勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 台湾経済

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    中国政府が今月16日、TPP(環太平洋経済連携協定)参加の正式申請を行った。台湾政権もこれを受けて、正式申請を発表した。中台が、TPP加盟をめぐって競合する形だが、TPP精神からみれば、台湾有利と言えよう。

     

    こうした外交関係の複雑さを反映し、あえて台湾もTPPへ中国と同時申入れになったと見られる。台湾の場合、2017年当時から、TPP加盟国と下打ち合わせをする用意周到ぶりを見せてきた。中国の急造な申請とは状況が異なる。その点で、台湾が数段も中国より有利な立場にある。

     


    『日本経済新聞 電子版』(9月22日付)は、「台湾、TPPに加盟申請 中国の反発必至」と題する記事を掲載した。

     

    台湾当局がTPPへの加盟を22日に正式に申請したことが分かった。23日に当局者が詳細を発表する。すでに事務局の役割を担うニュージーランド政府に申請書類を提出し、すべての加盟国に参加への支持を要請した。

     

    (1)「台湾の行政院(内閣)が22日夜、明らかにした。TPPを巡っては台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権と対立を深める中国が16日に加盟申請したと発表したばかり。TPPには現在、日本など11カ国が加盟しており、英国も2月に加盟を申請している。参加には加盟国すべての同意が必要となる。台湾は中国が主導する日中韓や東南アジア諸国が加盟する地域的な包括的経済連携(RCEP)には加盟せず、TPP加盟と米国との自由貿易協定(FTA)締結を目指してきた。台湾はTPP加盟国のうち、ニュージーランドとシンガポールの2カ国とすでにFTAを結んでいる。蔡政権はこれまで非公式にTPPへの加盟希望を関係国に伝えてきた」

     

    台湾政府は、TPP加盟国11ヶ国と事前の下交渉を済ませている。その点で、中国のようにスタートラインに立ったばかりの国と状況は異なる。

     


    (2)「台湾のTPP加盟に向けたハードルは高い。中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を唱える中国の習近平政権は、台湾の加盟阻止に向けた関係国への外交的な働きかけを強めるとみられる。中国共産党系メディアの環球時報(電子版)は22日、台湾のTPP加盟申請について「かく乱だ」と批判した。国務院台湾事務弁公室の報道官が「中国と国交を結んだ国が台湾と協定を締結することに断固反対する」とコメントしたとも伝えた」

     

    このパラグラフは、かなり中国サイドの情報で書かれた記事の印象である。現実には、中国の台湾への軍事的圧力が高まる中で、台湾への同情論が高まっている。中国が「戦狼外交」によって台湾の加盟阻止で加盟国へ圧力を掛ければ逆効果となろう。

     

    台湾が、TPP加盟条件を完璧に満たしていれば、中国の圧力で阻止することは不可能なはず。かえって、自らの加盟を阻止する「オウンゴール」になりかねないだろう。中国は、「やぶ蛇」という最悪事態に陥るだろう。

     


    (3)「一方、台湾当局は民主主義の価値観を共有する日本などに加入を支持するよう強く働きかける方針。今後、中台のTPP加盟を巡る外交的な駆け引きが激しくなりそうだ。中国からの圧力が強まるなか、蔡政権は米国とのFTA交渉にも動いている。6月には米国と1994年に署名した「貿易投資枠組み協定」に基づく協議の再開にこぎ着け、FTA交渉への準備作業を開始した」

     

    台湾外交部(外務省)は昨年12月時点で、すでにTPP参加に向け、既存の参加11カ国と非公式協議を進めてきた。協議を終えた段階で、正式に申請を行う意向も示していたので、中国の正式申請に刺激されたということではない。

     

    台湾は、WTO(世界貿易機関)に加盟している。多くの国は、中国の反発を懸念して台湾との貿易協定締結に慎重で、台湾は多国間協定への参加拡大を模索しているところ。だが、中国の「戦狼外交」に反発する西側諸国も出ており、東欧のリトアニアが中国の反対を押し切って台湾との関係強化が始まっている。

     


    台湾は、すでに事前にTPP11ヶ国との下折衝を終わっている。準備万端整っての正式加盟申請である。その点で、中国の「付け焼き刃」的な申請とは異なっている。

     

