勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 日本経済ニュース時評

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    政治的な選民意識の錯覚

    文氏は徴用工で妥協せず

    外交面で大きな打撃必至

    技術面で日本の「属国」

     

    韓国文政権は、実質的任期が今年いっぱいとなった。来年は、次期大統領候補選びなどの政治日程が前面に躍り出てくる。文大統領が、落ち着いて政治に取り組めるのは年内が限度であろう。

     

    文政権が、こうした差し迫った政治日程で最優先に選択したのは、北朝鮮問題であることがはっきりした。次のような人事を行なったからだ。

     

    国家情報院(韓国の情報機関 国情院)院長

    韓国大統領府・国家安保室長

    統一部(省に相当)長官

    この「三人の安全保障ライン」人事の特色は、「北朝鮮通」であることだ。金正恩氏に気に入って貰い、なんとか南北交渉を行ないたいという懇願の臭いが極めて強い。

     

    文大統領が、任期中に南北問題を「1ミリ」でも前に進めたい一方で、対日外交における最大課題の「旧徴用工賠償」は、何らの動きも見せずにいる。かねてから、外交部長官(外務大臣)は、交代の観測がいくたびか流れたものの留任のまま。外交陣一新による日韓関係打開の動きは、全く見られないのである。

     


    ここから文大統領は、日韓問題解決の意欲を失っているという憶測を呼んでいる。韓国は、8月4日以降になれば、旧徴用工賠償で差し押さえている日本企業の資産を売却可能とされている。韓国司法当局は、政府からの意向が示されなければ、売却に向けてゴーサインを出すに違いない。いったんゴーサインが出れば、日韓関係は修羅場になる。それを覚悟で混乱を生み、日本へ自動的な「報復行動」に走らせ、日韓関係を徹底的に対立させる。そういう構図を描いているのかも知れない。

     

    韓国は、国内で昨年7月以来の「反日不買運動」を引き起こさせ、それを南北交流ムードに引入れる戦略を練っているのかも知れない。韓国政治においては、日韓問題より南北交流促進の方が、政治的に大きな得点になると判断しているのであろう。韓国与党が、次期大統領選の戦略で、反日運動を活用しようと戦術を練っているとしても驚きはない。現在の与党は、総選挙で絶対多数の議席を得て、「100%の信任を得た」と錯覚しているからだ。

     

    政治的な選民意識の錯覚

    文政権のメンバーは、「純潔な政治的DNA」を持っていると錯覚しているようだ。韓国進歩派は、「選民意識」を持っているというのだ。具体的には、「86世代」である。1960年代に生まれ80年代に学生生活を送り、韓国民主化運動に参加した人たちを指している。彼らは、当時の軍事政権と火焔瓶で立ち向かい、現在の民主化された韓国をつくり上げた、と自己評価している。

     

    こうしたエリート意識に支えられて、文政権の政策はすべて正しい、としている。これに反対する野党やジャーナリズムは、「選民への反逆」と大真面目で思い込んでいるのだ。例えば、次の指摘が興味深い。

     

    「昨年のチョ国(チョ・グク)前法務部長官問題の時も同様だった。与党関係者の中心的人物は、『チョ国はそんな人間ではない』、『もともと善良な人間』と擁護した。私募ファンド投資や子の入試不正の証拠があちこちから出てきても同じだった。『我々の仲間がそのような悪人だと罵倒されるのは我慢できない』と言った」(『朝鮮日報』7月5日付コラム「『選民DNA』を持つがゆえに悪事を働けない」)

     

    このような独特の「仲間意識」は、韓国が「宗族社会」の遺制によって無意識に動かされている証拠でもある。前述の「選民DNA」論は、この宗族社会の存在を見事に言い表している。こんな例もある。

     

    朴槿惠・前大統領弾劾のデモでは、100万の人々が「ロウソク・デモ」に参加した。その際、トラブルが起こり裁判沙汰になった。同じデモ参加者の中でのいざこざである。裁判所は和解させようとしたが、被害者・加害者の双方が納得せずに争った。裁判官が機転を利かして、被害者の「姓」を聞いたところ、争っている二人の「姓」が同じと分かり、即座に和解したという。同じ「姓」は、同じ宗族の出身であるからだ。こういう「ウソ」のような「ホントウ」の話が、今も残っている。(つづく)

     

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    中国の習近平国家主席は当初、4月に国賓での訪日予定だった。それが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期された。中国が香港へ「国家安全法制」の導入を決めたことで、自民党外交部会で訪日反対論を決議した。中国側も日本への不信感を深めており、見通しが立たなくなったとされている。

     

