勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: NATO

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    英国の最新鋭空母「クイーンエリザベス」は、韓国釜山に寄港予定であったが直前に取り止めた。理由は、新型コロナウイルス感染予防というもの。韓国軍とは、形式的な通信の演習に止めた。韓国政府が、中国へ遠慮して「尻つぼみ」になったものだ。

     

    韓国は、寄港直前に釜山寄港を中止するという外交的にも気まずい結果になった。多分、中国の圧力によるものだろう。韓国は、英国にこうした「不義理」をしながら、軽空母建艦に当っては、「クイーンエリザベス」の建艦ノウハウ導入を希望している。英国は、どのように対応するか不明だが、釜山寄港を断わりながら建艦ノウハウは伝授してくれと言う身勝手さである。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月6日付)は、「英海軍の空母『クイーンエリザベス』釜山寄らず横須賀に入港」と題する記事を掲載した。

     

    英海軍の最新鋭航空母艦「クイーンエリザベス」が4日、横須賀港に入港した。8月末に予定されていた釜山(プサン)への入港を取り消した直後に行われたことから、関心が集まっている。

     

    (1)「NHKは5日、「英国空母クイーンエリザベスが米第7艦隊の母港横須賀港に入港した。今後自衛隊と合同演習を実施する予定」だと報じた。当初、クイーンエリザベスは8月末に釜山に入港する予定だったが、この計画は「厳しくなった新型コロナ感染拡大状況」(韓国国防部)のため、実現しなかった。このため、韓英海軍は8月31日、東海南部海上で人道主義支援と災害救助中心の訓練など、縮小した交流活動だけを実施した。 韓国と同じくコロナ禍に見舞われている日本は、韓国国防部の決定からわずか4日後、英国空母の入港を受け入れたのだ」

     

    英国は、韓国へ反感を抱いているはずだ。事前の約束である「釜山寄港」をキャンセルしたからだ。文政権は、こういう外交的な不義理をしてまで中国のご機嫌伺いしている。これが、経済的な利益になるという計算だが、中韓の技術格差の接近で「韓国ブランド」は落ち目である。韓国のやっていることは、本末転倒なことばかりである。

     


    (2)「スティーブ・モアハウス空母打撃軍司令官は横須賀到着直後、ツイッターに「この地域で最も密接な安全保障上のパートナーである日本と演習及び交流を行うため、英国空母打撃軍が日本に到着した。英日関係はこの地域の安全と安定に対する英国の関与において非常に重要だ」という書き込みを残した。彼はツイッターに掲載した1分36秒の動画で、「日本をはじめ、志を共にする国々とともに、英国は民主主義の価値を維持し、共通の脅威に対応する」という覚悟を明らかにした。ジュリア・ロングボトム駐日英国大使も、空母が港に接岸した直後に「空母クイーンエリザベスが日本に到着した。横須賀に接岸する船を迎えることができて非常に光栄だ」というメッセージをツイッターに残した」

     

    英空母打撃軍司令官は、横須賀寄港後に下線のような動画と特別メッセージを発表した。日本の加藤官房長官は6日午後の会見で、次のように語った。英海軍の空母クイーンエリザベスを中心とした英国の空母打撃群と海上自衛隊との共同訓練が8月下旬から日本近海で行われてきたことは、日英防衛協力が新たな段階に入った象徴であるとの見解を示したもの。

     


    日本では最近、日英同盟時代への復帰という説が唱えられている。英国は、かつての日露戦争を蔭から支援して、日本勝利に大きく貢献した。同様に、今回の英空母と打撃陣の日本寄港と自衛隊との合同演習が、日英新時代の到来を告げるものである。

     

    韓国としては、英国最新鋭空母が自国へ寄港せず、日本で6日間も寄港することが、国際的にどのようなメッセージを与えるか、深く考えるべきことだろう。

     

    (3)「インド太平洋地域の主要国であり、米国の核心同盟国である韓国と日本がクイーンエリザベスの入港に示した異なる態度は、欧州主要国に参加範囲が拡大している「インド太平洋構想」に対する両国の「戦略的判断」の相違を反映しているといえる。英国など欧州主要国と力を合わせ、事実上「中国牽制」が目的のインド太平洋構想を深めようとする日本と異なり、韓国は米国と中国の間で「微妙なバランス」の維持に努めている

     

    下線部のように、米中対立のデカップリングが進行する中で、韓国が二股外交を継続できるはずがない。韓国のこういう現状認識の甘さが、韓国外交を行き詰まらせるであろう。米国は、同盟国の一致した行動を求めているのだ。

     


    (4)「日本に到着したクイーンエリザベスは同時期に入港した米国、オランダの艦船と共に、7日まで「パシフィッククラウン21-3」という名の多国籍共同訓練を行う。日本の海上幕僚監部は2日、この訓練の実施を知らせる報道資料で、「海上自衛隊は、『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けた連帯を強化すべく、次の通り英海軍、米海軍、オランダ海軍及びカナダ海軍と共同訓練を実施する」と明らかにした。訓練が行われる地域は、中国と日本の間の領土紛争が続いている東シナ海から関東南方につながる広い海域だ。今回の訓練では、クイーンエリザベスの艦載機として、垂直離着陸能力を保有しているF35-Bも参加する」

