勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    米中冷戦で中国勝利説の曖昧

    欧州が人権で中国へ反旗翻す

    習近平氏の地位は安泰でない

    中国は「第二の日本」で零落

     

    中国を巡る情報分析では、従来になかった「習近平失脚」が出てきた。今年に入って、新型コロナウイルスが世界に広がるパンデミックによって、中国は内外で苦境に立たされているからだ。国内ではロックダウン(都市封鎖)による経済損失が尾を引くこと。海外では、パンデミックの責任論が重くのしかかっている。中国は、未だにWHO(世界保健機関)による武漢での現地調査を阻んでいるが、いずれ「中国原因説」が確定した場合、習近平氏の責任論に降りかかると見られている。

     

    習氏は、「中国原因説」を振り払うように周辺国への強硬策を取っている。これが一層、中国国内での論争を招いている。ただ今のところ、習氏の責任を直接に問うものでなく、日本が太平洋戦争に突入した歴史的背景を議論することで、間接的に現在の中国の置かれた危険性を示唆するものだ。こういう日本を軸とする「歴史論争」は、過去になかったことである。

     

    英国紙『デイリー・エクスプレス 電子版』(9月12日付)は、英軍元将校で国防問題専門家のニコラス・ドラモンド氏のインタビュー記事を掲載した。新型コロナウイルスの独立調査の中間報告によって、習近平氏が失脚する可能性があるとの見方を示して注目されたのだ。このインタビュー記事は、1週間後に削除されたという。中国からの圧力がかかったと見られている。

     


    習氏の国家主席任期は2022年までだ。すでに、国家主席の任期限定は改正され、「期限なし」とされている。習氏が、今回のパンデミックが起こらなければ、22年以降も「続投」となるのだろうが、にわかに状況が変わってきた。

     

    習氏と取り巻きの民族派は、強硬突破の方針だろうが、それを阻止する党内の「反習派」との間で厳しい争いが起こる可能性が出てきた。それは同時に、中国周辺で「きな臭い」軍事衝突を招く要因になろう。国内不安に関わるストレスは、対外衝突で解消する「帝国主義パターン」が予想されるからだ。

     

    その衝突第1号は、台湾への武力攻撃であろう。中国は、台湾の半導体工業を差し押さえたいという欲望も重なって、「台湾解放」を名目に軍事攻撃するというものだ。最近、米国政府の高官が相次いで訪台しているのは、米台緊密化を印象づけて中国の台湾攻撃阻止を目的にしている。以上の、中国内外の動きは、後で詳細に取り上げる予定だ。

     

    米中冷戦で中国勝利説の曖昧

    ところで、「米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない」という、勇敢な主張が出てきた。最近では、珍しい中国支持の議論である。この説に従えば、習近平氏の「辞任」などはあり得ないことだ。逆に、習氏の株が上がることで、習氏の権力基盤は一段と高まるはずである。

     

    『ニューズウィーク 日本版』(9月8日付)は、丸川知雄・東大教授の「米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない」と題するエッセイを掲載した。

    内容は、タイトルから分るように米中新冷戦は中国が勝つ、というものである。先ず、丸川氏の主張を要約したい。その後で、私のコメントを付す。

     


    1)通信の専門家でもない政治家が、「中国製の(通信)機械は危ないから使うな」と命令すれば、通信事業者は中国製を使いさえしなければいいんでしょと考えて、かえって情報の漏出防止に対して必要な対策を怠る危険性がある。

     

    2)いま米国がやっている中国のハイテク企業いじめには、いったいどのような戦略的意味があるのか説明がなされていないし、説明することもできないのではないか。ファーウェイに輸出するのはだめだが、ファーウェイと同じ中国の民生用スマホメーカーであるシャオミやオッポやZTEに売るのは特に規制しないというのでは道理に合わない。

     

    3)米国が、安全保障上の脅威を理由にする輸出規制の「成果」はショボいものでしかない。ファーウェイは自ら5Gスマホを作る道を断たれるならば、自社の技術を他社にライセンスするだろう。その結果、中国国民が手にするスマホのブランドは、ファーウェイから他社に変わるかもしれない。最新鋭の5Gスマホが、入手できるのである。これで安全保障上の脅威が減じることになるのだろうか?