    日本では、自民党外交部会が習氏の訪日計画中止を求めたが、韓国は今秋の訪韓実現に躍起となっている。文大統領の外交実績にするというもくろみをしているためだ。「親中朝」の韓国にとって、習氏の訪韓を文政権の得点にすると張りきっているほど。日本とは、これだけ、外交感覚が異なっている。

     

    『日本経済新聞』(7月4日付)は、「『習氏の国賓来日』中止を」と題する記事を掲載した。

     

    自民党の外交部会などは3日の役員会で、延期している中国の習近平国家主席の国賓来日を中止するよう日本政府に求める決議案をまとめた。中国による「香港国家安全維持法」施行に対抗する。来週にも首相官邸へ申し入れる方針だ。

     

    (1)「決議案は「法施行と同時に大量の逮捕者が出るなど、懸念していた事態が現実のものになった」と指摘した。「この状況を傍観できず、強く非難する。中国には大国としての責任を自覚するよう強く求める」と記した。香港人の自由を守るため「就労ビザの発給など脱出する人々の支援も検討するよう求める」と盛り込んだ。中山泰秀外交部会長は党本部で「中国国家によるドメスティックバイオレンスだ。前回の決議からもう一段、厳しく対応しなければならない段階に至った」と述べた」

     

    日本は、G7として中国へ「香港国家安全法」制定に廃止する意向を表明した。また、国連人権理事会でも27ヶ国とともに、香港国家安全法に反対する意向を示している。秋葉剛男外務事務次官は、中国の孔鉉佑駐日大使を外務省に呼び、日本の懸念を伝えた上で、適切な対応を取るよう求めた。孔大使は「本件は中国の国家安全に関わる事項だ」と説明した。

    菅官房長官は会見で「一国二制度の下、自由で開かれた(香港の)体制が維持され、民主的・安定的に発展していくことが重要だ」と述べ、今後の中国の出方を注視すると強調。新型コロナウイルス対応などでは協力を続ける姿勢を示しつつ、「主張すべきことは主張していく」と語った。習氏の来日に関しては「状況全体を見ながら日中間で意思疎通を続けたい」と述べるにとどめた。このように、習氏の訪日計画がひと頃よりも熱が冷めていることは事実だ。

     

    自民党の石破茂元幹事長は3日、日本経済新聞社主催の「日経バーチャル・グローバルフォーラム」でオンライン講演した。中国が「香港国家安全維持法」を施行したのを念頭に「中国は物事の考え方の基本が大きく違っている」と批判した。

     


    石破氏は、「中国も豊かになれば民主的な国になるのではないかといわれていたが全然そうではなかった。香港への対応をみてもそうだ」と語った。1989年の天安門事件後、日本が早い段階で経済制裁を解除したのが「今日の状況を招いた」と指摘した。南シナ海などでの中国の動きについて「きちんと認めないと言う力を持たねばならない」と述べ、日米で連携して対応する必要性を強調した。「領土や人権を守る覚悟と矜持(きょうじ)が必要だ」とも主張した。

     

    (2)「中国外務省の趙立堅副報道局長は3日、自民党外交部会などがまとめた決議案について「彼らの反中ショーにはいかなる意味もない」と述べた。「あるとき以来、日本政府とは重大な(習氏訪日の)議題を検討していない」とも語った」

     

    中国外交部報道官は、下線のように「あるとき以来、日本政府とは重大な(習氏訪日の)議題を検討していない」としている。「あるとき」とは、なにか。日中の意見対立が表面化したのであろう。現状は、「棚上げ」されたままになっている。となれば、そのままにしておけば良い。「時期を見て」という玉虫色にすれば、波風が立たないであろう。

     

    中国側の立場から言えば、日中関係を対立状態の持込みたくない切羽詰まった事情にある。米中対立で「デカップリング」(分断)が起これば、中国は先進国との窓口を失うリスクと隣り合わせだ。香港国土安全法は、人権問題という欧米では絶対に妥協しないマターだけに、対立の根は深い。「ミニ天安門事件」という位置づけになろう。

     

    中国は人権について、吹けば飛ぶような問題と誤解しているが、中国の死命を制しかねない重大事である。天安門事件に次いで2回目の問題だけに、深刻な後遺症となろう。その場合、天安門事件と同様に、日本を頼らざるを得なくなる。もはや、日本政界に「中国通」はいないし、仲介役になろうという政治家もゼロだ。中国は、日本の意向に関心を持たざるを得まい。

     

     

     

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    与党大勝がもたらす「罠」

    徴用工判決は象徴的意味

    文氏、大本営発表の空虚

    日本が生殺与奪の権握る

     

