勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    中国は、新興国特有のパターンである勢力圏拡大に一直線である。すでに、世界覇権が約束されたような傲慢な一面を見せている。だが、その「快進撃」が数々の軋みをもたらしてきた。

     

    第二次世界大戦後、米ソの冷戦構造の舞台は欧州であった。米中冷戦と言ってもまだ、専門家の意識に上っている程度だが、米中貿易戦争はその嚆矢である。米国は、すでに「インド太平洋戦略」によってアジアを舞台にして、中国と軍事対決する装置づくりに動き始めた。米国・日本・豪州・インドが協力して中国軍と対峙する構想である。

     

    最近の香港学生デモの暴力的な取締、新疆ウイグル族100万人を拘束する歴史的大規模な人権犯罪。これらが、人権意識のことさら強い欧州諸国の対中警戒観を強めている。ドイツ政府のように対中経済依存の高さを理由に、中国へ融和的な姿勢を見せている国もある。そのドイツ議会は、中国警戒姿勢を見せ始めた。いずれ、議会が政府の対中融和を抑制することが確実になっている。

     

    中国は、ロシアへ急接近している。こうなると、欧州は地理的にアジアから離れているという単純な理由で、対中国融和姿勢が問われる局面になってきた。欧州は、中国をビジネス相手として歓迎する段階は終わって、政治的・軍事的に警戒する相手になっているのだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月27日付)は、「中国は欧州にとっても問題」と題するコラムを掲載した。筆者のウォルター・ラッセル・ミードは、WSJ「グローバルビュー」欄担当コラムニストである。

     

    (1)「中国の存在感が大きくなる中で、米欧間の新たなコンセンサスが形作られつつある。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は先月、自国の次世代通信網「5G」に華為技術(ファーウェイ)の機器を使うのを認めた。これはメルケル氏の数少ない政治的失策の1つだ。米国はいつも通りの抗議と警告を行い、これをドイツ側も例のごとくはねつけた。しかし、事態はそこで収まらなかった。メルケル氏が率いてきたキリスト教民主同盟(CDU)の会合で、代議員らが反旗を翻し、ある決議を採択したのだ。それはドイツでのファーウェイの5G展開を阻止する連邦議会での投票につながりかねないものだった。通常はメルケル氏のCDUと連携する中道左派のキリスト教社会同盟(CSU)も、この決議に賛同した。中国企業にドイツの通信データを委ねることはできないと考えたのだ」

     

    メルケル首相にとって、中国は経済的な恵みの源泉である。だが、ドイツ議会は中国に対して、その覇権主義を嗅ぎ取っている。警戒し始めたのだ。ファーウェイの5G排除が警戒信号である。

     

    (2)「EUと米国の中国に対する見方を一致させる取り組みは、完了したとはとても言えない状況だ。フランスは自国の5G計画からファーウェイを排除することを拒否した。他の欧州諸国の政府や多くの企業は依然として、バラ色のレンズを通して中国を眺めている。しかし、こうした見方は変わりつつある。米国民と同様に欧州市民も、香港の民主派の動きに共感を抱いており、中国政府によるチベット人やウイグル人の扱いに恐怖を感じている。ドイツ産業連盟は過去1年、中国のビジネス慣行を厳しく批判してきた

     

    人権問題に敏感な欧州は、中国観を訂正し始めている。香港学生デモへの手荒な扱い。新疆ウイグル族100万人への弾圧実態など、次々に表面化してきた人権弾圧国家への警戒観が滲み出ている。これまでは、好調な輸出の影に隠れていた問題が、にわかにクローズアップされている。金の切れ目が縁の切れ目という側面もある。

     