     

    4)米国が、中国に対して輸出管理という経済戦争に勝利できるかどうかは、米国およびそれに同調する国々が、中国が他から入手できないものをどれだけ効果的に封じ込められるかにかかっている。ファーウェイを封じ込めても、中国が他からいくらでも代替品を入手できるのであれば封じ込めの効果はない。(つづく)

     

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    米国FBI(連邦捜査局)長官は、中国による「経済スパイ」が10年前の13倍にも達していると警告した。凄い規模である。これを防ぐには、中国人研究者を米国へ入国させないことだ。ビザ発給を厳しくして「水際作戦」を展開するほかない。

     

    『大紀元』(9月19日付)は、「FBI長官、中国は米国の税金を盗んでいる、知的財産窃盗問題で議会証言」と題する記事を掲載した。

     

    米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は917日、下院の国土安全保障委員会で証言し、中国の諜報活動のターゲットの多くは米国民の税金で生み出された知的財産であり、米国の税金が盗まれているようなものだと表現した。

     

    (1)「レイ長官は、FBIは2000件以上の中国関連の諜報活動を調査しており、新たな調査を「10時間ごとに」開始していると語った。「私たちの対敵諜報活動の報告の中で、群を抜いて大きな割合を占めている」「この脅威の範囲と規模は驚くべきものだ」と付け加えた。レイ長官の証言は、7月に保守系シンクタンク・ハドソン研究所で行った中国に付いての演説内容を踏襲している。レイ長官は当時、「約10年前に比べ、中国が関与する経済スパイの捜査件数は約1300」%増加した」と述べた。

     

    中国は、盗賊国家である。米国の知的財産を狙っている。10年前の13倍というから驚く。スバイが、一大産業である。

     

    (2)「レイ長官によると、一部の大学などの学術機関は中国共産党の脅威に危機感を抱いていないが、潜在的な研究窃盗に対応する機関は増えてきたという。米司法省は最近、世界中の数百社の企業にハッキングしたとされる中国人ハッカー5人を起訴した。中国人と共謀し利益を得た疑いでマレーシア人ビジネスマン2人も起訴した。米国は7月にヒューストン中国総領事館を閉鎖し、中国共産党のスパイ活動の中心地であると非難した。FBIは当時、全米25都市で知的財産権の窃盗に関与した中国軍出身の学者への調査を開始すると発表していた」

     

    米国の大学はオープンな組織であることを狙われた。ファーウェイは、各大学へ巧妙に接近して多額の研究費や実験設備まで供与している。研究成果を窃取してきたのだ。

     

    (3)「さらに、米司法省は同月、新型コロナウイルスの研究データなど、世界の知的財産やビジネスの機密情報を盗もうとした疑いで、中国人ハッカー2人を起訴した。この窃盗行為は中国国家安全部から指示されたものとみられる。中国が米国の審査をかいくぐり、米の公的研究機関に入り込んで技術を盗み出す事件が相次いで発生している。国土安全保障委員会副委員長のマイク・ロジャーズ下院議員は917日の公聴会で、この問題に対応する法案の成立を目指すと述べた」

     

    下線の通り、中国ハッカーは中国国家安全部(諜報機関)が保護すると言われてきた。

     

    (4)「レイ長官は、「中国は人材の争奪戦を起こしている。中国は米国の技術革新と研究の国際評価に嫉妬している。中国は成果を出せないとき、ここ(米国)に人を送り込んでくる」 と語った。レイ氏は書面による証言の中で、「中国は現在、新型コロナウイルスの流行について研究している米国の医療機関や製薬会社、学術機関から関連データを盗もうとしている。費用や価格情報、内部戦略文書、個人情報など、競争上の優位性をもたらすものなら何でも探している」と強調した」

     

    下線部は、1月初めに始まったという。中国は、この時点で新型コロナウイルスという認識があったのだ。

     


