勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    中国は、世界の工場といわれてきたが、米中貿易戦争の影響と製造工程の急速なAI(人工知能)化によって、その座を揺さぶられている。米国は3年後、製造業のオペレーションで大卒者が現場に大量採用されると予測されている。結果的に、人件費は大幅に削減され、中国で製造するより、トータルコストが安くなる時代を迎える。中国は、世界一の人口に胡座をかいている時代でなくなった。

     

    米中貿易戦争は、覇権戦争である。中国は、習氏が国家主席に就任以来、米国と覇権を争う姿勢を宣言したことが命取りになってきた。米中経済の将来性を考えれば、誰でも「米国有利」と判断する。企業は、勝ち馬に乗るべく米国へ付き従うのだ。習氏の妄言が、中国経済の足を引っ張っている。いずれ、習氏の責任追及の声が、中国に起こるだろう。

     

    現実に、中国へ進出している米国企業の41%が撤退を計画する衝撃的な事実が判明した。外資企業の撤退は、中国にとっては「死の宣告」である。輸出減少がもたらす経常黒字圧縮によって、中国は大幅に海外活動を制約される。これまで、外資系企業の稼ぎ出す輸出という「他人の褌(ふんどし)」が利用できなくなるのだ。

     

    『大紀元』(12月27日付)は、「中国離れ加速、米企業41%が中国転出を計画、33%が投資見合わせ」と題する記事を掲載した。

     

    在中米国商工会議所の最近の調査によると、41%以上の米国系企業が中国からの転出を計画しており、33%以上が中国での投資を見合わせ、またはキャンセルを検討している。欧州や日本、韓国、台湾などに進出する企業も増えている。同所が在中の米国企業239社を対象に調査した。それによると、2019年、中国からサプライチェーンを移転することを決めた企業は22.7%だった。また将来、一部あるいは全部を中国から転出すると決めた企業は19.7%、投資の取りやめまたは延期した企業は33.2%だった。

     

    (1)「この調査は、米国の対中関税が在中の米国企業に及ぼす影響を評価するものだ。シンガポールAT貿易コンサルタントによると、米中貿易戦争の前から、多くの外国企業が中国市場への過度の依存を懸念し、既にサプライチェーンの見直しに着手していた。米中貿易戦はこの動きを加速しただけだと分析した。すでに、アップル、ホームデポット、アマゾン、ヒューレットパッカード(HP)、デル、グーグル、ハズブロなど、米企業が中国での生産ラインの移転を計画している。台湾、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムなどがその移転先となっている

     

    人件費が、製造コストで大きな比重を保つ製品では、中国から周辺国へ転出している。ベトナムが、最大の受益国になっている。

     

    (2)「アップルは、サプライヤーに対し、1530%の生産能力を中国から東南アジア諸国に移転するよう求めた。台湾の兆利はアップルのMacbook軸受のサプライヤーで、すでにタイ工場に500万ドルの投資計画を発表した。台湾の大手技術4社である鴻海(HonHai)、広達(Quanta)、英業達(Inventec)、仁宝(Compal)は、複数の米企業のサプライヤーだ。鴻海傘下の冨士康(Foxconn) は、インド・チェンナイの周辺工場でアイフォンXRの本格的な生産を開始した。同社幹部は、アイフォンの生産を中国からベトナム、インド、メキシコ、インドネシア、マレーシアなどへ移す計画があるとコメントを出している」

     

    中国は当初、周辺国への転出が、インフラ関係の未整備で困難であろうと高をくくっていた。だが、急ピッチの環境整備で楽観論は消えている。アップルはサプライヤーに対し、中国から15~30%の生産能力を東南アジア諸国に移転するよう求めている。

     

    (3)「米デルとHPのサーバーを手掛ける仁宝は、米国向けノートパソコンの生産ラインを台湾に戻し、中国工場への依存度を下げて、一部の小型家電製品の生産ラインをマレーシアに移そうとしている。アップルのコンピューターサプライヤーである広達は、生産ラインの一部を台湾に移転し、東南アジア市場を拡大するため、タイで子会社を設立した。また、米国のデータセンターも拡張した。またアップルの別のベンダーである仁宝も生産ラインを台湾に移し、ベトナムでの生産能力を増強している」