    (3)「米国と欧州に関係強化を促す別の力も存在する。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領だ。プーチン氏は中国との本格的な同盟関係を受け入れたように思われる。クリミア併合から偽情報拡散による欧州選挙への影響力行使まで、ロシアの破壊的な目標は常に資金不足に悩まされてきた。これはロシアの力の投影が抱える問題の元凶となっている。一部のネオ孤立主義者の間では、欧州におけるロシアの活動は米国にとって戦略上の脅威というより、むしろ悩ましい程度の存在との認識が支持を得ていた。しかし、中国がギリシャや南部、東部欧州にわたって大規模投資を行っていることから、こうした認識は変化するかもしれない。ロシアと中国が同盟関係を強めれば、中国に重点を置く米国の外交政策にとって、欧州でのロシア問題がより重要なものになる」

     

    ロシアが中国と同盟を結べば、欧州の中国警戒観が高まる。同時に、米国の欧州への関心が高まってくる。現在の米国は、インド太平洋戦略でアジアを主舞台にしているが、中国が欧州へ勢力圏を広げれば、「第三次世界大戦」が現実問題として語られるようになろう。中国経済がそこまでの余裕を持てるか大いなる疑問もある。ただ、そういうポーズを取るだろう。

     

    (4)「中国に起因する潜在的な脅威を十分理解している米国民はまた、欧州の助力なしに勝利を収めることが困難であり、おそらく不可能であることを認識している。米国民は中国について真剣に考えれば考えるほど、欧州についても一層配慮するようになるだろう。中国政府に関する米国の懸念を十分な規模の欧州市民が共有すれば、世界の政治の中心舞台がインド・太平洋にシフトしても、欧米の同盟関係は引き続き重要なものとなろう

     

    中国が脅威であるのは、価値観が全く異なる点にある。つまり、異教徒であることだ。人権弾圧について何ら良心の呵責もない民族が、世界覇権を目指すのは何としても阻止しなければならない。中国が、人権弾圧という人類への反逆を試みれば、民主主義国は団結して阻止する以外に道はない。妥協はあり得ないのだ。

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    韓国の対日外交は、空洞化している。かつては、「ジャパン・スクール」として、韓国外交部でワシントンに並ぶ二大花形であった。それが、今や見る影もない。文政権になってからは、2016年12月に結んだ日韓慰安婦合意をヤリ玉に上げた結果、この交渉に尽力した日本通外交官をことごく左遷する極端な人事を行なった。

     

    こうして日本通が影を消しており、日韓外交は潤滑油切れを起こしている。文政権の独り善がりな日本軽視の外交が、現在の苦境を招いたと言える。今回のGSOMIA騒動では、そのリアクションが表れている。日韓のパイプが切断されているのだ。

     

    今回のGSOMIA騒動でも、日本側の意向を的確に掴む点で問題を残している。具体的には、先の米議会によるGSOMIAに関する声明では、ことごとく日本側の主張の線に沿っていたという。この動きをいち早くキャッチしていれば、米韓関係もこれほど傷がつかなかったであろう。GSOMIA問題は日韓問題でなく、米韓問題であったことを知らなかったのだ。韓国外交として、これ以上の恥辱はあるまい。

     

    『ハンギョレ新聞』(11月25日付)は、「日本側に傾いた米国の『天秤』が顕在化、韓国は北東アジア戦略構図を十分考慮したか」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「政府の今回の決定(注:GSOMIA)は、南北関係が悪化し、朝米交渉に進展が見られない状況で、予想を上回る米国の強い圧力に影響されたものと見られる。文大統領が「国民との対話(タウンミーティング)」でも明らかにした原則を貫くことができず、政府の信頼性と政策の一貫性が損なわれた。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院諮問研究委員は、「形式上では5050休戦だが、結果的に外交安保政策の安定性と信頼性が損なわれたのが残念だ」とし、「GSOMIAの終了を強行した場合、米国の反発と韓国経済の不確実性などを考慮した決定と見られる」と分析した」

     

    韓国が、GSOMIA破棄を棚上げしたのは、米韓関係の悪化と韓国経済の不透明性が理由としている。これが真相であろう。米韓関係は、韓国の命綱である。経済面では、日韓断絶が経済関係に甚大な影響を与えるのだ。

