勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国の習近平氏が将来、TPP(環太平洋経済連携協定)へ加入希望を持っていると発言した。先のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)署名式での「ハプニング」である。そう、まさにハプニングである。RCEPですら、中国の目標達成はかなりの努力を必要としているからだ。中国が、現状でTPPを口にするとは理解不能である。

     

    中国は当初、RCEPの自由化率でも80%台と緩い目標を出していたほど、国内産業の未熟さに足を掬われている結果だ。その中国が、自由化率99%というハイレベルのTPPへの加入論を口にするのは、中学生が大学入試を受けるような、無謀な話である。

     

    それにも関わらず、習氏がTPP加入問題を口にしたのはなぜか。それは、ベトナムがすでにTPPの「原加盟国」であること。もう一つ、来年には台湾がTPPへの加入交渉を開始するからだ。台湾のTPP加盟は、中国にとってメンツ丸潰れである。台湾については、WHO(世界保健機関)のオブザーバー参加すら拒否する中国だ。台湾がTPPへ加入すれば、中国の立場は「形無し」となろう。本心は、阻止したいのだ。

     


    中国の王毅外相が、日韓を相次いで訪問することになった。その目的について、中国メディアが取り上げている。

     

    『レコードチャイナ』(11月24日付)は、「中国外相の日韓訪問が注目される『三つの時機』ー中国評論」と題する記事を掲載した。

     

    中国の王毅(ワン・イー)外相が今月24日から27日まで日本と韓国を訪問する。これに関連し、中国の評論家の徐立凡(シュー・リーファン)氏は、中国紙『新京報』への寄稿文で、「王氏の日韓訪問が注目される理由は三つの時機にある」と論じている。

     

    (1)「それによると、一つ目の時機は、9日前に中国、日本、韓国を含む東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定が署名されたばかりであることだ。徐氏は、「RCEP交渉は約8年を経てようやく合意した。8年計16回の交渉を続けてきた中日韓自由貿易協定(FTA)交渉も『最後の1キロ』を走り終えることができるかもしれない」と期待を寄せている」

     

    中国は、日中韓FTAの交渉促進を目指しているという。だが、RCEPの達成すら努力を要する中国が、日中韓FTAとなれば、自由化率をさらに上げる必要があろう。中国には耐えられないだろう。真の姿は、米中デカップリング進行の中で、中国が日韓に「すがりつく」という構図が浮かび上がる。

     


    (2)「二つ目の時機は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に関連するものだ。徐氏は、先ごろ開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国がCPTPPへの参加を「積極的に考える」と表明したことを受け、韓国大統領府も「RCEPCPTPPは相互補完的関係にある」としてCPTPPへの参加に「開放的な態度」であることを示唆したと指摘し、「CPTPP交渉の難易度は、中日韓FTAよりも高いだろう。しかし、3カ国の意見交換を妨げるものではない」とした」

     

    中国は、TPP加入問題を話題にしながら、台湾の加入を阻止したいのが本音であろう。韓国もTPPは未加入である。日本の工業製品(特に自動車)が、ドッと輸入されることに神経を払っているためである。このように、中韓のTPPに対する思いは別々で、日本への思惑は複雑である。中国は、台湾と同時にTPPに加入できるようなるまで、台湾の加入を抑えて欲しいという談判であろう。

     


    北京大学の賈慶国教授は、『日本経済新聞 電子版』(11月22日付)でTPPについて次のように語っている。

     

    「日本にとって、(中国のTPP加入問題は)試練になるだろう。断れば中国と敵対することになるからだ。かといって、簡単に受け入れるわけにもいかない。米国が絶対に同意しないからだ」

     

    この中に、中国の傲慢さが滲み出ている。中国がTTPの加入条件を満たせなければ、もともと加入は不可能である。そういう中国の条件不備を棚に上げて、日本を脅迫する言動は絶対に許すべきでない。この裏には、台湾をTPPへ加盟させて中国を阻止すれば、「ただではおかない」という暴力的な臭いである。中国は、どこまでも幼稚なのだ。

     

    (3)「三つ目の時機は、中日韓3カ国首脳会談に関連するものだ。徐氏は、「これまでに計8回開催され、今年は議長国を務める韓国が12月の開催を望んでいる。今年は日本の首相が交代したため、中国は日本側と意思疎通する必要がある。王外相は今回の訪日で菅義偉首相との初会談が実現する」とした。その上で、「王外相の日韓訪問の主題は、3カ国による首脳会談の開催および新たな経済圏の構築のための基礎固めだ。3カ国はいずれもGDPが世界トップ10に入る。自由貿易で一歩前進するという姿だけでも、外部から注目されるには十分だ」としている」

