勝又壽良のワールドビュー

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    カテゴリ: ロシア経済ニュース

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    ロシア大統領のプーチン氏といえば、首脳会談で遅刻する常習犯である。遅刻することで、相手より「大物」であることを誇示する駆け引きであろう。そのプーチン氏が、バイデン大統領との会談では定刻通りに会場へ到着した。これだけでも、大きなニュースである。米ロでは何が話合われたのか。その結果が、中国へどのような影響を及ぼすのか。

     

    『大紀元』(6月22日付)は、「米露首脳会談、専門家『中国当局が圧力感じている』」と題する記事を掲載した。

     

    米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領は6月16日、スイスで初めての首脳会談を行った。専門家は、中国当局が米露の接近に不安を感じていると指摘した。両首脳の直接会談は、米国はテクノロジー、軍事的侵略、人権など各分野で中国との対抗姿勢を強めている中で行われた。

     


    (1)「米ロ首脳会談に先立って行われたG7サミットやNATO、EUとの会談で、米国は中国の話題で持ちきりだった。ロシアを抑え込んで中国との対決に集中することは米国の明確な目的であり、進展の兆しが見られると、台湾在住のマクロ経済学者、呉嘉龍(ウー・チャロン)氏は言う。呉嘉隆氏は17日大紀元とのインタビューで、今回の米ロ首脳会談について、2つの出来事に着目した」

     

    今回の米ロ首脳会談には、二つの注目点があるという。

     

    (2)「呉氏は、首脳会議の前にプーチン大統領は、同じく米国に対抗姿勢を示している中国の習近平国家主席と会談しなかったことに注目した。数週間前、中国は外交トップである楊潔篪・共産党中央政治局委員をモスクワに派遣したが、プーチンは電話でしか話さなかった。呉氏はまた、プーチン大統領には会議に遅刻する癖があったが、今回の首脳会談には、時間を守って出席したと指摘した。「この2つのことから、バイデン氏とプーチン大統領は会議前に、何らかの合意を得た可能性が高い」と指摘する」。

     

    二つの注目点は、次の事柄である。

    1)プーチン氏は、中国外交トップの楊氏が訪ロした際、面会せずに電話で済ませたこと。

    2)プーチン氏は、米ロ首脳会談で遅刻しなかったこと。

    これら2点で、米ロは事前に打ち合わせがあったと見ている。つまり、米ロ首脳会談を成果あるものにしようと努力したことだ。

     


    (3)「呉氏は、バイデン氏はプーチン大統領との直接会談を通じて、「国際社会、特にドイツやフランス、イタリアなどの欧州各国にメッセージを送った」との見方を示した。「一つは、同盟国とともに、中国と対抗していくことだ。もう一つは、ロシアが対中包囲網に参加しなくても、中立的な立場を取ってほしいということだ」と」。

     

    バイデン氏は、二つの目的があったと見る。米ロ首脳会談によって欧州各国を安心させること。また、ロシアには対中面で中立的立場を取ってほしいことを滲ませた。

     

    (4)「バイデン政権は5月、ロシアがドイツまでの天然ガス輸送パイプライン、「ノルド・ストリーム2」の事業会社に対する制裁措置を解除した。呉氏は、ドイツや欧州各国は今後、ロシアから天然ガスを購入できるため、欧州とロシアの関係がさらに緊密になると予測している。この動きは「中国への対抗姿勢を鮮明にした米バイデン政権にとって良い兆しである」と呉氏はみている。米側はロシアを「反中連合」から排除したくないからだ

     

    バイデン政権は、ロシアがドイツまでの天然ガス輸送パイプライン事業を認めた。これは、米国による欧州とロシアへの接近を意味しており、ロシアを味方につけようとする狙いだ。

     

    (5)「台湾シンクタンク、国防安全研究院の陳亮智・副研究員は、米ロ首脳会談において、プーチン大統領は対中にも、対米にも慎重的だったとの見解を示した。プーチン大統領は、首脳会談に先だって、米NBC放送のインタビューを受けた。その際、大統領は中国軍による台湾侵攻の可能性について質問を受けた。大統領は「その問題についてコメントできない」「政治には仮定法がない」と明言を避けた。陳氏は、「台湾問題に関して、プーチン大統領は米国に歩調を合わせようとしなかった。一方、中国当局への支持も表明したくない」と述べた

     

    プーチン大統領は、台湾問題について明言を避けた。ロシアが、対米や対中で慎重な姿勢であることを覗わせている。

     