    台湾は、2017年当時からTPPへの参加意欲を示していた。これを知った日本の菅義偉官房長官(当時)が、「歓迎したい」と台湾を支持する発言をしたほど。台湾の蔡総統は、自身のツイッターで大きな自信を得たとともに日本の支援を感謝すると投稿した(2017年6月28日)ほど。日本との意気はピタリと一致している。

    台湾の正式申請に対して、日本政府は次のように語っている。

    「台湾は(TPP参加国と)普遍的価値を共有している」としたうえで、「台湾はTPP加入に向けて関係法令を整備するなど準備を進めてきており、国有企業への補助金や電子商取引、労働などTPPで定められているルールを巡る問題点はあまりないだろう」との認識を示した。『読売新聞 電子版』(9月22日付)が報じている。

     

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    8月末、米国のケリー気候変動担当大統領特使は訪中して、中国の気候変動担当特使を含む高官と会談した。その際、中国側が口火を切った問題は、米国での孔子学院追放中止であった。これは中国が、孔子学院を利用してスパイ活動をしてきた証拠であろう。中国は、気候変動問題よりもスパイ活動再開がメリットを感じていることを示唆している。

     

    こうした米中のさや当てを離れて、台湾が米国で中国語の講座を開設している。米国は、政治意図のない台湾による純粋な中国語講座の開設を受入れている。

     

    『大紀元』(9月11日付)は、「孔子学院が去って 台湾当局、米国内で17カ所の中国語教室を開設」と題する記事を掲載した。

     

    米国で、台湾政府が出資する中国語教室「台湾華語学習センター」の設置が進んでいる。米台は昨年12月、言語学習を含む教育分野での提携を強化する文書を交わしており、中国語教室の開設はこの取り組みの一環。米政府高官によれば、中国共産党が管理する言語教育機関・孔子学院は宣伝機関との批判が起こり、米各地で孔子学院の閉鎖が続いていることも米台協力の強化の背景にあるという

     


    (1)「台湾華語学習センターは、台湾当局の中国語教室をサンマリノ、ロサンゼルス、サンフランシスコのシリコンバレーなど17カ所に開設を予定している。9月9日、台湾華語学習センター長で台湾僑務委員会の童振源委員長は、大使館に相当する米国在台協会(AIT)で記者会見を開いた。童氏は、過去数十年にわたる華僑華人会と米国内の360以上の中国語学校との協力関係を活用して、米国の成人は「ゼロ」の状態から中国語を学べるようにしていると述べた」

     

    台湾は、前米で17カ所の「台湾華語学習センター」を開設予定である。これは、米国での台湾の位置がしっかりと見直されてきた意味で、大きな役割を果たす。今後、米国での「中国忌避・台湾歓迎」ムードを定着させるだろう。中国共産党にとっては痛手である。中国が、孔子学院復活を米国に要求する背景でもあろう。

     

    (2)「童氏は、台湾系華僑は半世紀前から米国などの海外の教育機関と連携していると述べ、中国共産党体制の言論統制との違いを示した。「台湾は自由、民主、多元的で開かれた教育環境があり、教科書に何が書かれていようと、みんなで議論すればいい。私たちは干渉しない」と述べた。また、孔子学院とは同じ土俵に立っていないことも付け加えた。「孔子学院は米政府により制限されたり、追い出されたりしている。 台湾は米国と同じ価値観を共有している。米主流層から多くのサポートを得られると考えている」と指摘する」

     

    台湾が、米国で自由、民主、多元的で開かれた国というイメージを広げられれば、大きな成果になろう。これが、米国国民の台湾支持を根付かせるはずだ。

     


    (3)「米国在台協会のブレント・クリステンセン所長(当時)は昨年12月、米台教育イニシアティブの立ち上げ時に、「中国の検閲や悪質な活動が知られ、世界中で多くの大学が孔子学院を閉鎖している」と指摘。同時に、「米国や海外の学生の間では中国語学習の関心は依然として高く、台湾はその関心に応えるために重要な役割を果たすことができる」と答えた。米国務省は昨年8月、米国にある孔子学院を統括する「孔子学院米国センター」を中国政府の在外公館とみなしたと発表。トランプ政権の国務長官マイク・ポンペオ氏は、昨年10月中旬のインタビューで「年末までに全てを閉鎖することを望む」と語ったことがある」

