北朝鮮の最も恐れている米空軍B-1Bが、5月末に航空自衛隊機と合同訓練したと6月10日、米空軍から発表された。B―1Bランサーは、超音速爆撃で最高速度はマッハ1.25、60m~150mの超低空をマッハ0.96、航続距離1万キロ以上を飛行するという離れ業の爆撃機である。これが、東アジアの防衛を担う。
『東亜日報』(6月12日付)は、「米空軍、B―1B『域内のいかなる標的も攻撃可能』」と題する記事を掲載した。
「死の白鳥」と呼ばれるB-1B戦略爆撃機が5月末に韓半島付近で実施した日本航空自衛隊との合同演習を通じて、北東アジアでいかなる標的でも望む時間に攻撃できる能力を培ったと、米軍が明らかにした。
(1)「米空軍は6月10日(現地時間)、最近のB―1Bの展開について、「米国が選択した時間と場所で域内のいかなる標的も危険に陥れることができる能力をアピールした」と明らかにした。B―1B爆撃機の域内展開演習が、地形熟達の次元を越え、有事に北朝鮮をはじめとする域内の「主要ターゲット」を攻撃する手順を点検する内容だったことを示唆したのだ。また米空軍は、B―1B爆撃機が空対地ミサイルや長距離対艦ミサイルなど多量の精密・非精密誘導兵器を搭載して超音速で世界どこへでも飛んで行き、攻撃任務を遂行できると強調した。これを通じて域内の敵国を攻勢的に抑止することで、同盟国の安全保障に大いに貢献しているということだ」
B―1Bが、グアムと朝鮮半島3000キロの距離を2時間弱で飛行する能力を持っている。北朝鮮にとっては、最も恐ろしい超音速爆撃機となっている。空対地ミサイルや長距離対艦ミサイルなど多量の精密・非精密誘導兵器を搭載している。日本にとっても心強い存在だ。
(2)「これに先立ち5月27日、グアム基地を離陸したB―1B爆撃機2機が東シナ海を経て大韓海峡の上空を通過した後、日本航空自衛隊の戦闘機と共に日本列島を一周するように飛行して基地に戻った。この時、釜山(プサン)から約100キロ離れた韓半島付近まで接近した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が5月24日の党中央軍事委員会拡大会議で、核・ミサイル挑発の再開を示唆してから3日後に北朝鮮が最も恐れる米戦略兵器が韓半島付近に飛んできたことをめぐって、米国の北朝鮮への警告という分析が出ている」
北朝鮮は6月12日、米国が敵対的な政策を続ければ、金正恩朝鮮労働党委員長とトランプ米大統領の個人的な関係を維持しても、両国の関係改善は見込めないとの認識を示した。朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。KCNAによると、北朝鮮の李善権外相は、米国の政策は米国が北朝鮮国民にとって長期的な脅威であること示していると指摘。米国の軍事的脅威に対抗するため、より強力な軍を構築すると表明した。
この声明は、いつもの強がりであって新味はない。米国は、グアムにB―1Bを4機配置しており、北朝鮮の軍事挑発に即応できる体制である。
(3)「軍関係者は、「北朝鮮が『レッドライン』を越えれば、核・ミサイル基地や指揮部などが「死の白鳥」の最優先ターゲットになるということを米国が繰り返し認識させた」と指摘した。一方、米空軍は、4月のB―1B爆撃機4機のグアム前進配置後、日本航空自衛隊と数回にわたって迎撃、護衛演習を実施して相互作戦の運用性を強化するとともに、域内の敵国に米国の強力な同盟国防衛態勢をアピールしたと強調した」
下線分は、米空軍がB―1Bと航空自衛隊が数回にわたり迎撃、護衛演習を実施して相互作戦の運用性を強化したと指摘している。これは、「インド太平洋戦略」における空軍の主体が、日米であることを示唆している。海軍でも、海上自衛隊の潜水艦部隊が、中国海軍と最前線で切っ先を結ぶ。海上自衛隊の潜水艦部隊は、米海軍から世界一の折り紙をつけられているほど。潜水艦の静謐(せいひつ)性では、米海軍の潜水艦部隊を凌ぐとされている。中国の潜水艦の下に日本の潜水艦が潜航しているケースもあるという。
太平洋戦争では、日米海軍が激突して日本は弾薬不足で結果的に大敗した。だが、米海軍は日本海軍の技倆を高く評価し、敗戦直後に日本海軍関係者に接触し、その技倆の温存を図らせたほどだ。旧日本海軍の技倆は、現在の海上自衛隊に受け継がれている。こういう話を書いたが、私は戦争を美化する者でない。護りを固めることが、戦争を防ぐからである。