勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国の年間貿易黒字が、1兆ドルを超えて急増している。ダンピング輸出の結果だ。最近、欧州の首脳が相次いで訪中するなど、中国の習近平国家主席には風が吹いている。だが、貿易黒字急増の裏側を探ると、内需の弱さに帰着する。輸出だけ増やしたが、国内不況で輸入が増えない結果でもある。手放しで貿易黒字増大を喜べない状況に追い込まれているのだ。

     

    元財政相の楼継偉氏は最近、不動産不況が少なくとも後5年続くとの見通しを語った。不動産バブル崩壊後遺症が、中国経済を焼き尽くす感じだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月10日付)は、「もろい土台:習氏の外交成果、低迷する経済を覆い隠す」と題する記事を掲載した。

     

    習近平氏は最近、自信を持つ理由が十分にある。中国の年間貿易黒字が1兆ドルを超えて急増する中、西側諸国の首脳が北京訪問に列をなしている。また、WSJ中国支局長のジョナサン・チェンが指摘したように、最近発表された米国の国家安全保障戦略は、中国に対するトーンが以前より穏やかになったことを示している。そしてドナルド・トランプ米大統領は週初めに、エヌビディアがより高性能なH200チップを中国に出荷することを承認した――中国からの見返りはほとんどなかったが。

     

    (1)「国内経済に関しては、その自信は厳しい現状に直面している。輸出は底堅さを維持しており、中国は今年111月に1兆1000億ドルの黒字を積み上げることができた。だが、より広範な国内データは、構造的な疲弊に苦しむ経済を浮き彫りにしている。 10月の鉱工業生産の伸びは急激に鈍化し、中国の製造業の勢いが冷え込んでいることを示している。あらゆる景気拡大の生命線である借り入れ需要は、民間部門と全体の貸し出しの両方で減少した。インフラ投資は前年比で12.1%という驚異的な減少を記録した。小売売上高は、アナリストらが一時的な上昇と呼ぶ金と宝飾品の需要によって支えられた。これは安全資産への逃避であり、自動車と家電の売上高の減少をかろうじて覆い隠した」

     

    中国は、今年111月に1兆1000億ドルの黒字を積み上げた。ダンピング輸出と内需不振にともなう輸入停滞に基づく。不況の象徴的事例である。

     

    (2)「より深刻な苦境は、かつて中国の台頭を支えたセクターである不動産にある。国有系デベロッパーの万科企業は、かつて業界の最優良企業と見られていたが、現在は2億8300万ドルの債券について1年間の支払い猶予を懇願している。万科は債権者への書簡で「当社の経営状況は依然として極めて厳しい」と認めた。業界の最後の安全のとりでとされていた万科がつまずけば、ほとんど誰も無傷ではいられないだろう」

     

    不動産バブル崩壊で、大手不動産企業が倒産の瀬戸際に立たされている。万科で3社目になる。

     

    (3)「元財政相の楼継偉氏は最近、中国の著名なビジネス誌『財新』が主催したフォーラムで、投資家を震え上がらせるような見解を披露した。中国の不動産縮小は少なくともあと5年は続く可能性が高いというものだ。楼氏の予測が現実化すれば、資本流出がゆっくりと長く続く可能性がある。さらに5年間の住宅不況は、システミックな金融危機のリスクを高めるだろう。銀行のデベロッパーや建設業者、住宅ローンへの膨大なエクスポージャーが、着実に有害な不良債権に変わり、資本バッファーを食いつぶすことになる」

     

    元財政相の楼継偉氏は、中国の不動産縮小が少なくともあと5年続くとみている。つまり、あと5年以上は続くという暗い見通しである。この間、景気底入れはない、ということだ。

     

    (4)「長年にわたる低迷は、すでに地方政府の財政を直撃している。土地使用権売却はかつて歳入の最大40%を占めていた。長期にわたる低迷がさらに続けば、都市がその資金調達手段とする融資平台(地方政府傘下の投資会社)が抱える数兆ドルの不透明な債務を返済することをさらに困難にし、回復を支えるために必要な財政能力を空洞化させる可能性がある」

     

    不動産不況の長期化は、中国財政の空洞化=赤字拡大を意味する。深刻な事態へと突入する。

     