    (5)「米政府は近年、中国の経済スパイ活動に対抗するために注力している。マイク・ポンペオ米国務長官は85日、米通信ネットワークから中国の影響力を排除する「クリーンネットワーク」の構想を発表した。2018年、米司法省は、経済スパイ活動を行った疑いのある中国企業や個人を調査する「中国イニシアチブ」を発足させた」

     

    米国は、中国の経済スパイに頭を悩ませてきた。それだけに留学生ビザを極端に絞って、スパイ予備軍の入国阻止を始めている。

     

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    半導体の発展途上国・中国は、米国に100%振り回される構図がさらに強まってきた。米半導体大手エヌビディアは、ソフトバンクグループから英半導体設計大手アームを400億ドル(約4兆2000億円)で買収する計画を進めている。中国のチップ業界は、買収が成立すれば、ほぼすべての携帯電話のチップに使用されている主要技術が米国の手に渡ると危機感を募らせ、中国政府に調査を求めた。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(9月17日付)は、「エヌビディアのアーム買収に頭を抱える中国」と題する記事を掲載した。

     

    北京半導体行業協会の朱晶副会長は、エネルギー効率に優れたアームのチップの設計図は中国で設計されるチップの95%に使用されていると指摘し、同社の所有権を米国企業に渡すわけにはいかないと述べた。

     

    (1)「朱氏は中国の政府系メディアの澎湃新聞の取材に対し、「中国通信機器の最大手である華為技術(ファーウェイ)が米国でどんな目に遭ったか、考えてみるといい。アームが米国企業に買収されたら、誰も安閑としてはいられないだろう」と語った。別の政府系メディアである『環球時報』も9月16日、中国政府に介入を促し、社説で「アームが政治的な駆け引きの道具と化し、米国政府が同社を中国のテック企業に対する武器として利用する可能性を真剣に考慮しなければならない」と警鐘を鳴らした」

     

    中国は、ファーウェイが米国の「半導体報復」で、その死命を制されている。今回のアーム社が米国のエヌビディアに買収されれば、その二の舞いになると警戒している。

     

    (2)「アームは中国国内において、様々な方面とのつながりを持つプライベート・エクイティ・ファンドである厚樸投資(HOPU)との合弁事業を設立しており、そのため中国の独占禁止法執行機関には、エヌビディアによる買収計画を審査する権利がある。加えて、中国の規制当局は、独禁法に基づき、企業の合併・買収が国の発展に及ぼす影響を調査することを明示的に義務づけられている。独禁法を専門とする弁護士によれば、この買収について中国政府から承認を得るのは至難の業だ。匿名を希望する香港の弁護士はこう語る。「中国では、この話題が国全体を巻き込んだ一大論争を巻き起こしつつある。今この状況でハイテク・セクターの買収取引を遂行しようとするなら、並大抵でない覚悟が必要だ」

     

    独禁法専門の弁護士によれば、今回の買収は中国政府から承認を得られないと見ている。中国への影響が、極めて大きいからだ。

     

    (3)「一方、エヌビディアも強力な武器を持っている。アームの設計図とエヌビディアのグラフィックプロセッサの両方に大きく依存している中国市場から撤退するという選択肢だ。しかし中国のある弁護士は、世界有数の市場である中国への再進出が困難になるため、この選択肢は高いリスクを伴う最後の手段だと指摘する。「両陣営とも、相手にどこまで譲歩を迫れるかを探り合っている状況だ」。スイスの金融大手クレディ・スイスのアナリストは、この取引は「とりわけ中国の規制当局から待ったがかかる可能性が高い」と指摘するが、米運用会社アーク・インベスト・マネジメントのジェームズ・ワン氏は、成功の確率を「五分五分」と見る」

     

    エヌビディアも対抗手段を持っているという。中国政府が合併を承認しなければ、中国から撤退するという切り札を使うと見ている。

     


