勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 日本経済ニュース時評

    テイカカズラ
       


    朴正熙を抹殺したい進歩派

    国際情勢に合わない反日米

    朝鮮李朝と酷似する文政権

    外交的孤児は死を意味する

     

    韓国進歩派を動かす文在寅(ムン・ジェイン)氏は、「親中朝・反日米」を心の拠り所としている。進歩派は、軍事政権の弾圧に対し火炎瓶で闘ったと自らの業績に酔って、保守派を全否定する暴力性を持っている。文氏が、保守派=親日派と位置づけて、「積弊一掃」の対象にしているほどだ。「反日米」こそが、韓国政治の理想形と思い定めているのである。

     

    進歩派を動かしているのは、「86世代」である。1960年代に生まれ、1980年代に大学生活を送り、軍事政権と闘った人たちである。

     

    1960年代は、韓国経済が奇跡の高度成長を実現した時代である。そのテコになったのは日韓基本条約(1965年)による日本からの経済協力金である。無償3億ドルのほかに有償2億ドル・借款5億ドル以上という巨額ドル資金が韓国経済を潤した。まさに、疲弊から超繁栄へと大転回した歴史的契機になった。同時に、日本企業による技術と資本が、韓国企業を後押ししたのである。

     

    朴正熙を抹殺したい進歩派

    日韓基本条約は、軍事政権であった朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の手で結ばれ、「漢江の奇跡」という高度成長を実現させた。また、38度線で対峙する北朝鮮軍との対抗上、米韓同盟を強化するほか、国内の共産主義者取締を理由に、厳しい人権弾圧を行なった。「86世代」は、この人権弾圧を理由にして、今もなお保守派を「積弊対象」にする執念深さを見せている。

     

    韓国のGDPは現在(2019年)、世界12位である。10位(2018年)までランクアップしたが、12位へ後退している。カナダやロシアに抜かれたのだ。今後は、このランクで定着するであろう。人口5170万人の韓国が、GDPで世界10位まで上昇した裏には、好むと好まざるとに関わらず、朴正熙軍事政権の経済・外交の路線が、韓国発展の基礎を固めたのである。これは、反対派でも認めざるを得ない歴史的事実だ。

     


    こういう書き方をすると、進歩派から猛烈な反発を受ける。だが、軍事政権の意義を否定しても、現実に制度として存在したのだ。進歩派は、この歴史的事実すら認めたくないようで、現在の社会科教科書からは大幅に削除されている。これは、紛(まご)う方なき歴史の改ざん・欺瞞である。日韓併合時代も一切、拒否するというのも同じ脈絡である。進歩派にとっては、負の歴史でも真摯に向き合う度量が必要である。韓国進歩派は、不都合なことをすべて認めないという傲慢さがある。それが、韓国社会を分裂させている大きな理由だ。

     

    この傲慢さが、文政権と進歩派の基盤をジワジワと蝕んでいる。「親中朝・反日米」が、国際情勢急変の中で、韓国の運命を翻弄することがしだいに明らかになってきたからだ。

     

    国際情勢の急変とは、米中対立の長期化である。米中が、最終的に軍事衝突するという最悪事態を回避できると見ている専門家がいるだろうか。それは、米国にその意思がなくても、中国の「習近平思想」にはっきりと認められるのである。

     

    「習近平思想」は2017年の共産党大会で習氏が提唱した政治思想だ。「2035年までに経済力や科学技術力を大幅に向上させ、建国100年となる2049年に『社会主義現代化強国』を作り上げる。『21世紀半ばまでに世界一流の軍中国隊を建設する』として、人民解放軍の実力を米軍と並ぶ水準まで引き上げる」

     


    中国の有力37大学で、この「習近平思想」を必修科目として学生に学ばせるという。習政権は、学生に対して軍事力で世界覇権を実現させるという暗黙の目標を与えるのである。今時、こういう目標を告知する習政権の特殊性に注目すべきであろう。20世紀当初の帝国主義時代に逆戻りする、殺伐とした雰囲気になるのだ。

     

    国際情勢に合わない反日米

    中国が、ここまで戦闘的になっている現在、文政権の「親中朝・反日米」政策は自由主義国家において外交孤立の道を選ばせるであろう。米韓同盟という安全保障の基盤がありながら、あえて中国へ「秋波」を送ること自体、裏切り行為というリスクが高まるのだ。

     

