勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 日本経済ニュース時評

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    韓国は、日本の半導体輸出手続き規制の撤廃を要求している。その回答期日が、6月1日であった。日本が回答しなかったため、韓国はきょう態度を表明する。GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄などをちらつかせている。日本は、旧徴用工補償案を韓国で成立させることに期待しており、この問題が解決しない限り、規制撤廃には応じない姿勢だ。こういう日韓の方針食違いから、また騒ぎが起こりそうである。

     

    『韓国経済新聞』(6月2日付)は、「韓国の輸出規制撤回要請に返答しない日本」と題する記事を掲載した。

     

    日本から輸出規制の解除を引き出そうとしていた韓国政府の圧力戦略が無に帰した。日本に要請した輸出規制解除の期限が過ぎたが、日本側の立場には変化はなかった。韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)効力停止、世界貿易機関(WTO)提訴など報復措置が考慮される中、韓日関係にまた荒波が押し寄せるのではという懸念が出ている。

    (1)「韓国の産業通商資源部は1日、「日本側から輸出規制措置原状復旧に関連して明確な返答を受けることができなかった」と明らかにした。産業通商資源部は5月12日、日本が問題視する点を補完しただけに日本が韓国に取った3大品目輸出規制とホワイト国(輸出管理の優遇対象国)除外決定を緩和する立場を5月末までに明らかにしてほしいと日本側に通知した」

     

    日本が、半導体輸出手続き規制を行なったのは、韓国の半導体3品目の管理状態が緩いためである。その後、韓国は日本の要求通りに管理組織を強化したから、輸出手続き規制を撤廃せよ、と迫っているものだ。この問題は、管理組織を強化したから「明日から大丈夫」という安易なものでない。高度の専門性ゆえ、習熟するまでにかなりの時間を必要とする。日本が、韓国の要求通りに輸出手続き規制撤廃をできない理由だ。

     


    もう一つ重要な点は、この半導体輸出手続き規制が半導体輸出にブレーキとならなかったことである。韓国政府が胸を張って発言しているとおり、何らの損害も発生していない。実損が出ていなければ、韓国が日本に対抗措置を取る理由はないはずだ。韓国国内でのメンツの問題だけであろう。

     

    日韓で暗黙の了解事項されているのは、旧徴用工補償案を韓国が独自で成立させることである。前国会議長の文氏が、補償案を上程した狙いはここにあった。廃案になったため、この問題は宙に浮いている。韓国は、先ずこの旧徴用工補償案を成立させるべきである。日本側は、補償案が成立すれば輸出手続き規制を撤廃すると内々で伝えている。

     

    韓国は、自らのやるべきことを行なわないで、輸出手続き規制の撤廃だけを要求するのでは、実現が遅れるであろう。それに伴う実損はなんら出ていない以上、韓国の要求の意味は薄いのだ。


    (2)「強硬論者の間では政府がGSOMIA効力停止を通じて日本に対する圧力の程度をさらに高めるべきだという声が出ている。韓国政府は昨年11月、日本の輸出規制問題を解消するために韓日対話の突破口を開く条件でGSOMIA終了決定を一時的に延期しただけに、名分があるという主張だ」

     

    韓国は、GSOMIAの効力停止を再び行なう動きもあるという。昨年10月末の期限前、効力停止か継続かで、米韓は鋭い意見の対立を見た。米国防長官らの首脳が、相次いで訪韓して説得した問題である。最後は、米国の圧力でGSOMIAを継続することになったが、「いつでも打ち切る」という前提条件付きである。韓国は、この前提条件を実現すれば良いという主張で、米韓対立の再燃は必至だ。米中対立が深刻化している現在、GSOMIAの果たす役割は大きい。米国から「何を寝言いっているのか」と一喝されそうな話だ。

     

    (3)「米中間の対立が深まる状況で外交戦に乗り出す場合、韓米同盟にまで影響を及ぼすという懸念もある。韓東大の朴元坤(パク・ウォンゴン)国際地域学科教授は「米国は貿易紛争をはじめ、新型コロナ対応、香港国家安全法問題などで中国と激しく対立していて、対中国包囲網を構築する状況で韓日米安保協力の核心であるGSOMIAの終了を望まないだろう」と述べた。政府は次善策として輸出規制をめぐるWTO提訴も検討しているという。しかしWTO提訴手続きを再開しても輸出規制の原状復旧に対する強力な圧力手段になるかは不透明だ」