     

    中国は、日本に対して日中韓3ヶ国首脳会談を開催できるように要請するのであろう。日中韓首脳会談が開催できれば、米国へ対抗できるという「見栄」である。日韓は、米国の同盟国である。中国が、その日韓と首脳会談すれば米国へ何らかの対抗シグナルになると考えているのだろうか。現実には、なんの外交的な意味もない。米国から足元を見透かされるだけだろう。

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    サムスン・グループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長が先月死去した。サムスンを世界的なIT企業に成長させた経営手腕が、高く評価されている。サムスンは、韓国で進歩派から蛇蝎のように嫌われている。だが、韓国経済をしっかりと支えているのは、そのサムスンなのだ。サムスンが躓(つまづ)けば、韓国が転ぶところまで来ている。韓国の財閥制度に問題のあることは事実。サムスンを憎むより財閥制度の民主化が先である。

     

    『レコードチャイナ』(11月21付)は、「韓国経済に影響を与え続ける日本の『植民遺産』」と題する記事を掲載した。

     

    『新浪財経(11月19日付)は、韓国サムスン・グループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長が先月死去したことに関連し、日本の「植民遺産」と韓国経済の関係について論じた文章を掲載した。以下はその概要。

     

    (1)「10月25日に李会長がソウルで78歳で死去した。2014年に心筋梗塞を発症して以降、会社経営は事実上長男が担っていたが、サムスン帝国2代目逝去の知らせは、やはり世界各国から注目を集めた。この訃報は大手メディアによって大きく報道されたが、メディア以外で真っ先に反応したのは日本の早稲田大学であり、深い哀悼の意を示す声明を発表した。李氏は1965年に同大学第一商学部を卒業し、2010年には同大学から名誉博士の称号を授与されていた。韓国の財閥トップが日本で高等教育を受けたケースは他にも多くある。歴史的な理由も絡んで、李氏に代表される韓国経済界は日本と切っても切れない関係性を持っているのである

     

    サムスンの基礎は、日本の企業が支援したから強固なものになった。その意味で、日本との関係は密接である。韓国進歩派は、「反日不買」を叫び日本を仇敵扱いしているが大きな間違いである。韓国経済は、日本経済のコピーである。

     

    (2)「日本の植民時代に栄えた朝鮮半島の大企業は、日本の敗戦によってその輝きを失ったが、戦後に韓国で「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を支えたサムスン、現代、LGといった新財閥はみな植民時代に創業していたのだ。李氏の父親で、サムスン・グループ創始者である李秉喆(イ・ビョンチョル)氏は1910年に慶尚南道の大地主の家に生まれた。1929年には早稲田大学政経科に入学して日本のマネジメント知識を学び、その後中退して朝鮮半島に戻り、馬山で精米所を立ち上げて実業家としてのキャリアを踏み出し始めた。当時は、朝鮮総督府の政令により設立された朝鮮殖産銀行から大きな金融支援を受けており、政府機関と良好な関係をつくったことも、会社を大きく成長させる大きな要因になった」

     

    私は、記者時代にサムスン・グループ創始者である李秉喆氏に取材している。その際、サムスンが半導体へ進出する際の裏話を聞くことができた。日本の半導体技術者が、「土日」を利用して大挙してソウルへ行き、「ノウハウ」を伝授したと言うのである。厳密に言えば、違法な技術窃取である。正式な対価を日本企業に払わず、アルバイト料で済ましたからだ。

     

    現在の中国が、半導体製造で苦悩しているのは、米国によって「ノウハウ」を伝授してくれる先を奪われてしまったからだ。親のいない子ども同様で、中国半導体は苦悶している。

     


    (3)「1938年には三星商会という商社を設立し、日本の植民者が朝鮮半島や中国東北部に建設した先進的なインフラを利用し、安定的な成長を実現した。そして日本による植民統治終了後の1948年に三星物産を創設、朝鮮戦争で大きな利益を得ると、1950年には日本を視察に訪れるとともに、日本企業と良好な関係をつくった。さらに、日本の戦前の財閥を参考に組織の再構築を進め、1960年以降は日本の各界との意思疎通や世界の市場動向把握のために毎年年末を東京で過ごすようになった。1965年に日韓の外交関係が復活すると、サムスンは日本の制度を一層学んでいったのである」

