勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    目的は習氏の権威護持

    軍最高幹部追放の意味

    中国軍の根本的弱みは

    情報戦で敗北する宿命

     

    中国とは、どのような性格の国家であるか。その本質は、権威主義である。具体的には、歴史の教科書に出てくるあの専制国家だ。専制主義が、現在の中国を支配しているのである。こういう視点から現代中国を眺めると、そこに多くの欠陥が現れていることに気付くであろう。

     

    専制国家という表現は、もはや時効になっている。今様に言えば、権威主義である。この権威主義という軸によって中国を分析すれば、中国の見えない部分が明瞭に浮かび上がってくる。なぜ、過剰生産を続けているのか。経済の実態が悪化しているにもかかわらず「5%成長」に拘っているのか。人民解放軍の最高幹部二名が同時に粛清された理由は何か。すべての根源は、権威主義に行き着くであろう。それは、中国国家主席習近平氏の「胸三寸」ですべてが決定されるシステムの欠陥の現れである。

     

    中国が、自らを決して権威主義国家と呼ぶことはない。社会主義国と称するが、貧富の格差を放置している社会主義など存在しえないのだ。相続税も固定資産税も存在しない中国は、「富める者がますます富み、貧しき者はますます貧する」格差国家である。この根本的な矛盾は、共産党革命を行った古参幹部子弟を庇うことから始まった。これが、富裕階級をより豊かにする要因として貧富を拡大している。社会主義下における貧富の格差拡大など、原理的にも不可解な事象である。中国は、紛れもない権威主義国家である。

     

    権威主義国家は、「家産国家」とも呼べるであろう。家産制では、国家の支配者が土地や社会的地位を自身の家産のように扱い、家父長制的な支配を行う。ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーによって、「近代国家」との比較論で広く認識された概念だ。現代中国を分析するには、この概念が極めて有益な手法となる。

     

    民主主義国家は、近代国家と呼ばれる。中国は、家産国家で帝王が率いる国家である。家産国家の官僚は、近代国家の官僚(「近代官僚制」)と違い「家産官僚制」と呼ばれる。習氏への忠誠が基本となっているのだ。人民解放軍が、習氏に忠誠を誓うのは家産官僚制の特色である。要するに、習氏が帝王で、官僚はその「補佐役」に過ぎない。これが、学術的にみた中国の実態である。

     

    目的は習氏の権威護持

    権威主義国家中国の極み付けは、5%経済成長固執と軍部の粛清に要約されている。いずれも、習氏の権威維持優先の下で行われている。「何が何でも5%経済成長」は、共産党の権威=習近平氏の権威を守る上で不可欠になった。軍部粛清は、習近平氏への絶対的忠誠に反した結果、二人の最高幹部が追放されたと理解すべきであろう。

     

    以上二つの硬直的な決定は、習氏の強さの証明ではない。逆に、弱さの証明となっている。自らの地位が安泰でないことを自覚した習氏が、地位を守るべき行った「権力発動」である。こうして、中国の実態は国家として弱体化に向って進んでいる。すでに、衰退全過程の6~7割が進んでおり、傾き掛けた国家になっているとみるべきだろう。

     

    まず、経済からみていきたい。中国は、23~25年にかけて「5%前後」という経済成長目標を掲げて実現させた。これは、習氏が2035年目標で掲げた21年比のGDP規模を2倍、国民一人当たり名目GDPでも2倍目標(平均4.7~5%成長)を掲げたことに縛られている。この「2035年亡霊」が中国の経済政策を硬直化させている。

     

    5%成長を実現するには、インフラ投資と設備投資が不可欠である。25年は、ともに前年比でマイナスである。26年の5%成長目標が、どれだけ不合理であるか明白である。それでも目標維持は、権威主義国家の宿命である。習氏の威厳を傷付けないためには、これが不可欠であるからだ。個人の威厳=権威を守るべく、無理な目標を達成することは、中国の経済体質を損ねることになる。誰も、それに異を唱えられないのは、家産官僚制の当然の結果だ。有り体に言えば、官僚は習氏に「隷属」している。