    日韓関係は、今後の両国の外交・経済に重大な影響を与える季節を迎えた。8月4日以降になれば、日本の旧徴用工補償問題で韓国が差し押さえている、日本企業の資産売却は法的に可能になる。韓国政府が、日韓関係の険悪化から「GSOMIA」(日韓軍事情報包括的保護協定)の破棄に走る可能性も取沙汰されている。要するに、韓国は日本に向けて二つの刃を突付ける形になっている。

     

    これらの刃は、韓国自身の心臓を刺す危険性を抱えている。韓国政府には、そのようなブーメランについて全く考慮していないのだ。韓国が、勝てるという誤解をしているからだ。

     

    その最大の理由は、先の総選挙で与党が圧倒的な勝利を収めたことである。国会議席の6割を占めるという絶対多数の与党になった。すでに、その奢りは国会運営に現れている。慣例を破って、議長・副議長のほかに常任委員長全ポスト独占するという横暴ぶりである。民主化以来、与野党が国会運営で責任を持つという民主主義のルールは、簡単に打ち捨てられた。

     

    韓国与党の超強気姿勢は、対日外交にも向けられている。日本に対して、一切の譲歩をせずに戦う姿勢を見せているのだ。それが、総選挙で「韓日戦」を標榜して支持されたと理解しているからだ。この勢いで、GSOMIA破棄に動き出すであろう。この問題は、日韓よりも米韓問題に発展していく。米国が再び、強い圧力を韓国に掛けて「腰砕け」になることは自明。それでも、日本へ嫌がらせをするのが韓国与党である。それが韓国の国益を守る、という誤解に基づくのだ。

     

    与党大勝がもたらす「罠」

    韓国では、進歩派までが文政権の高い支持率のもたら「罠」に対する警告を出している。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、低い支持率に悩みながら経済政策や外交政策で成果を上げた。低い支持率とは、保守派の根強い反対があったことを物語る。それだけに、慎重に政策を進めた結果である。現在の文在寅政権は、高い支持率に酔って「何でもできる」という罠に嵌り込んでいる。支持団体の主張する政策を丸呑みしているからだ。

     

    最低賃金の大幅引上げは、労組の要求をそのまま受入れたものである。「所得主導成長」という美名に隠れて、生産性上昇を無視した大幅引上げである。働かないで高賃金を獲得するという労組の要求そのものを実行した。

     

    原発廃止は、市民団体の反原発運動を鵜呑みにしたものだ。福島原発事故を誇大宣伝する戦術の虜になった結果である。市民団体は、太陽光発電を推進させ多額の補助金を懐に入れたのである。文政権はすべて、支持団体の既得権益を守る保守的行動に終始している。進歩派政権という看板に泥を塗っているのだ。

     

    盧武鉉政権で、大統領府広報首席秘書官を務めた、趙己淑(チョ・キスク)梨花女子大国際大学院教授が、「政治の成功が政策の成功を保証するだろうか」と主張している。「支持率が高ければ政策的失敗に対して寛大になり、参謀も緩んで、誰もがうまくやっていると錯覚する可能性がある」と指摘している(『中央日報』7月1日付)

    現在の文政権は、まさにこの状態である。心理的に舞い上がったままだ。日本に対しては、露骨なまでに敵対意識をギラギラさせている。大統領府の金尚祖(キム・サンジョ)政策室長は7月1日、近ごろ日本が国際舞台で韓国をけん制しているとして、「韓日関係が過去の垂直的な関係から水平的な関係に変わる中、日本がアジアにおける主導権を失いかねないと懸念しているため」とラジオ番組で発言した。

     

    他国を誹謗する発言は、外交的に慎重でなければならないが、韓国大統領府にそのような配慮はない。タガが外れた状態である。つまり、日本批判であれば何を言っても良い、というムードであろう。「日韓関係は、過去の垂直的な関係から水平的な関係に変わる」としているが、韓国こそ歴史問題という古証文を持ち出して、日本に韓国の要求を100%飲ませようという「垂直関係」に持込もうとしている。それは、無理難題と言うべきだ。(つづく)

     

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    凄い剣幕である。韓国は、WTO(世界貿易機関)事務局長に立候補した。日本が反対するならば、国際社会で戦うというのである。こういう場合、韓国から日本へ働きかけて、賛成するように根回しをするもの。それがなくて、「日本は賛成して当然」という強圧的な姿勢で臨んでいる。

     