     

    韓国は、WTO提訴を復活させるとも言っている。だが、輸出手続き規制によって韓国への輸出が止まった訳でない。安全保障上の理由で輸出手続き規制を行なっただけである。WTOでは、安全保障は別格の扱いだ。こういう状況からみて、韓国のWTO提訴復活は、さらに意義が薄れるであろう。


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    世界経済の牽引車である米国経済に復活の兆しが出てきた。4月が景気の底という見方もあるほど。毎週発表される失業保険の新規申請件数は、4月上旬のピークから46%減った。米国は、防疫面と経済面のバランスを取っており、死亡者数がピークを打ってからすぐに経済再開に向けて動き出している。新規感染者数よりも、死亡者数の減少に焦点を合わせている。長くロックダウンを続けていると、経済困窮が原因で自殺者が増える面も無視できない。そこで、前記のような「バランス論」が登場したもの。

    あえて、米国のケースを取り上げるのは、日本の本格的なコロナ解禁が、6月1日から始まったからである。米国の「アフター・コロナ」を見れば、日本の推測もある程度可能になる。その意味で、この記事は、参考になるように思える。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(5月30日付)は、「米経済、息吹き返す兆し」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルスの感染拡大で米国の経済活動はほぼ停止したが、国民は正常化に向けて慎重に歩み始めている。交通量の増加やスーパーでのパニック買いの減少などはこうした兆しだ。

     

    (1)「ロックダウン(都市封鎖)が数カ月に及んだため、回復にはなお時間がかかる。だが(トランプ大統領が言うところの)「2カ月間のリセッション(景気後退)」の底は恐らく4月だったのではないかと、カナダのBMOファイナンシャル・グループのチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏は指摘する。新型コロナの感染者数が依然増えている州もあるが、米国のほぼ全ての州で経済活動が再開した」

     

    景気の底は4月と見られる。回復スピードは遅い。100%回復は2022年頃というのが、カナダのBMOファイナンシャル・グループのチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏の結論である。最後のパラグラフに記されている。

     

    (2)「位置情報から人の移動を推計する米ユナキャストによると、客足の戻りが最も大きいのは衣料品・アクセサリー店で、趣味・娯楽店が続いた5月に買い物客の増加幅が非常に大きかったのは、アラバマやミシシッピなどの南部の州やサウスダコタなど中西部の州だった。アラバマ州は夏の行楽シーズン到来を告げる5月25日の祝日「メモリアルデー」の3連休にビーチを訪れた人が1年前に比べて71%増え、恩恵を受けた。同じようにメキシコ湾に面しているルイジアナ州などでも客足が増加した」

     

    客足の戻りが最も大きいのは、衣料品・アクセサリー店で、趣味・娯楽店が続いている。ロックダウンによってショッピングの楽しみを奪われていた。それがまず、回復している。アラバマ州では、5月25日の祝日「メモリアルデー」の3連休に、ビーチを訪れた人が1年前に比べて71%も増えている。日本では、「3蜜」で非難されそうだが、米国はおうらかである。

     

    (3)「他人との接触が少ない仕事かどうかも、早期に活動を再開できるかの目安になる。セントルイス連銀が発表した接触度指数では、林業や証券取引業、製造業の一部カテゴリーなどが最も接触度が低い業種に入っていた。実際、長期にわたり閉鎖していたマンハッタンのニューヨーク証券取引所は5月26日に立会場を一部再開し、接触度の低い企業が多いテキサス州では、5月の製造業景況指数が依然マイナスではあるものの、前月比34%改善した

     

    他人との接触度の低いのは製造業である。テキサス州では、5月の製造業景況指数が依然マイナスではあるものの、前月比34%改善した。

     

    (4)「車を運転する人も増えている。米データ会社MS2によると、直近のトラック通行量は前年比5%減にとどまった。4月末時点では13%減だった。米フォーアイズのデータを見ると、5月第3週の全米各州の自動車販売台数は平均で前週比24%増えた。飛行機の航路の追跡サイト「フライトレーダー24」からは、週ごとの平均運航本数が最も少なかった4月中旬より50%以上増加したことがわかる」

     

    これを見ると、人々が「穴蔵」から出てきたことは疑いない。それが、大きなうねりになるかどうかである。これまでの予測では、コロナ感染と同じで、景気回復の第1波の後に落込み、第2波の回復後に落込むという動きが、第3波まであるというもの。ジグザグ模様を描くとしている。手放しの楽観はできないだろう。