     

    (2)「「中国の浮上」を牽制するために新たな枠組みに入った米国の北東アジア秩序の中で、韓国の外交的選択が持つ限界も明確になった。韓国はGSOMIAの終了を日本の輸出規制およびホワイト国(グループA)からの排除に対する対応カードとした。米国は、中国牽制を念頭に置いた韓日米安保協力の枠組みを揺るがす脅威と見なした。822日、韓国政府のGSOMIA終了決定直後、「文在寅(ムン・ジェイン)政府の決定は北東アジアで、われわれが直面した安保的挑戦に対する深刻な誤解を示す」という米国務省の論評がこれを端的に示している。韓国の選択と米国の利益が衝突する構図が明らかになった」

     

    ここでは、重大な点を指摘している。韓国のGSOMIA破棄が、米国の国益に衝突すると見なされ、大きな圧力を受けた。実は、これが同盟の持つ意味であろう。同盟が「同床異夢」であれば、意味をなさないのだ。米国は今回、それを韓国に教えたと言える。

     

    (3)「政府がGSOMIAの終了を決定する際に、このような安保構図を十分に判断したのかは疑問として残る。政府が日本の報復措置を牽制するために「GSOMIA」カードを取り出す過程で、米国を十分説得できなかったことが結果的に大きな負担になったものと見られる。政府がGSOMIAと韓米同盟の分離に失敗したことで、米国の強い圧力に直面することになったのだ」

     

    このパラグラフは、同盟に関する認識で根本的な誤りがある。同盟とは、同一行動が前提である。好き勝手に行動する自由は制限されるはずだ。かつて、韓国軍がベトナム戦に参加した理由はこれであろう。大統領府の安保室次長は、GSOMIA破棄について「同盟の前に国益がある」という的外れの発言をして失笑を買った。この程度の認識で、GSOMIA破棄を決めたのだ。

     

    (4)「米国の圧力は予想をはるかに超えるほど執拗だった。米国は国務省や国防総省などさまざまなルートを通じ、インド太平洋戦略の中核軸として韓米日安保協力の必要性を強調して圧力をかけてきた。「GSOMIAの終了は北朝鮮や中国、ロシアを利するだけ」だとし、GSOMIAが中国を牽制するためのものという点を明らかにした。韓国の安保利益が中国を牽制しようとする米国の安保利益と分離できないことを明確にしたのだ

     

    GSOMIAは、日米韓三ヶ国の安保協力の紐帯をなしている。だから、韓国がGSOMIAを勝手に破棄することは不可能である。韓国が、ここから離脱すれば米韓同盟を破棄すると同じである。韓国は、こういう厳しい現実を突付けられたのだ。

     

    (5)「米国のこのような態度は、韓国外交にさらなる負担としてのしかかっている。韓国が中国を牽制するための韓米日安保協力の枠組みの中で自由ではないことが改めて確認されたためだ。北東アジアで韓米日協力の枠組みが強化されることに対する中国の不満が高まるだろうし、北朝鮮も独自の南北関係が容易ではないと判断する可能性がある。国家安保戦略研究院のキム・スクヒョン対外戦略研究室長は、「政府の今回の決定は、韓国が米国の影響力の下で独自に動くことは難しいというシグナルを送った」とし、「これまで韓国は自主的役割、特に朝鮮半島問題で南北の自主的解決原則を強調してきたが、現実ではこれを実現することが容易ではないという限界を露呈した」と指摘した」

     

    韓国が、日米韓三ヶ国の安全保障体制の一翼であることを認識すれば、日韓で歴史紛争を起こし、GSOMIA破棄を試みることは不可能になる。この観点から言えば、反日など歴史問題で紛争に陥る余裕がなくなるだろう。同じループでつながっている以上、そのループを弱体化させる原因を早く取り除く作業が求められるのだ。ここまでくると、日米韓三ヶ国の安全保障体制が、日韓関係にそのあり方を問うようになってきた。同じ船に乗った「同士」という認識が、必要になるということだろう。