    『聯合ニュース』(7月1日付)は、「韓国大統領府高官、『日本、アジアでの主導権喪失を懸念』対応に総力」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国青瓦台(大統領府)の金尚祖(キム・サンジョ)政策室長は1日、近ごろ日本が国際舞台で韓国をけん制していることについて、「韓日関係が過去の垂直的な関係から水平的な関係に変わる中、日本がアジアにおける主導権を失いかねないと懸念しているため」と述べた。ラジオ番組に出演し、韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が世界貿易機関(WTO)の事務局長選挙に立候補したことに日本が反対姿勢を見せているとの司会者の指摘に答えた」

     

    韓国は、思い上がっている。新型コロナウイルスで、一時の感染者急増を減らしたことで、「K防疫モデル」と自画自賛して、先進国になったと思い込んでいる。韓国は、日本から尊敬されて当然という態度だ。「韓日関係が、過去の垂直的な関係から水平的な関係に変わる中」という発言に、韓国の傲慢な態度の根本的な理由が窺える。

     

    日韓関係は本来、水平的な関係であるはずだ。それを垂直的な関係にしているのは、むしろ韓国である。常に、歴史問題という古証文を持出して、「謝罪せよ、賠償せよ」と迫っているからだ。日本がこれに一々、頭を下げれば良いのだろうが、それは不可能。堪忍袋の緒が切れたのだ。

     


    (2)「金氏は、「兪本部長が事務局長に就任すれば、韓国の利益を保護する重要な役割を果たすだろう」と述べ、「重要な選挙であり、十分に勝算はある」と自信をのぞかせた。「日本としては当然、韓国の候補がWTOの事務局長になることはうれしくないだろう」とも語った。日本が妨害工作を行うとの報道もあると指摘されると、「日本は自国の利益を守るため、さまざまな活動をするだろう。われわれも対応に総力を挙げる」と答えた」

     

    韓国は、WTO事務局長に立候補している。下線のように「十分に勝算はある」と言っている。ならば、日本が反対しても問題はないであろう。わざわざ、日本を非難している理由は、勝ち目が薄いことを自ら言っているのに等しいのだ。他国の評価はどうだろうか。日韓が貿易面で鋭く対立している状況で、韓国からWTO事務局長が出ることに賛成だろうか。そういう微妙な意識がないとすれば、韓国の国際性が疑われるのだ。他国と対立しない国から、国際機関のトップは出るべきなのだ。

     

    (3)「先進7カ国首脳会議(G7サミット)を拡大して韓国などを含めるという米国の構想についても、金氏は「日本としては、アジアから唯一G7に参加する国という地位が脅かされると考えるだろう」と語った。G7サミットの拡大構想を巡り、日本は「G7の枠組みを維持することが大変重要」(菅義偉官房長官)との立場を示している」

     

    G7拡大案は、参加国全体のコンセンサスが前提である。米国の意向一つで決まるのではない。こういうルールを理解しないで、勝手に日本を恨んでいる。他国も、参加国を増やすことに反対の意向を見せている。中国が、なぜG7に入っていないか。意見が食い違っているからだ。韓国は、日本とことごとく意見を異にする。これでは、G7に加わるのは困難であろう。

     

    (4)「日本が韓国に対し、半導体材料などの輸出規制強化を打ち出してから1日で1年を迎えたことに関しては、「政府は1年前、100の中核品目について供給の安定を図る素材・部品・装備(装置や設備)競争力強化対策を発表した。今は米中が覇権を争い、世界の供給網が揺らいでいる状況だ。はるかに多くの産業に対する安定化対策を準備している」と説明した」

     

    このパラグラフは、全くの誤認である。韓国産業界は、日本との協力なくして韓国経済は保たないと危機意識を鮮明にしている。この問題は明日、発行のメルマガで明らかにしたい

     

    (5)「日本企業に賠償を命じた韓国大法院(最高裁)の強制徴用訴訟判決に対しては、「日本は2桁の(対抗)カードを持っているという話を公然と流している。さまざまなシナリオに備えており、特に外交的に解決するため最善を尽くしている」と述べた。強制徴用訴訟を巡っては、韓国の原告側が日本企業の資産を差し押さえ、売却して現金化する手続きを進めている。現金化に至った場合、日本は強く対応する構えを見せている」

     

    韓国の司法関係者も、「日本は対抗する法的な根拠を持っている」と明言している。日本が韓国の現金化に対して強力に反応する権利があるのだ。この点も、明日発行のメルマガで明らかにする。

