勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    習近平氏は、焦りに焦っている。民族主義者の側近に踊らされ、「米国弱し」と見くびって始まった南シナ海進出が、中国と習氏の運命を左右する局面に向かっているからだ。米国は、中国共産党と中国国民を区別して扱い、中国共産党の撲滅を訴えている。これに危機感を募らせる習近平氏は、毛沢東時代に戻って国民へ革命精神をたたき込むという。迷惑なのは、共産主義と無縁の一般国民である。

     

    『大紀元』(9月28日付)は、「『金儲けと洗脳』中国各地政府が『革命景勝地』建設に巨額投資」と題する記事を掲載した。

     

    中国共産党のイデオロギーが破綻しつつある今、各地政府は「貧困緩和」や「産業発展」などの理由を挙げて、次々と巨額を投じ「革命景勝地」を建設し、国民に「洗脳教育」を受けさせている。これに対して、地元住民の不満が噴出している。

     

    (1)「中国共産党による人権弾圧を伝えるオンライン雑誌『ビター・ウィンター』は9月27日、中国政府が開発した「革命景勝地」の一つである山西省運城市の袁家村では毎日、「紅歌」という共産党を称賛する中国の革命歌が繰り返し放送されていると報じた。同景勝地のスタッフは、「政府は主に幼稚園や小学生たちのために研修旅行を企画し、この革命景勝地でその『愛国心と党への愛』を育んでいる」と述べた」

     

    習氏は、大慌てである。中国国民が、米国の宣伝に乗せられて共産主義に背を向けることを恐れているのだ。幼い子どもたちに革命ムード教えるべく、研修旅行を始めているという。

     


    (2)「地元商店の店員は、「当店は毛沢東時代のスタイルで装飾することを求められた」「地元の管理部門は毛沢東の肖像を提供し、毎週月曜日の朝、全従業員が肖像の前で『党に従う』と誓わなければならない」と明かした。湖南省、山東省、浙江省などの各地政府は、「革命観光」に対して多額の投資を行っている」

     

    商店街は、毛沢東時代のスタイルで装飾し、当時の雰囲気を醸し出しているという。タイムマシーンに乗せて、革命精神をたたき込むというアイデアを考え付いたのだ。地方政府は、「革命観光」に多額の資金を投入し、新たなビジネスを始めるという。インフラ投資もあらかた終わったので、新規分野で「革命観光」に着目したのだ。抜け目ない商売根性だ。

     

    (3)「習近平氏が、9月中旬に湖南省の「革命観光」スポットを視察した際、「赤い遺伝子」を強調した。それを受け、同省株洲市は9月27日、「産業+革命観光」をテーマにした活動を行う「株洲観光特急」を開通した。また、開通してから6年経った吉衡鉄道も、同日に「革命旅行特急」を初運行した。浙江省温州市第八中学校の生徒クラスは9月下旬、「革命研修旅行」のために同省鹿城を訪れ、「党の歴史を学び、革命書籍を読み、旧跡を訪れ、革命曲を歌う」などの活動を行った」

     

    習近平氏が、先頭に立っているのが興味深い。習氏が一番、「共産党崩壊」を恐れているはずだ。終身「国家主席」を夢見るだけに、国民から共産主義にソッポを向けかれると立つ瀬がないのだ。

     


    (4)「『ビター・ウィンター』によると、
    広東省梅州市平遠縣仁居村はもともと、客家人を中心とした村で、地元の住宅のほとんどが客家の伝統的な様式だったが、2018年から地方政府は、数千万元を投じてこの村を「赤い村」に変身させたと報じた。村人がお金を出し合って作ったセメント道路は砂利道に改修され、「打倒帝国主義」「打倒地主」「赤い遺伝子の伝承」などの共産党の看板やスローガンが道や路地のいたるところで見られるようになったという。梅州の地元メディアは、「地方政府は住民の意見に十分に耳を傾け、支持を得た」と主張している。しかし、村人は「政府からは何の相談もなく私たちの道路を再舗装した」と言い、共産党を称賛するためにお金を全て使った地元政府を非難した」

