勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    テイカカズラ
       

    中国から海外に出ていった人々が今、「出戻りラッシュ」が起きているという。一度は国籍を捨てた人たちも、国籍を復活させているほどだ。中国経済は、長引く不動産不況によって、就職は困難を極めている。そういう母国へ「Uターン」するとはどういう意味なのか。中国メディアは、「中国の自由と活発な経済に引き戻された」と自画自賛である。これには、額面通りには受け取れない事情が潜んでいる。海外での「中国排除」というムードの強まりだ。中国人というだけで、警戒され始めている事態が想像される。

     

    『レコードチャイナ』(1月22日付)は、「中国から出て行った人たちの出戻りラッシュ、背景にあるのは―中国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中国メディア・北京青年報の時事評論「団結湖参考」は、中国から海外に出ていった人々の「出戻りラッシュ」が起きているとの論評記事を掲載した。『北京青年報』とは、中国共産主義青年団(共青団)北京市委員会が主管している「党営」メディアである。宣伝を任務とする。

     

    (1)「記事は、「近ごろ、ネット上では『潤人(中国から海外に出て行った人)』の帰国をめぐる話題が熱く議論されている」と指摘。「かつて盲目的に中国を罵倒し、西洋に媚びてきた『潤人』たちが、今では次々と西側社会を批判し、中国の成果を肯定するようになった。中には一度捨てた国籍を戻して、中国に帰国する者もいる」とし、「当初は多くの人が意外に感じたが、よく考えてみれば、これは時代の大きな流れの中では必然的に起きる出来事だ」と述べた」

     

    「潤人」が最近、増えているという。中国の就職状況が大きく好転しているという理由はないのだ。それにもかかわらず、中国から海外に出て行った人の帰国が増えているのは、西側諸国での中国人を見る目が厳しくなったことが主因だろう。中国は、ダンピング輸出しているので、その影響で職を失った人たちは、つい中国人へ風当たりを強くするという側面もあろう。スパイを疑われるということも考えられる。

     

    (2)「その上で、「まず概念をはっきり区別する必要がある。中国は開放的な国家であり、中国人が海外に観光に出たり、留学したり、起業したり、さらには定住したりすることは、いずれも個人の選択であり、何ら非難されるものではない。一時期は、海外在住の華僑・華人が祖国を思い、さまざまな形で国家の発展を支援してきた。われわれが言う『潤人』とは、西側の宣伝に洗脳され、中国の欠点ばかりが目に入り、西側を精神的な祖国とみなすような人々のことだ」と説明した」

     

    中国は、開放的な国家と言っている。西側からみれば真逆である。政府批判すれば、たちどころに拘束される。こういう国家は本来、開放的とは言わないのだ。

     

    (3)「記事は、そうした人々もここ数年で「ついに視界が開けた」とし、「中国は科学技術、経済、文化など多くの分野で力を発揮し始め、数十年にわたる苦心と努力の成果が、人々の目に見える形で一気に噴出した」と強調。一方で、西側については「制度的な衰退が広くまん延し、『潤人』が西側に対して抱いていたフィルターは崩れ去り、何よりも彼ら自身の生活が立ち行かなくなった。中には、米国の街なかで生死の境をさまよったり、日本で餓死するに至った者もいる(※当時、中国のSNS上で本人のものとされる投稿が大きな話題になった)」と指摘した」

     

    米国や日本の例を誇大宣伝している。ならば、中国はどうなのか。社会保障も未成熟である。他国を批判できる立場にないのだ。

     

    (4)「記事は、「近年、中国のイメージと吸引力は大きく改善・向上してきたが、その一因は西側が引き立て役になったことにある。彼らの失敗した社会統治が、中国が自らの道を堅持してきた先見性を浮き彫りにした」としつつ、「より根本的な理由は中国人の生活が日増しに幸福で豊かになっていることにある。結局のところ、圧倒的な実績の前では、いかなる中傷も最終的には破綻せざるを得ない」と主張した。そして、「『潤人』が中国に戻るかどうかによって影響を受けるのは、結局のところ彼ら自身にすぎない。しかしこれは、眠ったふりをしていた人々でさえ目を覚まさざるを得なくなるほどに中国の求心力が高まっているという一つのシグナルなのだ」と結んだ」

