勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 日本経済ニュース時評

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    世界的な投資家として知られるジム・ロジャーズ氏が、相変わらずの「日本批判・韓国絶賛」を続けている。日本中で講演したり、雑誌インタビューに答えているのだ。内容は、判で押したようなもの。日本の出生率低下、財政赤字拡大、東京五輪後の大不況などである。代わって韓国が、これからアジアのリーダーになるという。北朝鮮と統一すれば、高度成長が間違いなし、としている。すでに、大韓航空株を買い入れていると発言している。

     

    ロジャーズ氏は、1942年10月生まれだ。満76歳になる。そう言っては失礼だが、論旨に一貫していないところがあり、「大丈夫だろうか」と健康面を訝るのだ。単なる印象で喋っており、世界の著名投資家ならば、もっと綿密な調査と世界経済の展望、米朝問題の進展など、総合的な議論があって当然である。そういう精緻な議論はなく、市井の「八さん、熊さん」レベルの四方山話に止まっている。それが、健康上の懸念材料である。

     

    韓国の大韓航空株を大量に購入しているようだが、大外れになった。大韓航空が赤字に陥り人員整理を始めた。赤字の原因は「反日不買」で韓国からの訪日観光客が減ったこと。ウォン相場安で収入減・経費高を招いた面もある。韓国経済の脆弱性が全面化したのだ。

     

    米朝関係が悪化しており、南北統一問題を議論するような雰囲気でなくなった。北朝鮮のGDPは、韓国の40分の1と言われる。韓国は、この北朝鮮を財政面で支援する力がない。要するに、ロジャーズ氏は往年の著名投資家のイメージから著しく乖離しており、何かに迷い込んでしまった感じが強いのだ。

     

    『Forbes Japan』(12月12日付)は、「ジム・ロジャーズから見た日本の問題点 『日本は好きだが、日本株は持たない』」と題する記事を掲載した。

     

    世界3大投資家のひとりに数えられる、ジム・ロジャーズ。なぜ、彼には強い発言力があるのか。安倍政権の問題点や、東京2020オリンピック後の日本の景気後退など、なぜ日本は衰退すると主張するのか。

     

    (1)「ジム・ロジャーズは以前より、「安倍政権は日本を破滅させ始めた」と批判。安倍政権の負債の多さを指摘している。日本政府の借金は1100兆円とも言われており、今も借金を重ね続けている状況だ。彼は借金だけでなく、人口減少に伴う、借金を返済する人が減少していることも懸念している。日本好きとしても知られるが、現在は日本の株は保持していないという。さらに、10%へ増税となった消費増税に対しても「クレイジー」な判断だと語る。ジム・ロジャーズは、まず防衛費等の支出を大幅に抑える必要性を指摘。20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う大きな出費が予定されている中での増税は、日本の課題の一つである少子化にも影響を及ぼす危険性が高いのだ」

     

    日本の財政収支について、詳細な知識もなく「聞きかじり」で喋っている。国債発行残高は1053兆円(2019年6月末)である。だから、消費税を上げて国債依存度を下げる努力をしているのだ。ロジャーズ氏は、国債発行を非難し、消費増税を非難するという矛楯した発言だ。国債残高を非難するなら、消費増税を認めるべきである。防衛費縮小は、現下の国際情勢から見て不可能。中国の餌食になれと言うつもりなのか。ここら当りに、ロジャーズ氏は、投資家としての資格を疑わせるのだ。

     

    国債残高は、実額で議論するよりも対GDP比で見ると、237.13%(2018年)。だが、多額の国有財産を保有している。これを差し引いた純債務残高の対GDP比は、153.20%(2018年)に圧縮される。財政収支から国債発行収入と支払い金利を除外した、基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、マイナス2.92%(2018年)で、ひと頃のマイナス8%台から改善され、2025年には基礎的財政収支はゼロの目標だ。中国の基礎的財政収支は、マイナス3.78%(2018年)で日本よりも悪化している。

     

