勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    ムシトリナデシコ
       

    韓国自動車業界は、昨年の国内新車販売台数が153万台、海外販売台数639万台である。合計792万台だ。この年間1000万台に満たない業界に5社がひしめきあっている。典型的な過当競争を演じており、脱落する企業が出る運命である。業界どん尻の双竜自動車は、10年ぶりに再び身売りされることになった。中国系企業が買収候補にあがっているという。

     

    ここで、狭い市場で5社がせめぎ合っている構図を、新車販売台数(2019年)で見ておきたい。

             

     

               国内販売台数       海外販売台数      合計台数

    現代自動車     74万1842台    368万0802台   442万2644台

    起亜自動車     52万0205台    225万0488台   277万0693台

    双竜自動車     10万7789台      2万7446台    13万5235台

    ルノー・サムスン   8万6859台      9万0591台    17万7450台

    韓国GM       7万6471台     34万0755台    41万7226台

    (出所:MarkLines)

    双竜自動車は、年間13万台余である。これで、賃上げストは一人前にやるのでは、身売り話が出て当然だ。韓国自動車業界は、現代と起亜が国内資本で、他3社は外資系になっている。外資系ということは、いつでも撤退可能という不安定な位置にある。

     

    インド資本のマヒンドラ財閥が、双竜の筆頭株主である。マヒンドラは、インド経済の停滞で打撃を受けており、双竜を支える力を失い、売却方針に転じた。売却が成功するかどうか、経営内容の悪さから危ぶむ声が出ている。

     


    『中央日報』(6月21日付)は、「双竜自動車、10年ぶりに再売却、マヒンドラが売却主幹事選定」と題する記事を掲載した。

     

    双竜(サンヨン)自動車がインドのマヒンドラグループに買収されてから10年ぶりに再び売買市場に出された。19日の投資銀行業界によると、双竜自動車はこのほどサムスン証券と欧州系ロスチャイルドを売却主幹事に選定したことがわかった。両社は2011年にマヒンドラが双竜自動車を買収する時も同じ役割をした。

    (1)「双竜自動車関係者は、「最近売却主幹事を選定した。その他の内容は秘密保持契約上明らかにできない」と話した。売却主幹事は国内と海外を問わず潜在的投資家を中心に双竜自動車への投資の意向を打診するものとみられる。売却対象は、マヒンドラが保有する双竜自動車の株式74.65%だ。双竜自動車の時価総額は18日基準で4450億ウォン(約392億円)だ。保有株式全量を売却する場合、価格は経営権プレミアムを考慮して2000億ウォン台後半になると推定される」

     

    売却価格は2000億ウォン(約176億円)台後半という。約200億円強となろう。恒例の強い労組の存在を考えれば、簡単に買収候補として名乗り出られないかも知れない。

     

    (2)「業界では中国の吉利自動車と電気自動車メーカーのBYD、昨年マヒンドラと戦略的提携関係を結んだ米フォードなどの名が挙がっている。吉利自動車は近く双竜自動車の資産査定作業に出るという。双竜自動車の韓国工場を通じOEM(相手先ブランドによる生産)などを念頭に置いているとされる。フォードは、マヒンドラとインド市場攻略に向けスポーツ多目的車(SUV)3種と電気自動車1種を共同開発中で注目される。電気自動車開発には双竜自動車も間接的に関係しているという。BYDは中国の電気自動車業界1位で、電気自動車バッテリー分野で世界トップ圏を走っている。BYDは一時双竜自動車平沢(ピョンテク)工場を活用して電気自動車を生産することを検討したという。業界ではBYDが双竜自動車買収を踏み台として韓国の電気自動車市場に参入することもあるとの見通しも出ている」

     

    中国の自動車メーカーが買収候補に噂されているという。吉利自動車、電気自動車メーカーのBYD、それに米フォードなどだ。外資系では、すでにルノーやGMが進出しているが、強い労組に手を焼いている。韓国GMでは、新社長が社長室に入れないという騒ぎを起こしている。

     


