勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    あじさいのたまご
       

    日本は、中国による対日レアアース輸出規制へ対抗し、あらゆる手を打っている。南鳥島のレアアース採掘という「世紀の大事業」は別格として、化学的精錬の普及や調達先の拡大。さらにはレアアースそのものを使わない製品開発や、資源循環などと総力戦を展開している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「レアアースの中国依存軽減 日本企業、調達先確保や技術革新に動く」と題する記事を掲載した。

     

    日本企業がレアアース(希土類)の確保に向けて様々な備えを進めている。2010年、尖閣諸島問題を巡り中国が輸出を規制したことをきっかけに取組みが加速した。JX金属や大手商社などは中国以外の海外からの調達ルート確保に動く。プロテリアル(旧日立金属)などはレアアースを使わない技術の開発に力を注ぐ。

     

    (1)「JX金属の林陽一社長は、「南米とオセアニア、南アフリカに資源担当者を配置し、開発できるような場所がないか常にウオッチしている」と、レアアースの確保に向けた取り組みをこう話す。JX金属は25年6月、オーストラリアのレアメタル(希少金属)やレアアースの鉱床に5%出資すると発表した。追加出資も検討している。同じ鉱床には丸紅も同年11月に出資すると表明し、日本勢の比率が高まる」

     

    JX金属や丸紅は、海外鉱山へ出資して権益を確保している。

     

    (2)「JX金属の林氏は、豪州に続くレアアース権益の確保についても「当然探っている」と語る。同社は半導体の材料にレアアースを使っており、調達先には中国も含まれる。安定的に必要な量を確保するのは喫緊の課題となっている。国内商社もレアアースの確保に動く。双日は25年10月、希少性の高い「重希土類」のレアアースを豪州から初めて輸入した。25年にはエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と岩谷産業の共同出資会社もレアアース精錬を手掛けるフランス企業に出資した。豊田通商住友商事も調達先の多角化に動いている」

     

    双日は、豪州で積極的にレアアース確保へ動いている。23年、豪州大手レアアース企業ライナスに約2億豪ドル(180億円)を出資し、同社が生産するジスプロシウムとテルビウムの最大65%を日本に供給する契約を結んでいる。豊田通商住友商事も調達先の多角化に動いている。

     

    (3)「レアアースは、1980年代まで米国などが主な生産地だった。その後中国で鉱山開発企業が乱立し、低価格での輸出が広がった。当時の中国は環境規制がゆるかった。採掘や精錬の過程で生じる放射性廃棄物や、レアアース抽出に使う酸性液の処理が不十分でも許された。中国は環境対策費用が安い分、生産コストを米国などに比べて圧倒的に下げられる「メリット」を生かした。結果、中国の生産量は伸びレアアース大国となった。仮に日本企業が権益を確保しても、コスト面で圧倒する中国にどう対抗するかという課題は残る」

     

    日本が開発したレアアースの化学的精錬法は、常温・常圧の精錬が可能で放射性物質も出ないという環境親和的である。モジュール型の小型設備で移転も可能である。当然、コストは安くなる。小鉱山で、これまで開発を見捨てられているレアアース鉱石に焦点が当る。

     

    (4)レアアースの必要性を技術革新で乗り越える取り組みも進む。プロテリアルは電気自動車(EV)の駆動用モーター向けに、重希土類のレアアースを使わない磁石を開発した。2025年4月に米国の相互関税への報復の一環で中国政府が7種類のレアアースの輸出規制に踏み切った際には、日本の自動車大手が生産の一時停止に追い込まれた。重希土類なしでEVモーターにも使える磁石が実現すれば、こうした供給不安を軽減できる」

     

    レアアースを使わない磁石も開発されている。科学の進歩が、「省レアアース」へ向わせている。

     

    (5)「リサイクルの技術開発も進む。ネオジム磁石大手の信越化学工業は、日本とベトナムにリサイクルの拠点を持つ。使用済みレアアース製品や製造工程で出てきた端材などを回収し、循環させる。トヨタ自動車と組み、ハイブリッド車(HV)のモーターに使われる資源の再利用もしている。日本企業は過去の教訓を生かし、省レアアースのネオジム磁石や代替技術の開発、リサイクルなどに取り組んできた。ただ安い中国製ネオジム磁石の優位を崩すまでには至らず、導入は広がっていない。レアアースの安定確保という世界的な課題の解決に寄与するため、これまでの取り組みをどう生かすか。官民が連携し知恵を絞る必要がある」

