勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    テイカカズラ
       


    ロシア軍は、ウクライナ侵攻で重大局面を迎えている。ウクライナ軍がクリミア半島奪回に向けて作戦計画を練っているからだ。これまで、冬季の作戦は膠着状態になると予想されていたが、地表の凍結によって作戦が容易になるというのである。

     

    冬季作戦では、ロシア軍が不利と見られている。耐寒装備が、不十分であろうと見られていることだ。ロシア軍兵士は、耐寒装備が行き渡っておらず、凍死などの危険性と隣合わせになれば、士気は一層の低下を余儀なくされよう。

     

    『日経ヴェリタス』(12月4日付)は、「ウクライナ軍『迫るレッドライン』ロシア核使用の懸念も」と題する記事を掲載した。

     

    ウクライナでは、侵攻中のロシア軍が戦力を南部から東部に再配置し始めたことで、今後の戦闘の焦点は東部に移るとの見方が浮上している。ただ、ウクライナ軍は東部だけでなく、南部でも反転攻勢を続けており、ロシア軍が南部で大きな後退を強いられれば、化学兵器や小型核兵器といった大量破壊兵器の使用に踏み切る事態がかつてなく現実味を帯びそうだ。

     

    (1)「ロシア軍は11月、南部へルソン州のドニプロ川西岸から部隊を撤退させ、東岸地域で防衛線を構築している。同時に、後退させた部隊の一部を東部戦線に振り向けたことで、東部地域で攻防が激化するとの見方が多い。ただ、主戦場が東部に限定される保証はない。ウクライナ軍は9月以降、南部にロシア軍主力を引き付けたうえで、東部で一気に占領地を奪回してみせた。一方、現在はロシア軍が東部を重視していることで、南部でのロシア側の守りは手薄になっている」

     

    軍事専門家の見方では、ロシア軍の作戦に迷いがあると指摘している。ウクライナの東部と南部のどちらに防衛の力点を置いているか不明というのだ。ウクライナ軍は、南部でクリミア半島奪回に向けて動いている。ロシア軍はそれを気づきながら、東部で不要な攻撃をかけているのは解せないというのである。

     

    (2)「ウクライナ軍にとって9月と状況が異なるのは、南部での前進を阻むドニプロ川という地理的障害があることだ。ただ、これまでの戦闘でもウクライナ軍は渡河作戦を実施しており、ロシア軍がウクライナ軍のドニプロ渡河作戦を警戒しているとの情報もある。仮にウクライナ軍が東岸に橋頭堡(きょうとうほ)を築ければ、そこを起点に障害が比較的少ないヘルソン州南西部を経てクリミア半島の付け根部分まで短期間に進出する展開がみえてくる」

     

    ウクライナ軍が、ドニプロ川を渡河するのは極めて危険を伴う。対岸にはロシア軍が防衛戦を築いているからだ。こういうリスクを冒すよりも、ザボリージャ州を南下してロシア軍を分断し、クリミア半島への兵站線を絶つ戦術を取るだろう。これが、軍事専門家の見方だ。ウクライナ軍は、「敵前上陸」のような危険な作戦を回避するであろう。

     

    (3)「一方、そこはロシア軍にとってはレッドライン(越えてはならない一線)で、「過激な反応」を誘いやすい。これには二つの事情がある。まず、ロシア軍が2014年の電撃侵攻の成果であるクリミア半島を失う可能性が出てくる。これが現実になると、ロシア国内の厭戦(えんせん)気分や、強硬派によるプーチン政権への突き上げが強まるのは避けられない」

     

    ロシア軍が、クリミア半島奪回が視野に入れば、ロシア軍が核を使うだろうという予想がある。西側諸国もこれをもっとも警戒している。だが、軍事専門家によれば、軍事的な意味はないという。ロシア軍は、報復を受けることを十分に認識しているからだ。米国が、ホットラインでロシアへ警告したほか、両国の情報当局トップが会談して意思疎通を図っている。核を使えば、NATO(北大西洋条約機構)が参戦する危険性が高まる。ロシアは、これを最も警戒しているのだ。

     