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    懸案のGSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)が、ひとまず破棄を延期することで落ち着いた。まだ、完全決着ではない。日韓での「半導体3素材の輸出手続き規制」問題が残っている。同時に、徴用工賠償問題が未解決である。こちらは、韓国の文国会議長が、日韓の企業・個人の寄付金で充当する案が、年内に法案化目標で準備が進んでいる。この徴用工問題にメドが付けば、「ホワイト国除外」について何らかの動きをするのか。ここが、最後の関門になりそうだ。

     

    米韓では、GSOMIA問題がクローズアップされて、駐韓米軍駐留費問題が、やや影に隠れていた感じだが、実際は第一回米韓協議がもの別れに終わった。米国側は、会議開始80分で席を立つという「パフォーマンス」を見せて、韓国に決意を迫っている。韓国紙では、この中座を「トランプの真似をしている」と悪評である。

     

    GSOMIA問題が決着する前の会合であったので、米国がこれに圧力をかける目的もあったであろう。次回会議で、米国の本音が出てくるであろう。

     

    『レコードチャイナ』(11月24日付)は、「在韓米軍駐留費の問題はどう決着するのか中国専門家」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア『環球網』(11月23日付)は、在韓米軍駐留費の分担をめぐる問題について、中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の董向栄(ドン・シアンロン)研究員の見方を紹介する記事を掲載した。董氏は、在韓米軍の駐留経費の分担をめぐる米韓の協議が決裂したことに言及。これは主に、米国が駐留経費の韓国側の分担をこれまでの5倍以上となる「50億ドル(約5430億円)」にすべきと主張したためだと指摘した。

    (1)「董氏によると、製品価格は通常「コスト」「需要」「競争」の3つに基づき設定されるという。在韓米軍の駐留経費に関しては「競争」は存在しないため、韓国は「コスト」に基づき設定すべきとしているのに対し、米国は「需要」に基づき設定すべきだとしており、意見が対立していると分析した。米国からすると、「韓国はお金があり米国の保護を必要としていて、しかも他からは得られない保護であり、安全は金には代えられないという主張なのだろう」とした」

    一般の製品価格は、「コスト」「需要」「競争」の3つに基づき設定されると指摘している。これを駐留費に適応する分析は、初めて聞く話だ。従来は、駐留コストだけを議論してきたが、今回は韓国の「需要」を算定基礎に組み込んだと見ている。北朝鮮のミサイル発射という緊急事態から駐留費を計算すれば、「武器・弾約」が従来に比べて高度化するので「需要」が膨らむ計算だ。ただ、最初の投資(初期投資)をすれば、戦争による消耗がなければ繰り越されるはずだ。ここまで厳密に計算するだろうか。

     

    結局、米国の要求した50億ドルは、吹っ掛け分がかなり含まれているはずだ。それは、GSOMIAを継続させるための「脅し材料」と見るべきであろう。米軍の言わんとしているところは、GSOMIAによるダイレクトな軍事情報が、防衛コストを左右するという意味だ。韓国がGSOMIAを失効させなかったので、その分が「割引価格」として適用されると見る。

     

    (2)「韓国側からすると、50億ドルという価格は前例がないほど高くて受け入れられず、韓国国民も96%が反対していると指摘。支持率が下がっている中で民意に反した決定はできないとした。その上で、朝鮮半島情勢の変化と韓国軍の軍事力向上に伴い、在韓米軍は縮小の方向に進んでいたと指摘。朝鮮戦争停戦直後は約5万人いた在韓米軍数は、18年末には約28500人にまで減少したことを挙げた」

     

    最近の、北朝鮮のミサイル発射回数が、急激に増えていることを考えると、防衛費用は高くなって当然だ。新しい武器・弾薬を持ち込む必要も出てくる。今後の、韓国の若者の減少を考えると、米軍への依存は増えても減ることはないはずだ。韓国は、感情論にならず、10年、20年先を予想した米軍依存度を計算にいれなければならない。