     


    (5)「
    米連邦準備理事会(FRB)のエコノミストと米ハーバード大学の経済学者らがコロナ危機の当初にリアルタイムの経済活動を観測するために考案した指標「週間経済インデックス(WEI)」は低下が緩やかになり、ほぼ横ばいになっている。それでもなお、経済が回復するまでには時間がかかるだろう。4月時点の米国の失業者と潜在失業者の数は4300万人以上に上った。公式の失業率は14.%で、世界大恐慌以降で最悪となっている」

     

    現状は、L字型回復になっている。4月時点の失業者と潜在失業者の数は4300万人以上に上った。これだけの被害が出ている以上、V字型の早期回復はあり得ない話だ。

     

    (6)「規制が解除されたからといって、市民が通常の生活に戻っても安心だと感じるわけではない。移動データでは、政府が正式にロックダウンを導入するかなり前から多くの市民が自主隔離していたことが示されており、封鎖の解除後もこの傾向が続く可能性が高い。ポーター氏は「経済活動は今年か来年に100%回復するだろうか。それはないだろう」と話す」

     

    自主隔離している人たちが、完全に動き出さなければ米国経済は回復しない。米国の名目GDPに占める名目民間最終消費(個人消費)比率は、68.01%(2018年)である。米国は自律型経済とされるが、それでもこの遅いスピードの回復である。他国経済が、米国以上の早さで回復するとは考えにくい。


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    中国による香港への国家安全法適用が、国際金融都市・香港の地位に赤信号を灯らせた。米国が、これまで香港へ与えてきた特恵(関税・ビザなど)の廃止方針を打ち出したからだ。本欄は、香港に代わり東京が国際金融都市になる可能性を指摘してきた。現実に、東京が有力候補という報道が現れた。

     

    『朝鮮日報』(6月1日付)は、「1兆ドルの資金が香港脱出準備、シンガポール・東京が新たな金融ハブ狙う」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国が香港に対する特別待遇の剥奪する方針を示したことで、1兆ドル規模のアジアの金融ハブの座を巡るアジア各国の競争が激しさを増すとみられる。米中対立の真っ只中にいる香港では最近、人材だけでなく、資本が大規模に離脱する「ヘクシット」の兆候が見られる。香港は1兆ドルもの投資資金が集まっている場所だ。英中央銀行のイングランド銀行によると、昨年6月の香港民主化デモ以降、6兆ウォンを超えるファンドマネーが香港から引き揚げられた。金融街からは「ヘクシットの地獄の門が開き始めた」との評価が聞かれる」

     

    香港が、ニューヨーク、ロンドンと並んで国際三大金融都市であるのは、「一国二制度」と米国による香港への特恵。それと、香港が中継貿易地点であることだ。香港の貿易額の対GDP比は300%を超えて世界一である。こういう条件によって、香港は国際金融都市の活躍が可能になった。今回の香港国家安全法適用は、米国による香港への特恵を奪い、香港に国際金融都市の座を不可能にさせる。

     

    (2)「1992年に米議会が「香港政策法」を制定した際、香港はアジアで自由経済が最も理想的に具現されている場所だった。同法を通じ、香港には米国の敏感な技術へのアプローチが認められ、米ドルと香港ドルの自由な交換など中国本土とは差別化された経済貿易特権が与えられた。その結果、世界の100大銀行のうち70行余りがアジアの拠点を香港に置くほど、世界的な金融ハブとしての競争力を備えるようになった」

     

    世界の100大銀行のうち70行余りが、アジアの拠点を香港に置いている。これは、世界2位のGDPとなった中国情報をいち早く得られるというメリットあってのことだ。それに、香港が中継貿易で世界一に伴う国際金融が活発であるという実需も背景にある。中国人民元取引は、香港のオフショア市場で自由に行えるというメリットもある。

     


    (3)「米国が香港に対する特別待遇の撤回に公式に言及し、中国が「国家安全法」という猿ぐつわまでかませたことで、香港の都市競争力は大幅に低下する可能性が高まった。3月に英国の世界的な金融コンサルティンググループ「Z/Yen」が世界108都市の金融競争力を算出して発表した「国際金融センター指数(GFCI)」で香港は6位にとどまり、昨年より3ランク後退した。香港より順位が低かった東京、上海、シンガポールが香港を抜き去った。世界的な信用格付け会社、ムーディーズは今年1月、香港の信用格付けを1段階Aa2Aa3引き下げた。香港に対する特別待遇が剥奪されれば、1ドル=7.757.85香港ドルに為替レートを固定するペッグ制が脅かされ、金融市場が不安になる可能性も指摘されている