     

    信越化学工業は、使用済みレアアース製品や製造工程で出てきた端材などを回収し、循環させている。資源が乏しければ、それに応じた経済行動が取られるのだ。

     

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    一皮むけた日本製造業

    技術力で世界を支える

    イノベーション実践国

    日本が西側諸国の中軸

     

    日本経済は、1990年代のバブル崩壊と冷戦終結という内外における激動で、それまでの成長推進力のすべてを失った。仮に、バブル崩壊だけでことが済み、冷戦構造が続いていたのであれば、打撃は半分程度であったはずだ。だが、世界は一挙に自由貿易体制へ移行した。日本の製造業は力を失い、代って中国が「世界の工場」として登場したのだ。

     

    日本経済が味わった苦悩は今、そのまま中国へ舞台を移した。不動産バブル崩壊に加えて、過剰生産が価格を押下げている。同時に、中国の軍事的拡張が西側諸国との地政学的な摩擦を生んでいる。この結果、ある面では「デカップリング」(分断)や、「デリスキング」(リスク削減=依存度引下げ)という形で、脱中国が広がっている。ロシアがウクライナ侵攻を開始して以来、中国がロシアを支援していることもあって、西側とは修復し難い溝が生まれている。中国は、バブル崩壊と世界の市場喪失リスクという二重の負担に直面するであろう。

     

    このように、日中は、攻守所を変える結果になった。これは、日本が西側市場において、極めて有利な地歩を得たことを意味する。日本の技術開発が、西側諸国をひとまとめにできる状況が生まれたのだ。特に、米国との協調が、大きな成果を生む局面になった。米国の技術的発想が、日本が製品化する「日米コンビ」が生まれるからだ。

     

    現在のAIブームの先駆になったITブームは、1990年代前期から2000年代初期にかけて米国中心に起こった。日本は当時、これが世界の技術革命を起こすという予知能力を失っていた。日本の実用化したFAX(ファクシミリ)が、ITに代行するという思い込みが強かったからだ。FAXは、1960年代から1970年代にかけて、日本の電機メーカーが高性能でコンパクトなFAX機を開発し、商業利用を本格化させて世界市場を席巻していたのである。

     

    日本のFAX「成功物語」が、ITという「非物質的な価値」や「抽象的な設計思想」への対応を遅らせた。日本の製造能力の高さが、「見えるもの」には強く、「見えないもの」(ソフトウェア、ネットワーク、UX設計など)への感度が鈍らせたのだ。それだけでなく、国産技術への「絶対的信頼感」が、見えない技術への関心を低めたことも事実であろう。日本は、世界技術の潮流に鈍感になっていた。

     

    一皮むけた日本製造業

    日本は、ITブームに乗り遅れことで、海外技術との提携がいかに重要であるかを痛感した。半導体が、世界王者から滑り落ちたのも「自信過剰」と経営戦略の失敗であった。「お宝技術」に固執しすぎて普及品の半導体へ転換できなかったのである。こうした失敗が、その後の日本の技術開発に生かされている。最初から、世界市場を目標にした技術開発であるからだ。それは、世界の有力研究機関と提携して視野を広げている結果である。

     

    現在、日本の技術開発のエースとして「フィジカルAI」、「IWON」、「化学的精錬法」が世界の次世代技術として注目されている。これら三大技術については、これまで縷々取り上げてきたので、読者にはお馴染みのテーマになっていると思われる。

     

    1)フィジカルAIは、現場AI(人工知能)が、状況を「見て・聞いて・判断」することによって、エッジ(端末)で行動を起こすという「筋肉と脳」の役割を担っている。現場AIである以上、現在の主流であるクラウド型でなく、現場という分散型情報処理でなければならない。この発想の転換をラピダスの手によって実現しようとしている。応用範囲は、あらゆる分野に広がっている。農業・機械・運搬・運転・医学などだ。実現の暁は、画期的は労働力代替が実現する。遠隔操作も可能になる。

     

    2)IWONは、NTTが開発している。次世代通信網6Gの本命である。すでに、国連でも標準規格としての扱いが始まった。この技術は、これまでの電気による通信体系を光通信体系へ置き換えるという発想の大転換だ。IWONは、次の3つの特色を持っている。