    (2)「日本経済の具体的な問題点は何だろうか。ジム・ロジャーズが指摘するのは、債務が増加しているにも関わらず、人口減少・少子高齢化が起き続けていることだ。厚生労働省が191126日に発表した人口動態統計(速報)によれば、19月に生まれた子どもの数は673800人。前年同期に比べ5.6%減っており、19年の出生数は30年ぶりの大幅減となる可能性があるという。女性が子供を産みたがらない環境であることや、外国人労働者にとって働きにくい環境であることをジム・ロジャーズは指摘する」

     

    韓国は、日本以上に新生児の誕生が減っている。韓国の合計特殊出生率は昨年、「0.98」で史上最悪の記録だ。今年はさらに減り「0.88」が予想されている。日本は、「1.4台」である、2025年に「1.8」へ回復させる計画を、「働き方改革」と「学費無料化」の推進で実行中である。人口問題で言えば、日本の方こそ希望が持てるのだ。

     

    (3)「ジム・ロジャーズは数々のメディアに対して、現在の関心は韓国に向けられていると述べている。なんと、韓国と北朝鮮の朝鮮半島が統一する未来が近いと予言しているのだ。韓国には潤沢な資本がある一方、北朝鮮には高い教育を受けた労働者が多数存在する。両国間の経済活動が開放されれば、大きな発展が見込めるという。また、北朝鮮の豊富な資源にも着目。金正恩はスイスで教育を受けていることもあり、経済開放に積極的に動く可能性が高いとジム・ロジャーズは見ている」

    南北統一は、北朝鮮の金正恩氏の言動を見ていれば分る通り、簡単ではない。ロジャーズ氏が、存命中に実現する可能性はゼロと見るべきである。現実の裏付けもないない状態で、韓国株を買うのは愚の骨頂に思える。まさに、博打であって健全な投資とは言えない。北朝鮮に地下資源が豊富というのが定説だが、かなりの部分は中国へ売却されているという。地下資源よりも、「知財」が経済発展の原動力である。これは、投資に当っての初歩的知識である。南北朝鮮には、それがないのだ。すべて、日本の技術に依存している。よって、仮に南北朝鮮が統一しても、日本の技術支配が続く。



     

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    けさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    中国から外交的揺さぶり

    米軍撤退で中国の核の傘

    文政権の本質は全体主義

    英誌が証明する李朝極貧

     

    韓国は、米国の強い圧力によってGSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)の「休止一時撤回」以後、中国からも強い圧力がかかっている。韓国を巡る米中の綱引きが始まったのだ。中国は、韓国が設置したTHAAD(超高高度ミサイル網)の撤去を要求している。THAADについては、レーダー照射範囲は北朝鮮領土に限定している。中国本土に何らの影響もないことは、中国が重々承知のはず。ただ、「ごねている」のだ。

     

    中国から外交的揺さぶり

    中国は、明らかにTHAADを取引材料にして、韓国を外交的に揺さぶっている。このように韓国が、中国から外交的な標的にされているのは、次のような理由が考えられる。

     

    .韓国は、日清戦争(1894~95年)直前まで、中国の支配を受けてきた。中国が、旧宗主国にあたる。中国の言い分には、盲目的に従う「事大主義」がはびこっている。

    .韓国は、儒教国家であり価値観が中国と酷似している。

    .韓国進歩派は南北統一が宿願であり、中国の支援を受けざるを得ないと思い込んでいる。

    .韓国進歩派は、朝鮮戦争を「民族解放戦争」と位置づけており、中朝に寛容である。

     

    中国は、韓国を外交的に揺さぶり続ければ、いずれ米韓同盟の枠から飛び出し、中朝陣営に加わるのでないかという期待を持っていることは疑いない。

     

    中国の王毅外相は12月4日、訪韓して韓国へ「クセ玉」を投げ込んだ。中国の習近平国家主席の訪韓を、THAAD撤去と交換条件にすることを示唆したのだ。在韓中国大使は、はっきりと習近平訪韓=THAAD撤去を要求した。THAADは安全保障問題である。国家主権に関わる重大事だ。THAAD問題が、習近平国家主席の訪韓条件にされることは、韓国の国家主権を踏みにじられること。中国が、韓国に対しこういう越権行為を要求するのは、中韓が対等な外交関係にない証拠である。