     

    世界における、「中国のイメージと吸引力は大きく改善・向上してきた」としている。それは、経済政策で内需を拡大させ、国民が安心して暮らせる状態になったとき、初めて言うベき言葉であろう。いつ、これが実現すだろうか。


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    中国の住宅不況は深刻である。不動産上位100社合計の2025年の販売額は1兆6189億元(約36兆7000億円)と、前年比2割減だった。ピークの21年に比べて6割も減っており、市況の低迷が鮮明になっている。こうした中で、地方政府は新築と売れ残りで在庫の中古住宅に補助金を出して住宅需要を支える苦肉の策にでている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月22日付)は、「中国、マンション購入に補助金 地方政府が不動産不況対策」と題する記事を掲載した。

     

    中国の不動産不況が長期化し、地方政府が独自のてこ入れ策を打ち出している。マンション購入に補助金を出したり、住宅ローンの利子補給をしたりする。不動産の販売は地方政府の重要な財源だ。2026年以降も市況低迷は続く見通しで、住宅需要の下支えを狙う。

     

    (1)「江蘇省常州市はマンション購入の補助制度を拡充する。25年4月から売れ残りの在庫物件を対象に補助金の支給を始めており、26年からは新築と中古も対象に加える。補助金は新築が購入額の15%で20万元(約4400万円)、中古は15%で18万元を上限とする。市政府によると25年11月末までに約4800世帯が補助金を使って在庫物件を買った」

     

    ビジネスの常道から言えば、先ず住宅在庫の一掃である。価格を下げて売り切ることが先決である補助金を出す目的は、さらなる地価下落を恐れている結果だ。地価下落が進めば地方政府に土地売却益が減って地方政府の歳入減が起ることを恐れているのであろう。こうした微温的政策が、在庫整理の進まない理由である。土地国有制がもたらした、大きな矛盾だ。

     

    (2)「地元の官製メディアは、「斬新な方法で69億元の経済効果をもたらした」と成果を報じている。補助金は需要の刺激に一定の効果があると見て補助金の対象を拡大する。湖北省武漢市は同年10月から12月まで、一部地区で住宅ローンの利子補給の申し込みを受け付けた。ローンを組んだ元本の1%2万元を上限に今後2年補助する。利子補給は、江蘇省南京市や浙江省杭州市なども実施したことがある」

     

    湖北省武漢市は、ローン元本の1%2万元を上限に今後2年補助するという。こういう「雀の涙」のような補助金では意味はない。

     

    (3)「優秀な人材を呼び込むため、学歴に応じて支援策に差を付けるケースもある。山西省運城市は博士後期課程の学位を持つ人は、15年間にわたり30万元を低利で融資し利息の50%を市が補助する。博士だと11年間、20万元を融資し利息の40%を補助する。こうした対策をするのは財政に余裕がある地方政府が多い。常州市は25年の歳入に占める税収が86%と省内で最も高く、財政の健全度が高い。自動車大手の比亜迪(BYD)などの工場があり、製造業を中心に安定した法人税がある。武漢も車や電子製品の有力企業が拠点を構える」

     

    地方政府は、人材確保目的で低利融資を行っている。先行投資ができる地方政府は限られている。日本では、地方自治体は政府の「交付金」で最低限の行政費が保証されているのそれほど凸凹はないが、中国では、その差が大きい。

     