    (5)「おそらく最もやっかいなのは、マイナスの資産効果だ。不動産は中国の家計総資産の約70%を占めるため、価格下落は中間層の中核を直撃する。すでに数兆ドルの帳簿上の富が蒸発し、経済学を超えた深い不安を生み出している。正味資産のほぼ4分の3を占める資産が急落している時、自然な反応は貯蓄を増やし、支出を大幅に減らすことだ。これは経済回復にとって必要な国民の信頼を損なう守りの姿勢である」

     

    家計の正味資産は、地価値下がりでほぼ4分の3が消えている。こういう局面での自然な反応は、家計が貯蓄を増やし、支出を大幅に減らすことだ。これからは,財政悪化と個人消費切り詰めが徹底化する、くらい時代へ移行する。

     

    (6)「多くのアナリストは、中国の成長が冬の間も萎縮し続けると予測しており、ここ数年で常に後手に回っているように見える中央政府にとってリスクが高まっている。楼氏の予測は、長期化する住宅危機による累積損失が、最終的には中国政府の中央集権システムでさえ吸収するには大きすぎるものになる可能性があることを示している。習氏は国際舞台では強く見えるかもしれないが、立っている土台にはすでにひびが入っている」

     

    長期化する住宅危機による累積損失は、最終的に中国政府の中央集権システムでさえ吸収できない財政赤字を生むであろう。習氏は、国内的に深刻な事態に遭遇する。これが、経済学からみた中国の「病状」である。

     

     

     

    テイカカズラ
       


    基礎研究無視の報い

    革新技術と覇権国家

    浮上する日本の存在

    中国ブロック化危機

     

    中国は、高市首相による「台湾発言」の撤回を求め、執拗なまでの威圧をかけ続けている。最近は、中国軍機による自衛隊機へレーダー照射する危険行為にまでエスカレートさせた。なぜ、ここまで暴走しているのか。原因は,国内経済の長期不況に伴う国民の不満を「反日」によって発散させることにある。独裁者が、よく行う手慣れた手法である。本来ならば、国内で官製デモを組織させたいところだが、それは差し控えている。国民の不満が即刻、共産党批判デモへと点火するリスクを恐れているからだ。

     

    習近平国家主席は、こういうジレンマを抱えながら日本非難を続けさせている。中国経済は、内需不振をカバーすべくダンピング輸出による「近隣窮乏化政策」へ走っているほどだ。また、レアアース(希土類)による「独占状態」をテコにして、西側諸国の製造業を脅かすことで、ダンピング輸出を支援する戦術を展開している。表面的にみると、中国経済は輸出が順調であることから、技術的に優れているという「誤診」まで生んでいる。

     

    英誌『エコノミスト』(25年11月29日号)は、中国経済を次のように絶賛している。「今後の技術革新は、中国のような権威主義的な独裁体制や過剰な補助金提供によってのみ可能であり、民主主義国には追随できない。だが、中国の民間企業による創意工夫や規制当局の機敏な対応も重要な要素だ。こういった点では、残念ながら西側は誤った方向に進んでいる」

     

    この見方は、極めて皮相的である。中国が、過剰生産による価格低落でダンピング輸出していることは、既存技術による大量生産の結果にすぎない。現に、企業収益は悪化しているのだ。生産性は低下しており、GDPの上昇に寄与していないことが、何よりの証明であろう。技術革新とは、従来にない生産方法の開発や新製品を生み出すことにある。中国は、この二つのいずれも実現したわけでない。既存技術の模倣と過剰生産が、工業製品の世界的生産シェアを高めているに過ぎないのだ。創造性とは無縁である。

     

    基礎研究無視の報い

    中国が、既存技術による過剰生産に陥り、価格の低落に苦しんでいるのは、本当の意味での技術革新が起っていない結果だ。補助金によって支えられた経済ゆえに、生産者価格はすでに3年以上のマイナス局面にある。ここからの脱出には、新製品開発や新たな製造技術の開発以外に道はない。それには、基礎研究を充実させることが最善の方法である。中国は、これを軽視して応用研究のみを重視してきた。中国企業は、互いに模倣合戦に陥っている。基礎研究なしに、イノベーション(革新)は生まれないのだ。

     

