韓国を襲う「トランプの米国」に対する不安と、「習近平の中国」に対する不信が、日本の再発見につながっている。韓国は、米国の関税戦争による被害が実質的に発生している。一方、反中感情が固定化する中で、韓国世論は日本と協力して突破口を探したい、とこれまで以上に思っていることが明らかになった。開闢以来の「珍事」が起こっている。
『中央日報』(6月13日付)は、「国民49.6%『日本と未来協力推進』…31.5%は『歴史問題解決』」と題する記事を掲載した。
6月12日、中央日報と東アジア研究院の共同企画調査(6月4-5日、全国18歳以上の成人男女1509人を対象にウェブ調査、最大許容標集誤差95%信頼水準に±3.1%ポイント)の結果によると、新政府が対日外交でまず考慮すべきイシューとして最も多くの49.6%が「経済、技術、安保、環境分野などで未来志向的協力を推進」を挙げた。「歴史問題の解決」を最優先に挙げた回答者は31.5%だった。
(1)「前回大統領選挙直前の2021年に実施した世論調査(2021年8月26日~9月11日、全国成人男女1012人対面面接調査、95%信頼水準で最大許容標集誤差±3.1%p)では、同じ質問に対して歴史問題解決が優先という回答者が40.7%で未来志向的協力が優先という回答(35.3%)を上回っていた。今回は、順位が逆転した。党派別に見ると、進歩層のほうが歴史問題解決を優先に置いた(歴史問題44.9% vs協力37.3%)が、保守では過半の59.4%が協力を選び、中道層も協力に傍点(歴史問題30.8%vs協力50.6%)をつけた」
日韓関係では従来、歴史問題解決(謝罪)が主流であった。それが今回は、未来志向的協力が優先である。若者世代が、世論をリードしている結果だ。となれば、この逆転現象は年々、強まるであろう。
(2)「また、「歴史問題の解決なしに両国の未来志向的協力は難しい」という回答は、昨年8月共同企画調査(全国成人男女1006人ウェブ調査、95%信頼水準で最大許容標集誤差±3.1%p)の時の42.1%から今年40.4%で小幅に減少した。反面、「両国間の未来志向的協力を作っていけば、歴史問題も徐々に解決されていく」という回答は同じ期間32.4%から38.3%に増えた。韓国が、当面の最大脅威要因1位が「米中戦略競争」(昨年42.5%→今年64.9%)、2位が「保護貿易拡散および先端技術競争」(昨年39.7%→今年59.8%)であることと無関係ではなさそうだ。米中間葛藤による被害を体感する水準になると、日本をパートナーととらえ、共に対応することを願っているといえる」
韓国は、独立して80年になる。今や、経済問題で解決困難な状況へ向いつつある。日本と仲違いしては、生きていけないという現実認識が強まっている結果だ。
(3)「これに関連し、李氏は9日、日本の石破茂首相との初の電話会談で過去史に言及しないで「こんにちの戦略的環境の中で韓日関係の重要性がより一層重大になっている」としたが、世論の問題意識と一致する側面がある。李氏は、「両国が相互国益の観点から、未来の挑戦課題に一緒に対応して共生できる方向を模索していくことを期待している」ともした」
「反日闘志」の李大統領も、今のところ口を慎んでいる。これが、いつまで続くかだ。
(4)「約10カ月の間に、日本に対する好感度が急上昇したことも目を引く。昨年の調査では「日本に良い印象を持っている」と回答したのは41.8%だったが、今年の調査では63.3%まで上昇した。これは「日本に良くない印象を持っている」(30.6%)の2倍以上となる数値だ。EAIが調査を開始した2013年以降、対日好感度が非好感度を上回る「ゴールデンクロス」を達成したのは初めてだ。信頼度も昨年33.1%から今年41.2%に上昇した。同期間、米国を信頼するという回答は73.2%から68.4%に下落し(不信は18.2%→28.6%)、中国を信頼しないという回答は66.7%から69.5%に増えたが、対日信頼度だけが高まった」
対日感情が、約10カ月の間に逆転したのは、自国の政治不安を心底、恥じているのであろう。かつて韓国は、日本で自民党政権が続いていることを批判し、民主主義が根付いていないとまで言っていた。その韓国が、立て続けに大統領弾劾という事態だ。深く恥じ入っているのであろう。日韓、どちらが民主的であるか。肌身で知ったのだ。
(5)「日本に対する認識変化はこの他にもさまざまな数値から確認することができる。韓国に軍事的に脅威になると考える国について尋ねると、日本を挙げた回答者は30.1%だった。昨年37.7%から7.6%ポイント減少した。「日本との経済関係が特に重要だ」という回答は昨年48.9%から今年53.6%に増えた」
韓国は、地政学的に中ロ朝に挟まれる存在だ。これまでは、気楽に「中ロ朝と友好親善」と唱えていたが、今やそれがもたらす恐怖を実感するようになった。本来ならば、朝鮮戦争で目が覚めるべきであった。それが逆に、北朝鮮に統一して貰っておけば良かったという妄言すらもたらした。こういう妄想から今、目が覚めたのだ。
(6)「ここには、両国間の人的交流が活発化したことも大きな影響を及ぼしたとみられる。昨年日本を訪問した経験が「ある」という回答者(60.8%)が「ない」(39.2%)を初めて超えたが、今年も66.3%が日本に行ったことがあると答えた(「ない」33.7%)。このうち最近5年間で日本を訪問した回数が2~4回という応答は38.4%、5回以上という回答は9.2%を占めた」
人的交流の増加が、相手国への理解を深めるきっかけになる。昨今では、韓国からの訪日客が急増している。リピーター増加が、対日感情好転の裏にある。