    (4)「(クリミア半島を失えば)ロシアの中長期的計画が狂うことだ。「ロシア軍はヘルソン州からさらに西に支配地域を広げ、モルドバを制圧することで、ウクライナを海への出口を持たない内陸国にしてしまうことを企図している」(防衛省情報部局関係者)。できれば、目下の戦闘を膠着状態に持ち込んだ上で、今後数年間かけて軍を再建し、14年、22年に続く3度目となる次回侵攻でウクライナの内陸国化を果たしたいと考えているわけだ。その意味でも、ロシア軍はドニプロ東岸(へルソン州南部)を失うわけにはいかない」

     

    このパラグラフは、完全にロシア側の身勝手な青写真である。西側諸国は、絶対にこれを認める訳にいかないのだ。ロシアが受けている経済制裁は、これから一段と厳しくなる。EU(欧州連合)とG7・豪州は、12月5日からロシア産原油価格の上限制(当面は1バレル60ドル)によって、ロシアの収入減を実現させる。これによって、戦争継続を困難にさせる戦術を発動させるのだ。ロシアは、自らの思惑が実現できるほど、世界が甘くないことを知るであろう。

     

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    ドイツ首相を4期16年務めたメルケル氏は、2021年12月に退任した。この間、プーチン・ロシア大統領との会談は、60回を上回ったという。しかも、プーチン氏とは1対1の会談であった。膝つき合わせた議論を交わした関係である。だが、メルケル氏が首相としてモスクワを最後に訪れたのは2021年8月、プーチン氏の対応は変わっていた。これまでの1対1の会談でなくラヴロフ外相を同席させたというのだ。

     

    メルケル氏は、この最後の会談でプーチン氏の真意を知ったという。もはや権力の座を離れるメルケル氏に深入りしないという信号であったのだ。メルケル氏は、それ以前にプーチン氏が欧州の分断を策していることを知っていたが、「ソフトパワー」でそれを防げると信じていたという。つまり、経済関係が平和を維持すると見ていたのである。ドイツは、ロシアから原油や天然ガスを輸入することで密接な関係を築いてきた。だから、ロシアはドイツを裏切ることはないと信じていたのだ。

     

    プーチン氏は、これを逆手に取って、ウクライナ侵攻によって欧州を分断できると見た。ドイツはロシア側について、ウクライナ侵攻を容認すると踏んでいたのである。ここに、プーチン氏は大きな誤算をしたが、ドイツもまた誤算をしたのだ。経済関係が蜜であれば、平和を維持できるという甘い期待である。侵略者には、こういう「合理的期待」が成立しないことを立証した。

     

    英『BBC』(12月3日付)は、「欧州はアメリカなしでは大変なことに、単独ではロシアに対抗できずーフィンランド首相」と題する記事を掲載した。

     

    オーストラリア訪問中のマリン首相は、「容赦なく正直に申し上げる必要がある。今の欧州は力が足りない」、「アメリカなしでは大変なことになっていた」と発言した。

     

    (1)「シンクタンクのロウイー研究所で講演したマリン首相は、「アメリカはウクライナにたくさんの武器と資金支援と人道支援を提供してきた。欧州にはまだ力が足りない」と述べた。さらに、欧州の防衛力について、確実に能力を増強し「欧州の防衛産業を強化し、さまざまな状況に対応できるようにしなくてはならない」と強調した」

     

    これまでの欧州は、何かにつけて米国と対立してきた。だが、今回のロシアのウクライナ侵攻で、両者は対立から協力へと大きく変わっている。プーチン氏が、最も見誤った点であろう。米国は覇権国家として、世界の秩序維持に責任を負う立場だ。ロシアを信じ切ってきた欧州には、ウクライナ侵攻が晴天の霹靂であった。

     

    (2)「マリン首相は加えて、一部の欧州諸国が近年、ロシアとの関係を強化しようとしてきたと批判。「欧州は長いこと対ロ戦略を築いていた(中略)ロシアからエネルギーを買って、経済関係を緊密にすれば、戦争が防げると思っていた」ものの、この考えは「まったく間違っていたと証明されてしまった」と述べた」

     