    中国の研究開発費に占める基礎研究の比率は2018年現在、5.%にとどまっていた。基礎研究の比率は、日米の15%程度(21年)と比べて、3分の1程度という低水準である。中国は、15次5カ年計画(2026~30年)において、基礎研究比率を押し上げる方針である。ただ、基礎研究費が増えたからと言って、すぐに独創的な結果が出る訳でない。基礎研究の積み重ねが成果を生むのだ。中国は、この分りきった事実を行わず、目先の利益を追ってきた。それが、現在の過剰生産を生んだ背景にある。

     

    中国は、2035年までの「科学技術強国」実現を国家戦略に掲げている。これらの分野は「高質量発展(質の高い発展)」を支える「新質生産力(新しい質の生産力)」の中核と位置づけられている。中国のイノベーションは、国家が示した重点分野に企業・人材・資金を集中させる「挙国体制型」が特徴だ。こうして、既存技術を新領域に応用し、世の中に広く浸透させる社会実装型を得意としている。

     

    15次5カ年計画では、「基礎研究と独創的イノベーション能力を著しく強化」し、「異例の措置」を講じ、ゼロから新技術を生み出す力を高める、としている。このようにマジックのごときことが、科学の世界で短時間に起こるであろうか。実は、次期通信網6Gとして国際標準化を視野に収めたNTTの「IWON=アイオン」が現在、100年から200年に一度起こるほど希有な革命的技術の登場と評価されている。2028~30年に国際標準化の見通しだ。これが、中国のイノベーションを阻む大きな要因となるはずだ。

     

    IWONは、光と電気の融合である「光電融合」と呼ばれ、通信革命と言える内容だ。この結果、2030年以降は世界の通信網が一変する。現在、中国が国家主導の下で進めている人型ロボットとAIの融合も、西側諸国へ輸出する場合はIWONの介在で機能する時代が迫っている。中国が、IWON規格に則ったものでなければ輸出が不可能となるのだ。もう一つ、中国製品には「バックドア」リスクがある。西側諸国は当然、中国先端製品の輸入を忌避する事態となろう。

     

    中国は、通信革命であるIWONを採用するのか不明である。また、バックドア問題が中国の国家的信用度を引下げていることも暗い影を落としている。バックドアは、技術の軍民共用という国家安全保障重視のもたらした落し穴だ。これを清算できるのかも不明である。習氏の描く「中華民族の夢」は、通信革命の登場によって厳しい「限界状況」を迎えるだろう。IWONは、「いかがわしい」中国先端製品を排除する可能性を持つのだ。(つづく)

     

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    中国が、隣国との戦争直前に“最後通告”として使ってきた外交用語を、日本に対して突きつけた。中国軍機が、自衛隊機へレーダー照射行う矢先の出てきた発言だ。問題発言は、「絶対に容認できない(是可忍, 孰不可忍)」である。過去では開戦前に使われた言葉という。中国軍が、日本侵略を行えば米軍とも戦うことになる。その覚悟あっての発言か。日本へ肩をいらつかせた発言なのか。軽率発言であることは間違いない。

     

    『中央日報』(12月10日付)は、「中国が最後通告の時に使った用語、日本に突きつけた」と題する記事を掲載した。

     

    王毅外交部長は8日、北京で行われたドイツのヨハン・ワデフル外相との会談で、日本を狙って「絶対に容認できない(是可忍孰不可忍)」と述べたと中国外交部が発表した。中国外交部は、8日午後9時にワデフル外相との会談を紹介した後、約3時間後の9日午前0時55分に「王毅:台湾の地位はすでに『七重に固定された』」というタイトルの資料を別途掲載した。

     

    (1)「魯の実権者・季孫氏の不遜な行いを孔子が非難する文脈で使われたこの言葉を、中国当局は現代外交で決定的な局面ごとに持ち出してきた。過去、1962年9月22日、党機関紙『人民日報』は「絶対に容認できない(是可忍, 孰不可忍)」というタイトルの社説を掲載した。記事は「インド当局に厳粛に警告する。我々が警告しなかったとは言うな(勿謂言之不預也」としていた。その後、1カ月も経たない10月20日、中国はインドとの国境戦争に突入した」

     