     

    米国人が、中国共産党に嫌悪感を示しても、中国という存在には興味を持つ。台湾政府は、そういう層に向けて中国語講座を開設し、台湾の開かれた価値観に親しみを持って貰うのが狙いであろう。

     


    (4)「バイデン政権以降も孔子学院に対する厳しい対応を続けている。今年3月、米上院では孔子学院に対する資金やカリキュラムの情報開示を求める法案を全会一致で可決。大学側が助成金や人員に関する権限を全て持ち管理することを定め、管理が不十分な場合には、政府の補助金が削減されるという」

     

    孔子学院が、スパイ機関であることは紛れもない事実だ。FBI(連邦捜査局)は、そのスパイ手口を前米の研究機関や大学へ紹介して注意を呼びかけているほどだ。中国は、米国であくどいことをやり過ぎたのである。

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    台湾の国防部(国防省)は9月5日、中国の戦闘機など19機が防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。10機以上の大量侵入は8月17日以来となる。雨天に弱いとされる中国軍機がADIZへ侵入したのは、台湾海峡の天候が良かった証拠だろう。

     

    台湾には5日、ポーランド政府から無償提供された新型コロナウイルスのワクチンが到着した。ワクチン不足の台湾に対し、世界で支援の動きが広がっており、中国がこれに反発した可能性があるという。

     

    『日本経済新聞 電子版』(9月5日付)は、「中国、台湾防空圏に19機 各国のワクチン支援に反発か」と題する記事を掲載した。

     


    (1)「台湾のADIZに5日侵入したのは、中国軍の戦闘機「殲16」10機、爆撃機「轟6」4機、対潜哨戒機「運8」1機など合計19機。台湾の南西空域で侵入を繰り返し、威嚇行為を続けたという」

     

    威嚇飛行は、中国の十八番である。ところ構わずに威嚇するのだが、中国の未熟さを示している。米国相手では、絶対にやらない行為である。不注意な行為をやって「大事」になるのを避けるためだ。

     

    (2)「台湾には同日、ポーランドから英アストラゼネカ製のワクチン約40万回分が到着した。これを受け、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、自らのフェイスブックに「民主主義のパートナーに感謝する」と投稿した。さらに「ポーランドは、リトアニア、スロバキア、チェコに続き、欧州連合(EU)加盟国で4番目に、台湾にワクチン提供を発表してくれた。これらの欧州諸国は、台湾と同じ普遍的な価値観を共有しており、重要なパートナーだ」とも語り、欧州との連帯感を強調した」

     

    欧州連合(EU)ではすでにリトアニア、スロバキア、チェコが台湾へワクチンを提供している。ポーランドは、前記3ヶ国に次いでのワクチン提供国である。リトアニアは、今秋に台湾へ大使館を設置すると発表した。中国とも国交を結ぶが、敢えて「一つの中国論」を無視して、台湾との国交回復に踏み切る意向だ。中国は何としても阻止したいが、具体的な手段がない。それだけに、憎さが台湾へ集中するという仕組みである。

     


    (3)「台湾ではワクチンが依然、不足しており、接種率はいまだ4割強にとどまる。台湾を支援しようと、6月には米国が250万回分を提供したほか、日本もこれまで334万回分のワクチン提供をし、さらに3日には4度目の追加提供も発表した。日米で始まった台湾への支援の輪が、欧州など世界にも広がっていることに、中国はいら立ち、強い反発姿勢をみせたものとみられる」

     

    茂木外相は9月3日の記者会見で、台湾とタイ、ベトナムに英アストラゼネカ製のコロナワクチン計44万回分を提供すると発表。今回の提供については、現地の感染状況や医療体制、接種状況に加え、「在留邦人の接種ニーズや要望等を踏まえ、総合的に判断した」と説明した。

     

    日本が台湾にワクチンを提供するのは4度目。6月から7月中旬までに約334万回分を台湾に届けた。 総統府の張惇涵(ちょうじゅんかん)報道官は3日、日本政府に対して、改めて心から感謝の意を表明した。日本が再び台湾に支援の手を差し伸べたことは台日間の揺るぎない真の友情を示すものであり、台湾の人々も深く感動していることだろうと述べた。以上は、『フォーカス台湾』(9月3日付)が報じた。

     