     

    中国は現在、確実に潜在的成長率が低下し続けている。原因は、過剰投資→過剰生産→価格暴落である。中国の成長躍進産業であったEV(電気自動車)は従来、自動車生産と自動車購入の両面で政府補助金付きであったが、財政ひっ迫を理由に取り止めの方向である。補助金がなくなれば、中国EVは長期的に利益が出るか疑問なほど、収益構造が悪化している。これでは、EVが中国経済の成長に何らの貢献をしないことになる。太陽光パネルも同じ状況にある。

     

    中国の経済成長率は、国民の福祉を満たすことよりも、習氏の個人的な威厳を保つことが目標という、本末転倒の状態になっている。不動産バブル崩壊後遺症は、政府の責任でないとして事実上、「手つかず」である。銀行と不動産開発企業の責任で、過剰債務を処理せよという立場だ。これが、地価下落を長引かせて、さらなる地価下落を招いている。地方政府の土地販売収益が減る結果、地方政府の行政を麻痺させつつある。まさに、悪循環に陥っており、最終的には習氏の権力基盤にヒビ割れを起こすであろう。

     

    軍最高幹部追放の意味

    中国経済は、少子高齢化によってますます潜在的成長率が低下して縮小過程へ進んでいる。これが、中国軍部の「粛清」事件を引き起したとみられる。経済成長率の鈍化が、しだいに武器調達の障害になるからだ。こうした背景の下で、中国人民解放軍制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席が1月、突然の失脚となった。

     

    理由は、汚職と米国への情報漏洩とされているが、意見の対立によるものとみられる。習氏は、27年までに台湾侵攻準備を終えるように軍へ要求した。一方、制服組トップの張氏は35年まで掛るという意見であった。これは、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月2日付)が報じたものだ。この27年と35年をめぐる意見対立が、習氏の逆鱗に触れたのであろう。習氏は、軍部でも「絶対権力」を確立しなければならない。そういうさしせまった焦りが、今回の粛清の裏に隠されている。(つづく)

     

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    https://www.mag2.com/m/0001684526



    テイカカズラ
       


    韓国産業通商資源省は、重要鉱物サプライチェーンで中国との緊密な協力を模索していると公式に発表した。対象は、レアアース(希土類)など先端技術に不可欠な鉱物で、韓国企業が中国産鉱物を迅速かつ安定的に輸入できる体制を整えるため、ホットライン設置や

    共同委員会の設置 を進めるとしている。

     

    一方、韓国は米国主導の「重要鉱物ブロック」にも参加し、対中依存を減らす努力も並行して進めているという二重戦略である。しかし、韓国は米国の「特恵市場構想(重要鉱物の優先供給・関税優遇などサプライチェーン枠組み)」から外された。米国の特恵市場構想は、「対中依存を減らす国」を優先する枠組みであるからだ。米国が韓国を外した「本当の理由」は、韓国の対中依存が「構造的」であり、短期に変わらないと判断した結果だ。これは、米国からみた韓国が、対中依存が大きいという国で距離を置かれたという意味だ。韓国は、米国の「外様」という位置づけである。

     

    『レコードチャイナ』(2月7日付)は、「韓国、重要鉱物の安定供給確保で中国との協力を模索―シンガポールメディア」と題する記事を掲載した。

     

    シンガポールメディア『聯合早報』(2月6日付)は、重要鉱物のサプライチェーン問題を巡り、韓国政府が中国とのより緊密な協力を模索していると発表したことを報じた。記事は、この発表がトランプ米政権の開いた重要鉱物関連会合の翌日だったことにも言及した。

     

    (1)「記事によると、米ワシントンで4日、重要鉱物のサプライチェーン強化に向けた閣僚級会合が初開催され、韓国からは趙顕(チョ・ヒョン)外相が出席した。一方、韓国産業通商資源部は5日に「中国側とホットラインを設け、共同委員会を設立する」との声明を発表。韓国企業が必要な鉱物を中国からより迅速かつ確実に輸入できるよう支援する旨を明らかにした。声明によると、韓国は世界をリードする半導体電気自動車(EV)用電池、石油化学企業を有するが、国内には完全なレアアース供給網が欠けている。このため、政府は国家安全保障に関わる重要鉱物17種類を指定し、これらの供給状況をさらに監視・分析することで不足に陥るのを防ぐ」