     

    韓国は、米国の軍事同盟国である。その韓国に対して、米韓同盟をひび割れさせる前提でTHAAD撤廃を要求するのは異常である。米中貿易戦争で緊張関係を強いられている中国が、韓国へ嫌がらせして米国へ一矢報いていると見るほかない。

     

    中国は、同じ米国の軍事同盟国である日本に対して、このような国家主権を蹂躙する愚かな要求を出すことはない。仮に出したとすれば、日本がたちどころに拒否することを知っているからだろう。とすれば、中国は韓国を「小国扱い」した無礼な態度と言える。

     

    米軍撤退で中国の核の傘

    韓国が、中国から「小国扱い」されるような振る舞いしていることも事実だ。民主主義国の韓国が、独裁政治国の中国へ外交的に依存する。そういう異常な言動が、韓国大統領府高官から飛び出して話題になっている。それは、次のような内容である。

     

    文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は12月4日、国立外交院の外交安保研究所が開催した国際会議で、「もし北朝鮮の非核化が行われていない状態で、在韓米軍が撤退したら、中国が韓国に『核の傘』を提供し、その状態で北朝鮮との交渉をする案はどうだろうか」と述べたのだ『朝鮮日報』(12月5日付)。

     

    文特別補佐官は、この会議で司会を務めている際、このような突発的な質問を中国側の参加者に投げかけた。大統領安保特別補佐官たる者が、在韓米軍の撤退を仮定して、中国に韓国の安保を任せればどうかと尋ねること自体が禁句である。こういう微妙な問題が、ためらいもなく口からさっと飛び出てきたことは、大統領府で日常的に話合われていることを伺わせているのだ。

     

    韓国は、「自由と民主主義」を国是としている。文政権は、この国是から勝手に「自由」を外して、「民主主義」だけにしてしまった。これは、北朝鮮との統一を前提にした結果と見られている。北朝鮮にも「人民民主主義」という言葉がある。韓国も、これに併せて「民主主義」だけにしたと見られている。(つづく)

     

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    中国は、対米関係が日に日に悪化状態である。経済面でも追い詰められてきた。そこで、急浮上してきたのが日本の役割だという。米国トランプ大統領と安倍首相が「ツーカー」の関係である。この密接な日米関係を利用して、米中関係悪化の打開を目指すという狙いだ。

     

    その中国の対日司令塔が王岐山国家副主席とされている。習近平国家主席の盟友だ。習―王のコンビで、日本仲介による米国対話ルートを確保しようという布石が打たれつつあるというのである。王岐山氏は、先の天皇陛下即位礼に出席しており、日本とのパイプを太くしている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月10日付)は、「習近平経済・外交は危機、盟友の王岐山氏も日本シフト」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙の編集委員兼論説委員の中沢克二氏である。

     

    習近平は17年共産党大会までの第1期で苛烈な「反腐敗」運動によって権力をかなり掌握した。しかし、2期目以降、目立った業績はない。むしろマイナス面ばかりが目につく。対米関係が緊迫し、経済は厳しい。香港のほか、新疆ウイグルを巡る問題でも国際的な非難を浴びつつある。

     

    (1)「苦境は政治局会議が開かれた6日夜の国営中国中央テレビニュースのラインアップと、翌7日付の共産党機関紙、人民日報1面を見れば一目瞭然だ。経済の危機回避を訴えた政治局会議の中身がトップ。そして米下院で可決された「ウイグル人権法案」を非難するニュースがいくつか続く。その間 に割り込んだのが何と日本絡みのニュースだった。国家副主席の王岐山(ワン・チーシャン)が、訪中した国家安全保障局長の北村滋と会談した映像が長々と流れる。堂々の4番手。異例の目立つ扱いである。中国の主要な報道は共産党の宣伝部門が仕切る国内、対外宣伝の手段だ。日本の登場には意味がある」

     

