勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    米中は、互いに外交官の活動制限をしている最悪状態に陥っている。もともとは、中国が、米外交官に対する制限をしているので、米国もそれに見合った中国外交官制限に過ぎない。中国は、国内対策としてあたかも米国が不当な制限を課したようにカムフラージュしているもの。曲者である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月12日付)は、「中国、国内の米外交官の活動を制限、報復措置」と題する記事を掲載した。

     

    中国政府は国内に駐在する米外交官の活動を制限すると発表した。米政府が国内にいる中国外交官の活動を制限したことに対する報復措置としている。

     

    (1)「中国外務省は11日、北京の米国大使館、さらに香港を含む中国国内の米総領事館を対象に「対等な制限」を科すとの通知を出したことを明らかにした。こうした在外公館に勤務する全員が影響を受けるという。制限措置の詳細は明らかにしていない」

     

    茶番劇である。中国は、米外交官に対する制限措置の詳細を明らかにしていないのだ。さらに制限強化をすれば、米国がそれに応じて中国外交官の行動を制限するだけ。困るのは中国である。中国は、米国よりも何倍もの外交官を送り込んでスパイ活動させている。

     


    (2)「米国務省は先週、国内にいる中国外交官が米大学などを訪問する場合は承認が必要になると述べた。さらに、中国の在外公館が施設外で大規模な文化的催しを主催する場合も許可が必要になるとした。中国外務省はこうした米国の措置を重大な国際法違反として非難している。自国の対抗措置については「米国の誤った動きへの合法的で必要な対応」とし、米政府に対し「不合理な制限を解除」するよう求めた」

     

    中国は、先に米外交官の活動を制限しているのだ。米国はそれに見合った措置を取っただけである。相互主義の原則に則った行動に過ぎない。下線のような大仰なことは、中国が先に行っている。米政府に対し「不合理な制限を解除」するよう求めている。言うなれば、自由にスパイ活動させてくれという厚かましい要求である。「国際法違反」の常連国・中国が、こういう発言すると片腹痛いという感じだ。

     

    『ロイター』(2019年10月17日付)は、「米、中国外交官と政府当局者との面会に事前通告義務付け」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「米国務省の高官は16日、米国に駐在する中国の外交官が、連邦・州政府や地方自治体の高官、教育・研究機関の職員と面会する際、国務省に事前通告することを義務付けると明らかにした。事前通告制は同日付で導入された」

     

    米国が中国外交官の事前通告制を行ったのは、昨年10月16日付である。それから11ヶ月経ってから「報復」するというのも間の抜けた話である。中国自らに非があったので、報復できなかったに違いない。今回の中国による「報復」は、内容も不明という形式的なものだ。実効ある報復策を取れば、中国が自分で自分の首を締める結果になる。米国で、さらにスパイ活動が困難になるだけであろう。

     

    (4)「国務省高官は記者団に、ここしばらくの間検討されていた措置で、貿易戦争で緊張している米中関係の他の分野とは直接関連していなと指摘。中国にいる米外交官と中国当局者とのやり取りを中国政府が制限していることへの対応だと説明した」

     

    米中貿易問題とスパイ活動は、直接結びつく問題でない。

     

    (5)「中国にいる米外交官は、中国の当局者などと面会する際、中国政府に事前に伝えるだけでなく、許可を取る必要があると国務省高官は指摘。今回の措置導入により、中国にいる米外交官が中国当局者に対して今よりも自由にアクセスできるようになることを望んでいると語った。事前通告をしなかった場合は結果を伴うとしたが、その詳細は明らかにしなかった。在ワシントンの中国大使館はツイッターへの投稿で、中国の外交官に対する「新たな制限」は、1961年の外交関係に関するウィーン条約に違反していると批判。これまでのところ、中国側は中国に駐在する米国の外交官や領事官に同様の制限は行っていない」とした

     

    中国政府は、どうしてこういうウソばかり平気で発言しているのか。デタラメな発言で、世の中を繕うという偽善的振る舞いが圧倒的である。世間には、こういうウソを信じるナイーブな人もいる。共産主義を信じるタイプは、ナイーブなのか。果ては、それを踏み台にしているのか。本人しか分らないだろう。

     

