勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    a1180_012431_m
       

    韓国大統領府は、あらゆる政策が素人集団によって決められる希有の組織である。韓国の大統領制が招いた欠陥である。各省庁にはむろん専門家がいる。だが、大統領府の秘書官は、大統領の指名で集められた人たちである。人縁で集まってきた「お仲間」である。

     

    文大統領は、学生運動家上がりである。その縁で「勉強」よりも「運動」という学生生活を送った人たちが、大統領府で「専門家」として政策を決めている。これでは、まともな結論など期待できるはずがない。学生運動を共にした仲間が、『ハンギョレ新聞』のコラムで、これら秘書官を痛烈に批判したことがある。「不勉強も甚だしい民族主義者」というのだ。国民・国家が最大の被害者になる。

     

    『韓国経済新聞』(10月7日付)は、「韓国経済専門家ら成長生態系崩れる『このままではL字型沈滞』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の経済専門家は今年または来年を基点に韓国が年1%台の低成長局面に進入する可能性が高いと診断した。彼らは韓国政府が規制改革を通じ「起業しやすい環境」を作る形に政策方向を変えなければ、「L字型長期沈滞」は避けられないと警告した。

    (1)「韓国経済新聞は6日、専門家11人を対象に緊急電話インタビューとアンケート調査をした。その結果、高麗(コリョ)大学経済学科の田炳憲(チョン・ビョンホン)教授ら6人(55%)が「今年と来年の経済成長率は1%台にとどまるだろう」と予想した。残りの5人も「来年も景気が回復するのは容易でないだろう」とみた」

     

    ここで上げた専門家は、いずれも韓国で著名な経済学者という。その学者による経済診断では経済成長率「1%台」のL字型の経済を余儀なくされるという。これでは、失業率はさらに高まるという危険ゾーンに落込むであろう。この状態で「反日不買」を続けるのだろうか。意気消沈して気勢は上がるまいと同情する。

     

    (2)「経済専門家が、今年と来年の成長率を1%台と予想した理由として、①設備投資減少、②消費萎縮の兆し、③米中貿易紛争など対外環境悪化などを挙げた。景気回復時期を来年と2021年とする回答者は1人ずつにとどまり、残りの9人はL字型沈滞が続くと予想した。西江(ソガン)大学の金秉柱(キム・ビョンジュ)名誉教授は「外であれ中であれ景気を反騰させるほどの要因はひとつもみられない」と話した」

     

    今年と来年の成長率を1%台と予想した理由は3つ上げている。

    設備投資減少

    消費萎縮の兆し

    米中貿易紛争

    これら3項目は、GDPの主要需要項目であり、すべて「不調」という判断だ。残りは財政支出関連だけである。「バラマキ」によって維持するのだろう。

     

    (3)「8月と9月の連続で「マイナス物価」を記録して起きたデフレーション(景気低迷の中での物価下落)への懸念に対しては回答者の91%に当たる10人が、「初期段階に進入したり進入の可能性を排除することはできない」と答えた。西江大学の趙章玉(チョ・ジャンオク)名誉教授と同大学経済学部のチェ・イン教授はさらに踏み込み、「構造的デフレ局面に進入する様相」と診断した。消費萎縮が続き物価を引き下げる圧力が高まるだろうという判断からだ」

     

    生産者物価と消費者物価が8~9月、同時にマイナスへ落込んだことは、偶然の現象でなく需給関係が著しく悪化している証拠である。需要不足によって引き起こされたものだ。最低賃金の大幅引上げによる雇用構造の破壊が、家計を直撃して消費支出を抑制している結果である。これは、文政権の政策ミスであり、大統領府の素人スタッフの思いつき政策によるものだ。

     

    (4)「相当数の専門家は1%台の成長率の原因として経済政策の失敗を挙げた。ソウル大学経済学部の李承勲(イ・スンフン)名誉教授は「賃金引き上げ、雇用保障などのような聞き心地の良い緒政策を実体経済に適用して副作用を大きくした。こうした政策が韓国経済の足を引っ張っている」と話した。内外で不確実性が浮上し企業の投資心理が冷え込んでいることも成長率をむしばんでいるという評価が多かった」

