勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    韓国政府が、米国の政府・議会から「GSOMIA破棄」を巡り集中的批判を浴び、血迷った行動に出て来た。従来、韓国政府が米国政府へ異議を申し立てるときは、米大使を非公開で呼び出し意思を伝えてきた。それが今回、メディアに予告して米大使を韓国外交部へ招致するという前例のない行動に出たのだ。国内向けゼスチャーだが、韓国政府の強がりを見せていると不評を買っている。

     

    『朝鮮日報』(8月29日付)は、「韓国政府、米大使呼んで問いただす、前例のない衝突」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国外交部の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官が28日、ハリー・ハリス駐韓米国大使を外交部庁舎に呼び、青瓦台の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定に対するトランプ政権の公の場での批判を『自制してほしい』と頼んだ」と外交消息筋が明らかにした。GSOMIA破棄をめぐり米国の懸念が高まっていることに対し、韓国政府が不満を公に伝えたものだ。韓国外交部は2人が会ったことを「面談」と表現したが、外交関係者の間では「事実上の警告・抗議の意味が込められていると見るべきだ」という意見が多かった」

     

    韓国政府が、米国政府から公然と批判されるにいたり、国内的には不利な立場に立たされてきた。文政権が、米韓関係の悪化を意図したGSOMIA破棄であったことが明らかになってきたからだ。そこで、ハリス米国大使を招致して、米国政府による批判の自制を要請したもの。

     

    (2)「ランドール・シュライバー米国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は同日、韓国外交部から自制要請があったのにもかかわらず、米ワシントンで行われた講演で、GSOMIA破棄について、「強い懸念と失望感を表明する」「韓国にGSOMIAを延長するよう要求する」と述べた。また、「米国は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の決定は否定的な影響を与えるものだと繰り返し明確に言ってきた」とも述べた」

     

    韓国政府の「自制要請」にも関わらず、シュライバー米国防次官補は堂々と韓国政府批判をやっている。「GSOMIA破棄」が、いかに米国の怒りを買ったかという証明だ。トランプ大統領まで、G7サミットで二度も文大統領批判を展開している。韓国は、窮地にたたされている。

     

    『朝鮮日報』(8月29日付)は、「米シンクタンク、『米国大使呼んだ文政権、自分だけが正しいと主張』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国外交部が28日にハリー・ハリス駐韓米国大使を呼んで、青瓦台の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定に対するトランプ政権の公の場での批判を「自制してほしい」と抗議したことについて、米国の専門家たちは「韓米間の緊急危機管理が必要だ」と主張している。また、韓米の確執が深まれば、在韓米軍削減というカードが切られる可能性があるとの予想も飛び出した。

     


    (3)「米国のシンクタンク「民主主義守護財団」のマシュー・ハ研究員は同日、「まだ韓米同盟の構図が崩れたとは思わない」と言いながらも、「文在寅(ムン・ジェイン)政権は常に自分たちだけが正しいと主張するので、対話を通じた解決が容易でない傾向がある」「現在は韓米外相級電話会談など緊急危機管理が必要な状況だ」「GSOMIA破棄は在韓米軍と米国の安保にも直接影響を与える。韓国は米国の安保懸念に共感しようという努力をしなければならない」と語った」

     

    米国は、米国青年の生命を賭けて韓国防衛に当ったという自負心がある。韓国が、米国の琴線に触れるような行動をすれば、反撃されるのは致し方ない。

     

    (4)「匿名希望のシンクタンク関係者は「韓国外交部がハリス大使に正式に抗議したことで、トランプ政権内における文在寅政権への反感はさらに大きくなるだろう」「問題は、トランプ大統領がこの問題をどう感じているかということだ」と言った。同盟を重要だと考えておらず、長期的には在韓米軍を撤収させたいと思っているトランプ大統領としては、「韓国は米国とたもとを分かとうとしている」と感じているかもしれない、ということだ。

     

    韓国は、米国への態度を対日本並みに振る舞えば、絶対に強い拒絶に合うだろう。米国には、米軍の韓国撤収という切り札があるからだ。

     

    (5)「米タフツ大学のイ・ソンユン教授は26日、米国の政治専門紙『ザ・ヒル』への寄稿文で、GSOMIA破棄による韓米衝突を懸念し、「韓国で広まっている反日感情が反米感情にならないよう、発言や行動を慎重にし、韓国を侮辱してはならない」と書いた。だが、その一方では、「トランプ政権は韓国と日本に(衝突するという)進路を変える必要があるとのシグナルを送るべきだ」「(このようなシグナルは)声明や非理性的な防衛費分担金要求ではなく、在韓米軍削減のための『構造調整』交渉でのみ伝えられる」と述べた。韓国が最後まで米国の意向に反すれば、在韓米軍削減というカードを切ることも検討しなければならないという意味だ」