     

    韓国の財閥制度は、日本の戦前のそれを模倣したものだ。マッカーサーが、日本財閥を解体させて、日本の「経済民主化」を実現させた。その意味で成功したのだ。韓国は、日本の悪い制度を有り難がって導入し、「経済民主化」を阻害した。韓国労組の「貴族化」は、財閥制度の生み出した副産物と言えよう。

     

    (4)「1980年代に入って韓国経済が発展の軌道に乗ると、韓国企業の対日依存は減少した。サムスンは半導体事業に参入し、日本企業とはライバル関係になった。そして日韓両国間で歴史問題を中心とした対立が起きるようになっていった。しかし、これによって韓国経済から日本の要素が完全に消えたと言えば、これは事実に反することになる。李氏は父親と同じ早稲田大学に進学した。そして、たびたび公の場で日本から学びたいと語り、日本式のOJT(新人教育)を積極的に取り入れ、人材育成に努めた。また、今や主力産業となっている半導体分野は、原材料の90%近くを日本から輸入しており、これを完全にストップすることは不可能だ」

     

    韓国は反日を叫ぶが、日本への劣等感の裏返しである。それは、日韓併合を冷静に分析していない結果だ。朝鮮の近代化は、日韓併合によって進んだ。日本が欧米の思想や技術などを導入した結果だ。韓国は、そういう事実を絶対に受入れず、自力で行ったと噓の歴史を吹き込まれている。真実を知らないからすぐに反日へ飛びつく。サムスン発展の歴史の後ろに日本が控えていた現実を知るべきである。

     


    (5)「歴史が再び塗り替えられることがない限り、日本の「植民遺産」は韓国経済に影響を残し続け、日韓両国の知恵比べや両国関係のバランス取りにおける永遠のテーマなのである」

     

    日米が、戦争のわだかまりを乗り越えて協調できるのは、日本が敗戦の事実を正しく受入れているからだ。それは、日本が開戦責任を認めていることにある。日韓関係では、合理的な解釈が成り立たず、すべて感情論である。「謝罪と賠償」がワンセットになっている。忘れた頃になると、これを持ち出して自らの劣等感を慰めているのだ。劣等感を乗り越えるには、日本を冷静に観察することである。その上で、自らの弱点を認識して改めることだ。

     

    日本が、敗戦責任を深刻に受け止めたから、「憲法9条」に今も拘っているのである。平和憲法は、米国から押し付けられたものでない。焼け跡の中からわき上がった、日本国民の選択である。

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    韓国メディアの風向きが変って来た。福島原発処理水の海洋放出についてこれまで、ことごとく反対記事を流してきた。駐韓日本大使館が20日、韓国外交部担当記者団に対して行われた、福島第1原発処理水の海洋放出説明会記事では、これまでと空気ががらりと変った。報道記事にトゲトゲしさが消えているのだ。韓国メディアが、対日外交好転に一役買おうという意図も感じられる。それほどの変化なのである。

     

    『ハンギョレ新聞』(11月22日付)は、「日本『福島原発の汚染水の海洋放出を近く決定』、韓国と協議しない方針を明らかに」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本政府が近く福島原子力発電所の「汚染水」(注:処理水)の海洋放出を決定する見通しだ。そうなれば、汚染水の実際の放出は、2年後の2022年夏ごろに行われることになる。駐韓日本大使館当局者は20日、東京電力福島第1原発で発生した汚染水の海洋放出に対する日本政府の決定が「近いうちに出ると思う」と述べた。同当局者はさらに「放出が決定されたとしても、直ちに放出が行われるわけではなく、常識的に考えて2年後に行われるだろう」と述べた」

     

    韓国与党議員は、日本が福島原発の処理水を海洋放出したならば、一切の日本産の海産物を輸入禁止処分にすると騒いできた。そういう過激な「反対論」がこの記事からも消えている。これは、先に訪日した韓日友好連盟議員が日本側に「日韓感情改善」という約束を守っている結果と見られる。噓のように穏当な記事になっているからだ。

     