    夜のテレビニュース番組の4番手に日本ニュースが登場したという。王岐山氏が、訪中した国家安全保障局長の北村滋氏と会談した映像が長々と流れたのだ。なぜ、「反日ドラマ」が常時、流されている中で、日本関連ニュースが好意的に扱われたのか。理由は、中国の日本接近である。

     

    (2)「(米国の)ウォールストリートに知己が多い王岐山は、長らく経済面から対米関係の調整を引き受けてきた。だが、その神通力はトランプ政権になって失われつつある。最近、出番に乏しい。その代わりとして対日関係を担い始めたのだ。10月には天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に合わせて来日している。北村と会ったのも習近平からの直々の要請だった。中国のひょう変には理由がある。対日関係は、米国からの圧力に抗するため最大限、利用すべきターゲットだ。最優先は来年4月とみられる習近平の国賓訪日の実現である。7年前、中国各地で起きた激しい反日デモで多くの日本企業が襲われた経緯を思い返せば隔世の感がある

     

    中国が日本へ接近しているのは、米中対立の中で「調整役」を日本に期待しているためだ。日本以外に、米国へ強いパイプがある国はない。中国は、これまで日本を「対米追随」と悪口を言ってきたが、その日本の仲介に期待せざるを得ない。不思議な役回りである。中国は当面、日本を批判できない立場になった。

     

    (3)「対日急接近は、習近平の外交・経済政策が壁に突き当たった苦境の裏返しでもある。これは1989年の天安門事件の後、西側先進国の経済制裁に苦しんだ中国が、まず日本との関係改善に突破口を見いだした歴史と重なる。先に北京で拘束された北海道大学教授の早期解放もここに大きく関係している」

     

    天安門事件の時も、日本が救いの手を差し伸べた。今回の米中対立。中国の運命を狂わす大事件である。中国の上から目線で米国に対応したなら、一発でやり返されるだろう。米国の持つ同盟国の数と外交力、経済力、金融力、どれを取っても中国の比ではない。日本は、中国を牽制する役割を基本としつつ、慎重に立ち回ることだ。

     

    中国は、米国の持つ基本的な国力(知財・経済力・軍事力・人口動態)から見て、敵対できる次元にない。この厳しい現実を認識しないと、国力を消耗するだけの事態に追い込まれる。人類の歴史では、過去に戻ることはなかった。中国の政治制度は、未だに専制制度であり民主主義へ脱皮できずにいる。中国国民を監視カメラでコントロールできると考えているならば、思考停止状態だ。専制政治は、人類発展の通過地点の制度である。これを乗り越えて、民主主義に辿り着いたのだ。中国は、これから専制政治を克服する動きが始まるはず。共産党が、永遠の統治形態であるはずがない。

     

    (4)「逆説的だが、もし中国経済が極めて順調で、対米関係も安定していれば日本の価値は大幅に薄れる。それは7年前の反日デモで証明済みだ。当時は日本をいくらたたいてもよいという雰囲気だった。こうした国際政治の厳しい現実を受け止めながら、日本側の利益に合致する新時代の日中関係を探る必要がある」

     

    中国の日本接近は、便宜的手段である。日中の価値観が180度異なる以上、日中の政治的な友好関係は永続しまい。中国が、日本を利用価値がないと見れば元の「敵対関係」に戻るだろう。中国は、一時的に日本へ接近するだけである。

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    韓国は、11月22日のGSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)の「終了一時延期」を発表した後、日本を口汚く批判した。その後の経緯は、日本側の発表通りに動いている。あの「大口」は何だったのか。「感情8割・理性2割」の韓国社会の特性をそのまま表したようなものだった。

     

    日本が、韓国に「一ヶ月もあれば、半導体3素材の輸出手続き規制を撤廃する」と約束した。韓国は、こう言って大統領府高官2人が、メディアを前に日本を猛批判したのだ。その後の日韓の話合い過程を見ていると、日本側がなんらの約束もせず、韓国へ戦略物資管理の「3条件」を提示、現在はこの線に沿った日韓の打合せが行なわれているところだ。

     

    『聯合ニュース』(12月6日付))は、「輸出管理政策対話の準備会合、『正常化の必要性で一致』」と題する記事を掲載した。 

     