    このパラグラフは、ドイツのメルケル前首相を指している。メルケル氏は、筋金入りの「反米主義者」であった。米国が嫌いだったのだ。一方、帝政時代から独ロは密接な関係にあった。米国は、ドイツがエネルギー政策でロシアに大きく依存することの危険性を早くから警告していたが、馬耳東風で聞き流してきた。それが、今回の「エネルギー危機」に繋がった背景だ。ドイツが現在、米国へ最敬礼している理由である。

     

    (3)「マリン首相はこれについて、欧州諸国はポーランドやバルト諸国の警告に耳を傾けるべきだったと指摘。ロシアに近い各国は、ロシアがウクライナ侵攻となると「経済関係など気にしていない、制裁など気にしていない、そういう諸々は一切気にしていない」のだと、かねて警告していたと、マリン氏は強調した。さらに、欧州諸国の軍備がウクライナ支援によって縮小する中、マリン首相は欧州各国が手元の軍備を強化する必要があると強調した」

     

    ポーランドとバルト三国は、ロシアの残忍性を最も知っているだけに、ロシアへの警戒感はもっとも強かった。ポーランドは、ロシアのウクライナ侵攻を最も早くから警告してきた国である。今回のロシア産原油価格の上限制決定で、事実上の主導権を握っていたのはポーランドである。EUが、ポーランドに敬意を表したとも言えるだろう。

     

    (4)「最近では、ロシアと国境を接するエストニアなどから、それをGDP比3%に増やすよう求める声も出ている。ロシアと1300キロ以上にわたって国境を接するフィンランドは今年、スウェーデンと共に正式にNATO加盟を申請した。NATO加盟30カ国は7月にフィンランドとスウェーデンの加盟議定書に署名。全部30カ国が国内の批准手続きを終えれば、両国はNATO加盟国になる」。

     

    ロシアはこれまで、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟を絶対許さないという姿勢であった。現在のロシアには、前記二ヶ国へ攻め込む軍事力すらないほど消耗している。ウクライナ侵攻で、ロシアの国力は大きく落込んでおり、回復のメドは立たないほどだ。

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    韓国トラック運転手のストライキは、すでに港湾での輸出入貨物の積卸しで大きな影響が出ている。輸出減少に悩んでいるが、ストライキの影響で一段と輸出の落込みが厳しくなりそうだ。

     

    市内では、ガソリン運搬車がストライキで稼働率が落ちており、ガソリンスタンドに「ガソリンがない」という事態が始まっている。今週は、ソウル市内で「ガソリン不足」現象が広がる恐れも出てきた。

     

    ユン政権は11月に、貨物車労働者に業務開始命令を下した。これは盧武鉉政権が、2004年に貨物自動車運輸事業法の改正に伴ってつくった法律に基づく命令である。野党「共に民主党」は、この業務開始命令に対して反対もできない微妙な立場になっている。労働者が、業務開始命令に応じなければ刑事処罰されるだけに、いずれ騒ぎは大きくなるであろう。

     

    『WOWKOREA』(12月3日付)は、「『ガソリンスタンドにガソリンがないなんて』、貨物連帯のストライキが招いた品切れ大乱」と題する記事を掲載した。

     

    全国民主労働組合総連盟・公共運輸労組・貨物連帯本部(貨物連帯)のゼネスト(運送拒否)が10日目を迎え、全国の品切れガソリンスタンドが60か所に増えたことが分かった。

    (1)「12月3日、産業通商資源部(産業部)によると、前日の午後2時時点で全国の品切れガソリンスタンドは計60か所だった。同日の午前8時(52か所)より8か所増えた。11月30日の午前8時時点の23か所から37か所に増加した。燃料別ではガソリン41か所、軽油13か所で、ガソリンと軽油が共に売り切れたところは6か所と集計された。地域別では、ソウル市22か所、キョンギド(京畿道)16か所など首都圏で目立っている」

     

    首都圏でガソリンスタンドが、ガソリン不足に見舞われるケースが増えてくると、世論もやかましくなろう。左派の盧武鉉政権がつくった「業務開始命令」だけに、野党も業務命令を非難でない立場だ。スト収拾に向けて、野党も協力すべきであろう。

     