    (3)「自動車業界は売却成功の可能性について、これまでのところは否定的な見方だ。特に2011年にマヒンドラが双竜自動車を買収し外資系銀行と結んだ貸付条件が障害だ。双竜自動車はマヒンドラを通じてJPモルガンやBNPパリバなどから2000億ウォンほどの短期資金を借りた。この時、銀行はマヒンドラが双竜自動車の株式51%以上を保有するという条件を付けた。マヒンドラが株式を売却すれば新たな投資家が借入金をすぐに返さなければならない。双竜自動車は今年1-3月期まで13四半期連続で赤字を出した。1-3月期だけで978億ウォンの営業損失と1929億ウォンの当期純損失を出した。ここに1カ月の人件費だけで400億ウォンに達するなど高い固定費も障害だ」

    下線のような障害が、買収に支障になる可能性が指摘されている。マヒンドラが、JPモルガンやBNPパリバなどから2000億ウォン(約176億円)ほどの短期資金を借りているからだ。買収先は、この資金を返済しなければならない。売却価格は2000億ウォン台後半としても、この返済金が加わる。ざっと見て、5000億ウォン(約440億円)が、即座に必要となる。

     

    双竜自動車は、今年1~3月期まで13四半期連続で赤字を出した。1~3月期だけで1929億ウォン(約170億円)の当期純損失を出している。1カ月の人件費は400億ウォン(約35億円)に達する。この高コスト体質の企業を買収するとなれば、技術面で相当のプラスがなければ、買収候補として手を上げられまい。


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    ジム・ロジャーズ氏は、なぜか「世界三大投資家」として、メディアが取り上げている。それは過去の話である。現在は全くの外れっぱなしである。本欄は、ロジャーズ氏に対して冷めた評価を下してきたが一層、その感を深めるのである。

     

    ロジャーズ氏は、北朝鮮と韓国の将来性を高く評価し、返す刀で日本を滅多切りしている。「30年後は必ず没落」するから、最近は「20年後に必ず没落する」と没落期が10年早まった。東京五輪後は、没落とも言っている。

     

    こうした一連の「発言」が、データや国際情勢の子細な検討結果から出たものでなく、ただの「放言」に過ぎないことが分かる。北朝鮮の核という厳しい問題を棚上げして、北朝鮮の将来性を持ち上げ、韓国も発展すると根拠もなく発言する。極めつけは、韓国経済の将来性を見込んで、大韓航空株を大量に買付けたと広言(昨年1月)。明らかに、自らの発言力を利用した「株価操作」であったかも知れない。その後、大韓航空株がどうなったか。下落しているのだ。

     

    こういう経緯もあって、近頃は北朝鮮や韓国の有望性について発言することはなくなった。代わって強調しているのが「日本経済没落論」である。その根拠は、国債発行の増大である。だが、ロジャーズ氏はMMT(現代金融理論)という新しい金融論の登場を知らないようだ。米国で、日本の財政政策は最先端であったという理論構築が注目されている。米国やEUでは、このMMTにより政策の舵が変わるとの見解が登場。現に、今回のコロナ禍克服のため、多額の国債発行に踏み切っている背景に、このMMTの存在がある。

     

    要するに、ロジャーズ氏へこう言っては失礼だが、過去の輝かしい投資家の実績で、現状分析をせずに、当てずっぽうに発言を繰返しているのだ。それが、メディアに乗っているだけと言わざるを得ない。ロジャーズ氏の過去の実績を汚すものとして残念である。

     

    まず、過去の北朝鮮発言を見ておきたい。

     

    『マネー現代編集部』(2019年1月4日付)は、「ジム・ロジャーズ氏『北朝鮮バブルが来る、私は大韓航空株を買った』」と題する記事を掲載した。

     

    「朝鮮半島でいま北と南が経済開放したら、世界で最もエキサイティングな国になりますよ」。冒頭からそう切り出したジム氏は、いま最も注目しているのが北朝鮮の経済開放の動向だと明かした。ジム氏はその理由を次のように語る。

     

    (1)「中国との国境近くに7500万人の人々が住んでいますからね。北朝鮮には、安価で、高い教育を受け、訓練もされた労働者がいる。北朝鮮には自然資源も豊富です。韓国には資本が多くあり、専門家も多く居住している。北朝鮮では、すべての産業が成長する可能性があります。彼らはいい紙ナプキンもないし、椅子もないし、いい電気製品も、いいレストランも、いいビールもない。思いつくものはなんでも、いいものはないのです。しかし、彼らはそれらを欲しがっている。私は、大韓航空の株をすでに買いました。これから経済開放が実現すれば、韓国と北朝鮮間で旅行が盛んになると思うからです」