     

    米国IT企業は、サプライヤーに「脱中国」戦略を取るように進めている。米中貿易戦争は将来、「冷戦」になると考えるのが常識になっている。

     

    (4)「欧州企業も中国から移出している。12月初め、中国の欧州連合(EU)商工会議所の報告書によると、調査対象となったヨーロッパ企業174社のうち、10%は既にサプライヤーを替え、8%は一部の業務を中国から移転、あるいは移転させる計画がある。また、15%は中国への投資を延期させている。日本企業はスズキ、トヨタなど生産ラインの移管を検討している。マツダは一部をカンボジアなど東南アジアに、日本精工は特定の製品の生産を国内に戻す考えだ。韓国の現代(ヒュンダイ) 自動車と起亜 (キア) 自動車は、中国から部分的に撤退して、インドネシアとインドでの生産を増やした」
      

    欧州企業も、米国企業と同じ動きである。日本企業、韓国企業も中国から生産ラインを周辺国へ移す動きが増えている。

     

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    北朝鮮が、米国への「クリスマス・プレゼント」として、ICBM(大陸間弾道ミサイル)に関わる挑発行為をするのでないかと危惧されてきた。だが、26日を過ぎてもその兆候を見せない裏に、米軍の厳重監視体制が作動していることが分かった。

     

    軍用機は一般的に位置識別装置を作動させずに飛行し、航跡が公開されない。米軍は同装置を作動させている。これは、北朝鮮へのメッセージであり、「何か動けば、攻撃される」という恐怖感を与えている効果によるものかも知れない。

     

    『朝鮮日報』(12月26日付)は、「4機同時出撃、クリスマス期間中北を監視し続けた米偵察機」と題する記事を掲載した。

     

    クリスマス前後に北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)による挑発に踏み切る可能性が考えられることから、米軍の有人・無人偵察機4機が2425日にかけて韓半島と東海で5回にわたり偵察活動を行った。偵察機を支援する米空軍の給油機も同時に飛んだ。米軍偵察機4機と空中給油機が同時に韓半島上空で作戦行動に乗り出すのは異例だ。このように韓半島周辺では緊張感が非常に高まっているが、その一方でトランプ大統領はクリスマスイブをフロリダ州のリゾート「マールアラーゴ」でゴルフをしながら過ごした。

     

    (1)「米軍の偵察機は、韓半島上空を飛行する際には位置識別装置の電源を切っていた。、最近はこれらを稼働させて任務に当たっていることを公表している。これについてある韓国軍関係者は「挑発をしたい北朝鮮の意志を折れさせる一種の心理戦という側面もあるだろう」と指摘した」

     

    北朝鮮は、米軍機監視下でICBMなどの実験・試射を行なう場合、いつ攻撃されるか分からないという恐怖感があろう。米軍機が、位置識別装置の電源を切らないのは、強烈な警告メッセージになっている。

     

    (2)「航空追跡サイト「エアクラフト・スポット」によると、米空軍は25日にRC135W「リベット・ジョイント」、E8C「ジョイント・スターズ(J-STARS)」、長距離高高度無人偵察機「グローバルホーク」、RC135S「コブラボール(2回)」の4機の偵察機を相次いで韓半島と東海上空に飛ばし偵察活動を行った。RC135WE8Cはそれぞれ韓半島上空9.4キロで、またグローバルホークは上空16.4キロで作戦を行った。RC135Sは沖縄の米軍嘉手納基地を離陸し東海上空を飛行した。在日米軍のKC135R空中給油機もこの日、東海上空で偵察機の長時間飛行を支援した

     

    米軍が、空中給油機まで出動したことは、長時間飛行を支援する体制であることを北朝鮮に告知している。

     

    (3)「RC135Wは米空軍の通信傍受用主力偵察機で、ミサイル発射前に地上の遠隔計測装置(テレメトリー)から発信される信号などを捕捉する。E8Cは半径250500キロ以内でのICBM移動発射台や車両などの動きを監視できる。グローバルホークは地上20キロの高さから30センチサイズの物体を識別できる偵察衛星クラスの無人偵察機で、3842時間の飛行が可能だ。RC135Sは最先端の電子光学機器を使って遠方を飛ぶ弾道ミサイルの軌道を追跡する」