    (4)「エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は、同社は中国の規制当局と時間をかけて話し合う考えであり、4月にイスラエルの半導体設計メラノックス・テクノロジーズを買収した時のように承認がおりるという「掛け値なしの自信を持っている」と述べた。アームの知的財産は英国のケンブリッジで30年以上かけて創出・開発されたものであり、本社は引き続き英国にとどまるとファン氏は語る。「技術の源泉国は変わらないため、アームが日本企業の傘下から米国企業の傘下に移っても輸出管理に一切影響はない」。

     

    エヌビディアの最高経営責任者(CEO)は、中国当局から合併承認が得られるように時間をかけて話合い、承認が下りると自信を見せている。

     

    (5)「大手法律事務所ステップトゥ・アンド・ジョンソンの所属弁護士で、輸出管理を専門に手がけるウェンディ・ワイソン氏は、アームの社員、資金、技術に占める米国の比率が高まるにつれ、いずれ同社にも米国の制裁規則が適用されるだろうと予測する。米国の親会社は、アームのチップの設計図に取り入れる技術やソフトウェアについて干渉し、同社に対する支配を強め、リスク削減のために中国への販売を停止すると宣言する可能性もある」とワイソン氏は指摘する」

     

    アームは、いずれはエヌビディアの支配が強まり、「米国企業」になるとの予想もされている。ただ英国側が、アームはあくまでも英国企業であるという自負心が強く、エヌビディアとの交渉は英国が壁になる可能性もあろう。ソフトバンクの孫社長は、アームを買収する際、英国首相と会談して了解をとるという裏工作をしたほどだ。アームは、英国人の誇りである。単なる資本の論理で割り切らない面がある。エヌビディアは、その点をどこまで理解しているかだ。

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    今回の新型コロナウイルスの発症は、これまで世界中に張り巡らしていた中国共産党統一戦線の機動力が、いかに大きいかを浮き彫りにした。北京からの指示で、世界中の華僑が一糸乱れぬ動きをして、マスクなど個人保護具(PPE)を買い集めたのだ。名古屋では、3日間でマスク52万枚を買い集めたという。

     

    世界中に散らばっている華僑にして見れば、「母国の災難」で団結して行動したのであろう。だが、米中の「熱い戦争」に発展した場合、この華僑組織は攪乱工作をしないという保証がないことだ。これまで問題にされなかった華僑組織の持つ意外な側面に、各国が警戒観を持ち始めた。

     

    世界中の華僑組織を動かしたのは、中国共産党中央統一戦線工作部である。中国共産党中央委員会に直属し、中国共産党と党外各衛星政党との連携を担当する機構である。民族、宗教についての業務、特にダライ・ラマに協力する国内外のチベット解放活動に対する工作や、海外における祖国統一工作、非共産党員の幹部養成も職務に含まれている。要するに「宣撫工作」(スパイ活動)である。「孔子学院」の所管もここだ。

     

    現在、全世界に華僑(国籍は中国)・華人(国籍は他国)が6000万人以上いるとされる。その資産規模も2兆5000億ドル(約280兆円)以上と推定されている。動員力と資金力を持つ一大勢力である。こういう組織が、世界の市民の中に存在する。先進国は、この実態を偶然ながら認識することになった。足元にまで共産党の「隠れ指揮所」が迫っていることに愕然としているのだろう。

     


    『ブルームバーグ』(9月18日付)は、「
    世界中に住む中国人動員しマスク購入、共産党統一戦線に各国で警戒感」と題する記事を掲載した。

     

    中国での新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるため湖北省武漢市が1月にロックダウン(都市封鎖) されると、世界5大陸、数十カ国に散らばる中国人組織がマスクなどの個人保護具(PPE)を購入し始めた。共産党中央統一戦線工作部が指揮した前例のない組織動員の始まりだった。大規模な公衆衛生危機に見舞われた中国にPPEを送るためだ。

     

    (1)「中国国営の新華社通信によれば、名古屋では3日間でボランティアがマスク52万枚を薬局で買い上げた。1月26日までにはカナダのトロントにある中国商業会議所のトップが北京から戻り会員に協力を求め、100人近くがPEEを買い込むため、凍った道路を運転してトロントに向かったという。ケニアとイタリアのミラノからの航空機には中国向けPPEが詰まった箱やスーツケースが大量に積み込まれていた。アルゼンチンにある中国在外団体は、要請を受けて1週間以内に約2万5000枚のマスクを送った」

