勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 日本経済ニュース時評

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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    日韓は友好関係でない

    日韓断交を待つ文政権

    GDPの急減速は必至

    長い目で韓国衰退待つ

     

     

    韓国の文在寅大統領は、山積する日韓問題解決に動き出そうとしません。じっと無関心を装っています。韓国大法院(最高裁)の旧徴用工への賠償問題は、日韓基本条約で解決済み。日本が、さらなる賠償責任を負うのは筋違いです。文氏は、司法の判断であるので、韓国政府がタッチすべきでないという形式論を振りかざすだけです。

     

    この問題は、過去にも韓国の裁判所で取り上げられ、韓国政府に賠償金支払いを命じています。こういう経緯から言っても、韓国政府に支払い責任があります。日本は日韓基本条約締結の際、「経済協力金」で支払っているのです。

     

    文氏は、韓国大法院の判決ですべての責任は日本企業にあるとしています。弁護士出身の文氏が言う言葉ではありません。国際法をどのように理解しているのか。文氏の法律知識が、試されてもいるのです。

     

    日韓は、こうした旧徴用工賠償金問題を筆頭に多くの問題を抱えています。日韓慰安婦問題の実質的破棄、海上自衛隊哨戒機をめぐる問題などいずれも未解決のままです。

     

    日韓は友好関係でない

    日韓は、米国を介して友好国の関係にあります。だが、韓国は日本をもはや友好国扱いしないという事態が持ち上がっています。韓国国防部が、海上自衛隊哨戒機に対して「敵機」同様の警報を出すと通告しました。日章旗を付けた海上自衛隊哨戒機へ、レーザー光線を投射して警告するというのです。ことの経緯は、次の通りです。

     

    昨年12月20日、日本海で海上自衛隊哨戒機に対して韓国駆逐艦が、何の予告もなく追跡レーダー照射した問題が発端となりました。韓国側はこの事実を頑強に否定し、逆に日本側が韓国艦艇を低空で威嚇したとして、非難の矛先を日本に向け双方が非難の応酬となりました。

     

    日本側は低空による威嚇飛行はしていない。国際法に則った飛行であると指摘、過去にも他国から非難されたことはないと主張しました。だが、韓国は証拠なるものを提示して日本を批判しました。この韓国側の証拠なる映像は、日本の公開した映像をねつ造して、あたかも新証拠のように見せかけたもので新たなる批判を呼びました。

     

    ところが最近、新たに判明した事実があります。韓国紙『ハンギョレ』(4月22日付け)が報じたものです。

     

    国防部関係者は、「1月23日、駐韓日本大使館武官を呼び、日本の哨戒機が再び近接飛行で韓国の艦艇を脅かした場合、追跡レーダーを稼動する前に警告通信をすると警告した」と明らかにしました。どこまでが近接飛行に該当するかは説明しなかったのですが、日本の哨戒機が韓国の艦艇から3海里(約5.5キロメートル)以内に接近すれば警告通信をするとのことです。日本は、友好国に向けた韓国の火気管制レーダー稼動は、国際慣例にも反するとして撤回を要求しました。韓国国防部は、主張を譲らなかったと伝えられています。

     

    日韓はこの事実から、国防関係で友好国関係でなくなったことが分かります。日章旗をつけた海上自衛隊哨戒機でも火器管制レーダーを浴びせられる事態は異常と言うべきでしょう。韓国政府がここまで日本に対して「敵対的行為」に出てきた結果、日本側は今後、どのような対応をするのでしょうか。

     

    日本政府が4月23日に発表した今年の『外交青書』では、次のように指摘しました。日韓関係が「韓国側の否定的動きが相次ぎ、非常に厳しい状況に直面している」と主張しました。その具体的な事例として、次の4点を上げています。

    1)韓国最高裁(大法院)の旧徴用賠償判決

    2)和解・癒やし財団(日韓慰安婦問題)の解散発表

    3)海上自衛艦の旭日旗掲揚問題

    4)海上自衛隊哨戒機の低空飛行問題

     

