勝又壽良のワールドビュー

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    カテゴリ: ロシア経済ニュース

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    米情報当局によると、ロシアは最近ウクライナ国境に軍隊を大規模に移動させている。ロシアは、ウクライナ東部・南部・北部国境地域にロシア軍10万人を配置したという。米国がウクライナ問題に敏感な理由は、ロシアとウクライナの関係が中国と台湾の関係に置き換えることができるからだ。ウクライナを狙うロシアが、武力使用を敢行する場合、米国が手をこまねいている姿は、中国に自信を与えかねないというのがワシントンの専門家らの見解という。

     

    確かに、中国はロシアのウクライナ侵攻を注目している。米国が軍事的な対応以外に経済制裁に出るからだ。米国は、すでにロシアへ「徹底的な経済制裁を科す」と表明した。ロシアのドル決済と半導体輸出の禁止がそれだ。これが実施されれば、ロシア経済は日干しになる。同様に、中国が台湾侵攻を図れば、同様の処罰を受けるであろう。中国経済は、世界経済に広くコミットしているだけに「即死」の危険性がある。

     


    『日本経済新聞 電子版』(1月20日付)は、「米大統領、ロシアに警告『ウクライナ侵攻すると推測』制裁、ドル取引停止検討」と題する記事を掲載した。

     

    バイデン米大統領は19日、ホワイトハウスで記者会見し、ロシアのプーチン大統領が2014年に続きウクライナへの軍事侵攻に踏み切るとの見方を示した。「私の推測では彼は侵攻するだろう」と述べた。侵攻した場合はロシアの銀行によるドル取引を停止する措置を検討していると明かした。

     

    (1)「20日に就任から1年になるのを前に開いた記者会見は2時間近くにおよんだ。バイデン氏はプーチン氏について「中国と西洋の間で自分の居場所を見つけようとしている状況だ。彼は何かしなければならない」と指摘した。バイデン氏は大規模な侵攻と別に「小規模な侵攻があった場合にどう対処するか議論する場合もある」と言及した。小規模な侵攻だった場合は制裁も弱める意向を示唆した発言とみられる。ウクライナに侵攻すれば、「ロシアにとっては最悪の事態になる」と改めて警告した。欧州の同盟国などと協力し「ロシア経済に厳しい代償と大きな損害を与える準備ができている」とも語った」

     

    バイデン大統領は、ロシアによるウクライナへの大規模侵攻と小規模侵攻を分けている。これについて記者会見後、ホワイトハウスの報道担当者はツイッターで、「小規模な侵攻」に関し「ロシア人による軍事的行動と、(親ロシア派武装勢力などの)非軍事組織による侵攻やサイバー攻撃との違いに触れた」と釈明した。

     

    中国は、この部分についてどのように反応したか。台湾の島嶼侵攻と台湾本島の侵攻を分けて考えているかも知れないが、インド太平洋戦略の建前から言えば、いかなる中国の侵攻といえども軽視しないであろう。「小火と見ていることが大火になる」からだ。

     

    バイデン氏は、ロシアをドル決済から排除すると明言している。米ドルが、世界の基軸通貨である以上、ロシア・ルーブルがドル決済網から排除されれば決済手段を失う。同様に、中国人民元がドル決済網から排除されれば、中国との貿易が著しい制約を受けるはずだ。

     

    米国は、ロシア制裁において半導体輸出の禁止も模索している。

     


    『ロイター』(1月19日付)は、「米政権、半導体業界に対ロシア輸出規制の可能性警告 ウクライナ侵攻なら」と題する記事を掲載した。

     

    米ホワイトハウスが、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた場合、新たな対ロシア輸出規制に備えるよう米半導体業界に伝えたと、関係筋が明らかにした。規制にはロシアの世界電子機器供給へのアクセス阻止が含まれる可能性があるという。

     