    (6)「中国当局は、米ロ首脳会談に比較的に穏やかな反応を示している。中国外務省の趙立堅報道官は17日、米ロ首脳会談について、「中国側は、米ロ双方が戦略的かつ安定的な対話を行うことで意見一致したことを歓迎する」と好意的だった。しかし、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は18日、「バイデン氏は、中ロ関係をぶち壊そうとした」「米国によるロシアへの脅かしと圧力は事実である」などと批判を展開した」

     

    中国外交部は、米ロ首脳会談に冷静な態度を見せている。官製メディアは米国批判である。中ロ関係を破壊する目的であると、正直に判断しているのだ。ただ、米ロ間で軍縮についても話合われている。

     


    (7)「呉嘉隆氏は、中国当局の反応について、習近平国家主席が「愛される共産党のイメージづくり」を指示したことに関係すると指摘した。「外務省が今までの戦狼スタイルを止めたのは、国際社会の中国当局への反感が一段と高まるのを恐れたためだ。陳亮智氏は、「国際社会の批判の声が高まれば高まるほど、中国当局にとって不利になるだろう」と語った。呉氏は、中国当局は、米国が主導する反中連合に対抗して、ロシアを含む他の国と協力して反米連合を形成する意図があるとした。両氏は、米ロの接近に中国当局はプレシャーを感じているに違いないとの見方に一致した

     

    中国にとっては、米ロの接近は不気味なはずだ。かつて中国は、ソ連へ対抗するために米国へ接近。米中が共同でソ連へ対抗し、ソ連崩壊をもたらしたからだ。プーチン氏にして見れば、中国は「裏切り者」である。今度は、米ロが共同で中国を陥れる、という構想に賛成するかどうか。時間の経過を見なければならない。米国は、「経済」という鍵を握っている。これの使い方で、ロシアを引き寄せられる余地はある。

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    米国のトランプ外交とバイデン外交の違いは、ハード路線とソフト路線の違いである。トランプ外交は敵・味方を識別しただけに、同盟国の間でも波風を立ててきた。バイデン外交はソフト路線である。相手国の立場も考慮しながら、米国と関係を深めた方が国益に適うという「説得路線」である。

     

    米ユーラシア・グループ社長 イアン・ブレマー氏は、バイデン外交の本質について、次のように語っている。

     

    バイデン政権は、米国が海外で中国と競争できると確信し、自国の強みを生かそうとしている。さらに重要なのは、闇雲に米国と手を組むよう求めていないことだ。中国より米国と組む方が得策である理由を世界に示すことが、長期的には米国の国益になると分かっている」(『日本経済新聞』5月20日付)

     

    米国は、政治的・経済的・軍事的に海外で中国と十分に競争できると確信している。これは、データに裏付けられた米国の強みだ。言葉は悪いが、中国はここ10年余の「成上がり国家」である。経済的にはすでに、「未富先老」(豊かになる前に高齢社会入り)の領域に足を踏み入れている。この中国が、国内の貧富問題を抱えながら、世界有数の「豊潤国家」米国と競争して勝てるはずがない。中国は、その現実を認識していないだけである。

     


    米国は、こういう有利さを使って米国と組む方が経済的にプラスになることを相手国に認識させて、仲間を増やすのである。米国は、ソフト外交で中国と競争できる可能性を持っているのだ。その第一弾が、対ロ外交の開始である。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月20日付)は、「米、ロシアと関係改善探る 対中国シフトへ布石」と題する記事を掲載した。

     

    バイデン米政権がロシアとの関係悪化に歯止めをかけるため対話姿勢を強めている。米国は19日、ロシアとの外相会談のタイミングにあわせ、ロシア産天然ガスの輸出を妨げる経済制裁の発動を見送った。ロシアとの関係を安定させて「唯一の競争相手」と位置づける中国への対応に集中する狙いがある。ロシアも対米関係を改善させ、中国に対する外交的立場を高めたい狙いだ。

     


    (1)「ブリンケン米国務長官は19日、「双方の指導者が協力すれば世界はより安全になる」と、アイスランドで開いたロシアのラブロフ外相との会談で力説した。ラブロフ氏は会談後、記者団に「建設的だった」と評価した。バイデン米大統領がプーチン大統領に提案した首脳会談開催の発表は見送られたが、ラブロフ氏は「今後の(2国間関係)是正の道筋については、米ロ両大統領が決める」と語った。近くサリバン米大統領補佐官とパトルシェフ・ロシア安全保障会議書記が会談すると伝えられ、首脳会談に向けた調整を急ぐ」

     

    米ロの外相会談は、滑り出し順調である。6月の可能性が高まってきた米ロ首脳会談への準備作業が始まる見込みである。

     

