勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国政府のシンクタンク、社会科学院などが12年後の30年に週休3日制になったら、どうするか、という提案をした。お堅い政府のシンクタンクがこういう夢物語をする意図は何か。むしろ興味はそちらに向く。若者の不満を逸らす高等戦術に見える。

     

    週休3日制を実現させるには、労働生産性上昇が前提である。中国の生産性は低下しており、週休3日は先ずここが壁になる。事実、提案では、「労働生産性が一定のレベルに達したならば」という前提がついている。その具体的なレベルは明示されていない。

     

    週休3日制実現の前提が、このようにあやふやだから「真夏の怪談話」になりそうだ。ただ、実現した場合、中国の経常収支は赤字スレスレに落ち込む危険性が高い。その理由は、次のようなものだ。

     

    中国人が、週休3日制を利用して海外旅行を楽しむことは必至である。国内に留まって政府からITとAI(人工知能)で監視される鬱陶しさから逃れるべく、海外へ旅行するに違いない。その場合、命の洗濯を日本で行なう公算が大きい。日本で別荘を持つ人も増えるだろう。こうなると、今でも大赤字のサービス収支は赤字幅を拡大する。経常収支の黒字幅は減るので人民元相場が下落する。経常収支構造と週休3日制は絡み合うと思われる。週休3日制を実現するほどの経常収支黒字を稼げなければ、「真夏の夢」に終わるだろう。

     

    『人民網』(7月16日付)は、次のように報じた。

     

    中国社会科学院などの共同主催による、『余暇と美しい生活:アンバランスで不十分な問題を解決する』をテーマとした発表会・シンポジウムが北京で13日に開催された。同報告では、『中国における労働生産性が一定のレベルに達したという前提のもとで、19時間労働、週休3日(週36時間労働)制度の実施が可能となる』の提案が出された。また、報告では、導入開始時期(2030年)についても言及された。報告が発表されると、たちまち多くの人々の物議をかもした。大々的に支持する人がいる一方で、反対の声もかなりあった。華西都市報が伝えた」

     

    農民工(出稼ぎ労働者)に大卒者が混じっている時代だ。大卒の就職難が厳しくなっている証拠である。毛沢東によると、社会主義に失業者は存在しないと胸を叩いていた。それが、裏切られて久しい。社会主義に幻想を持てないように、週休3日制もその類いと思われる。


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    文在寅政権は、経済音痴であることを世界に告知した。

     

    来年の最低賃金上げ率が10.9%に決めたことだ。今年の引上げ率16.4%を加えるとなんと2年間で29.1%にもなる。超インフレ時ならともかく、デフレが懸念される韓国経済にとって重圧であることは間違いない。こういう経済の合理性を無視した最低賃金引き上げが、韓国経済の落勢を強めることになろう。

     

    韓国の最賃制度は、日本と異なり週休1日分を含んでいる。文氏は、2020年に日本並の最賃(1万ウォン=1000円)を目標にして、最賃引上計画を発表した。ところが、日韓の最賃制度の違いを理解しておらず、今年の最賃引上で実質的に日本並となっていることが分った。なんとも、杜撰な話である。これでは、韓国小企業は経営的に耐えられずはずもない。

     

    『朝鮮日報』(7月17日付)は、「韓国中小企業、日本より高い人件費」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「2年間で最低賃金29%引き上げというショックは、自営業だけでなく、中小製造業にも広がっている。中小企業経営者は週休手当を含む最低賃金が日本を超えたのに続き、来年には日本との差が1000ウォン(約99円)以上開くと懸念している。製造業経営者『人件費ですら日本企業に押されることになった。さらに労働時間まで短縮され、これまで強みだった納期対応能力まで失えば、世界市場で競争力が完全に低下してしまう』と話した。こうした雰囲気の中、16日に開かれた中小ベンチャー企業部の洪鍾学(ホン・ジョンハク)長官と中小企業経営者の懇談会では、政府に対する不満が爆発した」

     

