加われば、中国敵視を公然と認めることで不都合が起こる、としている。その理由として、経済面(輸出)を強調している。

     

    インド太平洋戦略に参加するクアッド(日米豪印)も、中国と高い経済関係を維持している。しかし、安全保障は国家存立の基盤である。それを損ねるリスクを抱え、経済関係を維持しようとするのは本末転倒である。韓国は、この錯誤した意識に囚われている。(つづく)

     

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    米バイデン政権の対中国経済戦略は、トランプ前政権が行った高関税率を維持しつつ、米中生産デカップリング(分断)に向けて拍車を掛けている。バイデン大統領が、先端技術分野から中国を排除する産業供給網構築のため、行政命令に近く署名する見通しだ。

     

    『日本経済新聞』(2月24日付)は、「米、同盟国と供給網整備 半導体やEV電池 中国に対抗」と題する記事を掲載した。

     

    バイデン米政権は半導体や電池など重要部材のサプライチェーン(供給網)づくりで同盟国や地域と連携する。この動きを加速させる大統領令に月内にも署名する。日本などアジア各国・地域との協力を念頭に、安定して調達できる体制を整備する。対立する中国に依存する供給網からの脱却を目指すものだ。

     

    (1)「バイデン大統領は供給網の国家戦略をつくるよう命じる大統領令に署名する。日本経済新聞が入手した原案によると、半導体のほか、電気自動車(EV)用の電池、レアアース(希土類)、医療品を中心に、供給網の強化策づくりに乗り出す。大統領令は「同盟国との協力が強靱な供給網につながる」と指摘。敵対国の制裁や災害など有事に影響を受けにくい体制を築くよう命じる見通しだ。半導体は友好関係にある台湾をはじめ、日本や韓国と連携するとみられる。レアアースでは有力企業を持つオーストラリアなど、アジア各国・地域との協力を視野に入れる」

     

    米国バイデン大統領は、供給網の国家戦略をつくるよう命じる大統領令に署名する。大統領令は、「連邦政府の運営を管理するための命令」である。米議会の承認を経ずに行える点が特色だ。政策効果の浸透上において、スピードを上げられる。半導体のほか、電気自動車(EV)用の電池、レアアース(希土類)、医療品を中心に、供給網の強化策づくりに乗り出す。

     


    これには同盟国・地域の協力がなければ不可能である。米国は昨秋から台湾や日本、オーストラリアなど特に技術や資源に強い国・地域に対し、中国に依存しない供給網の構築を連携してつくるよう呼び掛けてきた。特に米台間の動きは早く、すでに昨年11月、ワシントンで高官協議を行い、半導体や高速通信規格「5G」など7項目の技術連携で覚書(MOU)を結び、脱・中国を志向した新たな供給網の早期構築で一致したほど。
     

    日本側も米台連携の動きに同調し、昨年から経済産業省が主導する形で米国と同様に、台湾積体電路製造(TSMC)の誘致に力を注いできた。誘致に成功すれば「日米台」でより強固な供給網ができ、日本も将来にわたって先端の半導体を確保しやすくなる。そのためすでに総額2000億円の予算を設け、日本企業との連携を視野にしたTSMCの受け入れ準備を着々と整えている。

     

    このように、中国に依存しないで戦略品の製造体制を固めようというもの。こうなると、米国は「TPP」(環太平洋経済連携協定)へ復帰すべきだろう。戦略品だけでなく一般品でも、米国の巨大な市場を同盟国に提供するべく、TPP復帰を真剣に検討する時期である。同盟国に、こういう経済的な恩典を与えれば、戦略品の製造も順調に進むはずだ。

     


    (2)「具体的には、重要製品の供給網に関する情報を同盟国と共有する。生産品目で互いに補完するほか、非常時に速やかに融通し合える仕組みを検討する。余剰能力や備蓄品の確保も協議する。中国との取引を減らすよう要請する可能性もある。年明けから表面化した半導体不足は米自動車メーカーなどを直撃し、供給網の見直しは、その意味でも急務だ。ボストン・コンサルティング・グループによると、半導体工場立地別の2020年の生産能力シェアは米国が12%。世界最大の22%を占める台湾に増産を求めたが、フル稼働中だ。短期的には打つ手が乏しい」

     

    米国は、同盟国企業に対して中国との取引を減らすよう要請する可能性もある。具体的には、半導体禁輸であろう。バイデン米大統領は2月16日、米国中西部ウィスコンシン州で開いた市民集会で中国の人権侵害を批判した。「中国は報いを受ける」と強調したのである。対中国政策で、人権を重視する立場を改めて鮮明にした発言だ。デカップリングは、中国の違法行為への「報い」という位置づけである。

     

    (3)「中国の半導体の生産能力は30年に24%と世界最大になる可能性がある。供給網で中国に依存すれば、貿易規制を通じて圧力をかけられる恐れがある。中国は過去、尖閣諸島を巡り対立した日本へのレアアース輸出を規制したことがある。実際、米国はレアアースの約80%を中国から輸入している。医療品も最大9割を対中輸入に頼っており、予断は許さない。特に半導体の有力メーカーは世界でも限られ、米国と歩調を合わせるかは企業の判断による。米国と足並みをそろえるには各国政府の協力も不可欠だ。新たな供給網構築は今後、多くの時間を要する可能性も高い。

     

    中国の半導体の生産能力は、30年に世界シェア24%と最大になるという。これは、汎用品半導体である。だが、TSMCが日本や米国で本格的な増産に入れば中国が世界シェアの4分の1を占めることは不可能であろう。

     