    (2)「スティーブン・パイファー元駐ウクライナ米大使は、バイデン政権の対ロ外交について「中国を最大の課題と位置づけるのであれば、ロシアと安定的関係を構築することは合理的だ」と評価する。ロシア軍は3月、ウクライナとの国境付近で部隊を大幅に増強。ロシアが2014年に続いてウクライナ侵攻に踏み切れば、バイデン政権は米軍や予算を欧州防衛のために割かざるをえず、南シナ海などで戦力を強める中国への対応にさらに注力するのが難しくなる」

     

    米国にとって中国が最大の目標である以上、米ロが外交関係を深めることは理に適っている。米ロ関係が安定すれば、米国を初めNATO(北大西洋条約機構)も中国へ対応する力を蓄えられるからだ。

     


    (3)「米国のトランプ前政権下で中国とロシアは、反米を軸に安全保障や経済分野で関係を深めた。中ロ両軍は20年12月、日本海と東シナ海の公海上空で合同パトロールを実施し、周辺国に懸念が広がった。新アメリカ安全保障センターのアンドレア・ケンドルテイラー上級研究員は「ロシアの対中傾斜に歯止めをかけるため、米国は分野によってロシアとの協力を模索すべきだ」との見方を示す。

     

    (4)「米国務省は19日、ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン計画(ノルドストリーム2)をめぐる制裁の一部について発動を見送ると明らかにした。ロシアはガス輸出拡大につながる計画の完了へ前進した。ロイター通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は発動見送りの事前報道について「(米ロ関係に)前向きなシグナルだ」と述べていた」

     

    米国にとって、中ロの接近を薄めることが重要である。それには、米ロ関係の改善が前提になる。かつて、米国は中ソ関係を離間させるべく、米中秘密会談で突破口を開くことに成功した。今度は、その逆バージョンである。米国は、米ロ接近によって中ロ関係にくさびを打つことである。前記のイアン・ブレマー氏が説くように、「中国より米国と組む方が得策である理由を示すこと」である。

     

    (5)「ロシアのプーチン政権は9月の下院選や24年の次期大統領選に向け、米国が野党勢力への支持などを通じて内政への介入を強めることを警戒している。対米関係の悪化に歯止めをかけることで、米国に野党勢力への積極的な支援を控えさせる思惑もあるようだ。核軍縮や中東情勢など相互に利益のある問題において協力の枠組みをつくり、ロシアの存在感を高める狙いも透ける。一部でも米ロの協調を演出できれば、米国と対立を深める中国に対する外交的立場が高められるとの計算もある」

     

    米ロは、先ずこれまでの対立に終止符を打つべきである。互いに疑心暗鬼な部分を解いて、話し合える環境をつくることである。下線のように、米ロ協調が米中関係に変化をもたらす可能性が出てくるであろう。

     

    (6)「バイデン政権が対ロ関係の改善を目指しても、中ロの接近を止めるのは難しい。中ロは強権的体制の維持、天然資源の供給などで国益が一致しており、経済関係も深まっている。中国側の統計によると、今年の14月の中ロの貿易額は前年同期比19.%増の402億1000万ドル(約4兆4000億円)で過去最高だった」

     

    過去の米ロ対立は、中ロ関係を密接化させている。それだけに、米ロ関係がすぐに改善はしなくても、悪化を食止める役割をするであろう。マイナス幅を縮め、プラスを増やす外交努力の積み重ねが、米ロ関係の改善に寄与するはずだ。その積み重ねである。

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    米国バイデン大統領が、中国に対して厳しい発言をしているのに対して、中国は控えめな発言だ。「世界覇権は狙っていない」などと、米国の怒りを鎮める政略的発言を繰返し、やり過ごそうとしている。

     

    この中国発言の裏には、中国と運命を共にしてよいという同盟国が存在しないことが影響している。ロシアは一見、同盟国のような素振りを見せているが表面的なもの。旧ソ連崩壊の原因をつくったのは中国であるからだ。毛沢東が、米国へ接近してソ連を軍事的に劣勢に持込み、ソ連は米国と和解させざるを得なくなった。

     

    この中国の裏切りに対して、プーチン・ロシア大統領が淡々と機会を見て「報復」を狙っていると見て間違いないだろう。先ごろバイデン氏がプーチン氏と電話会談で、米ロ首脳会談を呼びかけた。プーチン氏は、これだけでウクライナから空挺部隊を引き揚げさせ、「ウクライナ緊張」解決に向かわせたのである。

     


