昨秋以降、度重なる日韓のトラブルは、韓国政府が煽った面も大きい。その「反日旋風」が、ソウル市郊外へ進出予定の日本式グルメ街(約50店舗)に、ストップを掛ける「政府請願」を出す騒ぎだ。
韓国大統領府では、国民の請願を受け付ける「電子板」がある。請願賛成者が20万人を超えると、大統領府は何らかの措置をしなければならないシステムだ。現在、6万人余の請願賛成者が出ているという。この問題、これまで日本批判をしてきた韓国政府としては頭の痛い問題だ。民間の営業活動に対し、「日本が嫌いだから店を出すな」という横暴なことを言えるはずがない。さて、この問題はどうするのか。
『聯合ニュース』(3月1日付け)は、「ソウル郊外のジャパンタウン造成で賛否対立」と題する記事を掲載した。
(1)「韓国青瓦台(大統領府)のホームページ『国民請願掲示板』には先ごろ、ソウル郊外の京畿道始興市に造成中の『ジャパンタウン』の無効化を求める請願が寄せられ、ネットユーザーの間で激しい議論が交わされている」
韓国では、文政権になって「国民請願掲示板」なるものが登場した。国民の訴えを直接聞くという趣旨だが、最近は逸脱した請願も多く問題になっている。有名人の中傷など人権蹂躙になるような請願もあり、国民の鬱憤ばらしだ。
日本式グルメ街の進出を阻止することは、法的に不可能なはずである。営業の自由は保障されるべきである。ましてや、韓国はTPP(環太平洋経済連携協定)に加入希望を持っている以上、国籍で差別はできないであろう。問題は、文政権が反日を煽ってきたことが、こういう感情的な反発を生み始めていることだ。それにしても、厄介な国民である。新宿区の新大久保は「コリアタウン」と言われる。お互い、目くじら立てないことがベストの選択である。
(2)「韓国を植民地として支配した国の文化の浸透を警戒すべきだとの意見と、ジャパンタウンが地域経済の活性化に役立つとの意見が対立している。投稿者は『わが国の領土で日帝(日本帝国主義)式の建物と文化を消すために先祖たちの大きな努力があったが、ジャパンタウンを造成することはアイロニーなことだ』とした上で、地域経済活性化のために日本式を導入することが最善なのかと指摘した。現在、この請願には6万人以上の賛同が集まった。一方では「歴史と経済は切り離して考えるべきだ」「グルメはもちろん見物スポットもたくさんある観光都市に飛躍し地域経済が活性化する契機になる」との意見もある」
この話は、金大中大統領時代に解決済みである。すでに、日本文化を解禁したはずだが、韓国人の度量の狭さには困ったものだ。こうなると、韓国の芸能人も日本へ来るなという悪循環に陥る。
(3)「ジャパンタウンの造成は商圏活性化に向け民間事業者が進める事業。始興市によると、市内のビルの1~2階に大阪の有名飲食店50店あまりが近く入居する予定だ。市は先月26日にホームページに、『ジャパンタウン造成を巡り地域住民の意見が対立している。市はこれに関わるいかなる行政的手続きもすすめていない』としながら、ジャパンタウン造成に関与していないと発表した。これ以前にもソウルの弘大や鍾路の繁華街の景色が日本のようだと指摘する声が上がった。異質な日本風の建物が並ぶこれらの地域には日本語の看板もすぐに見つけることができる。日本の夜市を似せたある居酒屋は、『ここが韓国なのか』と思わせるほど日本から建物をまるごと移してきたかのような雰囲気が漂う」
韓国人は一番、大阪が好きだと言われる。その大阪名物が50店舗も集まって出店すれば、消費景気の盛り上げに一役買うと思う。だが、「反日」の人々には、それすら苦々しい思いなのだろう。ソウルの目抜き通りには、ビル1棟がまるまる日本の居酒屋などが出店しているという。若者には日本食の人気が高いから、「反日集団」があえて営業妨害することもないように思う。日本が嫌いだったら、そういう店に近づかなければ良いはずだが。