     

    (3)「今でも多くの韓国人は、「米韓同盟を安全の柱と見なしている」と分析。保守派は在韓米軍の撤退を恐れているが、「同盟関係として相応の尊重を受けるべき」と考える人も少なくないとした。また、戦争の再発の恐れが少なくなるにつれ、「民族主義的な感情の強い韓国国民は在韓米軍を許容できなく」なってきており、経済規模で世界第12の国になったにもかかわらず作戦統制権もなく、相応の尊重を受けていないとの不満があるとした」

    戦争の再発がないなどと、暢気なことを言えないだろう。北朝鮮のミサイル発射は、「平和を告げる鐘」でなく逆である。最新鋭の装備で対応せざるを得なければ、コストは上昇するはずだ。

     

    (4)「そして、「朝鮮半島で突発的な状況が発生しないならば、韓国国内の政治的な観点からしても、国民感情からしても、韓国は50億ドルを出すことはあり得ない」と分析。米国としては、「韓国が受け入れないならば在韓米軍の縮小という形で不満を示し、『不均衡な同盟関係』を続けていくだろう」と結んだ」

     

    このパラグラフでは、中国の意図が良く表れている。問題を矮小化しているからだ。北朝鮮という「最大の不確定要因」を抱えており、韓国はそれなりの防衛費増大を免れない。米中冷戦に伴う「インド太平洋戦略」コストで、韓国負担分が入っている可能性もある。韓国が、GSOMIA破棄を狙った「懲罰」が含められているとみるべきだろう。

     

     

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    下記の目次でけさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    破天荒で未熟な韓国外交の素顔

    米兵の犠牲で現在の韓国がある

    歴史忘れた日中韓三カ国の悲劇

    世界情勢より国内優先する韓国

     

    韓国は、8月22日にGSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)の破棄を決定、日本へ通告した。その失効期日は11月23日午前零時。ここに3ヶ月にわたって日米韓三カ国の間で外交戦が繰り広げられた。結論は、GSOMIA失効6時間前という瀬戸際で、韓国が「失効を一時延期」という決定を下した。これによりGSOMIAは、今も「生きている」わけだ。

     

    破天荒で未熟な韓国外交の素顔

    韓国が、GSOMIAを破棄する。こういう破天荒な決定をした背景とその後の混乱は、韓国外交の未熟さを露呈している。

     

    韓国は、日本が半導体3素材の輸出手続き規制をした原因が、韓国大法院による日本企業への徴用工賠償判決の報復として反発した。外交問題に対して経済的な報復であるとの理由で、WTO(世界貿易機関)へ提訴した。一方、日本に対しGSOMIA破棄で対抗した。これは、半導体3素材の輸出手続き規制という経済問題を理由に、GSOMIA破棄という外交手段で対抗したものだ。

     

    以上の関係を整理すると、次のようになる。

    日本:徴用工賠償問題(外交)→半導体3素材の輸出手続き規制(経済)

    韓国:半導体3素材の輸出手続き規制(経済)→GSOMIA失効(外交)

     

    徴用工賠償問題は、日韓で起こった問題だ。GSOMIA失効は、日韓だけの問題に見えるが、日米韓三ヶ国の安全保障体制の根幹に関わる問題である。韓国は、この重大な関係を見落としていた。

     

    韓国の「GSOMIA失効宣言」の際、米国が「遺憾の意」を表明した。それに対して、韓国大統領府が反駁したのだ。「韓国には同盟の前に国益を守る権利がある」と。米韓同盟の利益よりもGSOMIAを破棄して、日本に半導体3素材の輸出手続き規制を撤廃させる。これが国益だと豪語したのである。このとんでもない発言でその後、韓国は窮地に立たされた。

     