    (2)「関係筋によると、米国家安全保障会議(NSC)高官らは14日に半導体産業協会の幹部と行った電話会合で、ウクライナ情勢について「異例の状況で、第2次世界大戦以来の最悪の侵攻になる恐れがあるという認識を伝えた」とし、「政権があらゆる選択肢を積極的に検討していることを示唆した」という。ホワイトハウスの報道官は、NSCと半導体産業協会幹部との電話会合について確認しなかったものの、「ロシアがウクライナにさらに侵攻するようであれば、米国は同盟国やパートナー国と連携し、ロシア経済に深刻な打撃をもたらす多岐にわたる選択肢を検討していることを明確にしている」と述べた」

     

    工業化の遅れているロシアでも、半導体輸入を止められたら生産工程に大きな狂いが起きるはずだ。中国の場合は、さらに深刻な事態を迎える。中国製造業が、すべてストップするくらいの影響を被ることになろう。中国の半導体国産化は、遅々として進まないのだ。




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    ロシアは、変幻自在な外交戦術を展開している。中国と密接な関係を演じるが、軍事同盟を結んでいる訳でない。ロシアは、中国と対立するインドへ武器を輸出する一方、領海をめぐって中国と対立するインドネシアへは、原油掘削で協力するという。いずれも、中国の感情を逆なでする動きである。

     

    『大紀元』(12月10日付)は、「ロシア、印と軍事協力強化や南シナ海でインドネシア石油採掘支援 中国と同床異夢か」と題する記事を掲載した。

     

    中国と友好関係にあるとされるロシアは最近、中国政府の不満を買う行動をとり続けている。一つは、インドとの軍事協力を強化したこと。もう一つは、南シナ海で中国と領有権紛争中にあるインドネシアの石油採掘を支援したことだ。専門家はロシアが中国、インド、米国の間で自国の利益の最大化を図っており、「中国が思っているほどの友好関係ではない」と指摘した。

     


    (1)「12月6日にプーチン大統領がインドを訪問し、ニューデリーで両国の外務・防衛大臣が初の戦略対話を行った。両国は「特恵的戦略パートナーシップ」のさらなる強化に向けた一連の協定に合意した。訪問の重要な議題の一つは、ロシアがインドに納入を始めている5基のミサイル防衛システム「S-400」。最先端のミサイル防衛システムに数えられるS-400は、中印国境でインドと軍事的な睨み合いが続いている中国にとって、大きな脅威である。インドのメディアは、今回ロシアから購入した兵器は、中印国境地帯に配置されると報じた」

     

    ロシアは、対立するインドと中国の双方へ武器を売っている。古い言葉で言えば、典型的な「死の商人」である。同じ武器で撃ち合う構図を想像すると、ロシアに踊らされている感じを否定できない。ロシアは、中国よりもインドを優先しているという。この当たりに、巨大化する中国へのけん制が見て取れる。

     


    (2)「中国政府が2014年にこのミサイル防衛システムの購入をロシアに申し込んだのに対し、インドは4年遅れて2018年に申し込んだが、中国よりも先に手に入ることになった。大紀元のコラムニストの秦鵬氏は、中国とロシアのいわゆる「包括的・戦略的パートナーシップ」は名実が伴っていない現れだと裏読みした。今回の会談は、ロシアとインドの軍事的関係の発展につながったとみられる。両国は、インドがロシアからAK-203アサルトライフル60万丁を購入し、インド国内で生産するという契約を結んだ。また、インド軍とロシア軍が互いの基地や後方支援施設を利用できるという条款が協定に盛り込まれている」

     

    インドは、ロシア製のAK-203アサルトライフルを国内生産する契約を結んだ。また、インド軍とロシア軍が互いの基地や後方支援施設を利用できる条款が協定に盛り込まれた。これは、インド・ロシアの緊密化を意味する。中国にとっては、嫌な動きであろう。

     


    (3)「米国営放送『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)は、インドとロシアが新たな同盟関係を構築しつつあると報じ、インドと米国の戦略的利益がますます絡み合う一方で、インド・ロシアもまた二国間関係に勢いをつけようとしていると評した」

     

    インドは、米国と「クアッド」で密接な関係を持ち、一方ではロシアとも新たな同盟関係を築いている。中国を意識した「広角外交」である。

     

