勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国政府は、昨年から米国籍者の中国渡航に厳重注意をしてきたが、新年に入っても警告を続けている。中国は、カナダでファーウェイ副会長が逮捕(現在、保釈)された報復として、カナダ人二人を拘束している。「人質」という意味だ。

     

    米国政府は、中国政府が「恣意的」に外国人を拘束するケースが多いので、米国籍保有者に中国渡航のリスクを告知しているもの。まだ、被害者は出ていないが、中国政府は何をするか分らない不気味さがある。米カリフォルニア大が、中国渡航者に次のような警告を出している。

     

    『共同通信』(1月12日付)は、「米大学、中国で通信アプリ自粛要請 教授らに警告」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米カリフォルニア大が学術交流などで中国に渡航する教授や学生らに対し、滞在中『ワッツアップ』や中国の『微信(ウェイシン)』などの通信アプリを使わないよう警告するメールを12日までに送っていたことが判明した。やりとりが当局に悪用される恐れがあるためとしている。米CNNテレビなどが報じた。カナダ当局が米国の要請で中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の女性幹部を拘束して以降、米国内で中国による報復に警戒が強まっている実態が改めて浮き彫りになった形」

     

    中国へ渡航する学者や学生が、中国アプリを使用する場合、その通信内容はすべて当局に監視されていると見なければならない。その際、中国を批判するような通信記録があれば、それを理由に拘束され、中国のスパイにさせられる危険が高い。

     

    日本人記者でも、中国の落し穴に引っかけられるリスクがあるので、中国旅行中でも手荷物は手元に置いているという。網棚に上げて居眠りでもしていると、その間に機密資料を鞄に入れられ、それを理由に逮捕・拘留される危険性が高いのだ。要するに、専制国家ゆえに危険な国であることを認識すべきである。

     

    (2)「同大学はロサンゼルス、バークリー、サンフランシスコなどにキャンパスを持つ全米最大規模の研究機関。ほかの大学などでも同様の措置を取っている可能性がある。報道によると、メールは7日、大学のリスク対策部門の担当者が送信。米国務省も3日、中国に渡航する米国民向けの安全情報を更新し、中国当局による『恣意的な法執行』に注意が必要だと警告した」

     

    米国務省は、昨年12月1日、華為技術(ファーウェイ)副会長がカナダで逮捕された問題を受け、中国に渡航する米国民への新たな注意喚起を検討してきた。昨年1月に更新された最新の国務省の海外渡航情報によると、中国の注意レベルは4段階で下から2番目。中国への渡航者は、「恣意的な法の運用や、米・中国の二重国籍者への特別な制限があるため、十分な注意」を求めていた。

     

    米国務省は1月3日、正式に中国への渡航者に安全情報を提供し、同国内での恣意的な取り締まりへの警戒を強めるよう呼びかけた。渡航に伴う危険度の区分は、「普段以上の注意」が必要なレベル2で従来通りとなっている。

     

    日本でも、中国への渡航は要注意である。中国人で日本へ帰化した人の場合は、特に中国でマークされている。日本で教師を務める「某氏」は、帰化しており日本名になっている。中国の親族に会うため中国へ帰ったところ、二度も「中国名」で呼び止められたという。中国渡航情報が、完全に中国側へ漏れているのだ。日本側に、中国へ通報する「協力者」がいるのだ。

     
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    中国を批判する投稿やメールを送っている人は、絶対に中国へ行ったら危険である。かく言う私は、最も危険な立場におかれているので、海外旅行を控えている。中国でなくても、どこに「その筋の人間」が隠れているか分らないのだ。中国は、それほど危険な国に堕している。


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    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、国民生活に責任を持たない主義のように見える。昨年と今年で最低賃金を約30%も引き上げ、それが韓国経済にどのような負の衝撃を与えているか。とんと、関心を持たないようだ。ただ、言葉の上では、それらしきことを述べているが、実際には何らの政策変更もない。ただ、国民に「我慢してくれ」と言うだけ。こういう不思議な為政者が、韓国に現れたのだ

     

    『中央日報』(1月11日付)は、「文大統領新年記者会見、雇用状況は極めて残念、『話す言葉なくなった』」と題する記事を掲載した。一問一答を示す。

     

