勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    かつてない早いスピードで開発されたコロナワクチンだけに、SNSでは偽情報も氾濫している。人間は弱い者で、そういう否定的情報にはすぐ飛びつくものだ。米国では、上級職員や牧師が必死になって説得しているという

     

    『ブルンバーグ』(1月12日付)は、「『なぜ私が先に?』 進まぬワクチン接種、景品のiPadやピザで誘う米国」と題する記事を掲載した。

     

    「米ノースカロライナ州とオハイオ州では、高齢者福祉施設の大半の職員が新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチン接種を拒否している。取材したフロリダ州の医師も、ニューヨーク市の救急医療隊員も接種を受ける気はないと話す。こうした前線のスタッフにワクチンを積極的に受け入れてもらえるよう、米連邦政府はくじ引きでの景品提供やピザパーティー開催などを提案している」

     

    「パンデミック(世界的大流行)を終息させる可能性を持つワクチンに拒否反応を示しているのは、ソーシャルメディア上で根拠のない理論を口にする反ワクチン活動家だけではない。看護師や消防士なども、過去最速で使用が認められたワクチンの安全性に疑問を投げ掛けている」

     


    「一部の医療従事者は、短期的な副反応あるいは長期的な未知の危険性を挙げて新型コロナワクチンに反対している。感染症の専門家が指摘するほど自分たちは危険な状態に置かれていない、既に免疫を獲得している、従来の治療法を信頼しているといった理由を挙げる人もいる。日々の業務に科学を取り入れている人々の間でさえ、虚偽情報や陰謀論的な疑いがまかり通っている」

     

    以上の引用記事を見ると、一部の医療従事者ですら根深い不信感を持っていることが分かる。医療従事者といえども、人間共通の恐怖感からは逃れられないようだ。時間をかけて納得してもらうしかない。

     

    韓国の駐韓米軍基地では、米国兵は全員接種しているが、韓国人の基地勤務者も任意で接種している。その経験談が報じられた。SNSでの偽情報と異なり信憑度は大きいであろう。

     


    『中央日報』(1月12日付)は、「ワクチン接種した米軍部隊の韓国人『左腕に触れただけでも痛み』」と題する記事を掲載した。

    「2日間、私は左腕に痛みが、同僚は微熱がありました」。慶尚北道地域に住む50代の米軍部隊職員Aさんが12日に伝えた新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)ワクチン接種後の身体反応だ。Aさんは今月4日、漆谷郡倭館(チルゴクグン・ウェグァン)にある米軍部隊内の病院で新型コロナワクチン「モデルナ」を接種した。韓国人だが米国から先に韓国に空輸された米軍接種用新型コロナワクチンを勤務地で接種した。Aさんは「韓国人の同僚7~8人が当日一緒にワクチンを接種した」とし「みんなインフルエンザの注射とは違い、きつい注射のようだと口々に話していた」と雰囲気を伝えた。

     

    次はAさんとの一問一答だ。

    --ワクチン(モデルナ)はどのような方式で接種をするのか。

    「左腕肩真下の部分に接種をした。0.5cc程度の液体を注射するが、1回目の接種を受けて29日後に2回目の接種を受けなければならない。注射はチクっとする痛みのある一般インフルエンザワクチンと同じだと考えればいいと思う」



    --接種後、身体に異常症状が現れなかったか。

    「少し大変だった。注射された左腕に痛みがあった。筋肉痛に似た感じだと思えばいい。何かがその部分(皮膚)を触れても痛みを感じた。発熱はなかったが、一緒にワクチンを接種した同僚のうちに何人かは微熱が出たと話した」

    --発熱があると問題が生じるのでないか。

    「ワクチン接種前に医療スタッフが『微熱が出る場合がある』と教えてくれる。熱が出れば解熱剤を飲むように指示した。そのため発熱してもみんな驚いていない」



    ◆「2回接種…2回目は29日後に」

    --痛みはどれくらい持続したか。

    「2日程度過ぎると左腕の痛みは消えた。同僚の微熱も2日過ぎて消えたと聞いた。2日程度がワクチン後の症状が消える期間のようだ。ワクチンを接種した同僚の中には30代、40代、60代もいた。ワクチン接種後、今まで健康に問題があるという話は聞いていない