    (1)「オーストリア・ウィーンで輸出管理を巡る韓日局長級の政策対話に向けた準備会合を行って帰国した韓国産業通商資源部の李浩鉉(イ・ホヒョン)貿易政策官は6日、仁川国際空港で記者団に「輸出規制措置など両国を巡る懸案を正常に解決するための努力が必要との認識で一致した」として、「日本と真摯(しんし)な対話をした」と述べた」

     

    韓国側が、このように穏やかな口調で日本との対話について説明したのは久しぶりである。これまでは必ず日本を批判していた。それが、一転している。話合いが順調に進んでいることの証明だろう。日本が、韓国の戦略物資管理が、いかに杜撰であるかを懇々と説明し、それを聞いて韓国は、うなずくほかなかったのだろう。

     

    とすれば、これまでの居丈高になった振る舞いは何だったのか。韓国は、今ようやく「感情8割・理性2割」の理性を取り戻しているのだろう。こういう状態が、ずっと続いて貰いたいものだ。

     

    (2)「戦略物資の輸出管理について協議する両国の政策対話は2016年6月を最後に開かれていないが、両国は今月16日に東京で政策対話を開催することで合意した。李氏は「課長級の準備会合に続き、局長級の準備会合も友好的な雰囲気の中で真摯な対話をした」として、「会合は当初予想していた4時間からさらに2時間延長された」と伝えた。また、「具体的な議論は政策対話を行う16日に始まる」とし、「韓国の輸出管理制度と運営が正常に行われていることを十分に説明する」と述べた」

     

    下線を引いた部分が示唆するように、日韓は久しぶりに感情的にならず話し合えたのであろう。会合は、4時間の予定が2時間も延びるほど濃密な打合せが行なわれたと見られる。

     

    (3)「日本が対韓輸出規制を撤回し、輸出管理の優遇対象国に復帰させる時期については、「準備会合を行ったばかりで本格的な議論を始める前のため、成果や結果を予断することは難しい」と慎重な姿勢を示した」

     

    半導体3素材の輸出手続き規制撤廃と「ホワイト国除外」撤回は、まだ具体的に話合う段階ではない。半導体3素材の輸出手続き規制は、韓国の管理体制がしっかりしていることを日本が確認すれば、いつまでも続けられるものでない。こちらは、比較的早い段階での撤廃予想がされている。

     

    米国が、同盟国に対して中国のファーウェイ「5G」排除を働きかけている。アジアでは、ファーウェイ製品でなく、サムスンの5Gが推奨対象になっている。この場合、日本の半導体3素材の輸出手続き規制がかかっていると、サムスンもアジア諸国も安心できないという問題が発生してきた。そこで、日本政府も米国との関係を配慮して、早期の「撤回が予想される。

     

    「ホワイト国除外」は、日本の立場として「朝令暮改」は避けねばならない。そこは、「以心伝心」と言うことか。韓国が、徴用工賠償問題解決で特別立法の「寄付金による代位弁償」を、正式に法律化しないことには不可能であろう。韓国文国会議長は、こういう日韓の関係緩和を目指して奔走している。来週には、韓国国会へ上程されると言うが、さてどうなるか。

     

     

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    韓国国会議長の文喜相(ムン・ヒサン)氏は、日本での評判がすこぶる悪い。天皇陛下(上皇陛下)に対する「謝罪強要発言」が、日本中で反発を呼んだ。その人物が提案するものは、一切信用しないという向きもいる。ごもっともだが、これでは外交は停滞する。その後、謝罪し、上皇陛下にも手紙を差し上げたという。多分、謝罪であろう。

     

    文国会議長は、来春の総選挙に出馬しない。国会議員としての「最後の土産」として法案化に全力を挙げているのだろう。文国会議長は、難物の問題処理で抜群の調整力を発揮すると評価されている。与野党を一本化して、徴用工賠償問題解決策として、「日韓の企業・個人による寄付金」で基金をつくり、「代位弁済」という形式で賠償金を払うというもの。この案は、日本政府に内々、打診している。それなりの「反応」を得ていると見られる。

     