     

    韓国は、今回の重要鉱物のサプライチェーン強化閣僚級会合で議長国になった。その韓国が、中国側とホットラインを設け、共同委員会を設立すると声明を発表した。当然、重要鉱物のサプライチェーンに入るべきだったが、「仮想敵」の中国へ接近した理由は何か。米国が韓国を外した「本当の理由」は、韓国の対中依存が「構造的」であり、短期に変わらないと判断した結果である。韓国は、米国主導の「重要鉱物特恵市場構想」に入れなかったのだ。

     

    (2)「また、調達先の拡大に向けて米国、ベトナム、ラオスを含む他の国々と協力するとともに、2500億ウォン(約270億円)を拠出して韓国企業の海外での鉱物採掘事業を支援するという。一方、記事はワシントンで4日開かれた会合について、「米国の提唱で設立された『資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム』という名の重要鉱物貿易メカニズムの議長国に韓国が選ばれた」と言及。このメカニズムの趣旨に関しては、「多くの国を集め、一致した貿易政策や価格の下限などを設けることで、中国の主導的優位に対応する重要鉱物の貿易グループ形成を目指す」と説明した」

     

    韓国は、2500億ウォン(約270億円)を拠出して韓国企業の海外での鉱物採掘事業を支援するという。本来であれば、「重要鉱物特恵市場」で解決できる問題だ。米国に断られた結果、大急ぎで次善の策を講じたのであろう。

     

    (3)「韓国政府が以前、「中国によるレアアース資源の独占が世界のサプライチェーンの不安定化をエスカレートさせている」と表明したことを取り上げた上で、「米国が新たなサプライチェーンの構築を積極的に模索するのに対し、韓国は中国との外交的調整を通じて重要材料の安定供給を確保しようとしている」と指摘した」

     

    韓国は重要鉱物の黒鉛、レアアース、中間加工品、バッテリー素材の80〜90%を中国に依存している。しかも、これは「一時的」ではなく、産業構造そのものが中国に組み込まれている結果を示している。米国は、こうした見地から「韓国は脱中国を言うが、実際には10年経っても中国依存から抜けられない」と判断。米国が、韓国を特恵市場の「条件を満たす見込みが薄い」国と判断して、特恵市場構想への参加を認めなかったとみられる。韓国は、ピンチである。

     

     

     

     

     

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    自民党が、地滑り的大勝となった。荒天気にも関わらず、事前予想通りの選挙結果になったのは、有権者が日本の未来へ向けて意思表示したことになる。2月9日午前3時過ぎ現在、自民党が315議席(117増)と全議席456のうち7割弱という圧倒的な議席を得ることになった。維新は35議席(1増)。中道は48議席(124減)と大敗した。中道の議席減は、自民と参政やチーム未来へ流れた計算である。昨秋の参院選で多党化現象が取り沙汰されたが、今回の自民大勝によってそれも吹飛んだ形だ。

     

    物価上昇という中で、自民党が大勝した要因は、高市人気による面が極めて大きい。高石市の政策は右寄りである。有権者が、その政策へ7割弱の議席を与えたことは何を意味するかだ。国際情勢の変化による危機感がもたらしたものであろう。戦後日本が守ってきた専守防衛という消極的防衛政策から一歩踏み出して、地域の安全に寄与するという姿勢へ転換したことを意味する。皮肉にも、この後押しをしたのが中国の日本威圧である。

     

    高市人気は、率直に言えば「反中国票」の結集とも言えよう。日本世論は、中国の日本威嚇に対して、極めて強い不快感を持っている。中国の政府高官が、下品な言葉で日本を見下す発言への反発は、高市人気を押し上げたのであろう。そういう意味では、高市氏の勝利は、中国の敗北とも言えるのだ。