    (2)「パク・イルジュン(朴一俊)産業部第2次官はこの日、大韓送油管公社チョナン(天安)貯油所を訪問し、石油製品の出荷状況を点検した。天安貯油所は1989年7月に竣工し、貯蔵タンク9基、計21万バレルの貯油設備を通じて首都圏・忠清圏に石油製品を供給する施設で、先月24日にストライキが始まって以来、連日集会が続いていたところである。朴第2次官は「全国のガソリンスタンド出荷量は11月30日以降回復傾向である」としながらも「首都圏を中心に発生した一部のガソリンスタンドでのガソリン・軽油品切れ現象が最近は忠清南道地域まで広がっている状況について非常に厳重に認識している」と述べた」

     

    ガソリン不足になると、経済活動に直接の影響が及ぶ。特に、10~12月期のGDP成長率が前期比マイナスもあり得るという厳しい見方も出て来ただけに、早期解決が望まれる。12月という1年の最繁忙期を迎えているだけにストの行方に関心が持たれている。


    (3)「続いて、「集団運送拒否でも運送に乗り出すタンクローリーの運転手たちに被害が発生しないよう、産業部でも積極的な警察の支援と協力を繰り返し要請する」と付け加えた。産業部は精油4社と大韓石油協会、韓国石油公社などが加盟する‘精油業界非常状況班’を運営し、主要拠点別の入荷・出荷とガソリンスタンドの在庫現況などをモニタリングしている」

     

    政府は、ガソリンスタンドの在庫状況などをモニタリングしているが、厳しい状況になれば、政府への非難となろう。韓国世論の半分は、左派支持である。

     

    (4)「これに先立ち、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は民主労総公共運輸労組貨物連帯本部(貨物連帯)に対し「不法と犯罪に基づく争議行為には最後まで法的責任を問う」と明らかにした。また、週末以降も貨物連帯のゼネストが続く場合、業務開始命令の拡大など、利用可能なすべての案を検討するという強硬な考えも再確認した。特に、首都圏のガソリンスタンドのガソリン品切れ事態まで予想されるため、週明けにただちにタンクローリーに対する追加業務開始命令を発動するものと予想される。さらに大統領室は政府発注物量被害額と関連した訴訟も検討している」

     

    政府は、法的手段一点張りである。これだけでは、解決は難しい。韓国のトラック運転手は、特殊な雇用形態になっている。これを、解決することが必要だろう。

    あじさいのたまご
       

    習近平氏は、すべてが台湾統一に向けられている。国家主席3期目の最大の課題は、台湾統一とされている。習氏が歴史に名を刻むには、これしかないというのだ。

     

    中国政治では、祖国統一が最大の目的とされている。秦の始皇帝が、最も尊敬されるのは中国統一であった。次いで、毛沢東の革命による新中国建国である。後は、台湾統一が残されている。習氏が、万難を排してこれに挑むためには、国内を緊急時に合わせて整備することが不可欠。中国が、台湾有事で西側諸国から制裁されるのに備え、国営の食料品店を拡張しているというのだ。何とも、時代錯誤なことに心血を注いでいるものである。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月3日付)は、「中国、国営食料品店が拡大 売上総額120兆円 アリババに迫る 有事念頭に習指導部後押し」と題する記事を掲載した。

     

    中国で、食料や日用品を実店舗で扱う国営の「供銷社」が売り上げを伸ばしている。2021年の売上総額は前年比19%増の6兆2600億元(約120兆円)で、インターネット通販の巨人アリババ集団の8割に迫った。習近平指導部が国主導の流通網の強化に向けて支援していることが一因だ。紛争など有事の際にも食糧を安定供給する狙いがあるとの見方が出ている。

    (1)「供銷社は農家から農産物を買い上げて流通させており、日本の農協に似たところがある。国の機関である中華全国供銷合作総社が管轄する。北京市中心部の朝陽区団結湖地区。外国人も多く住むこの地域に10月、供銷社が開店した。11月平日の午前中に訪れると店内は中高年の買い物客でにぎわっていた。「きょうは大根がほかのスーパーより安い。ここの野菜はどれも形がきれいね」。40代の女性客は笑顔で話した。入り口のポスターには、特売品ではなく「共産党に従い、共産党とともに歩む」とのスローガンが並ぶ。外壁には「供給を保障します」と書いてある。店内は普通のスーパーだが、部分的に国営色が色濃く出ている」