    韓国企業は、街のクリーニング屋でも納期を守ることで有名である。それだけ競争の激しいことを裏付けている。だが、最賃の大幅引上げと労働時間の大幅短縮で、韓国小企業は国際競争力を失うと指摘している。これまでの週労働時間上限の68時間が、52時間に引き下げる。このこと自体は歓迎すべきである。ただ、法案成立が今年の2月末。実施は7月1日という性急さだ。その後、6ヶ月の猶予がつくことになった。日本の場合、こういう大きな改革では1~2年の準備期間をおくのが普通である。

     

    韓国の年間労働時間は2069時間(2016年)で、OECD加盟国ではメキシコに次ぐ2位という不名誉な事態である。これを改善することは当然としても、最賃の大幅引き上げが重なるショックを考えるべきであろう。そういう考慮がなしで、最賃だけをドカーンと引上げるという、政策の整合性が全く見られことが驚きだ。

     

    (2)「全羅北道群山市の自動車部品メーカーD社の経営者は、来年も最低賃金が2桁台で引き上げられることについて、『虚脱感を覚える』と述べた。今年から最低賃金が16.4%上昇したことを受けて実施した構造調整が、来年もさらに10.9%引き上られ、1年足らずで役に立たなくなったからだ。D社は年初来、従業員数を100人から80人に減らし、利益率が低い製品群の生産を取りやめ、コスト構造を改善した。売り上げは10%ほど減少したが、黒字が出るように体質を改善したのだ。経営者は「来年最低賃金が10%以上上昇すれば、人件費が8%増え、再び赤字を心配しなくてはならない。座して赤字を出すか、従業員を解雇しろというもので、製造業はもうやめろと言っているに等しい」と訴えた」

     

    ここで取り上げられている自動車部品メーカーの例では、大幅最賃引上が雇用減になっていることだ。こうなると、最賃引上目的が労働者の利益にならず、逆に解雇要因になっている現実を知るべきだろう。文政権は、こういう失政によって韓国経済を衰退に導いていくに違いない。そのことを知らないのだ。


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    古代から中国と朝鮮半島は、切っても切れない関係にある。宗主国としての中国は、無条件で韓国に影響力を与えられるものと過信している。習近平政権になって、韓国への姿勢はますます露骨になった。だが、米朝の直接交渉が始まるとともに、中韓関係は微妙になりつつある。韓国はこれまで中国へご機嫌伺いの外交をしてきた。理由は、中国の影響力に期待した、北朝鮮の軍事的な暴走の抑制にあった。

     

    この中国への期待は、もはや消えている。南北会談によって直接の意思疎通が可能になったことである。米朝会談が破談にならない限り、安保面における対北朝鮮問題の比重は、ぐっと下がってきたことは疑いない。

     

    こうなると、韓国特有の「恨み」が頭を持ち上がってきた。「中国はけしからん」という思いが強くなっているのだ。

     

    第一は、韓国がTHAAD(超高高度ミサイル網)設置によって、中国から受けた経済的な報復である。中国へ進出していたロッテのスーパー(100店余)が、消防器具の設置不備というでっち上げによって閉店を余儀なくされたこと。同じく、中国へ進出していた現代自動車が不買対象にされたこと。韓流ドラマや映画の上映禁止措置を受けたこと。中国からの訪韓旅行が止められたことなど、嫌がらせのオンパレードであった。

     

    第二は、昨年の文政権が中国へ国賓として招かれながら、待遇面で酷い仕打ちを受けた。中国指導部との会食は訪中3日間で一度だけ。後は、文氏が随行団と食事をするという、国賓待遇ではあり得ないことであった。共同発表も共同記者会見もない、気の毒なほどの粗略な扱いを受けた。また、随行記者団が韓国側の雇ったガードマンに殴打され入院する騒ぎまで起こした。中国からは、謝罪もなく「韓国の雇ったガードマンゆえ中国に責任はない」という屁理屈で逃げられた。

     

    第三は、韓国に冷たい仕打ちをしながら、長いこと没交渉だった北朝鮮へは、短期間に3回も首脳会談を開くなど、韓朝に対して、全く異なる対応していることである。

     