    日韓断交を待つ文政権

    この4つの問題を上げただけで、日韓関係が冷却化していることは疑いもありません。ここで、1)の旧徴用工賠償で韓国側が日本企業の在韓資産を差し押さえる事態になった時、何が起るのかです。まさに、「パンドラの箱」を開ける事態となります。日本政府はこれまで、韓国政府に話合いを申入れてきましたが、応じていません。話合いもせずに、強硬手段に出た場合、日本は「断交」という最悪手段をとる可能性も取り沙汰されています。

     

    実は、文政権はそれを待っている節があります。韓国国内を「反日」一色に染めてしまい、国内失政による文政権批判をかわす。来年の総選挙で与党勝利に導き、次期大統領選でも現政権の継承を実現する構想です。これにより、南北統一に向けた「一国二制度」に持ち込むという青写真です。(つづく)

     

     


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    あと一週間で平成が終わる。「令和」の時代がどうなるか。誰も正確に予測できるはずもないが、平和で穏やかな時代であって欲しいと願うだけだ。経済的には失業率が高くならず、自由に職業が選べる時代が続くこと。これが、国民にとって最高の幸せと言うべきだろう。

     

    こういう素朴な願いを否定するような論調が、韓国メディアに登場した。日本の「令和」の和が、「昭和」の和であるから戦争を始めるという、噴き出すような議論だ。日本の人口と財政状態を考えれば、戦争を仕掛ける余力はない。第一、「憲法9条」は永遠に守られるはずだ。

     

    『韓国経済新聞』(4月24日付け)は、「幕上がる日本の令和時代」と題するコラムを掲載した。署名はない。

     

     (1)「隣に住む韓国人も首をかしげるほど日本は理解するのが簡単ではない国だ。「王が時間を支配する」という前近代的観念から始まった年号を継続する唯一の国という点からしてそうだ。英語で「emperor(皇帝)」と表記する唯一の対象も日本の天皇だ。こうした姿は徳川幕府が成立した17世紀以来綿々と受け継がれてきた身分社会の伝統を反映している。明治維新直前である江戸時代(1603~1867年)の日本は士農工商だけでなく、支配層である武士階級内でも身分差別が厳格だった。下級武士は道で上級武士に会えば靴を脱ぎ道端に伏して礼を示さなければならなかった。話せない差別を体験した下級武士の身分上昇に対する欲求は『尊皇壌夷』の旗印を掲げた明治維新の重要な動力になった」

    このコラムを読んで最初の感想は、日本の歴史に通じていない筆者を想像した。江戸時代は封建時代であり、近代化への揺籃期である。江戸時代の天皇制と幕府の二本立てが基盤になって、明治維新による制度改革が実現した。朝鮮には封建時代がなかった。李朝による専制時代が、日本によって近代化へ導かれた。それが、日韓併合の歴史的な意義である。韓国は嫌でも、この歴史的な事実を認めなければならない。

     

    元号は、前近代観念であると冒頭からの日本批判である。これは、古き伝統を守るという日本人の意識を反映している。現実は、元号と西暦が併存している。だから、元号の存在だけで日本を否定しようというのは偏狭すぎる議論だ。

     

    元号は、天皇制と結びついている。だが、現在の天皇制は国民統合の象徴である。平和のシンボルだ。こういう意味の元号が、なぜ韓国メディアによって批判されるのか。根拠が余りにも薄弱である。もはや、天皇制は身分社会の象徴ではない。平和と平等の象徴である。

     

     (2)「新しい近代を開くという『維新』と『天皇制』はそれ自体で矛盾的にならざるをえなかった。日本の政治家らは20世紀中盤まで『天皇は現人神(人の姿をして現れた神)』と主張し、こうした時代錯誤は太平洋戦争という惨禍を呼んだ。敗戦した裕仁天皇が1946年1月1日に自身の神格を否定するいわゆる「人間宣言」を発表した後、日本人は自分たちが使っている仮面を認識し始めた」