    (3)「財政の厳しい地方政府はじり貧だ。中国国家統計局の調査によると河北省唐山市は1〜11月の平均住宅価格が新築は前年同期比7%、中古は10%それぞれ下落した。過剰供給による消耗戦にさらされている鉄鋼産業が集積し、税収が減っている。不動産対策に回す財源がなく、販売も減り財源が細る負のスパイラルに陥っている。中国は土地の私有が認められておらず、かつて地方政府は使用権を不動産会社に販売して巨額の収入を得てきた。しかし現在は状況が一変。販売に四苦八苦している。24年から地方政府が在庫住宅を購入し、「保障性住宅」として中低所得者向けに安く貸し出す制度が始まった。しかし財政難の地方政府が多く対応は遅れている。

     

    地方政府によっては、財政状態が厳しく住宅購入補助金を出す余裕がない。そういう地域の住宅値下がりは、他地域よりも大幅だ。

     

    (4)「ニッセイ基礎研究所の三浦祐介主任研究員は、「不動産政策は26年以降も在庫住宅の買い取りや購入支援などの微調整型が中心になる」とみる。ただ、市況低迷の長期化を受けて「国が本格介入する可能性も高まってきた」(三浦氏)。不動産会社の経営環境は厳しさが増す。調査会社の中国指数研究院によると26年に始まる中国政府の第15次5カ年計画の期間中、国内の住宅販売面積は年7億〜8億平方メートルになる見通しだ。ピークの21年に比べてほぼ半分に落ち込む」。

     

    第15次5カ年計画(2026~30年)期間中、国内の住宅販売面積は年7億〜8億平方メートルになる見通しだ。ピークの21年に比べてほぼ半分に落ち込という。これから5年間も住宅不況が続くという想定だ。不動産上位100社合計の2025年の販売額は、21年に比べて6割も減っている。これから5年間にさらに半分も減れば、21年比で8割減となる。このような長期低迷を前提にするなら、補助金政策も業者「延命型」ではなく、企業「転換型」にシフトすべき時期に来ている。つまり、多くは廃業すべきである。

     

     

     

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    トランプ米政権は、キューバの体制転換を目指している。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』が報じた。年末までに共産党政権を追放する取引をまとめられるよう、政権内部の協力者を探しているという。米政府は、ベネズエラのマドゥロ大統領を失脚させたことで勢いづいている。トランプ政権は、キューバ経済が崩壊の瀬戸際にあると分析している。この機会に、共産党政権を追放して昨年12月に掲げた、「西半球戦略」を完成させる意向とされている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月22日付)は、「米、年内にキューバの体制転換目指す」と題する記事を掲載した。

     

    複数の政府高官は、共産主義政権を打倒するための具体的な計画はまだまとまっていないとした。だがマドゥロ氏の拘束や、その後の同氏の側近らによる譲歩が、キューバへの対応の青写真になると予想。さらに同国に対する警告になっているとみている。キューバでは約70年にわたり、共産党政権が支配を続けている。

     

    (1)「トランプ氏は、11日のソーシャルメディアへの投稿で、「彼らには取引することを強く勧める。手遅れになる前に」と述べ、キューバには「石油も資金も」渡らないとしていた。米政府当局者によれば、当局はマイアミと米首都ワシントンでキューバ亡命者や市民団体と協議。現政権内部で情勢を理解し、米国との取引を望む人物を特定することに注力している」

     

    トランプ氏はすでに、キューバに対して米国との取引に応じるように通告している。米政府当局者は、キューバ現政権打倒後の人事まで検討しているという。

     

    (2)「米国は公にはキューバに対し軍事力を行使すると脅してはいない。だが複数のトランプ政権当局者は、マドゥロ氏拘束につながった大胆な急襲作戦に触れ、キューバ政府はこれを暗黙の脅威と受け止めるべきだとしている。事情に詳しい複数の関係者によれば、米情報機関はキューバで基本的な物資や医薬品が慢性的に不足しており、頻繁な停電に悩まされているなど、経済は厳しい状況にあるとみている」

     