    --部隊内に勤務する韓国人は全員ワクチンを接種したか。

    最初はワクチン接種自体が怖くて、だから接種しないという話を多く聞いた。その後、一人二人と接種するようになり、今は80%以上接種したようだ。米軍兵士のように全員がワクチンを接種するのではなく韓国人職員は希望者だけ接種する」

    --特別なワクチン接種過程はあるか。

    「接種全過程が一般インフルエンザ注射とは違い、手間がかかる。時間がかかる。どこか身体に異常はないかアンケート調査を実施し、事前に『微熱が発生するかもしれない』と公示もしてくれる。鋭敏なワクチンなので慎重を期しているようだった。そのためかワクチンだけを接種する別途のチームが米軍側に組まれたようだった」



    ◆専門家「正常な免疫反応」

    専門家は腕の痛みや微熱のようにAさんが伝えたワクチン接種後の経験談について概して「正常な反応」という見解だ。

    慶北(キョンブク)大学感染内科のキム・シヌ教授は「腕の痛みや微熱などは正常な免疫反応のようだ」とし「ヒトの身体に異質物が入ってくれば身体がこれに対抗して反応する。(ワクチンを接種したが)反応が出てこないなら、むしろ効果を疑うべき意見が出るのではないだろうか」と話した

    大邱市(テグシ)医師会のミン・ボッキ・コロナ19対策本部長は「接種初期に現れる一般的な反応である可能性が高い」とし「何より(ワクチンに対する)行き過ぎた心配は避けたほうがいいと思う」と話した。


    専門家による次の指摘は参考になろう。

    1)腕の痛みや微熱などは正常な免疫反応。

    2)ヒトの身体に異質物が入ってくれば、身体がこれに対抗して反応する。

    3)ワクチンに対する行き過ぎた心配は避けたほうがいい。

     

    以上3点のアドバイスをどのように聞かれましたか。

     

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    ベトナム経済が好調である。米中貿易摩擦による好影響を受けている。2019年の輸出総額の23.2%は、米国向けでありむろん1位である。米国の貿易赤字に占めるベトナムのウエイトが高まり、摩擦を懸念される状況になってきた。

     

    こうして、ベトナムが「アジアの工場」として浮上しており、これまでタイが占めていた主役の座をベトナムが奪うまでになってきた。ただ、タイとベトナムの関係は、好循環を描いている。相互依存によって、経済発展している構図が浮かび上がる

     


    『日本経済新聞 電子版』(1月12日付)は、「アジアの工場『主役交代』? タイよりベトナムは本当か」と題する記事を掲載した。

     

    2020年の国内総生産(GDP)は、ベトナムが前年比2.%のプラス成長を維持したのに対し、タイはアジア開発銀行(ADB)の直近予測で7.%の大幅減に陥る見通しだ。勃興するベトナム、頭打ち気味のタイ――。そんな構図は、数年前から顕著になっており、コロナ禍が拍車をかけた形だ。

     

    (1)「両国の勢いの差を象徴するのが、最近のパナソニックの決断である。タイで昨年9月に洗濯機、10月には冷蔵庫の生産を打ち切り、白物家電の生産をベトナムに集約した。タイは1961年に戦後最初の海外生産拠点を開き、自動車部品や電池などの工場がなお残るが、外資誘致でライバル視するベトナムが移管先だったこともあり、タイ政府にショックを与えた。従来はタイが大容量、ベトナムは中容量の機種ですみ分け、いずれもアジア周辺国や中近東など十数カ国への輸出拠点でもあった。生産移管は昨年初めに決定し、コロナ禍とは関係がないという」

     

    日本のパナソニックは最近、タイからベトナムへ工場を移転した。タイは、パナソニックにとって戦後最初の海外生産拠点であった。その記念碑的な場所からの移転である。

     


    (2)「なぜタイからベトナムか。ひとつは市場の要因だ。英調査会社ユーロモニターインターナショナルによると、19年の冷蔵庫、洗濯機の各市場規模はベトナムが280万台と227万台、タイは192万台と175万台。すでにベトナムの方が上回っているうえ、世帯普及率はタイの92%、70%に対し、ベトナムは74%、40%となお伸び代が大きい。もうひとつは生産要因である。ベトナムは近年、労務費の上昇が著しいが、それでもタイの6割程度の水準にとどまっている」