      

    ここでの発言には、明らかに過去の輝かしい投資実績を上げたロジャーズ氏の切れ味はない。この程度の話なら、市井の投資家の会話と違いはない。米朝の核交渉が過去にどのような推移を経てきたか。その厳しい経過についての認識がないのだ。ましてや、シンガポールでの米朝会談の失敗(2018年6月)を踏まえれば、こういう超楽観的発言は出ないはずである。

     

    皮肉な言い方をすれば、シンガポール会談失敗の後、大韓航空株の売り時期を探し、釣上げようとしたのかも知れない。ロジャーズ氏ともあろう百戦錬磨の投資家が、北朝鮮や韓国を買い被るとは、信じがたい話である。それほど違和感があることなのだ。

     


    現実の北朝鮮経済は、没落寸前である。めぼしい地下資源は、中国へ売却されていると見られる。2017年に始まった経済制裁で、中朝貿易量は激減している。特に輸入額が減っていることから、生活必需品まで枯渇している状況である。まさに、餓死寸前まで追い込まれている。この北朝鮮経済が復興するには莫大な資金が必要である。政治体制が安定しない国へ、投資する人間が現れるとは思えない。資本は、政治不安に超敏感である。

     

    ロジャーズ氏は、日本経済の20年後、30年後の没落論を唱えるセンスで、北朝鮮問題を見るべきだった。そうなれば、大韓航空株がすぐに値上りするという幻想を抱かなかったはずである。

     

    だいたい、20~30年のロングタームで一国経済を論じるならば、中国経済はどうなっているかだ。習近平氏の暴走政策によって、没落しているに違いない。市場経済を敵視して統制経済を展開している中国は、矛楯が激化して空中分解するか、海外への進出による摩擦熱(国際紛争勃発)で騒乱を招くという危機到来の公算が強い。ロジャーズ氏は、不思議に中国問題を避けている。彼の視野に、中国問題がないとは考えられない。それほどロジャーズ氏は、不可思議な存在になってきたのである。

     

     

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    4月中旬、韓国メディアは日本のコロナ感染者急増を嘲笑していた。詳しくは後で取り上げるが、その韓国で感染者急増の事態に見舞われている。現状での比較では、日韓どちらが防疫面で正攻法であったか。問われそうである。大口は叩くべからず、である。

     

    『ハンギョレ新聞』(6月20日付)は、「新規確定感染100人が10日続けば首都圏の病床いっぱいに」と題する記事を掲載した。

     

    「今すぐに重症患者を入院させられる病床は、京畿道には一つもない」。イム・スングァン(京畿道COVID-19緊急対策団共同団長)京畿道医療院安城(アンソン)病院長は最近、病床の心配で毎日やきもきしている。2日前までは京畿道に5つあった重症患者が入院可能な病床が、18日には0になった。

     

    (1)「19日午前0時までの24時間で、国内で59人の新型コロナウイルス感染症感染者が新たに確認され、このうち42人が首都圏での発生だった。首都圏での感染拡大傾向は落ち着く気配がない。1日当たり50人以上の新規感染者の確認は今月だけで5回目だ。そのうえ、首都圏を飛び越えて大田(テジョン)にまで流行が拡散している。18日までの大田の訪問販売業者や教会の集団感染の累積確定感染者数は25人にのぼる」

     

    韓国は、明らかに第二次感染期に入っている。現在(20日現在)の入院患者数は1237人である。日本は797人であるから、韓国の方が55%も多い。日本は、アビガンがあるので早期回復によって退院させられるのかも知れない。韓国は、このアビガンのニュースをフェイク・ニュース扱いして歯牙にもかけなかった。科学に対しては真摯に対応すべきなのだろう。

     

    (2)「5月末から首都圏で感染者が急増していることで、COVID-19流行の第2波を防ぐ「1次阻止戦」たる公共医療システムにも過負荷がかかり始めている。首都圏の公共病院のあちこちから悲鳴が上がっている。これを受け、中央災害安全対策本部(中対本)は17日、首都圏の病床などの医療資源を緊急点検する会議を開いた。首都圏で使用可能な重症患者用の病床は48床(17日現在)に過ぎない。最近、高齢の患者が増えたことで危篤や重症の患者も27人に増え、重症患者用の病床の確保に赤信号が灯っている。一般病床も十分ではない。首都圏の感染症専門病院に確保された1769床のうち、空いているのは959床だ。首都圏で新規感染者が1日に100人確認されることが10日続いただけで、残りの病床は埋まってしまう」