     

    下線部のように、「打倒帝国主義」、「打倒地主」、「赤い遺伝子の伝承」などを看板にしているが、国民はとうの昔に共産主義を見限っている。続発する汚職と格差拡大。生真面目に生きる人間が、もっとも恵まれない社会が中国になった。この中国が、自由と民主主義の米国や同盟国に勝てるはずがない。

     


    (5)「福建省福州市の政府も、2019年に地元の於山景勝地を革命景勝地に作り替え、同区内の先祖代々を祭る「宗祠」(しゅうし)を革命教育基地に改造し、革命教育のための講堂や党へ忠誠を誓う記念碑を設置した。山東省淄博市の政府は、毛沢東像など革命景勝地の建設に約140万米ドル以上を費やしたうえ、現地の「党の建設テーマパーク主題」の開園日には、市民に毛沢東像の前で線香や冥銭を燃やさせた。台湾の中央通訊社は、「トランプ政権が米中対立を強めたため、米政界が「中国共産党」と「中国人民」を区別したことは、非常に問題の核心を突いているため、北京側は警戒している」と報じた」

     

    国民に選挙権も与えない中国共産党が、国民から支持されるはずがない。食うや食わずの極貧時代は、「計画経済」の意義もあった。だが、生活が生存水準を上回るようになった現在、共産主義の成立基盤は消えたのだ。そういう歴史的な共産主義の位置づけを忘れて、米国と覇権競争することなど論外である。

     

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    中国の「戦狼外交」は、あちこちで反発を生んでいる。威張り散らして歩く姿が、各国で非難されているもの。中国は、「自国が一番偉い」と鼻に掛けているが、裸の王様に過ぎないのだ。

     

    『大紀元』(9月27日付)は、「『中国に真の同盟国はない』、米政権の対中政策ブレーン余茂春氏、習氏の多国間主義主張を否定」と題する記事を掲載した。

     

    米国のマイク・ポンペオ国務長官の中国政策首席顧問で、中国安徽省出身の余茂春(マイルズ・ユー)博士は9月22日、珍しく公のイベントに出席し、国連総会で習近平国家主席が提唱した「多国間主義」を否定した。中国の国営メディアが、近代史における中国民族の最大の反逆者と呼んでいる余茂春氏は、習主席の発言は「自己認識の欠如」から来ていると述べた。

     

    同氏は、中国を統制している中国共産党は北朝鮮、そして「その気がないふり」をしているロシアを除けば、真の同盟国がなく、「孤立している」と話した。また、香港における中国共産党の「残忍で半ファシスト的な」行動が示すように、中国共産党の信頼性の欠如についても言及した。これらの発言は、カナダのシンクタンクであるマクドナルド・ローリエ研究所が主催した、中国共産党の香港での政策の意味合いに関するオンラインディスカッションで述べられたものだ。

     


    (1)「
    同氏は、「共有できる価値観。これが多国間主義の基盤である」と述べた。「私たち(米国)にはオーストラリア、日本、英国、カナダ、EU、NATO、ASEAN加盟国などの国がある。私たちはみな同じ価値観を共有している」。余氏は、米国と価値観を共有する世界中の友好国や同盟国に対し、「中国の脅威に対抗するために民主主義の同盟を構築すること」を呼びかけた。「世界のほぼ全ての自由民主主義国は中国が脅威であると認識している」と同氏は言った。中国には真の同盟国として信頼できる国がないということを覚えておいてほしい。だから、昨日国連で習近平が、中国が多国間主義の擁護者だと話したのはとても皮肉なことだ」。余氏は習氏の主張を退け、「自己認識の欠如を完全に反映している」と話した」

     

    中国には、真の友好国はないと言い切っている。それは、相手国を支配しようという目的であるからだ。儒教独特の秩序意識が災いしているのであろう。

     