     

    中国は、自民党圧勝という選挙結果に対してどのように対応するか。中国のGDPは、日本の5倍以上もあるので、日本へ威圧を掛ければ「折れてくる」とみているようである。こういう期待は無駄であろう。日本は、中国へ譲歩して「レアアースを輸出してくれ」というような哀れみを請う国ではない。西側諸国の技術リーダーとしての立場から、米国と協力して「重要鉱物特恵市場」を構築する構えだ。コア・パートナー(中核国)は、日本・米国・EU・カナダ・豪州である。これに、セカンダリー・パートナー(補完国)として、アフリカ、南米、東南アジアの資源国が中心に合わせて50か国以上が参加する計画である。

     

    注意すべきは、重要鉱物特恵市場の中核国の中でも、日本の精錬技術と需要が支え手になることだ。今や米国は、日本の技術に全幅の信頼を寄せている。こういう立場にある日本に対して、中国がレアアースで「虐める」という小手先の悪戯をすれば、大きな火傷になりかねないという大掛かりなシステムづくりが始まっているのだ。中国は、レアアースなどの精錬でも旧技術である。日本のような化学的精錬法を開発できず、相変わらずの環境破壊の精錬を続けている。いずれは、日本の製錬技術に圧倒される運命である。そういう技術の流れも理解せずに、「夜郎自大」な振舞の結末は必ず己に帰ってくるものである。

     

    中国が研究で日本を超えられない理由は、まず制度面にある。自由な研究環境が存在しない点だ。基礎研究は「自由な発想」「失敗の許容」「異端の尊重」がなければ成立しないのである。中国の制度はその真反対である。研究テーマは国家戦略に従属する。研究者の評価は論文数と政治的忠誠による。失敗が許容されず、短期成果が強制される。研究費は政治的配分で、透明性がない。学術界に党組織が常駐しており、自由討論が成立しないのである。およそ、自由な研究が進む環境にないのだ。

     

    こういう状況では、パラダイムシフトを生むような基礎研究は絶対に育たないと言って過言でない。また、中国は模倣文化が根底にある。中国の技術発展は「キャッチアップ型」であり、既存技術の模倣・改良には強いが、ゼロからの創造には極めて弱いのだ。以上のような致命的欠陥を抱える中国が、日本を威圧すれば屈するであろうという妄想は捨てるべきであろう。今回の高市自民党の大勝には、日本世論が示した中国への反論と理解すべきであろう。

     

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    ロシア経済は、ウクライナへ侵攻した2022年以降、軍需生産と政府支出が牽引してきた。軍事支出は、インフレを押し上げ、金利を高止まりさせ、民間投資を圧迫している。こうして、戦時経済が自動的にロシア経済を押下げる段階になった。25年のGDPが、1%増になった理由はこれである。ロシアは、間もなくウクライナ侵攻で満4年になる。これ以上、戦争を継続できない状況に追い込まれている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月7日付)は、「ロシア、25年GDP成長率3年ぶり鈍化 高金利が消費や企業活動直撃」と題する記事を掲載した。

     

    ロシア連邦統計局が6日発表した2025年の実質国内総生産(GDP、速報値)は、24年に比べて1%増加した。ウクライナ侵略が続く中で3年連続のプラス成長を維持したものの、インフレ抑制のために引き上げた金利が高水準で推移し内需を中心に成長鈍化が鮮明になっている。

     

    (1)「ロシア経済発展省が同日発表した報告書によると、25年は製造業で3.%増(24年は9.%増)だった。化学や冶金などがプラスを維持したのに対して、自動車など一部でマイナスに転じ成長は鈍化した。非製造業では小売りが2.%増(同7.%増)にとどまるなど、全体として減速基調が鮮明になっている」

     

    製造業が、戦時経済の影響を受けて伸び率が鈍化している。非製造業も同様に鈍化している。戦時経済の限界が鮮明になった形だ。

     