     

    首都圏で使用可能な重症患者用の病床は、48床(17日現在)に過ぎないという。最近は、高齢者の患者が増えており、重症化が懸念されている。首都圏の感染症専門病院に確保された一般病床1769床のうち、空いているのは959床にすぎない。首都圏で新規感染者が1日に100人確認されることが10日続いただけで、病床は満杯になる。医療崩壊が現実化するのだ。

     

    韓国が、あれだけ自慢した「K防疫モデル」は、いまやこの始末である。自慢はほどほどにしておくべきだったのだ。この韓国が、2ヶ月前に日本を嘲笑して次のような報道をしていたのである。

     


    『中央日報』(4月20日付)は、「日本感染者1万人、何も聞かずに順応する日本社会が呼んだ国家危機」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「世界が訝しく思っているように、東京オリンピック(五輪)を意識して感染者を確認することに消極的だったのか、五輪延期が決まった途端に感染者が急増した理由は何か、なぜ世界で唯一日本だけが検査をちゃんとしていないのか、能力が問題なのか意志が問題なのか、アベノミクス成果のためにコロナ対応に消極的だったのか、国民に対する現金給付対策を変える名分づくりのためにしかたなく緊急事態宣言を全国に拡大したのではないか等々に対する急所を突いた質問や誠意のある回答はなかった」

     

    今振り返っても、頓珍漢な記事である。日本のPCR検査数が少ないことをヤリ玉に上げて、「能力が問題なのか意志が問題なのか」とまで、酷評している。日本の防疫モデルが正解であったのは、病院に殺到するのを防止すべく、①体温37.5度以上の状態が、②4日以上続くという枠をはめたので医療崩壊を防げたのである。これにより、病床を確保して重症患者を100%受入れられる「余地」をつくっていたのだ。

     

    日本では、コロナ重症患者の7~8割を生還させられたが、米国は3割程度という。この日米の差こそ防疫対策としての基本を守った結果である。日本では、感染者が放置されているとの批判も当らなかった、最近の東京や大阪の抗体検査では、過去にコロナにかかった人の比率は、0.07%(東京)と圧倒的に低い数値だった。

     

    現実に、日本人は新型コロナウイルスに罹患しなかったのである。その理由は、①手洗いの励行、②三蜜回避、③クラスター把握のために保健所がフル回転した、など他国にない防疫システムが機能したのである。世界の奇跡である。

     

    (4)「4月7日の会見で、「コロナ対策が失敗だと判明したら責任を取るか」と安倍氏を厳しく突いたのは、たどたどしい日本語のイタリアメディアの記者だった。また、3月28日の会見で「日本だけ感染者数が少ないが、何か奇跡でも起こったということか」と言って低調な検査実績を正面から問題視したのはインターネットメディアのフリーランサー記者だった。このように日本社会が本質的な問題に背を向けている間に、感染者は1万人を超えた。19日午前0時基準でクルーズ船乗船者(712人)を含めて1万1145人、死亡者は237人となっている。日本の人口(1億2647万人)のほうが多いので直接的な比較は難しいが、感染者と死亡者数は韓国を上回った」

     

    余り「日本人論」を振りかざしたくない。「日本だけ感染者数が少ないが、何か奇跡でも起こったということか」という疑問か起こるほど、日本人は古来、清潔をモットーとする民族である。礼儀・清潔・整頓・控え目などが「奇跡」を生んでいるのだろう。油断は禁物だが、他国に比べれば、飛び抜けたパフォーマンスである。

     

    (5)「弱体野党と従順なメディア、葛藤よりも安定を求める順応的な国民性のおかげで7年4カ月を巡航してきた安倍内閣が新型コロナという強敵に出会い、このように迷走している。単に安倍政権だけでなく、日本全体も一緒に遭遇した危機という点でその波紋が小さくないようだ」

     

    この記事は、2ヶ月前である。韓国の勝ち誇った姿が読み取れる。韓国のような民衆デモをすぐにやる日本ではない。自信があるから落ち着いて対応したのだ。韓国人は、日本を理解できないからすぐに「反日」をやる。日本社会の本質を理解すべきなのだ。

