勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    FRB(米連邦準備制度理事会)は、各国中央銀行に対して米国債を担保にドルを貸出す制度を始めると発表した。世界的なドル資金不足に対応する措置である。米国債を売却せずとも、一時的にドルを調達できる便宜さが、新興国や発展途上国に安心感を与えそうだ。

     

    韓国は安堵感を持って、このニュースに接した国の一つである。現在、米国債保有高が1211億ドル(1月末)であるから、半分程度の貸出を受けられると計算している。先に、米国との為替スワップで600億ドルの資金調達が可能になっている。これで、当面のドル資金対応は出来上がった印象を与える。

     

    「セルコリア」の危険性が存在する以上、油断できない状況がつづくと指摘する外国人投資家発言が出てきた。世界的な混乱において、最初に売られるのが韓国の株式や債券であるというのだ。

     

    『中央日報』(4月1日付)は、「外国人投資家の韓国売りは続くだろう、押し寄せる2次衝撃に備えを」と題する記事を掲載した。

     

    TCKインベストメントのオハド・トポー会長が、本当の危機はまだ始まっていないと警告した。先月30日の中央日報とのメールインタビューでだ。トポー会長は新型コロナウイルスによる影響が前方産業を超え後方産業にも伝わる2次衝撃が近く押し寄せるものと予想した。トポー会長はイスラエル出身の投資家であり企業家だ。世界的投資家であるオークツリーキャピタルのハワード・マークス会長と共同で2012年にTCKインベストメントを設立した。以下は一問一答。



    (1)「(質問)
    欧米など主要国で超大型景気浮揚策とゼロ金利政策を展開し市場はしばし安定を取り戻したようだ。

    (答え)韓国は2カ月以上にわたり新型肺炎と戦った。米国と欧州はこれからが始まりだ。現在、新型肺炎による企業の影響は前方産業(完成品産業)で主に現れている。前方産業を超えて部品や素材を提供する後方産業にまで影響が伝えられるのを『2次的影響』と呼ぶ。ほとんどの国が即時的な影響を防ぐことにだけ集中しているためまだ2次的影響にまで気を遣えずにいる。実体経済の不況がまだ表面化していないため市場もまだこの部分を反映していない。2次的影響がくれば多くの企業が倒産したり流動性危機に陥ることになるだろう。解雇と失業に関するニュースが出始めたのを見ると2次的影響が近く始まるのではないのか心配だ。きょうにでも世界的に良く知られた企業が不渡りを出したというニュースが伝えられるかも知れない。金融市場は大きな衝撃を受けるだろう」。

    現状は、世界不況の第一波が現れたに過ぎない。前方産業(完成品)に影響が出ているだけだ。これから、後方産業(部品や素材産業)に影響が出る。これは、2次的な影響である。この段階では、多くの産業で流動性危機が表面化する。ピラミッドに喩えれば、頂点が前方産業である。それ以下は、後方産業でありサービス産業も含まれる。FRBが、米国債を担保にドル貸出に応じるという緊急体制を取ったことの背景を忘れてはいけない。

     

    (2)「(質問)2008年の金融危機と比較するなら。
    (答え)新型肺炎を迎えた各国政府は実体経済を『シャットダウン』するという措置を断行した。にぎわっていた通りは人の姿がまばらになり工場稼動も中断された。戦時状況と似ている。コロナ問題はこれまでの危機とは明らかに違ったスタイルを帯びている。経済に及ぼす悪影響ははるかに深刻かもしれない。現在のような状況がさらに数カ月持続するなら米国の国内総生産(GDP)は歴史上最も急激な下落を経験することになるだろう。現在の市場の資産価格は今後約6カ月程度の経済活動予測値だけを反映している。最悪の状況にまで備える姿勢が必要に思われる」

    これから訪れると予想されている世界不況は、従来型の経済危機や金融危機と状況が異なる。人間が街から消えたという都市封鎖である。戦時中と同じ感覚で捉えるべきだろう。この見解は、私も同じである。戦争は人命を損ねる。新型コロナウイルスも、人命を奪う点で全く同じである。経済活動のストップは、従来型の不況と完全に異なる危機である。

     