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    米国による文政権への信頼度は、地に墜ちていることが分った。国益のためには、米中二股外交を行うと明言する文政権が、米国から信頼を受けるはずがない。

     

    韓国は、戦時作戦統制権の移管を在韓米軍に求めている。現状では、米軍が作戦統制権(作戦指揮権)を持っており、韓国軍は米軍の指揮下で行動する義務を負っている。これを是正して、韓国軍が作戦指揮権を持ちたいとしている。だが、米軍は文政権在任中、移管しないと示唆した。

     

    『朝鮮日報』(9月12日付)は、「在韓米軍司令官、文大統領任期中の戦時作戦統制権移管不可を示唆」と題する記事を掲載した。

     

    在韓米軍のロバート・エイブラムス司令官は9月10日(現地時間)、「われわれが(戦時作戦統制権移管のプロセスにおいて)約束したことは、ゴールポストを動かさないということだ」と発言した。

     

    (1)「エイブラムス司令官はこの日、米戦略国際問題研究所(CSIS)主催の画像会議に出席し、「2015年11月、韓米国防相の間で条件付きの戦時作戦統制権移管計画がとりまとめられ、26項目の具体的かつ重要な軍事的能力について規定したが、この条件に合わせるには率直にやるべきことがさらに多くある」とした上で、上記のように述べた。韓国の現政権が任期中(2022年)の統制権移管を急ぐ過程で、「基準の緩和」など条件を見直そうとする動きに懸念を示したと解釈されている。任期中の統制権移管は、現政権が掲げる主要な国政課題の一つだ」

     

    朴政権時代は、作戦指揮権の韓国移管を延期するように求めた。文政権になると民族主義が先立ち、韓国軍が作戦指揮権を握って軍事行動を起こさせない、という政治的意図が浮かび上がっている。北朝鮮軍が侵略行為を始めても、韓国軍が指揮権を握れば在韓米軍を動かせないようにする危険性も考えられるのだろう。文政権は、それだけ信頼を失っている。

     


    (2)「エイブラムス司令官は「メディアは初期作戦能力(IOC)、完全作戦能力(FOC)、完全任務遂行能力(FMC)を統制権移管の3つの条件と報じているが、それはリンゴとオレンジと同じくらい違う話だ」「未来連合軍司令部の三段階検証は、備えるべき複数の軍事的能力の一つに過ぎない」と説明した。韓国では、未来連合軍司令部が三段階作戦能力の検証を受ければ、統制権移管が完遂されるかのように解釈されているが、実際はこれ以上に多くの軍事的能力の検証が必要という意味だ」

     

    (3)「そのためエイブラムス司令官の発言は、「(韓国における現政権)任期内の統制権移管は難しい」という意味に解釈されている。エイブラムス司令官はさらに「非常に重要な能力ではあるが、われわれは残りの25項目についても、韓国軍が獲得できるように神経を使っている」と発言した」

     

    メディアは、初期作戦能力(IOC)、完全作戦能力(FOC)、完全任務遂行能力(FMC)ば、統制権移管の3つの条件と報じている。現実は、そういう簡単なものでない。実際は、これ以上に多くの軍事的能力の検証が必要としている。つまり、戦闘能力の問題だけでなく、総合的な軍事能力の検証を必要としている。その、具体的事項が、次のパラグラフに出てくる。

     

    (4)「エイブラムス司令官は、「機密計画なので公開の場で話すのは難しいが、三段階の簡単な条件がある」として「韓国軍が連合軍を指揮する能力を示すこと、韓半島を防衛する統合対空ミサイル防御システムを獲得・開発すること、韓半島情勢が好転しなければならないこと」と説明した。その一方でエイブラムス司令官は「われわれが直面する挑戦の一つは、他の政府や他の指導者たちが『あ、それは正しくない。われわれはこれをすべきだ。あのようにすべきだ』と言ってくることだ」とした上で「問題の一つは、統制権移管の条件が機密であり、数多く変更されたため、大衆がよくわからなくなった点だ」とも指摘した」

     

    下線部分が、極めて重要である。文政権は、2017年10月に中国に対して、次のような安全保障上の重大問題(三不政策)を中国に約束させられた。

     

    1.米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない。

    2.韓米日安保協力が三カ国軍事同盟に発展することはない。

    3.THAAD(サード)の追加配備は検討しない。

     