    (1)「(質問)雇用政府を標ぼうしてスタートしたが、雇用状況が良くない。

    (答弁)極めて残念な点だ。話す言葉がなくなった。しかしいくつかプラスの効果もあった。全般的に家計の所得が高まったこと、日雇い労働者の比率が減ったのはプラスの指標だ。もちろん全体的に雇用が期待ほど増えなかったため、国民が感じる雇用は依然として厳しいはずだ。これを克服するのが我々の課題だ」

    文氏の答弁は、雇用悪化について、「極めて残念な点だ。話す言葉がなくなった」と自覚はしているが、その対策がないどころか、今年も大幅な最低賃金引き上げを行なって、「涼しい顔」をしている。自らの責任を感じていない風である。

     

    一方では、「全般的に家計の所得が高まったこと、日雇い労働者の比率が減ったのはプラスの指標だ」と言い逃れしている。これは、最賃の大幅引上げが組織労働者の賃金を引上げた結果だ。日雇い労働者が減ったのは、財政資金で救済して正規職員化したもの。民間の就業者は大幅に減っている。雇用の受け皿は民間企業である。それが減少したのでは、言い訳にもならない。

     

    (2)「(質問)雇用状況悪化の原因は?

    (答弁)最低賃金の急激な引き上げに原因があると言われているが、根本的には製造業が構造調整を進めながら持続的に雇用が減っている。それで強調するのが革新だ」

    ここでも、言い逃れしている。重厚長大産業が不振であることは確かだが、最低賃金の大幅引き上げが、100万にも及ぶ自営業者の廃業をもたらしている。ここで働いていた人々が職を失った。最低賃金引き上げは、もちろん必要である。だが、2年間で約30%にもなる引上は異常である。労働組合は、最賃の引き上げによってさらに賃金を押上げるので歓迎しているが、自営業者にとっては人件費増で経営が立ちゆかないのだ。文氏は、韓国全体の大統領でなく、組織労働者の味方に過ぎない偏った位置にある。

     
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    『中央日報』(1月11日付)は、「文大統領新年記者会見、成長・革新50回使ったが政策基調維持」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「多くの経済界人々が、「文在寅政府の新年経済政策基調が過去と大きく変わるとは思えない」。文大統領による10日の新年記者会見を見て下した結論だ。今回の新年の挨拶で、文大統領は現政権の経済路線のトーレードマーク『所得主導成長』と、所得主導成長を支える核心政策である『最低賃金引き上げ』はそれぞれ1回ずつ言及した。『最低賃金引き上げは韓国経済の体質を変える意味のある決定であり、家計所得を高めて所得主導成長の基盤になる』という昨年の新年の挨拶とは温度差がかなりあった。その空席を埋めたのは経済(35回)・成長(29回)・革新(21回)などだった。典型的な保守の話題だ。総合的には『革新的包容国家』を成し遂げると締め括った」

     

    今年の新年の挨拶では、経済(35回)・成長(29回)・革新(21回)が主なフレーズである。言葉は踊ったが、中身の政策は聞かれずじまいだ。結論は、「革新的包容国家」である。成長よりも分配を重視するという「陳腐」な内容である。

     

    韓国経済は、今年の経済成長率予測で2.5%が多数説になっている。これは、楽観的に過ぎる。昨年の4~6月期と7~9月期が前期比0.6%成長である。これは、年率換算で2.5%成長である。

     

    昨年の成長率では、前記四半期の内需(総需要から純輸出と在庫を除いたもの)が、すでにマイナスになっている。純輸出が減少すれば、マイナス成長に落込む際どい所まで追い込まれている。この現実を無視していると、「どんでん返し」を受けて、マイナス成長もあり得る。それほど危険な局面に立たされている。文大統領にその認識はゼロだ。


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    米国は、中国への技術流出で神経を使っている。習近平氏が、不用意に世界覇権へ挑戦すると宣言したばかりに、徹底的な圧力を受けている。基礎技術すら不十分な中国が、最先端技術国の米国へ「喧嘩」を売った以上、米国から違法な技術窃取でもやらない限り、そのギャップを埋められるはずがない。米国の徹底的な「中国マーク」が始って当然であろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月12日付)は、「米商務省などボーイングと中国出資企業を調査」と題する記事を掲載した。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』の報道を受けたもの。