    (3)「(質問)韓国経済と金融市場は今後どのように動くだろうか。
    (答え)2008年の金融危機当時に韓国の株式市場から500億ドル以上の外国人投資資金が離脱した。その時と3点が似ている。第1に、世界的な消費萎縮で特に輸出国の大きな影響が予想される。第2に、サプライチェーン崩壊で韓国のような国が特に大きな打撃を受けかねない。第3に、海外年金基金などグローバル投資家が韓国市場を離脱し韓国株と債券の価格は下方圧力を大きく受けるだろう。外国人は世界的経済危機の中で相対的にリスクが高い資産を先に売ろうとし、韓国株と債券がまさにその対象になる恐れがある。実際に最近、韓国金融市場の変動性はとても高かった。外国人のウォン建て資産売りは続く可能性が大きいようにみられる」

    2008年に韓国で起こった点が今後、起こると見られるのは、次の3点である。

    第1に、世界的な消費萎縮で特に輸出国の大きな影響が予想される。

    第2に、サプライチェーン崩壊で韓国のような国が特に大きな打撃を受けかねない。

    第3に、海外年金基金などグローバル投資家が韓国市場を離脱し韓国株と債券の価格は下方圧力を大きく受けるだろう。

     

    以上3点についてコメントをつけたい。

    第1;韓国の輸出依存度は、工業国では台湾に続いて2位の高さである。

    第2:輸出依存度が高いことは、世界のサプライチェーンと深く関わっている。部品や素材の供給を受けるためだ。

    第3:世界不況=輸出減少という構図下では、韓国経済のダメージが最も大きい。それゆえ、韓国株式や債券の売却は当然の現象である。

     

    韓国経済は、「限界経済」というイメージだ。グローバル経済と言えば、華々しく聞える。だが、国内市場は5000万人という状況で輸出をテコに成長してきた経済である。世界の風向きが台風に変われば、最初にして最大の影響を受ける宿命である。その点の認識がなく、「晴天」を前提に経済運営をしてきた咎めが、一気に表面化する脆弱構造である。その上、反日が専売特許となっている。日本との関係悪化が、従来にない「悪条件」として加わる。


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    新型コロナウイルスに感染し、退院後も安心は禁物である。韓国では、10人余の再陽性者が出ている。日本でも、再陽性者が報じられているように、従来にない感染症の症状を見せている。新型コロナウイルスでは、遺伝子を組み換えられているという分析もあるように、従来型の野生動物から単純に人間へ感染したコロナウイルスでないのかも知れない。

     

    再陽性者は、再感染のケースと、体内に残っていたウイルス菌が再活性する二つのケースがあるという。「はしか」は抗体ができれば一生維持されて免疫性がつく。新型コロナウイルスでは、再感染するケースがあるのか。治療側にはまた、頭痛の種が増えている。

     

    『中央日報』(3月31日付)は、「韓国、新型肺炎完治者5000人超えたが相次ぐ再陽性」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルスによる肺炎で再度陽性反応が表れる事例が相次いでいる。隔離解除判定を受け退院してからいくらも過ぎずに体内で再びウイルスが確認されるものだ。専門家らはこうしたケースの伝染性は低いとみるが、完治者が5000人を超えているだけに退院後も最小2週間隔離すべきと主張する。疾病管理本部中央防疫対策本部が31日に明らかにしたところによると、当局が現在までに把握した再陽性の事例は全国で10件以上だ。



    (1)「中央防疫対策本部の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)本部長は3月29日の会見で「韓国だけでなく他の国でも隔離解除や症状が改善してから再び陽性反応が出る事例が報告されている。韓国でも10例以上報告されている状況」と明らかにした。
    隔離解除後に再度陽性反応が出た最初の事例は2月29日に出てきた。当時京畿道始興(キョンギド・シフン)の70代の患者が退院から5日後に軽微な症状があるとして保健所に自主的に申告し、翌日陽性判定を受けた。最近では金浦(キンポ)で17カ月の子どもが両親とともに一度に再陽性反応が出た」

     

    退院後、再陽性化するケースが10例以上も出ている。その原因を巡って、医療側が頭を悩ませている。新型コロナウイルスは、肺にまで達するという症例から見て、従来にないウイルスとされている。それだけに、治療側は患者の重篤化を防ぐことがまず、治療の第一歩と指摘している。