    いささか、時代がかった発言だ。今は、戦国時代ではないのだ。中国が、日本へ武力攻撃するならば、日米安全保障条約に基づいて米軍も参戦することになる。そういう背景を考えるべきだ。

     

    (2)「中国・ベトナム国境紛争が極度に高まっていた1978年12月25日、『人民日報』は「我々の忍耐には限界がある」というタイトルの記事を掲載した。記事には「我々が警告しなかったとは言うなと、事前にはっきりさせておこう」という一文も含まれていた。翌1979年2月17日、中越戦争勃発当日の『人民日報』1面には「絶対に容認できない」という見出しが掲げられた。中国が戦争直前の“最後通告”のたびに持ち出してきた言葉だということだ」

     

    日本は、ベトナムでもインドでもない。G7のメンバー国である。中国が、その日本へ戦争を仕掛けるとするならば、国連常任理事国の名前が泣くだろう。

     

    (3)「中国が、日本との外交紛争で“最後通告”性の発言を持ち出したのは今回が初めてだ。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐり中日対立が最高潮に達していた2012年9月、洪磊・外交部報道官は「崖っぷちに至ったのだから手綱を手繰り寄せろ(懸崖勒馬)」という程度にとどめた。「懸崖勒馬」は最後通告の前段階で使われる中国式外交用語だ。ただし、武力示威を超えて実際の軍事行動に発展すると見るのは難しい状況だ。台湾聯合報は「王部長の発言が本当に最後通告になるためには、『人民日報』1面や社説に掲載される必要がある」としつつも、「外部は軽視できない」と分析した」

     

    中国が、現在の経済状況で日本へ開戦するとは正気の沙汰でない。脅迫にしても,度が過ぎている。中国が、日本へ武力攻撃すれば、中国の国際的地位は低下するとは間違いない。一方、米軍が中国軍に対して劣勢であるとの情報が「リーク」された。中国の対日強気発言と今回の「リーク記事」をどう読むべきか。

     

    『中央日報』(12月10日付)は、「米国防総省の機密報告書、中国の台湾侵攻時『米軍は中国に毎回敗戦』」と題する記事を掲載した。

     

    米国防総省が台湾侵攻を仮定した模擬戦争で「米軍が中国軍に繰り返し敗戦する」という内部評価を出したことが把握された。高価だが脆弱な武器体系への依存、大量生産能力の弱化、中国のサイバー戦争優勢などが複合的に作用し、米軍の戦力が構造的限界に直面したという診断だ。

     

    (4)「ニューヨークタイムズ(NYT)は8日(現地時間)、米国防総省作戦評価局がホワイトハウス関係者に極秘裏に報告してきた機密文書「オーバーマッチブリーフ=軍事優位報告書」を入手し、その内容を公開した。報告書は、中国の台湾侵攻時の米軍の介入を想定したウォーゲームシミュレーションで「中国が米国の先端武器を台湾海域に接近する前に破壊する能力を備えている」と評価した」

     

    実は、米海兵隊はすでに少人数の小隊に再編成して島嶼部に展開している。これに応じたミサイルも携行して万全を期している。こういう事実と照らし合せると、NYT記事は中国軍の動向を探る「やらせ記事」という印象が強い。世界最強軍隊の米軍が、これほど「間抜け」な振舞をしているとは思えない。

     

    (5)「報告書は特に音速の5倍の速度で飛行する中国の極超音速ミサイル戦力を「米空母戦力の致命的弱点」に挙げた。米国の最新鋭空母「ジェラルド・フォード級」さえも中国の集中攻撃に対応できないという結論だ。米国は極超音速兵器をまだ実戦配備していないが、中国は約600基を確保したと評価された」

     

    米軍も同様のミサイルを豪州で実験して成功している。この記事は、作為的な臭いが強く、米軍がある意図を持って流した記事であろう。

     

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    半導体メーカーのラピダスは2027年度後半に北海道千歳市の工場で次世代半導体の量産を始める。これに合せる形で、北海道電力泊原発が再稼働する。半導体製造には多くの電力が必要で、電力の安定供給が不可欠だ。ラピダスは、電力供給の懸念が解消する。朗報はさらに続く。キャノンが出資しソフトバンクが追加出資する。

     