    (2)「余氏はまた、米国は「世界的に実存する中国の課題に直面する際、世界のどの国よりも多元的だ」としながらも、「多国間主義には目標がないといけない」と話した。米国の前政権が他の5カ国との間で行った多国間協議で、北朝鮮問題が進展しなかったことに触れて、余氏は「パーティー、会話、宴会はうわべの付き合いで、世界のあらゆる問題を解決することはできない」と述べた。余氏は、ドナルド・トランプ大統領は別のアプローチを取り、金正恩氏と直接話すことを選び、「3年半もの間、彼を無力化した」と述べた」

     

    ここでは、トランプ式の外交術を評価している。「パーティー、会話、宴会はうわべの付き合い」という月並みなことでなく、「国益」を前面に据えた外交交渉であるからであろう。このトランプ式の外交術を理解した安倍前首相は、実益を得たというべきだ。

     


    (4)「さらに、「中国と周辺地域における米国の目標は、香港で消滅した自由や法の支配などの価値を守ることだ」 と強調した。「中国は国際システム全体を、中国の社会主義(中国の特色を持つ社会主義)と世界のその他の国々との終わりのない戦いと見なしている。だから彼ら(中国)は、2つのシステムの体系的、政治的、イデオロギー的な違いを忘れてほしいと思っている」と余氏は話した」

     

    中国は、自国が滅びるまで米国覇権に対抗して戦い続けると見られる。これが、帝国主義の恐ろしさである。韓国進歩派メディアは、中国を資本主義国という見当違いの意見を持っている。とんでもない間違いである。古い国際共産主義の夢を捨てずに持ち続けている。それが中国である。

     

    (5)「余氏は9月22日のオンラインディスカッションで、1997年以降の香港の状況を「惨めな失敗に終わった壮大な実験だ」と表現した。香港は「中国共産党の信頼性を試す実験」であり、失敗に終わったことで、中国政府は信頼できないことを世界に示した、と同氏は述べた。1997年、英国が香港を返還した際、中国は「一国二制度」を50年間維持すると約束した。しかし中国共産党はすでに約束を破り、共産主義と全体主義を香港の人々に押し付けようとしている」

     

    香港に対する「一国二制度」破棄は、世界の中国に対する見方を一変させた。中国は、国際的約束を守らない国という烙印を自ら求めたのである。これから大きな代償を払わせられるのだ。

     


    (6)「余氏は、中国共産党の「一国二制度」は「内面の矛盾」を抱えた「破産したアイディア」だと見ている。中国にとっての「国家統一」は、「政治的自由」をなくしては意味がないと指摘し、東西ドイツの統一や朝鮮半島を例に挙げた。同氏は、中国共産党が民主主義を残忍に弾圧し、香港に国家安全法を課したことで、香港での「一国二制度」モデルが「台湾への模範的な影響」を完全に失ったと述べた」

     

    習氏にとっては、2047年まで有効な香港との「一国二制度」を途中で破棄したのは、中国国内の内部矛楯の噴出である。国内経済は、破綻状対に向かっている。失業者の急増に伴う社会不安が社会騒動に発展しかねないのだ。香港デモが、本土のデモを誘発する危険性を遮断したかったのだろう。

     

     

     

     

     

    あじさいのたまご
       

    米国中が、中国との産業競争に負けてはならぬと緊張感が漲っている。電気自動車(EV)もその一つだ。中国政府は大気汚染を改善する目的で、EV依存度を高める工夫をしている。EVへの補助金支給もその一つである。その結果、2019年のEV販売台数は、中国が120万台だったのに対し、米国は32万台にとどまった。そこで、「米国は中国に負けてはならぬ」と檄が飛んでいるもの。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(9月23日付)は、「米軍産ロビー団体『EV支援は対中安保問題』」と題する記事を掲載した。

     