     

    中国共産党の第20回党大会が10月終わった後、国営商店である供銷社(供給販売合作社)が北京、上海、広州、深圳などの大都市で拡大していると官営メディアが大々的に報道している。全国各地で「国営食堂」が営業を始めたというニュースも相次いでいる。10月31日、中国の住宅建設部と民政部は、全国の各市・区政府が共同食堂、商店、乳児院、保育所、老人ホーム、医療施設を備えた「完全な居住団地」(完整社区)を試験建設するよう指示したという。韓国紙『ハンギョレ新聞』(11月15日付)が報じた。「共同富裕論」の実現に向けたテストケースと見られる。

     

    (2)「供銷社は、建国直後の1950年に誕生した。農産品や日用品の配給が滞らないように党と政府が流通統制を敷いたのが誕生のきっかけで、改革開放前の計画経済時代には食品や日用品の主な流通経路だった。改革開放後は民間小売業に押されて衰えたが、近年はじわじわと復活している。特に習氏が党トップに就いた2012年以降に拡大が加速し、21年の売上総額は12年比2.4倍に膨らんだ。21年の伸び率は19%で、中国全体の小売売上高の伸び(12%)を上回る。好調の一因はゼロコロナ政策だ。外食を減らし、自炊する人が増えたことが追い風になっている」

     

    今時、供銷社という国営商店の拡充に乗り出している目的は、鄧小平の改革開放路線を棚上げして、毛沢東時代に戻ろうという動きであろう。また、台湾有事の際は生活必需品を国民に届けるという狙いもあろう。

     

    (3)「ネット通販も含め民間小売業が全盛の時代に、なぜ国営商店なのか。北京市の有名大学の教員は「将来起こりうる『危機』に備えて食糧供給が滞らないように準備している可能性がある」と指摘する。習指導部が「公約」に掲げる台湾統一に武力を用いた場合、米国が中心となって対中国の「経済封鎖」に乗り出す可能性はぬぐえない。仮に食糧不安が起きれば共産党体制を揺るがしかねない。供銷社を通じて流通網への国の関与を強めることが有事の備えにつながるとの見立てだ」

     

    ここでも、国営商店拡充の狙いは台湾有事に備えたものという解釈である。誰でも、「今なぜ」という疑問を持って当然だろう。

     

    (4)「中国の穀物自給率は公式統計では95%と高いが、実際には78割との見方もある。豚の飼料に欠かせない大豆など大半を輸入に頼る穀物もある。供銷社は中国が貧しかった計画経済時代の「象徴」ともいえ、中国の庶民は供銷社に複雑な感情を抱く。北京市出身の50代の男性は「子どもの頃、親が食糧配給切符をもって供銷社で農産物を受け取っていたのを思い出す。あの頃に逆戻りしているようだ」と語る。人口が2千万人を超える北京市では民間の大手スーパーがしのぎを削る。安くて鮮度の高い野菜を売る市場も残る。「国営商店が前面に出てくる事情がわからない」と首をかしげる市民も少なくない」

     

    中国の穀物自給率(エネルギー・ベース)は、70%台前半と推測されている。台湾有事になれば、経済封鎖で2割強が不足する。習氏は、これに備えて「食べ残すな」「レストランでの注文料理数を減らせ」とかやかましいことを言っている。だが、絶対的な食糧不足は如何ともし難いのだ。「頭隠して尻隠さず」である。

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    EU(欧州連合)は、12月5日からロシア産原油を輸入禁止にする。これに合わせて、原油価格の高騰を防ぐために、ロシア産原油価格に上限制を決めた。1バレル60ドルにし、価格上限を市場価格より少なくとも5%低く保つことになった。この決定に、G7と豪州が賛成している。

     

    価格が上限を下回っていない限り、海運や保険、再保険会社がロシア産原油の貨物を扱うことを禁止する。主要海運企業や保険会社は、G7各国に拠点を置いているため、価格上限設定によりロシアが原油をより高い価格で販売することは極めて難しくなる。海上保険がつかないロシア産原油の輸送は、リスクが余りにも高くなることから、事実上の輸送禁止になるもの。ロシアにとっては、大きな打撃だ。