    文政権が、これまで「親中朝・反日米」という季節外れの振る舞いをしてきても、どの国も苦笑いで済ましてきた。だが、「習近平思想」が有力大学で必須科目になる時代背景を考えれば、笑って済ませる問題でなくなってきた。米国からすれば、韓国に対して「白黒をつけろ」と一喝浴びせても仕方ない局面になっている。(つづく)

     

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    韓国文大統領は、先に菅首相就任に当り祝賀文を送ってきた。美辞麗句を並べ、日韓がいかに親しく、価値観が同じであるかを強調して見せたのである。普段、疎遠であるからこそ出てくる言葉だ。

     

    この文氏が目下、行われているWTO事務局長選で韓国出身候補支援のため、ドイツのメルケル首相まで電話、運動していることが分った。隣国の日本へは支援要請できず、遠いドイツへ電話をかける。この「矛楯」に対して、感ずるところはなかっただろうか。

     

    『中央日報』(10月2日付)は、「文大統領『WTO事務局長に兪明希氏を支持してほしい』…メルケル首相『適任者だと思う』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が10月1日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相に世界貿易機関(WTO)事務局長に挑戦した産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長に対する支持を要請した。文大統領はこの日午後6時から20分間、メルケル首相と首脳電話会談を行った。



    (1)「まず文大統領は、「ドイツ統一30周年(10月3日)を心よりお祝い申し上げる」とし「韓半島(朝鮮半島)の平和と統一を希望するわれわれ国民にも多くのインスピレーションを与える意味のある日」と述べた。これに対してメルケル首相は「ドイツ統一30周年に意義深い感慨を持っている、韓国が統一に対して抱いている夢をよく知っている」とし「盛大にドイツ統一30周年行事を執り行いたかったが、コロナのためにそのようにできず残念」と明らかにした」

     

    文氏は、ドイツ統一30周年祝いを伝える目的でメルケル氏に電話をした。文氏の頭には南北朝鮮統一があったはず。東西ドイツの統一は、南北統一よりも幸運であった。北朝鮮のような「狂気」が、東ドイツに存在しなかったからだ。話せば分る相手であった。文氏は、北朝鮮の「狂気」を「正常」と見なしているところが危機である。

    (2)「文大統領がドイツの新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の対応を称賛しながら「これまで首相のリーダーシップ下に、ドイツが新型コロナの対応において模範となってきたことに敬意を表す」と述べると、メルケル首相は「新型コロナの拡大を防いできた韓国の対処方式に大きな関心がある」と応じた」

     

    ここは、お互いにエールの交換である。



    (3)「続いて文大統領は、メルケル首相にWTO事務局長選に出馬した兪氏の支持を求めた。文大統領は「今日の電話会談を提案したのは、9月末に書簡で申し上げたとおり、WTO事務局長選に出馬した韓国の兪明希氏に対する関心と支持を要請差し上げるため」と明らかにした。文大統領はこれに先立ち、先月24日、ドイツに支持要請書簡を送っていた」

     

    文氏は、すでにメルケル首相へ自国出身のWTO事務局長候補へ支援要請文書を送っていたことが分った。その上さらに、電話でも支援要請したのだ。必死になっている。WTO事務局長選では、アフリカ出身である二人の女性候補が有力。いずれも、政治活動を経験しており、組織を動かす能力が優れていると評価されている。韓国候補が、この有力候補を上回って当選の栄誉を勝ち取るのは、難しいというのが下馬評だ。

    (4)「あわせて、「韓国は自由貿易秩序の中で成長してきて、多国間貿易体制の守護と発展がWTOを中心として進んでいくべきだという確固たる信念を持っている」とし「兪氏はこのような信念を実現できるビジョンと力を備えていて、WTOを発展させて信頼を回復させることができる最適任者と考える」と付け加えた」

     

    韓国が、WTOを利用して自国利益を図っていることは確かだ。福島県産海産物について放射線物質があるという「風評」だけで、韓国は輸入禁止措置を続けている。非科学的動機である。こういう冗長的国家出身のWTO事務局長が出現したら、日本は大変な損失を被るのだ。



    (5)「メルケル首相は「韓国の兪明希候補が能力と専門性を備えた適任者だと思う」と答えた」

     

    メルケル氏の答えには、「ぜひ推薦しましょう」という言葉がないのだ。「適任者」という第三者的な答えに止まっている。WTO事務局長候補は、WTO改革に絡むので、日欧米の3極が事前に意思統一していると見るべきだろう。