    文政権は、基本的に「反企業主義」である。企業へ規制を強めることが、消費者にプラになるという誤った観念に支配されている。規制を外して企業に自由な意思決定させるという政策理念が分らないのだ。これでは、文政権が続く2021年5月まで政策変更はあり得ない。

    118
       

    10月1~7日までの大型連休中の消費額は、8.5%増と昨年比1.0ポイントの下落となった。国内の低調な景気動向を踏まえ、国民の財布の紐は固くなっている。政府は、この不調をカバーすべくインフラ投資に局面打開の役を担わせている。最後の頼みの綱は、やっぱり消費よりもインフラ投資となってきた。

     

    中国政府は、消費が経済を支えているとカムフラージュしている。民間消費と政府消費を合計して「民間最終消費」で発表している。これが、60%近いと称して「先進国並」を吹聴している。個人消費だけでは40%ほど。極端に低いのだ。この中国経済が、安定的に成長できるはずがない。騙されてはいけないのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月7日付)は、「中国国慶節の消費鈍く、小売り・旅行とも伸び悩み」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「10月1日に始まった中国の国慶節(建国記念日)を祝う大型連休が7日に終了した。商務省が同日発表した期間中の国内小売・飲食業の売上高は前年同期比8.5%増の15200億元(約228000億円)と、2018年(9.5%増)に比べ伸び率が鈍化した。景気減速を背景にした消費者の節約志向や人民元安の影響で旅行者数も伸び悩んでおり、国慶節消費にも減速感が漂う」

     

    今年の国慶節の連休では、前年比8.5%増で昨年よりも1%ポイントの低下になった。

     

    (2)「現行統計を始めた10年から伸び率は9年連続で低下した。中国の大型連休のうち、12月の春節(旧正月)は帰省先で過ごす人が多いのに対し、国慶節は国内外へ旅行に出かける傾向が強い。内陸部の青海省。人気観光地は4日、多くの人でにぎわっていた。ただ、ツアーを企画した旅行会社の社員は「観光客で一日中行列が続くと思っていたが、途切れる時間帯もあり、想定より客数は伸びなかった」と表情は晴れない」

     

    米中貿易戦争の影は、中国経済に重くのしかかっている。雇用不安が発生しており、消費への影響はダイレクトである。また、高騰した住宅を購入して、家計は多額の債務を抱えている。これが、個人消費を減らす大きな要因だ。

     

    (3)「文化観光部によると、期間中の国内旅行者数は78200万人と前年同期より7.8%増えたが、18年(9.4%増)から伸び率は低下した。元安の影響もあって海外旅行も伸び悩んだもようだ。上海市の女性会社員(29)は「昨年の国慶節は欧州を旅行したが、今年は上海で過ごした」と語る。長引く抗議デモの影響で、例年は人気旅行先の香港は大きく落ち込んだ。香港の入境管理局によると、国慶節期間中の出入境者数(予測ベース)は1日あたり737千人と前年比25%減となった。80万人を下回るのは9年ぶり。中国本土からの旅行客の減少が響いたとみられる。中国政府は8月以降、台湾への個人旅行も停止している。受け皿になったとみられるのが日本だ。アリババ集団傘下で電子決済「アリペイ」を手がけるアント・フィナンシャルによると、期間中の海外でのアリペイの取引件数は日本がタイや韓国などを抑えて初めてトップとなった」

     

    元安の影響は、海外旅行にブレーキ役になった。その中で、日本は距離が短いこともあり、ビザ取得状況では4人が1人は日本旅行となっていた。電子決済「アリペイ」を手がけるアント・フィナンシャルによると、期間中の海外でのアリペイの取引件数は、日本がタイや韓国などを抑えて初めてトップとなった。事前予測通りの結果である。

     