    『産経新聞』(12月10日付)は、「『日の丸半導体」』復活のカギ握る泊原発再稼働 ラピダス、次世代半導体の開発に弾み」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ラピダスは千歳市の工場で4月、世界で商用化の例がない回路線幅2ナノメートル相当の次世代半導体の試作ラインを稼働。27年度後半に量産を始める。次世代半導体は海外勢が先行する。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は25年に2ナノ、28年に1.4ナノを量産する計画。韓国サムスン電子も開発に力を入れており、ラピダスは早期量産化で追随する。政府関係者は、「ラピダスの半導体開発は今後も順調に進みそうだ」と話し、半導体立国の復権に期待を寄せた」

     

    政府関係者が、初めて「ラピダスの半導体開発は今後も順調に進みそうだ」と明るい展望を明かした。技術面での見通しがついた結果だ。

     

    (2)「ラピダスは、さらに27年度には千歳市で2棟目の工場に着工する方針。29年には2ナノより高性能な1.4ナノを量産することを目指す。半導体生産では製造装置や、空気中の微粒子などを制御するクリーンルームの稼働に膨大な電力を消費する。次世代半導体を環境に配慮しつつ量産するため原発は最適な電源と期待されている。北電は泊原発で防潮堤を完成させた後、27年の再稼働を目指す。ラピダスの量産開始を意識しているのは明らかだ。ラピダスにとっても、電力需給が逼迫(ひっぱく)する懸念が払拭され、開発や量産に専念できる環境が整う」

     

    ラピダスは、27年には第二工場建設に取りかかる。まだ、製品が出荷されない段階で、次の工場建設に取りかかるのは、1.4ナノ生産目的である。この半導体は、NTTの次世代通信網6Gの「IWON」の装置に使われるものだ。IWONは、28~30年には国際化標準に採用される見通しである。世界的需要が見込まれている。これに合わせて、北電は泊原発で防潮堤を完成させた後、27年の再稼働を目指すことになった。

     

    『産経新聞』(12月10日付)は、「キヤノンがラピダス出資へ、先端半導体の量産後押し ソフトバンクも追加する意向」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「キヤノンが、ラピダスに出資する方向で最終調整していることが10日、分かった。数十億円規模になるとみられる。半導体製造装置も手がけるキヤノンは、サプライチェーン(供給網)の一角を担う企業として資本参加を通じ、2027年度後半を計画する量産の実現を後押しする。ソフトバンクが追加出資に踏み切る意向も判明した」

     

    キャノンが、ラピダスへ数十億円規模で出資することになった。キャノン製半導体製造装置が、ラピダスで採用されることになったので、出資で関係を強固にする。ソフトバンクが、追加出資する見込みだ。

     

    (4)「キヤノンは、北海道千歳市にあるラピダスの工場の試作ラインに半導体露光装置を納入した。露光装置は半導体の生産工程で、回路パターンをシリコンウエハーに転写する装置。ラピダスは、オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLの極端紫外線(EUV)露光装置と併用している。ラピダスは、経済産業省に提出した事業計画で、研究開発や量産に必要な投資額が7兆円を超えるとの見通しを示した。政府の累計支援額は、約2兆9000億円に上ることになるが、ラピダスは民間企業からも1兆円規模の出資を確保したい考えだ」

     

    キャノンの半導体製造装置は、1.4ナノ製造に使われる。ハンコと同じ様式で、ウエハーに転写する装置。ラピダスは、オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLの極端紫外線(EUV)露光装置と併用する。キャノンは、ラピダスへ納品することで実績づくりになる。

     

    あじさいのたまご
       

    中国軍機が、自衛隊機にレーダーを2度にわたって照射した6日の事案で、日中防衛当局の専用回線「ホットライン」を日本側が使おうとした。中国側は応じなかった。中国軍が、沖縄周辺に空母を展開して軍事的緊張を高めるなか、有事の際の連絡手段が機能しないことが浮き彫りになった。中国軍が、意図的にレーダー照射している以上、電話を取らぬのは自らの「犯意」を立証している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月10日付)は、「ホットライン取れぬ中国 汚職摘発で揺れる軍幹部、対話の余裕なく」と題する記事を掲載した。

     