     

    誤解を恐れずに言えば、日本は未だに武士道精神が生きているのだろう。韓国のような「両班」(ヤンバン:特権階級)を羨望する社会と異なり、心の底に「諦観」が存在する。諦めでなく、「真理を観察する」という落ち着きである。武士道に由来するものだ。


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    北朝鮮が、南北合同連絡事務所を爆破するなど破壊的な行動に出ている裏で、過去に例のない経済危機に直面していることが分かった。経済制裁と、コロナ禍による中朝国境の封鎖が、北朝鮮経済を根本からひっくり返した。

     

    悪いことに、文大統領は北側へ実現の難しい話を、さも実現可能のように言った節がある。金正恩国務委員長は、それを真に受けたのだ。その怒りも加わっている。南北のトラブルは、簡単に収まりそうにない。文氏がライフワークとした南北問題は、未解決のままに終わるだろう。日韓問題もダメ。南北問題もダメ。国内経済問題もダメ。文大統領は、「三つのダメ」で、「落第」が確実となった。

     

    『ハンギョレ新聞』(6月19日付)は、「今年の朝中貿易90%減、北朝鮮 制裁とコロナ禍で『経済危機』が深刻」と題する記事を掲載した。

     

    この記事は数字が多い。これが苦手な方は、私のコメントだけ読んでいただいただけで、北朝鮮経済の最悪事態が把握可能と思われる。

     

    (1)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態発生後の朝中国境封鎖などにより、今年1~5月の北朝鮮の中国に対する輸出と輸入がほぼゼロになっていることが明らかとなった。北朝鮮に対する経済制裁が本格化した2017年以降、朝中貿易がほぼ崩壊状態となっていた上、コロナ禍まで重なる二重の複合危機に見舞われ、北朝鮮経済は経済活動に必要な必需物資の輸入が途絶えるなど、麻痺の危機に陥っているという分析が出ている」

     

    2017年以降、北朝鮮への経済制裁が始まってすでに3年経過した。今年1~4月の中朝貿易は、ほぼゼロである。主要物資の過半を中国へ依存している。貿易ゼロは、北朝鮮経済への「死刑宣告」に等しい。

     


    (2)「18日に韓国貿易協会と中国海関(関税庁)の資料によると、北朝鮮製品の中国市場への輸出額は、今年1~2月に1070万ドル(前年同期比-71.7%)、3月に60万ドル(-96.2%)、4月に220万ドル(-90.0%)と大幅に減少している。すでに北朝鮮の対中国年間輸出額は2016年の26億3440万ドルから、経済制裁が本格化した2017年には16億5070万ドル(-37.3%)まで減少。2018年には1億9460万ドル(-88.2%)、2019年には2億850万ドルに減少し、2016年に比べて10分の1以下となっている。2017年以降、輸出が年々大幅に減少していたのに続き、今年に入って国境封鎖により完全に遮断されたかたちだ。ハンギョレ新聞が韓国国内の複数の北朝鮮経済専門家に聞いたところ、今年5月の対中国輸出はほぼゼロ水準を記録したことが分かった」

     

    北朝鮮製品の中国市場への輸出額推移

    今年1~2月 1070万ドル(前年同期比71.7%減)

    3月   60万ドル(同96.2%減)

    4月  220万ドル(同90.0%減)

     

    2016年     26億3440万ドル

    2017年     16億5070万ドル(37.3%減) 経済制裁が開始

    2018年      1億9460万ドル(88.2%減)

    2019年      2億0850万ドル

     

    上記のデータを見れば、北朝鮮経済が極貧状態に追い込まれていることが分かる。

     

    (3)「北朝鮮経済の全体的な活動や運営と関連し、さらに状況が悪いのは輸入のほうだ。北朝鮮の中国製品(原材料、エネルギー、食糧など)の輸入額は、2016年の31億9200万ドルから、対北朝鮮制裁発動後の2017~2019年には22億1710万ドル~33億2800万ドルと、輸出の急減に比べれば相対的に堅調だった。事実、対北朝鮮制裁が主に北朝鮮当局のドル確保の遮断に集中するなど、輸出制裁を狙っているため、民生経済と密接な関連のある商業的輸入は、原油をはじめいくつかの製品を除いては、強力な制裁の対象から外れている」

