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コロナと食糧不足に悩む北朝鮮は、中国の支援に依存しきっている。これを反映して、中国最大のポータルサイトが、金正恩氏の出自について中国朝鮮族出身と虚偽記載しても訂正させる余力も失っているようだ。

 

北朝鮮が中国への依存を象徴する話は、新鴨緑江(アムノッカン)大橋の年内開通情報である。北朝鮮新義州(シンウィジュ)と中国遼寧省丹東をつなぐ新鴨緑江大橋が、今年開通する可能性があるとの報道が出ている。新鴨緑江大橋は、2014年事実上完工したが、北朝鮮が接続道路の建設を先送りして開通が遅れていたもの。だが、「中国と北朝鮮が今年7月友好協力援助条約締結60周年を記念し、新鴨緑江大橋の開通式を開く可能性がある」と、『中央日報』(3月17日付)が報じた。

 

『朝鮮日報』(4月3日付)は、「中国、金正恩委員長は中国朝鮮族」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイ・ボルチャン記者である。

 

中国最大のポータルサイト「百度(バイドゥ)」で「金正恩(キム・ジョンウン)」と検索すると、「中国朝鮮族」という説明書きが表示される。「北朝鮮」と検索しても、民族の項目には「朝鮮族」と書かれている。韓国の大統領と国家説明についても、過去にこのような表記が見られたものの、韓国側の抗議を受け削除された。北朝鮮は何も言えず、屈辱に耐えている。北朝鮮の事情に詳しいある専門家は、「コロナと経済制裁で国際社会から完全に孤立してしまった北朝鮮は、今や中国を前にプライドを傷つけられ、言うべきことも言えなくなった」と説明する。

 

(1)「北朝鮮が中国に頭を下げる回数は、今年に入って露骨とも言えるほどに増えている。3月12日の国連人権理事会会議でジュネーブ駐在の北朝鮮代表部大使は「新疆ウイグル自治区と香港の問題で中国に内政干渉しようともくろんでいる一部の国々は、これを直ちに中止せよ」と要求した。自分のことで精いっぱいの北朝鮮が、国際社会で「兄さん格」である中国の肩を持ったのだ。3月18日には前任者が10年以上を勤務してきた駐中北朝鮮大使の座に突然「中国通」のリ・リョンナム氏を座らせた。リ大使は北京外国語大学を卒業したため中国語が流ちょうで、対中貿易に強い「親中派」の人物だ。金正恩委員長は3月22日、習近平中国国家主席と交わした親書で「朝中関係を世界がうらやむ関係に発展させたい」と述べた」

 

金正恩氏が、2017年まで見せた中国への対抗的姿勢は現在、全く消えてしまった。ひたすら、中国へ恭順の意を示すほど低姿勢である。それだけ、北朝鮮が経済的に困窮していることを物語っている。

 

(2)「米中の葛藤が激しさを増す中、中国は北朝鮮の求愛にいつになく積極的に応じている。米国との対決構図の中、北朝鮮を交渉カードとしてうまく利用するには統制力を育まなければならない、といった計算があるからだ。習近平国家主席は3月22日、金正恩委員長に送った親書から「非核化」の文言を削除し、中国外交部(省に相当)の華春瑩報道官は翌日の定例ブリーフィングで対北制裁緩和を促した」

 

中国も、米中対立の中で「北朝鮮カード」を上手く使うために、北朝鮮を手元に引き寄せている。4月3日、中韓外相会談が中国で開催された。北朝鮮の非核化で意見が一致したというが、詳細は不明である。韓国は、南北交流実現を中国に依頼したであろう。米国が反対しているので、中国が北朝鮮を説得しても実現は困難である。となると、今回の中韓外相会談の目的は何であったか、関心を呼ぶはずだ。

 

(3)「国境地域の貿易商の間では、早くも「4月の朝中貿易再開説」がまるで既成事実であるかのようにうわさされている。中国各地では、北朝鮮の外貨稼ぎの手段である絵画販売展示会が次々と開催されている。香港紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』(SCMP)は、「米中が対立状態にあるため、今後中国が核兵器問題で北朝鮮に圧力を加える可能性は大幅に低下した」と報じた」

 

中国が、米中対立激化によって北朝鮮へ非核化の圧力を掛ける可能性は大幅に低下している。バイデン政権の構想通り、中国が北朝鮮へ圧力を掛けざるを得ない状況をつくる「迂回作戦」が取られよう。それは、中国を経済的に圧迫することである。米国が早く、TPP(環太平洋経済連携協定)へ復帰して、中国を米国市場から閉出すことである。

 

(4)「朝中密着に拍車が掛かる場合、韓半島(朝鮮半島)は米中対立の戦場と化す恐れが高まる。中国が北朝鮮を操り、代弁するようになれば、北朝鮮の核問題はさらに複雑な力関係へと発展する。このようなとき、韓国政府が乗り出し、米中対立により朝鮮半島に「新冷戦」前線が描かれるようなことがないよう対処しつつ、北朝鮮に対して効率的に圧力を加えていかなければならないが、政権維持にしか関心のない現政権は効果的な対応を講じ切れない」

 

韓国は、クアッドにコソコソと接近するのでなく、堂々と加盟して旗幟を鮮明にすることだ。米中対立の激化は、韓国の「バランス外交」を不可能にするであろう。米韓の一体化以外に、韓国の生きる道はない。

 

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