    キューバは、基本的な物資や医薬品が慢性的に不足しており、頻繁な停電に悩まされている。経済は厳しい状況にある。

     

    (3)「キューバの命運は長い間、ベネズエラとの関係に大きく影響されてきた。1999年にチャベス氏がベネズエラで政権を握った直後から始まったベネズエラ産石油の供給は、キューバ経済の柱となっていた。米政府は、キューバの電力を支えてきた石油を遮断することで同国の体制を弱体化させる意向だと米高官たちは述べている。複数のエコノミストによると、キューバは数週間以内に石油が枯渇し、経済が完全に停止する可能性がある。トランプ政権はまた、キューバにとって最も重要な外貨収入の源である海外医療派遣プログラムにも目を向けており、ビザ(査証)禁止措置などで同プログラムを促進したとされるキューバ政府および外国当局者を標的にしている」

     

    キューバは、ベネズエラの石油供給に依存している。米政府は、キューバの電力を支えてきた石油を遮断して、同国の体制を弱体化させる意向とされる。キューバは、数週間以内に石油が枯渇し、経済が完全に停止する可能性がある。

     

    (4)「当局者らによると、キューバの共産主義体制を打倒することは西半球を再構築する国家安全保障戦略の決定的な試金石になるとみている。国務省は声明で、キューバが「民主的政府によって適切に運営され、敵対勢力の軍事・情報機関の受け入れを拒否する」ことが、米国の国家安全保障上の利益になるとした。一方でトランプ政権の一部当局者は、同氏がこれまでの体制転換のあり方を否定していると言及。そのためベネズエラへの対応と同様に、ホワイトハウスは交渉による解決を模索していると示しつつ、圧力を強化していく可能性があると政府高官は述べた」

     

    米国は、キューバの共産主義体制を打倒することで、西半球を再構築する国家安全保障戦略の決定的な勝利としている。

     

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    国策半導体企業のラピダスは、春にもウエハーから切り出したチップを電子基板に実装する「後工程」の試作ラインを稼働する。経済安全保障の観点からも、後工程の重要性は増している。台湾のTSMCは、これまで後工程(パッケージング)を外部委託(OSAT企業)に出すモデルを基本としてきた。ラピダスは後工程を自社内に取り込み、北海道で一貫生産体制を構築する。これは、TSMCとは真逆の「垂直統合型」モデルだ。

     

    ラピダスは、前工程(ウェハ製造)から後工程(パッケージング)までを一貫して全自動化する「スマートファブ」構想を立てている。ラピダスは、この前工程と後工程の全自動化によって、従来は設計から試作まで半年かかっていた生産工程を、一挙に1ヶ月以内に短縮するという。革命的な生産方法を目指している。

     

    『日本経済新聞』(1月22日付)は、「北海道 ラピダス、春に後工程の試作ライン 最先端半導体、27年度量産へ進展」と題する記事を掲載した。

     

    ラピダスは、2027年度後半に北海道千歳市で最先端半導体の量産を目指すが、26年は将来を占う大きな一年になる。

     

    (1)「ラピダスの小池淳義社長は25年12月、都内で開かれた展示会「セミコン・ジャパン」で、人工知能(AI)半導体向けの配線層「RDLインターポーザー」を披露した。最先端チップを載せる基板の「重要部分が完成した」と語った。配線層は600ミリメートル角のガラス製パネル上でつくった。比較の対象になる直径300ミリメートルの丸形ウエハーよりも大きい。1枚から取れるチップの数が増えるため、安価に効率良く生産できるようになるという」

     

    ラピダスは、あらゆる面で発想の転換を行っている。パネルもガラス製に切替えてコストダウンを実現した。1枚から取れるチップの数が増えるためにコストダウンになる。後発ならではの工夫がされている。

     