    プーチン氏が、このように素早い動きに出ているのは、ロシア経済の疲弊に原因がある。米国の経済制裁で、国内物価が上昇しており金利引上げを決定するほどだ。ロシア中央銀行は4月23日、金融政策決定会合を開き、主要な政策金利を年4.50%から5.%に引き上げると決定した。利上げは3月に続いて2会合連続で、通貨ルーブルの下落などによる物価上昇圧力への警戒を強めた結果だ。

     

    ロシアは、米欧諸国との関係悪化でルーブルが対ドルや対ユーロで下落し、食料品を中心に価格上昇が目立っている。ロシア中銀は、次回以降の金融政策決定会合でも、利上げを検討する姿勢を示した。こうした状況で、バイデン氏がプーチン氏へ会談を申し込んだのである。絶妙なタイミングである。習近平氏としては、気になる米ロの動きのはずだ。

     


    『大紀元』(4月24日付)は、「
    『国際社会で孤立深める中国』、原因は共産党自身―トランプ前政権顧問マイルズ・ユー氏」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ前政権の対中強硬政策を踏襲した米国のバイデン政権は、対中包囲網を広げるために欧州やアジア太平洋地域の同盟国との連携を強めている。中国当局は、米国が他国を抱き込み「利益集団を作っている」と批判した。ポンペオ前国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春(マイルズ・ユー)氏は、中国共産党の行動こそ、自国の国際社会での孤立を招いた原因だと指摘した。

     

    (1)「米国、欧州連合(EU)、英国とカナダは3月、ウイグル人住民の人権を侵害したとして、相次いで中国当局者らに制裁を科した。3月31日、日米英など13カ国は共同声明を発表し、中国共産党が世界保健機関(WHO)の中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源をめぐる中国武漢市での現地調査を妨害したと糾弾した。また、ドイツ、イギリス、オランダ、カナダ、フランスはこのほど、南シナ海における中国の支配権強化に対応して、同海域に軍艦を派遣する意向を表明した」

     

    中国が南シナ海での支配を強めると共に、ドイツ、イギリス、オランダ、カナダ、フランスが軍艦を派遣すると発表している。日米以外にも、これだけの国々が中国の横暴阻止に向けて動き出している。

     


    (2)「余氏は、大紀元の取材に対して、欧米各国の対中政策はイデオロギーと関係なく、「国際ルールと価値観に基づくものだ」と述べた。「米政府の対中戦略は中国の行動、中国共産党の本質に応じて策定された」という。「各国の対中政策はそれぞれ違っているが、中国と長く付き合うなか、意見は図らずも一致するようになった。「例えば、中国による技術窃盗の問題。これは米国だけが直面している課題ではなく、英国やドイツなども対応を迫られている。中国当局の言動や政策が原因で、中国は国際社会で孤立している。各国は今、中国当局の挑発行為に対抗せざるを得なくなったのだ」

     

    欧米諸国が、中国への警戒感を一段と強めているのは軍事面の進出だけでなく、技術窃取行為への怒りである。こうして中国の挑発に対して共同して対抗せざるを得なくなっている。

     


    『大紀元』(2020年9月27日付)は、「
    『中国に真の同盟国はない』米政権の対中政策ブレーン余茂春氏、習氏の多国間主義主張を否定」と題する記事を掲載した。

     

    米国のマイク・ポンペオ国務長官の中国政策首席顧問で、中国安徽省出身の余茂春(Miles Yu、マイルズ・ユー)博士は9月22日、珍しく公のイベントに出席し、国連総会で習近平国家主席が提唱した「多国間主義」を否定した。

     

    (3)「中国の国営メディアが、近代史における中国民族の最大の反逆者と呼んでいる余茂春氏は、習主席の発言は「自己認識の欠如」から来ていると述べた。同氏は、中国を統制している中国共産党は北朝鮮、そして「その気がないふり」をしているロシアを除けば、真の同盟国はなく、「孤立している」と話した。また、香港における中国共産党の「残忍で半ファシスト的な」行動が示すように、中国共産党の信頼性の欠如についても言及した」

     

    中国は、北朝鮮とロシアを除けば世界で孤立している。そのロシアもただ、表面的に振る舞っているだけであろう。米ロが首脳会談を開けば、中国の立場はどうなるか。これから中国は、どのように行動するか興味深くなってきた。

     

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    韓国は、中ロから外交戦を仕掛けられている。米国主導の「インド太平洋戦略の」クアッドに、韓国が参加しないようにけん制するためだ。今から約120年前、日本、中国、ロシアが朝鮮をそれぞれ自国へ引っ張りこもうと権謀術策を展開した。いままた、その再現である。韓国の歴史は、周辺国に振り回されていることを証明する形である。はっきりと意思表示しない結果だ。