    (2)「日本政府はこれまで、汚染水の放出が不可欠な理由として、福島第一原発に対する「廃炉」作業を完了するためには、今ごろ決断を下さなければならないと述べてきた。すでに原発敷地周辺が汚染水貯蔵のための巨大な水タンクでいっぱいになり、これ以上事態を放置しておくと、廃炉作業そのものに支障を来すということだ。日本政府はタンクを増設しても2022年10月頃には保存容量が限界に達するとみている」

     

    日本政府が22年10月を処理水の海洋放出開始の時期と定めたのは、処理水のタンクが満杯になることと、廃炉作業の準備という限界あってのことだ。こういう物理的な理由が説明されると、韓国が反対することは内政干渉となる。

     

    (3)「日本政府は海洋放出対象である「汚染水」について、多核種除去設備(ALPS)を通じてトリチウム(三重水素)以外の大部分の放射能物質を除去したという意味で「処理水」という言葉を使っている。同当局者も「隣国の皆さんが大変心配していることは知っている。処理水内の大半の放射能物質は除去されている。ALPSで完全に除去されないトリチウム(三重水素)についても、科学的に定められた排出基準を満たすように希釈してから放出することになる」と付け加えた。しかし放出決定については「主権国家として、我々が行う」とし、決定自体については韓国政府と協議する意思がないことを明確にした」

     

    処理水では、トリチウム(三重水素)以外の大部分の放射能物質を除去している。トリチウムについては、さらに科学的処理を行い希釈してから放出する。この問題に付いては、主権国家として、韓国政府と協議する意思はない、と明確にした。韓国の干渉を拒否するという強い姿勢を見せたのだ。韓国メディアへの教育効果を狙ってもいるようだ。

     

    (4)「ただ、韓国政府が要請した場合、汚染水の放出が環境に及ぼす影響を追跡するモニタリングなどの韓日共同調査には応じる計画だと明らかにした。同当局者は共同調査などと関連し、「(韓日両国間で)方法が決まっていないため、(日本政府が)一方的に検討していると聞いている。韓国政府の立場があるため、(日本政府が)言うべき事項ではないが、環境モニタリングに対して私たちがどうすべきか、どの程度安全なのかなどモニタリング方法を慎重に検討している。韓国政府がどのような形で関与するかは、これを基に検討が行われるだろう」と述べた」

     

    韓国が要請すれば、日韓共同モニタリング調査を行う。日本が、このようにオープンにしていることで、韓国が反対のための反対を言いにくい状況がつくられている。韓国で見られた従来の反対論は「感情論オンパレード」であった。日本の「公開姿勢」で韓国社会の反対論は勢いを失うかどうか。少なくも、メディアが反対音頭を取ることはなさそうだ。

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    韓国の対日外交が、急回転している。これまでの仇敵に対する言動から、親しい隣国として日本を遇し始めているからだ。日本側が、特別に韓国へメッセージを送った訳でもない。菅新政権の誕生で、何かが変るだろうという漠然として期待からだろう。

     

    それに拍車を掛けたのが、米国でバイデン新政権が誕生することだ。バイデン氏は、同盟の結束を重視するという姿勢を明らかにしている以上、日韓関係の破綻原因が韓国側にあるとの自覚を強めざるを得なくさせている。日韓慰安婦合意の舞台裏でバイデン氏は当時、副大統領として関わっていた。その日韓慰安婦合意が、文政権によって一方的に破棄されたのだ。文政権は、バイデン氏に合せる顔がないのだ。慌てふためくのは当然であろう。

     


    『ハンギョレ新聞』(11月18日付)は、「韓日議員連盟会長、『菅首相、韓国が“進展した立場”示すよう繰り返し求めた』」と題する記事を掲載した。

     

    この記事には、日本側を非難するトーンがないことに驚く。これまでの例では、韓国側を擁護して、日本を非難するものがパターン化してきたのだ。それが見られないのは、韓国が相当、不利な状態に追込まれていることを覗わせている。

     

    最近、韓日議員連盟会長として日本を訪問し、菅義偉首相と面会した共に民主党のキム・ジンピョ議員が、韓日関係改善を望む日本側の意思を確認したことを明らかにした。ただし、菅首相は韓国の最高裁判所(大法院)による強制徴用被害者賠償判決について、韓国が先に「進展した立場」を示すべきという立場を貫いていると、キム議員は伝えた。

     