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    中国が、香港への国家安全法適用を正式決定した結果、米中冷戦はもはや決定的な段階を迎えた。米国は、香港への国家安全法を導入した関係者の米国入国ビザ発給を抑える方針を発表している。米国務省の声明では、「中国政府の高官」ではなく、「中国共産党の高官」と明白に指している。中国最高指導部メンバーまで含まれるというのだ。具体的には、次のようなメンバーが含まれる。『大紀元』(6月30日付)が、伝えている。

     

    韓正氏(中国共産党中央政治局常務委員会の常務委員、党内序列7位、国務院副総理を兼任)

    楊潔篪氏(党中央政治局委員、党中央外事工作委員会弁公室主任)

    王毅氏(党中央委員会委員、国務委員兼外相)

    これら「大物」が、実際に米国へ入国できない事態となれば、米中対決は後戻りできなくなろう。

     

    ここまで事態が悪化すれば、米中経済関係が一段と厳しくなることは不可避であろう。そこで、米国は中国のファーウェイ締め付けを強化すべく、日本企業のファーウェイ取引にまで監視の目を強めるとの予測が出ている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月30日付)は、「日本企業のファーウェイ取引、目を光らせる米政府」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米政権は、米企業が中国の次世代通信規格「5G(第5世代)」網整備を支援するのを防ぐため、規制を強化している。だが、同盟国である日本の企業は、5Gレースにおける中国の躍進を支え、そこから利益を得ている。

     

    (1)「中国は、1500億ドル(約16兆1700億円)を投じて国内全土に5G網を展開する計画で、年内に基地局50万カ所余りの建設を目指している。計画を中心となって支えるのが、華為技術(ファーウェイ)の通信機器だ。村田製作所の村田恒夫会長は、中国政府は5G網の拡張を積極的に後押ししており、同社の部品にとっては極めて有望な市場だと話す。米中がハイテクの覇権争いを繰り広げ、米政府がファーウェイ阻止に向け民間セクターへの介入も模索する中、日本は政治的な「地雷」を避けつつ、米中双方に供給する道を探っている。問題は、米軍やその同盟国に領土を守られている日本が、中国との取引をどの程度維持できるかだ

     

    日本は、米国と共同で「インド太平洋戦略」により中国けん制に動いている。それだけに、ビジネスは別としてファーウェイとの取引継続が、困難な状況になる見通しだ。第二次世界大戦後の「ココム」(対共産圏輸出規制)が、これから復活すると思えば理解は早いだろう。

     


    (2)「米国が最初に輸出規制に乗り出した際、規制の対象は主に米企業だった。だが、米政府は過去1年に、ファーウェイのような中国企業がなお5G関連の技術を手に入れていることを認識しはじめた」。こう指摘するのは、ウェンディ・カトラー元米通商代表部(USTR)次席代表代行だ。その上で、「輸出規制の波」は間もなく米国の同盟国にも及ぶとし、「発表内容を総合すれば、米国がどこに向かっているのかは明確だ」と話す。トランプ政権は5月、外国サプライヤーによるファーウェイへの供給を断つため、新たな輸出規制策を発表した。念頭にあったのは、台湾の半導体ファウンドリー(受託生産)最大手、台湾積体電路製造(TSMC)によるファーウェイ傘下、海思半導体(ハイシリコン)への半導体供給だ」

     

    現在の対中国輸出規制は、米国企業だけが対象になっている。だが、ファーウェイは他国からの輸入で米国の輸出規制をかいくぐっている。批判の矛先が、日本企業に向かうだろうと見られている。

     

    (3)「こうした目立たないが欠かせない部品の多くが、スマホや5G機器を手掛けるファーウェイへと向かう。ファーウェイの梁華会長は昨年11月、2019年に日本から100億ドル相当の部品を調達するとの見通しを示し、これにより「米国産部品に頼ることなく、顧客に主力製品を適切なタイミングで出荷できる」と述べていた」

     

    ファーウェイは、米国からの輸出禁止分を日本から輸入して、事なきを得ている。こうなると、米国企業からの不満が出て当然である。米国政府は、米企業をなだめる意味でも、日本企業へも同調を求めに違いない。これは、時間の問題であろう。

    (4)「今年初頭の新アメリカ安全保障センター(CNAS)による報告書は、ファーウェイに対する輸出規制を拡大し、外国企業による販売も対象に含めるべきだと提言。「米国製だけではく、外国製の部品も購入できないようにすれば、5G網構築に向けたファーウェイの取り組みを大きく阻害するだろう」と記している。報告書は議会の委託で作成された。ピーターソン国際経済研究所のマーティン・コルゼンパ主任研究員は、米政府が検討している手段の1つとして、ファーウェイに部品を供給している米国外の企業に対し、米国製部品を使うことを一段と制限することが挙げられると指摘する」

     

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