     

    (1)「米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(電子版)は11日、米商務省と米証券取引委員会(SEC)が、航空機大手の米ボーイングと、中国出資とみられる米新興企業の契約について調査に入ったと報じた。中国への人工衛星の販売を禁じた輸出規制に抵触するかを調べるとみられる。ボーイングはカリフォルニア州に本社を置く新興企業のグローバルIPと人工衛星の販売契約を結び、昨年末にも納入予定だった。ウォール・ストリート・ジャーナルは201812月、グローバルIPが中国の国有企業から出資を受けており、衛星技術が中国に流出する恐れがあると伝えた

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』の報道がなかったら、中国へ人工衛星が輸出されていたのかもしれない。危ういところだった。ボーイングという大企業が、こういうミスをするのだろうか。信じられない話である。中国のスパイが中に入って、うまくボーイングを騙したのであろう。ちょっとでも油断をしていると、とんだ苦杯を喫する危険な事態にはまり込むところだった。

     


    (2)「米国の輸出規制では、軍事技術にもつながる人工衛星を中国に販売することを禁じている。ボーイングは昨年12月の報道の3日後に『支払い不履行があったため』という理由でグローバルIPとの衛星の販売契約を破棄したことを明らかにした。グローバルIPは衛星の購入目的を『アフリカのインターネット環境改善のため』と説明していた。商務省とSECは、ボーイングが同社と中国との関係を把握していたかどうかなどを調査しているもようだ」

     

    米国が先端技術の国外流出に幅広く網をかける。安全保障を目的とする国防権限法に基づき、人工知能(AI)やロボットなど14種類の先端技術に関し、輸出と投資の両面で規制を大幅に強める見通しとなっている。まさに、中国が米国の開戦国のような扱いだ。米国をここまで怒らせた中国の外交的な失敗である。

     

    これまでは中国企業や中国系投資ファンドが、米国の新興企業に早めに投資して支配権を握ったり、将来を見越して新技術を中国に持ち出したりすることができた。規制強化でこの穴を封じられるのだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月11日付)は、「ファーウェイ、米で新たな難題、現地開発技術の中国輸出に制限」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国の華為技術(ファーウェイ)は、米国部門で開発した技術の中国への持ち込みという新たな難問に直面している。ファーウェイのシリコンバレーの研究開発部門フューチャーウェイは、本国への一部技術の移転を禁じられている。商務省がフューチャーウェイの輸出免許を更新しない方針を示したためだ」

     

    中国企業が、米国で開発した技術を中国へ持ち込むことが不可能になった。米国の知的財産を活用して得た技術を輸出してはならないという規則であろう。こうなると、中国はお手上げである。米国は、中国による研究も許さないという厳しい姿勢を見せている。

     

    (4)「関係者の話と、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した資料で明らかになった。資料によると、同省は昨年6月の書簡で、国家安全保障上の懸念を理由にフューチャーウェイの免許更新申請を退ける意向を通知した。関係者によれば、同社は抗議しているが、その間は当該技術の輸出を禁止されている」

     

    米国にとって安全保障が、最大の国家課題になった。中国は、米国での研究を事実上、禁じられたことにより、大きな痛手を受けることになろう。習近平氏の個人的な世界制覇の野望が、中国国民の生活進歩を脅かす事態になっている。


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    習近平氏が、旗を振ってきた「一帯一路」プロジェクトは、壮大な計画でなく汚職まみれの性格を浮き彫りにしている。この計画を始めた理由は、国内の過剰生産に陥っていた鉄鋼やセメントの販売先確保と、当時の外貨準備高が4兆ドル接近という高水準にあったことにある。

     

    中国は、「第二のマーシャルプラン」という触れ込みであった。米国が、第二次世界大戦で荒廃した欧州の復興を支援すべく始めた「マーシャルプラン」になぞらえたもの。だが、実態はマーシャルプランとはほど遠く、中国の利益確保を最優先する「まやかしもの」であった。前述のような汚職や、相手国を債務漬けにして担保を取り上げるという「国際高利貸し」とでも言うべき事実が暴露されている。