    明治維新において天皇制の果たした一定の役割を理解する必要がある。諸藩がまとまり、「日本」という近代国家を形成する役割を果たしたのだ。当時の世界情勢は、列強の植民地争奪の時代であり、日本もその加害者になったことは認める。ただ、天皇制と植民地を直接結びつける議論は乱暴であろう。昭和史において天皇は戦争抑止に動いているからだ。

     


    (3)「 裕仁天皇の後を継いだ明仁天皇は『平和を成し遂げる』という意味の平成を年号に使ったおかげか「近現代史で初めて戦争を経験しなかった時代」を率いた。明仁天皇に続き来月1日に即位する徳仁皇太子は1960年生まれで初の戦後世代だ。低姿勢で人気を得た徳仁時代の年号に安倍首相は『令和』を選択した」

    元号には、時代を左右する力はない。このコラムの筆者は、元号の存在を強く批判しながら一転して、元号に時代を左右するような「霊験」を認めている。これは、中国古来の「風水」的な占いの世界である。日本には、風水信者はいない。

     

    「平成」という時代が、戦争に巻き込まれなかった。それは、敗戦の教訓(憲法9条)が生き続けている結果である。また、日米安全保障条約によって、尖閣諸島を侵略しようという外部勢力の野望を抑止した面も大きい。

     

     (4)「 令和の「和」が太平洋戦争を起こした裕仁天皇の年号である昭和の『和』のように右傾化の意志を込めているという周辺国の疑いも大きい。ここに息子がいない徳仁皇太子の状況も大きな変数だ。韓国が過去史にしがみつき時間を無駄にするには日本国内の変化がとても急なようだ」

     

    このパラグラフになると、韓国の話を始めたと思うほど混乱している。「令和」の和が、「昭和」の和で同じという指摘は、完全に風水=占いの世界である。「和」という言葉が、日本で大事にされるのは、聖徳太子の憲法17条の第1条に出てくる「和を以て貴しと為す」の意味である。民主主義の原点に通じる言葉である。

     

    昭和20年の敗戦後は、戦争と無縁である。韓国メディアは、日本の歴史を深く知ろうとせず、韓国に都合のいいところだけつまみ食いした日本批判に終わっている。日本の近代史を知れば、韓国の弱点が分るはずだ。韓国にノーベル科学賞受賞賞が一人もいない背景は、物事を合理的に究明せず、このコラムのような噂話で時間を費やしている結果であろう。


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    独立国家は、固有の権利として自衛権が認められている。この理屈に基づけば、海上自衛隊の艦船に、日本政府が認めた旭日旗を掲げるのは当然のこと。韓国は、この日本固有の権利に対して不条理にも反対してきた。かつての応戦国の米国は、日本の旭日旗を受け入れてきたのだ。

     

    中国主宰の国際観艦式において自衛艦に旭日旗がはためくことで、韓国の旭日旗反対論が国際的な根拠を失った。まさに、コペルニクス的大転回である。私は好戦論者でないが、独立国家には自衛権が存在する。それは、個人に基本的人権が存在すると同じ理屈だ。

     

    『朝鮮日報』(4月24日付け)は、「中国海軍70周年観艦式にはためく旭日旗 中・日の雪解けアピール」と題する記事を掲載した。

     

    中国人民解放軍海軍の創設70周年を迎えた23日午後、中国・青島港の埠頭(ふとう)で海軍儀仗隊を検閲した習近平国家主席は海上での閲兵のため、ミサイル駆逐艦「西寧」に乗船した。習主席が青島沖に出て、海上閲兵式の開始を命令すると、原子力潜水艦、超大型駆逐艦、空母などに乗った部隊員が「主席好!(主席、こんにちは)」と叫んだ。

