勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 米国経済ニュース時評

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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    供給網の再編成を招く

    不動産税で財源捻出へ

    構造改革を拒否の理由

    経済成長率で米中逆転

     

     

    中国はいったん、米国との貿易戦争を終息させる決意をしました。だが、「主権」を理由に妥結を拒んでいます。6月末の米中首脳会談で、交渉再開を決めました。今後の交渉スケジュールは、これからの協議に委ねています。

     

    供給網の再編成を招く

    米中首脳会談の結果を受けて、メディアでは中国の「作戦勝ち」という見方もあります。果たして、そうでしょうか。表面的な見方と言わざるを得ません。紛争解決が延びれば延びるほど、中国へ不利に働く点を見過ごしているからです。今回のように、交渉開始から1年経っても結論が出ない問題は、仮に協定ができても紛争の種が尽きず、ギクシャクし続けるという予想を高めます。中国のサプライチェーンが、他国へ移転する可能性を大きくなるのです。中国にとって致命傷になります。

     

    中国政府は、サプライチェーン再編成のリスクに直面していることを見落としています。このことが、中国に「米国の圧力に対抗して最後まで戦う」というピント外れの発言をさせている理由でしょう。トランプ米大統領は、先の米中首脳会談で、「結論を急がない」と発言しました。まさに、米国の狙いはサプライチェーンの再編成によって、中国の潜在的な経済成長力を削ごうとしているのです。

     

    6月30日に、中国国家統計局は6月の「製造業PMI(購買担当者景気指数)」を発表しました。前月並みの「49.4」にとどまり、好不況の分岐点50を下回りました。問題は、輸出の新規受注が落込んでいることです。3~5月までの3ヶ月は、米国が第4弾3000億ドルについて25%関税を掛けると予告したので、繰り上げによる新規輸出受注が増えました。6月は急減しています。この状態は、今後とも続くはずです。

     

    製造業の不振は、雇用面に反映します。製造業の雇用指数は2009年以来の低水準に落ち込みました。非製造業部門の同指数も16年初め以来の悪化を記録したのです。製造業では小規模企業が景気減速の打撃を最も受けています。大企業も生産活動が縮小しているので、大企業の雇用指数は過去3年余りで、初めて50を下回る緊急事態に直面しています。

     

    中国経済は、雇用の悪化という本格的な景気後退局面を迎えています。とうてい、米中貿易戦争を繰り広げるゆとりなどあろうはずがありません。それでも弱気を見せず、米国と最後まで戦うと言わざるを得ない事情とはなんでしょうか。

     

    それは、ここで米国の要求である「市場経済化」を受け入れれば、中国共産党の崩壊につながりかねないという危機感です。つい最近まで、中国式社会主義は市場経済システムよりも優れていると喧伝してきました。それが、米国の要求に屈したとなれば、発展途上国向けの「一帯一路」プロジェクトの推進にも障害になるという思惑が交錯しているのでしょう。ここは苦しくても米国と戦い、中国の「レゾンデートル」(存在理由)を明らかにする切羽詰まったところへ追い込まれています。

     

    経済問題は、メンツではありません。合理的なシステムか、どうかが問われるのです。そういう視点で米中貿易戦争を見ますと、中国は感情論で捉えており、理性的な判断が入り込む余地は見られません

     


    不動産税で財源捻出へ

    中国経済は、ますます財政依存体質へ落込んでいます。膨大な補助金を財政から捻出する必要性に迫られています。地方政府はこれまで、不動産バブルを活用してきました。土地国有制を利用して、土地利用権の売却益を財源に組入れてきたのです。中国財政は、土地国有制という基盤の上に成り立つもので、不動産バブルとは密接不可分の関係にありました。

     