    共同通信の報道によると、日本政府はWTO事務局長候補のうちナイジェリアとケニアの出身者に絞り込む方向で調整中だと、複数の日本政府関係者が明らかにした。日本の外務省の幹部は兪明希本部長について「公平・中立性が担保されるのかについて不安がある」という意見を述べたと、共同通信は伝えている。

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    英経済紙『フィナンシャル・タイムズ』が、日本経済批判記事を書いたことに便乗して、韓国メディアが、「日本経済衰退論」を流している。アベノミクスは失敗したというのだ。根拠は、消費者物価(CPI)上昇率2%上昇を達成できなかったこと。安倍首相在任中、ドル換算ベースでGDPが縮小したことなどを上げている。

     

    世界的にインフレ状況は消えており、CPIは安定傾向を示している。FRB(米連邦準備制度理事会)議長は、CPI上昇率が2%になるまで現在の金融緩和を継続すると発言しているほど。日本だけの問題でないのだ。超長期のドル・円の購買力平価を計算すると、1ドル=100円が均衡線である。円が、100円を上回れば円安水準。100円を下回れば円高水準である。現状でみた購買力平価は、「ドル高円安」相場である。

     

    この為替相場が、日本のGDPを縮小させたもので、実態の日本経済は縮小過程にあった訳でない。現実に、労働需給は逼迫し、高度経済成長期と匹敵する状況であった。縮小経済において、完全失業率が下がるはずがない。要するに、韓国メディアは日本経済の実態を見ずに、「日本憎し」という感情論に基づく日本経済批判である。

     

    『中央日報』(10月1日付)は、「アベノミクスに似ていく世界経済の流れ」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ドンホ論説委員である。

     

    (1)「アベノミクスと呼ばれるこの実験は、2012年12月から2020年9月まで、ほぼ8年にわたって行われた。長期実験だっただけに、成果の客観化も十分可能だ。また、実験には、3本の矢と呼ばれる3つの独立変数が投入され、評価が比較的容易だ。▼拡張的財政▼十分な金融緩和▼成長戦略の3つだ。日本はこのように、財政と金融という2つの矢を活用し、市中に通貨を供給した。これにより、自国通貨の(対外)価値(注:為替相場)を大きく下げることに成功し、日本は輸出競争力を大きく回復させた」

     

    ドル・円の購買力平価は、長期にわたって1ドル=100円である。日本は、長いこと超円高状態にあった。輸出が不振で国内経済は停滞した。安倍政権になって異次元金融緩和に踏切って、円相場を100円以上の水準に戻して、国内経済が息を吹き返した。

     

    日本でこの政策が可能だったのは、経常黒字を続けていたという「貯蓄過剰」体質が安泰であったという事実だ。世界最高の対外純資産国として、異次元金融緩和に耐えられる体質であった。「腐っても鯛」である。

     

    (2)「第3の矢は成長戦略だ。法人税を大幅に下げることから出発し、企業の投資活性化のための規制緩和にも乗り出した。さらに女性の社会進出を活性化させ、少子高齢化に伴う人的資源不足の解消にも全力を傾けた。これにより、日本はかなりの活力を回復しているように見えた。求人倍率が1.6~1.7に及ぶほどの企業の活力が蘇ると、大卒者は卒業前に職場を選んで就職することができた。「失われた20年」が本格化した2000年代の日本の青年たちが就職できずフリーター(非正規バイト)として転々としていた時と全く異なった」

     

    円相場が、円安になったことで日本経済は息を吹き返した。国内の生産活動が復活したのだ。過去の1ドル=80円という超円高は、国内企業を海外流出させて産業空洞化をもたらした。ただ、このことが国際収支上では、所得収支を黒字化させ経常黒字に貢献した。超円高が、その後の長期円安を可能にさせたと言える。

     

    (3)「経済全体でみると、日本は過去8年間、むしろ後退した。米国は言うまでもなく、中国との格差もさらに広がった。国内総生産(GDP)の規模は米国が2012年16兆1970億ドルから2019年21兆4390億ドルに30%成長し、中国は同期間8兆5700億ドルから14兆1400億ドルと70%近く増加した。その間、日本のGDPは6兆2030億ドルから5兆1540億ドルと、むしろ約20%減少した。バブル経済の絶頂期だった1980年代に一時米国を見下ろした日本経済はアベノミクスにもかかわらず、矮小症にかかったかのように萎縮しているということだ」

     

    1ドル=80円台が、100円以上になれば円安である。ドル換算のGDPが、円安にスライドして縮小するのは当然である。なぜ、この簡単なことが分らないのか。頭を冷やして考えれば、納得できるはずだ。アベノミクスを批判する材料として、このGDP規模を持出しても無意味である。

