韓国経済に不吉な影が濃くなってきた。9日、新型コロナウイルス大流行(パンデミック)への恐怖に加え、国際原油市況の急落など悪材料が重なったためだ。現状のウイルス騒動が3ヶ月続けば、韓国GDPは1%ポイントの低下が確実とする見方も登場している。
文政権は、ウイルス対策で「日本より上」と自画自賛して顰蹙(ひんしゅく)を買っている。韓国の死亡者数が53人(3月9日)に達しているからだ。日本はクルージング船を含めて16人(同)である。日本の治療効果が成果を上げている証拠だろう。韓国政府が主張するように、コロナウイルスの検査件数を競うのでなく、死亡者数を減らすことこそ治療の使命である。ことの本質を間違えた、優劣論を声高に言うべきでないのだ。
9日は、日本も株価は急落した。だが、円相場は1ドル=101円台へ急騰している。円が「世界の安全通貨」とされているからだ。韓国は、株価が急落してウォン売りを誘っている。世界が見る、日韓の経済力にはこれだけの差がある。この事実を受入れるべきだろう。
9日の韓国株式市場は、新型コロナウイルス感染の世界的な大流行(パンデミック)への懸念が広がり、総合株価指数(KOSPI)が急落した。終値は前日比85.45ポイント(4.19%)安の1954.77だった。昨年8月29日(1933.41)以来の安値水準である。
ウォンは、一気に1ドル=1200ウォン台に急落した。この日ソウル外国為替市場でウォン相場は前取引日より1ドル当たり11.9ウォンのウォン安ドル高となる1204.2ウォンで引けた。外国人投資家の株売りが影響を及ぼしたもの。株価やウォン相場の下落は、韓国経済への不安感の表れである。
『韓国経済新聞』(3月9日付)は、「新型肺炎3カ月間続けば『韓国の経済成長率1ポイント下落』」と題する記事を掲載した。
新型コロナウイルスによる肺炎で韓国の経済成長率が最大1ポイント下落し、就業者数は36万人近く減る可能性があるという分析が出てきた。
(1)「アジア開発銀行(ADB)が8日に発表した「新型肺炎の経済的影響評価」によると、最悪のシナリオでは韓国の国内総生産(GDP)は165億3100万ドル減少することが明らかになった。これは韓国のGDPの1.02%(2018年基準)に相当する。雇用にも少なくない影響を与え、就業者数は35万7000人減ると予測された」
ADBは、最悪シナリオで就業者数が35万7000人減と見ている。OECD(経済協力開発機構)の最新予測では、今年のGDPが2%である。もはや、実現不可能である。最低限、1%ポイントの低下である。これ以上の低下が必至の情勢である。
(2)「ADBが出した最悪のシナリオは、中国旅行禁止と内需減少が6カ月間続き、韓国で新型肺炎が発病して3カ月間持続する場合を仮定した。中国内消費と投資が通常時より2%減少し、韓国で消費が2%減ることも前提条件だ。このほか中国から海外へ向かう観光客は6カ月間半減し、アジア以外の国から東アジア・東南アジアを訪れる観光客数も最上のシナリオより40%減少すると仮定した」
GDPが、1%ポイントも下落する前提は、次のようなものである。
1.中国旅行禁止と内需減少が6カ月間続く
2.韓国で新型肺炎が発病して3カ月間持続する
前記のように新型コロナウイルスは、3ヶ月継続という前提である。だが、現在の感染者数の増加から見て、3月一杯で終息するはずがない。4~6月期へずれ込むのは必至であろう。となると、この前提は崩れる。GDPは「0%台」となろう。
(3)「国策研究機関である韓国開発研究院(KDI)は、この日刊行した「KDI経済動向3月号」で新型肺炎の感染拡大により景気全般が急速に萎縮していると診断した。KDIは「先月の輸出が中国を中心に振るわず、内需も経済心理悪化で萎縮している」と評価した。昨年末から今年1月まで景気不振が次第に緩和されていたが、2月から新型肺炎の衝撃で景気が再び急激に沈み始めたという説明だ」
韓国経済は、2月から急激な落込みである。株価とウォンの急落した背景がこれだ。本欄は一貫して、韓国経済の脆弱性を指摘し警戒信号を上げてきた。いよいよ、本番が来たという実感を否めない。通貨危機へ繋がるかどうか。その瀬戸際である。