    (1)「キム議員は16日、CBS(キリスト教放送)のラジオ番組に出演し、菅首相との面会結果について、「両国関係をこのまま放置してはならない、改善すべきだという意志を互いにはっきりと確認したと思う」と述べた。さらにキム議員は「菅首相が、元徴用工問題の解決のために、韓国が進展した立場を示してほしいという話を12回繰り返した」と付け加えた。キム議員をはじめとする韓日議員連盟所属の与野党議員は、12日から2泊3日の日程で日本を訪問した」

     

    下線部分によって、日本の主張が全く変っていないことが韓国側にはっきりと伝わったことだ。韓国は、韓国大法院判決が、国際法からかけ離れていることを自覚せざるを得ない立場にある。当時の大法院判決で、2人の裁判官が国際法から外れているとして反対していたのである。

     

    (2)「キム議員は同日、KBS(韓国放送)ラジオ番組にも出演し、「最近(日本を訪問した)パク・チウォン国家情報院長の(訪問の)時もそうであり、私に会った時も、菅首相が『韓日関係が健全な関係に発展するためには、元徴用工問題について韓国政府の進展した立場が必要だ』と繰り返し強調した」と説明した。キム議員の話を聞く限り、日本は「1965年の請求権協定で韓日関係の債権、債務はすべて清算されたが、韓国最高裁がこれを無視して判決を下したため、この問題は韓国政府が解決すべきだ」という立場を維持していると見られる。ただし、キム議員は「この2年間、(中略)日本側も韓国側もさまざまな代案を示してきたと聞いている」とし、「結局、今は両国首脳間の選択と決断だけが残っている」と述べた

     

    下線部分は、前国会議長の文氏が昨年暮れに提案した法案を指している。これは、日韓の民間有志による寄付金で、旧徴用工へ賠償金を払うというもの。「代位弁済」という形を取り、永遠に解決して蒸し返さない狙いだった。被害者側も乗り気になり、1万人の署名を集めて法案化を請願した。だが、市民団体による反対で文政権は腰砕けになった経緯がある。

     

    日本政府もこの案に賛成していたが、日本側の謝罪がないという理由で最終的に葬りさられた。前首相の李氏は、つい半月程前までこの案を否定していた。それが、再び復活しそうな状況である。韓国側に一貫した姿勢がなくフラフラしていることが、韓国外交が風見鶏と言える理由である。

     

    (3)「キム議員はKBSとのインタビューで「(反日、反韓感情が依然として強く)環境は良くない」とし「妥結できれば妥結するが、これがまた拙速な妥結となれば、(状況を)さらに悪化させる恐れがある」として、懸念を示した。両国の隔たりを埋めて、合意案を“妥結”するよりも、関係悪化を防ぐための“管理”の必要性を強調したのだ。輸出規制問題を先に解消したり、来年夏の東京五輪をきっかけに、両国間の交流協力を強化するなど信頼を築いていけば、過去の歴史問題でも突破口を見出せるという趣旨でもある。キム議員は「日本が受け入れられる代案を、韓国も日本も提示したものがある。それらに基づき、最大限距離を縮めなければならない」と述べた」

     

    下線部は、前記の日韓による民間の寄付金を原資にするもの。日本側では、寄付の条件として名前を出さないことを要求しているなど、具体的な動きも見られた。

     


    (4)「一方、キム議員は同日、YTNのラジオ番組にも出演し、来年初めに米国のバイデン政権が発足した後の朝鮮半島情勢について「バイデン氏は韓米日の三角戦略同盟を非常に重視する立場だった」とし、「当然(韓日)両国に対する関係改善の圧力も高まるだろう」と予想した」

     

    このパラグラフで、韓国がバイデン政権の出方に神経を使っていることが浮き彫りになっている。韓国が、日韓慰安婦合意を破棄したことの後ろめたさを「告白」しているようなものであろう。

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    日本の自衛隊が、豪軍と事実上の「準軍事同盟」を協議し、米軍とは宇宙戦略で共同歩調を取っている。韓国メディアが、これについて神経を使った報道を始めた。おまけに、「米国新政権への移行期を狙った」ものと注釈付きである。はなはだ、飛躍した報道である。日米同盟下の自衛隊は、そのような姑息な手段を弄する必要性がないのだ。

     