     


    (4)「ここからアベノミクスの決定的教訓を得ることができる。巨大な人口を基盤に、高速成長に乗った中国との格差は仕方がないとしよう。問題はむしろ、経済規模が縮小したという事実だ。表面的には日本円の価値を落として輸出が増え、日本の主要企業の活力も回復して雇用が増えた。特に先進国の中で就職率が最も低かった女性の社会進出が大幅に増えたのは経済の体質の肯定的変化と評価するに値する成果だった。日本円のレートが2012年末に1ドル=80円から105円水準に下落(レート上昇)したことは、日本企業としては翼を得たも同然だった」

     

    このパラグラフは、完全は自己撞着に陥っている。円安が、GDP規模を縮小させたという正解の入り口に立ちながら、GDP縮小を批判しているからだ。80円が105円になれば31%の円安だ。これを乗り越えてドル換算のGDPが、増加基調を辿るのは韓国経済ですら不可能であろう。

     

    (5)「日本は冷酷な国際競争の中で存在感を示すことができなかった。ヨーゼフ・シュンペーターが強調した破壊革新が出なかったためだ。第3の矢だった成長戦略に根本的な問題があったためだ。表面的には、法人税を下げて無公害の未来産業としつつ観光規制を緩和し、外国人観光客の誘致を拡大したが、世界的転換期のたびに出てくる技術革新の流れに乗ることができなかった。英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、「成長戦略の実現のためには果敢な構造改革が必要だったが、安倍首相はむしろ企業の雇用の安定を維持させ、そこに敗着があったようだ」と指摘した」

     

    FTは時々、おかしなことを書いている。その点で、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月16日付)は、「日本の新首相、期待される経済改革」と題する社説を掲載した。正確に日本経済を分析している。

     

    (6)「安倍氏は、労働法規、コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革、移民規制の緩和などの面で成果を上げている。彼はまた、国内の競争力強化を目指して、環太平洋経済連携協定(TPP)など質の高い貿易協定の交渉に取り組んだ。安倍氏の内閣官房長官として長く仕えた菅氏は、この政策課題の立案と実行において主導的役割を果たした」

     

    コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革は、立派なイノベーションである。これは、日本の株式市場へ世界のマネーを引き寄せるからだ。FTは、こういう地道な日本経済検証をしないで日本批判記事を書いている。それを鵜呑みにする『中央日報』も認識不足である。

     

    (7)「菅氏は現在、非効率な地方銀行の改革に重きを置くなどといったアイデアを持っている。日本の地銀は数が多過ぎる上、利益が少な過ぎる。安倍氏の爆発的な金融緩和措置は(地銀の)助けにならなかった。菅氏は長年、統合によって地銀が中小企業に融資する能力が上がると信じてきた。同氏はまた、中小企業間の統合や合併に対する政策上の障害を取り除きたいと考えており、それが生産性向上を後押しする可能性があるとみているようだ」

     

    菅首相は、異次元金融緩和で経営が苦しくなった地方金融機関の再編に動き出している。これもイノベーションなのだ。イノベーションは、技術面だけでなく制度改革も含む広範囲な概念である。シュンペーターは、そういう解釈である。


     




     

    ムシトリナデシコ
       

    旧徴用工賠償問題は、日韓の喉に刺さった骨である。韓国大法院が、「日韓基本条約」を骨抜きにする判決を出したことで両国は泥沼状態に入り込んでいる。各国とも、司法は条約に不介入を原則としている。韓国は、その原則を破った判決を出したことで、事態が紛糾したもの。

     

    韓国は、菅政権に代わったことで「日韓復縁」を期待していたが、菅首相の「二度と騙されないぞ」という強い意志で歩み寄りは難しいことが次第に判明してきた。菅氏が官房長官時代、舞台裏で取りまとめに奔走した日韓慰安婦合意が、文政権によって破棄されて、韓国へ「トラウマ」になっている。韓国は、こういう裏切り行為をすっかり忘れているのだ。

     

    文大統領の任期は、2022年5月まで。来年3月以降は、次期大統領選準備で国政は停滞する。そうなれば、これから正味5ヶ月しかないのだ。この間に、法案準備ができるのか。前国会議長の文氏が提案した案を廃案にしたことが悔やまれるであろう。

     


    『中央日報』(10月1日付)は、日本「韓国は企業資産現金化しないと確約を…それまで菅首相の訪韓あり得ない」と題する記事を掲載した。

     