     

    省電力=最大100分の1の電力消費

    超低遅延(遅速なし)=0.001秒未満の遅れ、まばたき(0.1~0.3秒)より短い

    超大量情報=現在の100倍以上の通信容量を一括処理

     

    応用分野は、都市交通、自動運転、遠隔医療、工場自動化などだ。IWONはマクロ的分野で、前記のフィジカルAIはミクロ的分野で相互補完の役割を果す。この日本生まれの技術が、次世代の世界を大きく変えると期待されている。

     

    3)化学的精錬法は、レアアースの精錬法である。旧来の物理的精錬法に比べと「常温・常圧」で精錬できる点で、環境と極めて親和的である。つまり、環境を破壊しないのだ。かつて、米国は世界最大のレアアース生産国であったが、精錬過程で環境破壊をもたらすことから国内精錬を断念した。化学的精錬法は、分散型・モジュール型であるので、精錬設備が移動できる。精錬が終れば、他地域へ移設可能という「便利性」を持っている。すでに、インドなどで日本のODA(政府開発援助)資金を使って設置が始まっている。

     

    レアアースは、風力発電の高効率モーター、EVの駆動装置、スマートグリッド(電力需給の調節機能)、さらには高性能バッテリーやAIチップの磁性材料など、脱炭素とデジタル化の両輪を支える不可欠な素材である。その精錬で、日本の化学的精錬法が環境親和的であることは「OS」としての資格を備えている。世界の小規模鉱山が、日本の化学的精錬法によって採算が好転し稼働できるメリットは大きいのだ。(つづく)

     

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    立憲民主党と公明党が、新党「中道改革連合」(中道)を結成する。この中道が、中国に対して「毅然とした対応」をうたいながら選挙を戦うことになった。「対中国」は、間違いなく今回の衆院選の大きなテーマだ。与野党ともに中国へ厳しい姿勢である。習政権は、高市非難によって日本世論へ働きかけ、「政権崩壊」を狙ってきた。この目論見は、完全に外れた。総選挙期間中、日本全土で「反中」が連呼される事態になりかねないからだ

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「『反・高市』中国に再び誤算、政局第2の大波 中道に苦虫かみつぶす」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙編集委員の中沢克二氏である。

     

    中国・習近平政権が、日本の野党内で立ち上がったばかりの新党、中道改革連合(中道)について公式報道する際、なぜか迷いが見られる。本来なら、202511月から執拗に攻撃してきた日本の首相、高市早苗に対抗する大きな塊の登場は、中国にとって大歓迎すべき動きだ。ところが事態は極めて複雑である。

     

    (1)「中国にとっての複雑さは19日午後、明確になった。「中国に対する懸念への毅然とした対応……」。驚くことに、これは衆院解散・総選挙、真冬の28日投開票を宣言した高市の発言ではない。その直前、中道が発表した基本政策の文言である。立憲民主党と公明党によって野党内で出来上がったばかりの有力勢力まで、中国に対する「毅然とした対応」をうたいながら選挙を戦う。しかも与野党ともに中国に厳しい。これには習政権も苦虫をかみつぶさざるをえない。世論工作などで相手勢力内の分断を図りつつ、味方を増やしていく。中国共産党が得意とするこんな「統一戦線工作」は、いまのところ奏功していない」

     

    中道が発表した基本政策の文言には、中国に対する「毅然とした対応」をうたっている。これは、中国にとって大変な目論見違いとなった。

     

    (2)「中道は、基本政策の第4の柱として「現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化」という見出しをあえて立てた。その詳細で「中国に対する懸念への毅然とした対応と、国益確保を両立させる中長期的視点に立った戦略的互恵関係の構築」を明記している。

    明らかに今後、政権与党になった際の外交・安全保障政策の継続性を考慮した現実的な選択だ。中国に習政権が登場する前から続く日中関係に関する「戦略的互恵関係」というスローガンをわざわざ入れたのも同じ趣旨である」

     

    中道は、「現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化」という見出しまで掲げている。高市政権の基本姿勢を容認している。中国にとっては、「青天の霹靂」であろう。

     