    『聯合ニュース』(12月5日付)は、「徴用被害者への寄付金支給案、最も現実的方策―韓国国会議長室」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の国会議長室は5日、文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が強制徴用被害者への賠償問題の解決策として表明したいわゆる「1プラス1プラスアルファ」法案に関する説明会を開き、「(被害者に)実質的に補償し、韓日関係を解決できる最も現実的な方策」との認識を示した。文氏は法案の来週中の発議と年内の成立を目指している」

     

    韓国大法院判決と日韓基本条約に抵触しないのが、寄付金と代位弁済方式である。文国会議長は、この案をもっとも現実的解決案としている。韓国野党では、こういう案を提案したこともあるので、法律になる可能性を持っている。来週中に議会へ提案し、年内成立というスピード立法を目指している。

     

    韓国にとって、迫りくる経済危機への対応として、日本との関係を改善し、米国との関係も正常化させたい狙いであろう。文議長は、文大統領と刎頸の友である。文大統領の苦境を少しでも軽くしたいという気持ちもあるに違いたい。

     

    (2)「国会議長政策首席秘書官は「韓日首脳会談を通じ、過去を直視し未来志向の韓日関係に向かおうとした『金大中(キム・デジュン)・小渕共同宣言』を再確認することを前提とする」として、「この精神が文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍晋三首相の首脳会談を通じた共同宣言として出されることを望むというのが文議長の考え」と説明した」

     

    文議長は、小渕・金大中による「日韓共同宣言」(1998年)のような日韓和解になることを期待しているという。前記の共同宣言は、韓国経済が通貨危機(1997年)に見舞われた後に出された経緯がある。今回は、早くも同じような危機到来を意識し始めたのかも知れない。

     

    (3)「韓忠熙(ハン・チュンヒ)国会議長外交特任大使は「24日に韓日首脳会談(の開催)が予想されるが、その前に立法(の手続き)に入れば、会談に文議長の案を持っていくことができる」として、「法案が触媒剤、呼び水のようなものとなり、この案に基づいて議論すれば良い雰囲気が生まれるのではないかと期待している」と述べた。その上で、「安全保障、外交上で極めて重要な状況だが、さまざまな外交的なレバレッジ(てこ)を持つためには、この問題を大局的に解決しなければならない」として、「先制的かつ主導的に状況を解決し、リードすべきだ」と強調した」

     

    12月末に開催案の出ている日韓首脳会談で、この「基金構想」が国会審議中となれば、両首脳間で話題に上がると期待しているようだ。日本側としても、何らかの公式反応をせざるを得まい。

     

    (4)「支援金の受け取りより日本側の謝罪を求める被害者側が慰労金を申請せず、訴訟を続けて日本企業の韓国内資産が再び差し押さえられれば、同法案の実効性に問題が生じるとの指摘に関しては、「時間と裁判費用の問題があるが、そこまでする理由はないと思っている」と述べた。文氏は両国の企業と国民が自発的に出した寄付金で「記憶・和解・未来財団」を設立し、強制徴用被害者に慰謝料、または慰労金を支払うことを盛り込んだ「記憶・和解・未来財団法」の発議を準備している」

     

    徴用工賠償問題は、「代位弁済」として、第三者が賠償金を払うもの。日本政府は無関係である。かねての主張通り、日韓基本条約で解決済みの線を貫けるのだ。

     

    (5)「当初は支給対象に旧日本軍の慰安婦被害者を含め、日本政府の拠出金で設立されたが活動を終了した「和解・癒やし財団」の残金60億ウォン(約5億4800万円)を記憶・和解・未来財団の設立時に加える考えだったが、関連団体の反対などを受け、対象に加えないことにした。同法案によると、基金の募金の窓口は財団だけでなく、メディアなどに委託できるようにする。慰謝料、または慰労金の支給可否や規模は審議委員会の審査で決める」

     

    下線部分が、ミソである。これまで反日を主張してきた韓国メディアが、基金募集の窓口になると今後、反日の先頭に立った記事を書けなくなる。そういう精神的な圧迫を加えるであろう。文国会議長が、日韓接近のために絞り出したアイデアに違いない。

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