韓国では現在、再び「親日」か「北朝鮮追従」かという、果てしない歴史戦争を繰り広げている。海上自衛隊創設70周年を記念した国際観艦式参加をめぐって、韓国兵が旭日旗へ敬礼するのは「屈辱」という認識だ。北朝鮮が連日、ミサイル発射実験を続けるという緊迫した中で、「茹で蛙」論争をしているのである。朝鮮李朝末期に、国際情勢急変を認識しないで結局、日本の保護下になったと同じ状況の繰り返しである。民族特性であろう。
『中央日報』(11月7日付)は、「韓国野党、尹政権『韓国海軍が旭日旗に敬礼するようにさせた どこの国の政府なのか』」と題する記事を掲載した。
野党「共に民主党」は6日、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が国民の反対にも韓国海軍が日本の旭日旗に挙手敬礼するようにさせた」と批判した。
(1)「イ・スジン院内報道官はこの日「旭日旗を旭日旗といえない尹錫悦政権はどこの国の政府ですか?」という見出しの書面会見を通じこのように明らかにした。これに先立ちこの日午前、日本の海上自衛隊は創設70周年を記念して神奈川県の相模湾で2回目の国際観艦式を開催した。日本の岸田文雄首相は空母級と評価される「いずも」で観艦式に参加した各国艦艇を観閲した。自衛隊の護衛艦、補給艦、輸送艦、潜水艦が順に登場した後、日本の護衛艦「あしがら」に続きオーストラリア、ブルネイ、カナダなど外国海軍の艦艇が姿を表わした。韓国海軍が派遣した最新鋭補給艦「昭陽(ソヤン)」(1万1000トン級)は12カ国中9番目に航海した。
国際観艦式は、同盟国や友好国との親善を意味するものだ。結婚式に招待された時、新郎新婦やその親族に挨拶するようなもの。儀礼である。旭日旗は、日本政府が決めたものである。海外も承認している。旭日旗に反対している国は、韓国を除けば皆無だ。他国の国旗や軍旗に敬意を払うのは、国際的常識である。この常識に唯一、挑戦したのが文在寅政権である。韓国の観艦式で、海上自衛艦の旭日旗掲揚を阻んだのだ。無論、日本は拒否して観艦式に参加しなかった。韓国も旭日旗が嫌なら不参加の道があった。
(2)「ユーチューブで中継された映像を見ると、韓国海軍は他国の海軍と同じように「いずも」に向かって挙手敬礼した。これに対してイ院内報道官は「尹錫悦政権は、海上自衛隊旗は旭日旗と『形は似ているが、赤い円の位置が違う』というあきれた詭弁を広げている。だが日本外務省も自衛艦旗を汎旭日旗と認めている。尹錫悦政権だけ旭日旗を旭日旗だといえずにいる」と指摘した。続けて、「単に旭日旗だけの問題ではない。尹錫悦大統領は大統領選挙当時すでに有事の際の日本軍の韓半島進出の可能性を開いておくことで議論を呼び起こした」と強調した」
韓国左派(野党)は民族主義集団であり、内心では朝鮮戦争を肯定している。朝鮮戦争が、民族の統一戦争という位置づけであるからだ。共産化しても構わず、ともかく南北統一という信念に燃えている。この集団にとっては、旭日旗が邪魔な存在にちがいない。朝鮮有事になれば、在韓米軍の後方基地がある日本から出撃する。そういう日本の存在は疎ましいのであろう。
(3)「イ院内報道官は、「韓国の安保の根幹は韓米同盟。国際的衝突の可能性が漸増する北東アジア情勢で韓米同盟を置いてやむを得ない韓日安保協力を押しつける理由は何なのか」と尋ねた。合わせて、「日本は日帝強占期強制徴用被害者問題解決から目をそらし、国連の日本軍『慰安婦』問題勧告案さえ履行しないでいる。対北朝鮮抑止力に必要な韓米軍事同盟以上の、日本の韓半島再進出の野心をあおり立てる韓日安保協力は妥当でない」と付け加えた」
韓国左派は常々、米軍の韓国駐留自体を拒否する姿勢を滲ませている。ましてや、日本までが対北朝鮮戦略で結束されては困るのだ。旭日旗拒否の裏には、こういう深層心理が働いていると見るべきだろう。朝鮮戦争の悲劇は、左派にとっては悲劇でない。南北統一が、米軍の参加で阻まれたという認識である。憎いのは米軍なのだ。仁川にあるマッカーサー元帥の銅像は、左派によってペンキを塗られたり、燃やされるなどの被害を受けている。北朝鮮を敗北に追込んだのは、マッカーサーによる仁川での「敵前上陸」で戦況を大きく変えた結果である。仁川は、その歴史的記念の場所である。