    (2)「保健当局は再陽性反応が出るたびに新たにウイルスに感染する「再感染」より、体内に残っていたウイルスが増殖する「再活性化」にウエイトを置いている隔離解除前のPCR検査では有意味な陽性反応を見せなかったが、退院後に免疫力などにより抑制されていたウイルスの量が増えることがあるというのが専門家らの説明だ。大邱市(テグシ)感染病管理支援団のキム・ジョンヨン副団長は3月21日に大邱で退院5日後に再び陽性反応が出た30代の女性と関連し、「(ウイルスの)数値が一定基準以下に下がれば陰性と判定する。この患者は数値が下がってから再び上がった事例とみている」と説明した」

     

    現状では、再陽性の原因が「再感染」よりも「再活性化」にウエイトを置いているという。「再活性化」となれば、完全にウイルスを撲滅できず、体内に残っていたことになる。PCR検査の限界でもあろう。目下、開発中の血液による抗体検査では、こういう「再活性化」という事態を防げるのか。専門家に聞いて見たいものだ。

     


    (3)「これに先立ち、2度目の陽性反応が出た京畿道始興の70代女性の主治医である盆唐(プンダン)ソウル大学病院のキム・ウィソク感染内科教授も、1日の中央臨床委員会の記者会見で「ウイルスが抑制されていたが患者の免疫力低下や高齢という理由から再発した可能性を考えてみなければならない」と話した。
    再感染はこれとは違い、体内のウイルスが全滅した状態で新たに感染源にさらされて再び感染するものだ。普通感染症は一度感染すると抗体ができ再びウイルスが浸透した時の再感染を防ぐ。はしかは抗体ができれば一生維持される」

     

    再活性化は、患者の免疫力低下や高齢という理由で、症状が「ぶり返す」もの。再感染は、新たな感染源に晒されて起こる感染である。アイスランドのメディアによると、このほど同国で新型コロナウイルスの陽性反応が出た患者が、2つのウイルスに同時に感染したことが確認された。2つ目の菌株は、新型ウイルスが突然変異したものだという。これは、本日の別のブログ(米国、「コロナ総力戦」政府はスパコン共同体立上げ、研究者を結集「成果は明るい」)で取り上げた。突然変異が起こっているとすれば、治療は難儀するだろう。

     

    (4)「高麗(コリョ)大学九老(クロ)病院のキム・ウジュ感染内科教授は「新型肺炎の場合さまざまな研究を通じ感染後1週間ほどで免疫グロブリン抗体(IgM、IgG)ができることがわかった。2週間後にはほぼ90%で抗体ができる。しかし免疫低下者や高齢層の場合、抗体がうまくできないこともあり再感染の恐れがある」と説明した。これと関連して鄭銀敬本部長は「ケースごとに深層分析をして検討しなければならない。個別臨床的な研究水準で進めなければならない状況とみて早い時期に検討するようにしたい」と説明した」

     

    下線部分は、重要な指摘である。「免疫低下者や高齢層の場合、抗体がうまくできないこともあり再感染の恐れがある」という。高齢者で免疫力低下の人は、危険という結論になる。

     


    (5)「再活性化であれ再感染であれ、カギは再び陽性となった人たちの伝染性だ。キム・ウジュ教授は「研究が必要だが、中国で報告されたものによると再感染者の伝染性は非常に低い。しかしまだはっきりと明らかになっていないだけに再発事例をモニタリングし、2次、3次感染が生じないか綿密にチェックしなくてはならない」と話した。
    再陽性の事例が出てきたことで専門家らは退院後も2週間ほど隔離を維持すべきと助言する。当局もこうした意見により現在発病後3週間まで自宅隔離するよう指針を変更すべきか検討している」

    再陽性者が出始めたことは、新たな感染者を防ぐ意味で、退院後も2週間ほど隔離の必要があると指摘している。新型コロナウイルスは、罹っても大したことないと高を括っている人がいるとすれば、大間違いであろう。退院後も2週間ほどは外出禁止措置が取られかねない事態になってきた。

     

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    米国政府がが、国威をかけ「飛び火」してきた新型コロナウイルスへの研究体制を整えた。世界大戦並みの「挙国体制」をつくって、早期の成果を目指している。「世界各国政府は、新型コロナウイルスと戦い、流行を抑制しようと奮闘している。こうした努力は重要だが、世界が最も期待しているのは、民間のイノベーションだ。最先端の診断検査と治療方法の開発が進んでおり、政府はこうした流れを支援すべきだ」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月30日付社説)という主張に答えるものだ。

     