    (3)「中国は軍民両用品の対日輸出規制の強化を発表。レアアース(希土類)の対日供給にも支障が出かねない厳しい状況になっている。この局面で新党の基本政策で「中国に甘い」「中国への譲歩」と見られかねない表現をとれば、目前に迫る衆院選の短期決戦を戦えないのは明らかだった。中道の共同代表である野田佳彦は、12年に沖縄県の尖閣諸島を国有化した際の首相である。中国での激しい反日デモ、日系企業への破壊行為のすさまじさは身をもって感じている。その当事者として、中国による威圧への対処がいかに重要なのかを知らないはずはない」

     

    中国は、「威圧」によって日本政治へ影響を与えられるとみてきた。それが、とんでもない逆の事態へ動いている。日本を甘くみてきた代償の大きさを知ったであろう。

     

    (4)「中道を巡って、さらに注目すべきなのは、安全保障関連法(安保法制)が定める存立危機事態への態度だ。基本政策では「自国防衛のための自衛権行使は合憲」と認めている。かつて立憲民主党が主張してきた内容と比べ、相当、現実主義に傾いている。安保法制は15年に自民・公明両党による安倍晋三政権下で成立した。中道の安保政策は、安倍政権での基本方針から大きく乖離していないのだ。ここも習政権にとって大きな悩みどころである。なぜなら、中国が高市を個人攻撃してきた理由が、25年11月7日の台湾有事に絡む存立危機事態を巡る国会答弁内容だったからである」

     

    中道は、安全保障関連法(安保法制)が定める存立危機事態で、「自国防衛のための自衛権行使は合憲」と認めている。台湾有事を存立危機事態として捉えている点で、高市政権と違いはない。中国にとっては、これも大変な誤算になった。

     

    (5)「中国共産党総書記で国家主席の習の体面、メンツを考えられないほど重視するのが今の中国だ。その命令一下、安倍路線の継承、進化を掲げる高市への攻撃を続けているのに、対抗勢力の中道まで中国への毅然とした対応をうたい、問題としてきた安保法制を巡っても現実路線に動いてしまった」

     

    中国の高市非難が、ついに中道までを「高市擁護」へ追いやってしまった。日本社会の実態を全く理解していない証拠であろう。辱めを受けないという日本古来の「武士道精神」が、中道にまで及んだと言うべきであろう。

     

    (6)「今回、高市が急きょ決断した衆院解散は、強硬・中国が触発した側面があった。あまりに偏った対日強硬策をとる習政権が、図らずも高市内閣の超高支持率を演出したからである。これが「対中国」が絡む日本政局の第1の大波だ。これは思わぬ急展開につながる。高市・自民党と、これを支える日本維新の会による与党が急速に保守化しているととらえ、対抗軸として「中道」に活路を見いだそうとするのが、立憲民主党と公明党による新党の立ち上げだった。流転する日本政局の第2の大波だ」

     

    中国の対日外交は、完全に失敗した。脅せば屈すると見た日本が、敢然と「ノー」を突きつけた。「文明力」で中国をはるかに上回る日本が、習氏の威圧をはねのけた形だ。

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    中国の習近平国家主席は20日、中国経済に占める製造業の割合を適切に維持し、消費と投資、需要と供給の適切なバランスをとるべきだと述べた。次期5カ年計画に関するセミナーでの発言を国営新華社通信が報じた。

     

    2025年の中国GDPは、5%成長を達成した。ただ、輸出と製造業が再び原動力となった。小売売上高の低迷、高債務といった国内の不均衡は続いている。デフレ状態の継続である。習氏は、こういう状態を改善すべく、需要と供給の適切なバランスを取るとしているが、具体策を明らかにしなかった。

     

    『ロイター』(1月20日付)は、「内需を成長原動力にと習主席、先進的製造業の発展促進と題する記事を掲載した。

     

    中国の習近平国家主席は20日、中国経済に占める製造業の割合を適切に維持し、消費と投資、需要と供給の適切なバランスをとるべきだと述べた。次期5カ年計画に関するセミナーでの発言を国営新華社通信が報じた。

     

    (1)「習主席は、「先進的な製造業を力強く発展させる」よう呼びかけ、「内需を経済成長の主な原動力にする」と表明。全ての地域と部門がそれぞれの役割を明確にし、川上産業と川下産業がより緊密に連携するような状況を育成すべきだと述べた。習指導部は今後5年間で経済に占める家計消費の割合を「大幅に」引き上げる方針を示しているが、具体的な目標は示していない」

     