    米国が早急に自前の電気自動車(EV)産業を育成しなければ、将来、自動車産業を中国に依存せざるを得なくなる――米軍と米企業の幹部で作る有力団体がこう警告した。中国は鉱物資源の採掘からバッテリー生産、車両本体の製造販売に至るまでEV供給網での優位を確立しつつあると、米国のエネルギー安全保障を推進するロビー団体「セキュアリング・アメリカズ・フューチャー・エナジー」(SAFE)は主張している。

     

    (1)「中国がEV市場を支配しようとする動きに今後5年以内に対抗できなければ「米自動車産業は衰退」し、同産業で働く数百万人が失業する恐れがあると、SAFEのエネルギー安全保障リーダーシップ会議のメンバーのデニス・ブレア元米国家情報長官は指摘した。「米国の市場占有率が下がり、中国企業やその子会社が製造するEVに比べて性能や魅力が劣る製品しか作れなくなり、雇用や産業のすそのの広がり、技術力まで失われる」とブレア氏は話した」

     

    この記事は誤解を招きやすい。中国でEVを生産している国産自動車企業は、政府の大量の補助金でようやく息をついている。補助金がなければ生きられないのだ。次の記事が、その実情を報じている。

     

    「補助金や民間資本の後押しを受けて、かつては破竹の勢いとみられていた中国新興EVメーカーを取り巻く環境は一変した。2019年初頭時点で635社に上ったEVメーカーの一部は、アップルがスマートフォンに変革をもたしたように、自動車業界に革命をもたらすと意気込んでいた。だが、その面影はもはやほとんど見られない。新興EVメーカーの多くはまだ1台も生産できておらず、事業を継続させるだけの販売台数に達しているところもほとんどない。これまでは補助金が販売の不足分を埋め合わせてきたが、補助金制度も年内で終了する予定で、民間投資家の間でも幻滅が広がっている」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月31日付)

     

    上記WSJによれば、中国は深刻な事態に追い込まれている。中国EVを羨ましがることはなさそうだ。ただ、リチウムイオン電池工場を相次いで建設させている。

     

    (2)「中国はEV開発で主導的地位を占める。米国はリチウムやグラファイト、レアアース(希土類)の採掘をはじめ、リチウムイオン電池や車体の製造でも中国の後じんを拝している。「中国は販売台数だけでなく、EV産業に関わる企業も多い。バッテリー生産を急いでいるほか、世界中でレアアースなどの原材料を確保したり優先権を得たりしている」とブレア氏は懸念を示した。「EV産業では他国の一歩先を行っている」。英調査会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのサイモン・ムアーズ氏によると、中国のリチウムイオン電池生産の世界シェアは19年には72%に上った。米国はわずか9%だった。同氏は5月、中国が1週間に1カ所のペースでバッテリー工場を新設しているのに、米国は4カ月かかっていると指摘し、両国の差がさらに広がっていると警告した」

     

    中国のリチウムイオン電池工場は、外資系企業も関わっており、中国企業だけが行っているのではない。世界の自動車メーカーは、一斉に中国でEV生産に取り組んでおり、その技術ソースは海外企業が握っている。むしろ、中国自動車市場はEV実験場という意味がある。中国にはまだ、海外企業を脅かすほどの高い技術のある企業は存在しない。

     


    (3)「中国は自前のEV産業向けに巨大電池工場を多数建設したのみならず、そうした工場向けのサプライチェーン(供給網)も作り上げた」と同氏は語った。「中国はバッテリーの主要原材料の23%しか生産していないが、次の製造工程で必要となる化学物質の80%、正極の66%、負極の82%、電池の基幹部品であるセルの72%を製造している」

     

    外資系企業の中国進出の結果、表面的には中国生産が突出しているイメージである。2019年の中国EV販売が、外資系を含めて120万台であるのに対し、米国は32万台である。こういう実情から見て、前記記事のような高いシェアになるのは当然だろう。

     