     

    米軍は、「ネズミ一匹」通さないという完璧な情報収集体制をとっていたことが分かる。世界最先端の米軍が、威信をかけた守りと言えよう。

     

    (4)「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がトランプ大統領へのクリスマス・プレゼントとして「ミサイル」を飛ばすか、あるいは「きれいな花瓶」を贈るかは、米国現地でクリスマスが始まる25日夜(韓国時間)から26日未明にかけて明らかになりそうだ。これまで北朝鮮はワシントンの朝の時間帯に合わせて米国向けの談話を発表してきた。一方で北朝鮮が不確実性を高めるため挑発の時期をクリスマス後に先送りするとの見方もある。朝鮮労働党中央委員会全体会議(今月下旬)→金正恩氏による新年の辞(11日)→挑発(1月初め)というシナリオも考えられるだろう

     

    北朝鮮は、クリスマス.・プレゼントを中止しても、1月に先送りする可能性は強い。

     

    (5)「韓国軍当局は、ICBMまたは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)によって挑発が行われる可能性が高いとみている2017年に北朝鮮がICBM用のエンジン実験を行ったときは燃焼時間が200秒間だったが、これが先日の「重大試験」ではその2倍(7分)にまで長くなった点に韓国軍は注目している。これはエンジンの推進力向上を意味すると同時に、それによってICBMの弾頭重量を拡大し、破壊力を最大限に高めることができるからだ。新型エンジンを銀河や光明星といった新型の宇宙発射体に装着し「事実上のICBM発射実験」を強行した上で「宇宙を平和利用する権利」などと強弁する可能性も考えられる」

     

    北朝鮮は、ICBMかSLBMによる挑発をする可能性が高いという。その場合、米国の反応は「最高度」となろう。米軍が偵察で見逃すと、逆に米軍の威信に傷がつくという緊張した場面が続く。

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    文在寅(ムン・ジェイン)大統領の外交感覚は正常だろうか。北朝鮮が、米国と対決している中で「南北融和による平和経済」を主張している。韓国国民は、米朝緊張を他人事のように扱う大統領に命を託しているのだ。何とも不思議な政治家が存在するものである。

     

    文大統領は24日、中国成都で開催された日中韓ビジネスサミットでの講演で、「平和が経済となり、経済が平和をもたらす平和経済がアジア全体で実現することを期待する」と述べたのだ。北朝鮮が米国を威嚇するという瀬戸際政策を演じているさなかに、はるか先の平和を論じている。燃えさかる火を前にして語る言葉ではない。

     

    『朝鮮日報』(12月25日付)は、「北の挑発が予告される中、文大統領は『平和経済』『東北アジア鉄道』の話ばかり」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「文在寅大統領は24日(現地時間)、中国成都で開催された韓中日ビジネスサミットでの講演で「平和が経済となり、経済が平和をもたらす平和経済がアジア全体で実現することを期待する」と述べ、前日に続いて「東北アジア鉄道共同体」構想を呼び掛けた。北朝鮮が米国に向け「クリスマスプレゼント」を予告し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などによる挑発の動きを表面化させる今において、文大統領は北朝鮮との経済協力や対話に重点を置く考えを示したのだ。これは中国とロシアの対北朝鮮政策と軌を一にするもので、米国との足並みが乱れるのはもちろん「北朝鮮の非核化にもプラスにならない」との指摘も相次いでいる」

     

    日中韓首脳会談における文大統領の一連の発言は、米国を強く刺激したことは間違いない。文氏は、習近平氏との会談で新疆ウイグル族問題や香港問題を「中国内政問題」と認めたような素振りを見せたこと。また、北朝鮮制裁緩和に賛成するポーズをとっていることだ。いずれも米国の基本姿勢と正反対である。米韓同盟国として、こういう同床異夢的発言をすることは、文氏の外交センスが狂い始めてきた「惨事」に映る。

     

    米国は、韓国のこういう言動が北朝鮮問題解決にとって何ら利益にもならず、北朝鮮に塩を送る行為と見て厳しく批判している。米国から強いリアクションを受けることは必至であろう。米国に向かってどのように弁明しようとも、米国の不信を解くことは困難だ。