     

    凄い機動力である。新型コロナウイルスという緊急事態の発生で、マスクなどの買いだめに立ち上がった。これが、「ゲリラ活動」をやれという指令が出たならばどうするか。普通の市民が突然、武器を持って現れるという最悪事態も考えられるのだ。謀略国家・中国ならではのゲリラ戦術を警戒する時代になってきた。

     


    (2)「武漢ロックダウン前夜の1月22日、電子商取引の巨大企業アリババグループは同社のマスク在庫は4610万枚だとソーシャルメディアに投稿。北京と上海の全住民が1枚ずつ買える数にすぎなかった。しかし中国政府の統計によれば、2月末までにはマスク20億枚を含む25億品、82億元(約1300億円)相当が統一戦線主導のキャンペーンにより送り込まれていた。中国のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」の助けを借りて連係されたキャンペーンの規模とスピード、効果は一般的な災害救援活動を超えていた」

     

    世界中の華僑組織から2月末までの約1ヶ月で、マスクは20億枚、現金は約1300億億円が集ったという。大変は「集金能力」があることを示している。日本でも華僑は経済的に成功している人たちが多い。

     

    (3)「1月後半、統一戦線に関係する中華全国帰国華僑聯合会を通じて出された支援の呼び掛けはニューヨークやロサンゼルス、メルボルンなど各地の中国総領事館のウェブサイトに掲載された。大半のPPEは2月半ばまでに送り込まれた。数千の組織とソーシャルメディアグループを動員できることを示す統一戦線の功績だった。米下院情報特別委員会での昨年の証言によれば、動員可能な団体は米国だけでも250を超える」

     

    中国と聞けば、過剰反応しがちな米国としては、改めて統一戦線組織の存在に気配りせざるを得なくなった。

     


    (4)「統一戦線が単なる人道的組織でないことから、米議会は監視を強めている。 今年6月には共和党議員148人が「悪意的な感化キャンペーン」を理由に統一戦線の幹部に対する制裁を求めた。2018年に統一戦線についての報告書を発表した米議会の超党派諮問機関、米中経済・安全保障審査委員会(USCC)のロビン・クリーブランド委員長は、「国外からPPEを集めるための中国政府による在外中国人ネットワークの利用は、統一戦線を先陣とした経済・政治・安全保障キャンペーン統合の驚くべき例だ」と指摘した」

     

    思いもよらないところに、北京の指令で一斉に動き出す華僑組織の存在に気付かされた。今後の、米中対立激化の中で、この華僑組織は微妙な立場に立たされるだろう。

     

    (5)「中国共産党の影響力に関する共著のある米ジャーマン・マーシャル財団のマレイケ・オールバーグ上級研究員(ベルリン在勤)は、統一戦線の能力に対する各国政府の警戒が強まっていると分析。「極めて大きな組織的潜在力があり、弱い国民が不利になるように、あるいはあなたの利益に反する形で、使われる可能性がある」と指摘し、「すでにこれに気付き始めている政府もある。各国政府はもっと賢くなる必要がある」と述べた」

     

    日本の華僑組織では、中国系と台湾系に分かれている。こうなると、互いの存在が目障りになって、紛争を起こす事態も予想されよう。治安当局にとっては、頭の痛い問題が起こってきた。

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    米国は、水際作戦で中国人スパイ予備軍である留学生ビザ発給を急激に絞り込んでいる。中国人民解放軍関係者が、前歴を隠して留学し機密研究を盗み出さそうと狙っているからだ。7月の学生ビザ発給は実質4人。更新を含めた合計で145人である。前年同期の2万人超がウソのような変わり方である。中国は、米国にとって「敵性国家」になっている。

     

    『大紀元』(9月17日付)は、「米、中国人留学生のビザ発給をさらに厳格化、7月わずか145人取得」と題する記事を掲載した。

     