    (4)「ロシアが、南シナ海で中国政府と領有権係争中のインドネシアの石油採掘を支援していることも、中国政府の逆鱗に触れている。インドネシアは今年6月下旬から11月下旬まで、南シナ海の最南端に位置する北ナトゥナ海のトゥナ鉱区で掘削作業を続けていた。ロシアのメディアによると、この掘削作業はロシア国営石油大手、ザルベズネフチ社が担当し、同社は同鉱区の半分の株式を保有している。ザルベズネフチ社のクドリャショフ社長はこのほど、南シナ海でインドネシアとベトナムが所有する鉱区を統合して、天然ガス採掘を中心とした油田・ガス田群を構築する計画に言及した」

     

    ロシアは、インドネシアの石油採掘を支援する。これは、南シナ海のインドネシアEEZ(排他的経済水域)内での石油採掘事業である。ところが、中国は不法にも南シナ海が自国領海と言い出している。これは、常設仲裁裁判所で全否定されている。それでも懲りずに、他国のEEZを認めず騒ぎ回っている。酷い国である。

     


    (5)「中国政府は過去に、ロシアがベトナムの南シナ海での油田開発を支援したことに抗議したことはあるが、ロシアとベトナムはその後もこの分野の協力関係を続けている。ベトナムのグエン・スアン・フック大統領が最近ロシアを訪問した際、ザルベズネフチ社のクドリャショフ社長も両国首脳会談に同席した。両首脳は、エネルギー分野での協力強化を改めて確認し、合意書に署名した。東南アジア問題に詳しいロシアの学者ロクシン氏は、ロシアは南シナ海問題で思っているほど中国政府を支持しているわけではないと述べ、中国政府が地図上に引いた中国の領海を示す「九段線」は国際法上の根拠がないという見解を示した」

     

    ロシアは、ベトナムとも石油掘削で協力している。

     

    (6)「プーチン大統領が今年10月中旬、ソチで記者団の質問に対して、ロシアと中国は軍事同盟を結ぶ考えはないと答えた。中国外交部の汪文斌・報道官は定例記者会見でこの発言について聞かれて、「両国は同盟国ではないが、同盟国以上の友情で結ばれている」との解釈を示した。前出の秦鵬氏は、プーチン大統領は中国、米国、インドの間で上手く振る舞い、自国の利益を最大化しようとしていると指摘した。「ロシアは中国政府が口々に言っている『古き友』ではないことは明らかだ」と述べた」

     

    ロシアは、かつての栄光の座を中国に奪われており、内心で面白いはずがない。今は、中ロが提携している形だが、軍事同盟を結んでいる訳でない。米国が、この中ロの溝をどう広げるか。外交的な課題である。中国は、ロシアにハシゴを外されるケースも考慮しなければならないのだ。

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    ロシア大統領のプーチン氏といえば、首脳会談で遅刻する常習犯である。遅刻することで、相手より「大物」であることを誇示する駆け引きであろう。そのプーチン氏が、バイデン大統領との会談では定刻通りに会場へ到着した。これだけでも、大きなニュースである。米ロでは何が話合われたのか。その結果が、中国へどのような影響を及ぼすのか。

     

    『大紀元』(6月22日付)は、「米露首脳会談、専門家『中国当局が圧力感じている』」と題する記事を掲載した。

     

    米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領は6月16日、スイスで初めての首脳会談を行った。専門家は、中国当局が米露の接近に不安を感じていると指摘した。両首脳の直接会談は、米国はテクノロジー、軍事的侵略、人権など各分野で中国との対抗姿勢を強めている中で行われた。

     


    (1)「米ロ首脳会談に先立って行われたG7サミットやNATO、EUとの会談で、米国は中国の話題で持ちきりだった。ロシアを抑え込んで中国との対決に集中することは米国の明確な目的であり、進展の兆しが見られると、台湾在住のマクロ経済学者、呉嘉龍(ウー・チャロン)氏は言う。呉嘉隆氏は17日大紀元とのインタビューで、今回の米ロ首脳会談について、2つの出来事に着目した」

     

    今回の米ロ首脳会談には、二つの注目点があるという。

     