    不動産バブルも限界に達しています。債務総額が負担の限界を超えたことです。企業は過重債務で倒産が増えています。家計は住宅ローンの負担で個人消費を切り詰めています。銀行は、不良債権で貸出能力が落込んでいます。政府管理の中小銀行が1行出てきました。倒産リスクの高い中小銀行が、12行もあるほどです。市場経済国家であれば、これだけの信用危機の淵に立たされている状況で、米国と貿易戦争など継続不可能という議論が出てきます。中国ではそれがすべて抹殺されており、表面化しないところに真の危機があるのです。

    (つづく)

     

     


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    1本のツイッターが、首脳会談を実現させるという離れ業を演じた。昨日、米朝首脳が板門店で急遽、会談を行った。韓国の文大統領は脇役として米朝首脳から一歩、引き下がる形をとった。北朝鮮の金正恩氏委員長は、韓国の文大統領に対して「仲介役とはおこがましい」と非難してきただけに、文氏は脇役になったのであろう。

     

    板門店での米朝首脳会談では、金正恩氏が述懐していたように、「ビックリした」という。ここが、トランプ氏の持ち味であろう。毀誉褒貶の激しいトランプ氏だが、意表を突く形で相手の心を掴む当たりは、ビジネスで鍛えた経験の賜物であろう。

     

    『朝鮮日報』(6月30日付)は、「史上初の板門店での米朝首脳会談で『脇役』に徹した文大統領」と題する記事を掲載した

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は30日、米国のトランプ大統領と首脳会談を行い、その後共に南北軍事境界線のある板門店を訪れた。板門店では、平壌から来訪した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長、トランプ大統領と3人で8分ほど言葉を交わした。しかしトランプ大統領が米国の現職大統領として初めて北朝鮮の地を踏むときは、一歩退いて様子を見守った。本格的な非核化交渉はトランプ大統領と金委員長の2人で行われた。板門店の韓国側施設「自由の家」で、トランプ大統領と金委員長が53分間にわたり会談した際、文大統領は別の部屋で待機していた。

     

    (1)「今回板門店で行われた米朝首脳会談での文大統領の役割をめぐっては、評価が分かれている。一部では「トランプ大統領を粘り強く説得し、ハノイでの会談失敗以降全く進展のなかった米朝非核化交渉を再開させるきっかけをつくった」と肯定的な評価が聞かれる。一方で「韓国の地で世界的な外交イベントが開催されたのに、肝心のわが大統領は周囲で見ているだけだった」と残念がる声もある。「文大統領が、非核化交渉の主導権を握っている米朝の間で実質的な進展を引き出すのであれば、結果的に今日の『助演』が主演2人より輝きを放つだろう」という指摘も出ている」

     

    文氏が、脇役に徹したことは評価すべきだろう。米国は、これまで韓国が勝手に北朝鮮と交渉して「隊列を乱す」と批判してきた。それだけに米朝首脳に「花」を持たせて、自身が一歩引き下がったのは結果として良かっただろう。文氏は、大阪のG20サミットでは、安倍首相から「無視」された形で、反省もあったであろう。その延長が、板門店での行動に反映されたのかもしれない。

     


    (2)「文大統領は韓米首脳会談の後の共同記者会見で、今日の板門店での会合の当事者は米国と北朝鮮になるだろうと述べていた。文大統領は「私も今日、板門店に招待されている。しかし、今日の中心は北朝鮮と米国間の対話だ」と明らかにした。また、南北対話の可能性に関しては「今日は朝・米間の対話に集中するようにし、南北間の対話は次の機会に計画されるだろう」と述べた。この日の板門店での会合は米朝間の非核化交渉再開に向けたものであり、南・北・米3か国あるいは南北間の対話のための場ではないと言ったわけだ」

     

    (3)「結果的に文大統領はこの日、世界の注目をトランプ大統領と金正恩委員長に向けさせ、自身は一歩下がる姿勢を貫いた。文大統領はトランプ大統領を「ピースメーカー」と呼ぶなど、何度も同大統領を持ち上げた。高麗大の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「文大統領は米朝間の会談の動力が途絶えるのを防ぎ、(2人の間を)つなげることに総力を傾けたのだろう」を評価した。この日の面会の発案者がトランプ大統領だったため、文大統領は「脇役」に徹したというわけだ」