     

    自衛隊が、東シナ海から関東南方につながる広い海域で、英海軍、米海軍、オランダ海軍及びカナダ海軍と共同訓練を実施する意味を考えるべきである。これは、日本がNATO(北大西洋条約機構)へ加盟する前提での演習であることだ。日本は、NATOへ加盟するとして、韓国はどうするのか。米中の「バランス外交」などと夢のようなことを言わず、厳しい現実認識に立ち返るべきである。

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    G7首脳会談が6月13日に終わった翌日、NATO(北大西洋条約機構 30ヶ国加盟)首脳会談は、中国を安保リスクに掲げた。ロシアのような敵対国の位置づけではないが、それに準ずるということである。

     

    G7では、中国へ対して温度差があると報じられている。ドイツとフランスが、対中経済関係を重視して、他の5ヶ国とニュアンスの違いがあるというもの。だが、NATO首脳会談では、中国を安保リスクと規定する予定である。中国にとっては、芳しからざるニュースである。

     

    『ロイター』(6月14日付)は、「NATO首脳会議、中国を安保リスクと初めて位置付けへ」と題する記事を掲載した。

     

    北大西洋条約機構(NATO)はバイデン米大統領が出席する14日の首脳会議で、中国を安全保障上のリスクと初めて位置付ける見通しだ。

     


    (1)「前日には主要7カ国首脳会議(G7サミット)が共同声明で、中国に対して新彊ウイグル自治区での人権尊重、香港の高度の自治を求めたほか、東・南シナ海での一方的措置に反対する姿勢を示した。台湾海峡の平和と安定についても強調し、問題の平和的解決を促した。複数の外交筋によると、NATO首脳会議の最終声明では中国を敵対国と表現しないものの、ロシアの軍事演習に参加するなど、NATOにとって「システミックな」挑戦になっているとして懸念を表明する見込み

     

    NATOは、中国がロシアへ軍事演習などで接近していることから、危険な存在と見なし始めている。そこで、中国を危険な存在としてマークすることになったもの。日本や豪州は、NATO加盟国でないものの、密接な関係を維持している。

     

    (2)「サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は記者団に対し、「(NATO)声明ではこれまでよりも確固とした形で中国に言及するだろう」と述べた。NATOのストルテンベルグ事務総長は14日、中国の経済的、政治的、軍事的な台頭に対応しなければならないとし、首脳会議の最終声明は新たな対中戦略を強固にするものになると述べた。記者団に対し「中国はわれわれに近づいている。サイバー空間でもアフリカでも中国を目にするが、われわれ自身の不可欠なインフラにも中国は大規模に投資している」と指摘。「中国がわれわれの価値観を共有していないことをわれわれは知っている。われわれは同盟でともに対処する必要がある」と述べた。また、中国は敵国ではないとしつつ、安全保障上の挑戦になっていると付け加えた」

     

    下線のようにNATO事務総長が、首脳会議の最終声明は新たな対中戦略を強固にするものになると予告している。踏込んだ中国警戒論となろう。

     


    『ロイター』(6月14日付)は、「NATO、『野心的な』安保政策の整備着手へー米ホワイトハウス」と題する記事を掲載した。

     

    米ホワイトハウスは13日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が14日に開かれるのを前に、NATOが2030年以降の安全保障対策継続に向け首脳らが「野心的な」取り組みを始めると明らかにした。

     

    (3)「首脳会議では、加盟30カ国が「ロシアの攻撃的政策と行動、中国がわれわれの集団安全保障、繁栄、価値観にもたらす課題、テロリズム、サイバー脅威、気候変動などの国境を越えた脅威など、進化する戦略環境へのアプローチ」を取るとするNATOの新たな「戦略概念」で合意する予定。ホワイトハウスは、新戦略概念は22年の首脳会議での採択に向け準備されると指摘。さらに「加盟国の指導者は、NATOが30年以降にも市民に安全保障を提供し続けることを確実にするため、野心的な取り組みを始める」と述べた」

     

    下線部分が、具体的に何を指すのか不明である。ただ、軍事面だけの脅威でなく、「価値観にもたらす課題、テロリズム、サイバー脅威、気候変動などの国境を越えた脅威など」と広範囲に守備範囲を固めていることだ。中国の気候変動=脱炭素の動きは、極めて緩慢である。2030年まで、二酸化炭素排出量が増え続けると予告しているほど。こういう経済優先=軍事優先姿勢を阻止しなければならない。中国は、軍拡優先の経済運営を平然として続ける意思である。

     