    『大紀元』(3月31日付)は、「米政府、新型ウイルス対策のためにスパコン共同企業体を立ち上げ」と題する記事を掲載した。

     

    米国政府は3月23日、「COVID-19ハイパフォーマンス・コンピューティング・コンソーシアム」の発足を発表した。これにより、研究者は米国内のスーパーコンピュータへアクセスし、新型ウイルスとの戦いにおいて科学的発見のペースを大幅に上げることができるようになった。

     

    声明によると、この新しいコンソーシアム(共同企業体)は、ホワイトハウス、米エネルギー省、IBMが主導しており、マイクロソフトやグーグルなどのほか、NASAや国立科学財団などの連邦機関も参加している。新型ウイルス研究のため、無料のコンピューティング時間と機器を提供しているという。

     

    (1)「米国の最高技術責任者 (US CTO)であるマイケル・クラツィオス氏は、「アメリカはCOVID-19(新型コロナウイルス)と戦うために団結しています。つまり、治療とワクチン開発の科学的研究を迅速に進めるために、世界レベルのスーパーコンピュータをフルに活用するということです。我々は、トランプ政権の全米対応の一環として連邦政府に参加している民間部門及び学術界のリーダーに感謝します」と述べた。研究者は、COVID-19関連の研究提案書をオンラインポータルによってコンソーシアムに提出することができる。その後、パートナー機関のコンピューティング機器が割り当てられる。最高レベルの科学者とコンピュータ研究者で構成される専門委員会が提案者と協力して、最も即効性があるプロジェクトを迅速に評価し、強力なコンピュータが割り当てられる」

     

    この方式は、かねてから最も効果的な研究方式として推奨されている。研究者が、単独で研究を進めるより、コラボすることで数倍の成果が得られるとされている。「最高レベルの科学者とコンピュータ研究者で構成される専門委員会が提案者と協力」という形で、研究を促進する。不幸にも、新型コロナ感染者が増加したことで研究対象が増えているので、これが新薬開発のテコになる。かつて、WHO(世界保健機関)事務局長が、「世界に蔓延すれば新薬などが開発される」と発言していた。今、そういう状況が生まれてきた。

     

    (2)「コンソーシアムを通じて利用できる洗練されたコンピューティングシステムは、バイオインフォマティクス、疫学、分子モデリングに関連する膨大な計算を処理し、ウイルスがどのように動き、どのような脆弱性を有するかを正確にシミュレーションすることができる。これにより、それほど強力でないコンピュータや手作業で計算するのに数週間から数ヶ月かかっていた新型ウイルスに関する複雑な問題を、数時間から数日で理解できるようになる。合計16台のスーパーコンピュータが使用され、プログラム命令を読み込んで実行する77万5000個のCPU(中央処理装置)コアと、CPUと連携して大量のデータを含む計算を高速化する3万4000個のGPU(グラフィックス処理装置)を備えている」

     

    このパラグラフを読めば、米国が文字通り、「世界大戦」同様の総力戦で取り組む姿勢が浮かび上がってきた。スパンコンを利用するので、コンピュータや手作業で計算するのに数週間から数ヶ月かかっていた新型ウイルスに関する複雑な問題を、数時間から数日で理解できるようになる。これは、時間との勝負を強いられている新型ウイルス対策の決め手になろう。

     


    (3)「IBMによると、テネシー大学とオークリッジ国立研究所の医学研究者たちは、すでに世界最強のSummitスーパーコンピュータを使って8000種類の化合物をスクリーニングし、新型ウイルスの主要な「スパイク」タンパク質に結合する可能性が最も高い化合物を見つけ出したという。その結果、新型ウイルスのヒト細胞への感染能力を弱める可能性のある77種類の有望な化合物を特定することができた

     

    スパンコンを使って、8000種の化合物から新型ウイルスに効果がある有望化合物77種類の絞り込みに成功したという。この調子で行けば、成果が期待できるだろうか。

     

    喫緊の課題は、無症候キャリア(感染しているが陽性でない者)を早く探し出して隔離することである。これに成功すれば、ひとまず感染者の増加に歯止めをかけられる。そこで、次のような提案が出ている。

     


    (4)「
    FDA(米食品医薬品局)は、バイオ技術企業バイオメリカの指先採血型血液検査のファストトラック(優先承認)審査をすべきだ。この検査はわずか10分で結果が判明するほか、感染したばかりで無症状であっても感染の有無が分かる。これにより、空港や職場、学校などで、せきや発熱がなくても感染を広げる可能性のあるコロナウイルスのキャリアを特定できる」(ウォール・ストリート・ジャーナル)(3月30日社説)