    (2)「GDPはプラス成長を維持したものの3年ぶりの低水準だった。ロシアは22年2月にウクライナ侵略を開始し、同年のGDPは米欧諸国の経済制裁の影響で2年ぶりのマイナス成長となった。23、24年は戦時経済下で軍需がけん引するかたちで4%超のプラス成長を維持していた」

     

    戦時経済は、短期的にGDPを押し上げるが、生産性向上につながらないこと。民間部門を圧迫するので、インフレを悪化させるという構造的な弱点を抱えている。25年ロシア経済には、これが現れたものだ。

     

    (3)「プーチン大統領は、3日の経済問題に関する政府会合で、25年のGDP成長率の鈍化に言及し「インフレ抑制に向けた対応」が影響したと説明した。ロシア中央銀行は、戦時下の人手不足などで物価上昇圧力が高まったことを受け、23〜24年にかけて政策金利を段階的に引き上げ、24年10月には年21%とした。中銀はインフレが落ち着いてきたとして25年6月の会合では22年9月以来となる利下げに踏み切った。金利は低下基調ではあるものの、足元の政策金利は16%と高水準が続く。政権幹部や産業界からは中銀の引き締め姿勢を批判する声が相次ぐ」

     

    足元の政策金利は、16%と高水準が続いている。これでは、民間経済が窒息させられる事態になって当然だ。継戦能力は、確実に低下している。

     

    (4)「金利負担が重荷となり消費や企業活動に影響を及ぼしている。ロシア産業貿易省によると、25年の新車販売台数は約132万台で24年比で15%減少した。購入者の多くは高額な自動車の購入にローンを利用しており高水準な金利は負担が大きい。ロシアメディアによると、販売ディーラーの約3分の1が深刻な財政難に陥っているか、事業停止の危機にひんしているという」

     

    新車販売台数が、高金利によって減少している。販売ディーラーの約3分の1が、深刻な事態を迎えている。

     

    (5)「ロシアは、26年1月から付加価値税(VAT)を2%増税し、従来の20%から22%に引き上げた。財務省は増税理由について、国防や安全保障への資金拠出のためと説明する。増税が、鈍化傾向にあったインフレを再燃させる可能性もある。シルアノフ財務相は付加価値税率引き上げによるインフレへの影響について「1%と評価している」と指摘した」

     

    1月から付加価値税(消費税)が、2%増税して22%になる。戦費調達の一環である。こうして、物価上昇へ跳ね返り消費を圧迫する。戦時経済の典型的パターンである。

     

     

     

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    中国の台湾占領を食い止めるための新兵器が考案されたという。数千の無人兵器を台湾海峡に展開して「無人の地獄絵図」をつくるというものだ。米インド太平洋軍のパパロ司令官が、2024年6月に明らかにした防衛作戦の計画は当時、「絵空事」との見方もあった。それが今、技術革新が進んだ結果、現実味を帯びつつあるというのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月8日付)は、「戦争を変える、米AI兵器 台湾防衛に大量無人機、構想 『突然エスカレートの恐れ』」と題する記事を掲載した。

     

    米首都ワシントンで25年10月、米連邦議会議員や米国防総省の幹部を前に、あるAI兵器の開発計画が披露された。「X-BAT(エックス・バット)」と呼ばれる次世代の戦闘機だ。


    (1)「エックス・バットは全地球測位システム(GPS)や外部との通信を必要とせず、「AIパイロット」が自律的に判断して動く。世界で初めて完全無人、かつ滑走路を必要としない垂直での離着陸を可能にした。搭載できる兵器も多様で、戦闘機同士の空中戦、地上施設への攻撃のどちらにも対応できる。製造・運用にかかるコストは米軍の最新型戦闘機「第5世代」のF35などに比べ、10分の1におさまるという。エックス・バット開発の責任者、アーマー・ハリス氏は「敵対勢力は、我々が決定的な優位性を持つと理解することになる」と出席者に語った。開発したのは西部カリフォルニア州を拠点とし、ドローンの自律飛行ソフトを開発する新興の米シールドAIだ」

     