     

    ここでも、在韓米軍の撤退カードが取り上げられている。これは、文政権にとって野党からの批判材料にされるだけに手痛いしっぺ返しである。


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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    米中貿易戦争の歴史意義

    中国の脆弱金融システム

    米アキレス腱は物価上昇

     

    「トゥキュディデスの罠」という言葉があります。歴史的に見て、覇権国と新興国が衝突する事例が戦争に至ったという研究結果があります。それほど覇権争いは、世界を揺るがす大事件へ発展する危険性を秘めています。現在の米中貿易戦争は、この前哨戦であります。

     

    ハーバード大学のベルファー・センターは、過去500年にわたる新興国とその挑戦を受ける覇権国との関係を示す16の事例において、12件が戦争に至ったと分析しています。戦争の起こる確率は75%ときわめて高くなります。戦争を回避できた事例でも、覇権国が国際システムやルールの改変などの大きな代償を強いられたとされます。

     

    前記のベルファー・センターの研究によると、20世紀に日本が台頭した際の日露戦争や太平洋戦争もこれにあたるとしています。となると、日本は過去の歴史で二度も覇権戦争をした経験国となります。こういう表現は許されませんが、「一勝一敗」です。それだけに戦争の虚しさを痛感していると言えるでしょう。

     

    米中貿易戦争の歴史意義

    現在の覇権戦争は米国と中国の間で争われています。

     

    中国は、建国から100年にあたる2049年までに米国を完全に追い抜く超大国となるという「マラソン」を続けています。中国は、南シナ海の他国領土を侵略して軍事基地を建設しています。明らかな軍事行動の拡大であり、米国との軍事的な覇権争いを前面に出しています。前記のような戦争になる確率75%から言えば、危険な兆候と言うべきでしょう。

     

    トゥキュディデスの罠」をひもとけば、戦争を引き起こす主要な要因は「戦争が不可避である」という確信そのものとされています。米中の対立は不可避との意識が、予言の自己実現性がもたらすリスクを抱えるのです。これは、軍備の拡張がもたらす危機です。「安全保障の罠」にはまって、軍拡競争する危険性がもたらしたものです。

     

    こうした米中の熱い覇権争いを、未然に防ぐ方法はあるでしょうか。それは、米国トランプ政権による対中国への「公正な貿易慣行」樹立でしょう。市場経済ルールに則った経済競争による優勝劣敗であれば、敗れた側が自国の経済ルール見直しや資源配分の変更という穏やかな手法を採用すれば良いのです。

     

    ところが、中国はそういう市場経済ルールを無視して、技術窃取を平気でやる。また、補助金政策による保護主義を前面に出しています。この違法ルールで、世界覇権を2049年に握ると公然と表明し、米国との対立を深めています。こうなると、米国は黙ってやり過ごすわけにはいきません。

     

    トゥキュディデスの罠」で戦争を回避できた事例でも、覇権国が国際システムやルールの改変などの大きな代償を強いられたとされています。これを、米中に当てはめるとどうなるでしょうか。米国に対して、中国流の独裁主義と計画経済を採用せよという、逆立ちしたことを求めることになり、それは不可能です。中国が、独裁主義と計画経済を捨てて民主化する以外に、米中が和解する方法はないでしょう。

     

    この原則論に立ちますと、残念ながら米中和解は不可能です。次善の策は、中国が覇権への挑戦を諦めて、世界共通の倫理観に立ち戻る以外に方法はなさそうです。米国が、中国製品に高関税を掛けて、中国の経済ルール変更を迫るのは、やむを得ない措置と見るほかないのです。

     

    ここで、米中対立を止めて互いに握手すべきという「常識論」は、真の危機である「2049年」の世界騒乱(戦争)まで事態を先延ばしさせるだけ。根本的な解決策にはならないでしょう。世界の自由主義と民主主義を守るためには、米国の中国に掛ける「関税戦争」が必要悪という位置づけになると思います。

    (つづく)

     


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    韓国は、同盟国の米国から集中砲火を浴びている。文大統領の「GSOMIA破棄」は裏切り行為に映るのだ。