    (4)「各国首脳らは、「重要インフラに対する破壊的なランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃を含む、一段と頻発する深刻な脅威に対する耐性」の確保に向け調整を強化するという新たな「サイバー防衛政策」も承認する方針。ホワイトハウスは、各国が次世代通信ネットワークの導入に当たり、信頼できるサービスのプロバイダーを採用する意向とも述べた

     

    下線部は、ファーウェイの「5G」導入阻止を意味している。米国は、トランプ政権時代からファーウェイ阻止を掲げている。NATO加盟国からファーウェイ製品を追放する意向であろう。

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    タイトルは誤解を招きやすいが、アジアの非核保有国の共同防衛案である。非核国が、核を持たずに安全保障体制を確立するには、NATO(北大西洋条約機構)と同様に、米国の核の傘で安全保障を確保しようという構想である。

     

    米国のシンクタンク「シカゴ・カウンシル」を中心に結成された特別研究会はこれまで1年にわたり研究や討論を重ね、報告書を2月12日に発表した。オバマ政権で国防相を務めたチャック・ヘーゲル氏、英国のマルコム・リフキンド元外相・国防相、オーストラリアのケビン・ラッド元首相が共同議長を務めた。

     


    『朝鮮日報』(2月15日付)は、「米国とアジアの同盟国は核兵器の運用を共に議論すべき、NATO式の核計画グループがアジアにも必要」と題する記事を掲載した。

     

    米国や欧州、アジアの元外交官や国防相経験者らが「アジア核計画グループ(ANPG)」の創設を提案した。これは米国のバイデン政権が、韓国などアジアの同盟国と核兵器に関する具体的な政策を共に議論するというもの。NATO(北大西洋条約機構)加盟国と同じようにアジアの同盟国も米国の核兵器政策に関する議論に参加し、核の使用を決定するプロセスにおいてその意見を反映できるようにするというものだ。米国が、北朝鮮を核保有国として認めることに対する、同盟国からの疑念を払拭するための方策と考えられる。

     

    (1)「1960年代に欧州の同盟国と米国が安全保障政策で協定を結び、同盟国を安心させる決定的な役割を果たしたNATOの「核計画グループ(NPG)」のような組織がアジアにも必要ということだ。研究会は、「アジア核計画グループには韓国、日本、オーストラリアのトップの政治指導者らを含むことも可能」とした上で「従来の相互防衛条約に代わるものではなく、逆にこれを強化するものだ」と説明した」

     


    アジアでは、「インド太平洋戦略」の中軸として「クアッド」(日米豪印)が、対中共同防衛構想を進めている。これに「+α」候補として韓国・ベトナム・ニュージーランドの名前が上がっている。韓国の去就が明らかでなく、米国は英国を加える意向を強め、英国もこれに賛同していると見られる。

     

    アジア共同核構想は、アジアの非核国がNATO方式で米国の傘に入るもので、中朝の威嚇から身を守る狙いである。

     

    過去、日本がNATOへ加盟する話も出たことがある。これは、NATOを北大西洋地域に限定せずに世界規模の機構に発展させるためだ。日本のほか豪州、シンガポール、印度なども候補国に上がった。日本、豪州、印度は、期せずして「クアッド」参加国である。

     

    米国は、「クアッド」国を「アジア版NATO」として結集する構想を考えている。そこで、参加国を増やすべく「クアッド+α」を検討しているもの。冒頭の「アジア核計画グループ(ANPG)」は、これと軌を一にしたものだ。

     


    (2)「
    NATO加盟国は、米国との協定に基づき、核兵器政策に関する議論に参加する。核兵器使用の最終的な決定権は米国の大統領が持つが、核の統制権については共有するというものだ。このようなモデルが適用され、韓半島有事の際に米国の核使用決定に韓国の意向を反映できるとすれば、非常に大きな意味があるとの見方で専門家の意見は一致している2019年にも、米国防総省国防大学は韓米日による『核兵器共有協定』を提案し、北朝鮮の挑発を抑制すると同時に、中国に対する圧力を高めるよう求めた。当時、韓国政府は「NATO式の核兵器共有については全く検討していない」との立場を示していた」

     

    アジアの非核保有国が、米国の傘の中に入る構想は2019年に、米国防総省国防大学から提案された経緯もあり、目新しいものではない。底流には、こういう「核兵器共有協定案」が存在する。

     

    (3)「これとは別に研究会は、韓国が加わるかどうかで問題になっているクアッドについて「米国をはじめとする参加国は、この対話組織に韓国を含めることを前向きに検討すべきだ」と主張した。米国、インド、日本、オーストラリアの4カ国が参加して2019年に結成されたクアッドは、米国のインド・太平洋戦略や対中けん制の最も中心にあるが、韓国政府は参加に否定的な立場を示してきた」

     

    韓国文政権では結論が出ないだろう。「親中朝」意識が強く、中朝を仮想敵にするようなグループを忌避するはずだ。国家の安全保障よりも、学生運動時代の世界観に忠実であり、そこから抜け出せないのであろう。

     

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