     

    最新の「国際金融センター指数」で、東京はニューヨーク、ロンドンに次いで3位へ浮上しているようだ。香港が6位へ後退していることは、香港の民主化運動で金融業務が阻害されかねないという事情もあろう。香港にとっては、気の毒である。民主化運動は、当然の権利行使であるからだ。「一国二制度」の廃止は、香港の政情を一段と不安定にさせる。その意味でも、香港が国際金融都市の座を維持できる背景を失ってきた。

     

    香港ドルが、ペッグ制(固定相場)で米ドルに繋がっていたことは、中国人民元にメリットである。このつながりが切断されれば、最大の被害者は中国となろう。中国は、米国による香港への特恵廃止で報復すると虚勢を張っているが、「引かれ者の小唄」に過ぎない。

     

    (4)「法律、英語、税制など香港の持つあらゆる長所を兼ね備えたシンガポールは香港に代わる存在として浮上している。シンガポールの法人税は17%で香港(最高16.5%)とほぼ同じ水準だ。東京も積極的だ。昨年末に日本政府関係者が大挙香港を訪れ、投資会社に税金の減免などさまざまな優遇を提示した。東京はニューヨークに次ぐ世界2位の株式市場を持ち、世界3位の経済大国・日本の首都という地位を前面に掲げる」

     

    シンガポールの利点は、中継貿易が香港に次いで盛んなことである。法人税率も17%と定率である。東京は、都知事の小池氏が先頭に立っている。日本政府と連携して、香港に代わる国際金融都市に昇格できれば、日本経済の構造改革に大きく寄与する。さらなる国際化の進展である。雇用も増える。

     


    (5)「上海は、世界最大の市場中国に対するアクセスという点ではライバルを寄せ付けない。株式市場の時価総額もニューヨーク、東京に次ぐ3位だ。しかし、こうしたライバル都市が香港に取って代わるにはまだ力不足だとの意見も存在する。中国に対するアクセス、英語人材、資本市場の発達程度などで香港がまだ相対的優位にあるからだ」

     

    上海は、国際金融都市になる基本条件を欠いている。人民元取引に多くの制約がかかっているからだ。管理変動相場制、資本自由化が行なわれていない、情報管理で自由な通信が行えないなど。これでは、国際金融都市になれるはずがない。

     

     

     

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    韓国は、これまで新型コロナウイルスの治療で効果を上げたと、国を挙げて勝利感に酔ってきた。その後、ソウルで集団感染が発生して一時の勝利感は消え失せている。首都圏で物流センターなどを中心に新型コロナウイルス感染者が増えているのだ。29日一日の新たな感染者は39人。防疫当局は、首都圏の感染拡大を防ぐため5月29日から6月14日まで首都圏に限り公共施設の閉鎖を継続する予定だ。

    この緊急事態は、日本にとっても他人事ではない。油断をすると逆戻りするリスクと隣り合わせである。そのように自戒しつつも、韓国におけるこれまでの「コロナ勝利感」は並外れていた。

     

    文政権支持メディアの『ハンギョレ新聞』(5月21日付)は、次のように報じて日本を侮辱していた。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応の過程で立証された開放性、民主性、透明性など、韓国社会の力量は日本のそれを上回る」と書き記したのである。

     

    この傲慢な論調を咎める発言が、飛び出してきた。韓国国立外交院の金峻亨(キム・ジュンヒョン)院長は5月28日、韓国における新型コロナ防疫の成果について、「いわゆるクッポン(自国の文化を自慢して悦に入ること)に陥らないためには、行き過ぎた期待や傲慢(ごうまん)は捨てるべきだ」「防疫に成功したのは偶然ではないが、われわれに全てを可能にさせる機会とはならない」と指摘した。クッポンとは国家とヒロポンを合わせた合成語で、行き過ぎた愛国主義を意味する。以上は、『朝鮮日報』(5月29日付)が伝えた。

     

    『ハンギョレ新聞』は、今になって見ると、「しまった」と恥じ入っているだろう。防疫対策の基本は、全数調査つまりPCR検査数を増やせば、それで良いのではない。クラスター対策こそ防疫対策の基本である。日本のメディアでさえ、こうした認識を持たず、「韓国を見習え」と絶叫していた。防疫対策でも、原理原則に従うことが肝心なのだ。