    (2)「呉氏は、首脳会議の前にプーチン大統領は、同じく米国に対抗姿勢を示している中国の習近平国家主席と会談しなかったことに注目した。数週間前、中国は外交トップである楊潔篪・共産党中央政治局委員をモスクワに派遣したが、プーチンは電話でしか話さなかった。呉氏はまた、プーチン大統領には会議に遅刻する癖があったが、今回の首脳会談には、時間を守って出席したと指摘した。「この2つのことから、バイデン氏とプーチン大統領は会議前に、何らかの合意を得た可能性が高い」と指摘する」。

     

    二つの注目点は、次の事柄である。

    1)プーチン氏は、中国外交トップの楊氏が訪ロした際、面会せずに電話で済ませたこと。

    2)プーチン氏は、米ロ首脳会談で遅刻しなかったこと。

    これら2点で、米ロは事前に打ち合わせがあったと見ている。つまり、米ロ首脳会談を成果あるものにしようと努力したことだ。

     


    (3)「呉氏は、バイデン氏はプーチン大統領との直接会談を通じて、「国際社会、特にドイツやフランス、イタリアなどの欧州各国にメッセージを送った」との見方を示した。「一つは、同盟国とともに、中国と対抗していくことだ。もう一つは、ロシアが対中包囲網に参加しなくても、中立的な立場を取ってほしいということだ」と」。

     

    バイデン氏は、二つの目的があったと見る。米ロ首脳会談によって欧州各国を安心させること。また、ロシアには対中面で中立的立場を取ってほしいことを滲ませた。

     

    (4)「バイデン政権は5月、ロシアがドイツまでの天然ガス輸送パイプライン、「ノルド・ストリーム2」の事業会社に対する制裁措置を解除した。呉氏は、ドイツや欧州各国は今後、ロシアから天然ガスを購入できるため、欧州とロシアの関係がさらに緊密になると予測している。この動きは「中国への対抗姿勢を鮮明にした米バイデン政権にとって良い兆しである」と呉氏はみている。米側はロシアを「反中連合」から排除したくないからだ

     

    バイデン政権は、ロシアがドイツまでの天然ガス輸送パイプライン事業を認めた。これは、米国による欧州とロシアへの接近を意味しており、ロシアを味方につけようとする狙いだ。

     

    (5)「台湾シンクタンク、国防安全研究院の陳亮智・副研究員は、米ロ首脳会談において、プーチン大統領は対中にも、対米にも慎重的だったとの見解を示した。プーチン大統領は、首脳会談に先だって、米NBC放送のインタビューを受けた。その際、大統領は中国軍による台湾侵攻の可能性について質問を受けた。大統領は「その問題についてコメントできない」「政治には仮定法がない」と明言を避けた。陳氏は、「台湾問題に関して、プーチン大統領は米国に歩調を合わせようとしなかった。一方、中国当局への支持も表明したくない」と述べた

     

    プーチン大統領は、台湾問題について明言を避けた。ロシアが、対米や対中で慎重な姿勢であることを覗わせている。

     

    (6)「中国当局は、米ロ首脳会談に比較的に穏やかな反応を示している。中国外務省の趙立堅報道官は17日、米ロ首脳会談について、「中国側は、米ロ双方が戦略的かつ安定的な対話を行うことで意見一致したことを歓迎する」と好意的だった。しかし、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は18日、「バイデン氏は、中ロ関係をぶち壊そうとした」「米国によるロシアへの脅かしと圧力は事実である」などと批判を展開した」

     

    中国外交部は、米ロ首脳会談に冷静な態度を見せている。官製メディアは米国批判である。中ロ関係を破壊する目的であると、正直に判断しているのだ。ただ、米ロ間で軍縮についても話合われている。

     


    (7)「呉嘉隆氏は、中国当局の反応について、習近平国家主席が「愛される共産党のイメージづくり」を指示したことに関係すると指摘した。「外務省が今までの戦狼スタイルを止めたのは、国際社会の中国当局への反感が一段と高まるのを恐れたためだ。陳亮智氏は、「国際社会の批判の声が高まれば高まるほど、中国当局にとって不利になるだろう」と語った。呉氏は、中国当局は、米国が主導する反中連合に対抗して、ロシアを含む他の国と協力して反米連合を形成する意図があるとした。両氏は、米ロの接近に中国当局はプレシャーを感じているに違いないとの見方に一致した