     

    北朝鮮の中国製品(原材料、エネルギー、食糧など)の輸入額

    2016年       31億9200万ドル

    2017~2019年  22億1710万ドル~33億2800万ドル

     

    対中国の輸入額は、経済制裁の始まる2017年~19年の3年間でそれほどの落込みではない。民生経済品目で制裁対象の対象でない結果である。

     


    (4)「コロナ禍が発生した今年は急転。今年に入り、中国製品の輸入額は1~2月(1億9720万ドル)で前年同期比-23.2%を記録したのに続き、3月には1800万ドル(-90.8%)、4月には2180万ドル(-90.0%)を記録した。対中国輸出入総額は2019年に28億ドルと、2016年(58億ドル)の半分以下に減少している」

     

    北朝鮮の中国製品の輸入額

    今年1~2月 1億9720万ドル(前年同期比23.2%減)

    3月   1800万ドル(同90.8%減)

    4月   2180万ドル(同90.0%減)

    2016年 58億ドル

    2019年 28億ドル

     

    輸入額の減少は急激である。北朝鮮経済が正常に活動しないことを表わす。日常生活に事欠く状態であることを示唆するものだ。

     

    (5)「韓国開発研究院のイ・ソク先任研究委員は、最近発行の「北朝鮮経済レビュー」5月号で、「2017年以降、経済制裁の影響で朝中貿易額はすでに急激に落ち込んでいる状態にあるうえ、今年に入って新型コロナによる国境封鎖で事実上両国の貿易はほぼ完全に遮断されている。特に北朝鮮の経済運営に必要な各種物資の輸入が遮断されていることに注目しなければならない」と指摘した」

     

    2017年以降の経済制裁で、中朝貿易は縮小した。さらに今年に入ってのコロナ禍がトドメを刺した。

     

    (6)「今年3月の北朝鮮の中国産製品の輸入上位5品目をみると、食用油、小麦粉、織物、タバコ、医薬品となっており、これら消費型製品の輸入額は前年同期比で-13.2%~-70.8%となっている。同研究院は「北朝鮮経済は経済運営に必要なほぼすべての基本物資を中国産の輸入に依存しているが、石油などのエネルギーから食糧、生産に必要な機械、原料、各種部品の輸入がほぼ途絶えている」とし、「対北朝鮮制裁と新型コロナのショックが同時に発生し、深刻な経済危機に直面している」と診断した」

     

    今年3月に入って、石油などのエネルギーから食糧、生産に必要な機械、原料、各種部品の輸入がほぼ途絶えている。この状態では、国家崩壊である。金ファミリーは、八つ当たりしてどこかを血祭りに上げない限り、国内に説明がつかない状況へ追い込まれている。国内経済正常化には、コロナ禍の沈静化が前提だ。問題は、それがいつになるか、である。

     

    ただ、韓国と全面衝突の形であるから、短期の収束は困難であろう。次期大統領の就任する2022年5月以降が、話合いムードが訪れるとしても肝心の北朝鮮経済がそれまで保つかだ。


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    中国の習近平国家主席は、2022年の国家主席3期目選出を確実にするため、周辺国への侵略を臆面もなく進める準備に余念がない。日本の海上保安庁の役割を担う「海警局」が、人民解放軍と合同訓練するなど軍事力強化に着手した。

     

    中国経済が、いよいよ難しい局面に差し掛かっている。その弱点を、領土の外延的拡張で隠そうという、独裁者共通のカムフラージュ戦術を取り始めた。厳重警戒が必要だ。中国は、凶暴化し始めている。いつ尖閣諸島に魔手を伸すか分からない、そういう緊迫感を保つ必要がある。

     

    それにしても、戦前の日本とほぼ同じ軌跡で軍拡に動いている。習近平氏は、東条英機である。満州侵略から南方への戦線拡大を指揮したが、背景には深刻な日本経済の不況があった。溢れる失業者を救済するために軍需工業を拡充し、やがて開戦へと突き進んだ男である。

     