     

    日本の防疫対策を「模範」とする見方が出てきた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月30日付け)は、コロナ対策、日本が『手本』、ドイツ第一人者が指摘、戦略転換も」と題する記事を掲載した。

     

    ドイツの著名なウイルス学者であるシャリテ大学病院のクリスティアン・ドロステン氏が28日、日本の新型コロナウイルス対策を「近い将来の手本にしなければならない」と語った。一部の感染者から多くの感染が広がっている現象に注目し、日本のクラスター(感染者集団)対策が感染の第2波波を防ぐ決め手になりうるとの考えを示した。

     

    (1)「ドロステン氏は、新型コロナの検査の『最初の開発者』(メルケル首相)とされ、ドイツ政府のコロナ対策にも大きな影響力がある。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の共同発見者としても知られるウイルス学の第一人者だ。ドイツではドロステン氏が連日配信するポッドキャストの人気が高い。同氏は28日の放送で「スーパースプレッディング」と呼ばれる一部の感染者から爆発的に感染が広がる現象を取り上げ、これを防ぐためには対策の修正が必要で、日本の対応に学ぶ必要があるとの考えを示した」

     

    日本の防疫対策の専門家は、WHO(世界保健機関)に勤務した経験者が多く、その対策で手抜かりのあるはずがなかったのだ。WHOの第4代事務局長は、日本出身の中嶋宏氏である。1988~1998年と10年間、その職にあった。WHOの運営に貢献してきた国である。それが、韓国から罵倒されるほど酷い防疫対策をするとは思えないのだ。韓国の甚だしい思い上がりと言うべきであろう。

     

    (2)「ドロステン氏は、日本がほかのアジア諸国と比べれば厳格な「ロックダウン」なしに感染を押さえ込んでいると指摘。ひとたびクラスターが見つかれば、検査よりも先に関係者全員を隔離することが戦略の「核心」になっていると説明したもともとドイツは、多くの検査で新型コロナを封じ込めた韓国を対策の参考にしてきた。日本の対策は分かりにくいとの声が強かったが、英語での情報発信が最近増え始めたこともあり、注目が高まりつつある。

     

    日本の対策は分かりにくいと評されたのは、メディアなどの非専門家の野次馬集団が、政府を攻撃していたからであろう。どれだけ間違えた発言が多かったか。今、振り返っても赤面する人たちは多いはず。素人は、口出しせずに専門家の意見を尊重することだ。

     

    ドイツは、ヨーロッパでコロナ対策の模範国とされている。そのドイツ専門家が、日本のクラスター対策に注目している。日本は、これまでの対策に自信を持ち、足りなかった部分を強化すれば万全の対策となる。

     

    (3)「ドイツは検査数や病床などの医療体制で日本を上回り、ほかの欧州諸国と比べれば死者数も低く抑えている。ただ、感染の第2波を避けながらいかに正常化を進めるかが課題で、日本のクラスター対策やスマホアプリを使った追跡など、新たな対策を取り入れようとしている」

     

    日本も気を緩めず、コロナ第二波、第三波に備えなければならない。最終的には、コロナ犠牲者を一人でも減らすことだ。日本で、人工呼吸器治療を受ける患者の7~8割が、生還している。米国では、その生還率が1割という。日本は患者への初期対応が良く、生還率を高めているというのだ。以上は、日本医師の証言である。米国医師も、横浜での大型クルーズ船感染者治療に参加して、日本の医療技術の高さに舌を巻いていた。このことは、すでに本欄で報じた。


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    中国による香港への国家安全法適用決定は、大きな波紋を呼んでいる。自民党外交部会は、香港国家安全法適用を非難決議した。同時に、習近平国家主席の国賓訪日の再検討を政府に申入れている。

     

    欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は5月29日、中国が反体制活動を禁じる「香港国家安全法」導入を決定したことに、EUは「深く懸念している」と述べ、EU外相理事会が対中戦略の厳格化で合意したことも明らかにした。米英両国は、中国が香港の統制強化に向けた「香港国家安全法」導入を計画していることで、29日の国連安全保障理事会に非公式に提起する方針。中国の香港国家安全法適用は、国際問題化している。

     