    (4)「一方、低迷が続いた映画は愛国心に訴えた作品が人気を呼び、復調した。調査会社の芸恩諮詢(エントグループ)によると、期間中の興行収入は40億元(約600億円)を超え、前年同期の19億元から大幅に増えた。中国建国70年の歩みを題材とした「我和我的祖国(私と私の祖国)」が大ヒットしたことが要因だ」

     

    映画が久しぶりで増加に転じた。中国建国70年記念映画が大ヒットというが、多分、割り当てで動員されたのであろう。映画が不振であったのは、国民生活が厳しいことの反映とみるべきだ。

     


    a0960_008729_m
       


    香港のデモ騒動が、警官隊の実弾発射によって新たな危機段階に入った。中国人民解放軍も、介入を臭わせる警告をしており、いつでも実力行使に出てくる環境整備は終わったようだ。問題は、この軍事行動で何も解決しないことである。中国自身が新たな苦悩を背負い込む危険性の方がはるかに大きい。中国は、真の危機を招くだろう。

     

    『大紀元』(10月7日付)は、「香港こそ中国共産党の最大の悩み」と題するコラムを掲載した。筆者は、ジェームズ・ゴーリー(James Gorrie)氏。カリフォルニアに拠点を置く作家兼講演者で、「The China Crisis」の著者でもある。

    (1)「中国共産党を痛めつけているのは貿易戦だけではない。香港こそ中国共産党の最大の心配の種だ。これにはいくつか理由がある。もし、香港が中国軍によって「軍事的に征服」されたなら、貿易戦によって製造業が中国から離れるのと同じように、外国の金融ビジネスも他のもっと安全な場所へと移るだろう。これに対し、米国と他の欧米諸国は香港の特別経済地区としての資格を剥奪するだろう。つまり、中国がとても頼りにしている、香港のアジアの金融ハブとしての利点は全て失われる」

     

    中国人民解放軍が介入すれば、「香港・天安門事件」になる。先進国は、中国との経済関係を一時的に閉鎖するだろう。中国にとっては、「経済的な死」に相当する衝撃を受けるはずだ。

     

    (2)「そうすることによって中国共産党は、ロンドンをも超える証券取引所(注:香港証券取引所)を持つ、中国と世界をつなぐ金融ゲートウェイを破壊してしまう。また、不動産の価格が暴落し、金融サービスや他の利益の高いビジネスが香港を放棄することで、とてつもない富が消えることになる。中国は1989年の天安門事件の後も生き残ることができたが、それは欧米諸国の経済が中国によって空洞化される前のことだったということを中国共産党は認識すべきだ。今日の香港でもし大虐殺が起きたら、中国と欧米諸国との貿易関係は現在よりはるかに悪化するだろう」

     

    香港は、中国のショーウインドーである。中国は、香港という存在でどれだけ経済的な利益を得ているか分らない。それにも関わらず、香港の自由を奪ってさらなる利益を得ようと画策している。それは、中国の死を意味することを弁えていないのだ。鄧小平が、「一国二制度」にした理由は、遅れた中国の社会制度を立て直す時間的ゆとりを得るためであった。それを忘れて、性急な香港の「中国化」は自殺行為である。同時に、香港移譲を取り決めた英国と中国との条約違反である。

     

    (3)「アメリカのグローバル・リーダーシップよりも、中国の経済発展モデルの方が良いと世界を納得させることが、中国の大きな計画だった。中国の経済発展モデルが21世紀の青写真となるはずだった。欧米型の共和民主制は国家主導の経済と一党独裁に取り替えられる。これは、中国が過去20年間に渡り世界に発信してきたメッセージだ。実際、この中国の経済発展モデルのグローバル化を通して、中国は一帯一路と中国製造2025計画を進める予定だった。一帯一路は発展途上国から天然資源を盗み、中国製造2025は先進国から技術を盗むためのものだ。中国共産党は中国を世界の次の、そして唯一の覇権国にしようとしている」

     

    中国は、自らの経済システムが欧米型の経済システムよりも優秀であると喧伝してきた。それは、GDP成長率がこれまで高かったことを根拠にしてきた。だが、香港で躓けばすべては終わる。香港という「ショーウインドー」が粉々になれば、中国は輝きを一瞬のうちに失うからだ。