    いずれも、韓国防衛の骨格に関わる問題である。こういう重大事項を易々と約束する文政権への「戦時作戦統制権移管」は、在韓米軍の安全すら脅かされるはずだ。文政権の安保政策の未熟さを考えれば、在韓米軍が懸念を深めて当然である。前記の三不を撤廃して、韓国が主権国家として「自立」しない限り、在韓米軍は戦時作戦統制権」の移管をしないだろう。

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    米国経済は世界経済回復の鍵を握るが、これまで悲観的な見方が多かった。中には、中国経済は回復しているが、米国経済は新型コロナウイルスの傷跡で、長期の低空飛行が続くというものまであった。

     

    8月27日に発表された、米カンザスシティー地区連銀主催の年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)の論文では、そういう悲観的ムードを一層強めるものであった。パンデミックによる経済的ショックが残す長期的な景気への負担は、簡単に消えないと指摘したものだった。そのショックが、「短期の生産損失予想の何倍も大きい」というのだ。

     

    この論文は、セントルイス地区連銀、コロンビア大学、ニューヨーク大学3名のエコノミストによるもの。一方つい最近、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)が、9月4~8日に62人のエコノミストを対象に行った調査では、前記の悲観的な見方を覆す明るい見通しが出てきた。「3人の分析」と「62人の分析」では、全く違う米国経済像が浮かび上がるのだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月11日付)は、「米経済、予想以上のペースで回復ーWSJ調査」と題する記事を掲載した。

     

    米国の経済と労働市場は新型コロナウイルス流行による景気悪化から従来予想を上回るペースで回復している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)による月次調査でエコノミストらが見解を示した。

     

    (1)「調査対象となった民間・学界エコノミストが予想する7~9月期(第3四半期)の米国内総生産(GDP)は前期比年率23.9%増と、前回調査の18.3%増を大きく上回った。全米製造業者協会(NAM)のチーフエコノミスト、チャド・モートレー氏は、「多くの経済指標がコンセンサス予想を上回っていることは心強く、米経済が予想以上に力強く回復しつつあることを示唆しているかもしれない」と指摘。「そうはいっても、とりわけ労働市場や新型コロナ流行を巡る不確実性など、難題は根強く残る」と述べた」

     

    多くの経済指標が、事前のエコノミスト予想を上回っている。これは、極めて心強いことで、米経済が予想以上に力強く回復しつつある証拠と見られる。事前予想と実績値を比べて、実績値が上回っていることは、「景気回復に力が加わっている」と判断できるからだ。

     

    (2)「7~9月期と10~12月期の回復は、今年に入って以降の落ち込みを埋め合わせるとはみられていない。GDPは4~6月期に年率31.7%縮小。1~3月期も5%減少している。7~9月期に予想される景気回復によって、GDPは今年上半期の落ち込みの約半分を取り戻す見通しだ。2019年10~12月期に記録したこれまでのピークを回復するには、今年の10~12月期に再び約24%増のペースで成長を達成する必要がある。その可能性は低いとみられている。エコノミストが予想する10~12月期成長率は年率4.9%で、回復が長引くとの見立てだ」

     

    7~9月期に予想される景気回復によって、GDPは今年上半期の落ち込みの約半分を取り戻す見通しである。昨年10~12月期の記録と同レベルに達するためには、今年の10~12月期に再び約24%増のペースで成長しなければならない。現状では、年率4.9%と見られているので、今年のマイナス成長は避けられないようだ。それでも、驚くべき回復力を示している。

     

    (3)「平均予想によると、今年のGDPは19年10~12月期時点から4.2%の減少が見込まれる。前月調査での5.3%減に比べ予想はやや上向いた。全米経済研究所(NBER)は2月にリセッション(景気後退)入りしたと判断したが、エコノミストは引き続き、景気が既に回復局面に入っているとの見方を示している。今年4~6月期もしくは7~9月期に回復が始まったとみるエコノミストは回答者の約82.4%で、前月調査とほぼ同水準にとどまった」

     

    米国経済は、すでに回復期に入っているとみられている。危機を脱した以上、前途に希望が持てる段階であることは事実だ。

     