    中国軍との不測の事態を避けるためのホットラインは日本だけでなく米国も設置しているが、これまで本来の役割を果たしたとの報告はない。背景には有事の電話を取れない中国側の内情があり、今後も同様の事態が起きる可能性が高い。

     

    (1)「自衛隊幹部は、ホットラインの通信に中国側が応じなかったことを知ると、「予想通りだ。驚きはない」と漏らした。ホットラインは、日中の防衛当局が偶発的な衝突を避ける「海空連絡メカニズム」の一環で2023年に設けられた。この年に開設された際、当時の浜田靖一防衛相と李尚福国務委員兼国防相が通話したことがある。ただ、日本側には中国とのホットラインの有用性への期待はほとんどなかった。どんな枠組みを設けても、有事の際に中国軍と連絡がとれなくなるというのは日米の安全保障当局者の共通認識だったためだ」

     

    権限がトップへ集中している中国では、権限のない「中間管理職」が緊急電話を受けても応答できるはずがない。中国とのホットラインは、無駄ということを立証した。

     

    (2)「先立って米軍は08年、中国軍との間でホットラインを開設した。導入当初の同年5月に発生した四川大地震の際には、米国から現地に送る救援物資の調整のために使われた。ただ、その後は偶発的な衝突の恐れがあった際にもほとんど利用されてこなかった。日中間では12年に設置の検討に入り、18年に合意に至った。それでも日米外交筋によると、その過程で米国防当局者が「中国軍はいつも大事な時にホットラインの電話を取らない。設置しても期待はできない」と日本側に伝えていた」

     

    米中間でも、ホットラインは機能していないという。中国の「独裁状況」が、そうさせているもの。諦めるほかない。

     

    (3)「有事の際の通信手段が使えなくなるのは、中国側に世界的な危機を回避するための責任感や、各国への信頼が欠如していることが背景にある。ホットラインは核戦争の瀬戸際まで至った1962年のキューバ危機の教訓に立ち、米国とソ連が63年に設置した。首脳間を結んだ直通回線による文字通信で、緊急時に素早く連絡を取り合い、意図しない戦争を防ぐ狙いがあった。67年の第3次中東戦争や73年の第4次中東戦争などでも実際に使われ、緊張緩和に一定の役割を果たした。当時の米ソは東西両陣営の盟主として、それぞれが核戦争への危機感や責任感を共有しており、ホットラインを無視する選択肢はなかった」

     

    中国に、GDP世界2位という責任感はない。あるのは,相手を出し抜くという「奇策」を用いることだ。国際的な信頼度は極めて低いのだ。

     

    (4)「中国は当事者として、こうした危機感を日米と共有していない。中国側に軍事的な挑発で緊張を高める政治的な意志があるとき、緊張緩和に向けたチャンネルが機能しなくなるのも当然といえる。ホットラインが冷戦期の米ソのような首脳間でなく、防衛当局者間であることも機能しない一因になっている。今回のような台湾情勢や日米に関連する軍事行動は、中国共産党の最高指導部が判断する事項となる。それだけに安易に日米とのホットラインに応じたら、それ自体が指導部の了承がない独断だと責任を問われ、失脚する恐れがある。ただでさえ最近、中国軍では幹部の大規模な粛清が進んでおり、軍人は保身のためにいかなる失点も許されない緊張した状態に置かれている」

     

    ゲリラ戦が本流であった人民解放軍に、正規軍としての自覚を求めるのは無理であろう。

     

    (5)「中国共産党が10月に開いた重要会議では、参加資格を持つ人民解放軍幹部らのうち6割超が欠席した。多くが汚職の疑いで拘束中とみられる。日本の外務省幹部は「こんな状況でホットラインの電話を取る度胸がある軍人はいない」と分析する。中国との有事の際の衝突を防ぐ体制が乏しいことは世界にとってもリスクとなる。軍当局者間だけでなく、首脳間など様々なレベルで連絡手段が必要になるが、開設の機運は乏しい。最近のホットラインの運用状況は、冷戦時よりも誤解や無理解がはびこりやすい大国間の危険な状況を映している」

     

    汚職に汚染されている人民解放軍は、互いに監視し合うシステムであろう。そういう中で、ホットラインの受話器を手にする「勇者」はいない。後で、どういう評価を受けるか分らない恐ろしい雰囲気なのだろう。

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