a0960_008531_m
   

自動車は、いよいよEV(電気自動車)主流時代へ移行する段階へ来た。部品点数が、ガソリン車の3分の1で済むことが、新規参入のハードルを引下げている。これまで、自動車と無縁の企業が、相次いでEV参入意向を示している。

 

ソニーは昨年1月、米国ラスベガスで開催されたIT家電ショー「CES(セス)2020」で、電気自動車「VISION-S」を発表した。ソニーでは、これまでの10年間、生活を根本から変えたのはスマートフォンであった。今後は、クルマのEV化が新たな移動手段を生み出すきっかけになるという見通しを固めている。

 

自動車評論家によれば、「VISION-S」は、ソニーならではのアイデアが随所に生かされているという。例えば、ソニーはビデオカメラ等で培ったイメージセンサーで世界を席巻しており、その勢いはスマートフォンから自動車用デバイスにも及んでいると指摘している。

 


ソニーは今年1月11日、オーストリアで公道走行テストを開始したと発表した。いよいよ、「ソニーEV」が現実になろうとしている。ところが、自動車企業でないソニーは、どうやって組立てを行なうのか。試作車をつくった
オーストリアのマグナ・シュタイヤーが、「手の内」を明らかにした。

 

『日本経済新聞 電子版』(3月5日付)は、「ソニーも頼る車体生産のマグナ EV分業のモデルに」と題する記事を掲載した。

 

米アップルが電気自動車(EV)参入を検討し、車業界で開発や生産を分担する「水平分業」の機運が高まる。注目されるのが車の開発・生産受託の世界大手でソニーのEVも試作するマグナ・シュタイヤー(オーストリア)。フランク・クライン社長は日本経済新聞の取材に「マグナは車業界のフォックスコン(台湾・鴻海=ホンハイ=精密工業傘下)になりつつある」と述べた。

 

マグナはこれまでに10社、30モデル、累計370万台の車を生産した。独メルセデス・ベンツの高級多目的スポーツ車(SUV)「Gクラス」、独BMWのセダン「5シリーズ」、トヨタ自動車のスポーツ車「GRスープラ」などだ。ソニーのコンセプトEV「VISION-S(ビジョンS)」の製造を受託し、最近は一部報道で、アップルが参入を検討しているEVの提携先の候補として取り沙汰された。


(1)「マグナの生産拠点はオーストリアのグラーツを中心に、スロベニア、中国などにある。年間35万~40万台の車を生産できる。これまでは完成車メーカーの高級車など、生産台数の少ないモデルを中心に開発や生産を受託してきた。脱炭素で世界的にEVの需要が高まる見通しのなか、自動車以外の業種による参入が増える可能性があり、マグナはその受け皿になりうる」

 

マグナは、年間35万~40万台の生産実績を持っている。歴とした自動車メーカーである。

 

(2)「フランク・クライン社長は、「マグナは車業界で既にフォックスコンのような存在になっていると思う。自動車生産は多くの経験が必要だ。車は時速200キロメートル以上で高速道路を走行できなければならず、マグナが手がける受託生産に参入するのは難しいだろう」と指摘する」

 

マグナは、社名こそ表面に現れないが、車づくりのノウハウは十分に身につけている。台湾のアイフォーン受託企業の鴻海が、EVへ進出するといっても単独での進出は不可能である。中国の自動車企業と提携関係を結んでいる。

 


(3)「クライン社長は、また「ソニーとの関係は長く、2年ほど前から開発に取り組んできた。ソニーのチームとしての速さに驚かされた。オーストリアでは完全に機能する試作車を走らせることができた。ソニーが自動車産業に参入するかどうかはソニー自身が決めることだが、(ビジョンSは)突出した品質だと思う」と付け加える」

 

ソニーの担当役員が、トヨタのGRスープラも生産するマグナの生産現場を見て気づいたのは「EVならソニーも新たなモビリティとしては関われるかもしれない」ということだった。それが2018年初頭のこと。そこからVISION-Sの開発はスタートした。

 

開発にあたって、全体のデザインをソニーが行い、そのデザインに基づいてマグナが完成車までを担当した。マグナには、多くのサプライヤーをまとめ上げるノウハウがあり、わずか2年で実走行できるレベルにこぎ着けられた。マグナの協力があったのは間違いない。ITジャーナリストの会田肇氏が、以上のように指摘している。

 

下線のように、マグナはソニーEVの優秀性に太鼓判を押している。すでに走行テストに入っていることは、販売を目標に掲げた証拠であろう。ソニーのイメージで売り出すEVが、世界の市場でどのような反応を呼び起こすか興味深い。

 

次の記事もご参考に。

次の記事もご参考に。
中国、「倒産の前兆!」不動産大手に赤信号、中国恒大集団が子会社のEV事業で「資金調達」

2021-03-06 
中国、「漂流経営」ファーウェイ、養豚事業の次はEV進出報道 技術未成熟国家の「悲劇」

2021-02-27