     

    (2)「この日は韓中日首脳会議のメディア向け共同発表が行われたが、その中で文大統領と中国の李克強首相は北朝鮮に対して「警告」ではなく「対話」と「交渉」に重点を置いた。これとは対照的に日本の安倍首相は「(北朝鮮による)相次ぐ弾道ミサイル発射は国連安保理決議違反」と明言し「北朝鮮の完全な非核化に向け、安保理決議の完全な履行が3カ国の共通した立場であることを確認した」と述べた。「制裁緩和を考慮すべきときではない」とする米国の主張と積極的に歩調を合わせた形だ」

     

    韓国が、北朝鮮問題であえて米国に背を向け、中国へ接近している姿は異常である。韓国防衛で米軍は駐留している。その同盟国の戦略と異なることを平然と行なっている。米国は、何のために韓国と同盟を結んでいるか、深い疑惑に包まれてはいるに違いない。

     

    (3)「今月16日(米国時間)に中国とロシアは国連安保理に「南北鉄道・道路協力プロジェクト」を制裁対象から除外することを含む新たな決議案の草案を提出したが、文大統領は今回これによく似た発言を行ったことになる。韓国与党・共に民主党などからは「意図された行動」との声も出ている。同党のある関係者は「最近、韓国政府は南北関係改善にあまりにも消極的という懸念も強まっていた。できそうなことはやってみるべきだ」とコメントした」

     

    韓国は、北朝鮮から罵倒されながら、北朝鮮を経済的に支援する政策に賛成している。韓国が、南北統一への夢を捨てない証拠であろう。だが、核を捨てない北朝鮮に甘い顔することは、間接的に核開発を支援することである。韓国は、「核武装した北朝鮮」と統一する積もりであろう。それが、仇敵日本を倒す道である。こう秘かに期しているとすれば、それは自滅への道。北朝鮮は、必ず韓国を潰しにかかるだろう。「飛んで火に入る夏の虫」の愚を演じるのであろう。気の毒だ。

     

     

     

     

     

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    韓国は2018年で、94%が大学(短大含む)へ進学する学歴社会だ。その学歴が、就職で生かされない最悪事態に陥っている。やむなく、高校卒の人たちの職場へ就職する事態になっている。4年間も大学で学んでも、それを生かせる職業がないのは「不幸」の一語だ。原因は、経済の不振と労働市場の硬直化にある。

     

    米国は3年後に、大卒が現場に大量進出すると予想されている。これは就職難でなく、製造現場が機械化・AI(人工知能)化され大卒者でなければ、オペレーションが不可能な事態になる結果だ。米経済が、新たなフロンティアで疾走するのに較べ、韓国のケースは、全く逆である。製造業が不振で研究開発などが停滞しているからだ。これに労働市場の硬直化が絡んでいる。

     

    『ハンギョレ新聞』(12月24日付)は、「大卒、『下方就業率』初の30%台 サービス・販売職が57%」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「大卒就業者が、志望先企業よりも、就職しやすい職業を選択する「下方就業率」(注:大卒が高卒職場に就職)は、初めて30%台を超えたという研究結果が出た。これは、過熱した教育投資によって溢れる高学歴労働者を吸収する良質の働き口が足りないということを意味する。また、下方就業者10人のうち89人は12年後にもその状態にあり、「ステップアップ」が円滑に働かないと分析された」

     

    日本でも就職氷河期と言われた時代、大卒者が公務員試験で身分を隠して高卒資格で受験して問題になったケースがある。これは、一時期のことであって、その後は聞いたこともない。韓国では、一般の就職でこれが常態化している。就職氷河期がずっと続いている状態である。

     

    (2)「22日に韓国銀行調査局が発表した報告書「下方就業の現況と特徴」によると、大卒者の下方就業率は20001月の22.6%から徐々に増え、今年3月に初めて30%を上回り、9月には30.5%だった。外国の最近の研究資料によると米国では、下方就業の割合が約40(19832013)に達したものと推定される。高学歴であればあるほど、職業不一致による失業が増加するという分析も出た」

     