     

    『中央日報』(8月28日付)は、「米当局者、GSOMIA 「11月の終了前に韓国が考え変えるよう」と圧迫」と題する記事を掲載した。

     

    米国高位当局者は27日、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が11月に終了する前に韓国が考えを変えることを望むと話したとAFP通信が報道した。

    (1) 「AFP通信によると、匿名を要求した米高位当局者はこの日取材陣に対し、11月22日までGSOMIAが終了した上で、米国は韓国がその時までに考えを変えることを望むと話した。 GSOMIAが実際に終了する11月まで時間が残っているだけに、韓国にGSOMIA終了決定を再考するよう促したと分析される」

     

    米国は、11月22日に正式終了する「GSOMIA破棄」を、継続するように韓国政府に圧力を掛けていることを窺わせている。米国の要求を一度、断った手前、二度目も断るわけには行くまい。文氏は「反日」で騒ぎすぎたので、簡単に収拾策が見つかるはずもあるまい。苦しいところだ。


    (2)「李洛淵(イ・ナギョン)首相は27日の青瓦台(チョンワデ、大統領府)と政府与党による会議で、「GSOMIAが終了する11月23日まで約3カ月の期間が残っている。その期間に打開策を求め、日本の不当な措置を原状回復し、われわれはGSOMIA終了を再検討できると考える。両国が真の姿勢で対話するよう望む」と話していた。この当局者は一連のことは青瓦台と日本国内の人々に関連したものとしながら米国とは関連がないともしたとAFPは伝えた」

    韓国首相は、「ホワイト国除外」と「GSOMIA破棄」をバーター取引しようとしているが、別次元の問題である。日本政府は、これに強く反対している。

     

    (3)「AFP通信は「韓国は米国を通じ依然として日本と(軍事)情報を共有する考えだというが、別の米国の当局者はそうした方式は核武装をした北朝鮮に直面した時に効果的でないと話した」と伝えた。 この当局者は2016年のGSOMIA締結以前の三角情報共有について、「危機状況では相当にわずらわしく非常に不便で事実上使えない。特に危機状況で、核実験やミサイル発射がある時には時間が核心だ」と話したと同通信は説明した

     

    韓国政府は、GSOMIA締結以前の三角情報共有(米国を経由して日韓が情報共有すること)に戻るだけと主張しているが、時間的な制約の中では困難と指摘している。

     

    米国からは、韓国政府批判が噴出しているだけに、韓国外交部は苦しい立場に追い込まれている。

     

    『聯合ニュース』(8月28日付)は、「韓国次官、米大使に韓日軍事協定破棄への失望表明の自粛要請」と題する記事を掲載した。

     

    韓国外交部の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官は28日、ハリス駐韓米大使をに呼び、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了をはじめとする韓日関係懸案や韓米関係全般について協議した。

     

    (4)「外交部によると、趙氏はハリス氏に対し、韓日のGSOMIAを終了するのは韓日関係において検討・決定したものであり、韓米同盟とは関係がないことを説明。今後も米国側と緊密に協力し、韓米日の安保協力を維持していく意思を伝達した。また韓日の外交当局は意思疎通を続ける必要があることで一致していると説明し、両国が合理的な解決策を導き出せるように努力していくと強調した

     

    韓国は、GSOMIAが日韓だけの問題と指摘している点で、米国から再度の非難が出そうである。米国は、日米韓三カ国の問題と捉えているからだ。この点、韓国の視点が狭い。

     

    (5)「この席で趙氏は韓国政府の今回の決定について、米政府が失望と懸念を繰り返し表明したことについて、韓米関係を強化する上で役立たないと指摘し、自制するよう要請したことが分かった。趙氏はまた、日本とのGSOMIAの終了決定は韓米同盟をさらに発展させていくという意思が反映されたもので、韓国が自らの国防力を備えるための努力の一環である点を明らかにしたという」

     

    韓国が、米国の非難に参っていることがよく分かる。その度に、野党を喜ばせるだけに,韓国政府の立場は苦しくなる。党利党略で決めた「GSOMIA破棄」である。米国から大いに非難されて目を覚ますが良い。


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    文在寅大統領は、来年4月の総選挙を控えて、与党「共に民主党」を勝たせるべく「GSOMIA破棄」に踏み切った。この党利党略戦略は、米国から見透かされて非難の的になっている。ワシントンの政界・外交界では99%が韓国批判とされている。米国が、韓国へ相次いで要人を送り込み、「GSOMIA破棄」を思いとどまるように説得したにもかかわらず、同盟国の要請をあっさり捨てたことへの怒りは尋常でない。