    台湾は、ワクチン不足に悩んでいる。そこで、台湾独自の開発によるワクチンが、まだ治験最終段階を経ていないが、当局の使用許可を得て蔡総統は自らワクチンを接種した。

     


    英国『BBC』(8月23日付)は、「台湾、自主開発ワクチンの接種開始、批判の声も」と題する記事を掲載した。

     

    台湾で8月23日、自主開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。このワクチンをめぐっては、認可手続きが簡略化されたとして批判も集まっている。
     

    (4)「保健当局は7月、臨床試験がまだ終わっていないにもかかわらず、医薬品メーカー「メディジェン(高端疫苗生物製剤)」が開発したワクチンの緊急使用を承認した。台湾では供給の遅れや市民の忌避感情から、ワクチン接種事業が滞っている。蔡英文総統はこの日、メディジェンのワクチンを接種し、市民にも接種を呼びかけた」

     

    台湾保健当局は、まだ最終治験の終わっていないメディジェン・ワクチンの緊急使用を認めた。こういうケースは米国でもあり、当局が承認すれば可能である。日本では、この緊急使用制度を利用すれば、2ヶ月早くワクチン接種が始まり、現在のような事態を招くことはなかった。

     

    台湾のメディジェンも、米国製ワクチンと同じ製法である。台湾当局の責任で行うのであれば、問題はないであろう。台湾野党は、裁判所へ不法性を訴えている。

     

    メディジェン製ワクチンは、米ノヴァヴァックス製と同じ組み換えたんぱく質ワクチン。ノヴァヴァックスのワクチンは、免疫系を刺激するため、ウイルスのスパイクたんぱく質の一部を再生成するという、より伝統的な手法で作られている。

     


    (5)「台湾では米モデルナ製と英アストラゼネカ製のワクチンが承認されているが、蔡総統はメディジェン製が完成するまで接種を待っていた。蔡総統の接種の様子はフェイスブックで配信された。不安かと聞かれた総統は「いいえ」と答えた。同ワクチンは28日の間隔を空けて2回の接種が必要。これまでに70万人が接種を予約している。

     

    メディジェン製ワクチンは、すでに70万人が接種を予約しているという。最大野党・中国国民党は、このワクチンは安全ではなく、流通が急がれたと非難している。同党の議員2人は、試験結果不足を理由に、緊急使用の認可を取り消すよう裁判所に要請。うち1人は、台湾市民を「研究所のマウス」のように扱う必要はないと訴えた。政争が絡んだ話である。 

     

     

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    アフガニスタン政府の崩壊に伴い、米国はアフガンを放棄せず守るべきだったという議論が後を絶たない。これは、単なる現状維持論に過ぎず、将来を見据えた議論と思えない。米軍のアフガン撤退は、米軍のインド太平洋戦略へ集中する目的で行われたものだ。

     

    米軍のベトナム撤退は、後から振り返れば賢明であった。それと同様に、歴史には「決断」が伴う。それを迅速に行えるかどうかが、国家の運命を左右するのである。

     

    バイデン米国大統領が、記者会見を行った。この席で、初めて「台湾を防衛する」という発言が飛び出た。日韓は、米国の同盟国であるから当然としても、「台湾」に対して明確に言及したのは今回が初めてであろう。米軍のアフガニスタン撤退意図が、ここにはっきり示されているはずだ。

     


    『朝鮮日報』(8月20日付)は、「バイデン米大統領『韓国はアフガニスタンと根本的に違う』『侵略されれば米国が対応』」と題する記事を掲載した。

     

    米国のバイデン大統領は19日(現地時間)、米ABCテレビとのインタビューで「韓国、台湾と欧州の同盟国は米軍が撤収したアフガニスタンと根本的に異なる」との考えを示した。バイデン大統領はさらに「これらの国々が侵略や敵対的な行為に直面した場合、米国は相互防衛条約に基づいて対応する」と明言した。バイデン大統領のインタビューは今月15日にアフガニスタンがタリバンに掌握されて以来、これが初めてだった。

     

    (1)「バイデン大統領はインタビューで「(アフガニスタンと)台湾、韓国、北大西洋条約機構(NATO)の間には根本的な違いがある」とした上で、韓国を含むこれらの国々について「率直に言って悪党たちが彼らに悪い行動ができないように努力している国だ」との考えも示した。バイデン大統領は集団防衛を意味する「ファイブ・アイズ」にも言及し、これらの国々に対する米国の防衛の約束を確認した」