     

    タイとベトナムについて、市場と生産拠点の2つの面からみると、ベトナムに軍配が上がる。普及率の低さで今後の成長余地があること。人件費はタイの6割である。もう一つの隠れた「魅力」は、米国がTPP(環太平洋経済連携協定)へ復帰すれば、ベトナムが生産拠点として持つ価値は「暴騰」する。こういう読みもあるのだろう。

     

    (3)「タイは1980年代から「アジアの工場」として発展した。ベトナムへの製造業集積は2007年の世界貿易機関(WTO)加盟以降と遅いが、対内直接投資額は14年、輸出額も18年にタイを追い抜いた。米中摩擦やコロナ後の「脱中国」の受け皿として注目は高く、「これからはタイよりベトナム」とみる外資は増えている」

     

    ベトナムは、米国との外交関係が良好である。米海軍艦艇の寄港地になるほどの関係を深めている。米国にとっては、地政学的価値が高まっている国なのだ。

     


    (4)「本当にそうか。両国の経済構造を分析すれば、少し違った構図が浮かんでくる。第1はモノの輸出だ。ベトナムは4割が米欧向けだが、タイは3割を東南アジア域内が占める。特筆すべきは、タイがCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)と呼ぶ、メコン川流域の周辺後発国との貿易で19年に139億ドル(約1兆4500億円)の黒字を計上したことだ」

     

    タイは、CLMV向けの輸出で19年に139億ドルもの黒字を稼いだ。

     

    (5)「タイの貿易黒字全体が90億ドルだったので、CLMVを除けば実は赤字だったことになる。なかでも対ベトナムの貿易黒字は67億ドルと、対CLMVのほぼ半分に達した。消費財などで「メード・イン・タイランド」の人気は高く、ベトナムを中心に周辺国の成長力を取り込んでいる」

     

    タイは、対ベトナム輸出で67億ドルもの貿易黒字を稼いでいる。多分、素材や中間財の輸出である。ベトナムはこれを組立てて輸出する。日本と韓国のような関係になっているのであろう。

     

    (6)「同様の図式は第2のサービス輸出にも当てはまる。コロナ禍前の19年のタイの黒字は233億ドル。ベトナム(87億ドル)の3倍近くを確保した。モノと違い、国別の収支は分からないが、ここでも原動力は周辺国だ」

     

    タイは、サービス輸出でもベトナムの3倍も稼いでいる。外国人観光客が多い結果であろう。

     

    (7)「第3は投資だ。対内直接投資ではベトナムの後塵を拝するが、いまのタイはむしろ対外投資国としての顔を強める。「対外」は19年まで4年連続で「対内」を上回り、前者は累積投資額でも後者の6割まで積み上がった。対外投資は単年・累積ともマレーシアを上回り、東南アジアではシンガポールに次ぐ存在になった。タイ企業はベトナムへの投資を加速している。投資が向かう先もやはりベトナムだ。外資との提携で力を蓄えたタイ企業が次々と大型投資に踏み切る」

     

    タイは今や、資本輸出国に変ってきた。その向かう先はベトナムである。ベトナムの発展余地に賭け始めている。日本は、1970年代から東南アジアへ工場進出したが、今度はタイで同じ構図が見られるようになった。 

     

     

     

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    米国の政権交代まで10日未満というギリギリの段階で、ポンペオ国務長官は米国の台湾に対する外交・軍事の接触制限を廃止すると発表した。中国の強力な反対の動きがあると見られたが、意外と抑制的な動きのようだ。

     

    過激な報道で売っている中国共産党機関紙『人民日報』系、『環球時報』は1月10日、次のように論じた。『レコードチャイナ』(1月11日付)が転載した。

     


    (1)「『米国と台湾が大胆にもポンペオ氏の退任間際の訪台を演ずるなら、台湾現政権に死の鐘が鳴る』と題した社説を掲載。「トランプ米大統領の任期があと10日ほどしか残っていない中で、ポンペオ氏は再び、中米関係と台湾問題において罠を仕掛け地雷を埋めた。これは両岸(中国と台湾)の平和と中米関係のボトムライン(譲れない一線)保持と安定に対する犯罪的性質の構造破壊であり、それによる深刻な悪い結果は予測できないものだ」と批判した」

