米中貿易戦争で、中国深圳市のホテルが米国人宿泊客に「25%上乗せ」料金を請求した件は本当だった。当該ホテルは、問題が大きく取り上げられたことから、「否定」したものの従業員はこの事実を認めた。
この件は、中国社会に貯まる「反米感情」を表わしているが、中国では日本に対しても同じような嫌がらせをやっている。尖閣諸島の日本国有化の際、「日本人と犬は入店するな」という看板を出した飲食店があった。さすが、中国社会でも「やり過ぎだ」と批判が高まった。
今回のホテルで「25%の上乗せ料金」を請求したのは、場所が深圳だけにIT企業の集積地ということの影響もあろう。中国のIT製品が、米国から25%関税をかけられることへの不満に触発されていることは疑いない。IT企業は、高収益だけに地元のホテルがいろいろと潤っているのであろう。その上得意のIT企業が、もし米国への輸出で不利になれば、ホテルの経営にも響く。そこで、ホテルが「連帯意識」を表明して、「今後も宜しく」というPRに違いない。それにしても、中国社会らしい「家族主義」の一面が浮かび上がっており興味深い。
『ロイター』(7月13日付)は、「中国深圳市のホテル、米国人に25%の追加料金請求、報道を否定」と題する記事を掲載した。
「中国と米国の貿易戦争が激しさを増す中、米国人宿泊客に対し25%の追加料金を請求すると報じられた中国南部・深圳市のホテルは13日、『われわれは全ての宿泊客を平等にもてなす』として、報道内容を否定した。ただ、3人のスタッフは匿名を条件にロイターに対し、7月12日時点で差別的な料金ポリシーがホテルに掲示されていたが、その後撤去されたと証言した。中国共産党機関紙・人民日報系列の国際版タブロイド紙『環球時報』は12日、『モダン・クラシック・ホテル・グループ』が米国人に追加料金を請求するとの通知を自社ホテルに掲示した、と報じた。同紙がホテルの広報担当者ヤン氏の話として伝えたところによると、掲示されたのは6日だという」
この記事を読むと、米国人に「25%上乗せ料金」を請求していたことは事実である。日本的な謝罪方法では、こういう形の「否定」は最悪・最低である。ウソで固めた話でなく、事実を認めて、その経緯を説明し再発予防策を発表すべきだろう。「25%上乗せ料金」を支払った宿泊客には謝罪の気持ちとして、次回は宿泊費を無料にするぐらいの度量の大きさを見せるべきだ。そうすれば、マイナスがプラスに転換する。このくらいのことは、サービス業としてお分かりと思うが。