     

    この記者会見は、歴史的な意味を持つであろう。米国が、日本、韓国、台湾、NATO、「ファイブ・アイズ」(米・英・豪・カナダ・ニュージーランド)の防衛を約束したことである。特に、これまで曖昧にしてきた台湾に言及している。

     

    (2)「米国は、NATOや日本と相互防衛条約を結んでいるが、ファイブ・アイズには「一つの国が攻撃を受けた場合、自動的に介入し共同で防衛する」という内容が含まれている。韓米相互防衛条約には第3条に同じような内容がある。バイデン大統領は「われわれは全ての約束を守ってきた。われわれは第5条の神聖な約束を行った」「もし誰かがNATOの同盟国を侵略し、あるいは不利な措置を行った場合、われわれはこれに対応するだろう」「これは日本に対しても、韓国に対しても、台湾に対しても同様だ」と述べた」

     

    「ファイブ・アイズ」は、共同諜報機関というニュアンスであったが、共同防衛条項が含まれていたのだ。最近、ニュージーランド外相が中国寄り発言をした後、豪州外相と会談して取消した裏には、こういう共同防衛条項の重荷があったことを証明した。

     

    (3)「『米国は信用できない』とか『約束を守らない』と主張する人間がいる」との質問にバイデン大統領は「誰がそう言うのか。私はこの決定(アフガニスタンからの米軍撤収)を下す前に全ての同盟国、欧州やNATOの同盟国と話し合った。彼らは同意したし、われわれは(アフガニスタンから)出なければならない」と反論した。「(米軍撤収の決定において)NATOに選択権があったのか」との質問にバイデン大統領は「もちろん選択権はあった」「私が個人的に保証できることは、NATOの同盟国はおとなしくないということだ」と答えた。「アフガニスタンからの撤収決定はNATOと相互に協議を行った上で決めた」という意味だ。アフガニスタンにはNATO加盟国の軍隊も派遣されていた」

     

    米国は、アフガニスタンと相互防衛条約を結んでいた訳でない。軍事支援をしてきたが、その限りであった。世界のメディアは、そうした法的な側面まで見ずに、感情論の議論をしている。

     

    (4)「バイデン大統領は、「タリバンは以前に比べて変わったと思うか」との質問に「変わったとは思わない」「このように言いたい。私は彼らが国際社会で合法的な政府として承認されることを願うかどうかについて、一種の存在についての危機に直面していると思う」「タリバンがアフガニスタンを去る米国人に安全な通路を提供するかどうかも確信できない」と答えた。バイデン大統領は、「米軍撤収の期限としている今月31日までに全ての米国人が撤収できるよう努力する」との考えを示す一方で、「もしその後も現地に残った米国人がいた場合、米軍は引き続き駐留するだろう」とも明言した」

     

    バイデン氏は、タリバンが合法的な政府として国際社会から承認されるには、自らが国際的ルールを守る合法的な存在であることを証明しなければならないとしている。これは、中国に対しても同様にタリバンに求める条件であろう。

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    中国は、アフガニスタン崩壊で「台湾も同じ運命」と宣伝戦を行っている。こういう事態はあり得ないことだが、中国はこれを先途にして台湾市民の動揺を誘っている。

     

    中国こそ、タリバンという「悪魔」と握手せざるを得ない局面を迎えたのだ。新疆ウイグル族が、タリバン原理主義集団のテコ入れで、一斉「蜂起」という最悪事態を招き兼ねないのである。

     

    台湾は、西側の民主主義諸国の砦である。インド太平洋戦略で「クアッド」(日米豪印)が団結し、これにNATO(北大西洋条約機構)が軍事面で連携するという世界戦略ができつつある。米国が、台湾を捨てるときは民主主義の危機である。アフガンとは、地政学的な意味が異なるのだ。

     


    『中央日報』(8月19日付)は、「『台湾もアフガニスタンのようになるだろう』中国の主張に、台湾『韓日、われわれを支持』」と題する記事を掲載した。

     

    アフガニスタン情勢と関連し中国と台湾が激しい神経戦を行っている。中国が「米国に国防を依存してアフガニスタンのようになるだろう」という主張を出すと、台湾が「腐敗したアフガニスタンと台湾は違う」とやり返した。