    (4)「米就業者数は8月に137万人増加しており、労働市場の回復が加速するとの見方も出ている。同月の失業率は8.4%と、3月以降初めて10%を割り込んだ。エコノミストは今回、失業率が12月には8.1%に低下すると予想。前回調査では年末時点で9%と予想されていた」

     

    8月の失業率は、8.4%で3月以降初めて10%を割り込んだ。12月には8.1%へ低下すると見られる。

     

    (5)「ただ、一段と楽観的な予想には留意点もある。その多くは新型コロナの封じ込めを巡る見通しや有効な予防ワクチンの開発に関連している。オランダの銀行ラボバンクのシニア米国ストラテジスト、フィリップ・マレー氏は「新型コロナの感染第2波、中国との緊張の高まり、激戦の大統領選、社会不安、不十分な財政刺激」という有害な複合要因により、10~12月期に景気が二番底に陥る可能性もあると指摘した」

     

    手放しの回復期待論ではない。10~12月期に景気が二番底に陥る可能性も指摘されている。新型コロナの感染第2波がどうなるか、という不安材料を抱えている。

     

    テイカカズラ
       

    中国は、香港と結んでいた「一国二制度」を自ら破棄した結果、大きなブーメランに直面している。中国は、「一つの中国」によって台湾との断交を強制してきたが、自ら「一国二制度」を破ってしまい、「一つの中国」を金科玉条にできなくなった。

     

    この機を捉えて、米台は積極的な交流を始めている。米台FTA(自由貿易協定)締結に向かって、両国が動き出しているのだ。中国は、台湾海峡へ中国機を飛ばして嫌がらせをする程度で、完全に蚊帳の外に置かれている。習近平氏による性急な「香港国家安全維持条約」がもたらした副作用である。ここまで想定できなかったとすれば、習氏の外国戦略は、タガが緩んでいると言わざるを得ない。

     

    日本経済新聞 電子版』(9月11日付)は、「台湾、クラーク米国務次官の訪台を調整 経済対話で」と題する記事を掲載した。

     

    台湾の外交部(外務省)は9月11日、米国との経済対話のためケース・クラーク米国務次官(経済担当)の台湾訪問を実現させる方向で米政府と調整していると明らかにした。台湾には8月にアザー米厚生長官が訪問したばかり。

     

    (1)「台湾メディアは、9月17日から19日に訪問する方向と報じた。8月末、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が米とのFTA締結に向け米国産の牛肉と豚肉の輸入規制を撤廃すると発表した。米国は台湾と「新たな経済対話」の枠組みを設ける方針を表明し、クラーク国務次官が担当となった。台湾は次世代通信規格「5G」や半導体の協力のほか、米とのFTA締結も視野に関係強化を狙う。中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を唱える中国は、欧米から相次ぐ台湾への高官訪問に苛立ちを募らせている」

     

    クラーク米国務次官が、米台FTAの担当責任者になる。9月17日から19日の訪台で、さらに詳細を詰めるのであろう。一方、中国と台湾は、9月12日で関税をなくし、経済一体化をめざした経済協力枠組み協定(ECFA)が、10年目を迎える。台湾は「ECFAは統一工作の道具」と警戒する。台湾は今後、米国と自由貿易協定(FTA)を結び、中国離れを急ぐかまえだ。台湾は、ECFAよりも米台FTAに期待をかけているのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(9月11日付)は、「台湾、中国離れ加速『FTA』10年、米協定に傾斜」と題する記事を掲載した。

     

    中台間の経済一体化をめざした経済協力枠組み協定(ECFA)は、実質的な「中台FTA」。2010年、親中派の馬英九前政権下で発効した。当時の馬総統は「台湾が経済的孤立から脱する大きな一歩だ」と訴えた。

     

    (2)「最初は中国が関税などで譲歩した。中国側はプラスチック製品など539品目、台湾側は267品目で関税を先行して下げた。台湾の対中輸出全体の16%(138億ドル)、中国の対台輸出の11%(28億ドル)にあたった。これがECFAの最初で最後の「果実」となった。発効当初は将来の協定範囲の拡大が盛り込まれたが、中国が譲らず10年がすぎた。「中国が台湾にまいた餌は最初だけ」といわれるゆえんだ」

     