    今後5年間で、経済に占める家計消費の割合を「大幅に」引き上げる方針という。それには、経済政策を抜本的に変えなければならない。すでに、25年の投資関連(設備投資とインフラ投資)はマイナスになっているが、製造業が過剰生産へ落込んで乱売戦を繰り広げている。製造業への補助金を打ち切って、社会福祉へ回さなければ経済の底上げは不可のだ。先進的な製造業を力強く発展させる、としている。相変わらずの補助金漬けにするのだろう。

     

    (2)「中国国家発展改革委員会(発改委)は20日、国内消費を促進し、「顕著な」需給不均衡に対処するため、中国は2026年から30年にかけて新たな政策を打ち出す計画で、サービス部門が主な焦点になると明らかにした。中国財政省の廖岷次官は、消費拡大と人々の生活向上に向け、今年より多くの資金を投入すると述べたが、具体的な規模には言及しなかった。同省は20日、低迷する内需を押し上げるため、消費者、サービス企業、設備更新が必要な企業に対する利子補給を2026年末まで延長すると発表した」

     

    補助金政策が、中国の経済を狂わせている。それが、乱売戦を引き起こして、生産者物価指数を引下げて、デフレ状態をもたらしているのだ。この悪循環を断たない限り、経済は正常化しない。この分りきったことが実現できないところに、権威主義国家の矛盾がある。

     

    『ロイター』(1月19日付)は、「中国GDP、不均衡解消先送りの『5%』達成 内需拡大待ったなし」と題する記事を掲載した。

     

    2025年の中国GDP(国内総生産)の5%成長達成に輸出と製造業が再び原動力となった。製造業のエンジンがフル回転し続ける限り、当局は経済成長を演出できるかもしれない。しかし、中国の膨大な貿易黒字は関税を巡る緊張に翻弄されている。その一方で、デフレ、小売売上高の低迷、高債務といった国内の不均衡は続いている。

     

    (3)「中国経済は当初の暗い予想を覆して「5%前後」という公式成長目標を達成した。とはいえ、「魔法」をかけたのはやはり工業生産と海外販売だった。輸出は2024年を6.1%上回り、1兆2000億ドルという記録的な貿易黒字につながった。半面、小売売上高は政治的な掛け声にもかかわらず3.7%増にとどまり、12月の伸び率は0.9%にとどまった。新築住宅の販売額は1年間でさらに12.6%減少。工場出荷価格もさらに2.6%下落した。また、国際通貨基金(IMF)によると、地方政府債務の対GDP比は19年の62%から24年には約84%に上昇。25年の固定資産投資は前年比3.8%減少した」

     

    中国経済は、「工業生産と海外販売」という2本立て興業で内外の目を引きつけている。だが、結果的に、中国滅亡への引き金を引いていることに気付かない「能天気」な振舞と言うほかない。

     

    (4)「経済の再構築は、ささいな仕事ではなく時間がかかる。中国の場合、製造業の強さが国の経済的活力と国家安全保障に重要な役割を果たしているため仕方がない。中国指導部は昨年12月、積極的な財政政策によって消費を刺激し、「突出した」不均衡に対処することを約束。共産党機関誌は習近平国家主席の10年間の論評をまとめ、内需拡大が当局にとって戦略的になっているという点を強調した。さらに10年も無為に過ごせば、バランスが悪すぎて管理できない経済を生み出す危険性がある」

     

    いまさら、弁解がましいことを言わずに、黙って政策転換すればいいのだ。世界中へ過剰生産物を押しつけて「涼しい顔」をしているが、自国経済を疲弊させていることに気付かないのだろう。

     

     

     

     

     

     

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    外交戦において、資源カードを切った瞬間に、その効果は落ちるとされている。相手国が、代替手段を模索して、カードを切った国に依存しなくなるからだ。日本は、中国からレアアース輸出規制を告げられた以降、G7(主要国首脳会議)の財政相会合で広範囲な対策を打っている。これこそ、資源カードを切った瞬間にその効果は落ちる、という典型例である。中国は、こういう素早い日本の動きを警戒して、対日レアアース輸出規制を長く続けられないという見方が出てきた。

     

    『ロイター』(1月20日付)は、「中国の対日レアアース規制、長期化の可能性低い=日本総研・三浦氏」と題する記事を掲載した。

     