     

    ここで気付くべきは、台湾政府を攻撃の矢面にしていることだ。ポンペオ米国務長官の発言であり、台湾は直接の当事者でない。それにも関わらず、台湾を非難しているところが、「及び腰」である。米国と真っ正面に喧嘩しにくい一面を見せている。

     

    『環球時報』のパターンから言えば、もっと過激な言葉を使って米国を非難するはずだ。それがないのは、次期バイデン政権の動きを見ようという抑制したものだろう。

     


    (2)「そして、「中国政府は、米国に対し、危険の一歩手前で踏みとどまらねばならないという強烈なシグナルを発するべきだ。米国と台湾民進党当局にはっきりさせなければならない。米台が大胆にもポンペオ氏の退任間際の訪台を演ずるなら、中国の反応は山を押しのけ海を覆すほどにすさまじいものとなるだろう」と警告した」

     

    下線のように、中国政府は米国政府に対して、「危険の一歩手前で踏みとどまれ」としている。これは、言外に「現状を認める」ということである。つまり、「一つの中国論」を破って、相互交流してもやむを得ないというニュアンスが感じられるのだ。

     

    この背景には、英国・ドイツ・フランスの海軍が軍艦を西太平洋へ派遣すると発表していることを警戒しているのであろう。英国は、最新鋭の原子力空母である。これが、日本を母港として常駐する計画である。中国がここでことを荒立てると、自ら米海軍のほかに、欧州列強の海軍を呼込む危険性を察知したのだろう。

     

    欧州の列強海軍は、世界の次の発展地域がアジアとしている。このアジアで、欧州列強も足場を築かねば、次の発展から除外されるという認識を深めているのだ。もはや、中国が独り舞台で軍事的に闊歩できる環境でなくなっていることを示している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月11日付け)は、「『強烈な非難』中国、米の台湾接触制限撤廃に反発」と題する記事を掲載した。

     

    米国のポンペオ国務長官が台湾側と米国の外交官や軍事関係者の接触を自主的に制限してきた内規をなくすと発表したことについて、中国外務省が11日反発した。趙立堅副報道局長は記者会見で「断固とした反対と強烈な非難を表明する」と話した。

     

    (3)「趙氏は、「いかなる勢力が台湾問題を利用して内政に干渉するのも絶対に許さない」と主張した。中国国務院(政府)の台湾事務弁公室の報道官は「我々は断固として強力な措置をとって米国と台湾の共謀したいかなる行動にも対抗する」とコメントした。中国の習近平(シー・ジンピン)指導部はトランプ米政権が残された任期で新たな対中強硬策を打ち出す事態を警戒しつつも、目線は1月20日に就任するバイデン米次期大統領の出方に移りつつある」

     

    外交部報道官は、「いかなる勢力が台湾問題を利用して内政に干渉するのも絶対に許さない」と米国を名指して非難していないのだ。これは、米国との関係悪化を避けていることを示している。中国が、相当に困った状況に追込まれている証拠である。青菜に塩という状況なのだ。米国は、こういう状態をすべて読んで動いているのであろう。

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    米国トランプ政権は、あと10日余りを残す任期という土壇場で、米台の外交・軍事の接触禁止令を撤廃することになった。9日、ポンペオ国務長官が発表したもの。中国の反応は、現時点では不明だが、厳しい反対を表明することは間違いない。米中復交時に取り交わした「一つの中国論」に抵触するからだ。ただ、先に中国によって香港に関する「一国二制度」が破棄されたこともあり、米国が台湾について「一つの中国論」廃止は十分に予想されていた。

     

    昨年8月、チェコが80名に及ぶ大使節団を台湾に送った。チェコは、公然と「一つの中国論」を破っており、それに続く国が米国になるとは予想外であった。

     