    (4)「SAFEの警告は、米大統領選が数週間後に迫るなかで公表された。民主党候補のバイデン前副大統領は国内EV市場の拡大を支持しており、30年末までに50万カ所の充電施設の新設と税額控除の復活を公約に掲げている。一方、トランプ大統領は企業に大規模なEV生産に慎重になるよう求め、EVが1回の充電で走行できる距離の延長についても疑念を示している」

     

    トランプ氏がEV生産に慎重なのは、EVでは部品生産点数が大幅に減って、雇用問題を引き起すという懸念を抱えているからだ。世界が、完全な自動運転車EVへ移行し高齢社会の足になる時代が来れば、爆発的な販売台数が期待される。その過渡期のEVでは、雇用減という大きな問題にぶつかるのだ。 

     

     

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    韓国の「中国恐怖症」は、骨の髄まで染みこんでいる。頭では、中国から離れて米韓同盟の原則に戻らなければならないと考えている。だが、現実に行動へ移すには気が重い状態で逡巡している。

     

    『朝鮮日報』(9月25日付)は、「韓国が二の足を踏む間にポンペオ長官、来月日本でクアッド会議」と題する記事を掲載した。

     

    米国務省のポンペオ長官が来月初めに来韓した直後に日本を訪問し、日本、オーストラリア、インドと共に「4カ国安保対話(クアッド)」の会議を開催することが24日までに分かった。自由民主主義などを主要な価値として共有するアジアの主要国と米国との協議体「クアッド」は、この会議で中国に対抗する同盟連帯を強化し、対応戦略について協議を行うとみられる。

     

    (1)「韓国が抜けた状態で、米国が対中戦線参加国との同盟関係を固める場面が日本で演出される形だ。外交関係者の間では「韓国が米中の間で留保的な立場にこだわる間に、主要な多国間協議体の一員から外れてしまった」「このままでは米国の同盟国の中で仲間外れの立場に転落するのではないか」など懸念の声が出ている」

     

    朝鮮李朝時代末期と同じパターンである。中国の顔色を覗って右往左往しているのだ。当時の世界情勢は、米英主導であったにもかかわらず、中国とロシアの両帝国を恐れていたのだ。時代を読めないことが、現在の南北朝鮮分断の遠因にもなった。今の韓国と全く同じ振る舞いだ。

     


    (2)「ポンペオ長官は来月7日ごろ、12日の日程で来韓するが、その際にも中国に対する圧迫メッセージを公開の席で出すと予想されている。ポンペオ長官は韓国側のカウンターパートとなる康京和(カン・ギョンファ)外交部(省に相当)長官と会談し、ファーウェイ排除、経済繁栄ネットワーク(EPN)への参加など、反中政策への積極的な協力を求めるとみられる。米国による対中圧力政策が引き続き強化される中、韓国にこれらへの支持と参加を求める要請が一層強まっているのだ。ある外交筋によると、米国は「クアッド」に韓国などを含める「クアッド・プラス体制」を構想しているという。これに先立ち中国は先月末、楊潔チ・中国共産党外交担当政治局委員を韓国に派遣し、「米国の側に立つな」とのメッセージを間接的に伝えた」

     

    韓国は、中国の恫喝に怒ってみたものの、次の行動が取れないという気弱さを抱えている。蛇に睨まれた蛙である。立派な米韓同盟があってももこの「ていたらく」である。刷り込み現象とは恐ろしいものである。口先だけで、行動が伴わないのであろう。

     

    (3)「米国の圧力にもかかわらず、韓国政府は「安全保障は米国、経済は中国」という基本政策を打ち出し、あいまいな立場を取り続けている。ある外交官幹部OBは「政府は先月の韓米日国防相会議にも納得し難い理由で参加しないなど、米日と徐々に距離を取ろうとしている」「これに対して中国、北朝鮮、ロシアは連帯を強化している」と指摘した」

     