     

    これは、血液抗体を検査する作業である。日本では、横浜市大が開発したので早ければ、今夏にも試薬が登場する予定だ。コロナウイルス感染の検査では、決定版とされている。早く感染拡大を止めないと、新型コロナウイルスの変種出現の機会を増やすリスクが増える。その危険性が現実になってきた。

     

    『大紀元』(3月31日付)は、「新型ウイルス、アイスランドで二重感染者が確認 ウイルスが突然変異」と題する記事を掲載した。

     

    アイスランドのメディアによると、このほど同国で新型肺炎(COVID-19、新型コロナウイルス)の陽性反応が出た患者が、2つのウイルスに同時に感染したことが確認された。2つ目の菌株は、新型ウイルスが突然変異したものだという。

     

    (5)「アイスランド誌『レイキャビク・グレープバイン』電子版は3月24日、レイキャビクに本社を置くバイオ医療品会社、deCODE Geneticsの創設者で最高経営責任者(CEO)のカリ・ステファンソン氏の話を引用して報道した。同社は、アイランドで発見された新型コロナウイルス40株の遺伝子配列を分析した。ステファンソン氏は3月23日、アイスランド国営放送(RÚV)の取材に対して、遺伝子配列の分析から突然変異が見つかったと述べた」

     

    新型コロナウイルスで、変種が出てきたのは脅威である。前記の同誌は、「時間が経つにつれ、ウイルスは変異して、感染力を増していく可能性がある」との見方を示した。しかし、神経学者でもあるステファンソン氏は、偶然性を示唆しながら、「変異したウイルスがより致命的であるかもしれない」として研究を続ける必要があるとの見方を示した。ステファンソン氏は、国際データベースにおいて、二重に感染した患者者から採取した検体で突然変異を発見したのは、世界で初めてだとしている。まさに、時間との勝負になってきた。

     

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    中国的社会主義を標榜してきた中国は、新型コロナウイルスで世界を混乱の坩堝へ引っ張り込み、未だ解決のメドも立たず、世界は凍結状態である。人権弾圧など強権政治を貫いてきたが、「チャイナモデル」は効率的と自画自賛してきた。その舌の根も乾かぬうちに、新型コロナの震源地となり、しかも情報を隠蔽した結果、世界の人的・物的な被害は計り知れない規模に膨れ上がっている。中国怨嗟の声は、大きくなるばかりだ。チャイナモデルの危険性はさらに鮮明になった。

    『中央日報』(3月31日付)は、「西側から続々出てくる中国責任論、中国は『雑音』として強く反発」と題する記事を掲載した。

     

    西側でますます台頭する新型コロナウイルスに対する「中国責任論」に中国が緊張している。「中国叩き」で先頭に立ってきた米国だけでなく、英国など一部西側諸国からも中国を恨む声が出始めたためだ。海外の動静に最も敏感に反応する中国『環球時報』は31日、「3大事実は中国がはばかることなく雑音に対抗するよう支持する」という見出しの社説を載せた。「雑音」は西側の中国非難を指す。

    (1)「環球時報社説は現在西側で中国に向け提起している3種類の「雑音」を挙げた。

    1番目の「雑音」は、中国が新型コロナ感染者と死亡者数を隠したということだ。中国の隠蔽により新型コロナウイルスの危険性がよくわからず、したがってまともに対応措置を準備できなかったと批判している。代表的にポンペオ米国務長官がこうした主張を展開している」

     

    (2)「マイケル・ゴーブ英国務調整室長も最近英BBCとのインタビューで、「英国の新型コロナ問題に対する準備はなぜ不十分なのか」という質問を受け同様に答えた。彼は「昨年12月に中国で初めての新型コロナ事例が出現したが、中国は感染症の規模や特性、伝染性などについて明確に説明しなかった」と話した。中国が事態の深刻性をしっかりと知らせなかったということだ」

     