     

    「一帯一路」は不採算工事が圧倒的である。中国が貸し付けた資金が返済されないために、中国の外貨資金繰りが悪化している。相手国を籠絡するために始めた「一帯一路」が、皮肉にも中国を苦しめる事態を招いている。こうした資金的な行き詰まりによって、日本へ「一帯一路」参加を求めてきた。日本は、「一帯一路」の杜撰な内容を熟知しているので、この名称を使わず「第三国市場協力」という曖昧なものにした。しかも、日本独自の基準で融資すると宣言。「一帯一路」と切り離した。

     


    『ブルームバーグ』(1月12日付)は、「深謀遠謀というより大混乱の一帯一路」と題する記コラムを掲載した。

     

    (1)「壮大なインフラ整備のビジョンか、それとも不正資金の温床か。中国が進める広域経済圏構想『一帯一路』の実像は何なのだろうか。マレーシア政界を巻き込む汚職事件の舞台となった政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)を巡り、中国高官が救済に手を貸すとマレーシア側に2016年に申し出ていたと米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。マレーシア側は見返りとして一帯一路に絡んで中国に鉄道・パイプライン事業の権益をオファーしたという」

     

    マレーシアの「1MDB」は、国際的な汚職事件として米国司法も捜査対象にするほどの規模になっている。中国が、この「1MDB」救済名目で「一帯一路」計画を持ちかけたと報道された。この一件こそ、「一帯一路」の政治的な策略を鮮明にしている。

     

    (2)「これが本当なら、一帯一路と1MDBスキャンダルとのつながりをこれまでで最も明確に示すことになる。習近平国家主席肝いりの外交政策である一帯一路は、欧米の投資家が二の足を踏む新興アジアおよびアフリカでのインフラ事業に巨額の資金を投じるという野心的な計画だというのが一般的な認識だ。アングルを変えれば、マキャベリズム的な世界戦略とも考えられる。スリランカのハンバントタ港湾事業のケースに見られるように新興国の政府を『債務のわな』に陥れ、対中債務を抱えた国を網羅し、海外で軍事的野心を推し進めるとの見方も可能だ

     

    中国が、相手国を「融資の罠」に陥れて、目的の担保を手に入れる手法は、マキャベリズム的な世界戦略と指摘している。マキャベリズムとは、政治目的を達成するために、反道徳的な行為も浄化されるという思想だ。そう言えば、中国の行なっている技術窃取、産業スパイ、サイバー攻撃などすべてが反道徳的行為である。中国は、世界覇権を達成する目的の前に、許されると考えているに違いない。

     

    (3)「世界での中国の影響力を高めるための首尾一貫したマスタープラン(基本計画)というより、幾分混乱したブランド戦略あるいはフランチャイズづくりだとの見立てがより正確なようだ。数限りない地方当局者や国有企業がどんなプロジェクトであろうと国家主席からのお墨付きがあると名乗る上で格好の手段になるというわけだ。米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョナサン・ヒルマン上級研究員は、昨年の分析報告で『中国政府のグランドデザインに沿ったものとは程遠く、一帯一路のこれまでの活動はばらばらで場当たり的だ』と指摘している」

     

    「一帯一路」の中身を見ると、グランドデザインに沿ったものでなく、場当たり的であると指摘している。となると、マキャベリズムというほどの緻密な計画に基づくものでないことが分る。手法だけが、マキャベリズムということかもしれない。中国は、紛れもなく反道徳国家の烙印が押される。人権弾圧や少数民族浄化がそれだ。

     

    (4)「中国雲南省とミャンマーの港湾を結ぶ石油・ガスパイプラインは稼働後5年してもほとんど使われず、インドネシアではジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道建設のスケジュールが少なくとも2年遅れており、やっと着工したばかりだ。本来は想定されていなかったナイジェリアアルゼンチンなどが一帯一路の対象とされる一方で、マレーシアやスリランカに加え、モルディブでも中国に疑念を抱く政権が誕生した。バングラデシュでのダッカとチッタゴンを結ぶ高速鉄道計画のように大風呂敷を広げても、全く掛け声倒れになりそうなプロジェクトの代名詞が一帯一路だということにもなりかねない」