    台湾経済部(経済省)の試算では、ECFA対象品目の中国への輸出額が現在、台湾全体の輸出額(19年は3290億ドル)の5%にも満たない。中国にとっても、台湾が貿易総額全体に占める比重はわずか5%だ。

     


    (3)「台湾では、次第に「中国にとってECFAは台湾を取り込む道具」との解釈が広がった。1915年11月、馬氏はシンガポールで習近平(シー・ジンピン)国家主席と1949年分断以来初の首脳会談を実現したが、時はすでに遅かった。2カ月後に総統選に勝利した蔡英文(ツァイ・インウェン)氏は、5月の就任演説で「従来の単一市場に依存しすぎた現象と決別する」とし、脱中国を鮮明にした。ECFAはもはや現状維持でよく、米国とのFTAを最大の公約に上げる」

     

    台湾市民は、中国の強権政治に厳しい批判の目を向けている。ECFAの存在を警戒しており、米国とのFTAを歓迎する意向に変わっている。香港問題が、台湾の針路において「脱中国」を鮮明にさせたのだ。

     

    (4)「米台FTAが結ばれれば、中国への配慮から台湾とFTA交渉をしなかった国も引き寄せられる。「一つの中国」を主張する中国には打撃だ。すでに脱・中国は進む。19年以降の台湾企業の域内投資は約3兆円。同期間の対中投資の5倍以上で、中国一辺倒から台湾回帰が起きる。半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は5月、海外初の最新鋭工場を米国に建設すると決めた。投資額は120億ドル(約1兆3000億円)。中国に製造拠点の大半を持つ鴻海(ホンハイ)精密工業も、今年から中国ではなくインドに大型投資をし、iPhone11の量産を始めた」

     

    米中対立の最前線に立つ台湾企業は、米中デカップリング(分断)にそって、中国から手を引き台湾本土へ回帰。さらに、米国やインドでの大型投資を展開している。こうした台湾の中国離れの進行は、台湾が明確に米国陣営に入った証拠であろう。中国は、指をくわえて見ているだけだが、いつかは台湾侵攻を画策しよう。

     

    それは、中国自滅の危機に繋がるだろう。米国へ、中国に経済制裁させる口実を与えるからだ。米ドル圏からの切り離なされれば、中国は完全にお手上げになる。

     

     

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    米国は、中国の送り込んだスパイ逮捕に大童だ。これを未然に防ぐには、疑わしい人物の入国拒否がもっとも有効な策である。そこで、中国人ビザ1000人余を取消し処置とした。「水際作戦」の展開である。

     

    中国外務省は米国の行動は、「あからさまな政治的迫害で人種差別」だとし、留学生の正当な権利を侵害していると主張。北京での同日の記者会見で、「中国はさらなる行動を起こす権利を有する」と同省の趙立堅報道官は述べた。

     

    趙立堅報道官は、「戦狼外交官」として有名である。恫喝発言を連発するからだ。「人種差別で、留学生の正当な権利を侵害していると」大段平を切っている。米国が、自国の機密情報窃取を阻止することが、人種差別で中国人留学生の正当な権利の侵害と騒いでいる。頭を冷やして発言すべきであろう。

     

    『ブルームバーグ』(9月11日付)は、「米国、安全保障理由に中国人1000人余りのビザ取り消し-中国側は非難」と題する記事を掲載した。

     

    米国は国家安全保障を理由に中国人留学生・研究者1000人余りのビザ(査証)を取り消したことを明らかにした。中国政府は抗議するとともに、報復の可能性を示唆している。

     

    (1)「(在中)米国大使館の報道官は9月10日の声明で、「高度な軍事力を開発する目的でテクノロジーと知的財産、情報」が中国人の大学院生や研究者に窃盗されるのを防ぐ措置の下、ビザが撤回されたと発表した。影響を受けるのは「少数の学生・学者」とし、米国は引き続き「合法的」な学生・研究者を歓迎するとコメントした」

     

    ここで米国大使館が発表した、中国人留学生・研究者1000人余りのビザ取消しは、肩書きを偽ってビザ申請した者を調査した結果、はじき飛ばしたのであろう。今回の措置は、5月の米大統領布告によるもの。すでに4ヶ月の時間を経ており、米国が厳重に身元調査して「スパイ予備軍」を排除したのであろう。多くは、中国人民解放軍ないし関連大学や研究所に所属する「スパイ予備軍」だ。これまで、FBIに逮捕された人間は、すべてこのケースに該当する。