     

    (1)「中国海軍に対する閲兵が終わると、韓国、ロシア、インドなど13カ国の海軍艦船18隻が参加した観艦式が始まった。参加した艦船には日本の海上自衛隊の5000トン級護衛艦「すずつき」も含まれている。船首に日章旗、艦橋に中国の五星紅旗を高く掲げたすずつきの船尾には旭日旗が翻っていた。自衛隊艦船の中国訪問は、両国関係が断交直前まで悪化した尖閣諸島紛争の前の2011年以降8年ぶりだ」

     

    自衛隊艦船の中国訪問は、8年振りである。しかも、日章旗と旭日旗を掲げてのごく普通の状態で青島沖を航行した。ようやく日中戦争の傷跡を乗り越えた証でもあろう。

     

    (2)「日本は2009年に行われた初の国際観艦式にも参加せず、08年と11年に中国を訪問した自衛隊艦船は旭日旗を掲げなかった。四川大地震に対する支援物資を輸送した08年には中国の世論を意識し、日章旗すら掲げなかった。ところが、今回は中日戦争(日中戦争)で日本軍の陸戦隊が上陸した青島の沖で日本の艦船が80年余り前と同じように旭日旗を掲げ、中国の最高指導者の前を堂々と航行した」

     

    中国が、旭日旗を受け入れたのは国際情勢の変化もある。自らが外交的に孤立の恐れが強まっている中で、隣国日本の自衛艦を受け入れることは「友邦国」というシグナルであろう。また、中国自身の傷跡の整理ができたというメッセージを日本に送ったとも言える。

     

    韓国の場合は「友邦国」でありながら、旭日旗を拒否する。中国の旭日旗受け入れ論から言えば、日本が友邦国でないという証明であろう。やむを得ないことだが、日本は受け入れて韓国を友邦国扱いすることを断念することだ。

     

    『中央日報』(4月22日付け)は、「中国に旭日旗掲げた自衛隊艦艇入港、日中関係改善をアピール」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国人民解放軍海軍創設70周年を記念する国際観艦式が23日、青島沖の西海(ソヘ、黄海)海域で行われる。 日本は海上自衛隊所属の5000トン級護衛艦「すずつき」を派遣した。21日に青島に入港した『すずつき』は、1889年日本海軍旗に指定された旭日旗を掲揚した。最近、記者会見で海上自衛隊報道官は「旭日旗掲揚に問題があるという話は聞いていない」とし、中国側の阻止がなかったことを示唆した。2008年と2011年に自衛隊艦艇が中国を2度訪問した当時は、世論を懸念した日本側が旭日旗を掲揚しなかった」

     

    中国が、旭日旗に異論を唱えなかったのは、日本を必要とする国際情勢になっていることの証明であろう。問題があれば、日本を国際観艦式に招待するはずもない。韓国は、日本を招待しながら、旭日旗不掲揚という条件を付けた。失礼な「招待」である。日本が断ったのは当然である。

     

    (4)「中国ネットユーザーも旭日旗掲揚を問題視するような雰囲気ではない。『中国は米国と同じ戦勝国』としながら『米国人が、日本がどんな旗を掲揚しようが意に介さないのに、なぜ中国が敗戦国のように敏感になるのか』という反発も登場したと香港紙『明報』が紹介した。今回の中国国際観艦式に韓国がクォン・ヒョンミン海軍参謀次長(中将)を代表団長として派遣することとは違い、日本は制服組トップの山村浩・海上幕僚長を派遣して日中関係改善をアピールする」。
     
    中国ネットユーザーは、旭日旗掲揚を問題視する意見もなかったという。韓国とは大違いである。この『中央日報』は、率先して反対論に立った。韓国の「旭日旗反対」教授と業務提携しているような過熱ぶりだった。どんな思いで、この記事を掲載しただろうか。記者の心情を思うと複雑であろう。