    このパラグラフは極端である。米韓同盟を結ぶ韓国が、中国、北朝鮮、ロシアと連帯を強化しようというのならば、日韓首脳会談を開こうなどと考えるはずがない。文政権は、心が千々に乱れており、ともかく日本とは協調関係を回復させようという「外交ヘッジ(保険)」に出てきたと見るべきだろう。

     

    冒頭に指摘したように、韓国進歩派は意思統一されていない。日本を恐れるグループが存在するのだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月25日付)は、「『アジア版NATO』と安倍前首相の大きな影」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のパク・ミンヒ論説委員である。

     

    4カ国の安保対話を意味する「Quad(クアッド)」は、2007年に当時の安倍晋三首相の主導で始まった。米国、日本、オーストラリア、インドが手を握り、中国に対応するための非公式安保フォーラムだ。安倍首相は「自由と繁栄の弧」という概念を掲げ、米日印豪の4カ国が中心となって中国を包囲しようという構図を描いた。

     

    (4)「最近この構想は、米日印豪4カ国が核となり、それ以外の国を下位パートナーとして引き入れて中国に対抗する多国間安保機構へと拡大しようという「Quadプラス」へと発展している。冷戦時代にNATO(北大西洋条約機構)がソ連に軍事的に対抗したことを連想させる「アジア版NATO」構想である。 米国は、ここに韓国が参加すべきとの信号を送り続けている。最近、スティーブン・ビーガン米国務副長官とマーク・エスパー国防長官が相次いで、インド太平洋地域にNATOのような多国間安保機構が必要だと述べ、Quad4カ国に加え、韓国、ニュージーランド、ベトナムなどに言及している」

     

    米日印豪4カ国の「クアッド」は、将来の「アジア版NATO」を目指している。米国はここへ、韓国、ニュージーランド、ベトナムなどが参加することが望ましいとしている。

     

    (5)「Quadには日本のアジア戦略が込められている。日本の右翼勢力は、日米同盟を強化しつつ韓国や台湾などを下位パートナーとして引き入れ、平和憲法の修正、自衛隊の軍備強化と活動範囲の拡大などを通じて軍事力を強化しようとしている。これには、中国を抑えて日本がアジアの主導権を握るという意図とともに、米国がアジアから撤退する時に備えなければとの不安も作用している。安倍前首相は、南北和解を推進する韓国の朝鮮半島平和プロセスをQuad戦略の障害と考えて執拗に妨害し、退任後も「アジア版NATO」のかたちで韓国外交に大きな影を落としている」

     

    このパラグラフは、なんとも幼稚なことを言っている。中国の飽くなき領土拡張の暴走を食い止めるために「クアッド・プラス」が構想されている。韓国が中国を恐れるように、アジアでも、共同でこの中国を食い止めようという案である。

     

    韓国一国による中国のご機嫌取りでは、横暴を防げないのだ。ならば、韓国も「クアッド・プラス」に参加する方が効果的である。「合従」(同盟)は、「連衡」(一対一の関係)よりもはるかに安全である。だから中国は、「合従」を嫌い「連衡」へ持ち込み、相手国を飲み込む意図である。秦の始皇帝が、中国を統一したときの手段が、合従を壊して連衡へ持込み征服した。この故事を忘れるな、ということである。

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    ファーウェイは、中国政府の補助金により割安価格で世界の市場を席巻してきた。補助金がなければ、ここまで急成長できるはずがなかった。補助金とスパイ活動が両輪であったのだ。このファーウェイは、9月15日からの米国による輸出禁止強化措置によって、いよいよ息の根を止められる事態を迎える。

     

    ファーウェイの1人立ち可能なのか。事実上不可能だ。ファーウェイは大量確保した部品在庫でひとまずしのぐと同時に「1人立ち」を模索するものとみられる。グーグルのアンドロイドの代わりにスマートフォン用基本ソフト(OS)「鴻蒙(ホンモン)」を独自開発して、生き残りを策している。世界のOSは、アンドロイドとiOSの二大寡占である。新規OSの入り込む余地はないのだ。ファーウェイも討ち死にであろう。