    『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)の単独報道によると、武漢発コロナウイルスは広く知られた12月末よりもさらに早い11月中旬に初めて発見されたという。中国当局の隠蔽・統制の中、コロナウイルスは徹底的に隠された。中国は春節(旧正月)にすでに500万人が武漢を離れた後、今年1月下旬に新型コロナを公式発表した。事態はすでに手に負えなくなり、本人も知らない感染者が全世界に移動した後だ。中国は世界を地獄の門前にまで導いたことになる。崔炳鎰(チェ・ビョンイル)梨花女子大学国際大学院教授は、『中央日報』(3月31日付けコラム)で、こう指摘している。隠蔽こそ、中国が負うべき最大の罪である。


    隠蔽は、共産主義と密接不可分の関係にある。となれば、今回の新型コロナウイルスは、世界に中国共産党が存在する限り、避けて通れない災難である。この前提に立てば、中国を原因とする世界的な感染症は、今後とも起こり得ると見なければならない。

     

    (3)「2番目の「雑音」は、一部の基準に満たない中国製医療物資を問題にして中国外交に泥を塗っていることだ。オランダは28日に基準に満たない中国製マスク130万枚をリコールした。また、スペインとチェコでも中国製診断キットを輸入したが精度が大きく劣り使用を中断する事態が起きた。これに対し中国外交部の華春瑩報道官は30日、「われわれが受け取った援助物資の中にも一部不合格品があった」と話した。華報道官はしかし「これに対するわれわれの選択は援助を提供した国の善意を信じ尊重するということだった」と説明した」

    下線を引いたスペインとチェコは、有償購入である。精度は30%未満と劣り、感染症に罹患しているかどうかという重要な判定で全く役に立たず、全量返品措置が取られた。感染症が蔓延している混乱状態で、役立たずの医療関連製品ほど、腹立たしいものはない。中国は、大きなミソをつけたのだ。

     

    (4)「3番目の「雑音」は、「中国の責任を問い詰めるべき」という本格的な「中国責任論」の提起だ。環球時報は英『ガーディアン』紙を引用し、英国政府の閣僚と官僚らが新型コロナ関連の中国の不十分な情報に対し現在「計算(注:損害賠償)」を準備していると伝えた。『ガーディアン』紙はまた、「英国の官僚は『中国が疫病を利用して経済的な利益を得ている』とし憤怒していると伝えた。環球時報はこうした3種類の「雑音」が極めて時代錯誤的な「合唱」を生みだしていると非難した」

     

    中国は、居丈高な振る舞いをしている。世界中に、これだけの迷惑と損害を与えながら、一言半句の謝罪をしないどころか、「当然」という態度である。ヨーロッパの中では比較的、中国に理解があった英国でする、「反中」に転じそうである。コロナが、招いた英中離間である。

     

    (5)「環球時報社説はこうした、「合唱」の裏には中国に対する慢性的な偏見、中国の状況は安定したのに自分たちは危険に直面していることに対する憤怒、感染症を統制できない自身の無能を隠しその責任を中国に転嫁しようとする意図があると主張した。また、西側の攻勢に中国は持続的な新型コロナ統制、助けが必要な国に対する支援、新型コロナ問題後の素早い経済回復の3種類の事実ではばかることなく対抗しなければならないと強調した。こうした中国の強い反発はそれだけ西側の非難が痛いという話と解釈される」

     

    下線部は、誠意の一片も感じられない態度である。こういう国に対して、各国は競ってマスクなどを寄付してきた。その挙げ句が、「感染症を統制できない自身の無能を隠し、その責任を中国に転嫁しようとする意図がある」と言い放っている。西側諸国は、この言葉を忘れてはならない。政治体制が異なり、生存競争する中国に対して無防備な「善意」は、自分の身を滅ぼすという貴重な教訓を得たであろう。残念ながら、これが世界覇権を狙う中国の素顔である。

     

    今後、次の3点に力を入れるという。

        中国自身の持続的な新型コロナ統制

        助けが必要な国に対する支援

        中国の新型コロナ問題後の素早い経済回復

     

    中国は、自力ではいずれも不可能である。西側諸国が、開発する医薬品などの世話になるはずだ。大言壮語もほどほどにすることが、国際社会で生きる術である。中国経済は、修復不可能なほどのダメージを受けている。不動産バブルは、コロナ不況で完全崩壊を余儀なくされる。その上に、莫大なコロナ不況回復資金がのしかかる。中国経済は終わったも同然の事態に追い込まれた。もはや、どうにもならない局面だ。


