韓国政府の決定したGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の延長拒否は、国内で専門家の間に危機感が広がっている。大統領府の「86世代」という安保・外交の素人集団が、反日感情論だけで大胆な決定を下したからだ。
『朝鮮日報』(8月23日付)は、「朝中露の脅威が増しているのに、韓米同盟まで揺らぐ恐れ」と題する記事を掲載した。
青瓦台が22日、「韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を3年で破棄することに決めたことから、1970年代以降、米国主導で50年近く維持されてきた韓米日安保体制そのものが揺らぐことになるだろうとの懸念が高まっている。米国はこれまで、北東アジア安保とインド・太平洋戦略のためGSOMIA延長を強く主張してきた。そのGSOMIAが破棄されたということで、韓米同盟にも悪影響が予想される。
(1)「キム・ホンギュン元韓国外交部韓半島平和交渉本部長は、「GSOMIA破棄で韓米日三角安保協力体制が瓦解し、朝中露と米日が対立する東アジアの地政学的構図において、韓国は孤立するかもしれない」と語った。金聖翰(キム・ソンハン)元外交部次官は「韓米日安保協力の終了に向けた序幕へ、我々は自ら戻ることのできないルビコン川を渡ったものだ」と述べた」
大統領府が、専門家の意見と真逆の決定をした。これは、大統領府の「86世代」が、外交・安保に関して全くの素人集団であることを暴露している。下線部分こそ、GSOMIA破棄のもたらす根本的なリスクである。大統領府が、これを承知していて決断したとすれば、北朝鮮への「ラブコール」である。日米韓の関係を薄めて、南北統一を急ごうというシグナルだ。
(2)「韓国政府の決定で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の8・15(光復節)祝辞以降、様子見の傾向にあった韓日の確執が再び激化することになりそうだ。今月28日の「ホワイトリスト韓国除外」措置実施と関連して、日本政府が輸出規制品目を拡大する可能性もあるという懸念の声も上がっている。東京の外交消息筋は「日本が最後までGSOMIA維持を主張したのは、米国の『日本は韓国と違って3カ国の安保協力を重視する』という名分を積み重ねようとしている面が大きかった。安倍首相は今回の措置を口実に、韓国との『強対強』長期対峙(たいじ)局面に持ち込んでいく可能性が高い」と話す。米国の顔色を見ていた日本に、強硬対応の名分を与えたということだ」
GSOMIA破棄は、日本にとって好都合という指摘である。日本にとってGSOMIAは、日米韓三ヶ国の安保インフラとして、堅持する方針であった。それが、韓国から断ち切られた以上、韓国に対してなんら配慮することはない。韓国への対抗手段を強化するだろうと怯えている。
同じ民主主義国の韓国が、日本との安保ラインを棚上げして、共産主義の北朝鮮へ接近する。韓国は将来、「赤化」に任せて統一完了。これが、文氏の描くユートピア構想である。まさに国を売る行為であろう。
(3)「さらに大きな問題は、韓米関係に及ぼす影響だ。事実、米ホワイトハウスと米国務省は最近まで青瓦台と韓国外交部にGSOMIA延長の必要性を主張してきた。米国務省は先月、GSOMIA撤回の可能性が取りざたされると、「北東アジア安保のための韓米日3カ国の重要な部分だ。GSOMIA延長を全面的に支持する」と明らかにした。GSOMIAは韓米日の安保協力を強化し、北朝鮮や中国などをけん制しようという、米国が構想する北東アジア戦略の重要要素の1つだ。しかし、GSOMIAで破棄にこの戦略に支障が出れば、米国は別の戦略的選択をするかもしれないとの懸念もある。トランプ政権なって既にインドやオーストラリアなどが米国の強力な「安保パートナー」として浮上している。韓米日の安保体制が揺らぎ、北東アジアで韓国が孤立するのではとの懸念も大きい」
下線部分が、GSOMIAの基本精神である。米国は、この事実を告げて韓国に踏みとどまるように説得し続けてきた。文氏も新任の米国防長官と会見して、その重要性を説得された。それにも関わらず、「反日」を理由に暴走した。この国では誰が、国民の安全保障を真面目に考えているのだろうか。不幸な国である。