    日本外務省幹部が先月30日、日帝強制動員賠償訴訟について、被告である日本企業の資産を売却しないという韓国の確約がなければ菅義偉首相の韓国訪問はあり得ないと語ったと、共同通信が同日午後遅く報じた。同幹部は記者団に「韓国の裁判所が差し押さえた日本企業の資産について現金化しないという韓国政府の確約がなければ、菅首相は韓国が開催しようとしている日中韓首脳会談に出席しない」と伝えた。

     

    (1)「共同通信によると、同幹部は記者団に「(日本企業の資産が)いつ現金化されてもおかしくない状況の中、首相の訪韓はあり得ない」と述べた。韓国政府はことしの議長国を務め、年内にソウルでの韓・中・日首脳会談の開催を進めている。共同通信は、日本外務省幹部のこのような発言は「日帝強制動員賠償訴訟問題で韓国政府の譲歩を引き出す狙いがあるとみられる」と分析した」

     

    韓国には、前国会議長が超党派で提案した案がある。大統領府が、乗り気でなく廃案にしてしまった。菅政権へラブレターまがいの手紙を送ってまで解決を急ぐ姿勢を見ると、文政権の政治的勘の鈍さが目立つのだ。

     

    (2)「菅首相は先月24日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談で「非常に厳しい状況にある両国関係をこのまま放置してはならない」と述べた。ここで言及された日本企業の資産売却とは、新日鉄住金に関するものだ。2018年10月、李春植(イ・チュンシク)さん(96)をはじめとする新日鉄住金強制動員被害者が大法院(最高裁)の再上告審で確定判決を受けた。新日鉄住金は李さんをはじめとする原告団に1人当たり1億ウォン(約900万円)の賠償をしなければならないという判決だ。しかし、新日鉄住金が判決を履行せず、韓国の裁判所が強制執行の手続きに入った」

     

    韓国は、日韓基本条約で解決済みという原点を忘れている。

     

    (3)「被害者代理人団は、2018年12月に大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部に「株式差押命令の申請」を出した。翌年1月に浦項支部は「日本製鉄が所有する株式会社PNRの株式8万1075株(額面金額5000ウォン基準、4億5375万5000ウォン)」に対して株式差押命令を決定した。PNRはポスコと日本製鉄が、合同で慶尚北道(キョンサンブクド)浦項に立てた会社だ。合同で訴訟を起こした故・呂運澤(ヨ・ウンテク)さんをはじめとする原告4人のうち3人はこの世を去った。現在、原告側の唯一の生存者が李春植(イ・チュンシク)さんだ」

    文政権は、徴用工賠償問題を反日材料に利用する積もりであっただろう。日韓関係を悪くすることで進歩派政権を永続させようという企みをしてきたからだ。今年の5月総選挙まで、「韓日決戦」という言葉を使った政権である。にわかに真の友好国関係になろうという意思はあるはずがないのだ。

     

    (4)「李春植さんはことし6月に中央日報とのインタビューで「両政府が清算してくれることを願う」とし「これで裁判訴訟に勝訴したから、(お金を)払えばきれいに終わる」と述べた。日本側は自国企業の資産の強制売却を阻止しようとする立場を固守してきた。菅首相は官房長官時代に開かれた記者会見で、差し押さえされた日本企業の資産が強制売却された場合について「現金化(日本企業の資産の強制売却)に至ることになれば、深刻な状況を招くので避けなければならない」と述べた」

     

    韓国は、自国で起こした判決である。日本を巻き込まずに解決案を作るべきなのだ。文政権は、三権分立を理由にして解決を逃げているが、それはあまりにも無責任と言うべきであろう。

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    日本のミサイル技術の発展とともに、宇宙防衛へと守備範囲が広がっている。航空自衛隊の名称が、近く「航空宇宙自衛隊」に改称されると韓国メディアが報じた。航空自衛隊の防衛力がそれだけ充実していることを物語っているに違いない。

     

    『中央日報』(9月30日付)は、「『宇宙作戦隊』創設して米国と諜報同盟を結ぶ日本の策略」と題するコラムを掲載した。筆者は、チェ・ヒョンホ/軍事コラムニスト/ミリドム代表である。

     

    (1)「韓国が北朝鮮ばかり眺めている間、日本は複数の偵察能力を動員し、米国が集中する中国牽制を後押ししている。さらに先月末には当時の河野太郎防衛相が西側5カ国で構成された情報同盟「ファイブアイズ(Five Eyes)」の6番目の加盟国になることを希望すると明らかにした。これは単なる日米協力を越え、国際的な情報協力の枠組みに入ることを意味する」