     

    北朝鮮メディアは、韓国を連日批判する報道をしてきたのは、米国とのパイプ役を果たせという催促であったのだ。これで、念願の3回目の米朝首脳会談が実現できたので、今後はトーンを下げるであろう。


    テイカカズラ
       

    昨日の米中首脳会談は、ひとまず最悪状対を回避したが、問題を先送りだけであった。依然として、貿易面での先行き見通しが立たない状態である。

     

    中国国家統計局が発表した6月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は49.4と前月並みで好不況のラインである50を下回ったままだ。特に、輸出新規受注が4~6月と米国の関税第4弾3000億ドル回避で繰り上げて急増した後、6月は息切れによる急落の影響が全面に出てきた。7月以降の製造業PMIも暗い予想である。

     

    『ブルームバーグ』(6月30日付)は、「中国の6月製造業PMI、予想下回るー米中首脳会談での休戦前に」と題する記事を掲載した。

     

    中国の製造業活動を測る政府の指数は6月に予想以上の悪化が続いた。国内景気の低調さに米国の中国製品への関税発動が追い打ちをかけている。国家統計局が30日に発表した6月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.4と、前月と同水準。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想(49.5)に届かず、活動拡大・縮小の節目となる50を下回った。

     

    (1)「製造業PMIの項目別では新規輸出受注指数が前月から一段と低下。中国製品2000億ドル(約215700億円)相当への関税引き上げに伴う輸出業者への圧力が浮き彫りとなった。同PMIの低調さは米中首脳会談で貿易戦争が休戦となる前の段階で、今年前半の持ち直しが弱くなっていたことを示唆している」

     

    新規輸出受注指数が悪化しているのは、すでに実施されている2000億ドル関税引き上げ効果の浸透と、既述の第4弾3000億ドルへの関税引き上げを回避する繰り上げ発注の終わりが「ダブル・マイナス」となって影響したもの。中国の製造業には、相当の悪影響が出ているはずだ。中国国営メディアが流す楽観論や、「最後まで戦う」という状況にはない。

     


    (2)「マッコーリー・セキュリティーズの中国担当チーフエコノミスト、胡偉俊氏は「中国の現在の景気鈍化で貿易戦争は一因でしかない」と指摘。「世界経済の減速や国内で勢いが失われていることがより重要な要因だ。中国経済は政府がさらに積極的な政策措置を打ち出すまで底打ちしないだろう」と述べ、政策措置にはインフラ投資や不動産投資、消費の押し上げが含まれようとの見方を示した」

     

    中国経済は、輸出が不振だけでなく内需も低迷している結果、「老衰」状況にあることを告げている。景気刺激策を打っても「老衰経済」ゆえに効果は限られている。むしろ、債務を増やすだけに終わるはずだ。

     

    (3)「非製造業PMIは54.2と、前月の54.3から低下したが、依然として活動拡大を示している。より懸念されるのは労働市場の悪化で、製造業の雇用指数は2009年以来の低水準に落ち込み、非製造業部門の同指数も16年初め以来の悪さを記録した。製造業では小規模企業が景気減速の打撃を最も受けているが、大企業も活動が縮小している。大企業の指数は過去3年余りで初めて50を下回った」

     

    製造業は、質的に高い雇用の受け皿である。その雇用指数は、2009年以来の低水準に落込んでいる。リーマンショック以来の悪化だ。この状況での米中貿易戦争で、中国は最後まで戦えない状況」に追い込まれている。

     

     


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    中国は、国権が関わる問題として、土壇場で米中貿易交渉にストップをかけた。この国権とは何か。それは、中国共産党の運命に関わることだ。米国の要求のままに、経済機構を変えることが、中国共産党の権威を損ねるという解釈と思う。となれば、経済的な実利よりも政治的な利益を選択している可能性が大きい。そうとなれば、中国は相当の被害を覚悟した政治的な決定と見るべきだ。