    韓国は、半導体でどういう立場に立つのか。中国からは輸出継続を懇請されている。韓国政府にまで手を回していることは疑いない。こういう事情を察知している米国は、先手を打って中国への輸出禁止要請を出ないとも限らないのだ。こうなると、韓国の中国への二股外交は破綻する。韓国は、経済を理由に二股外交を正統化してきたが、その逃げ道を封じられる可能性が出てきたのだ。

     

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    文政権は二枚舌である。日本に対して人権論を振りかざしてきた。慰安婦や徴用工は人権問題であり、「永遠に時効はない」と大見得を切っている。だが、中朝の人権弾圧に対しては完全沈黙である。二刀流を使い分けている韓国に、恥はないのだろうか。

     

    韓国は、国連人権委員会へ外交部長官を出席させず、次官が代役を務める。外交部長官が交代直後で、業務に精通していないというのが理由だ。本音は、中国や北朝鮮の人権問題に触れたくないためと指摘されている。過去の人権問題には張り切るが、現在進行形の人権問題には頬被りという二枚舌である。これでは、米国バイデン政権の心証が悪いはず。文政権は、信用できないのだ。

     


    『中央日報』(2月23日付)は、「外交部『業務熟知が必要』…韓国外交部長官、国連人権理事会不参加」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府が北朝鮮の人権問題などを扱う国連人権理事会ハイレベルセグメントに前年とは異なり、外交部長官ではなく次官を出席させることにした。

    (1)「第46回国連人権理事会ハイレベルセグメントは22日(スイス・ジュネーブ現地時間)に始まり、24日まで行われる。新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の状況を考慮し、今回の会議はオンラインで行われる。ハイレベルセグメントには、文字通り各国の高官が出席し、基調演説を通じて自国の人権基調と哲学を発表する。人権理事会が公示した日程と演説者を見ると、韓国の参加者は鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官ではなく崔鍾文(チェ・ジョンムン)第2次官になっている」

     

    バイデン米国政権登場で、人権や民主主義の価値観が自由主義陣営の前面に出て来た。韓国は、その人権擁護論に背を向けている。反日では、慰安婦や徴用工の人権を訴えるが、中朝の問題になると沈黙である。二枚舌である。

     

    (2)「ハイレベルセグメント参加者の職位は、各国の事情に応じて変わる。しかし、普遍的価値である人権を議論するための最も権威のある国際的舞台という点を考慮し、主に外交当局の首長が参加する場合が多い。鄭長官の前任者の康京和(カン・ギョンファ)前長官も2017年6月に就任した後、2018・2019・2020年のいずれも自身がジュネーブで開催される人権理事会で演説した。主要国からも長官が出席する。王毅中国外交部長はすでに22日に演説した。茂木敏充外相は23日、トニー・ブリンケン米国務長官は24日に演説する」

     

    鄭外交部長官は、現役官僚時代にジュネーブに駐在した経験もあり、人権問題と無縁であったわけでない。

     

    (3)「他の外交日程があって時間が合わない場合ならまだしも、今回の会合は対面でもなくオンライン会議だ。事前に録画した動画を各国の順序に合わせて上映する形で行われている。あえて鄭長官が直接出ずに、崔次官が演説者として出るのはなぜかという質問につながる。これについて外交部は、今月初めに就任した鄭長官はまだ業務熟知が更に必要だという趣旨で説明した。しかし、鄭長官のわずか半月前に就任したブリンケン長官は、今回の人権理事会高官会期に参加する

     

    事前に録画して、演説するスタイルである。米国のブリンケン国務長官も就任間もなく米国外交を引っ張っている。鄭氏の「逃亡」は、中朝への配慮によることは間違いない。

     

    (4)「特に鄭長官は現役官僚官時代、人権理事会が開催されるジュネーブで代表部大使まで務め(2001~2003年)、外交部入りしてから50年になる熟練の外交官だ。鄭長官は、先に青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)国家安全保障室長を務め、外交安保統一分野を総括した。もちろん、国連人権理事会自体は鄭長官が駐ジュネーブ大使を務めた直後の2006年に始まったが、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は1990年代に既に創設されていた。業務熟知が更に必要だという外交部の説明に多くの外交関係者が首を傾げる理由だ」

     

    米国は、韓国の逃げ腰を見逃さないであろう。人権という崇高な理念説明で逃げ回る韓国に警戒感を強めて当然である。バイデン政権が、日米韓三ヶ国会議で北朝鮮問題を議論するスキームをつくり上げ、第一回会合を終えた。これは、韓国の逃げ腰を押し止めるための方策であることが明確である。

     

    (5)「22日(現地時間)に同じくオンラインで行われた国連軍縮会議(CD)でブリンケン米国務長官は、「米国は、北朝鮮の非核化に今も集中しており、平壌(ピョンヤン)の違法な大量破壊兵器(WMD)と弾道ミサイルプログラムに対応するために同盟、パートナーと緊密に協力する」と述べた。ブリンケン長官が「韓半島(朝鮮半島)の非核化」ではなく「北朝鮮の非核化」と表現したのは就任後初めてのことだ。バイデン政権の焦点は、北朝鮮の核プログラムの除去および廃棄にあることを示している

    米国と韓国の北朝鮮問題(非核化)への認識は、かなり食い違っている。米韓は、この溝を埋めるためにも、北朝鮮に対して共通認識を持たねばならない。韓国外交部長官は、米国と同席すべきであろう。同じ会合の空気を知ることは、米韓相互理解に良いチャンスである。それを、みすみす逃すのだ。意図的である。

     

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    2021-02-08

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