    中国は、香港国家安全法適用決定で世界の三極である、日本、EU、米国から非難される事態に直面した。コロナのパンデミックで世界中へ被害をばらまく一方、さらに香港の自由弾圧の懸念により、厳しい局面に立たされた。中国民族主義が、国際法拒否という破天荒な行動に出た結果、今後の中国外交には茨の道が待っている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月29日付)は、「習氏の国賓来日『再検討を』自民部会、香港巡り非難決議」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「自民党の外交部会と外交調査会は29日、「香港国家安全法」の制定方針を採択した中国を非難する決議文をまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大で延期した習近平国家主席の国賓来日も再検討するよう政府に求めた。中山泰秀外交部会長らはその後、首相官邸で菅義偉官房長官と会談し、決議文を手渡した。菅氏は「真摯に受け止めたい」と語った。

     

    自民党の外交部会と外交調査会が、合同で「香港国家安全法」を採択した中国を非難した。同時に、習近平氏の国賓来日も再検討するように政府へ求めている。管官房長官は、「真摯に受け止めたい」と回答した。日本が、国賓来日時期を先延ばしにする案もあろう。もともと、自民党の一部には、習氏の国賓に反対する意見があった。

     


    (2)「決議文は香港への統制を強める中国に「自由と民主主義を尊重する観点から重大で深刻な憂慮」を表明した。「民主的な議会などの価値を減殺しないよう強く求める」とも明記した。新型コロナの感染拡大のさなかの動きに「由々しき事態であり決して看過できない」と訴えた。習氏の国賓来日は「再検討も含め、政府において慎重に検討することを要請する」と盛り込んだ

     

    下線部分には、国内で共鳴する向きもあろう。中国発症のコロナ禍で、経済も生活もメチャクチャになっている現状から言えば、こういう時期に習氏がどんな顔をして訪日するのか。世界的にも注目される動きだ。今秋に予定されているEU・中国首脳会談は延期の方向で検討されている。日本でも、習氏の国賓訪日に延期論が強まろう。

     

    『ロイター』(5月30日付)は、「EU、中国の香港法制『深く懸念』対中戦略厳格化で合意」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は29日、テレビ会議形式で実施された外相理事会後の記者会見で、香港国家安全法の導入は香港の高度の自治を認める「一国二制度」が阻害される「深刻なリスク」と指摘。「EUと中国の関係は相互の尊重と信頼に基づいているが、今回の決定はこれに疑問を呈するものだった」とし、「香港の自治は大幅に弱体化された」と述べた」

     

    なにやら、天安門事件(1989年)の虐殺に抗議する雰囲気に似てきた感じだ。「EUと中国の関係は相互の尊重と信頼に基づいているが、今回の決定はこれに疑問を呈するもの」は、外交的に最大級の非難であろう。EUにとって、「自治」とは市民社会と同義語である。市民社会弾圧は、EUとして絶対に見逃せない暴挙だ。

     

    中国は、「内政干渉」というお決まりの言葉で反論しているが、価値観の根本的な相違を浮き上がらせている。天安門事件での民衆虐殺と相通じる香港国家安全法の適用は、中国がいかに危険な国家であるかを示している。

     


    (4)「EU各国外相は、中国が香港の自由を制限しようとしていることに「深刻な懸念」を示し、対中政策の厳格化で合意したと表明。「中国とオープンで率直な対話を行う必要があり、EUにはその用意がある」としながらも、市場アクセスなどを巡り「交渉は進展していない」と述べた。各国政府はその後、ボレル上級代表の発言内容を反映した声明を発表。全人代の決定は「中国が国際的なコミットメントを順守するのか、一段と大きな疑問を呈するものだった」とした。英、米、オーストラリア、カナダの4カ国は28日、全人代の決定を非難する共同声明を発表している」

     

    EU各国政府は、「中国が国際的なコミットメントを順守するのか、一段と大きな疑問を呈するものだった」と非難している。当然のことだが、こういうEU各国政府の声明が出た手前、日本は習氏の国賓訪日を先送りすることが賢明であろう。

     

    (5)「EUの執行機関である欧州委員会は来月、公開入札への中国のアクセスを制限する方法などに関するガイドラインを策定する見通し。また、9月14日にドイツのライプチヒで開催される予定のEU・中国首脳会議について、独外交筋は延期される可能性があると示唆。独政府報道官はこの件に関するコメントを控えている

     

    9月に予定のEU・中国首脳会談は延期される可能性があるという。当然だ。日本も参考にしなければなるまい。


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