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    文政権は、4月15日の総選挙を前にして、新型コロナウイルスを材料にして誇大宣伝している。実際は、自らの失敗でコロナ感染者を激増させたのである。その責任を忘れた顔をして、韓国政府の対応は世界中から賞賛を浴びているとしている。こういう文政権の厚顔無恥に対して、韓国メディアが痛烈な批判の矢を放った。

     

    『朝鮮日報』(3月31日付)は、「『新型コロナ自慢』過ぎたるは及ばざるがごとし」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「青瓦台(大統領府)がホームページに掲載している新型コロナウイルス推移グラフを、感染者数が急激に減少しているかに見えるように作っていたという。グラフで前日より感染者数が増えた日はすべて省いていたのだ。このようにして、新規感染者が毎回減っているように見せていた。操作に近い。こうした小細工をする理由は明らかだ。総選挙を前に、政府の成果を大きく見せたいからだ」

     

    政府のホームページのグラフが操作されていたのは、国民を欺く詐欺行為である。その手法は、次のような内容だ。

     

    青瓦台は10日からホームページに国内の新型コロナウイルス日別感染者/完治者の推移をグラフで示している。このグラフによると、2月末以降、日別感染者数は急激に減り、日別完治者数は緩やかに増えているように見える。ところが、グラフの横軸の間隔がおかしかった。今月27日時点のグラフは新規感染者が最も多かった2月29日(916人)を開始点に、34日(4日間隔)、7日(3日間隔)、9日(2日間隔)、 14日(5日間隔)の感染者数をグラフにしていた。日付の間隔がまちまちなのに、グラフは間隔が一定のように描かれている。この過程で、33日、6日、11日など、前日に比べて新規感染者数が増えた日はすべて外されていた。『朝鮮日報』(3月30日付)が伝えた。

     

    このほか、感染者は「新規感染者数」のみを表示して減っていることを示しながら、完治者は「累積完治者数」を表示して急激に増えているようにグラフを描いている。どう見ても、韓国のコロナウイルス感染者が急激に減っている、という誤解をさせる意図だ。こういう詐欺行為を平然と行なう政府が、存在していることに驚くのだ。

     

    (2)「このような本心が見え隠れする行動は一つや二つではない。韓国外交部は「韓国製診断キット3製品が米食品医薬品局(FDA)の事前承認を受けた」という報道資料を週末の夜に出し、「異例の迅速承認は韓米首脳電話会談の後続措置結果として評価できる」と言った。しかし、該当の各企業が通知を受けていない状態で性急に資料を出し、不正確な用語を使ったために市場に混乱をもたらした。気持ちが先走っているのではないのか」

     

    この問題は、韓国政府の「韓国の新型コロナウイルス診断キットがFDA(米食品医薬品局)の『事前承認』を受けた」という発表に「フェイクニュース」疑惑が浮上したもの。韓国政府が4月の総選挙前に「韓国の防疫は世界最高」と宣伝するため、結論が出ていないFDAの診断キット承認件を決定済みかのように誇張して発表したと指摘されているものである。

    韓国外交部は、30日夜に「事前承認」を「暫定承認」に変えた。だが、メーカーには、FDAから何らの連絡もなく当惑。株価だけが乱高下して終わった。とんだお騒がせになった。

     


    (3)「青瓦台は、「UAE(アラブ首長国連邦)に診断キットを輸出した」と広報したが、実際に契約した物品は感染の有無を判定するキットではなく、輸送容器だということが明らかになった。青瓦台は政府合同外信記者会見の内容を編集して掲載する際、「防疫が成功したという評価には同意しがたい」との専門家の発言などはすべて外し、政府を賞賛する内容でのみ満たした。これを見たある外信記者は「韓国政府の考えに合わせるため、どれだけ多くの『外信記者たち(の発言)』がカットされたのか気になる」と言った」

     

    これも、政府の誤りであった。当初、「診断キット」の輸出と発表されたが、実際は「輸送容器」に過ぎなかった。「綿棒」という報道もあるなど、明らかに「診断キット」の誇大宣伝を狙っていた。韓国では、コロナ感染者を検査する器具として、この「診断キット」が英雄的な存在になっている。ただ、精度は80%が最大値とされている。これで、陰性と診断が下っても安心できないのだ。正確な診断には、血液の抗体検査が最善とされている。日本では、早ければこの夏に横浜市大の開発キットが登場する。今日のブログで紹介した。

     

     

     

     

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