     

    『日本経済新聞』(6月30日付)は、「米中休戦、収束見えず、期限曖昧で中国ペース」と題する記事を掲載しました。

     

    米中両首脳は29日の会談で貿易協議の再開を決めた。トランプ米大統領は関税第4弾の発動を先送りし、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の制裁解除に言及。今後の協議も期限が曖昧で一転して中国ペースの様相を呈しつつある。一時休戦となる貿易戦争が収束する道筋は見えないが、大統領選を控え成果を焦るトランプ氏が譲歩すれば中国の構造改革が中途半端に終わるリスクもある。

     

    (1)「2018年12月以来、7カ月ぶりの首脳会談は1時間強。2時間半かけた前回より大幅に短かかった。510日に決裂した閣僚級協議の再開を決めたが、前回会談のように「90日の期限を決めて、技術移転の強要や知財保護など5分野で集中協議する」といった具体的な目標は判明していない」

     

    (2)「実際、米中の協議は決裂以来水面下でもほとんど進んでいなかった。そのため、交渉は瀬戸際戦略をとった中国ペースとなった。早期の成果獲得へ短期決戦を挑んでいたトランプ氏は「急いでいない。正しい取引がしたいだけだ」と譲歩。前回12月には「3月に2000億ドル分の中国製品の関税を10%から25%に引き上げる」と通告したが、今回は関税引き上げを見送った上に期限も曖昧にしたままだ」



    (3)「交渉が動かないのは、米中の対立が貿易問題から国家主権を巡る争いになりつつあるからだ。中国が巨額補助金を投じるハイテク企業の育成策「中国製造2025」は、中央集権で経済を動かす「国家資本主義」の根幹だ。米国は「補助金で輸出攻勢する中国企業に比べ、米企業の競争が不利になる」と補助金撤廃を要求するが、中国は見直しに応じない」

     

    このパラグラフが、事態の本質部分であろう。米中が総力を挙げて「戦う」部分であるからだ。これは政治的な意味であり、経済的な分析は別の視点からすべきと見る。私なりの見方は、明朝に発行する「メルマガ69号」で明らかにしたい。


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    トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は29日に大阪市で会談し、通商協議を再開することで合意した。中国国営の新華社通信が会談後に伝えた。米国が、新たな対中関税を発動しない方針も表明したという

     

    『ロイター』(6月29日付)は、「米中が通商協議再開で合意、トランプ大統領『軌道に戻った』」と題する記事を掲載した。

       

    (1)「トランプ大統領は会談を素晴らしかったと称賛した上で、「われわれは軌道に戻った」と語り、中国との交渉を継続する考えを示した。新華社によると、習主席は会談で、中国企業を公平に扱うことを望むと表明。国家主権や尊厳の問題として、中国は中核的利益を守らなければならないとトランプ大統領に語った。再開が決まった通商協議の詳細は、両国の担当者が協議するとしている。新華社は、米国が新たな関税の発動見送りを中国側に伝えたとしている」

     

    下線部分は、新華社通信の報道である。それによると、

    1)中国企業を公平に扱うことを望む

    2)国家主権や尊厳の問題として、中国は中核的利益を守らなければならない

     

    今回、米中協議が頓挫した理由は、2)の中核的利益=メンツの維持であることが分る。つまり、米中協議の合意事項は法律改定でなく、国務院の条例改正にするかどうかが焦点になろう。

     


    トランプ米大統領は29日、中国の習近平国家主席との会談で当面は対中関税引き上げないことで合意したと述べた。
    以下はトランプ大統領の発言要旨:

     

        少なくとも当面は対中関税を引き上げないと約束

     

        米企業によるファーウェイ向け部品供給継続を認めることで合意

     

        貿易合意が可能か見極めるため残された課題に中国とともに取り組む

     

        協議継続の間、中国は米農産品の輸入拡大へ

     

        中国との通商問題は極めて複雑、合意急いでいない

     


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