     

    『朝鮮日報』(8月28日付)は、「米下院外交委員長も『文在寅政権は無責任だ』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国が韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄したことについて、米国議会からも「無責任だ」などの批判が上がっている。米国務省は「在韓米軍への脅威を高める恐れがある」として「深い懸念と失望」を訴えたが、これに加えて米国議会からもGSOMIA破棄を批判する声が出始めたのだ。

     

    (1)「米議会下院外交委員会のエンゲル委員長は24日(現地時間)、同委員会のウェブサイトを通じて公表した声明の中で「地域の安全保障における脅威に対し、共同の理解を高めるため米国の同盟国間でやっと締結したGSOMIAについて、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこれを終了する決定を下した。この決定に対しては深く懸念している」との考えを示した」

     

    文在寅氏の信頼は、米国でも深く傷ついた。米韓同盟国同士で、ここまで韓国を批判したことはかつてあるまい。文氏は、本質的に「親中朝・反日米」の路線である。つい、本音が出たと言うべきだろう。文氏は、共産主義志向である。

     

    (2)「エンゲル委員長はさらに「今回の(終了)決定は、韓国と日本が長い歴史問題を(安全保障問題から)切り離すことに失敗したことを示している」「韓国と日本だけではない地域全体に影響を及ぼす実質的な国家安保協力について、両国間で高まる葛藤によってこれを妨害するのは無責任だ」と強く批判した。その上でエンゲル委員長は「北朝鮮による挑発的な弾道ミサイル発射に対応するため、韓米日が力を合わせるべき状況で下された韓国の決定は、地域の安全保障を害する」とまで断言した」

     

    文氏は、共産主義志向であるから、日米のことなど真剣に考えたことはないはずだ。大統領府に集めた元学生運動家は、1980年代の国際情勢の感覚の持ち主とされている。そういう「時代遅れ」の人たちが、「GSOMIA破棄」の主力となって文氏の意向を実現させた。これは、広く知れ渡っている事実だ。

     

    (3)「同じ下院外交委員会で共和党の幹事を務めるマッコール議員も22日、ツイッターで「GSOMIAを破棄するという韓国の決定により、韓日による情報共有の未来が疑わしくなったことに失望している」との考えを示した。来韓中のジョセフ・ユン米国務省対北朝鮮特別代表も27日「米国政府は現在の状況(GSOMIA破棄)に非常に怒っているようだ」と指摘した」

     

    米議会は、与野党ともに中国共産主義への強い警戒心を持っている。その延長で、今回の韓国政府による「GSOMIA破棄」は、恰好の韓国批判になっている。文氏は、日本への嫌がらせのつもりで始めたことが、自らが火の粉を浴びるという皮肉な事態になった。

     

    (4)「とりわけエンゲル委員長とマッコール議員は先月末、韓国産業通商資源部(省に相当)の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が日本による輸出規制措置の不当性を訴えるためワシントンを訪問した際、どちらも直接対応に当たった人物だった。二人が相次いで韓国への失望を伝えたことで、韓日対立で中立を守ってきた米国政界の雰囲気が日本側に傾きつつあるとの懸念も出始めているワシントンのあるシンクタンクの関係者は「GSOMIA破棄に対してはワシントンの政界や専門家集団の99パーセントが批判的だ」とした上で「韓日対立において韓国がワシントンの支持を得るのが難しくなった」とコメントした」。

     

    米議会は、これまで日韓対立について中立の立場を貫いてきた。だが、今回の一件でワシントンの99%が、「反韓国」になったという。韓国は、多くの米軍将兵が命を落として守った国である。その韓国が、「命の恩人」である米国の要請を一顧だにせず葬り去った。その怒りは当然であろう。韓国の「ツキ」が消えるサインであろう。


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    韓国政府は、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄に対する内外からの批判にさらされている。既に米国務省は3回にわたり、GSOMIA破棄がいかに無謀であるかを指摘し暗に撤回を求めている。国内からは、元外交官66人が厳しく政府の決定を批判する時局宣言を発表した。

     

    『朝鮮日報』(8月28日付)は、「外交官経験者66人、『GSOMIA破棄の即時撤回を』『5200万の国民がハイジャックされた』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「かつて、韓国統一部(省に相当)次官を務めた金錫友(キム・ソクウ)氏、ロシア駐在大使などを歴任した李在春(イ・ジェチュン)氏ら外交官経験者66人が参加する「国を愛する元外交官の集まり」はこの日、韓国政府による韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の決定について「直ちに撤回すべきだ」と主張した」