    中国の現状は、まさにこの局面である。国内の失業者増大を食い止める術がないのだ。頼みの対米輸出は、米中貿易戦争で拡大不可能。それだけでない。米中デカップリング論の現実化。コロナのパンデミックで国内経済はガタガタである。建国以来の危機である。失業者増加は、共産党の信認を脅かす。こうなったら、海外で危機をつくりだして愛国心を高めて不満を外へ逸らすほかない。東条英機が、若手将校から突き上げられて開戦に踏み切る状況に似てきたのだ。だから、危険な兆候が高まってきたと見るほかない。

     


    『日本経済新聞 電子版』(6月20日付)は、「中国海警局、軍と融合加速、法改正で平時から共同訓練」と題する記事を掲載した。

     

    中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が日本の海上保安庁に相当する組織である海警局の役割を強化する。中国軍と連携し、平時から軍と共同訓練をできるようにする。戦時は軍の指揮下に入り一体的に運用する。海警局と軍の融合が進めば周辺国にとって脅威となる。海警局の船は南シナ海のほか、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の周辺海域でも活発に活動し、海保の巡視船とのにらみ合いが続く。近年は機関砲などを積む船もあり、日本側は警戒感を強めている。

     

    (1)「中国の国会に相当する全国人民代表大会の常務委員会で20日、人民武装警察(武警)法の改正を採決し成立した。武警法の改正は2009年以来11年ぶり。中国国営の新華社が伝えた。改正法によると「戦時」と判断した場合、武警は習近平国家主席が率いる中央軍事委員会か、中国内で5つある中国軍の「戦区」の指揮を受ける。武警の一部である海警局にも同法を適用する。戦時は軍と海警局の船が一体で動き、軍事作戦にも参加する。平時も軍との共同訓練や演習、緊急救助などを実施する。軍との融合を進め、海上での警備から軍事活動までを境目なく円滑に対応できる態勢づくりが狙いとみられる」

     

    周辺国との騒乱を引き起す準備を始めている。先ず、手始めに海警局を使って衝突させ、劣勢になれば人民解放軍が全面的に出てくる戦術であろう。中国の手の内は透けて見えるのだ。

     

    (2)「改正法には武警の任務として「海上の権益保護と法執行」も盛り込んだ。これまで武警は治安維持や重要インフラの警備といった陸上任務がほとんどだった。60~70万人の人員を擁するとの見方がある。今後は海上警備任務にも人員を振り分ける可能性がある。海上での法執行任務で一定の条件で、武器の使用を認める規定も新たに設けた。海上警備を妨害した場合などは刑事責任を追及できるとした。18年7月の機構改革で海警局を中央軍事委の指揮下にある武警に編入した」

     

    海警局は、18年7月に中央軍事委の指揮下にある武警に編入されている。日本の海上保安庁が、海上自衛隊の組織に組み込まれるような話だ。日本は、完全に分離されているが、中国は一体化してカムフラージュさせる狙いだ。偽装である。

     

    (3)「米国との海洋覇権を巡る争いを視野に、海警局を取り込んで海洋での軍事能力の底上げを狙った措置との見方がある。尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海を巡る問題を抱える周辺国にとっては懸念が高まる。南シナ海ではベトナムやフィリピンなどが中国と領有権を争う。中国は南シナ海のほぼ全域で権益を主張し、軍事拠点の建設などを進めて実効支配を強めている」

     

    南シナ海では、海警局の船舶を武装化させて強硬手段で占領するだろう。人民解放軍が先頭に立てば、米海軍の介入を招く。そこをかいくぐって、理屈をつけて侵略する手はずであろう。それにしても、こういう無益なことになぜ、国運を賭けるのだろうか。習近平なる人物は、悪い夢を見過ぎている。

     


    (4)「海警局の船の活動は尖閣諸島周辺でも活発だ。日本の領海のすぐ外側にあたる接続水域での航行日数は6月20日時点で4月14日から68日連続。12年9月の尖閣国有化以降で最長を更新した。5月8日には尖閣周辺の領海に侵入し、日本漁船を追尾した。河野太郎防衛相は「機関砲を積んだ船が恒常的に複数入ってくる状況だ」と指摘し、海警局の船の武装化を懸念する」

     

    中国軍部は内々で、日本に侵略された恨みを絶対に忘れず報復するとしている。「中華の再興」とは、報復を意味するのだ。これを忘れると、日本は痛い目に遭う。習近平氏は、民族主義者である。侵略を正当化できる人間だ。この点が、極めて危険である。

     

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