    韓国の場合、大卒が高卒職場に進出する「下方就業」は、2000年代から始まっている。その間に、改善する政策もなく放置されてきたことに驚く。誰も疑問に思わず、運命と諦めているからだ。この事態を改革するには労働市場の流動化が必要だ。年功序列・終身雇用を打破して欧米風に変えることが、結果として失業を減らすことに気付かないのだろう。

     

    ここで、韓銀調査の重大ミスを指摘したい。米国は、機械化・AI化に進行で、大卒でなければ現場オペレーションが不可能になっている。韓銀は、この現実を理解していないのだ。米国の「下方就業率」が、約40%にもなっているはずがない。もし、それが事実なら、GDP成長率はもっと低下し、失業率が高まるはずだ。こういう「機械的」解釈をしているのは困ったものである。

     

    (3)「今回の韓銀の研究では、大卒就業者が管理者、専門家、事務職で働くケースは適正就業その他の職業についたケースは下方就業に分類した。下方就業者の職業はサービスや販売(57)が最も多く、単純労働も12%に達した」

     

    大卒就業者の「適性就業」は、管理者、専門家、事務職としている。それ以外は、「下方就業」と分類されている。

     

    (4)「下方就業率は金融危機当時に急増して以降、上昇傾向がさらに強まっている。大卒者の増加に高学歴者向けの雇用の増加が追いつかない労働市場の需給不均衡が膨らんでいるためだ。20002018年の間に大卒者は年平均4.3%増えた一方、適正雇用は2.8%増に止まった。20001月時点では、大卒者(663万人)と適正雇用数(631万件)は大きな差がなかったが、今年(9)は大卒者1512万人に対し適正雇用数は1080万件と、その差は大幅に拡大した」

     

    2000~18年の間に大卒者は年平均4.3%増えた一方、適正雇用は2.8%増に止まった。これは一見、雇用のミスマッチ現象である。だが、大学(短大含む)進学率は88%(2018年)で韓国と差のない米国の失業率は、なぜ韓国よりも低いのか。それは、労働市場の流動化が行なわれている結果だ。採用側が、「終身雇用・年功序列」の枠をはめられず、労働需要に合せて採用できるからである。逆に労働需要が減れば、解雇可能な制度になっている。

     

    一度、採用したら「解雇できない」条件の下では、企業の新規部門への進出は大幅に制約される。自由に起業するには万一、経営が不振となれば解雇できる自由度を持たせることだ。これが結局、経済を活性化させるのである。米国経済に活力があるのは、労働市場の流動化も大いに寄与している。

     

    韓国経済は、どうするのか。労組の主張するままに、終身雇用と年功序列を守っていれば、「下方就業」という事態から抜け出すことは不可能である。

     

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    中国は、台湾を外交的に追い詰め、外交関係断絶国を増やさせる戦術をとっている。南太平洋諸国に対して、資金援助をエサに台湾と断交させるという強硬手段を取ったのだ。この「汚い手口」が、米国の怒りを買っている。中国は、米国の逆襲に直面したのだ。

     

    習近平氏は、あらゆることで「超強気」を通し実権を確立した。習氏の「永久国家主席」への布石であったが現在、次々とブーメランが起こっている。中国経済の失速、米中関係の悪化、香港民主化など、中国の運命の土台に関わることばかりだ。

     

    習氏は、在任中に軍事的な「台湾解放実現」を宣言した。これが、米国の危機感を煽っている。台湾を足がかりにして、念願の「太平洋進出」を実現し、米本土へ軍事行動を起こす。米国は、このリスク抑制に動き出しいている。

     

    米国は、自国が軍事的に危機と感じた時の防衛本能がすさまじい国である。中国は、米国の急所を踏んでしまったのだ。米国が本気になって、台湾防衛に乗り出す背景はこれである。習近平氏は、調子に乗ってやりすぎた。戦前の日本が、満州事変を起こして米国の怒りを買った。それと同じ構図である。

     

    『ロイター』(12月22日付)は、「20年は米台接近一段と中国の反発必至」と題するコラムを掲載した。

     