     

    元外交官の目から見た文政権の「暴走」は、余りにも党利党略が激しく、国家の安全保障をないがしろにする危険な策に映っているのであろう。韓国が、北朝鮮から侵略された手痛い経験を忘れて、安全保障の輪を広げるどころか、その輪を壊すという「逆走」に陥っている。来春の総選挙に勝てる道だと錯覚した「素人判断」に囚われているのだ。

     

    (2)「彼らは時局宣言を発表し、その中で「韓米日安保協力体制は形骸化し、韓米同盟の円滑な運営にも深刻な問題が避けられなくなった」「大韓民国の外交は友邦国の間で完全に孤立し、中国やロシア、これに迎合する北朝鮮にまで包囲された状態になっている」などと指摘し、現政権を「航空機ハイジャック犯人」などと批判した」

     

    下線を引いた部分は深刻である。日米韓三ヶ国の安全保障の輪を、自らの「欲得」でぶち壊して「孤立」の道を選んで5200万国民を道連れにしようとしている。文政権の最終的な願望は、北朝鮮との統合である。その準備が、「GSOMIA破棄」であろう。まさに航空機ハイジャック犯人と言える行動だ。

     

    『中央日報』(8月28日付)は、「GSOMIA破棄の後遺症、これ以上の状況悪化は防がなくては」と題する社説を掲げた。

     

    韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄宣言の後遺症が尋常でない。韓国政府がはたしてGSOMIA破棄後の波紋を予想して対策でも立てて決定を下したのか疑わしいほどだ。「文在寅(ムン・ジェイン)政権」という表現を使って強い語調で懸念と失望を表明した米国務省が、今回は在韓米軍の安全問題まで取り上げてきた。米国務省のオータガス報道官は「GSOMIA終了は韓国防衛をさらに複雑にし米軍に対する危険を増加させかねない」との立場を示した。在韓米国大使館はこれを韓国語翻訳文とともにリツイートした。

    (3)「より強力に表出された米国の不満は韓国政府が日本との対立を理由に韓日米三角協力の枠組みを揺さぶりかねないというメッセージを与えたのに伴う結果だ。高位級チャンネルを通した複数回の慰留にもかかわらず、米国が重視する協定を1日で蹴飛ばしてしまったことに対し不快感と韓国政府を同盟のパートナーとして信頼できるかに対する根本的な懐疑感が背景にあるとみなければならないだろう

     

    米国がアジアの防衛拠点に、「GSOMIA」を足がかりにしていた。韓国は、その努力を足蹴にしたという怒りが米国で沸騰していることに注意すべきだ。

     

    (4)「こうした懐疑が手の施しようもなく拡大すれば在韓米軍撤収を含む、北東アジア安保戦略の大幅な修正を米国が検討しないという保障はない。そうでなくても韓国自ら「アチソンライン」(注:1950年1月、米国務長官アチソンが引いた共産主義防衛ライン)の外に出て行こうとしているという声が米国の朝野から出ているところだ。このため米国が韓国に対し同盟側に確実に立てとして防衛費分担交渉とホルムズ海峡、南シナ海などの懸案に請求書を突き付ける可能性まで懸念される」

    下線部分は、韓国にとって歴史的に苦い経験を思い出させる部分である。「アチソンライン」が、朝鮮戦争を誘発したと見られているからだ。アチソンラインは、日本・沖縄・フィリピン・アリューシャン列島に対する軍事侵略に米国は断固として反撃するとした「不後退防衛線(アチソンライン)」演説を示したもの。韓国は、このアチソンラインの外に位置づけられ、北朝鮮の侵略を許す糸口になったと解釈されている。その後、韓国を含めるようになった。

     

    米国の度重なる韓国への警告は、暗に「アチソンライン」を持出していると思われ始めたことだ。この認識が、韓国全土に浸透した場合、文政権は「売国奴」扱いされるリスクを抱える。韓国が、北朝鮮の「餌食」にされる危険性が高まるからだ。文政権は、それを待っているのかもしれないが、「GSOMIA破棄」はそういう国家的な危険性を孕んでいる。「GSOMIA破棄」は、日本への嫌がらせの域を超えて、韓国自らの安全保障問題に跳ね返る危険性を持ち始めた。

     

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