    『BBC』(1月10付)は、「米国務長官、米台関係に制約不要と台湾との公的接触規制を解除へ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国務省は声明で、台湾当局者との接触に関する「自主規制」は、台湾に対する自国の主権を主張する中国政府を「なだめる」ため数十年前に導入されたものだと説明。現在は「無効」だとした。今回の対応は中国の怒りを買い、米中間の緊張を高めることになりそうだ。ドナルド・トランプ大統領の任期終了が20日正午に迫る中、「自主規制」解除が発表された」

    米国が、「一つの中国論」を放棄することは歴史的な事件である。これまで中国に遠慮して、米高官が台湾を訪問することを控えて来た。この「禁足令」を放棄した訳で、米国は公然と中国へ対抗する姿勢を見せることになった。

     

    (2)「中国と台湾は1949年に分断した。中国は台湾を離れた領土とみなしているが、台湾の指導者たちは、台湾は主権国家だと主張している。両者の関係はぎくしゃくしており、台湾と友好的なアメリカを巻き込みかねない衝突の危険にさらされている」

     

    米国は、すぐに中国が台湾への軍事攻撃を始めるとは見ていない。台湾の完全占領には中国兵30万人が動員されると見ている。この大軍が台湾海峡を越えるには、相当の準備が必要で事前察知が可能という。

     

    米国が強硬姿勢に転じたのは、英国、ドイツ、フランスが西太平洋へ軍艦を派遣することを決めたことも大きな理由であろう。英国は、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」が日本を母港にして長期派遣する。こうなると、中国軍が大軍を台湾海峡へ殺到させることができなくなる。

     


    (3)「ポンペオ氏は9日の声明で、米国務省がアメリカの外交官と台湾との接触を制限する複雑な規制を導入したと説明。「本日、これらの自主規制を全て解除すると発表する」と述べた。「アメリカと台湾の関係は、この国の官僚制度が自らを縛ってきた自主規制に制約される必要がなく、制約されるべきでないことを認める」と長官は表明した。さらに、台湾は活気あふれる民主主義の場所で、信頼できるアメリカのパートナーだとし、外交関係への規制はもはや有効ではないと付け加えた」

     

    他の報道では、外交・軍事の接触を可能にするとしている。外交官以外に、国防省高官の接触も解禁である。米国は、国内法として「台湾関係法」を整備している。この中で、安全保障として、次の事項を決めている。

     

    1)平和構築関係維持の為に台湾に、台湾防衛用のみに限り米国製兵器の提供を行う。

    2)米合衆国は台湾居民の安全、社会や経済の制度を脅かすいかなる武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる防衛力を維持し、適切な行動を取らなければならない。

     

    2)によって、米国が台湾を防衛する義務を決めているのだ。今回の「一つの中国論」廃止は、米国の強い台湾防衛を鮮明にしたのだ。

     

    (4)「昨年8月にはアレックス・エイザー保健福祉長官が台湾を訪れ、蔡英文総統と会談した。1979年にアメリカが台湾と断交して以来で最高位の訪問となった。これに対し中国は、「一つの中国」の原則を尊重するようアメリカに求めた。米国は台湾に武器も売却しているが、日本や韓国、フィリピンとのような正式な防衛条約は結んでいない

     

    防衛条約は通常、相互防衛条約である。米台の間では、米国が国内法で台湾関係法を定め、一方的に台湾防衛義務を負うという内容だ。台湾は、米国防衛の義務がない。逆に、米国によって防衛されるのだ。

     

    (5)「中国政府は長年、台湾の国際的な活動を制限しようとしており、両者は太平洋地域での影響力をめぐり争ってきた。中国と台湾の緊張は近年高まっている。中国側は台湾を奪還するため、武力行使も辞さない構えを示している。台湾を正式に国として認めている国はわずかだが、民主的に選出された台湾政府は貿易で多くの国と結びつくほか、諸外国政府と非公式のつながりを持っている」 

    中国は、台湾を外交的に孤立させるべく画策している。現在、台湾の国交維持は15ヶ国に減っている。米国は台湾と断交して中国と国交を結ぶ国に対して、経済援助をしないなどの圧力を掛けている。こうして、米国が台湾の後ろ盾になる理由は、「インド太平洋戦略」で台湾が重要な地政学的位置にいるからだ。次期バイデン政権が、このトランプ政権の政策を踏襲するか注目される。