     

    ファーウェイが、米国の制裁の間隙を突いて主力部門の通信基地局(5G)とスマートフォンについて製造継続の方法はほとんどない、と指摘されている。5Gでは、主要技術とソフトは米企業の提供という。これまで騒がれてきた「5G」の世界独占懸念は消えており、中国が世界情報に介入する危険性はひとまず去ったようだ。英『フィナンシャル・タイムズ』が、「ファーウェイが死刑宣告を受けた」と評価した理由である。



    『日本経済新聞 電子版』(9月23日付)は、「ファーウェイ幹部、米制裁強化『大きな困難』」と題する記事を掲載した。

     

    中国の華為技術(ファーウェイ)が、米政府による半導体などの輸出規制にもがいている。同社の郭平(グォ・ピン)・副会長兼輪番会長は9月23日開いた記者会見で「米国の制裁強化が我々の生産と(会社の)運営に大きな困難をもたらした」と認めた。米国の技術に頼らない生産体制を整備していかざるを得ないが、先行きは厳しい。

     

    (1)「記者会見で、郭氏は「スマートフォンでは年数億枚のチップを使っており対策を考えている」とスマホ向け半導体の在庫についてそう説明した。郭氏が公の場で記者の質問に答えるのは5月以来、約4カ月ぶりだが、慎重な言い回しが目立った。米制裁の具体的な影響は「精査中だ」とし、対策は言及しなかった」

     

    スマホの半導体は、長く保たせて来年7~12月期と推測されている。米国の高級半導体がなければ生産不可能とされている。

     

    (2)「米商務省は、ファーウェイへの輸出規制を強め、15日から米国技術が関わる半導体の供給を原則禁じた。供給を続ける企業は米当局に許可を申請する必要がある。米インテルは一部製品の許可を取得したという。ただ業界内では「簡単に許可は出ない」という見方が大勢で、ファーウェイ社員は「多くの取引先が申請しているが、どうなるか分からない」と語る」

     

    9月15日以降、ファーウェイ納入業者のサムスンなどは、米商務省へ輸出継続願いを出している。ファーウェイの手前、やっていることとされている。実現の可能性はゼロだ。

     


    (3)「米格付け会社S&Pグローバルによると、ファーウェイの世界シェアが28%の通信基地局(2019年、売上高ベース)と、18%のスマホ(同)の二大事業で米規制の打撃が最も大きい。台湾の調査会社などは21年のファーウェイのスマホ出荷台数が、20年見込み比で7割減の5000万台に落ち込むと予測する

     

    ファーウェイの世界シェアは、28%の通信基地局(2019年、売上高ベース)と、18%のスマホ(同)の二大事業が、米規制による打撃は最も大きいという。売上の46%である。これでは、ファーウェイの経営が左前になって当然である。

     

    (4)「複数の中国メディアによると、こうした状況に対応するため、8月に米国技術を使わない製品を作るプロジェクトを立ち上げたという。まずパソコンやテレビを対象とする。ただ技術的な難易度が高いスマホや通信基地局は当面、実現が難しいとみられる。ファーウェイは独自の基本ソフト(OS)「鴻蒙(ホンモン)」も開発中で、21年中にスマホ向けに実用化する。独自OSに対応する自前アプリストアのアプリの数は、米グーグルの約300万件に対し、ファーウェイは約10万件どまり。ファーウェイは「グーグルのアプリもホンモンで使えるようにする」と説明するが、独自OSがグーグルのOS「アンドロイド」とどこまでアプリ利用の互換性を保てるか技術上の課題は小さくない」

     

    ファーウェイが、中国人民解放軍と密着しなければ、生き延びられたであろう。政治権力を利用してここまで伸びてきたが、それゆえ寿命を縮める結果になった。

     

     

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