     

    (4)「しかし、中国の逃亡犯条例に対する香港の抗議デモにより、中国の経済発展モデルの神話は打ち砕かれた。欧米の資本主義を取り入れている香港の人々は、中国の経済発展モデルではなく、香港こそがこれからの中国の富にとって大事であることに気づいている。もし中国共産党がデモ隊を攻撃するなら、中国の経済発展モデルの幻想は今よりさらに早く消えるだろう。香港金融の崩壊によって影響を受けるのは、中国共産党の計画や、香港と外国の人々だけではない。中国共産党の党員たちが普通の人ではなく、億万長者だということを忘れてはならない」

     

    下線を引いた部分は重要である。香港は、中国の「金の卵」である。中国が経済発展できたのは、香港という「窓口」(ショーウインドー)があったからこそ可能であったのだ。中国共産党が香港デモ隊へ発砲することは、自らの運命を閉じるに等しい行為である。香港金融システムの崩壊は、中国共産党・上層党員にとって資産運用の場を失うことでもある。

     

    (5)「共産党の億万長者たちはアジアの他の国、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカ、そしてカナダに不動産や家族がいる。香港や欧米諸国の金融機関に何百万ドルもの党員たちの財産があることは確かだ。共産党に忠誠を示すために、彼らはどれだけの資産を失う覚悟があるだろうか。中国共産党という船と一緒に沈んでもいいという党員はどれだけいるだろうか。自分の財産が共産党での地位のおかげであり、また共産党が欧米諸国から金融支援を受けてきたおかげであることを、全ての党員は知っている。そして彼らは中国の富の大部分が幻であることも知っている。そうでなければ、何兆ドルものお金が年々中国から離れるのではなく、中国に残るはずだ」

     

    香港という「金の卵」が潰れれば、中国共産党員の忠誠心も失われるだろう。党員利益は、経済的特権の享受である。香港の繁栄は、これと深く結びついている。

     

    (6)「人民解放軍が今まで行動を起こさなかったのは、財産を失うことと、それによってもたらされる全てのことを恐れているからだ。香港で何をするか、または何をしないかという決断が、中国共産党の将来を左右することに気づいているのは習近平氏だけではないはずだ。さらに、抗議デモが長引くにつれて、中国の経済発展モデルの幻が消えていくことになる」

     

    中国共産党は冷静になって考えれば、香港での武力行使が天に唾をするようなことである。だが、香港でのデモが続けば中国共産党の内外における権威は地に墜ちるばかりだ。中国が、欧米の政治経済システムよりもすぐれていると宣伝してきた過去は、現在の香港デモで大きく揺さぶられている。香港デモを弾圧すれば、取り返しのつかない返り血を浴びる。進退に窮したと言うべきだろう。

    a0960_004876_m
       

    現代自動車の外部諮問委が、2025年までに従業員の40%削減案を提示した。理由は、EUでの内燃機関車の製造中止である。「労働貴族」の象徴とされる現代自労組には厳しい人員削減案になりそうだ。ただ、労組側も事情を認識しており、最大限20%削減案を主張している。企業側は20%削減案が最小限としており、40%削減案が登場した背景である。

     

    気候変動枠組み条約のパリ協定に基づき、オランダなどでは内燃機関の自動車販売が、2025年から中断される。韓国政府も今年末にエコカーロードマップを発表し、電気自動車・燃料電池車量産計画を明らかにする予定だ。内燃機関中心の現代車の労働組合員は、具体的な対応もなく闘争だけを続ける場合、長期的には職場を失うという心配が浮上している。こうして、エコカー生産工程への準備をしようという意見が組合員の中から出てきたという。

    労使が問題の重要性を認識し始めた。ただ、労働組合は20%削減案を「最大値」と見なしている。使用者側は、20%削減案を「最小値」と見なして対立している。また、労働組合の内部でも意見が分かれている。パワートレインなど内燃機関の核心部品を担当する部門では、生産人員減案に強く反発しているという。