     

    それにしても1000人余とは凄い。1人1テーマのスパイでも、1000余のテーマが労せずして中国に渡るリスクを、米国は抱えるところだった。油断も隙もならない中国の泥棒根性に呆れる。

     

    (2)「中国外務省は米国の行動は「あからさまな政治的迫害で人種差別」だとし、留学生の正当な権利を侵害していると主張。北京での同日の記者会見で、「中国はさらなる行動を起こす権利を有する」と同省の趙立堅報道官は述べた。米国大使館によると、ビザ取り消しは中国人民解放軍と関係のある中国国民を対象にした5月の大統領布告の下で行われた。ビザが無効になった個人についての情報は明らかにされていない」

     

    米国大統領布告で、すでにビザ発給を厳重にすると予告している。中国は、それでも1000人余も申請ビザに潜り込ませてきたのだ。その大胆不敵なやり方に、腹が立つやら、またそこまでやらなければ、先端情報を得られないという後進国特有の事情を抱えているに違いない。こんな状況で「世界覇権」を夢見ている。どこか、頭の構造がおかしくなってしまったのだろう。

     

    米国留学が困難になれば、日本へ向かってくるだろう。日本も入国ビザはより慎重にして、「ネズミ一匹」通さない体制を組むべきだ。日本国内にある「孔子学院」は、スパイの拠点になるので、警察庁は監視の目を光らしておくべきだ。

     

    中国外交部の「戦狼報道官」は、「中国はさらなる行動を起こす権利を有すと」と、大見得を切っている。そういう啖呵を切る前に、中国人留学生が米国でいかなる「スパイ活動」をして逮捕されているかを知るべきだ。

     


    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月8日付)は、「
    FBIから逃げる中国研究者、緊迫の攻防」と題する記事を掲載した。

     

    米当局が中国軍とのつながりが疑われる中国人研究者の捜索を強化する中、追う側も追われる側も緊迫度が増している。検察当局の話からは、逃亡計画失敗やごみ箱に捨てられた証拠、空港での捕物劇といった生々しい攻防が浮かび上がる。

     

    (3)「連邦捜査局(FBI)捜査官は今夏、数十人の研究者を尋問し、研究内容や軍との関連を問いただした。ここ数週間、捜査範囲が拡大したことを受け、一部の容疑者は当局の追及を逃れようとし、少なくとも2人の研究者が逮捕された。彼らの研究は、中国人民解放軍の計画と関係している疑いがある。検察側の裁判資料でそれが明らかとなった」

     

    FBIが、集中的に捜査している。スパイ予備軍の摘発である。中国にとっては、スパイほど、「おいしい稼業」はない。ほとんど無コストで、莫大な成果を手に入れるからだ。

     

    (4)「検察当局によると、うち1件では、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の人工知能(AI)分野の研究者グアン・レイ容疑者が、FBIが捜査中の技術窃取疑惑に関連する証拠を破壊した罪に問われている。グアン容疑者は、ロサンゼルス国際空港から出国するところを止められ、その数日後、データを消去したコンピューターのハードドライブ(HDD)をごみ箱に投棄した。検察側はこう主張する」

     

    証拠隠滅罪である。禁固刑で20年が予想される。

     


    (5)「もう1件では、バージニア大学で流体力学を研究する科学者フー・ハイチョウ容疑者が、指導教官のプロプライエタリソフトウエア(ソースコードが未公開のソフト)のコードを盗んだ疑いがある。この教官は米海軍の資金援助を受け、20年前からソフトの開発に取り組んでいた。フー容疑者は先月、シカゴ発の便に搭乗するところを米当局に阻止された。指導教官は彼が中国に戻るつもりだとは聞いていなかったという。検察側は裁判資料でこう主張した」

     

    米海軍の資金援助を受け、20年前から研究してきたソフトの窃取容疑である。もし、中国の手に渡っていたらと、思うとゾッとする。これは、証拠隠滅罪を上回る窃盗罪である。重い罪に服するのだろう。

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