     

    ロシア外相ラブロフ氏は韓国訪問を前に、モスクワで19日(現地時間)に行った韓国特派員とのオンラインインタビューで、今回の訪問での韓国側との会談の主要議題に関する質問に対し「アジア太平洋地域で、韓国はロシアの非常に重要で展望あるパートナーだ。アジア太平洋地域の問題も協議する」と答えた。『聯合ニュース』(3月23日付)が報じた。

     

    ラブロフ氏は、「インド太平洋戦略の枠内で取られる措置を注意深くみると、それらはブロック化の思考に基づいており、ある肯定的な過程ではなく特定の国々に反対するためのブロックを構築しようとしている。特定国家の抑制が目標として宣言されている」と批判し、同戦略が中国、ひいては中国と戦略的協力関係にあるロシアを狙っていることを指摘した。

     


    『日本経済新聞 電子版』(3月25日付)は、「対米けん制「韓国に触手」ロシア外相、8年ぶり訪韓」と題する記事を掲載した。

     

    ロシアのラブロフ外相は25日、約8年ぶりに訪韓し、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相と会談した。ラブロフ氏は会談後の共同記者会見でミサイル挑発を再開した北朝鮮の核問題に関連し「解決のため関係国の交渉を早期再開すべきだとの立場を堅持する」と述べ、米朝に日中韓ロを加えた6カ国協議の枠組みの必要性を強調した。

     

    (1)「2時間弱の鄭外相との会談では、朝鮮半島情勢について「踏み込んだ協議をした」(鄭外相)という。ラブロフ氏は「朝鮮半島を含む北東アジアの安定維持にむけた努力の重要性を強調した。軍拡競争の継続やあらゆる軍事活動の拡大を拒否することを意味する」と語った。ロシアは朝鮮半島の非核化にむけた議論がロシア抜きで進むことを警戒する。トランプ前米政権は金正恩(キム・ジョンウン)総書記とのトップ交渉を進め、中ロは深く関与できなかった。6カ国協議の再開提案で米国の独断専行をけん制する」

     

    ラブロフ氏は、6ヶ国協議を持ち出した。この協議は、時間だけ掛けて北朝鮮に時間稼ぎされるだけという最悪事態をもたらした。ロシアにも解決案はないのだ。ただ、発言権だけを確保しようという狙いである。

     

    (2)「今回は、韓ロ国交30年の記念行事に合わせての訪韓だが、ロシアには韓国との連携を強調することで、日米韓の同盟強化に動くバイデン米政権をけん制する狙いがある。安全保障は米国、経済は中国に依存する韓国は米中対立のはざまで立ち位置に悩む。そんな韓国を取り込み、日米韓連携にくさびを入れたい考えだ」

     

    中朝ロは、日米韓三ヶ国の結束にひび割れを起こそうと狙っている。強固な同盟をつくられたら不利になる、という損得論である。

     

    (3)「ラブロフ氏は訪韓前の22~23日には中国で王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と会談し「人権問題の政治化に反対」するとの共同声明を発表。対米共闘を前面に押し出していた。ラブロフ氏は訪韓前の韓国メディアとのインタビューで、米国のインド太平洋戦略について「特定の国々に対抗するブロック」づくりが狙いだと批判した。両外相の共同記者会見では言及はなかったが、中国の顔色をうかがう韓国は同戦略と距離を置いており、ロシアは韓国との連携を探った可能性もある」

     

    同盟国結成が、最も安全を確保する道である。ドイツの哲学者カントは、『永遠平和のために』(1795年)を出版し、同盟論の利益を説いている。同盟は、仮想敵が存在するから成り立つ。ラブロフ氏の指摘する「特定の国々に対抗するブロック」づくりは、同盟にとって不可欠の要件である。

     

    (4)「前回の外相会談は2019年6月にモスクワで開かれた。18年には韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がロシアを訪問してプーチン大統領と会談し、同氏を韓国に招待していた。今回の会談で韓国側はプーチン氏を改めて韓国に招待。両国は新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた段階で訪韓日程を協議することで合意した」

     

    同盟に入って安全保障の基盤を固め、周辺国と交流することはなんら問題にならない。ただ、韓国が米韓同盟という基軸をないがしろにすることは、相手国から侮られる危険性を生むのである。韓国は、先ず米韓同盟の基礎を固めるべきである。それが、安全保障の基本である。

     

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