    2020年は台湾から目を離してはいけない。世界的にサプライチェーンの移行が進む中で、台湾の重要性は高まろうとしている。また米国では反中機運が強まるばかりだ。この2つの要素は、米国と台湾の関係強化を予言しており、論争を呼んでいる両者の貿易協定を実現することの妥当性が増しつつある。

     

    (1)「米中貿易摩擦は、台湾経済にとってまさに「棚からぼた餅」だった。多くのアジアの輸出国が需要鈍化に苦しむのを尻目に、台湾は最近になって20年の域内総生産(GDP)見通しを2.7%に引き上げた。地元製造業が生産拠点を中国本土から台湾に戻し、投資が増加するのは間違いない。 さらに米企業が台湾からの製品購入を拡大している。例えば今年上半期には、米政府が追加関税を発動した影響で、国連の報告書によると40億ドル強の事務機器や通信機器の注文が台湾に舞い込んだ。マイクロソフトやグーグルなどは、台湾への投資を強化した」

     

    中国IT関連製品の輸出大手5社は、すべて台湾企業である。この台湾企業が、米中貿易戦争を契機に、台湾へ製造拠点をシフトさせ始めている。台湾政府も補助金を出してこの動きを後押ししているのだ。こうして台湾は、米中貿易戦争で「棚ぼた」という幸運に浴することになった。中国にとっては痛手だ。

     

    (2)「背景にあるのは、独自の統治機構を持つ台湾をあくまで自国領土の一部だとみなす中国に対し、米国民が抱く反感だ。米議会が香港でデモを継続する民主派を後押しする目的で承認した「香港人権・民主主義法」はトランプ大統領の署名を経て成立。また米下院は、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する中国政府の弾圧を非難する「ウイグル人権法案」も可決した」

     

    習氏を含めた中国民族派は、「米国経済弱し」というとんでもない誤算をした。2008年のリーマンショックで「再起不能」と見たのだ。その米国が復活している。「どっこい、米国は生きている」のだ。まさに、中国は子ども以下の頭脳であった。逆襲する米国は、香港人権法、ウイグル人権法案で中国の手足を縛り、次は、台湾防衛の立法に動き出している。「怒れるヤンキー」である。

     

    (3)「台湾を支援するための法案も登場している。米議会は、政府に対して台湾に打撃を与える行動を取った国との関係を弱めるよう求める「台北法」を打ち出したのだ。これには台湾で独立志向の蔡英文総統率いる民進党が政権を獲得して以来、8カ国が台湾と断交して新たに中国と外交関係を結んだという事情がある。台北法は、米国と台湾の貿易協定交渉も提案している。米国と台湾が貿易協定締結に向けた話し合いを始めれば、中国の習近平国家主席は激怒するだろうし、既に今にも足場が崩れそうな米中貿易協議が一段と紛糾しかねない。だがそれでも米国が台湾と貿易協定に合意することには、戦略的な合理性が存在する」

     

    台湾は、蔡氏が総統に就任以来、それまでの中台連携から距離を置いている。これを不服とする習氏は、台湾が外交関係を結んでいる8ヶ国に対する「札束外交」で断交させ、中国へ引き寄せた。これに危機感を持った米議会が、「台北法案」で中国へ対抗する準備を始めている。習氏は、「盲蛇に怖じず」で民族派の口車に乗せられて、大失敗を犯そうとしている。米台が貿易協定を結べば、中国の受ける打撃は大きい。

     

    (4)「アップルやクアルコムといった米ハイテク大手は、台湾製部品を頼りにしている。昨年、台湾製造業の米国からの受注額は約1500億ドルに達した。おまけに半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が次世代半導体開発を主導しているのに比べて、中国はまだ急いで追いつこうとしている段階だ。そこで米国と台湾の貿易協定が成立すれば、蔡氏が台湾の製造業を守り、中国本土への経済的な依存を減らす手助けになるのではないか。だが同時に、それによって台湾が米中の新たな激しい対立の火種になるのは必至だ」

     

    中国は、メンツという感情論で外交を行なっている。その点では、韓国も瓜二つである。この中韓は儒教国という共通要因で、同じような振る舞いをして失敗している。米台が貿易協定を結べば、台湾経済は中国依存を減らして一本立ちする。中国にとって技術的ソースを失うと同時に、米という輸出先まで減らす事態になるのだ。 


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