    韓国大統領府の国際感覚のない発言が、「米中冷戦」(米国は、こういう意識で中国に対抗している)状態にある米国の認識を痛く刺激した。「韓国は、中国の味方になるのか」という怒りに火を付けたのだ。朝鮮戦争は、中国と北朝鮮が韓国を侵略した戦争である。韓国軍は一時、釜山一帯まで追い詰められたが、米軍や国連軍は体制を立て直し反撃に成功。現在の韓国が、残ったというのが歴史的事実である。

     

    こういう事実を踏みにじって、「韓国には同盟の前に国益を守る権利がある」とはどういうつもりか。米韓同盟を守る意思があるのかという、疑念を生んだのである。これ以降、米国の韓国に向けた「GSOMIA継続」圧力は日に日に大きくなっていった。米議会、国務省、国防総省が総力を挙げて、韓国に翻意を迫ったのだ。最後の台詞は、「韓国がGSOMIAを継続しなければ、トランプ大統領がどういう発言をするか分らない」というもの。トランプ・ツイッター砲で直撃されたら、韓国の国際的な信用は確実に失墜したはずだ。

     

    米国からここまで圧力がかかった背景は、前述の「米中冷戦」にある。中国は、米国の世界覇権を狙うと公言している。つい最近の習近平発言では、それを否定しているが、本心に変わりはないだろう。米中冷戦の舞台はアジアである。南シナ海や東シナ海での領土拡張を足がかりにして、米軍と覇権戦争する構想である。

     

    こういう中で、韓国がGSOMIAを破棄すれば、日米韓三ヶ国の安全保障体制のシンボルが崩れるのだ。韓国は、三ヶ国の中から抜け出して中朝へ秋波を送る可能性も出てくる。米国が、こういう韓国を引き留めるには、強い圧力をかけざるを得なかった。経済制裁として、まず行なったのは、駐韓米軍の費用分担引上げである。来年については、今年の5倍の約50億ドルの請求書を突付けた。

     

    また、韓国からの自動車輸入に関税をかけるという情報も流した。弱り目に祟り目の韓国経済にとって、「自動車関税」は恐慌をもたらすほどのパンチである。この一件によって、米国が韓国に対していかに怒っているかを分らせようとした。(つづく)

     

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    韓国国内は、GSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)で揉めているだけでない。WTO(世界貿易機関)規則において、「後進国」扱いされてきた関税面の優遇措置を返上したからだ。発端は、米トランプ大統領に批判されて、自ら「先進国」へ移行することになったもの。

     

    韓国人は平素、「日本人よりも道徳的に優れている。だから日本を指導しなければならない」と真顔で言う。その韓国人の半分は、自らを先進国であると見る比率が、52%程度と予想以上に少ないのだ。残りは「後進国」としている。

     

    日本が、経済指標面で「先進国」に分類された時(1964年)は、新聞報道でも大きく扱われた。敗戦国民として肩身が狭かった日本が、世界に雄飛するという気構えであった。池田内閣の所得倍増計画(1960年)では、「欧州並の生活」を目標にした。それが、国民の励みであったのだ。まさに、先進国になる夢である。戦前は、「世界の5大国」と自惚れて太平洋戦争を始めた。戦後の「敗戦国民」という烙印は、日本人の意識を萎縮させていたのである。

     

    この日本の例から言えば、韓国は大いに胸を張るべきである。それと同時に、先進国に恥ずかしくない言動をすべきだ。それは、自らの行為に責任持つことである。他人や他国に責任を転嫁してはいけない。ここまで書くと、お察しのとおりである。徴用工問題、慰安婦問題

    などの歴史に関わる日本との争いに終止符を打つ時期である。それは、歴史のプラスとマイナスの全てを、真っ正面から自分の問題として受け止める覚悟と度量である。「プラス面は韓国、マイナス面は日本」という区分けでは、日本が相手にするはずがない。

     

    『朝鮮日報』(11月24日付)は、「WTOで発展途上国の地位を放棄した韓国、本当に先進国か?」と題する記事を掲載した。

     