     

    中国にとっては、米ロの接近は不気味なはずだ。かつて中国は、ソ連へ対抗するために米国へ接近。米中が共同でソ連へ対抗し、ソ連崩壊をもたらしたからだ。プーチン氏にして見れば、中国は「裏切り者」である。今度は、米ロが共同で中国を陥れる、という構想に賛成するかどうか。時間の経過を見なければならない。米国は、「経済」という鍵を握っている。これの使い方で、ロシアを引き寄せられる余地はある。

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    米国のトランプ外交とバイデン外交の違いは、ハード路線とソフト路線の違いである。トランプ外交は敵・味方を識別しただけに、同盟国の間でも波風を立ててきた。バイデン外交はソフト路線である。相手国の立場も考慮しながら、米国と関係を深めた方が国益に適うという「説得路線」である。

     

    米ユーラシア・グループ社長 イアン・ブレマー氏は、バイデン外交の本質について、次のように語っている。

     

    バイデン政権は、米国が海外で中国と競争できると確信し、自国の強みを生かそうとしている。さらに重要なのは、闇雲に米国と手を組むよう求めていないことだ。中国より米国と組む方が得策である理由を世界に示すことが、長期的には米国の国益になると分かっている」(『日本経済新聞』5月20日付)

     

    米国は、政治的・経済的・軍事的に海外で中国と十分に競争できると確信している。これは、データに裏付けられた米国の強みだ。言葉は悪いが、中国はここ10年余の「成上がり国家」である。経済的にはすでに、「未富先老」(豊かになる前に高齢社会入り)の領域に足を踏み入れている。この中国が、国内の貧富問題を抱えながら、世界有数の「豊潤国家」米国と競争して勝てるはずがない。中国は、その現実を認識していないだけである。

     


    米国は、こういう有利さを使って米国と組む方が経済的にプラスになることを相手国に認識させて、仲間を増やすのである。米国は、ソフト外交で中国と競争できる可能性を持っているのだ。その第一弾が、対ロ外交の開始である。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月20日付)は、「米、ロシアと関係改善探る 対中国シフトへ布石」と題する記事を掲載した。

     

    バイデン米政権がロシアとの関係悪化に歯止めをかけるため対話姿勢を強めている。米国は19日、ロシアとの外相会談のタイミングにあわせ、ロシア産天然ガスの輸出を妨げる経済制裁の発動を見送った。ロシアとの関係を安定させて「唯一の競争相手」と位置づける中国への対応に集中する狙いがある。ロシアも対米関係を改善させ、中国に対する外交的立場を高めたい狙いだ。

     


    (1)「ブリンケン米国務長官は19日、「双方の指導者が協力すれば世界はより安全になる」と、アイスランドで開いたロシアのラブロフ外相との会談で力説した。ラブロフ氏は会談後、記者団に「建設的だった」と評価した。バイデン米大統領がプーチン大統領に提案した首脳会談開催の発表は見送られたが、ラブロフ氏は「今後の(2国間関係)是正の道筋については、米ロ両大統領が決める」と語った。近くサリバン米大統領補佐官とパトルシェフ・ロシア安全保障会議書記が会談すると伝えられ、首脳会談に向けた調整を急ぐ」

     

    米ロの外相会談は、滑り出し順調である。6月の可能性が高まってきた米ロ首脳会談への準備作業が始まる見込みである。

     

    (2)「スティーブン・パイファー元駐ウクライナ米大使は、バイデン政権の対ロ外交について「中国を最大の課題と位置づけるのであれば、ロシアと安定的関係を構築することは合理的だ」と評価する。ロシア軍は3月、ウクライナとの国境付近で部隊を大幅に増強。ロシアが2014年に続いてウクライナ侵攻に踏み切れば、バイデン政権は米軍や予算を欧州防衛のために割かざるをえず、南シナ海などで戦力を強める中国への対応にさらに注力するのが難しくなる」

     

    米国にとって中国が最大の目標である以上、米ロが外交関係を深めることは理に適っている。米ロ関係が安定すれば、米国を初めNATO(北大西洋条約機構)も中国へ対応する力を蓄えられるからだ。