     

    (1)「台湾の蘇貞昌行政院長(首相)は17日の会見で、「台湾はアフガニスタンのように崩壊しないだろう。最近のアフガニスタン情勢は国が混乱すれば外部の助けがあっても変わらないということを見せた。台湾人はこの地を守らなければならない」と話した。タリバンが侵攻するとすぐに逃走したアフガニスタンの大統領のようになることもないと強調した。この日の会見で「アフガニスタンのように敵が城門の前にいたら逃げるか」という質問が出ると、蘇院長は「台湾は戒厳令下にある時も逮捕や死を恐れなかった。武力で台湾を飲み込もうとする強大国があるが、同じように逮捕されたり死ぬことを恐れないだろう」と自信を見せた」

     

    アフガニスタンと台湾を一緒にした話は、次元が異なっており論理が成立しない。極貧国のアフガンには、民主主義が育たなかったのである。台湾は、その逆である。大陸本土の中国が手にできなかった民主主義を、台湾は「無血」の選挙で実現した。経済面と意識面で、台湾は先進国である。中国とも異なるのだ。劣等生が、優等生を罵倒するような類いでる。

     

    (2)「中国は連日アフガニスタン情勢と関連し「米国の失敗」を非難している。米国の保護に最も依存する地域である台湾から米国が手を引けば国防が崩れるという警告だ。中国のグローバルタイムズは社説と専門家の話を引用した報道で「アフガニスタンのタリバンが首都カブールを陥落させたのは1975年にベトナム戦争で陥落し米国が自国民を緊急待避させたことを連想させる。これは台湾に大きな衝撃を与えた。台湾の運命に対するある種の前兆なのか」と台湾に向け直接的な攻勢に出た。「続けて、「台湾の立場はアフガニスタンと違うという意見もあるが、否定できない共通点は米国に対する依存度が高いということ。米国がアフガニスタンに支援を保障してから1カ月もたたずに撤退が行われたが、台湾の未来も危険になるほかない」と主張した」

     

    米国がアフガンを捨てたのは、インド太平洋戦略に全力投球するためである。難物のアフガンを中ロに押し付けたのだ。アフガニスタンは、「帝国の墓場」とさえいわれている魔の地域である。古代ギリシャ、モンゴル帝国、ムガル帝国、大英帝国、ソ連、そして米国はいずれも同地域の紛争に介入したが、最終的に失敗したことから名付けられたもの。こういう難物を手放した米国は、「賢明」であったと評価される時期もきるだろう。

     


    (3)「これに対し、台湾東トルキスタン協会の何朝棟会長は中国の発言に反論した。彼は「米国と日本、韓国とEU、主要7カ国(G7)はいずれもインド太平洋地域の国の戦略的配備を認め台湾海峡での安定維持を支持している」と強調した。廖宏祥元国防大学栄誉講座教授も「台湾はアフガニスタンではない」としながら腐敗したアフガニスタン政府とは違い台湾の国防戦略は正規軍が防衛する形態で、アフガニスタンの内戦やベトナムの遊撃戦とは「明確に異なる」と指摘した」

     

    台湾は、民主主義防衛のシンボル的な存在になった。この台湾が中国の手に渡れば、アジアは政治的危機となる。南シナ海は、中国化される。フィリピン・ベトナムなどの関連国は、さらなる窮地に立たされる。この状況を「クアッド」(日米豪印)が、座視するはずがない。NATOや英独仏も介入するだろう。中国は、世界を相手に戦うという窮地に立たされるのだ。

     

    (4)「彼は、北大西洋条約機構(NATO)、韓国、日本をはじめ、リトアニア、エストニア、ラトビアのバルト3国、ポーランドなどの国家安全保障戦略はいずれも米国とともにあるとしながら「台湾は当然米国の側に立たなければならない」と力説した。続けて、韓国が米国の武器を購入しながらも韓国型戦闘機KF-21の開発に乗り出したとし、台湾の安全保障戦略がさらに積極的で明確でなければならないと付け加えた」

     

    台湾は、自ら戦う姿勢を鮮明にすべく、徴兵制を復活させるべきである。そういう姿勢が、他国の共感を得られる道だ。

     

     

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