     

    『中央日報』(10月7日付)は、「現代車労使に警告、人員40%削減しなければ共倒れ」と題する記事を掲載した。


    「人員の40%を削減しなければ共倒れになる」。現代自動車外部諮問委員が最近、労使双方に出した警告だ。自動車産業の急変、生産工程の自動化などで現代車も人員削減が避けられないということだ。

     

    現代自労使の苦悩は、世界の自動車産業共通の悩みである。日本は労使関係が円滑であるから、現代自のような悩みはないが、いかに雇用を守るかという点で共通している。

    (1)「内燃機関の自動車を主に生産してきた現代車はその間、変化を拒否する労働組合と変化を図る使用者側が対立してきた。しかし昨年8月、雇用安定委員会が構成され、労使が共にエコカー対策に着手しながら変化が始まった。その結果として現代自動車の労使は2025年までに生産人員を20%ほど削減する案について共感した

     

    労組側も2025年までに20%削減案を認めた。だが、問題はそれで済まない点である。現代自動車外部諮問委員は、40%削減でなければ「労使とも倒れ」と警鐘を打っている。上積みの「プラス20%」は、大変な騒ぎとなろう。

     

    (2)「諮問委の関係者は6日、「労使がコンセンサス、すなわち共通認識をしたのは、生産人員を2025年までに20%ほど削減するのが避けられないという点」とし「具体的な削減人員の数を定めたわけではないが、労働組合が人員削減を受け入れたという点で意味がある」と述べた。算術的に現在5万人の国内生産人員を1万人ほど減らす案について労使双方の意見が一致したのだ」

    労使の共通認識で、人員削減で一致した。これまでの戦闘的な現代自労組が、同意したことは、事態の深刻さを把握している結果だ。

     

    (3)「雇用安定委員会の構成以降、労使は人員削減規模をめぐり対立してきた。労働組合は2025年までに生産職1万3500人が退職するだけに、これだけを補充すべきだと主張した。使用者側は「電気自動車や燃料電池車に自動車産業が移行しているため新規補充はない」と強硬な立場を見せた。議論が進められながら労働組合も人員減少を受け入れ、使用者側も電気自動車、燃料電池車生産への過渡期上の必須人員を考慮して折衷案を探した。特に労働組合が変化を認めたことは、自動車産業の変化に歩調を合わせなければ遅れを取ると判断したからだ」

     

    パリ協定という大義名分には、現代自労組と言えど異議を申し立てられない。受入れるしかないのだ。


    (4)「電気自動車や燃料電池車はエンジンと変速機が必要なく、内燃機関に比べて部品数も減少する。さらにモジュール化が進み、生産工程に必要な人員も減る。労働組合はこうした要因を考慮し、2025年までに5000-7000人の雇用減少を見込んでいる。外部の環境変化を無視すれば雇用の危機を迎えるという悩みもある。使用者側は電気自動車・燃料電池車への転換を積極的に推進するという立場であり、双方が対立する可能性は残っている。使用者側は2025年までにエコカーを年間45万台まで生産することを計画しているが、これをさらに増やす計画だ」

    エコカーが、ガソリン車の売上減をカバーしてくれればスムースに移行できる。肝心のEV(電気自動車)は、蓄電池の性能改善とコスト引き下げがカギを握っている。今後、数年間に劇的な改善が進むとは期待できないのだ。そこで、浮上するのがHV(ハイブリッド車)である。現代自にはその技術がない。トヨタとホンダが、世界の独壇場になっている。

    a0960_006602_m
       

    下記の目次でけさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    北のSLBMで事態急変

    GSOMIAへ足慣らし
    日韓対立で損をする韓国

     

    北朝鮮が10月2日、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射したことを受けて、韓国のGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄問題がクローズアップされている。SLBMは、発射地点や発射の兆候が分かりにくく迎撃が難しい厄介なミサイルだ。こうなると、軍事情報把握はより広角が求められる。韓国は皮肉にも、GSOMIAの役割が一層、大きくなってきた。

