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EV(電気自動車)が、新規参入で戦国時代である。スマホの大手受託生産企業の鴻海(ホンハイ)は、スマホ受託生産方針を使ってEV進出方針が明らかにした。自動車は、ただ動けば良いのではない。購買者からは、乗り心地・安全性・外観デザインなど厳しい要件が突きつけられている。その点で、高い顧客満足度を選られるだろうか。

 米アップルも、EV参入を検討し、車業界で開発や生産を分担する「水平分業」の機運が高まっている。注目されるのが車の開発・生産受託の世界大手であるマグナ・シュタイヤー(オーストリア)の存在だ。同社のフランク・クライン社長は、「マグナは車業界のフォックスコン(台湾・鴻海=ホンハイ=精密工業傘下)になりつつある」と述べた。『日本経済新聞』(3月5日付)が報じた。

 

アップルのiPhone受託生産は鴻海である。その鴻海が、アップルEVと競合するというまさに「EV戦国時代」である。ソニーEVは、マグナ・シュタイヤーと組んでいる。鴻海EVは、マグナ・シュタイヤーとの競争でもある。

中国のスマホメーカー、小米科技(シャオミ)が同国の自動車メーカー、長城汽車の国内工場で電気自動車(EV)を生産する計画であることが、事情に詳しい関係者の話で明らかになった。関係者によると、シャオミは長城汽車の工場で自社ブランドのEVを生産するために交渉を進めている。自社製電子製品の大半と同様に大衆向けのEVとする考えという。『ロイター』(3月26日付)が報じた。

 


『日本経済新聞』(3月26日付)は、「鴻海EV 1200社連携 日本電産など 部品・ソフト大手参加」と題する記事を掲載した。

 

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は25日、参入準備を進める電気自動車(EV)事業で、同社への協力を表明したサプライヤーが1200社超に達したと明らかにした。ソフトウエアや自動車部品の世界大手が名を連ね、日本からは日本電産などが参加する。米アップルのiPhone生産受託で成長した実績があるだけに、部品メーカーなども高い関心を寄せる。

 

(1)「鴻海は2023年に量産を始め「25~27年にEV市場で世界シェア10%を獲得する」のが当面の目標だ。車メーカーは通常、開発から生産まで一貫して自社で手掛ける。鴻海は、開発と生産の分業が進むスマートフォン型のビジネスモデルを持ち込み、車メーカーが開発した製品の受託生産を狙う。どういう部品やソフトを組み合わせれば効率よくEVを量産できるか、サプライヤーとともに開発を始めており、この枠組みへの参加を表明した企業が25日時点で1200社超になったという」

 

鴻海は、アップルのiPhone受託生産で発展してきた。今度は、鴻海自身がEVの8割を設計して無料提供し、新規EV参加企業に割安EV生産を実現させるという企業モデルを考案した。生産は、鴻海が担当する。

 


(2)「EV事業の最高経営責任者(CEO)を務める鄭顕聡氏は、「EV業界で新しいビジネスモデルを志向し、『アンドロイドカー』を造ることを計画している」と力を込める。アンドロイドカーとは何か。それは、米グーグルがスマホメーカーに無償で提供した基本ソフト(OS)「アンドロイド」のビジネスモデルをイメージしたものだ。スマホがまだ世界に普及していない2000年代後半、アンドロイドの登場がスマホ業界を大きく変えた。スマホの頭脳となるアンドロイドが無償で使えるようになったことで新興のスマホメーカーが続々と参入した。後発でもアンドロイドをベースに手軽にスマホ開発ができたためだ。生産も全て鴻海などの受託企業に任せることで投資負担を抑えた。小米(シャオミ)やOPPO(オッポ)など中国勢が代表例だ」

 

鴻海の考案する企業モデルは、「アンドロイドカー」と呼べるものだ。スマホの普及は、グーグルがOSの「アンドロイド」を無料提供したことに負っている。鴻海は、EVでこの「アンドロイド」方式を採用して「アンドロイドカー」を世に送り出そうという狙いである。ただ、この「アンドロイドカー」は、性能的に抜群のものでなければ採用されないだろう。

 

(3)「鴻海はEV業界でも、このビジネスモデルを狙う。スマホのアンドロイドに当たる、無償で提供が可能なEV開発プラットフォーム「MIH」を準備中だ。具体的には、車両開発の骨格となるシャシー(車体)の細かい寸法や規格のほか、自動運転などに使う高速通信規格「5G」対応の細かい通信規格など、スペックは鴻海が詳細に決める。これを世界中のEVメーカーに使ってもらおうとの試みだ。関係者によると、鴻海が無償提供するMIHは、車両開発全体の約8割をカバー。各EVメーカーは外観デザインなど残りの2割を自社で開発すればEVが完成するイメージだという。MIHを利用してもらう代わりに、生産は鴻海が全て引き受ける仕組みだ」

 

鴻海では、この無償である「アンドロイドカー」に該当するEV開発プラットフォーム「MIH」を準備中である。MIHは、車両開発全体の約8割をカバーし、各EVメーカーは外観デザインなど残りの2割を自社で開発すれば、EVが発売できる仕組みである。

 


(4)「世界では今もEV業界への新規参入が続く。開発に特化し、巨額の投資が必要な工場は持ちたくないファブレスメーカーが大半だ。スマホの大量受託生産ビジネスで鳴らした鴻海はこうした点に目を付けた。MIHの提供で各社の開発負担を軽くできれば今後、スマホ同様に新興メーカーが続々と参入し、EVの普及が一気に弾みが付く可能性は否定できない」

 

鴻海自体は、確実に利益を出せるシステムだが、性能の同じである「鴻海EV」が世界中で競争する構図となろう。だが、鴻海が自動車生産の経験ゼロである点が引っかかるのだ。EVを余りにも安直に考えていないか、である。