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    中国は、「大言壮語」が好きな民族である。2050年をメドに米国から覇権を奪というトップ・シークレットを公然と発表したほど。奪われる側に立つ米国が、いかなる反応をするか無頓着である。習近平氏の不用意な「世界覇権論」発言が、今回の米中貿易戦争を招き、結果的に大損を被ることになった。

     

    「一帯一路」もその傾向が強い。現代のシルクロードを海と陸で開拓すると壮大なことを始めたが、肝心の経常黒字が先細りになっており、今年は赤字が見込まれている。経常赤字では、経済の論理から言っても対外投資を継続不可能にさせる。しかも、相手国が返済不可能であることを承知の「債務漬け」にして担保を取り上げ悦に入ってきた。この「焦付け債権」発生は、対外投資戦略では落第なのだ。

     

    これから、中国は経常赤字という緊急事態に直面し、「一帯一路」で日本の支援を仰がなければならない羽目になっている。愚かというか、先が見えないというか。ともかく、やることすべてが大雑把で問題を起こしている。はっきり言えば、幼稚な振る舞いである。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月23日付け)は、「日本の静かな『一帯一路』、 中国を上回る成果」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の巨大経済圏構想『一帯一路』に関する報道は絶え間なく伝えられている。しかし、中国政府の対外投資戦略の中核を成す同構想は幾つかの点で、日本の静かな取り組みに後れを取っている。国際通貨基金(IMF)によると、2016年末には日本と中国の海外資産保有額がほぼ同水準となったが、それ以降は日本の対外投資が中国を数百億ドルも上回っている。日本の海外資産保有額は2018年第3四半期時点で1兆6670億ドル(約187兆円)だが、IMFの入手可能な最新データによると、中国は同年第2四半期時点で1兆5420億ドルだ。この差は、日本政府の国際融資拡大のまずまずの成功と、中国の『一帯一路』の限界を示すものだ

     

    中国経済の特色は、膨大な人口だけである。その人口が、合計特殊出生率の低下とともに、急速な生産年齢人口比率の低下に直面している。要するに、潜在成長率の低下である。こうなると、中国経済は「のたうち回る」惨状を呈するほかない。その認識が、中国最高指導部になく、従来通りの「高望み」の立場に固執している。

     

    日本の海外資産保有額は、昨年第3四半期で中国に対して1250億ドルの差を付けている。これは、日中の経常黒字の差を表している。今後は、さらに日中の差が開いてゆくはずだ。

     


    (2)「中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、日本と米国が中心のアジア開発銀行(ADB)に対抗する機関だが、2016年の発足以降の融資は控えめであり、2018年9月までの融資残高は64億ドルにとどまっている。これとは対照的にADBは2018年だけで358億ドルを融資している。2年前に比べると40%増だ。

     

    中国が、AIIBを設立したり「一帯一路」計画を発表したのは、2014~15年の経常黒字がピークに達していた頃である。この状態が、恒常的になるものと錯覚した結果だ。その後、経常黒字は減少に転じている。中国国内の貯蓄率低下を反映したものだ。こういう点の予測も満足にできなかった点で、中国の経済運営能力に大きな疑問符がつく。

     

    (3)「さらに、『一帯一路』は人民元の国際化を図るという一面を持つが、これまでのところ国際的な融資は圧倒的にドル建てが占めている。実際のところ、日本は自国通貨の海外での利用促進について中国よりうまくやっているように見える。国際取引において円は世界第3位の通貨で、2019年2月の時点での比率は4.35%だった。ドルとユーロには遠く及ばないものの、人民元の1.15%は大幅に上回っている。そして過去数年、人民元の比率はほとんど拡大していない。さらに人民元を使用した国際取引の大半は香港で行われている」

     

    中国は、人民元をIMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)に昇格させたくて、IMFに実現不可能な約束をした。資本自由化と自由変動相場制への移行である。実行する気持ちがなく空手形になったままだ。これが、国際取引における人民元の比率を1%台に釘付けにしている。GDPでは、中国の規模が日本をはるかに上回るが、国際取引では日本の後塵を拝している。