    (2)「後工程の試作ラインを設置するのは、建設中のラピダス工場の隣にあるセイコーエプソン千歳事業所になる。ラピダスは同事業所の一部を借り、約9000平方メートルのクリーンルームをもつ研究開発拠点を整備している。試作ラインは3月末までの完成を目指す。半導体の製造は前工程と後工程に分かれる。前工程は材料のシリコンウエハーに電子回路を作り込むまでにあたる。後工程はウエハーからチップを個別に切り出し、樹脂で封止して製品に仕上げる段階を指す。前工程はナノレベルの微細化に限界が見えつつある。後工程はチップの並べ方などで技術革新の余地が残されているとされる。日本における最先端半導体の生産拠点は、前工程ではTSMCの熊本県への進出で可能になった。後工程を請け負う体制はなお乏しい。半導体産業に詳しいデロイトトーマツの鹿山真吾パートナーは、「後工程を制する者がサプライチェーンを握る。北海道でやっていくことに意義がある」と話す」フォームの始まり

     

    今後の半導体の勝負は、後工程とされる。いわゆる「チップレット」と呼ばれるチップの積み上げ技術が競われる。ラピダスは、この難しい後工程の全自動化を目指している。これによって、歩留まり率の飛躍的向上を目指す。

     

    (3)「25年に25は国内の後工程請負会社(OSAT)による業界団体「日本OSAT連合会」が発足した。正会員は直近で29社あり、アムコー・テクノロジー・ジャパンやアオイ電子、新光電気工業などが名を連ねる。生産体制の相互補完や、材料や部品の共同調達を目指す。連合会によると、国内のOSATはほぼ中小企業で、国内生産量は世界シェアの5%程度という。生産量では海外勢に太刀打ちできないが、林力事務局長は「日本は歩留まりや品質で強みがあり、少量多品種の生産に勝機がある」とみる。

     

    ラピダスは、後工程の全自動化を行うが、後工程請負会社をパートナーとして受入れる。ラピダスは、後工程を完全に内製化するのではなく、試作・先端技術の中核部分を自社で担い、量産や周辺工程はパートナーと分担する構想を描いている。「共創」という対等な関係を維持する方針だ。

     

    (4)「ラピダスは、半導体を前工程から後工程まで一気通貫で生産する体制を整えようとしている。計画通りに後工程の試作ラインが稼働すれば、関連する材料や装置のメーカー、テストや解析を手がける企業の集積が進む可能性がある。後工程が比較的盛んな九州地方では、アムコーなどのOSATや検査大手のアドバンテスト、米テラダインが拠点を置く。チップの接続に用いる金属フレームやパッケージングに使う樹脂、金型といった材料のメーカーも集まる」

     

    TSMCは、後工程を完全に下請けに出しているが、ラピダスはあくまでも自社も関わりながら専門企業を育成する方針である。

     

    (5)「千歳市によるとラピダスの進出以降、市内に45の関連企業が拠点を設けた。このほか83社が市内への立地を検討中で、後工程のサプライヤーや検査会社も含まれているという。市が約4000社にアンケート調査を行い、約200社に聞き取ったうえで集計した。ラピダスは25年7月、回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル半導体の試作品を初公開した。試作品の披露により、市の次世代半導体拠点推進室の塚田啓介総務課長は「企業の温度感は変わってきた」と話す。拠点進出に前向きになる会社の増加に期待する」

     

    ラピダスとのビジネスを求めて、関連企業が千歳市へ進出している。まだ、製品出荷は始まっていないが、25年7月に半導体試作品を初公開以降、熱気が高まっている。

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    トランプ米大統領は21日、デンマーク自治領グリーンランド領有に反対する欧州諸国に追加関税を課すとしていた方針を撤回するとともに、グリーンランドの取得に「武力は使わない」と言明し、同地の将来について北大西洋条約機構(NATO)と大枠の合意に達したと明らかにした。外電では、グリーンランドに米軍基地を増設することで合意した模様だ。将来、中ロのグリーンランド進出を阻止するというトランプ氏の願望が叶うようだ。

     