    文在寅大統領就任(昨年5月)以来、文政権の「親中」姿勢はことごとく打ち砕かれた。こうして、「かわいさ余って憎さ百倍」にも近い心情が韓国に起こっているのだ。中国は、この変化を見落としている。従来、韓国は米中間にあって「コウモリ」のようなどっちつかずの姿勢だったが、中国へ背を向ける可能性も出てきた。北朝鮮も米国へ接近する事態となると、朝鮮半島は一度に中国から離れることになりかねない。その責任は習近平氏が負うことになろう。

     

    『中央日報』(7月16日付)は、「韓国国民が中国を非常に偏狭な大国と見なし始めた

    」と題する記事を掲載した。

     

    この記事では、韓国国民が中国を非常に偏狭な大国と見なし始めたと指摘している。超高高度ミサイル網(THAAD)の韓国配備をめぐる中韓葛藤の最大の害悪は、韓国人の中国に対する認識悪化である。習氏は、韓国を甘く見過ぎたようだ。「一寸の虫にも五分の魂がある」ことを忘れた「大国ボケ」の振る舞いであった。

     

    (1)「鄭在浩(チョン・ジェホ)ソウル大政治外交学部教授は、『THAAD紛争で韓中両国はともに戦略的な失敗をした』とし、『10・31合意』(注:韓国は中国の安保を損ねるような取り組みをしない)で、韓国は中国にTHAADがすべて永久解決するという希望を与えた。だが、THAADは依然として両国関係の障害であり、いつ消えるか分からない」と評価した」

     

    中国は、THAADが中国の安保面で技術的な阻害要因にならぬことを充分に知り抜いていた。それにも関わらず、韓国へ執拗なまでの報復を続けたのは、韓国を属国扱いして、徹底的にいじめ抜いて「骨抜きにする」という朝貢外交路線であった。これが、次のパラグラフで取り上げられる「シャープパワー」である。主導したのが、習近平氏に他ならない。

     

    (2)「鄭教授は、『中国は5年前に朴槿恵(パク・クネ)前大統領が就任すると、外交的ブルーオーシャンを見つけたと考えたが、2年半後に楽観はTHAADで崩れた』とし『朴前大統領と習近平主席の個人的な友情に過度に期待したことと、両国関係の躍動性を過度に政治化したのが誤り』と分析した。西欧は、『THAAD後の韓国に対する中国の経済報復をシャープパワー(Sharp power)と呼ぶなら、韓国人は(中国に対して)小さな大国(小気大国)と呼ぶ』と話す」

    中国外交は、首脳同士の絆が重要であると解釈している。阿吽(あうん)の呼吸で物事を決められると誤解しているのだ。こうして、相手首脳に物的な贈与をして関心を引く。こういう「物量外交」が、中国の得意戦略である。鄭教授は、これが間違いだと示唆している。外交は、腹芸でなくシステマティックに展開すれば安定的な関係が築けるはず。中国は、この面が欠落した国だ。

     

    中国は、腹芸外交ゆえに「シャープパワー」という強引な外交を展開する。韓国への経済報復はその典型だ。ドロドロした中国外交は、スマートな現代外交の基本から大きく離れた存在である。


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    韓国の大学が、日本の原発事故による被害の間違いを訂正すべく、電子ブックを発行するという。普段では考えられないことが起こっている。韓国最高峰のソウル大学が2011年、東日本大震災の津波で被災した原発事故によって、日本中にがん患者が急増した。そういう噂が、韓国中に広まっているからだ。これが、原発に対する一連の「怪談」を生み出すきっかけになっているという。

     

    韓国の文政権は「反原発主議」である。原発を止めてクリーンエネルギーに転換することを政策目標に据えている。日本でも小泉元首相が「反原発運動」の先頭に立っている。クリーンエネルギーは理想だが、コストがべらぼうに高くつくのも事実だ。標語の持つ重みは、日本のように原発事故が起こった国では一層大きいものがある。だが、科学技術発展という日本の立場では、リスクの少ない技術開発も捨てがたいであろう。原発は危険だから止める。これでは、技術の発展があり得ない。

     

    韓国では、「反原発論」の普及を急ぐ市民団体によって、日本の原発事故の被害が針小棒大に伝えられている。韓国が、日本の海産物輸入を禁止してきた背景も、この間違った「原発被害論」が何ら訂正もされずに闊歩してきた結果だ。

     