    この報道を見ると、暗黙裏に韓国軍との比較をしている。自衛隊が、他国軍隊と関係を深めていることに比べ、韓国軍はせいぜい発展途上国へ武器を売り込む程度である。その試射会で最近、大失敗したと報じられた。この内向きの韓国軍に対して、自衛隊は民主主義国家の軍隊と協力関係を深めている。ドイツ軍は、NATO(北大西洋条約機構)の一員として、世界の果てまで進軍すると宣言している。自衛隊も米豪軍と同一歩調を取っているのだ。心配はご無用。間違っても韓国へ近づくことはない。

     


    自衛隊は、日本国憲法上では軍隊の位置づけになっていない。「警察予備隊」のままである。こういう歪な形だが、国家固有の自衛権に基づく存在であって、韓国メディアがとやかく批判する問題ではない。それどころか、米軍や豪軍と多角的な協力をすることで、自衛隊が国際的に認知されていることの証明である。この方が、自衛隊が「独走」しない足かせであり、韓国は歓迎すべきことだろう。自衛隊が、朝鮮半島へ上陸するのでないかと、真顔で議論している韓国だ。韓国を「占領する」メリットはゼロ。理性的に考えれば分かることだ。

     

    『中央日報』(11月21日付)は、「軍隊ない日本の『あやしい崛起』、豪州と軍事同盟、米国と宇宙同盟」と題する記事を掲載した。

     

    日本が自衛隊の地位と軍事力を強化する動きを見せている。オーストラリアと事実上「軍事同盟」を協議し、米国とは大陸間弾道ミサイル(ICBM)迎撃実験をし、宇宙開拓も本格化している。米政権交代期というあいまいな時期、北朝鮮・中国牽制を名分に軍事強国の地位を固めようという試みと解釈される。

    (1)「日本は中国と対立するオーストラリアと最近、急速に蜜月関係を築いている。17日、スコット・モリソン豪首相を東京に招請し、「共同訓練円滑化協定(RAA)」を締結することで大筋合意した。この協定は、自衛隊とオーストラリア軍が共同訓練や災害救助をする場合に出入国手続きを簡素化し、課税や処罰などの規則を事前に決めることを骨子とする。事実上オーストラリアを米国に続く軍事同盟国と見なすという趣旨だ。日本国内だけに適用される米軍との関係規定である日米地位協定とは違い、この協定は同じ形で両国に適用される。日本メディアはこうした協定を「戦後初めて」と強調した」

    中国の軍備拡張と南シナ海での島嶼占領に伴う軍事基地化という新たな脅威に対して、日本が米軍や豪軍と共同歩調を取ることは許されないのか。自衛権は、国家固有の権利である。この厳粛な事実を忘れては困る。

     


    (2)「菅義偉首相はこの日、「両国は自由や民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有している特別な戦略的パートナーであり、自由で開かれたインド太平洋の実現に共に取り組んでいく」と述べた。「自由で開かれたインド太平洋」は東シナ海と南シナ海で中国を牽制する時に米国がよく使う表現だ。オーストラリアと共に中国の脅威に対応するというのがこの協定の目標ということだ」

     

    中国が、南シナ海を軍事要塞化させる目的は、米中戦争になれば封鎖して世界の物流を遮断して対抗する意思である。こういう見え透いた戦術に対して、日米豪印が結束した動きを始めたのだ。

     

    (3)「しかし、菅政権が中国の脅威を口実にして自衛隊の正式軍隊化を進めているという見方が少なくない。日本の平和憲法上、自衛隊は厳密にいえば軍隊でない。にもかかわらずオーストラリア軍と同じ地位で対等な協定を結んだのには、そのような意図が隠れているということだ。平和憲法に自衛隊の存在の根拠を明記しようとする菅政権の立場では、自衛隊を正式軍隊に格上げできる一つの根拠が用意されたのだ」

     

    自衛権が、国家固有の権利であるという前提に立てば、自衛隊の性格を巡る議論はナンセンスである。法的に見た位置が、「警察予備隊」としても戦闘能力を保持している点では、軍隊である。それが戦後75年間、一人の戦死者も出さなかった誇るべき平和の記録を打ち立てた背景だ。日本の政界を見れば、憲法を改正して自衛隊を軍隊とする立場は、野党でも共産党と社民党を除けば賛成の方向である。

     

    憲法9条と自衛隊の関係をどう整合的に説明するか。現在の視点は、そういう法的な技術論の段階へ進んでいる。日夜、日本の安全保障に挺身している自衛隊を日陰の身において言い訳がない。正統な位置を与える段階へ来ている。





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