     

    『ロイター』(12月3日付)は、「EU、露産原油価格上限で週末にも正式合意 禁輸後の高騰阻止」と題する記事を掲載した。

     

    EU(欧州連合)は2日、ロシア産原油の輸入価格に対する1バレル=60ドルの上限設定で合意した。承認を保留していたポーランドが支持に転換したことを受け、週末にも正式承認される見通し。

     

    (1)「ポーランドのアンジェイ・サドスEU大使は2日、記者団に対し、価格上限を市場価格より少なくとも5%低く保つとの条件が含まれた合意に賛成すると表明した。ポーランドは、ロシアの戦費調達を制限するため上限をより低く抑える調整メカニズムの検討を求め、提案された水準に抵抗感を示していた。価格上限の設定は主要7カ国(G7)の提案で、ロシアの原油収入を減らし、EUが12月5日にロシア産原油禁輸を開始した後の価格高騰を防ぐ狙いがある」

     

    ロシア産原油価格の上限制を最初に提案した米国は、EUの決定を歓迎している。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、記者団に対し「価格上限はプーチン氏が石油市場から利益を得て罪のないウクライナ人を殺し続ける戦争マシンに資金を供給し続ける能力を制限するのに資する」と指摘。1バレル=60ドルでの価格上限は適切な水準で、望ましい効果を及ぼすとした。また価格上限には2つの意図があり、一つはロシアが石油市場から利益を得ることを制限すること、もう一つは需給のバランスに役立つこととした。『ロイター』(12月3日付)が報じた。

     

    (2)「EUの輪番議長国を務めるチェコの報道官は、加盟27カ国全てがこの協定を正式に承認するため書面による手続きを開始したと明らかにした。4日に正式発表される見通し。フォンデアライエン欧州委員長は、上限の設定はロシアの収入を著しく減少させるとの認識を示した。また、市場の動きに対応できるように60ドルの上限の調整は可能とした上で、「世界のエネルギー市場を安定させる」という見通しを示した」

     

    ロシア産原油価格の上限制は、60ドルで固定せず調整が可能になっている。これにより、世界のエネルギー価格は安定するとしている。

     

    (3)「先週のG7の当初提案では、価格上限は1バレル当たり65~70ドルとし、調整メカニズムの設定はなかった。ロシアのウラル原油はすでにこれを下回って取引されていたため、ポーランド、リトアニア、エストニアは上限価格の引き下げを求めていた」

     

    価格の上限を巡っては、ギリシャのように70ドル以上を主張する国もあった。ギリシャは船主が多いので、高価格のほうが運賃も上がるからだ。だが、バルト三国のようにロシアへ強い反感を持つ国々は、60~65ドルを主張。結局、最低ラインに落ち着いた。

     

    (4)「G7の価格上限は、EU域外の国々がロシア産原油の海上輸入を継続することは認めるが、価格が上限を下回っていない限り、海運や保険、再保険会社がロシア産原油の貨物を扱うことを禁止するもの。主要海運企業や保険会社は、G7各国に拠点を置いているため、価格上限設定によりロシアが原油をより高い価格で販売することは極めて難しくなる。米ホワイトハウスは2日、これを歓迎し、ロシアの収入に対する制限につながると引き続き確信しているとした」

     

    原油輸送には、海上保険が不可欠だ。主要保険会社は欧州に存在するので、EUのロシア産原油価格の上限制は、決定的な意味を持つ。EUの決定が、保険会社を拘束するからだ。

     

    (5)「ロシア下院外交委員会のスルツキー委員長は2日、EU(欧州連合)はロシア産石油に価格上限を設定することにより、EU域内のエネルギー安全保障を危険にさらしていると述べた。タス通信が報じた」

     

    ロシアのプーチン大統領とドイツのショルツ首相が12月2日、電話会談した。ロシア大統領府によると、プーチン氏はウクライナに関するドイツなどの西側の対応は「破壊的」だとし再考を求めたという。今回のロシア産原油価格の上限制について触れていないが、「破壊的」という意味にはこれも含まれているであろう。

     

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