    無人戦闘機エックス・バットは、「AIパイロット」が自律的に判断して動くという。世界で初めて完全無人、滑走路を必要としない垂直での離着陸を可能であるという。コストは、最新型戦闘機「第5世代」のF35などに比べ、10分の1程度だ。

     

    (2)「滑走路を必要としないエックス・バットは、これまで航空戦力の展開が難しかった台湾周辺の無人島などにも配備できる。シールドAIは28年に任務遂行能力の試験飛行を目指す。25年9月には台湾の防衛能力の強化をうたい、防衛・航空大手の漢翔航空工業(AIDC)と提携した。24年夏まで米国防総省で次官補代理を務めていたマイケル・ホロウィッツ氏は、「無人の地獄絵図」計画にはエックス・バットだけでなく「AI搭載の無人水上艇・水中艇、さらに片道切符の長距離型攻撃ドローンの開発が重要だ」と説く。米国や同盟国などが積極投資を進めれば、今後2年以内にAI搭載兵器を実戦配備できるようになると予見する。中国による台湾侵攻を「著しく困難にする可能性がある」と指摘する」

     

    米海兵隊は、すでに小部隊編成で台湾付近の島嶼部に潜む配置となっている。この小部隊には、滑走路を必要としないエックス・バットを与えれば、島影から無人戦闘機が襲いかかるという戦術を展開するのであろう。

     

    (3)「米国ではAIの広がりが、軍需産業のあり方も変えようとしている。国防総省は26年会計年度でAI関連予算に134億ドル(約2.1兆円)を求めている。22年会計年度と比べ、およそ6倍に増えた。米調査会社グランドビューリサーチの推計では、世界の軍事用AI市場は25年から30年にかけて年平均13%のペースで伸びる。シールドAIのほか、データ分析のパランティア・テクノロジーズ、自律走行車のアンドゥリル・インダストリーズなどが急成長し、軍事専業の独占市場に風穴を開けつつある。ロイター通信によると、新興AI企業の国防総省との契約は25年にほぼ倍増した」

     

    今回の米軍のベネズエラ急襲作戦で使われたとされる「ダイナミック・オントロジー(Dynamic Ontology)」は、現代の軍事AIの中でも最先端の領域に属する。これは単なる情報分析AIではなく、戦場そのものを「動的に理解し続けるAI」と位置づけられている。エックス・バットは、このダイナミック・オントロジーに連携して使われるのであろう。

     

    (4)「AIの軍事利用を進めているのは米国だけではない。中国の国有防衛大手、中国兵器工業集団は25年2月、時速50キロで自律的に戦闘支援任務を遂行できる軍用車両を公表した。米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のステーシー・ペティジョン氏は、「中国がかなり幅広く無人システムを開発し(群れで動く)協調型ドローンの開発に一貫して注力しているのは懸念材料だ」と指摘する。「AI戦争は人類の存続を危険にさらす恐れさえある。人間だけによる戦闘シミュレーションと比べ、AIモデルでは核戦争を含め、戦争が突然エスカレートする傾向があることがわかった」と指摘」

     

    中国は、時速50キロで自律的に戦闘支援任務を遂行できる軍用車両である。米国のエックス・バットとは、レベルが異なる。

     

    (5)「米軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたマーク・ミリー氏と米グーグル元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏による米誌『フォーリン・アフェアーズ』への24年の寄稿は、専門家に重い問いを投げかける。人間であれば、最低でも2日かかっていたような作戦策定に向けたシナリオ分析が、1分以内でできることが分かってきた。人間なら二の足を踏むような人的被害を生む攻撃も、AIはためらわない可能性がある。それでも米中ともに、AI兵器を規制する国際ルール作りには消極的だ」

     

    これは、ダイナミック・オントロジーを指しているとみられる。センサー情報(衛星、ドローン、通信傍受、レーダー)を統合したもので、敵の行動・意図・位置を「ストーリー」として理解するものだ。つまり、結論を導くので指揮官に「次に起こりうる事象」を提示するという。米軍は、すでにこのレベルに達している。 

     

     

     

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