     


    (3)「米国のトランプ前政権下で中国とロシアは、反米を軸に安全保障や経済分野で関係を深めた。中ロ両軍は20年12月、日本海と東シナ海の公海上空で合同パトロールを実施し、周辺国に懸念が広がった。新アメリカ安全保障センターのアンドレア・ケンドルテイラー上級研究員は「ロシアの対中傾斜に歯止めをかけるため、米国は分野によってロシアとの協力を模索すべきだ」との見方を示す。

     

    (4)「米国務省は19日、ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン計画(ノルドストリーム2)をめぐる制裁の一部について発動を見送ると明らかにした。ロシアはガス輸出拡大につながる計画の完了へ前進した。ロイター通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は発動見送りの事前報道について「(米ロ関係に)前向きなシグナルだ」と述べていた」

     

    米国にとって、中ロの接近を薄めることが重要である。それには、米ロ関係の改善が前提になる。かつて、米国は中ソ関係を離間させるべく、米中秘密会談で突破口を開くことに成功した。今度は、その逆バージョンである。米国は、米ロ接近によって中ロ関係にくさびを打つことである。前記のイアン・ブレマー氏が説くように、「中国より米国と組む方が得策である理由を示すこと」である。

     

    (5)「ロシアのプーチン政権は9月の下院選や24年の次期大統領選に向け、米国が野党勢力への支持などを通じて内政への介入を強めることを警戒している。対米関係の悪化に歯止めをかけることで、米国に野党勢力への積極的な支援を控えさせる思惑もあるようだ。核軍縮や中東情勢など相互に利益のある問題において協力の枠組みをつくり、ロシアの存在感を高める狙いも透ける。一部でも米ロの協調を演出できれば、米国と対立を深める中国に対する外交的立場が高められるとの計算もある」

     

    米ロは、先ずこれまでの対立に終止符を打つべきである。互いに疑心暗鬼な部分を解いて、話し合える環境をつくることである。下線のように、米ロ協調が米中関係に変化をもたらす可能性が出てくるであろう。

     

    (6)「バイデン政権が対ロ関係の改善を目指しても、中ロの接近を止めるのは難しい。中ロは強権的体制の維持、天然資源の供給などで国益が一致しており、経済関係も深まっている。中国側の統計によると、今年の14月の中ロの貿易額は前年同期比19.%増の402億1000万ドル(約4兆4000億円)で過去最高だった」

     

    過去の米ロ対立は、中ロ関係を密接化させている。それだけに、米ロ関係がすぐに改善はしなくても、悪化を食止める役割をするであろう。マイナス幅を縮め、プラスを増やす外交努力の積み重ねが、米ロ関係の改善に寄与するはずだ。その積み重ねである。

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    米国バイデン大統領が、中国に対して厳しい発言をしているのに対して、中国は控えめな発言だ。「世界覇権は狙っていない」などと、米国の怒りを鎮める政略的発言を繰返し、やり過ごそうとしている。

     

    この中国発言の裏には、中国と運命を共にしてよいという同盟国が存在しないことが影響している。ロシアは一見、同盟国のような素振りを見せているが表面的なもの。旧ソ連崩壊の原因をつくったのは中国であるからだ。毛沢東が、米国へ接近してソ連を軍事的に劣勢に持込み、ソ連は米国と和解させざるを得なくなった。

     

    この中国の裏切りに対して、プーチン・ロシア大統領が淡々と機会を見て「報復」を狙っていると見て間違いないだろう。先ごろバイデン氏がプーチン氏と電話会談で、米ロ首脳会談を呼びかけた。プーチン氏は、これだけでウクライナから空挺部隊を引き揚げさせ、「ウクライナ緊張」解決に向かわせたのである。

     


    プーチン氏が、このように素早い動きに出ているのは、ロシア経済の疲弊に原因がある。米国の経済制裁で、国内物価が上昇しており金利引上げを決定するほどだ。ロシア中央銀行は4月23日、金融政策決定会合を開き、主要な政策金利を年4.50%から5.%に引き上げると決定した。利上げは3月に続いて2会合連続で、通貨ルーブルの下落などによる物価上昇圧力への警戒を強めた結果だ。