    『中央日報』(7月16日付)は、「ソウル大学が反論文書、日本原発事故でがん急増? 脱核教材は怪談レベル」と題する記事を掲載した」

     

    ソウル大学は、原発事故に関わるウソ垂れ流しの現状を見逃がさず、「反論」に立ち上がった。ソウル大学原子力政策センターが7月17日、電子ブック『脱核教材を再考してみること』を出版するもの。全羅北道教育庁が2015年に製作した補助教材『脱核で描くエネルギーの未来』(以下、脱核教材)に一つ一つ反論する内容が含まれているという。実態を正しく把握できない「怪談」レベルの教材では、青少年に原子力に関する誤った認識を持たせる可能性があると懸念したという。環境運動家の教師らが執筆したこの脱核教材は、昨年10月、国会国政監査の時にも偏向性問題が取り沙汰された曰く付きの補助教材である。

     

    (1)福島乳児の死亡率が増加?
    「脱核教材には、『2011年の福島原発事故以降、がんと白血病による死亡者が増え、乳児死亡率が急増した』と記述されている。原子力政策センターは、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)および国際原子力機関(IAEA)による調査の結果、日本で原発事故以降に放射線にさらされて死亡したり急性疾患を患ったりした人は一人もいないと強調した」

     

    (2)日本全域がセシウムで汚染?

    「脱核教材は、『原発事故後、東京さえも高濃度汚染地域になった。日本国土のほとんどがセシウムで汚染されたというのが専門家の推定』と主張した。これは事実に反するというのがセンターの説明だ。日本政府が事故当時に避難指示を与えた地域は計1150平方キロメートルで、日本全体の0.3%だった。東京は含まれていなかった。今年3月3日基準の東京の放射線量率は0.066ミリシーベルトで、むしろソウル(0.153)の半分以下だ。現在の危険地域は日本全体の0.09%に過ぎない」

    (3)弱い放射線でもDNA損傷?

    「脱核教材は、『弱い放射線でもDNAを損傷させて不妊や奇形児の出産、がんなどを誘発する』と強調した。センターは、『成人男性の体内には7000ベクレルの放射能があり、年間約0.3ミリシーベルトほど内部被爆する』と説明した。韓国の自然放射線被爆線量も1~3ミリシーベルトに達する。UNSCEARによると、人体に影響を及ぼし始める放射線有効線量は約100ミリシーベルトだ」


    (4)原発周辺の人々に甲状腺がんが急増?

    「脱核教材は、『韓国内でも原発周辺住民の甲状腺がんの発病率がその他地域と比べて2~3倍高いという調査結果が発表された』と紹介した。これも科学的根拠が不足しているというのがセンターの説明だ。2016年がん発生地図によると、甲状腺がん発病はむしろ大都市に集中していた。検査率が高いほど発病率が上がるためだ」


    (5)原発は経済的ではない?

    「脱核教材は、『事故のリスクおよび解体費用を欧州並に反映させると、原発は経済的ではない』と主張している。一方、センターは『韓国は事故1件当たりの損害賠償措置額を4700億ウォン(約468億円)、解体費用を6400億ウォンで計算している』とし、『先進国より高い水準』と明らかにした」

     

    韓国でも、この経済性の問題が議論されている。次の記事は、原発と太陽光発電を比較したケースである。

     

    太陽光はエネルギー効率の低さが問題とされている。原発と比較した場合、同じ電力を生み出すのに太陽光は60倍の敷地が必要になるという。釜山市北部の新古里原発56号機と同じだけの電力を生み出すには、500万以上の世帯が3キロワット容量の太陽光パネルを屋根に設置しなければならないそうだ。そのため今後も太陽光パネルの設置を進めるとなれば、今以上に山を削っていくしか方法はないだろう」(『朝鮮日報』6月24日付コラム「山を削って設置した太陽光パネルの発電効率」)

     

    原発の是非をめぐる問題は、合理的に検討すべきものだ。韓国で行なわれている、ウソに基づく感情的な反対論でなく、冷静な議論を望みたいものだ。


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    7月14日(現地)は、フランス革命記念日である。通称、「パリ祭」だ。安倍首相も出席予定だったが、九州・中国地方を襲った豪雨の被害対策で欠席した。このパリ祭に、日本の自衛隊が招待されており、軍事パレードに参加した。この際、国旗のほかに旭日旗を掲げて行進したと韓国メディアが批判している。