    ポールオブビューティー
       

    現代自動車は8日、米アップルと自動運転の電気自動車(EV)を巡る開発協力で協議中との報道を認めた当初の発表文を修正し、アップルへの言及を削除した。現代自は数時間のうちに発表文を2回変更。最新の発表文は「さまざまな企業から自動運転EVを巡る協力の可能性について要請を受けている」とし、「話し合いは初期段階であり、何も決まっていない」と説明した。以上は、『ブルンバーグ』(1月8日付)の報道による。

     

    ことの発端は、『韓国経済新聞』のケーブルテレビ部門が、現代自動車とアップルが現在、自動運転EV開発協力の条件について交渉していると報道。現代自動車で社内的な議論は終わり、会長の承認を待っているところだと伝えた。この報道では、具体化している印象だが、現実はそこまで話合いは進んでいないのかも知れない。

     

    仮に、アップルが既存メーカーに生産を委託するような形になる場合、どういう問題があるか検証しよう。

     


    『日本経済新聞 電子版』(1月8日付)は、「アップル、EV参入へ交渉 現代自が『初期の段階』認める」と題する記事を掲載した。

     

    この記事は、現代自動車が米アップルと自動運転の電気自動車(EV)を巡る開発協力で協議中との報道を認めた当初の発表文に基づいている。その後、現代自はアップルという社名を削除した。事態は流動的であるが、問題点を見る上で参考になろう。

     

    (1)「アップルはかねてモビリティー分野への進出に意欲があるとみられてきた。社内で約5000人が自動運転技術の開発に携わっていることが過去の資料で明らかになっている。17年ごろから本社のあるカリフォルニア州内で公道走行試験を始め、19年には米スタンフォード大学発の自動運転スタートアップも買収した」

     

    アップルが、自動運転技術の開発に携わっていることは明らかになっている。当然、EV(電気自動車)は視野に入っている。

     


    (2)「アップルは、スマートフォン「iPhone」などの開発を通じて半導体やセンサー、電池、人工知能(AI)などの技術を蓄積している。これらはEVや自動運転の開発にも応用できるとされる。スマホと同じようにEVも製造設備を持つ外部企業に組み立てを委託することで、早期に製品を市場に送り出す考えとみられる。iPhoneが生み出す高い収益に支えられた圧倒的な資金力も、EV参入にあたっての強みとなりそうだ。アップルの20年9月期の研究開発投資は187億5200万ドル(約1兆9400億円)と、トヨタ自動車(20年3月期は1兆1100億円)の約1.7倍、米テスラ(19年12月期は13億4300万ドル)の約14倍に上る」

     

    EVは、走る「iPhone」と言われるほどで、アップルにとっては「隣接分野」である。アップルの研究開発費は、トヨタの約1.7倍。テスラの約14倍と言われる。資金的には何らの心配があるわけでない。ただ、スマホは新規分野であったが、EVは既存分野である。ライバルが山ほどいるジャングルである。簡単に進出を決意できないことも確かだろう。

     

    (3)「これまで車の開発はエンジンが中心だったが、EVは「走るスマホ」とも言われ、電気まわりに近い部品やシステムが多いため車体開発へのハードルが下がる。とはいえ、これまでデジタル機器などの開発が主力だった電機メーカーが自ら部品を集め、自動車を製品としてまとめることは容易ではなく、英家電大手のダイソンはEV参入を目指したが、断念した経緯もある」

     

    ダイソンは一度、EV進出を決断した。技術的に問題ないが、生産コストが掛りすぎるということで断念した。アップルも、同様の難問を抱えているかも知れない。

     


    (4)「このため新規参入組は自動車の車体・部品メーカーとの提携・協業や技術者の引き抜きが必要になっている。車体を生産委託すれば、テスラのような時間はかからないとの見立てもあるが、アップルのEV参入計画の行く手にも、多くの壁が立ちはだかる可能性が高い」

     

    テスラは、すべて自前で操業開始しただけに多くの難関にであってきた。この過程を見ると、アップルといえども簡単にEV生産を決断できるはずがない。現代自は、労組のストライキが世界一で知れ渡っている。組む相手として、ベストではない。

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