     

    ロシアは、米欧諸国との関係悪化でルーブルが対ドルや対ユーロで下落し、食料品を中心に価格上昇が目立っている。ロシア中銀は、次回以降の金融政策決定会合でも、利上げを検討する姿勢を示した。こうした状況で、バイデン氏がプーチン氏へ会談を申し込んだのである。絶妙なタイミングである。習近平氏としては、気になる米ロの動きのはずだ。

     


    『大紀元』(4月24日付)は、「
    『国際社会で孤立深める中国』、原因は共産党自身―トランプ前政権顧問マイルズ・ユー氏」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ前政権の対中強硬政策を踏襲した米国のバイデン政権は、対中包囲網を広げるために欧州やアジア太平洋地域の同盟国との連携を強めている。中国当局は、米国が他国を抱き込み「利益集団を作っている」と批判した。ポンペオ前国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春(マイルズ・ユー)氏は、中国共産党の行動こそ、自国の国際社会での孤立を招いた原因だと指摘した。

     

    (1)「米国、欧州連合(EU)、英国とカナダは3月、ウイグル人住民の人権を侵害したとして、相次いで中国当局者らに制裁を科した。3月31日、日米英など13カ国は共同声明を発表し、中国共産党が世界保健機関(WHO)の中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源をめぐる中国武漢市での現地調査を妨害したと糾弾した。また、ドイツ、イギリス、オランダ、カナダ、フランスはこのほど、南シナ海における中国の支配権強化に対応して、同海域に軍艦を派遣する意向を表明した」

     

    中国が南シナ海での支配を強めると共に、ドイツ、イギリス、オランダ、カナダ、フランスが軍艦を派遣すると発表している。日米以外にも、これだけの国々が中国の横暴阻止に向けて動き出している。

     


    (2)「余氏は、大紀元の取材に対して、欧米各国の対中政策はイデオロギーと関係なく、「国際ルールと価値観に基づくものだ」と述べた。「米政府の対中戦略は中国の行動、中国共産党の本質に応じて策定された」という。「各国の対中政策はそれぞれ違っているが、中国と長く付き合うなか、意見は図らずも一致するようになった。「例えば、中国による技術窃盗の問題。これは米国だけが直面している課題ではなく、英国やドイツなども対応を迫られている。中国当局の言動や政策が原因で、中国は国際社会で孤立している。各国は今、中国当局の挑発行為に対抗せざるを得なくなったのだ」

     

    欧米諸国が、中国への警戒感を一段と強めているのは軍事面の進出だけでなく、技術窃取行為への怒りである。こうして中国の挑発に対して共同して対抗せざるを得なくなっている。

     


    『大紀元』(2020年9月27日付)は、「
    『中国に真の同盟国はない』米政権の対中政策ブレーン余茂春氏、習氏の多国間主義主張を否定」と題する記事を掲載した。

     

    米国のマイク・ポンペオ国務長官の中国政策首席顧問で、中国安徽省出身の余茂春(Miles Yu、マイルズ・ユー)博士は9月22日、珍しく公のイベントに出席し、国連総会で習近平国家主席が提唱した「多国間主義」を否定した。

     

    (3)「中国の国営メディアが、近代史における中国民族の最大の反逆者と呼んでいる余茂春氏は、習主席の発言は「自己認識の欠如」から来ていると述べた。同氏は、中国を統制している中国共産党は北朝鮮、そして「その気がないふり」をしているロシアを除けば、真の同盟国はなく、「孤立している」と話した。また、香港における中国共産党の「残忍で半ファシスト的な」行動が示すように、中国共産党の信頼性の欠如についても言及した」

     

    中国は、北朝鮮とロシアを除けば世界で孤立している。そのロシアもただ、表面的に振る舞っているだけであろう。米ロが首脳会談を開けば、中国の立場はどうなるか。これから中国は、どのように行動するか興味深くなってきた。

     

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    2021-04-12

    メルマガ248号 碌な半導体も造れない中国、開戦恐れない狂気を米国は抑えられるか

     

     

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