    今年7月、ドナルド・トランプ米国大統領が、「韓国のような先進国がWTOで発展途上国の地位を利用して特別扱いされることがないようにすべきだ」とツイッターに掲載した1行で、韓国は窮地に追い込まれた。トランプ大統領が公に「韓国は先進国だ」とくぎを打ってしまったからだ。もちろん同大統領の本当の意図は「韓国は、WTOで発展途上国の地位に基づく関税面での特別扱いを放棄せよ」という圧力にほかならない。

     

    (1)「あれから3カ月後の1025日、韓国政府は公式的にWTOにおける発展途上国の地位を放棄した。これにより、発展途上国の地位に基づく保護関税や補助金面での優遇措置を受けていた農業界はもちろんのこと、韓国社会のあちこちから反発の声が上がった。実際のところ、韓国は多くの基準で本当に先進国にふさわしい国なのかということだ。オンラインコミュニティーの至る所でも、1人当たりの国民所得を皮切りに経済の労働生産性、勤労時間、研究開発投資指標など、あらゆる数値の列挙とともに一大論争が巻き起こった。トランプ大統領のように、韓国が先進国だと思っている韓国人はそれだけ少ないということだ」

     

    トランプ効果は絶大だ。ツイッターで1行書かれただけでこの騒ぎである。いかに自主性がないかを示している。

     

    (2)「実際に国民の認識もほぼ半々に分かれている。韓国政府は毎年「公的開発援助国民認識の調査」を実施し、韓国が先進国だと思うかについての質問を盛り込んでいる。最近の調査である2016年度の結果によると、先進国だと回答した国民は52.4%にすぎなかった。それさえも、2011年の37.3%に比べると大幅に増えたと言える。依然として韓国が先進国だと自負する国民がそれほど多くないということを物語っている。しかし、世界的に適用されている先進国基準を通じて見れば、話は変わってくる」

     

    経済指標面では先進国でありながら、精神面ではそれを否定する。原因は、豊かさが国民の全てに行き渡っていない証拠だ。理由は、社会福祉面での立遅れである。無年金の高齢者が、50%以上もいる現実をまず是正することである。

     

    (3)「ほとんどの先進国基準で見る場合、韓国は疑う余地のない先進国だが、依然として先進国と見るには無理があるとの意見も多い。韓国が先進国ではないという反論のうち、最もよく挙げられているものとしては高い自殺率と長い労働時間だ。前者はOECD会員国の中で1位、後者は2位だ」

     

    正直なところ、日本は韓国を先進国と認識していないであろう。その言動が、常に「謝罪しろ」「賠償しろ」と迫ってくることもある。韓国の自殺率と長時間労働は、「自主性のなさ」を証明している。個人の悩みを社会の悩みとして受入れない社会。それが韓国の欠陥である。「反日」は、韓国社会の弱さの証明である。自信がないから責任を全て日本へ転嫁する。韓国の社会で受入れ解決しようとしない結果であろう。

     

    (4)「これに、所得不平等がますます悪化している中、労働生産性と経済成長率は日に日に低下しているというのも減点要因だ。延世大学経済学部のソン・テユン教授は「経済規模や所得のようなハードウエアは韓国が先進国水準に到逹したのかもしれないが、経済のソフトウエア的側面では相変らず韓国は先進国の水準にまで上り詰めたとは言い難い」とした上で、「一例として経済の基礎体力を物語っている1時間当たりの労働生産性はチェコやポーランドと同水準で、その他のいろいろな数値もまだ米国や日本などにははるかに及ばない」と説明した」

     

    韓国では、下線を引いた部分のように「ソフトウエア」が脆弱である。ソフト=社会の柔構造=自主性=相互扶助=市民社会。思いつく単語をつなぐと、最後は市民社会に行き着くのだ。韓国が、真に先進国に脱皮するには、「反日」から卒業することであろう。

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