     

    この状態は今後、どうなるだろうか。中国経済がジリ貧状態に落込むので、国際取引で日本を上回ることは考えにくい。もっとも、経済政策が市場経済化すれば状況は変るとしても、その可能性はきわめて低いであろう。中国経済は、習近平氏の登場で衰退を早めると見る。

     

     

     

     


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    韓国の文政権は、平等社会をつくるという理屈で、2年連続で最低賃金の大幅引上げを行なった。その結果、生産性上昇とのバランスを欠いて韓国経済は失速状態へ直面している。

     

    この最低賃金の大幅引上げは、大企業労組の賃金引き上げの口実に使われた。本来は、零細企業で働く勤労者の生活向上を図るべき目的が、逆に解雇の理由となる事態を招いている。

     

    ここに驚くべきデータが発表された、韓国の大企業と中小企業の賃金格差は、何と日本の3倍もあるというのだ。韓国では大企業労組が高賃金を得る一方、そのしわ寄せが中小企業の賃上げ原資たるべき利益を大企業が吸い上げているのだ。こうなると、大企業の労使は、共謀して中小企業の労使を食い物にしている構図である。

     

    文大統領は、道徳主義者である。自分が絶対に正しく、間違っているのは相手であるという論法だ。この理屈は、日韓関係でも存分に使われている。日韓関係を破綻の淵に追い込んでいるが、国内でも中小企業の労使を低収益・低賃金で追い込んでいる。

     


    『朝鮮日報』(4月21日付け)は、「韓国の大企業・中小企業間の賃金格差は日本の3倍」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の大企業と中小企業の平均賃金の格差が、最高で日本の3倍に達することが分かった。韓国中小企業研究院が22日に発表した「韓国と日本の大企業・中小企業間の賃金格差の比較分析」と題するリポートで明らかになった。

     

    「これによると、韓国では従業員14人規模の零細企業の月平均賃金は、大企業よりも360万2000ウォン(約36万円)低かった。日本では同じ企業規模で比較すると、賃金格差が118万5000ウォン(約11万8000円)だった。これは、韓国では従業員10人以下の零細企業の平均賃金が日本より低いからだ」

     

        従業員14人規模の企業

    韓国の月平均賃金         日本の月平均賃金

    約17万5000円        約22万7000円  

    韓国は、日本より約5万2000円低い

     

        従業員59人規模の企業

    韓国は日本に比べ約8000円低い

     

        従業員500人以上の規模

    韓国の月平均賃金         日本の月平均賃金

    約53万5000円        約34万5000円

    韓国は日本に比べ約19万円高い

     

        従業員100~499人規模

    韓国が日本より平均約7万1000円高い

     

        従業員10~99人規模

    韓国が日本より平均約1万7000円高い

     

    日韓の賃金比較が今、初めて明らかになった。多くの読者が愕然とされたのでなかろうか。大企業の賃金は、日本の方が高いと思い込んでいたであろう。実は、逆である。これは韓国企業の生産性が高い結果でなく、労組の賃上げ闘争力の違いである。韓国は「労働貴族」と言われている。となると、日本はさしずめ「労働平民」であろうか。

     

    問題は、韓国大企業が内部蓄積できず、不況抵抗力がきわめて弱いことだ。迫り来る経済危機に耐える力は極端に落ちている。端的にいえば、売上高営業利益率の低下である。現代自動車は2%台へ落込んでいる。トヨタ自動車は7%台。現代自は労組に高い賃金を払っているのでこの始末である。

     

    この韓国が、経済危機に陥ったとして日本へ支援を求めてくれば、日本はどうするのか。お断りする以外にない。自主的に賃金体系を見直せない韓国に、援助の手を差しのべるわけにいくまい。


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