    高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を背景に、中国の対日レアアース(希土類)規制の強化が伝わってから2週間が経過した。輸出制限措置の行方について、日本総研の三浦有史・主席研究員に聞いた。日本貿易振興会(現日本貿易振興機構=ジェトロ)出身の三浦氏は中国経済を専門とし、『脱「中国依存」は可能か』などの著書を持つ。

     

    三浦氏は、「あえて規制の運用をあいまいにし、日本側に『いつ供給が止まるかわからない』という不安を植え付けようとしている」と指摘した上で、「全面的な制限を続ければ、他国での鉱山開発や代替技術への投資が進み、レアアース分野でのシェア低下を招きかねない。対日規制が長期化する可能性は低く、中国側も早晩落としどころを探ってくるだろう」と話した。

     

    (1)「1月6日に軍民両用品目における対日輸出管理の強化が発表されたが、詳細な内容はまだ明らかになっていない。中国当局が(レアアースの用途や最終販売先などに関する)書類の審査を厳格化しているとの報道があったが、もし全面的な輸出規制なら、様々な業界から悲鳴が上がっているはずだ。現時点では、物流を一部で停滞させている段階にとどまっているとみられる。中国側の狙いは明白だ。台湾問題という『核心中の核心』に触れた首相発言を巡り、産業界を通じて日本政府に揺さぶりをかけることにある。対米関税交渉でレアアースを外交カードに使った際、一定の対話を引き出せた成功体験もある。今回は供給を完全に断つのではなく、あえて規制の運用をあいまいにすることで、日本側に『いつ供給が止まるかわからない』という不安を植え付けようとしている」

     

    中国は、対日「口撃」を主として行い、レアアースの輸出規制に本腰を入れていないという。仮に、対日輸出が減らされれば、日本の産業界から悲鳴が上がるはずとみている。中国は、高市首相の支持率を落とす目的で、騒ぎを広げている。

     

    (2)「採掘による生産工程において、中国の世界シェアは徐々に低下している。それでも今なお約7割を占めるなど圧倒的な存在感だ。より顕著なのは精製工程で、国際エネルギー機関(IEA)によれば、中国のシェアは9割超に達する。レアアース鉱石の多くは精製時に大量の放射性廃棄物を出すが、中国は人件費が安く環境規制も緩いことから処理コストが低く済むため、各国が依存している。(かつてレアアース大国だった)米国も現在はわずか1%のシェアしか持たない」

     

    日本の化学的精錬法が普及すれば、世界の小規模鉱山のレアアース精錬が可能になる。日本は、この技術をODA(政府開発援助)の資金でインドなどへ移転している。28年頃には成果が出ると期待される。中国の牙城崩しが始まっているのだ。

     

    (3)「強力な支配力を持つとはいえ、対日規制が長期化する可能性は低いとみている。中国が全面的な制限を続ければ、他国での鉱山開発や代替技術への投資が世界的に進み、長期的に中国のシェア低下を招くためだ。レアアース分野での影響力を維持するには、物資を安価に提供し続ける必要がある。また、中国ではレアアースの密輸が以前から問題視されており、輸出規制によって一段と深刻化する恐れがある。実際、レアメタル(希少金属)のアンチモンの対米輸出を禁止した際は、タイなどの第三国を通じた迂回取引が活発になった」

     

    日本は、着々と化学的精錬法の世界普及に乗り出している。中国はいずれ、対日虐めを悔いる時期が来るはずだ。南鳥島のレアアース採掘も、28年に商業生産へ入る。

     

    (4)「レアアースの調達を巡っては、中国自身の状況も実は盤石ではない。特に(自動車用モーターなどに使われる)重レアアースに限っては、国内の電気自動車(EV)産業の拡大に伴って、輸入量が輸出量を上回る『純輸入国』に転じている。安定的な貿易体制を望んでいるのは彼らも同じだ。昨年春に米国による半導体規制への対抗措置としてのレアアースを活用した際も、実際に輸出量を大幅に減らしたのは3か月程度だった。早晩、日本政府に何らかの譲歩を引き出す形で落としどころを探ってくると予想する。中国の立場や戦略をふまえれば、日本にとって、備蓄の積み増しといった対策が有効だろう」

     

    米国へのレアアース輸出規制は、3ヶ月程度であった。日本へも、何らかの譲歩を引き出す形で落としどころを探ってくるという。日本は、毅然と対応することだ。あれだけ、悪口雑言を並べた中国である。日本こそ一札取っておきたいほどだ。

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