     

    日本が、西側5カ国で構成された情報同盟「ファイブアイズ」への参加を希望していると報じている。英国などは「大賛成」の姿勢を強めているほど。いずれ、日本も加入して「ファイブシックス」になろう。



    (2)「米国は、長期間にわたり『ファイブアイズ』という5カ国情報同盟を率いてきた。ファイブアイズは米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドからなる諜報同盟だ。これらの国は国防情報・ヒューミント(人間情報)・SIGINT(信号情報)分野で協力する「UKUSA協定」で結ばれている。第2次世界大戦当時に米国と英国の情報共有協定から始まったが、現在は5カ国・20機関が参加している。ファイブアイズは完全に閉鎖された同盟ではない。2005年には拡大協議体が構成され、テロ情報共有のための協議体も設置された。韓国も参加しているが、核心参加国は従来の5カ国から増えていない。すなわち、協議体に参加した他の国々とは情報共有の幅が制限されているということだ」

     

    安全保障にとって、確実な情報が生命線である。日本が、「ファイブアイズ」に参加したいのは当然であろう。

     

    (3)「宇宙は、世界的な作戦を展開する米国が最も重要視する領域(ドメイン)だ。しかし中国とロシアが「キラー衛星」などの脅威を増やし、宇宙での優越的な位置と情報連結が断絶するという懸念が強まっている。米国はこうした懸念を解消するため、複数の機能を合わせた大型人工衛星の代わりに、機能を分散させて価格が安い複数の小型衛星を使う「分散システム」を準備している。また、宇宙作戦能力を強化している同盟国との協力を増やそうとしている」

    中国は最近、米国からの半導体輸出禁止措置の影響で宇宙ロケットの発射で相次ぎ失敗している。その点、日本の宇宙ロケットの発射は正確に打ち上げている。

     


    (4)「最近、創設された米宇宙軍は宇宙の衛星軌道から他国の敵対的行動を抑止するために同盟国と協力する「オリンピック防御作戦」を始めた。最初の参加国が英国だ。オリンピック防御作戦の成功のためには自国のロケットを保有する国の参加が必要だ。
    米国が「H2A」など優れた宇宙ロケットを保有する日本との協力を進めている理由の一つだ。何よりも中国に対応するインド太平洋司令部の責任地域で宇宙領域の状況認識をするために日本との協力に積極的だ。これが、日本がファイブアイズの新しい核心国家になろうとする出発点となっている」

     

    日本が、インド太平洋戦略において宇宙領域の監視で重要な役割を果たす。このことから、日本の「ファイブアイズ」参加は決定的というニュアンスである。

     

    (5)「日本は今年5月、航空自衛隊の傘下に宇宙作戦の責任を負う「宇宙作戦隊」という組織を新設した。宇宙作戦隊は日本の宇宙航空開発研究機構(JAXA)はもちろん、米宇宙軍とも協力システムを構築している。日本はさらに航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改称する準備をしている」

     

    航空自衛隊が、航空宇宙自衛隊に改称するという。横に長い日本列島の防衛には、宇宙空間での防衛を固めるというのだろう。「宇宙戦艦ヤマト」の時代が来るのか。


    (6)「日本は中国と北朝鮮の監視を名分に多様な監視衛星を運用中で、米国のように宇宙でミサイル発射を探知する能力も保有しようとしている。こうした警報衛星をいくつか運営すれば、日本に飛んでくる弾道ミサイルのほか、米国に飛んでいく弾道ミサイルの警報も可能だ。米国のミサイル防衛局(MDA)はこうした日本の能力を参酌し、宇宙で極超音速武器を追跡できる「極超音速・弾道追跡宇宙センサー(HBTSS)」プログラムの合流を議論している。日本が宇宙能力の開発に力を注いだだけに、米国が先に手を差し出している状況だ」

     

    日本の宇宙防衛能力は高まっている。米国にとっても日本の宇宙防衛能力が、米国へ向かうミサイルを打ち落とせるという恩恵に浴せるという。日本が、宇宙防衛において強力なチームを組めるまでに成長してきたようだ。韓国も、宇宙能力を高めようとしている。それ以前に、同盟国の米国と十分に情報が共有されているのか、その点から確認する必要があると自戒している。日米関係のほうが、親密度においてはるか先を歩んでいるのだ。

     

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