    米中関係が急速に悪化する中、米政府は、中国人留学生向けのビザ発給をさらに厳格化した。米政府の最新統計によると、今年7月、米の学生ビザ(F-1ビザ)を獲得した中国人は145人にとどまり、昨年同月の2万超を大きく下回った。

     

    (1)「米『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)9月14日付は、米国務省領事局のデータを引用し、7月に在中国米大使館、在上海総領事館、在広州総領事館が承認した学生ビザはわずか4件と報じた。この4件を除いた141件は、学生ビザの更新である可能性が高いとみられている。その一方で、同月、香港と台湾にある米国の在外公館は約1000件の学生ビザを発給した」

     

    米国は7月、中国人留学生に新規発給したビザがたったの4件であった。学生ビザ更新は141件で、7月合計の学生ビザ発給は145件である。一方、香港と台湾からは1000件の学生ビザが発給されている。中国からの学生ビザ申請は、スパイがらみが多いことを物語っている。

     


    (2)「留学事情に詳しいカナダの非営利団体、「国境なき教育」の創設者の1人である燕曉哲氏はRFAに対して、「中国にある米大使館と総領事館のビザ業務は、すでに約10カ月前から停止している。現在、一部の中国人学生は、香港や台湾などの第三国・地域を通して、米国の学生ビザの取得を試みている」と語った」

     

    下線のように、米国は中国関連ビザ業務を約10ヶ月前から停止している。いかに、中国への警戒感が強いかを示している。

     

    (3)「今年に入ってから、中国当局の情報隠ぺいで中共ウイルス(新型コロナウイルス)が大流行となった。各国の中でも米国の累計感染者数と死亡者数が最も多く、同国の経済は深刻な打撃を受けた。そのうえ、中国当局が長年にわたり米企業の技術を窃盗し、今年は香港で「国家安全維持法」を強制的に導入し、さらには南シナ海、台湾海峡および東シナ海で軍事活動を拡大した。このため、米中関係は急激に悪化している」

     

    米中関係の悪化が、ビザ発給停止の背景である。中国が長年にわたる米国の技術窃取をやってきたことへの報復だ。悪は、懲らしめなければならないという理屈だ。

     


    (4)「トランプ政権は5月末、中国軍とつながりのある中国人留学生や研究者の入国を規制する措置をとった。ロイター通信の報道では、米国務省は9日、中国人に発給した1000件以上のビザを取り消したと明らかにした。同日、米国土安全保障省のチャド・ウルフ長官代行は、「われわれは、中国の軍民融合戦略に関係する中国人大学院生や研究者のビザ取得を防ごうとしている。彼らによる機密性の高い(米国の)研究成果の盗用を避けるためだ」と述べた」

     

    米国は、中国に対して新規発給ビザの厳格化だけでなく、すでに発給したビザの取消しも行っている。それが、1000件以上にも達している。人民解放軍関係者の肩書きを偽って取得した学生ビザであるからだ。

     

    (5)「米政府はこのほど、ビザを不正に取得した中国軍の女性士官を逮捕・起訴し、技術窃盗の容疑で複数の中国人留学生や研究者を拘束した。さらに米政府は最近、一部の中国人留学生や研究者が米の重要技術を中国に持ち出すのを防ぐため、空港での出国審査を強化している。英メディアによると、一部の中国人学生は、米国を出国する際、審査官から質問を受けるだけでなく、所持のパソコンや携帯電話、ゲーム機が一時的に押収され、その中のデータや通信内容などが調べられたと訴えた」

     

    本欄でも、米国における中国人留学生が、技術窃取した嫌疑で逮捕されている事実を取り上げてきた。一部の中国人留学生は、米国出国の際にデータや通信内容を調べられている。すでに、「準戦時体制」を思わせる雰囲気だ。それにしても、米国から技術を盗み出さなければ、中国軍の技術開発が進まないとは情けない。ここまでやって、世界覇権へ挑戦したいとは、児戯同然の振る舞いである。

     

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