    『ロイター』(1月22日付)は、「トランプ氏、グリーンランド『大枠合意』 武力行使否定・関税撤回」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は21日、デンマーク自治領グリーンランド領有に反対する欧州諸国に追加関税を課すとしていた方針を撤回するとともに、グリーンランドの取得に「武力は使わない」と言明し、同地の将来について北大西洋条約機構(NATO)と大枠の合意に達したと明らかにした。

     

    (1)「トランプ氏はスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に出席。NATO同盟を揺るがし、新たな世界貿易戦争につながりかねないと懸念された過去数週間の強硬な姿勢を後退させた。トランプ氏はNATOが北極圏におけるロシアと中国の野望を阻止しながら、「ゴールデンドーム」ミサイル防衛システムと重要鉱物へのアクセスに関する自身の要求を満たす新たな協定を結ぶことができると述べた。ダボスでNATOのルッテ事務総長と会談後、記者団に対し、「誰もが満足する合意だ。これは長期的な合意、究極の長期合意だ。特に安全保障と鉱物資源に関して、誰もが非常に有利な立場になる」と語った」

     

    「大山鳴動して鼠一匹」とは、今回のような騒ぎを表現するに相応しい諺だ。同じ仲間同士の揉め事は、話せば分るのだろう。互いに頭を冷やした結果だ。NATOが、米国の要求を受入れ、形式的には「名」を取り、米国が「実」を取る妥協の成果であろう。

     

    (2)「NATOの報道官は、北極圏のNATO加盟7カ国が集団的な安全保障の確保に向けて協力すると明らかにした。「グリーンランドにロシアと中国が経済的にも軍事的にも足場を築くことがないよう、デンマーク、グリーンランド、米国の間で交渉が進められる」と語った。トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に、グリーンランドの将来についてNATOと大枠の合意に達したと投稿。「この理解に基づき、2月1日に発効予定だった関税は発動しない」と述べた。ただ、合意内容の詳細は明らかにしていない」

     

    トランプ外交には、「TACO」なる別名が付けられている。TACOとは、「Trump Always Chickens Out」(トランプはいつも尻込みして退く)の4語の頭文字をとったもの。初めにハッタリを掛けて相手を驚かせ、その後に後退するというパターンである。それでも、しっかりと成果を握ることで、譲歩し側もなんとなく「得をした気持ちになる」不思議な交渉術である。

     

    (3)「デンマークは、この問題はソーシャルメディア上ではなく、非公式の外交ルートを通じて処理されるべきだと指摘した。デンマークのラスムセン外相は公共放送DRに対し、「われわれにとって極めて重要なのは、(デンマーク)王国の一体性と主権、そしてグリーンランドの人々の自決権を尊重した上で、この問題を終わらせることだ」と述べた。ラスムセン氏は、ルッテ氏と協議したと述べたが、合意内容の詳細については明らかにしなかった」

     

    デンマークもグリーンランドも、譲歩した割にはすべてを失わなかったという安堵感が窺える。

     

    (4)「トランプ氏は、バンス副大統領、ルビオ国務長官、ウィットコフ特使にさらなる協議に参加するよう指示したと述べた。トランプ氏はダボス会議での演説で、グリーンランドの取得に「武力は使わない」と言明した。武力行使の可能性を金融市場が嫌気していたことを認め、姿勢を後退させた。「私が武力を行使すると考えられていたようだが、武力を行使する必要はない」とし、「武力は使いたくないし、使わない」と強調した。トランプ氏はこれまで度々、強硬な姿勢を打ち出した後に態度を軟化させてきた」

     

    NATO同盟国同士が、武力を使うなど想像もできない事態だ。最初からトランプ氏の「脅し」であった。それは分っていながら、「ことによると」という危惧の念が晴れたことは良かった。内輪揉めしている時間はない。中ロが、何を仕掛けてくるか分らないだけに、付け入る余地を与えてはならないのだろう。

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