     

    韓国では、旭日旗を戦犯旗と呼んでいる。ドイツ・ヒトラーの「ハーケンクロイツ」と同一視して蛇蝎のごとく嫌っている結果だ。韓国のある大学教授は、世界中に現れる旭日模様でデザイン商品にまで目を配り廃棄させるという徹底ぶりである。「ご苦労さん」と言うしかないが、日本では旭日デザインがアサヒビールや朝日新聞の「社旗」のような存在だった。韓国の影響なのか、前記企業の商標には見られないようだ。

     

    韓国は旭日旗を忌避するが、陸上自衛隊旗であり自衛艦旗である。世界に通用してどこからも苦情はきていないのだ。ヒトラーのハーケンクロイツ」は、ユダヤ人虐殺という人種滅亡を謀った犯罪ゆえに掲揚を禁じられている。旭日旗は、太平洋戦争の際に戦地に持ち込まれたが、ユダヤ人虐殺のごとき犯罪に手を染めたわけでない。その点が、根本的な違いである。韓国は、ベトナム戦争に参戦してベトナムで村ごと村民虐殺を行なっている。この理由で、韓国軍旗は許されないはずだが、自国に不利なことは例によって「沈黙」だ。

     

    韓国が、日章旗を問題にせず旭日旗だけを狙い撃ちしている理由は何か。

     

    太平洋戦争では、日章旗も当然に日本軍が軍旗と一緒に掲げている。その日章旗に沈黙して旭日旗を批判するのは、日本をドイツ並の「戦争犯罪国家」として告発したいからだ。そのドイツは戦後、自らの犯罪行為を世界に謝罪した。日本は、ドイツのように「跪く(ひざまづく)」謝罪をしていない。韓国に対して日本の首相が、ドイツのように跪けと要求しているのだ。

     

    その際、韓国人の使う論法はこうだろう。

     

    ドイツ=ハーケンクロイツ=跪く謝罪。日本=旭日旗=跪いた謝罪拒否という図式である。韓国社会は、儒教国家ゆえに「メンツ」の国である。これにプラスして「実利」を求める。「実利」は、日韓基本条約(1965年)で膨大な賠償金を得た。次は、跪いた謝罪の要求だろう。これが実現しない限り、旭日旗=戦犯国という位置づけで日本批判を続けるに違いない。

     

    『中央日報』(7月16日付)は、「旭日旗を翻しながらパリ市内を行進した日本自衛隊」と題する記事を掲載した。

     

    「フランス革命を記念する例年の軍事パレードに日本自衛隊が参加するのは今回で3回目。今年は日仏修交160周年を記念して日本が招待された。自衛隊員はこの日、制服を着て日本の国旗と旭日旗を手にシンガポール軍と共に行進した。フランス刑法第645-1条には『ナチスなど反人類行為の犯罪をした集団を連想させる装飾などの着用または展示を禁止し、これを犯した場合は罰金刑に処する』という内容がある。ナチス・ドイツの象徴であるハーケンクロイツ模様の使用は厳格に禁じられているが、同じ意味を持つ日本の旭日旗を国家的行事に堂々と掲げて行進することを許した点は、日帝強占期の被害国の事情は考慮していないと解釈される余地がある」

     

    『中央日報』は、韓国で発行部数2位の新聞である。サムスンが大株主だ。『朝鮮日報』(同1位)と比べ、反日意識が高い報道を続けている。安倍首相批判も熱心だ。

     

    この記事で目立つのは、旭日旗がフランス刑法第645-1条に抵触するのでないかという拡大解釈である。ナチスは民族虐殺の犯罪であるが、日本はそれに匹敵する犯罪行為はなかった。韓国は、慰安婦問題がこれに当るとしている。当時の日本は、「売春」が国家管理下で公認されて、犯罪ではなかった。こうなると慰安婦の法的な立場が「強制か」「自発的か」という問題になり、当人しか分らない闇の分野に入る。日本が、韓国の主張する「強制説」を否定するのは、当時は売春公認で自発的な意思であったからだ。


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