     

    中国雲南省とミャンマーの港湾を結ぶ石油・ガスパイプラインが、完成後5年してもほとんど使われないのはなぜか。超長距離のパイプラインは、その間で膨大な量の石油やガスが未使用の在庫となるので、非経済的であると指摘されている。中国政府の粗略な計画の破綻である。「一帯一路」の本質的な欠陥を象徴しているプロジェクトだ。


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    米中貿易戦争の余波は、心理面で米国経済の先行きを不安にさせている。具体的に、景気が不況入りというシグナルがあるわけでない。ただ、「10年も好況が続けば、そろそろ腰折れもあるのでは?」という警戒感が出ている。

     

    FRB(連邦準備制度理事会)は昨年12月、予定通り政策金利を引き上げた。これが、市場ムードを警戒的にさせた要因の一つとなった。その後の株価急落に驚いたFRBは、今後は慎重に対応すると発言するなど、市場の警戒感を解く努力を始めている。

     

    トランプ氏は、市場の安定化を狙って、意識的に閣僚の罷免などをツイッターで流すことを自重している。その意味で、昨年12月は悪材料が重なりすぎた。今後、株式市場の動揺が収まり、そこへ米中合意という材料が飛び出せば、市場を覆う不安心理は一挙に覆されるだろう。今は、その端境期という感じもする

     


    『ブルームバーグ』(1月11日付)は、「米国、景気後退リスクは6年ぶり高水準、貿易戦争など影響」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国がリセッション(景気後退)に突入するリスクは、エコノミストらによればこの6年余りで最も高い。金融市場の不安定な動きや米中貿易戦争、一部の政府機関閉鎖がその背景にある。ブルームバーグが過去1週間に実施した調査によれば、今後12カ月間に米国がリセッションに陥る確率(中央値)は25%と、12月に調査した際の20%から上昇した。エコノミストは、米金融当局が1~3月(第1四半期)中は政策金利を据え置くとみている。昨年は計4度の利上げがあった」

     

    昨年、4回あった利上げが、今年は2回と見られている。ただ、FRB議長は慎重な姿勢を見せている。スケジュールによる利上げはしない、とトーンダウンしているのだ。各地の連銀議長も、利上げ限界論を発表する向きが出てきたほど。景気をスローダウンさせてまで、利上げをするはずがない。市場は、その確信が持てないので右往左往しているのだ。となれば、FRBが市場と対話することで、不安心理を取り除くことが可能になろう。

     

    リセッションの可能性は、昨年12月は20%。今年は25%に若干の上昇である。景気の先行指数として注目される、米供給管理協会(ISM)が発表した、製造業総合景況指数は54.1と、2年ぶりの水準に低下した。ただ、依然として50を上回って拡大局面にある。米製造業活動を示す指数は、2008年10月以来の大幅な低下である。世界的に製造業が低迷する中、米経済に成長減速の新たな兆候が示されたとも言える。

     

    (2)「2019年の米経済成長率予想は2.5%。昨年は2.9%になったとの見方が示された。財政刺激による押し上げ効果は薄れるものの、力強い労働市場や賃金上昇などに支えられるとみる。7月まで成長が続いた場合、今回の拡大局面は10年間と、米国史上で最長記録となる。ドイツ銀行の米国担当エコノミスト、ブレット・ライアン氏は、『リセッションが迫っているとは考えていないが、金融環境はこの2カ月間で著しくタイトになっている。世界の成長を抑制する通商問題も続いており、企業の景況感が若干弱まっている』と述べた。『政府機関の閉鎖が企業の景況感にとって重石となっているだけでなく、消費者信頼感も引き下げる恐れがある』と指摘した」

     

    米国の今年のGDP成長率は2.5%の予測だ。昨年は2.9%と見られるので、今年は減速不可避である。労働市場が逼迫化していることと、賃上げが進んでいるので個人消費に陰りはみられない。一つだけ懸念されるのは、完全失業率が最低値まで改善された1年以上後に、景気がピークを付けるケースが多いことだ。ともかく、景気上昇が、この7月で10年になることは、「好況疲れ」現象が起っても当然であろう。


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