     

    GSOMIAは、2016年11月23日から発効した。韓国側では当初、北朝鮮に対する情報源の拡大という意味で期待をかけていた。具体的には、今回の発射実験で成功した北のSLBMへの対抗措置であったのである。

     

    「GSOMIAは、北朝鮮が開発している潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)への対応にも効果的だ。北朝鮮が慶尚北道星州(ソンジュ)に配備される高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の迎撃範囲を避けてSLBMを発射するには、独島(ドクト、日本名・竹島)近隣まで潜水艦を送る必要がある。その場合、日本の海上哨戒機(P-3C)77機と潜水艦に探知される可能性が高い」(『中央日報』2016年11月23日付)としていた。

     

    北朝鮮のSLBMが試射に成功したので、韓国はGSOMIAが本格的にその役割を果たすはずだった。その矢先に、韓国がGSOMIA廃棄では、感情論の誹(そし)りを免れない。米国が、この決定に強く反発しているのは当然である。

     

    米国は、GSOMIAを軸にして日米韓三ヶ国の軍事情報インフラを強化して、東アジアの安保体制強化を狙ってきた。その足下で、韓国がGSOMIAを廃棄することは想像外の事態であろう。

     

    北のSLBMで事態急変

    韓国と米国が、安全保障上の主要懸案を調整する協議体として9月26、27両日、統合国防対話(KIDD)第16回会合がソウルで開催された。米国は、韓国が日本とのGSOMIA終了を決めたことで、改めて懸念を表明した。韓国国防部によると、米国側はGSOMIA終了が日米韓の安保協力に影響を及ぼすとの懸念を示した。韓国側は、これまでの立場を再度伝達したという。日本政府が対韓輸出規制強化を撤回すれば、GSOMIA終了決定を再検討するとの立場を強調したものだ。

     

    韓国国防部関係者は、「米側の懸念は(GSOMIA終了により)、日米韓の安保協力が弛緩するのではないかというところにある」とし、「今回の会議の焦点は、日米韓安保協力を持続して推進していくという米韓の立場は強固だというところにある」と伝えたという。だが、「GSOMIAを廃棄しても日米韓三ヶ国の安保協力を持続する」。米国が、こういう韓国の建前論に納得するはずがない。韓国に対して、GSOMIA復帰を迫った。これが、9月下旬までの韓国の対応であった。

     

    ところが、10月に入って事態は急変する。北朝鮮によるSLBM発射が、暗い影を落とし始めたのである。米国の要求する韓国のGSOMIA復帰論に、緊急性を帯びてきた。その背景として、次の報道(『日本経済新聞』10月6日付)に注目していただきたい。

     

    「SLBMは、海中の潜水艦から発射できるミサイルということだ。移動する潜水艦が撃てば発射地点が察知しにくく、兆候もつかみにくい。日本は米国の早期警戒衛星でミサイル発射の情報を得ている。兆候をつかめば陸海空のレーダーで探知・追尾し、イージス艦の海上配備型迎撃ミサイル「SM3」と地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)で迎撃する」

     

    しかし、潜水艦から撃てば、発射の兆候や場所の探知は遅れ、対応が後手になる。102日の北朝鮮のSLBM発射は潜水艦からではなかったとの見方が多い。それでも海中からの発射技術は確立したとみられている。液体燃料を注入するミサイルは準備に時間がかかり、衛星などで発射の兆候をつかみやすい。今回のような固体燃料の場合は、陸上でも移動式発射台を使って様々な場所からすぐに発射できる」

     

    ここに報じられたような事態になると、日本ですら北朝鮮の軍事動向に一層の神経を払わざるを得ない。韓国にとっては現実問題として、GSOMIAで日本の軍事情報提供の必要性がさらに高まったのである。

     

    現に、韓国国防部は北朝鮮のSLBM発射情報について、日本側に提供を申し入れてきた。11月23日まで、GSOMIAは効力を持つので、韓国が、日本に情報提供を求める権利はある。(つづく)

    このページのトップヘ